環境省自然環境・自然公園カエルツボカビ実態把握検討会

カエルツボカビ実態把握検討会 議事概要

日時:平成19年11月27日(火)

(委員)
稲葉 重樹
(独)製品評価技術基盤機構 生物遺伝資源開発部門研究員
宇根 有美
麻布大学獣医学部准教授
太田 英利
琉球大学熱帯生物圏研究センター教授
黒木 俊郎
神奈川県衛生研究所 微生物部主任研究員
五箇 公一
(独)国立環境研究所 侵入生物研究チーム・リーダー
平良 眞規
東京大学大学院理学系研究科准教授
羽山 伸一
日本獣医生命科学大学獣医学部准教授【座長】
松井 久実
麻布大学獣医学部講師
矢尾板芳郎
広島大学大学院理学研究科教授・附属両生類研究施設長
(環境省) 星野野生生物課長、水谷外来生物対策室長

(1)日本におけるツボカビ症発見の経緯と病理学的特性【宇根委員】

 1998年にカエルツボカビが発見されて以降、遡及的研究が行われ、2004・2005年にはいくつかの国際会議で、カエルツボカビが取り上げられるようになった。日本では、2006年春に報道されて以降、研究者と獣医師が主となって情報発信を続けてきた。2006年11月に開催された爬虫類と両生類の臨床と病理のための研究会主催ワークショップ後に、臨床獣医師から東京都内の個人飼育家宅で異常死したカエル2匹が病性鑑定のために、麻布大学に持ち込まれた。この2匹(バジェットガエル=マルメタピオカガエル、アマゾンツノガエル:ともに南米産)から国内で始めてカエルツボカビの感染が確認された(2006年12月25日確定)。飼養者は、カエルを1匹づつ水槽に分けて飼育しており、1週間に一度の水換えに使用している道具が共通したことから感染が広がったと考えられる。
 2007年1月13日に16の団体でカエルツボカビ症侵入緊急事態宣言を行うとともに、コア獣医師制度を設定した。検査体制として、麻布大学が病理検査、国環研がPCR検査を担当し、ペットとして流通するカエル、不審死した野生のカエルについて検査を実施できるよう体制を整えた。
 ペット用あるいは実験用の外来のカエルのサンプルは2006年12月から2007年10月までで37種531匹に達した。うち、ツボカビ症の集団発生は国内15地域で15事例が確認された。
 野外のカエルで不審死あるいは大量死の報告があったのは35事例。これらのカエルについて、PCRと病理検査を実施したが、両方の結果で陽性と判定された事例はない。PCR検査のみで陽性判定された事例はあった。

【質疑】

○野外個体のPCR検査で陽性になったが、病理検査では陽性でないという事例が数例あったということであるが、何匹中何匹でPCR陽性だったのか。また、それが陽性だった理由は。

●35事例のうちの2事例、アカハライモリとアカガエルである。その二つとも、野外で卵を採取し孵化、変態させた直後に死んだ例。腐敗していて病理検査ができなかったもの。
PCR検査では当該2例からは在来種から高率に見られるDタイプがでている。今までDタイプを持っていたカエルで死んだものは1匹もいない。

○ペットでの発症事例では、こういう組み合わせのカエルから多くの症例が出たという傾向、あるいは、特定の種から主に広まったのではないかという検討されていないか。

●外国産のカエルでは、ほとんどの種がカエルツボカビに暴露されると発症しているので、何の組み合わせが危険という傾向はないと思う。15地域のうち2つを除いて集団発生であったが、状況はさまざまで、特定の種というよりも、ペットとしてポピュラーなカエルが時には犠牲者になり、時には感染源になっている。

○野外個体のうちサキシマヌマガエルの成体12匹、幼体100匹の死亡例の死因の診断は。

●PCR検査で陰性、病理検査でもカエルツボカビは観察されていない。死んだ理由は目下検査中である。35事例の全部で先行して皮膚を調べてツボカビ症の有無を診断し、その後詳細な死因を見ている。当該個体の死因はまだわからないが、これまでの例では、溺死、急激な温度の変化、動物に食われたとか、耕運機で損傷を受けたなどがある。

(2)カエルツボカビの分離培養の試み【稲葉委員】

 ツボカビ類と呼ばれるグループは、900種以上が知られている非常に大きい菌群。このうち両生類に病気を起こす種類は、カエルツボカビ1種である。
 宇根委員から試料提供を受けているが、分離培養には成功していない。カエルツボカビの培養上の問題点としては、菌体が非常に脆弱であること、試料がカエルの組織や脱皮殻でありコンタミネーションの除去が困難であることが挙げられる。また、細菌や酵母の発生を抑えるために加えている抗生物質に弱く、カエルツボカビが生えてこない傾向もあるように感じる。
 現在試みている方法は、カエルツボカビが新種記載されたときと同じ方法。提供された脱皮殻を同様の条件で培養しても、菌体が形成されない。この理由はよくわからないが、脱皮殻上の遊走子嚢には活性の高い、若い菌体が少ないためかもしれない。
 液体培地を使った培養法も行っており、イエアメガエルの脱皮殻については菌体の形成が見られたが、遊走子放出に至らなかった。抗生物質が入っているせいで生育が止まった印象を持っている。今後、脱皮殻に加えて罹病した感染組織やより若い菌体が多く含まれると思われる組織の供試、多様な宿主の組織の供試、輸送方法の改善の余地がある。
 さらに、他の液体培地、ケラチン培地など様々な培地を活用することによって、培養に成功できると考えている。今使っている抗生物質以外の抗生物質についても模索している。

