自然環境・生物多様性

第58次南極地域観測隊同行日記

 環境省では、南極地域観測統合推進本部(本部長:文部科学大臣)が組織する「南極地域観測隊」に定期的に職員を同行させ、主として我が国昭和基地周辺の環境や動植物の状況等について、現地調査を実施してまいりました。
 第58次南極地域観測隊夏隊(平成28年11月27日~平成29年3月23日)にも、1名の環境省職員が同行します。
 このページでは、南極で活躍する環境省職員の現地からの声を「第58次南極地域観測隊同行日記」として紹介します。

環境省職員日記

「南極授業」に出演しました

2017年2月11日(土)

第58次南極地域観測隊同行日記 第58次南極地域観測隊同行日記

 南極観測事業には、小中高の教員を南極に派遣し、衛星を使って中継で授業を行うという「教員南極派遣プログラム」があります。今回の第58次隊には、奈良県と宮城県から2名の教員が同行されており、それぞれの専門の視点から南極の自然や隊員の活動などについて授業を行う「南極授業」が計4回行われました。

 2月9日には、奈良県立青翔中学・高等学校から来られている生田先生が行った「南極授業」に私も出演しました。理科教員である生田先生は、土壌中の微生物が発電する仕組みを利用した再生可能エネルギーについて、日本にいる学生と共同研究されています。授業は、「発電から考える南極の環境」をテーマに、生田先生が南極の土壌を用いて行った発電実験の結果を発表すると同時に、日本からも学生が行った実験結果を発表するというインタラクティブなものでした。そして、授業の末尾には、私から南極の環境保護に関する法律やレンジャーという職に就いた動機などについて話させていただきました。

 学生たちは、担当の生田先生が不在の間、自分たちで実験を行ったようですが、その結果についてしっかり発表をしていて感心しました。今回、生田先生が南極で行った実験は、もとは学生からの提案だったそうです。この「南極授業」をきっかけに、自分の関心ある分野をさらに追求していってもらえたらいいなと思います。

ペンギンとトウゾクカモメ

2017年1月17日(火)

アデリーペンギンのルッカリー

アデリーペンギンのルッカリー

カメラデータロガーを装着した個体

カメラデータロガーを装着した個体

ナンキョクオオトウゾクカモメのつがいとヒナ

 1月5日から7日までの間、昭和基地から南に約20kmにあるラングホブデ袋浦という場所へ行ってきました。袋浦は小さな入り江で、アデリーペンギンのルッカリー(集団繁殖地)になっています。
ここでは、研究者3名が12月末から泊まりこみでペンギンの生態調査をされています。調査では、ペンギンの背中にビデオカメラを装着・回収したり、ヒナの体重を量り成長を記録したりといった作業が行われており、その様子を見学させてもらいました。また、ビデオカメラで撮影した動画を見せてもらったところ、海に潜水して餌をとる様子がペンギンの目線で記録されている見応えのあるものでした。ビデオカメラを装着するタイミングなど試行錯誤されているようですが、今後の解析によりペンギンの行動生態が解明されていくのが楽しみです。
 一方、ペンギンのルッカリーからほんの50mほど離れた岩場では、ペンギンの卵やヒナなどを餌とするナンキョクオオトウゾクカモメもヒナの子育てをしていました。ヒナをもつ親鳥は警戒心が強く、ヒナの方に近寄り過ぎると、親鳥が頭上を飛んで威嚇して来るため、ひやっとした瞬間もありました。また、時折、親鳥がペンギンのヒナを襲って食べている様子も観察でき、自然界の捕食者と被食者の関係を垣間見ることができる機会ともなりました。
 なお、この袋浦での滞在は、当初の計画では1泊2日の予定でしたが、天候が悪化したことから、迎えのヘリコプターが予定通りに飛ぶことができず、袋浦に2泊することになりました。南極に上陸してからずっと晴天で、歩くと暑くなるくらいでしたが、袋浦では雪がぱらつき、夏とは言えど東京の冬くらいの寒さに感じました。その後、この日記を書いている本日まで風が強い日や曇りの日が多く、短い南極の夏がすでに終わり、秋になったのだという季節の変化を感じます。

南極での新年

2017年1月4日(水)

門松の横で記念撮影

豪華なおせち料理

 新年あけましておめでとうございます。

 私たち58次隊は、12月後半から昭和基地での作業をスタートしたところですが、年末年始は昭和基地から雪上車に乗ってしらせに戻り、新年を迎えました。しらせでは、正月飾りの鏡餅、しめ縄、門松などが飾られており、お正月の雰囲気を味わうことができました。ちなみに、門松は、山本公一環境大臣の地元である愛媛県の宇和島青年会議所から贈呈されたものです。宇和島とのつながりは、以前使われていた観測船の艦長が宇和島のゆかりのある方だったことからとのことで、今でも毎年門松が贈られています。1日中太陽が沈まない白夜の南極で、新春の気分を味わうことのできるうれしい気配りだなと思いました。

 南極は白夜が続く夏の真っ盛りですが、天候のよい期間は1ヶ月程度と短いため、年明け早々から基地の設営など慌ただしく作業が進められています。私もこれから昭和基地の周辺や南極大陸沿岸での調査を始める予定ですが、元気で乗り切りたいと思います。

※最新の記事を表示しています。以前の物は過去の南極地域観測隊同行日記をご覧下さい。

環境省による南極地域現地調査の概要

その他の関連情報

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環境省自然環境局自然環境計画課
TEL 03-5521-8274
FAX 03-3591-3228
e-mail : antarctic@env.go.jp

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