環境省自然環境・生物多様性国立・国定公園の指定及び管理運営に関する検討会

第3回「管理運営に関する分科会」の概要


1.日時

平成19年2月8日
10:30〜12:50
新宿御苑インフォメーションセンター

2.出席委員

北村委員、九里委員、櫻井委員、下村委員、高橋委員、竹田委員、原委員、羽山委員、速水委員、渡部委員

3.会議の概要

 それぞれの議題ごとに事務局より説明を行った後、質疑応答、議論を行った。委員からの意見とそれに対する事務局回答の概要は下記のとおりであった。

[1] 指定分科会の提言骨子案等について

○ 公園計画の策定や見直しについてはどちらの分科会で議論するのか。

→ (事務局)どちらの分科会にも関係するので双方から指摘をしてほしい。

○ 指定分科会では公園計画策定等について意見があったか。

→ (事務局)景観評価の対象に関しては意見があったが、公園計画策定のシステムについては特に意見はなかった。来年度の「国立・国定公園総点検事業費」予算の中でも検討していきたい。

○ 法目的に生物多様性を含めようとしないのはなぜか。法目的を変えなくても生物多様性の観点からの指定が行えるということはそれでよいが、だから法目的に入れないということにはならないのではないか。

○ 現在の自然は手を付けずに守れる状況ではなく、管理が必要である。生物多様性保全の具体的なアクションに結びつけるような視点が必要。指定分科会でも議論してほしい。

→ (事務局)指定の考え方は時代とともに変化し、今は生物多様性の豊かな地域が優れた自然の風景地として評価されるようになってきている。また、平成14年度の自然公園法改正で生物多様性の確保を責務として位置付けており、明確に管理すべき対象となっている。

○ 種の保存法があるから生物多様性保全がカバーされるという事ではない。国内希少野生動植物種に指定されている種はRL・RDB掲載種の数%だし、実際には群集や群落といった単位での多様性も評価すべき。

○ 法目的に生物多様性を入れるべきであるという指摘があったことは指定分科会にも伝えておいてほしい。

[2] 委員からの話題提供について

○ 竹田委員の発表で秦野市の事例紹介があったが、目標であげられている企業19社の参加は結局どうなったのか。

→(竹田委員)企業に声をかけるより先に市民活動が盛んになり、役場でも対応できなくなったため、結局企業に声をかけていない。

○ 九里委員の発表で企業側が期待する事は安定し持続する活動とあったが、具体的にはどういう意味か。 

→(九里委員)地域が考える長期的な管理スパンと四半期や半期などで区切る企業の経営計画は合わない部分があるが、企業によっては10年程度の長期的スパンで考えるように方向性は変わってきているということ。

○ 企業の関与の仕方によって、受け皿団体として大きな組織が必要となるのか個別の対応となるかが変わってくる。

○ 竹田委員の発表事例では竹田委員らがコーディネートやプロデュースする組織を担っているが、どのような組織が関わるのが適当か。

→(竹田委員)行政は予算の権限を持っているので住民に過度の期待をされてしまう。予算の権限がなくその土地に責任の生じないNGOの方がやりやすい面がある。全国にコーディネートができる団体はいくつかある。人件費さえあればあとはアイデアでなんとかなる。

[3] 管理運営に関する分科会提言(案)について

○ これまでの自然中心の考え方から利用者を意識したものまで入っており、全体としてはよい仕上がりだと思う。ただ、保護とのバランスをどう取っていくのか注意が必要。目標設定や計画づくりを行う範囲は地域によって異なり、場所に応じてやるしかない。利害関係者は損得が関わり、熊野古道において森林所有者が抵抗感を示しているような例もあるので、それ以外の人とは分けて合意形成を図るべき。ただし、それとは別に総意を議論するような場があってもよい。

○ この文書は審議会へ諮問されたり、一般の方々の目にふれたりするか。

→ (事務局)審議会へは出さずに環境省が受け取る形になるが、公表する予定。併せて一般の方々や関係団体に意見を聞くことを考えている。

○ 政府が出す文書は正確であるけどわかりにくいので、一般の方が見るのであればいくつか修正した方がよい点がある。まず、分科会提言(案)の「はじめに」の中で近年の社会状況が変化していると書かれているが、もう少し具体的に書いた方がよい。例えば、利用者の高齢化が進んでいるとか、第一次産業の担い手が減ってきていることなど。広報については、利用者に向けてだけではなく、地域にメリットのある説明をする事も重要になる。メディア戦略も重要。また、サービスという言葉で自然の恵みまで含めると理解できる一般の方も多くはないので、少なくともリソースとサービスという対比で説明した方がよい。

