環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第4回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(両生類・爬虫類)議事録


1. 日時 平成17年7月1日(金)13:59~16:16
2. 場所 経済産業省別館8階825号会議室
3. 出席者  
   (座長) 長谷川 雅美
   (委員) 石橋  徹   千石 正一   安川 雄一郎
   (環境省) 名執野生生物課課長
上杉生物多様性企画官
中島自然ふれあい推進室長
長田移入生物専門官
   (水産庁) 丹羽水産庁生態系保全室長
4. 議事  
【環境省 長田専門官】 それでは予定の時刻になりましたので、ただいまから特定外来生物等分類群専門家グループ会合(爬虫類・両生類)の第4回会合を開催したいと存じます。
 まず初めに、お手元にお配りしました資料の確認をさせていただきたいと思います。
 クリップを外していただきまして、資料を順番に読み上げます。議事次第の次に、資料としまして委員名簿がございます。その次に資料一覧。それから資料ですけれども、資料1-1、第二次以降の特定外来生物等の選定の作業手順。以前にもお配りした資料でございます。それから資料1-2、外来生物の特徴と第二次選定に際しての留意点(爬虫類・両生類)の(案)。資料1-3が今後の検討の進め方について。資料1-4が、横長ですけれども、特定外来生物に選定することが適切と考えられる外来生物に係る評価の理由(案)。資料1-5が特定外来生物に選定することが適切と考えられる外来生物に係る情報(案)。それから資料1-6、これも横長の一枚紙ですけれども、特定外来生物・未判定外来生物・種類名証明書添付生物対象リストというふうに書いております一枚紙です。それから、資料1-7としまして、参考にウシガエルの流通実態等についてという資料をお配りしています。ここまでが資料1関連ですが、続きまして資料2-1、要注意外来生物リストの再整理・活用の方針について。資料2-2、横長の要注意外来生物リスト爬虫類・両生類(案)。資料2-3、要注意外来生物に係る情報及び注意事項(案)。資料2-4がミシシッピアカミミガメの輸入・流通、飼育実態及び海外における法規制について。資料2-5が特定外来生物をはじめとする外来生物の取扱いに関する普及啓発の考え方について。それから、参考資料として、まず参考資料の1に6月9日に開催されました特定外来生物専門家会合、全体会合ですね、これの議事概要をお配りしております。それから、参考資料2は両生・爬虫類グループの前回の会合の議事概要でございます。もし資料に不足等ございましたら、事務局にお知らせください。
 それでは、議事進行につきましては、長谷川座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【長谷川座長】 それでは、これよりきょうの議事に入らせていただきたいと思います。
 きょうの議事はその1として特定外来生物等(爬虫類・両生類)の選定について、その他となっております。前回の会合では、第二次の特定外来生物の選定作業の進め方や検討対象とする生物について事務局からの説明と議論がございました。これらの結果を6月9日の全体会合でも議論されて、中間的な整理が行われたところです。
 きょうは、これまでのご指摘も踏まえまして、本分類群グループとしての整理をしていきたいと考えております。前回、説明が主で対象となった両生類についてあまり深い議論がなされなかったと記憶しておりますので、まず事務局の方から全体会合の検討結果の報告とあわせて特定外来生物の指定候補と未判定外来生物、種類名添付生物について、前回の指摘を踏まえてどのように整理されたのか、ご説明を願いたいと思います。お願いいたします。

【中島室長】 それではご説明させていただきたいと思います。
 参考資料の1を、後ろの方の資料、参考資料の1をごらんいただきたいと思います。第4回特定外来生物等専門家会合、全体会合の議事概要ということで、6月9日に開かれました全体会合の議事の概要が速報版ですけれどもあります。
 爬虫類・両生類の会合は長谷川座長が欠席ということで安川委員に代理で出席をしていただきまして、めくっていただきました次のページの上あたりですが、両生類・爬虫類グループとしてどういう議論をしたかということを安川委員からご紹介いただきました。
 1つ目は、非意図的導入に係るものについても注意喚起を含めて積極的に対応する必要があるということ。それから、カエル類4種(シロアゴガエル、コキーコヤスガエル、ウシガエル、キューバアマガエル)については、特定外来生物に指定する必要があるとして事務局案を了承したと。このうちシロアゴガエルとウシガエルは既に日本に定着していて、コキーコヤスガエルとキューバアマガエルは海外に被害の例があるということです。