【質疑】

○発症したカエルを手元に置く方がいいのではないか。

●場合によっては、解剖した直後のものを用いるなども今後検討していきたい。

●稲葉委員の施設でカエルの飼育、解剖が困難であり、生きたカエルは提供していない。

○ほかのツボカビの中で、単離培養されたものはあるのか。カエルツボカビだけがうまくいかないのか。

●感染性のないツボカビに関しては、かなり幅広い分類群を集めている。

○カエルツボカビの遊走子というのは、生き延びさせるのが大変なほど弱いのか。

●今用いている培地では、遊走子から菌体を形成することがほとんど無理だが、それが単に培地の上では弱いということなのか、菌自体の活性が弱いのかわからない。

○コンタミネーションが問題になって、その対策に使う抗生物質が問題になるのであれば、ケラチンがかなり有望な気がするが。

●1度試みてみたが、うまくいかなかった。そのときは、バクテリアのコンタミネーションのせいでうまくいかなかった。培地の選択は重要であり、供試できるサンプルが多ければいろいろな条件で行うことができるので、試みていきたい。

(3)カエルツボカビPCR検査について【五箇委員】

 展示施設での飼育個体と野外個体のカエルの皮膚におけるカエルツボカビの存在を、PCRによってDNAの有無を検査した結果を報告。
 サンプルの収集は、飼育個体については獣医師などを通じて、野外個体については自治体や環境省を通じて行っている。現時点で6,000検体以上ストックされており、順次、検査をしている。
 検査方法は、カエルの皮膚をぬぐった綿棒をDNA抽出容器に入れてPCR手法を用いてスクリーニングするというものが基本である。これに加えてNested-PCR法を組み合わせることで、多段階のスクリーニングを行い、最終的には塩基配列情報をみて確認している。
 検査の結果、検出されるDNAのタイプにはrRNAのITS1領域での変異により5タイプ(A,B,C,D,E)が確認された。Dタイプが最も変異が大きい。また、遺伝マーカーをふやす目的で既存の塩基配列知見を元に18S、28SrRNA領域の増幅をPCR法によりおこなった。Aタイプ、Cタイプと判定されたスワブサンプルについては、増幅が成功し当該領域での塩基配列がほぼ一致したが、Dタイプでは同手法で増幅ができなかった。主にこのA,Cタイプは外国産や飼育個体から、Dタイプは、展示施設や野外の在来種などから多く検出されるという傾向があった。
 その5つのタイプについては、輸入ペットガエルからは、AタイプとCタイプの両方が主に見つかる。カエルツボカビの起源とされているアフリカツメガエルについては、Aタイプは国内では見つかっておらず、Cタイプのみ。オオサンショウウオからは、Bタイプというこれまで見つかっていないタイプが見つかった。ウシガエルからもEタイプという特殊なタイプが見つかった。最後にDタイプは、いろんなところで見つかる状況にある。
 カエルツボカビは多型に富んでおり、さまざまなカエルツボカビの系統分化というものも念頭に入れて、さらに研究と検査を進めていく必要がある。宿主カエルと寄生者カエルツボカビの間にも、それぞれの関係に何か特徴的なものがありそうだということも示唆されており、共進化関係も念頭に置いておく必要がある。

(4)野外分布概況把握調査について【水谷室長】

 環境省が都道府県、関係機関の協力を得て実施している、野外でのカエルツボカビの分布把握の調査について報告する。
 都道府県、環境省の地方環境事務所等にスワブサンプル収集を依頼し、これを国立環境研究所に送付してPCR検査を行っている。サンプルの採取に際し、都道府県では比較的市街地周辺で実施し、環境省地方環境事務所では国立公園・国指定鳥獣保護区等を中心にサンプル採取していただくよう依頼を行った。11月前半までで755の地点から4,360のサンプルを収集した。最終的には800地点以上から5,000サンプルは集まるだろう。サンプルの内訳は、南西諸島が非常に大きなウエートを占めている。PCR検査は、全国の概況を把握するために調査地点ごとに、採取できた各種類1個体ずつ、優先的に解析を進めている。サンプルの採取に当たって野外で大量死が起こったという報告は、今のところ受けていない。
 これまで送られてきたサンプルのうち、検査済みは693サンプル、約16%の検査が終わっている。解析の割合の地域的な偏りはあまりない。このうち、塩基配列まで解析して(+)、つまりカエルツボカビDNAと同じものが確認されたのは2サンプルあり、沖縄で検出された。詳細検査中が22、それ以外のものは一時的なスクリーニングでは(−)と出ている。
 755地点から各種類1個体ずつ検査をするという目標でいくと、1,350ぐらいのサンプルを解析しなければいけない。これらの検査した上で、大体全国の概況が把握できるかどうかというところ。まず、そこまで検査を進め、次にどう解析を進めていくのかが課題になってくる。

