自然環境・生物多様性

第58次南極地域観測隊同行日記 ~ペンギンとトウゾクカモメ~

ペンギンとトウゾクカモメ

2017年1月17日(火)

アデリーペンギンのルッカリー

カメラデータロガーを装着した個体

ナンキョクオオトウゾクカモメのつがいとヒナ

 

 1月5日から7日までの間、昭和基地から南に約20kmにあるラングホブデ袋浦という場所へ行ってきました。袋浦は小さな入り江で、アデリーペンギンのルッカリー(集団繁殖地)になっています。
ここでは、研究者3名が12月末から泊まりこみでペンギンの生態調査をされています。調査では、ペンギンの背中にビデオカメラを装着・回収したり、ヒナの体重を量り成長を記録したりといった作業が行われており、その様子を見学させてもらいました。また、ビデオカメラで撮影した動画を見せてもらったところ、海に潜水して餌をとる様子がペンギンの目線で記録されている見応えのあるものでした。ビデオカメラを装着するタイミングなど試行錯誤されているようですが、今後の解析によりペンギンの行動生態が解明されていくのが楽しみです。
 一方、ペンギンのルッカリーからほんの50mほど離れた岩場では、ペンギンの卵やヒナなどを餌とするナンキョクオオトウゾクカモメもヒナの子育てをしていました。ヒナをもつ親鳥は警戒心が強く、ヒナの方に近寄り過ぎると、親鳥が頭上を飛んで威嚇して来るため、ひやっとした瞬間もありました。また、時折、親鳥がペンギンのヒナを襲って食べている様子も観察でき、自然界の捕食者と被食者の関係を垣間見ることができる機会ともなりました。
 なお、この袋浦での滞在は、当初の計画では1泊2日の予定でしたが、天候が悪化したことから、迎えのヘリコプターが予定通りに飛ぶことができず、袋浦に2泊することになりました。南極に上陸してからずっと晴天で、歩くと暑くなるくらいでしたが、袋浦では雪がぱらつき、夏とは言えど東京の冬くらいの寒さに感じました。その後、この日記を書いている本日まで風が強い日や曇りの日が多く、短い南極の夏がすでに終わり、秋になったのだという季節の変化を感じます。


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