自然環境・生物多様性

アユモドキ

1.概要

(1)分類
  • コイ目 ドジョウ科
  • アユモドキ
  • 学名  Parabotia curtus
  • 絶滅危惧IA類(環境省第4次レッドリスト)
(2)分布及び個体数
  • 琵琶湖・淀川水系と岡山県下の数河川に天然分布。
  • 生息域全域で減少が激しい。特に琵琶湖・淀川水系では減少が著しく、現在淀川水系では、京都府亀岡市付近の桂川水系で生息が確認されているのみ。
  • 正確な個体数は不明。

写真:アユモドキ

2.形態的特徴及び生物学的特性

  • 全長15~20cm。
  • 産卵は6~8月に数回に分けて行われ、親魚は数年間にわたって産卵する。
  • 河川の中・下流域の本流及び支流、その連続した水田・水路にすむ。
  • 日本固有種

3.生息を脅かす要因

  • 都市化にともなう河川中・下流域の護岸工事や後背地の消失。(氾濫原的環境の消失)
  • 圃場整備事業等による河川と水路、水路と水田の隔絶による親魚の産卵場である水田地帯への移動阻害。
  • 外来魚による捕食
  • 違法捕獲(観賞用としての流通)

4.保護増殖事業の概要及びその効果

    平成16年国内希少野生動植物種に指定、同年保護増殖事業計画(文部科学省、農林水産省、国土交通省、環境省)策定。  
      ◎淀川水系(桂川)   
    • 生息状況調査、外来侵入防止・駆除、密漁対策パトロール、繁殖環境維持のための清掃
    • 外来魚の侵入防止対策の結果、アユモドキ生息地への外来魚の侵入が減少し、H21年度生息状況調査でアユモドキの当歳魚の増加を確認。
    • 巡視の結果、不審車両や不審人物を確認し、密漁の未然防止に貢献。
    • 生息域外保全として、飼育下での繁殖、一定の個体数の維持を推進。
    •  
      ◎岡山県   
    • 密漁対策パトロール、生息・繁殖状況調査、生息地カルテ作成、テレメトリー調査、関係者・専門家による連絡調整会議等
    • 密漁対策パトロールでは、不審者を発見、摘発例あり。新聞報道でパトロールが取り上げられ、監視の目が厳しいことを周知、密漁の抑止力として機能。
    • 繁殖状況調査では自然河川における繁殖環境の絞り込みを進行。
    • 生息地カルテとして生息環境に存在する構造物等を調査、流路の連続性や隠れ場所の有無等、本種の生息を左右する要素を詳細に把握。
    • 一部生息地においてテレメトリー調査を実施し、移動状況および生息環境(石垣内の空隙等)を把握。
        →アユモドキの生息に必須な環境を把握、水路改修時の配慮(残すべき環境のピックアップ、移動経路の確保、越冬可能な構造の護岸等)の検討に際し有用な情報を蓄積。
    • テレメトリー調査の実施水系の追加。
    • 連絡調整会議では河川工事部局との連絡調整が円滑化、工事時の事前調査や保護移動、影響の少ない工法の採用等、配慮に関して向上。
    •   
    • 生息地のゾーニングを行い、保全すべき環境を明確にした。

    5.他法令等による保護の状況

    • 昭和52年に、国の天然記念物に指定(地域定めず)。
    • 京都府指定希少野生生物

    6.参考