【質疑】

○環境研が11月10日の研究会で発表された時には、野外の方で523個体中7%がツボカビ陽性、そのうち、Dタイプが47%、Cタイプが15%、Eが17%という報告があった。環境省の報告によると、沖縄の2件のみAとなっているがどうしてか。

●11月10日の発表時は、特に野外個体の部分については、一次スクリーニング結果が暫定的に出た段階での数字だった。その後、Nested-PCRを行い、シークエンスの確認作業の結果、Aタイプと確定できるものは、2個体だけであるということになった。発表時も、そういう意味でクエスチョンマークつきで発表した。
 最終的にカエルツボカビを確定するためには塩基配列データを見るしかないが、特に野外のものについては、室内のものに比べて非常にシークエンスが読みにくく時間がかかる。確実に100%読めているものは、今のところAの2個体のみ。それ以外は、PCRサンプルそのものをもっと増やして、読める状況に持っていかなくてはならない。

○22個体をNested-PCRで精査するということだが、その22個体はどういうものか。

●一次スクリーニングでバンドが出ているもの。そのDNA産物について、これからNested-PCRをかける。実はNested-PCRをもう進めているが、バンドの分離ができない。野外のものということもあり、標的産物だけに絞るということがなかなかできていない。おそらく最終的にはクローニングするしかないだろう。クローニングした上でカエルツボカビと同じものが拾えれば、その上でタイプを確定するということになる。しかし現状は追いついていない。
 野外でも、ウシガエルとアフリカツメガエルは、塩基配列を読んで確定した。

○6月に野外のウシガエルから検出されたという報道があったが、野生のウシガエルでは陽性がないのではないか。

●検査した結果、今回このEタイプというものが確定した。

○環境省の説明と整合しないが。

●6月に野外のカエルからカエルツボカビが検出されたという話があり、環境省からはそれ以降の環境省が呼びかけて行った調査の結果のみについて報告した。それ以外に、環境研のところにはほかのルートから入ってくるサンプルもあり、環境研はそれも一緒に発表している。

○環境研でも、最初のプライマーは多分広島大と同じプライマーを使っていると思うが、なかなかバンドが出ない。Nested-PCRをかけるとバンドが出る。全てNested-PCRで検査する方がいいと思う。広島大では、1人が300〜400サンプル処理している。また、シークエンスを見なければならない。シークエンスに関しては、数千サンプルなら処理できるのではないか。

●クリーンなサンプルであれば簡単だと思う。ただし野外のカエルの皮膚というのは汚くて、なかなかシークエンスをダイレクトで読むのは厳しい。

○オーストラリアの発表では、夏から秋にかけてはツボカビが検出しにくいとされている。今回サンプルを取ったのがちょうど夏であり、その影響も考えないとならない。

●季節性は考えないといけない。相手もカビという生き物なので、年変異、季節変異というものも考えないと効率よく見つけられない。
 しかし野外にいるかいないかということを確認することが一番の目標で、実際さまざまなタイプがいるということ、一番問題なのは、沖縄の固有種であるシリケンイモリから、Aと同じハプロタイプが見つかったことである。こういったことから、まずは種間関係を捉えていく必要がある。肝心なのは、見つかっている個体も死んではいない点で、結局のところはわからないことが多い。季節変異はまた次のステージとして、必ずいるというところがわかれば、そこでどういった動態を示すかということも調べていく必要はあるだろう。

○AとCタイプが沖縄で27%と15%と前回発表されたのは、シークエンスまで確認したのか。

●沖縄の方でAクエスチョン、Cクエスチョンと付いているのがある。これは、その後Nested-PCRをかけて、それからシークエンスを読むという段階でカエルツボカビの配列が見つかっていない。DNAの検出としては違うものが増えているということを示している。一次スクリーニングで出る・出ないしか今は見ていないので、いずれNested-PCRを全個体にかけなくてはならない。最終的には、塩基配列が確定したものでなければ、カエルツボカビの感染率を出すことは非常に難しいだろう。ただ、少なくとも施設展示個体についてはかなりきれいにとれており、ほぼ間違いなく確かである。
 野外個体は、一次スクリーニングの結果が出たものから二次スクリーニングという段階を経ているので、未確定の状態である。しかも、この後さらに700検体以上を検査していくことになるので、また精査していく必要があるだろう。

○整理すると、環境省の方の調査で、(−)というのは、先ほどの5タイプ、いずれも(−)と理解してよろしいか。2サンプルについてはAタイプと確定されたが、22サンプルについては、まだタイプもわからないし、感染も(−)かもしれないと。

●そのとおり。

○それから、この700サンプルには外来種が入っているのか。

●ウシガエルも入っている。

○それから、1,350サンプル、全体でとりあえず検査をする。これは年度内には見通しが立つということでよいか。

●よい。

○サンプルの集め方が重要。スワブは感度が悪いのではないか。数も大事だが、確実なサンプルを集めるのが重要と思う。例えば、水かきから得られるデータはかなり正確なので、水かきの部分を切り取って、それを集めるというのはどうか。水かきは切ってもカエルは死なないので、生きたまま戻せる。
 スワブは70%エタノールに入れて送ると論文に示されているが、実際どうか。室温で送ると、途中でDNAが壊れるということもあるのではないか。

