自然環境・生物多様性

第58次南極地域観測隊同行日記 ~シドニー入港~

シドニー入港

2017年3月22日(水)

シドニー入港

 2月15日に昭和基地沖を出発してから、約1ヶ月あまり、ついに3月20日にオーストラリアのシドニーに入港しました。南極では、植 物や動物を見かける機会が限られていたため、4ヶ月ぶりに上陸する温帯の土地では、街路樹や道ばたにいるハトまでもが新鮮に見えま す。

 私は、一昨年の10月に南極保全担当のポストに赴任し、それ以降霞ヶ関で南極を訪問する方の許認可をしたり、南極条約に関する 国際会議に出席したりと南極関連の業務に携わってきました。しかし、南極のことは書籍や映像から得られる情報でしか知らず、正直な ところ南極がどのような場所なのか、どういった自然なのかということについて感覚的なイメージをもてませんでした。ですが、今回、 初めて南極に行き、寒冷で厳しい環境や、その中で生きる生物同士のつながりなど、自分の目で見ることで、南極の貴重な自然の保護の 重要性を実感することができました。また、南極における海洋、大気、地球物理、生物など、観測隊員が行っている様々な分野の研究に 触れることができたことは、とても勉強になりました。一方、ほとんど人の手が入っていない南極における人間の活動や環境保護のあり 方については、前回の記事に挙げたトイレの問題など考えさせられることもありました。この経験を少しでも今後の業務に活かしていけ ればと思います。

 さて、第58次夏隊と第57次越冬隊は、3月22日の夜にオーストラリアを飛行機で発ち、23日に帰国の予定です。そのため、今回をも って「第58次南極地域観測隊同行日記」は終了いたします。最後になりますが、これまで日記を読んでいただいた皆様、どうもありがと うございました。また、南極の地で、一緒に過ごし支えてくれた第58次隊のメンバーと、第57次越冬隊にも感謝したいと思います。

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