環境省自然環境・生物多様性南極地域の環境保護南極地域観測隊同行日記

昭和基地に入るための諸準備

2012年12月18日(火)

 しらせは現在南緯68度東経38度付近の定着氷域を航行しています。しばらくは曇りの日々が続いていたのですが、ここ数日は快晴です。あたりは一面の雪原で、甲板に出ると、しばらくその場で景色を見ていたくなります。船は前進と後退を繰り返して海氷を割りながら進んでおり(これをラミングと呼びます)、氷を割る音が轟音のように聞こえることもあります。船の通った跡には海氷の割目ができ、そこにアデリーペンギンやアザラシの姿が見られました。

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 そんな中、同室の方が撮影した写真を見せてくれました。太陽の周りにくっきりと輪が写っていると思いませんか。暈(かさ)とか、ハローと呼ばれる現象です。日本でも見られる現象ですが、薄く広がった氷雲に太陽光があたると、雲を形成する氷の結晶に光が屈折して光の輪が現れることがあるようです。南極ではその他様々な光学的な現象が見られるようですので、帰国前になるべく多くお伝えできたらと思います。

 昭和基地も近づき、船内では観測隊が基地に入るための様々な準備を進めています。各調査・設営の担当者もしらせを出てからすぐに作業を始められるよう、最後の調整を進めています。

 昭和基地に入る直前の説明会のほか、各調査・担当業務班別の打合せ、関連備品や食料のパッキング、物資の輸送のための様々な打合せ等々。隊員の中には打合せがいくつも続く人もいます。綿密な準備があって南極観測事業が成り立っているのです。ただ、準備をした上でも天候次第で予定が変わってしまいますので、臨機応変な対応が求められます。

 私は昭和基地入り直前説明会とS16という内陸調査の拠点に行くための2つの打合せに出席しました。昭和基地入り直前説明会では基地での生活の注意事項、私物の搬入方法等について説明を受けました。S16の打合せでは地震関係の調査機材の設置・計測、測量、気象計メンテナンスの3つについて概要および作業内容を聞き、気象計のメンテナンス作業へ参加することが決まりました。

 その後、荷物をまとめ直して昭和基地入りの準備を進めています。基地に持ち込む荷物には容量と重量の制限がかかります(大型のバッグ、手荷物、自分の体重を含む100kg+中型サイズ段ボール1箱20kg)。

 私は、昭和基地のほかにも、観測隊の方々の調査に同行し、沿岸部、内陸まで様々な地域に行くため、それぞれの地域と調査等の実施内容に合わせた装備品が必要です。当たり前の話ですが自分のものは自分で準備しなくてはなりません。重量制限は問題なさそうですが、容量の関係から基地に持ち込む荷物を厳選するのがなかなか難しいです。観測隊経験者に倣って様々な状況を想定し、万全の準備をしたいと考えています。

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