●室温ではなくて冷凍で、クール宅急便で送ってもらっている。エタノールは使用していない。

○蛍光プローブについて、ITS2の方で取るとどのツボカビでも検出できるのではないか。

●このプライマー自体が、いろんなものを増やしてしまう可能性が高く、オーストラリアのグループも相当苦労した結果、プローブをつけて二次選抜をかけるというリアルタイムPCRを開発したと思われる。恐らく5.8sからITS2にかけては、コンサーブ(変化しにくい)ゆえにほかの種類のツボカビともかなり相同性が高い可能性もある。ゆえにITS1という変異の高い領域をあえて選んでいるのではないかと推測する。外国でやられている方法ではなく、タイプごとに特異的なプローブを設計する必要が出てくるだろう。それに関してはテストを始めている。

●スワブよりも水かきなど組織の方が、感度がいいが、スワブであれば素人でも簡単にとれる。一般の人に採材を依頼するときに、道具が大変。また、調査のために、動物を傷つけるといった行為を依頼できない。カエルの年齢査定で指を切った場合、そこから感染が起きてカエルが死ぬという報告もあると聞いた。今は動物愛護のこともあって傷つけない方法を取り入れるという傾向もある。浅く広く概況をつかみ、そして重点地域だということが洗い出されれば、そこへ専門家が行ってカエルを捕獲する、という考え方である。今後、汚染が広がっているということがわかれば、確実な方法をとるほかないと思う。

○鹿児島以南の両生類が住んでいる島でサンプル採取がまだ終わっていない島はあるのか。

●まだ続けているところはあるとは思う。まだ国立環境研究所に送られていないサンプルもある。

○季節性の問題に関し、これから春にかけてもサンプリングが続くのか。

●それは難しい。季節性については、採取した日が記録されており、ある程度解析できると思うが、これからサンプルをとり続けるという前提はない。必要があれば、また考えていきたい。

(5)ツボカビによる在来種カエルに対する影響に関する予備実験【矢尾板委員】

 両生類研究施設内のアフリカツメガエルの飼育水から数%の確率でツボカビのPCR結果が陽性と判定された。特に脱皮殻から検出された。DNAの塩基配列のタイプは環境研が発表したCタイプに相当する。これらの飼育水を使って、在来カエルの暴露実験を行った。
 トノサマガエル、ニホンアカガエル、ニホンアマガエル、ニホンヒキガエル、ミヤコヒキガエル、さらにポジティブコントロールとしてベルツノガエルについての実験を5月から行った。飼育槽に、水を深さ1cmほど入れ、週に1回、水換えと餌をやり、餌としては生きたフタホシコオロギを与え、飼育温度は20〜23度、暴露実験の期間は40日間とした。その後50日間、経過観察行った。
 実験を行ったのは夏場ということもあり、暴露側もコントロール側も相当数が死んでしまった。暴露実験直後のカエルの死体から皮膚(四肢の下側・腹)を採取し、DNAを抽出しPCR検査を行った。暴露実験直後に生きているカエルについても指を切って、同様にした。PCRにはNested-PCRを用いた。
 結果、在来カエルについては、ニホンアマガエルで陽性2個体、ニホンアカガエルで陽性1個体。ベルツノガエルは死亡した1個体が陽性。全ての陽性反応を示した個体についてDNAの塩基配列を調べると、4タイプ(タイプ1〜4)に分かれた。
 暴露実験後の死亡したニホンアカガエル(対照群)、同じく死亡したベルツノガエル(暴露群)では暴露実験で使用したツボカビC(タイプ2)とは違うC(タイプ3)、C(タイプ4)が各々に検出された。このことから、飼育水中のツボカビC(タイプ2)でカエルが死んだ訳でなく、もともとC(タイプ3)、C(タイプ4)が死んだカエルに微量存在していて、健康状態が悪くなった時にそれらのツボカビが増殖した、日和見感染の可能性が考えられる。
 暴露実験後にツボカビが検出されたのはそれら以外、2匹の生存したニホンアマガエル(暴露群)だけであり、C(タイプ1)、C(タイプ2)であった。ニホンアマガエルは暴露実験直前にC(タイプ1)が検出されていた。したがって、ニホンアマガエルは長期間ツボカビ陽性であり、キャリアーになる可能性がある。
 広島での野生ウシガエルの足指からDNAを抽出してnested primersを用いてPCRを行ったら、A タイプツボカビ(外来種のカエルに観察される)が検出された。

