環境省自然環境・生物多様性南極地域の環境保護南極地域観測隊同行日記

最後の日没

2010年12月16日(木)

 12日の夕方、グリーンフラッシュという現象が現れました。この現象は、気温が低いことや空気が澄んでいるなどいくつかの条件がそろった状況で、日が沈む際に緑色の閃光が現れるものです。珍しい現象であるため、これを見られると幸せになれるとか、いろいろ言い伝えがあるようです。

今年最後の日没写真拡大

 15日は久しぶりに晴天で空気も冷たく、夕日がきれいに見られたため、私を含め12日にグリーンフラッシュを見られなかった人やもう一度見たい人が、日没の23時前ころから外に出てカメラをずっと構えていました。外は氷点下の上、風がまともに吹きつけるため体感温度が非常に寒く、カメラを持つ手も固まらないように気を使わなくてはならないほどでした。

 結果として、今回グリーンフラッシュは見られず、ただ夕日を撮影しただけに終わってしまいました。しかし、今日艦内放送で「本日より日が沈まない」と連絡があり、結局昨日の日没が「今年最後の日没」となりました。

コウテイペンギン写真拡大

 16日は、朝から外に出た人が「ペンギンがいた」「アザラシがいた」といろいろな動物を見た話をしていました。今まではなかなか見られなかったのですが、流氷の密度が高くなり、氷の上の動物が見えやすくなったようです。
 外に出てみると、今までとは比べものにならない頻度でペンギンなどが見られました。流氷で真っ白な海は、生物がいるように思えない雰囲気なのですが、意外に氷上の生物相は豊かなのだと感じました。

カニクイアザラシ写真拡大

 そしてついに念願だったコウテイペンギンを見ることができました。というのも、昭和基地周辺で見られるペンギンはほとんどアデリーペンギンのため、コウテイペンギンは基地周辺では滅多に見られないことと、温暖化による氷の減少により生息数の減少が心配されているため、今後見られる機会がさらに減るかもしれないためです。ペンギン好きの息子が大きくなった時にも見られればと改めて思いました。

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