○ 3(2)[4]の「各主体の費用分担」に書かれている地方公共団体や民間からの負担金徴収とはどのようなことを考えているのか。

→ (事務局)実際に使われた事はないが、既に法律の中に規定されている。今まで国立公園の国直轄整備は地元負担金を取っていなかったが、今後ともそれを続けるのか検討する必要がある。

○ 計画策定と管理運営のシステムを構築する際には、多様な主体の参画の下で進め、その結果をフィードバックできる体制が必要。

○ ラムサール登録湿地である石川県の片野鴨池の保全に関わっているが、そこでは地域の利害に関係のない研究者が関わって、うまく機能している。「よそものモデル」と呼んでいるが、そういう機動的で利害の関係しない人の巻き込みについても記述してもよいのではないか。ただし、利害関係の中には負の関係だけではなく正の関係もある。

○ 教の委員発表がどのように提言に反映されているかが分かりづらい。例えば、企業の活動を重視するのであれば別に章をたててもよいのでは。また地域での計画作りは行政主導ではできないという話があったが、誰が中心となって進めるのかが提言の中では不明確。地域に任せすぎると場所ごとに取組がバラバラになるし、やはり国立公園なので主体は環境省になると思う。

○ 2(1)の「地域の基盤的共通的な土地資源管理」という言葉はわかりにくい。

○ レンジャーが本来のコーディネーター的役割を果たせていない事を提言の中でもう少し強調してもよいのではないか。

○ 周辺地域との連携を行う相手が自治体なのか他の団体なのかを明確にしたほうがよい。

○ 国民全体が受益者であるサービスの例として自然体験と環境教育をあげているが量としては少ない。圧倒的に量の多い観光について記すべき。

○ 地域振興という言葉は曖昧であり、観光振興という言葉に置き換えた方が理解しやすい。

○ 国土形成計画の見直しや広域計画の動きをどこかに文言として入れたほうがよい。

○ 提言は個々の公園であてはめて考えると理解できるが、全体として国が主体的にやっていくのか、地域に任せていくのか、どちらに向けて提言しようとしているのかが読みにくい。また、「実行計画」、「行動計画」など計画という言葉がいくつも使われているが、それぞれの意味の違いがわかりづらい。計画主体がどこなのかわかりにくい。

○ 地種区分は資源性の評価でもあるが、文化的景観や生物多様性の概念が入ってくるなど、資源評価も変化しておりゆらいでいるのではないか。指定や計画策定にも関係するので、もう少し大きい概念で組み直したほうがよい。

○ 今回の目新しいポイントが強調されるような管理運営のモデルを作ったほうがよい。阿蘇は自然再生の全体構想を作るのに8回も協議会を行っている。多様な主体が参加すればそれだけ合意形成には時間がかかる。

○ やはり日本は官の国。行政が責任を持ってやっていかないといけない。

○ 生物研究者の立場としては法目的に生物多様性を明記して生物多様性保全にアクセルがかかるようにしてほしい。地種区分では担保できない生物多様性や景観のあるべき姿を別にくくっておく必要がある。普通地域は生態系管理地域に変えてもらったほうが動きやすい。

○ 阿蘇の草原再生で野菜づくりに目をつけたように、一次生産者に自然を意識させる仕組み作りは重要になる。

○ 全体協議会とは別に課題ごとのワークショップが必要になる。まず1回目の協議会では地域に国立公園を知ってもらい、愛着を持ってもらい、2回目で地域住民の現状と課題を知る。それをふまえて、3回目で公園と地域の現状・課題を照らし合わせ、合わさる部分を抽出し、実際に活動を実施し、その後全体に反映させるという事が必要になる。できればインタレスティンググループも入った方がよいし、1回目の協議会はなるべく多くの関係者で情報を共有すべき。

○ 計画という言葉が様々に使われており明確化が必要。計画のあり方をイメージできるようにしたほうがよい。

○ ファシリテーターやワークショップの手法も効果的であり、海外ではそれを行う会社も出来ている。そういう人が欠かせないという事を盛り込んでもよいのでは。

○ 各行政の施策については通常根拠法があり目的も異なるので、実行計画作成時や統合時に問題となる。一番必要なのは情報を共有化するためのGISなどによるプラットフォーム。

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