(6)麻布大学における感染実験【松井委員】

 麻布大学で行っている感染実験は、慶応大学の福山委員と共同で進めている。カエルの国内在来種全40種の中から、分類学的な位置とか地理分布、生態学的特徴を考慮して候補種を選択した。
 カエルの採集は6月から始まり、9月に完了し、9月の末から実験に使った。在来種のうち23種類、約200匹のカエルを実験群と対照群の2群に分けて、それぞれ100匹ずつを使った。実験は、ツボカビが最適に生育する温度と言われている23度、そして、湿度約45%の条件で、1つの部屋で個別飼育した。
 感染源として、現在、ツボカビ症を発症しているペット用の外国産カエルを用いた。それだけでは感染水が足りず、その後、別の種でツボカビ症を発症した個体の飼育水を使って暴露させる方法をとった。暴露後、暴露を開始した日を0日とし、週1回、体表スワブを行って、サンプルを採取した。死亡個体が出た場合には、その体表スワブを行うとともに、死亡個体の病性鑑定を宇根委員に依頼した。
 ツボカビ症判定ポイントは4つ。第1にカエルツボカビが皮膚につくか、感染と言われることが成立するかどうか。第2にそのカエルの皮膚上で増えるかどうか。第3に皮膚上で増えた後に病変を示すのかどうか。第4に致死するのかどうか。
 結果として、死亡個体数は感染群20匹、対照群11匹であり、そのうち、ツボカビ症が確定したものは20匹。ヌマガエルの死亡個体4個体からはカエルツボカビのCタイプが検出された。コガタハナサキガエルの死亡個体1個体からも同じくCタイプが検出された。感染源に使ったカエルに関して、PCR産物のシークエンスの確認を行い、Aタイプが検出された。ヌマガエルの皮膚の病理切片からはカエルツボカビの遊走子嚢が確認された。
 今も感染実験は続けているが、室内の感染実験の結果、在来種にカエルツボカビ感染感受性を持つ種がいることが初めて確認された。ヌマガエルについては、感受性が確認されたが、このほかにもサキシマヌマガエル、オオハナサキガエルの実験を検討している。

【質疑】

○麻布大の実験に関して、ヌマガエルが感受性のあるカエルとされているが、これに関しては異議がある。広島の施設では一つの部屋に、大量にアフリカツメガエルを飼っている部屋がある。そこにヌマガエルも大量に長期にわたって飼っているが死なない。それに関してどう考えるか。そのアフリカツメガエルの中の飼育水では10%ぐらいがツボカビ陽性であった。

●施設での飼育管理がうまくいっているということではないか。

○施設では手も洗わないし、消毒後に飼育水を捨てることもない。飼育水は都市下水で処理され、野外を汚染するということはない。ヌマガエルは感受性がないと考えている。

●今回感染源に使っているカエルは、ツボカビ症を発症しているカエル。ツメガエルは、もしCタイプのツボカビを持っていたとしても保菌しているだけでは、菌量が非常に少ないと考えられる。そこの違いではないか。

●アフリカツメガエルが持っているカエルツボカビCタイプを、感受性のあるカエル5匹に接種をしたところ、すべて死亡したという結果を、今回沖縄で開催された日本爬虫両棲類学会で報告していて、アフリカツメガエルは十分に感染源になりえる。

○麻布大の実験ではネガティブコントロールでも多数死んでいる。飼育状況が悪くて、弱ったところにツボカビが入り、弱ったカエルだから感染した、その可能性については。

●可能性はある。現在、非常にストレスをかけて飼っているとは思うが、今回は感染の感受性のリスクがあるかどうかを判定するために行っている実験であり、その意義はある。

○かなりの確率で死んでおり、単に両方ともストレスがあるだろうから同じという前提は成り立たないと思う。急死したカエルの場合、全身にツボカビが繁殖していたのか。

●ツボカビ症で死んだカエルで見られる病変が見られた。

○よく言われている、動かなくなるなどの症状が出ずに死んだというのが気になるが。

●ツボカビ症の症状はカエルの種類によってさまざまで、臨床症状だけでツボカビ症という診断はできない。だからこそ、今回感染実験をやって、もし、日本のカエルが死ぬとしたらどういう臨床症状を示すのかを把握したい。野外でツボカビ症を発見するためにはそれがとても重要である。外国産のカエルと同じような臨床症状が出ればいいが、脱皮の亢進が見えずに突然死ぬというタイプもある。

○死んだのは本当にツボカビかどうかはっきり言えないのではないか。

●臨床症状で診断するのは危ないが、病理検査はそこに証拠があり、絶対的な診断法である。

○感染したというのはわかるが、それで死んだかどうかが重要。高感染率、高死亡率ということが本当にそうなのか。慎重に判断してほしい。

●今回使ったヌマガエル5匹中5匹死んでいるので、高致死率といえる。死んだ理由については獣医病理学的に調べ、病性鑑定をしてツボカビ症と診断した。

○感染源に使ったのはバジェットガエルのタイプA。もう一つのカエルの方はわからないが、死んだカエルからはCタイプしか出てこない。そうすると、今の状況では、もう1つのカエルがCタイプを持っていたのでなければならない。そのタイプはどうなのか。

●もう1つのカエルとしてクラウンウェルツノガエルを使っており、Cタイプであろうと判断はしている。その再検は依頼中である。

○Cタイプに関しては4つのタイプがある。Cタイプだからといってクラウンウェルツノガエルのタイプと同じとも限らない。シークエンスをじっくり比較しなければならない。病理学的立場で考察するならば、コッホの原則を考慮するべきである。コッホの原則は、同じ疾病を起こした病変部から同じ病原体が検出される、病原体を純粋培養できる、その純粋培養したものを接種すると動物に感染させられる、その動物に同じような症状が出る、その病変部から同じ病原体が検出されるというもの。病理学的に考えたら、どの条件を満足しているかというのを考えてみる必要がある。タイプが一致していないとその前提が成り立たない。

