自然環境・生物多様性

エトピリカ

1.概要

(1)分類
  • チドリ目 ウミスズメ科
  • エトピリカ
  • 学名 Lunda cirrhata
  • 絶滅危惧ⅠA類(環境省第4次レッドリスト)
(2)分布及び個体数
  • 北太平洋の亜寒帯海域に広く分布
  • 国内ではかつて道東の島々で繁殖。1970年代に入って激減し、現在は根室市のユルリ島とモユルリ島のみで繁殖
  • 平成26年の生息確認数はユルリ・モユルリ島海域で15羽、繁殖つがい数は6つがい、浜中海域で最大3羽、繁殖つがい数0(環境省調査)
  • 世界の総個体数は350万羽(del Hoyo et al. 1996)と言われている

写真:エトピリカ

2.形態的特徴及び生物学的特性

  • 成熟個体で全長39cm
  • 島や海岸の崖上部の土中に巣穴を掘り、集団で営巣する。繁殖活動は5~8月
  • 潜水してイカナゴなどの魚類や小型イカ類、オキアミ類を食べる

3.存続を脅かす要因

  • 成鳥の死亡原因として流網、底刺網への混獲が大きいと考えられる
  • ユルリ島とモユルリ島では、1970年代にドブネズミが侵入し、ネズミの胃内容から鳥類をはじめ、植生にも大きな影響を与えていることが判明
  • 地球温暖化との関係が指摘される海水温の変化も要因の1つと考えられる

4.保護増殖事業の概要及びその効果

  • 平成5年  国内希少野生動植物種指定
  • 平成13年 保護増殖事業計画(環境省)の策定
  • 平成20年 浜中小島のエトピリカが最後の繁殖
  • 平成25年 ユルリ・モユルリ鳥獣保護区保全事業を実施(平成25~29年度)
    (現在の取組み)
  • ユルリ・モユルリ鳥獣保護区保全事業により、両島においてドブネズミの根絶を目指したヘリによる薬剤散布を実施。
  • 海鳥混獲防止のため、漁具に工夫をするなどの取り組みを浜中漁協と連携して実施
  • 浜中町ピリカ岩周辺及び浜中小島周辺で繁殖地維持形成のため陸上及び海上デコイを設置

5.参考