自然環境・生物多様性

ツシマヤマネコの出産(繁殖の取組)

ツシマヤマネコの写真画像

ツシマヤマネコの飼育下繁殖事業

 ツシマヤマネコは、長崎県対馬にのみ生息し、生息数は多くても100頭程度と推測されています。環境省では、ツシマヤマネコの保護を図るため、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づく保護増殖事業計画を策定し、生息環境の改善や交通事故対策等の様々な取組を実施しています。

 この一環として、公益社団法人日本動物園水族館協会と連携し、国内の9箇所の動物園の協力を得て、ツシマヤマネコの飼育下での繁殖にも取り組んでいます。しかし平成21年以降は繁殖がうまくいかない状況が続き、課題が多くあるため、平成25年度からは関係者による検討を強化し、飼育下繁殖の推進に取り組んできました。

平成26年春の繁殖

[1]福岡市動物園において出産(無事に成育すれば5年ぶり)

 平成26年4月11日に福岡市動物園において、飼育個体の出産があり、順調に成育すれば平成21年以来、5年ぶりの繁殖の成功となります。メス親は昨年難産により帝王切開をしましたが、出産直後に仔ネコが死亡してしまった経歴をもつ個体で、今年は帝王切開や出産後の人工哺育などにも備えた技術向上に力を入れて万全の体制で見守った結果、無事に自然分娩で仔ネコが誕生しました。出産後も上手に子育てを行っており、順調に成育しています。

福岡市動物園のホームページにて、出産当日の様子から時期をおって、子育て映像が公開されています。
福岡市動物園(ツシマヤマネコの出産)(リンク) をご覧ください。

[2]九十九島動植物園(長崎県)でも誕生(今年2例目)

 平成26年5月27日には、長崎県の九十九島(くじゅうくしま)動植物園において、今年2例目となる飼育個体の出産がありました。同園では初めての妊娠・出産の成功となります。

 両親となったペアは、今回の繁殖に向けた昨年の大規模な個体移動計画により、オスは盛岡市動物公園から昨年12月に、メスは富山市ファミリーパークから昨年11月に移動させた個体です。移動させた個体同士でペアリングが成功し、日本動物園水族館協会や飼育園の関係者と連携を強化して取り組んだ、今回の繁殖計画の大きな成果と考えています。

九十九島動植物園のホームページにて、子育て映像が公開されています。

(Facebook上に新しい映像が随時公開されています。)

九十九島動植物園(公式Facebook:誕生直後)(リンク) をご覧ください。

※子育て中の母猫はとてもデリケートなため、ちょっとした物音に反応して育児放棄することがあります。仔ネコの安全確保のため、完全な非公開の環境下での子育てになりますので、大変貴重な映像です。

ツシマヤマネコの飼育下繁殖事業における連携強化の取組

 現在、(公社)日本動物園水族館協会(リンク)と連携し、国内の9箇所の動物園の協力を得て、飼育下での繁殖に取り組んでいます。平成12年に福岡市動物園で初めて繁殖に成功し、平成25年春までに45頭が誕生していますが(うち21頭が生存)、ツシマヤマネコの飼育・繁殖技術はまだまだ難しい点が多く、現時点では確立しているとは言えません。特に平成21年以降は繁殖がうまくいかない状況が続き、飼育している個体の高齢化も進んでおり、繁殖技術の向上が課題となっています。

 そこで、平成25年度から飼育下繁殖に取り組んでいる動物園の間で連携を強化して新たな検討の場をつくり、この春の繁殖期は、繁殖の可能性が高い年齢の個体を福岡市動物園および九十九島動植物園に集め、取り組んできました。両園は、ツシマヤマネコの本来の生息地の環境に似ている気候の地域にあり、多くのペアリングの組み合わせが可能な施設を有しています。

 今回、出産に成功した両園については、日本動物園水族館協会と連携して取り組んだ、この繁殖計画の大きな成果と考えています。

 また、平成26年5月には、日動水と環境省で「生物多様性保全の推進に関する基本協定書」を締結し、ツシマヤマネコの取組などを中心に、さらなる連携強化を図る事としています。協定の詳細は、(公社)日本動物園水族館協会との協定の締結について(リンク)をご覧ください。

ツシマヤマネコに関する詳細な情報は、対馬野生生物保護センター(リンク)をご覧ください。

ツシマヤマネコについて

学名;
Prionailurus bengalensis euptilurus
英名;
Tsushima leopard cat
分類;
食肉目ネコ科
第4次環境省レッドリスト(2012);絶滅危惧ⅠA類(CR)
日本では長崎県対馬だけに生息する野生ネコ科動物で、1971年には国の天然記念物に、1994年には種の保存法に基づく国内希少野生動植物種に指定。野生下の個体数は多くても100個体と推定されている。1月から3月に交尾し、約65日の妊娠期間を経て出産。

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