●培養株が得られないことがネックになっているということは十分に認識している。純培養された株を使って感染実験を行うのが最適であると考えている。

○クラウンウェルツノガエルのCタイプがどのようなシークエンスであるか見るべき。

●環境研で見ているCタイプに関しては、さまざまな飼育個体、さらに野外のツメガエルのCタイプも含めて、塩基配列に変異はなかった。たまにAの6塩基が5塩基になるというスリップは認められるが、少なくとも両側から、最低でも2回、3回と読んで、波形データをきちんと見た結果、変異がない。広島大で見られた4タイプは確認されていない。

○純粋培養できない限りは、感染が成立してそれが病原だということはやはり言えない。培養できて、感染実験が成立してから初めて言うべきことではないか。

○広島大の感染実験で、カエルツボカビは無毒だとされているが、麻布大の実験では、感染実験の前にスワブをとり、それを経時的に追っている。さらに病理切片を作り、可能な限り判定をした上での評価である。広島大ではプレの検査もされていない。死体の病性鑑定はされているか。

●完全に無害とは言っていない。対照群と比較して、急性の症状を起こして死んでいない可能性を支持するというのが結論。我々は、無毒であるということを証明できていない。また、アフリカツメガエルを飼っていない人たちが満足できればいいという前提があり、病理までやっていない。

○コントロール群も感染群も、アマガエルを残して全部死亡してしまったということか。

●アマガエル以外もいくつか生存していた。

○観察途中の生きているものを観察して、経時的にPCRを調べ、死んだものに対して病性鑑定しないと判定はできないだろう。急性ツボカビ症が現在起きていないようだが、ツボカビ症も視野に入れて検査をしていかなければならない。慢性ツボカビ症は対策の対象にならないということではない。

●あくまでも予備的実験であり、完全な証明ではない。わかっていることは、死んだカエルから、カエルツボカビ汚染水として用いた飼育水に存在するCタイプ(タイプ2)と同じカビが検出されなかったことである。Cタイプ(タイプ2)と別な原因で死んでいるということだけは明らか。
 経時的な検査の必要性に関しては、広島大では数年以上にわたりヌマガエルとアフリカツメガエルを同じ網で扱って感染するような状況で飼育しているが全然死んでいない。これほど長期間にわたる大規模な実験はないと思う。
 今回の場合は、純粋培養できないことから、もしかしたら、そのツボカビと同じ容器の中に違う病原体があって、その病原体が殺している可能性も否定はできない。

○松井委員が今回4段階に判断するという基準を出されたが、感染が成立しているという点は特に異論はないか。

○もともと持っていたものが出てきた可能性がどのぐらい排除されるかというのが問題になると思う。

●それはあり得る。

○直接的な死因かどうかというところで意見が分かれているが、潜在的に持っていた不顕性のものが発症した可能性もあるということか。

●その場合、感染させていない対照群でも同じ事例が起きなければならないが、それは起きていない。

○宇根委員が11月10日に発表された実験で、アフリカツメガエルの飼育水をかけて、全部死んだという話があり、PCR陽性とのことだが、その遺伝子配列は完全に一致したか。

●一致した。

○感染の成立の段階は現実に起こっていることについては、よろしいか。
 

○麻布大では水を換えていると感染率が下がるので、1週間水を換えないで飼育したという実験をされていた。それは飼育としては異常な状況で、カエルも傷むのではないか。

●少し水換えの頻度を増やしてはいるが、基本的には同じ状況で実験している。
 

○広島大の検査で、広島の野外のウシガエル一匹中一匹からAタイプが確認されたことに関しては、どういうふうにお考えか。

●広島大学ではAタイプがひっかかったということだと思う。我々の方でも沖縄でAタイプと100%一致するものが出てきている。何よりも、単離培養されたものと、クリーンなカエルがいないといけないという、最低条件を揃えるところから始めなければならない。カエルツボカビそのものが高い致死性を持っているかを今断定する段階ではないだろう。
 野外でAタイプと100%一致するものが見つかったり、さまざまなタイプが種から特異的に見つかるが、遺伝子のレベルでしか追跡できていない。それぞれのタイプが分離培養できれば、はっきり正体がつかめるだろうし、それらの生理的・生態的特性というものがわかって、初めて病原性も評価できると思う。
 塩基配列データとして見ているものは事実。カエルツボカビと言われるDNAを持つものは、多種多様にいそうであるという事実をつかんだ上で、生物地理学的な観点から見ていきたい。ウシガエルにはEタイプしかいないと言っているわけではなく、同じ地点でとったウシガエルで、そこにはEタイプがいたということ。種特異的でなく、むしろ、地理的な隔離による特異性などが背景にあるだろうと思う。
 700検体近く見ていても確定できているのは2検体という状況で、カエルツボカビは実際はいたとしても微量にしかいないものだろうと考える。

○広島大ではNested-PCRを使った。スワブではなく、指を切ってDNAを抽出した。非常に感度のいい状況でやっている。ウシガエルは1匹が偶然に当たったというのは考えにくいので、指を切ってDNAを抽出し、Nested-PCRを行えば、野生個体ではかなりの率で陽性になるのではないかと思う。