 それから、アカミミガメにつきまして、自己再生産よりも大量遺棄により個体群が維持されている場合があるのではないかといったようなこととか、現在、毎年100万匹程度輸入されて、大量に流通していると。指定された際の遺棄の可能性ということを考えて議論の中では今回の指定が見送られたという点。
 それから、ヒョウモントカゲモドキにつきましてはクリプトスポリジウムに感染している個体が流通しているということで、そのクリプトを広めている可能性が高いと。ただ、このヒョウモントカゲモドキ自体が定着するおそれが低いということですし、特定外来生物へ指定することはクリプトスポリジウムの問題解決にならないということで、さらなる注意、呼びかけが必要であるという点についてご報告をいただきました。
 それぞれの会合から座長の先生方にそれぞれ会合で話し合われたことを紹介をしていただきまして、最後に自由な意見交換ということで緑化植物に対する取り扱いについて、あるいはその蔓延している種をどういうふうに扱うかといったようなことですとか、そういったことが話し合われました。具体的に、爬虫類・両生類の認定に直接関係する話題というのはございませんでしたけれども、そういったことが全体会合で議論がされたところであります。
 以上が、6月9日の全体会合の報告でございます。
 それから、次に資料1-1に戻っていただきたいと思いますが、前回、資料として提出をいたしました第二次以降の特定外来生物等の選定の作業手順ということで、これにつきましては、今回特に変更等の点はございませんけれども、一応これをもとにして作業を進めるということで、資料として添付しております。
 続きまして、資料1-2でございます。外来生物の特徴と第二次選定に際しての留意点(爬虫類・両生類)の(案)ということで、前回の会合でさまざまなご意見をいただきまして、それに基づきまして一部修正をしておりますので、その点、その部分につきましては、ご紹介をさせていただきます。
 (1)の導入形態・利用形態のところの最初の○でございますけれども、また以下の文章を「また、貨物や観葉植物への混入など非意図的な導入が想定される種もあり、それらの潜在的なおそれは大きい」というふうに変更をさせていただきました。
 それから(2)の生物学的特性と被害に関する知見のところですけれども、最初の○のところで「カエル類は繁殖能力が高く、個体数や分布を拡大して在来生物を捕食することや個体数が増えることで食物連鎖の上位種の群集構造を改変するなど大きな影響を及ぼすおそれのあるものがある」。それから、次の○ですが「カメ類は成長すると捕食者がほとんどなく、寿命も長いため生涯産卵数も多く、野外へ定着して生態系に影響を与えるおそれが大きい」という文章を追加するというような変更をさせていただいております。
 続きまして、資料1-3でございますけれども、こちらの方も簡単な変更でございますけれども、今後の検討の進め方について(爬虫類・両生類)(案)の中の「なお」の段で、2行目に遺棄防止や適正な飼育のための普及啓発をということで、「適正な飼育」という言葉を入れております。
 以上が前回の資料の修正でございます。
 資料1-4でございますけれども、今回、特定外来生物に選定することが適切と考えられる外来生物に係る評価の理由ということで、前回もお出ししておりますように、爬虫類・両生類の分類群としては、シロアゴガエル、コキーコヤスガエル、キューバアマガエル、ウシガエル、この4種のカエルを特定外来生物に指定することが適切ではないかというふうに考えておりまして、それの一覧表ということでございます。
 種名とそれから被害の概要、これはすべて捕食と競合・駆逐ということにしております。評価の特定外来生物に指定するというその評価の理由ということで、シロアゴガエルにつきましては、沖縄島に侵入し、周辺の離島にも分布を拡大しており、生息環境や繁殖場所をめぐる競合等により、在来のカエル類等に影響を及ぼすおそれがあるというふうにしております。
 コキーコヤスガエルにつきましては、海外の各地で定着し、捕食や競合による生態系への様々な被害を及ぼしており、本種が我が国に侵入すれば、定着して在来の生態系に被害を及ぼすおそれがあるというふうにしております。
 キューバアマガエルにつきましては、環境への適応力や繁殖力の優れた大型のアマガエルで、様々な動物を捕食すること。他のカエル類との幼生期における競合等が確認されており、我が国に侵入すれば定着して生態系に様々な影響を及ぼすおそれがあるというふうにしております。
 最後のウシガエルですけれども、既に国内に広く定着しており、昆虫から爬虫類に至るまで、在来の様々な生物を捕食するとともに、在来のカエルとの競合等による生態系への影響が大きいと考えられるということと、沖縄の島嶼等、未侵入の地域に侵入すると、大きな影響を及ぼすことが懸念されるという点を挙げております。
 以上が資料1-4で、それぞれの具体的な種の被害等に関する情報を資料1-5にまとめております。前回も提出しておりますので、今回は修正した部分あるいは新たな項目を挿入した部分だけご紹介したいと思います。
