環境省自然環境・生物多様性南極地域の環境保護南極地域観測隊同行日記

唸る南緯40度と船上生活

2010年12月2日(木)

 昨日低気圧の影響で、暴風圏に入る前なのに波が高く、早速船酔い者が出てしまいました。
  ご多分に漏れず、私もこめかみに違和感を覚え、手元の資料やパソコンを見ると気持ち悪くなり日記が書けない状態でした。
 そして本日「唸る南緯40度」を超え、昨日より更に波が高くなり、船首の方から波が当たる音が聞こえ、時には飛行機で言う「エアポケット」に落ちたときのようなミシミシという音が聞こえてきます。それに合わせ、船酔い者も増え、私の部屋の向かいにある医療担当者の部屋に来る隊員の数も増えました。明朝には「吠える南緯45度」に到達すると思われ、状況は悪化すると思われます。
 揺れとは話が異なりますが、昨日のミーティングで節水に関する注意がありました。内容としては、シャワーを浴び終わった際に、しっかり水を止めるようにということでした。これはしっかり止めないと、水がポタポタと溢れる事があり、一晩そのままにすると大量の水を消費してしまうため、水の使用に影響が出かねないとのことです。
 船上では真水を海水から造水するため、一日に使える水の量が決まっています。また、昭和基地においても同様に貴重であるため、到着する前の段階から節水を身につけるようにとの忠告でした。
 日本で暮らしている間、普段は蛇口をひねれば水が出てきて、その水が尽きることなど考えることは殆どありません。しかし、船上や南極では水を作ることも日常の中にあり、どのような労力やエネルギー消費の上に使えるのかが分かるようなります。
 当たり前のものが、なぜ当たり前にあるのか、改めて考えさせられる一幕でした。

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