【次回検討会までの課題等について】

○今日の簡単な整理と、それから次の検討会までの宿題について。第1に生態学的な、特に原因は不明としても、個体数の急減や、大量死が見つかるとか、そういった情報が今回得られなかったが、これをどう判断するべきと考えるか。

○野外での兆候ということで引き合いに出されるのが大量死。カエルがたくさん死んでいる場面にはなかなか出会わない。例えば八重山だと、カエルは毎晩車に大量に轢かれているが、夜が明けてしばらくするときれいになくなる。これは、全部カラスがやってきて、食べてしまうから。野外で大量に死んでいないから兆候がないという考え方は、場所によりけりで危険である。実際にカエルは減っている。密度は低下し生息範囲も狭まっている。例えば、環境省のレッドリストでは、ヤエヤマハラブチガエルという、これまでレッドリストとは縁がないと思われていたようなカエルが掲載された。このカエルは、過去15年モニタリングしているところで急激に減っている。理由は何かといったら、可能性はたくさんある。物理的に生息地が壊されていることもあるし、化学的な汚染が生じていることもあるだろうし、それ以外にマングースなどの外来種が増えている影響もある。あるいは、外来種であるオオヒキガエルが増えた結果としてカラスが増えて、その捕食圧が上昇している。つまり、生態、食物網のインパクトまで考えないといけないため、今の時点では全く結論は出せない。
 ブラックバスの議論のときに、ブラックバスが在来種を食べて魚が減っているのではなく、環境そのものが悪くなっているから減っているという議論があったが、今回もそれに似た状況である。両生類の減少に関するいくつかのファクターの中で、やはりカエルツボカビは警戒しなければならないものであると思う。

○急速に減少している種のリストは、例えば、次回検討会までに整理していただくということは可能か。

○ある程度は、場所と種について可能。
 

○第2に、菌の分離が最優先との示唆をいただいたが、何が不足していると考えるか。お金がないから無理だとか、どうすればいいのかというのは、一番に知りたいところだと思う。

○菌の分離がネックになって確定的なことが言えない状態であることがよくわかった。これまで時間が足りなかったのが一番大きい。サイドワーク的に分離を試みていた。今後は、環境省からも研究の委嘱を受けているので、そちらに時間を十分費やすことは可能。いろんな両生類からツボカビらしきものが得られているという結果が出ていたので、ウシガエル、アフリカツメガエルや、感受性の高いカエルも含めて、幅広いサンプルを提供いただきたい。発病していないものからでも分離する方法ももし確立できれば、かなりはっきりしたことが言えるのではないかと考えている。
 

○環境省での野外サンプルの検査は年度内にはめどがつくだろうと発表された。これはサンプリング地点から、最低1種類1個体という原則でやった場合であるが、このデータをもとに次のステップを考えた方がいいのか、それとも5,000サンプル全部やった方がいいのか、あるいは特定のエリアとか種に絞った方がいいのかについての意見は。

○動物愛護の観点では問題があるかもしれないが、指、もしくは水かきを切って、それでDNAを抽出し、Nested-PCRで感度のよい検査をやる必要があるのではないか。

○とりあえず、全国的な、ざっとしたスクリーニングが見えた段階で、新たなサンプリングから新たな調査手法を導入した方がいいということか。

○新たな調査はそれほどサンプル数が多くなくてもよいのではないか。100〜200匹ぐらいの指からDNAを抽出してPCRをやるべきではないか。

○時間と経費との問題があるので、どの段階かとは具体的に言えないが、少なくとも沖縄では、今までの検査で既に陽性の個体が出ているところから、もう少し数を見てほしい。

○新たなサンプルをとるのは、今の段階では難しい。とりあえず、今あるサンプルの解析で、エリアとして重点的にやるべきところがあれば優先的にやるということは可能。全国の概況を見るという上で、まず解析してみて、その次のステップで新たなやり方については議論していただきたい。

○春から夏にかけて特に冬眠あけのカエルで検出感度が上がる気がする。

○送られてきたサンプルの整理に多大な時間と労力を要したが整理もついたので、年度内には1,400検体は一次検査として終了することができるだろう。それ以外のサンプルについても、順次こなしていきたい。実際見つかっているところが南西諸島にあるので、南西諸島の保全生物学的意義から考えても、ほかの島や台湾とか中国も、これは研究ベースとして調べていきたい。
 

○解析のめどが立った段階で、次の検討会で、それをもとに、一歩進んだ議論をするということでよろしいか。
 これまで何がわかっていて何がわかっていないのかという点について、なかなかすべてを1人の人間が把握するというのは非常に難しいと思うが、海外の研究についてのレビューが必要かと思う。

○大雑把なところはスカパラ(爬虫類・両生類の臨床と病理の研究会)のテキストでわかると思うが、細かいところをどうしても見ていかなければいけない部分がある。

○広島大では、ヌマガエルとアフリカツメガエルを一緒に飼っていて、ヌマガエルは死なないとのことだが、ヌマガエルは継続的に新しい新規のものを入れているのか、そこで継代をされているのか。

