環境省自然環境・生物多様性南極地域の環境保護南極地域観測隊同行日記

昭和基地の新年

2011年1月1日(土)

しらせに向かう雪上車写真拡大

 昨日接岸したしらせに、ヘリコプターで輸送できなかった資材を取りに雪上車に乗って向かいました。接岸ポイントの海氷の上に乗り上げて碇泊しているしらせは、まるで丘に登った船のようで、ひときわ大きく見えました。

 2日から、夏の建築等に必要な資材や、30人が越冬するために必要な食材、燃料などがこの海氷上で輸送されることになります。海氷上には、潮の満ち引きでできたタイドクラックという亀裂があちらこちらにできており、そこに落ちないよう輸送にも細心の注意が必要となります。輸送の活動状況については、また後日掲載します。

接岸した「しらせ」写真拡大

 ここまで観測隊のいろいろな活動を紹介してきましたが、そもそもなぜ環境省の職員が南極地域観測隊に同行しているのかを、ここで少し説明したいと思います。

 南極は、南極条約という国際的な合意によって、南緯60度以南の地域の領土権を凍結し、科学的調査など平和目的にのみに利用することになっています。その後、環境保護の関心が高まり、「環境保護に関する南極条約議定書」が採択されました。

 日本も、この議定書を守るため、環境省の所管する法律として「南極地域の環境の保護に関する法律」というものを施行しました。この法律により、南極へ行く人は、実施しようとしている活動が南極の環境へ悪い影響を与えないか環境大臣の確認を受ける必要があります(他の議定書締約国の許可を受けた観光船に乗る場合は「届出」が必要になります。)が、国家事業である南極地域観測も例外ではなく、その活動の確認を受けて実施しています。

 しかし、日本国内で書類を見て「環境への影響は小さい」と確認しても、実際にはその活動による環境への影響が小さくない可能性もあります。このため、現地でどのように活動が実施されており、その活動による環境への影響が実際に小さいかどうかを確認するため、環境省の職員が定期的に観測隊に同行して確認しています。そして、今回、第49次隊以来3年ぶりに観測隊に同行して現地の状況を確認することになりました。

 この日記では、南極の自然環境を紹介しながら、南極地域観測隊がどんな活動をしていて、どのように活動による環境への影響を最小限に留めるよう努力しているかについても紹介していきたいと思います。

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