Ogawa OrganicFES報告

 「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトの一環として、地域ぐるみで有機農法に取りくむことで世界的に知られる埼玉県小川町で、森里川海の支え人(農家・料理家・アクティビスト・モデル・タレント・アーティスト・生活者)によるトークをステージで展開し、さらに五感でオーガニックな空間・食・音楽を参加者に体感していただくことで、森里川海を大切にするライフスタイルシフトの促進を目的したOGAWA ORGANIC FES(小川町オーガニックフェス)2016が、平成28年9月10日(土)、小川町げんきプラザにて開催されました。

開催日
平成28年9月10日(土)
会場
埼玉県立小川げんきプラザ(埼玉県比企郡小川町木呂子561)
参加者数
約4500人
主催
OGAWA ORGANIC FES実行委員会
共催
環境省

 当日は森の中の特設ステージで、シンガーソングライターのMINMIさんほか、GAKU-MCさん、池田綾子さん、河口恭吾さん、美湖♡Shingo☮さん、Eighty eightさん、魁太鼓さんによるLIVEと、小川町でオーガニックのつながりをもつ経営者たちのトークセッションで大いに盛り上がり、森里川海とそのつながりを大切にするライフスタイルへの転換に向けて、来場者のみなさんの意識や行動に気づきと変化を促しました。


森の中の特設ステージでのライブの様子


3つのトークセッションの概要

 「MOTHER EARTHトーク 〜森里川海と都市がつながる〜」  森里川海プロジェクトの中井副チーム長と小川町の有機農業を牽引してきた金子美登さん、そして『MOTHER EARTH』発起人でもある大葉ナナコさん、元トップ音楽プロデューサーでありthe Organic副代表としてオーガニックの普及・啓発活動に携わっている四角大輔さん、人気モデルでエシカルなファッションの普及・啓発を精力的に進めている鎌田安里紗さんの5名による、『森里川海プロジェクト』の認知と理解を促進するトークセッションが展開されました。

 大葉さんから『森里川海プロジェクト』を支援するアクティビスト集団『MOTHER EARTH』設立の経緯とネーミングの由来と共に、ご自分の活動の中で感じている「つながっていくこと」への想いが語られると、四角さんからは人類と地球の関係性についての想いと『森里川海プロジェクト』に対する共感と協働に向けた展望についてお話いただきました。

 鎌田さんから会場の来場者へ「“エシカルファッション”を知っている人?」と質問が投げかけると会場の半数近くが挙手するという、このイベントに参加する方々の意識の高さが垣間見える一幕もありました。

 中井副チーム長から台風の話を契機に異常気象について語られると共に、対応策としてのパリ協定について説明。そのためにも生きとし生けるものが循環を取り戻して共生することが重要である、という状況が説明されました。

 金子さんからは小川町で有機農業をはじめた経緯と、そこにいたる背景についてお話いただきました。農業においても土壌微生物の多様性が重要であり、それが現在破壊されている現状、そこに対して地道に有機農業を続けてきたことで地域の市民・商店・生産者がつながり、幸せな地域モデルを創出した結果、天皇杯・黄綬褒章受賞につながったという歴史が語られると、会場からは大きな拍手が起きました。

 中井副チーム長から、“いのち”の文明の時代=“環境生命文明社会”という、日本初の“命が巡る文明社会づくり”に向けてみんなで頑張っていこう、という熱い想いが語られると、それに呼応する形で大葉さん、四角さんから持続可能な社会の重要性が語られました。「地道にそれを続けて行くしかない」(中井副チーム長)「自然資源を地産地消する地域づくりを各地で進めていこう」(金子さん)という想いでこのトークセッションは締めくくられました。

 続けて、同日に森里川海をテーマに東京・渋谷で開催された「Holistic Beauty Life」の会場とTV電話中継をつないで、それぞれのイベント会場の状況が共有されるとともに「翌日には渋谷の会場に行きましょう!」という人の交流を促し、都市と地域をつなぐ中継も行われました。