○日本の在来種に関しては継代していると思う。バングラデシュとかインドネシアなどからヌマガエルを入れており、新しく入れているものもある。

○カエルツボカビによってかなり死んでしまうという印象が非常に強いが、種類によっては、1回ぐっと減ってまた立ち上がるというのがある。もしかするとヌマガエルは、初めて感染したときには減ってしまうが、いくつかが残ってそこからまた立ち上がってくるという可能性があるのではないか。海外でそういう事例がいろいろ報告されており、そういうのを一つ一つ見ていく必要もあろう。

○菌が分離培養できないことで、海外で流行っている株と日本の株を比較ができないという点で困っている。日本の株を分離して海外の株と比較ができる状態をつくらないと、今後の対策を進める上で難しいところ。

○中南米について、2006年のPNASの論文では、順番に西から東へ減少していき、減少した後では、耐性のあるカエルが増えている。種は変わるかもしれないが、両生類が絶滅することはないという状況が書かれていた。それに関してはいかがか。

○世界中の科学者が悩んでいるところ。オーストラリアで出した論文は、少なくとも1種はカエルツボカビで絶滅したと言っている。ところが、9種から10種は絶滅したという意見もある。絶滅の仕方にも、種の絶滅と地域的な絶滅とある。それから、ほかの要因が加わったことによって、絶滅する可能性もある。ぎりぎりのところで生きていたのにツボカビが入った途端に死亡する可能性もある。カエルツボカビだけで死ぬということをはっきり言うというのは難しいが、カエルの種を保存・保全する上では、カエルツボカビの要因をなくすということが非常に重要だ。

○日本においては、1930年に岡田弥一郎先生が両生類の分類学体系をつくった。それに基づくと、完全に絶滅したという種は1種も報告されていない。

○海外の情報については、きちっと整理するということは必要だという理解でよろしいか。それ以外に、ぜひ次回までにというようなご提案があればお願いしたい。

○海外事例については、ドラスティックな事例の方が論文で出て、感受性の高い場所としての中米やオーストラリアといったような特殊事例は出てきているが、それ以外の地域、例えばヨーロッパ、アフリカなどでどれほど被害が出ているのかということに関しては、少し整理した方がいいのではないか。また、オーストラリアでは農薬の影響についても重視されている。
 日本国内でこれだけツボカビの話が大きくなっているが、国際的動向の全体把握がまだできていない。

○カエルツボカビはカエル減少の主要因なのか、弱り目にたたり目なのかという区別も、今のところまだはっきり整理されていなということか。

○日本のように非常に狭い島嶼に限られた個体群があり、それがほとんど全部固有化していて、遺伝的にも特化したようなものが多数いる、そういう状況下でツボカビが入るということがどういう影響を及ぼすかについては、一度ポピュレーションサイズは小さくなるが、もう一回起き上がるというふうに想定するのは危険だと思う。
 岡田弥一郎が認識された両生類で絶滅したものは1種もいないが、認識すらされずに絶滅しているものがやはりいる。調べれば調べるほど、こういう局所化した個体群というのは非常にたくさんいて、それのすべてが多様性、固有性の構成要素になっているから判断が難しいところ。
 

○ツボカビが日本で見つかったというときに、「日本へ侵入した」という言い方がされている。日本にいないということが前提で初めて「侵入した」という言葉が使える。今、日本にいるかどうかを議論しているところなので、不用意にそういう言葉を使わない方がいい。見つかったときに「汚染が広がった」という言い方も危ない。もしも元々いたのであれば、別に汚染でなくて、在来種が見つかったということ。また、「世界で猛威を振るっている」と言うが、非常に限られた地域でのこと。強調した表現は危ない。研究者の中では、その辺はある程度端折って聞くことができるが、一般の人たちはそのまま受け取るので、言葉遣いには気をつけた方がいい。

○PCR検査、病理検査も同様であるが、ネガティブというのは完全にないことを言っているわけではないことは明確にしなければならない。ポジティブというのは、ある程度シークエンスまで決定してやれば、これは確定。ネガティブは本当にそうかに関しては、その検査法の感度に関わってくる。本州は、環境省の検査の前は出たが、その後の検査からは出てこないという場合には、その前の出たということについて意義がある。

○表現の仕方としては、環境省としては、やむを得ず陽性、陰性的な発言をしているが、環境研では「検出限界以下」という表現をしている。検出の感度によって検出限界以下になれば当然拾えない。そこは十分注意を払って表現している。検査技術によって感度は変わり、(−)というのは、あくまでも検出限界以下であるという理解で、そのように発表しているつもり。

○カエルツボカビは一つの病原体で、感染性を持っているので、いろんなところで増殖をしていって広がっていく危険性があるものだということで対策をとる必要がある。クライシス・マネジメントでは手遅れになる。危険性がなければもちろんいいが、少しでもあれば、評価をして、対策をとっていかないといけない。

○情報を正確に発信していくべきという点については特に異論ないと思う。今後の検討会の中で、何がわかって何がわからないのか、整理していく際に気をつけたいということでよろしいか。

○次回への宿題ということで、幾つか課題が提示された。課題についてある程度材料を集められた段階で次回の日程について相談したい。
 

終了