 「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトの一環として、地域ぐるみで有機農法に取りくむことで世界的に知られる埼玉県小川町で、森里川海の支え人(農家・料理家・アクティビスト・モデル・タレント・アーティスト・生活者)によるトークをステージで展開し、さらに五感でオーガニックな空間・食・音楽を参加者に体感していただくことで、森里川海を大切にするライフスタイルシフトの促進を目的したOGAWA ORGANIC FES(小川町オーガニックフェス)2016が、平成28年9月10日(土)、小川町げんきプラザにて開催されました。


『MOTHER EARTHトーク〜食という仕事〜』

 「作ってあげたい彼ごはん」で400万部を超えるベストセラーを出した料理家のSHIORIさんと、自ら自然栽培の農園を営みながらオーガニックレシピの開発や飲食店プロデュースを手がける菜園料理家の藤田承紀さん、旅番組のレポーターとして世界を旅した経験をも持つタレントの佐々木依里さんによる“食”を軸としたトークセッションが展開。

 SHIORIさんからは「作ってあげたい彼ごはん」は当初、周囲の大人全てが有機農法に反対であったという逆境から、社会を変革するムーブメントにまで至った経験を基に、オーガニックがメジャーになる“時”が来ると思う、という展望を語られました。

 藤田さんはダンサーとして子どもたちの指導をしてきた際に、彼らの食がジャンク化している現状を語り、それを改善したいという彼の想いと現在までの取り組みが説明されました。

 佐々木さんからは、レポーターという客観的な視座で見た“食”への想いが語られました。食に対しての愛が大切である、という佐々木さんの発言に対して、野菜ソムリエの資格を持ち、食をテーマに地域活性化に取り組まれている司会の川本えこさんからも“食”への意識、その基となる自然への敬意の重要性が語られました。

 参加者一同「届ける側も受け取る側も、食・食材への愛情や想いを大切にしよう」という思いで共感しあい、トークは絞められました。


『OGAWA ORGANICトーク〜有機農業からはじまる幸せの循環づくり〜』

 金子氏を中心に地域でつながり支え合い、地域を元気にしてきた酒蔵、豆腐店、リフォーム会社の経営者たちと活動を支えてきたNPO代表の高橋氏によるトークセッションでは、日本の有機農業の歴史が紹介されると共に、「晴雲酒造」の中山社長と「とうふ工房わたなべ」の渡辺社長の取り組みが紹介されました。

 中山社長は日本の酒造の歴史とともに、小川町の有機農業を支えるに至った経緯と小川町の有機農業拡大の変遷について語り、渡辺社長は有機農家の金子氏の取組みにおける苦労と成功について語りました。

「OKUTA」の山本社長は、地区の有機米を社員の給与の一部として買い取る支援策をはじめた経緯を紹介しました。

 今後は山の保全も含めて里山活性化を行っていくこと、その活動にパタゴニア社の『1% for the planet』を活用してOKUTAが小川町の里山環境保全に売上の1%を提供すること、オーガニックコットンでTシャツ製造に取り組むことなどが語られました。

 最後に渡辺社長と中山社長から、地域で経済が循環する「ローカルビジネス」の重要性と大切さについて語り、都市生活者が地域とつながること、ローカルの小さな点がつながっていくことの重要性が語られました。「フェスを通じて小川町が築いた幸せな社会をみんなに感じてほしい」という思いが伝えられると、場内からは大きな拍手がわきました。


 独身から子ども連れまで4500人を超える方々に、“五感”で里山の恵み=“オーガニック”を体感していただくことができ、来場者から多数の満足の声がスタッフや出店者に寄せられました。

 参加いただいたみなさまに“ライフスタイルシフト”の一歩を踏み出す小さなキッカケを提供できたのではないかと思います。また、小川町という里山がもつ自然循環資源を活かして、地元の市民・商店・企業・生産者がつながり支え合いながら“豊かな社会”を育んでいる実態を多くの来場者が間近で感じ、体験してくださったことは『森里川海プロジェクト』の認知拡大と理解促進につながったのではないでしょうか。