 資料1-5を1枚めくっていただきまして、まずシロアゴガエルでございますが、評価の理由という、3つ目の○の評価の理由というところが前回の資料と変わってここに挿入されていると。先ほど一覧表にありました内容がこの評価の理由というところに書いてありますので、内容は省略させていただきますけれども、ここの部分が変わっているということと、それからその他の関連情報のところで、日本生態学会の「日本の侵略的外来種ワースト100」に選定されているという1行が前回漏れておりましたので、これを追加しております。
 コキーコヤスガエルにつきましても同様に、評価の理由のところが挿入されているということと、それからその他の関連情報のところでIUCNの「世界の侵略的外来種ワースト100」に選定されているという一文を挿入しております。
 それから、キューバアマガエルですが、これにつきましては、評価の理由のところを項目として追加しているということのみであります。
 それから、最後のウシガエルでありますが、ウシガエルにつきましては、評価の理由を挿入しているということと、被害の事例のところで、生態系に係る被害の3つ目の丸といいますか、点ですけれども、沖縄県久米島では、絶滅が危惧されているクメジマミナミサワガニを捕食していた例が報告されている。また、捕食及び競合によって、国内希少野生動植物種のキクザトサワヘビに被害をもたらすおそれが指摘されているという情報を入れております。
 それから、特徴ならびに近縁種、類似種などについてのところで、8ページになりますけれども、最後の●で、ミンクフロッグとフロリダボッグフロッグの2種が前回抜けておりましたのでこれを追加しているということと、その他の関連情報のところで利用に関する情報が集められましたので、それを少し入れてあります。上から4つ目にありますが、年間に数万匹が実験目的に理学系、医療系などの大学、研究所を中心に利用されているということと、1つ置きまして、本種が規制されたことにより、実験用に在来種を転用することがないように、積極的な普及啓発が必要であると。それから最後に、IUCN、それから生態学会のワースト100に選定されているという項目を追加しております。
 以上が資料1-5、特定外来生物に選定することが適切と考えられる外来生物に関する情報ということでございました。
 それから、資料1-6でございますが、特定外来生物に今の4種類を指定したときに、未判定外来生物、それから種類名証明書添付生物をそれぞれどういう種を指定すればよいかという案でございます。シロアゴガエルに対応する未判定外来生物といたしましては、特定外来生物、シロアゴガエルを除くシロアゴガエル属全種ということで27種、生物の特徴といたしましては、シロアゴガエル同様の生態を有するアオガエルの仲間というふうな整理にしております。さらに、種類名証明書添付生物につきましては、同じようにシロアゴガエル属というふうな感じにしております。
 コキーコヤスガエルにつきましては、コキーコヤスガエルと同様の生態を有する同属のカエルということで、オンシツガエルを1種未判定外来生物にしてはどうかという案でございます。種類名証明書添付生物につきましては、特定外来生物のコキーコヤスガエルと未判定にするオンシツガエルのこの2種を種類名証明書添付生物というふうにしてはどうかと考えています。
 キューバアマガエルですけれども、これに対応するものとしては、同様の生態を有するアマガエルの仲間ということで、特定外来生物キューバアマガエルを除くズツキガエル属全種、7種類ということで、種類名証明書添付生物につきましては、特定外来生物、未判定外来生物の対象種ということでズツキガエル属全種、8種類ということでどうかと思っています。
 最後に、ウシガエルに対応する未判定外来生物ですけれども、アカガエル科のウシガエルと同じように大型で水生傾向の強いアカガエル属ウシガエル種群のカエルということで、ブロンズガエル、これ「エ」が抜けておりますけれどもブタゴエガエル、リバーフロッグ、フロリダボッグフロッグ、これホッグとありますが、ボッグの間違いでございます。フロリダボッグフロッグ、ミンクフロッグ、カーペンターフロッグのこの6種類。その特定と未判定を合わせて種類名証明書添付7種類ということで、生態については判別がつくといたしまして、カエル類のその幼生についてはなかなか判別がつきづらいということで、種類名証明書添付生物につきましては、幼生についてはカエル目全種というふうにしてはどうかというふうな案になっております。
 以上が、特定外来生物に対応する未判定外来生物と種類名証明書添付生物の案でございます。
 続きまして、資料1-7でございます。ウシガエルにつきましては、実験用、それから食用としての流通があるということで、その流通実態について調べましたので、それをご報告したいと思います。
 流通の概要ということで、(1)の概況ですけども、かなり古く持ち込まれて、一時は食用目的でかなり養殖をされておりますが、その後、食品としての利用は激減しているということなんですけれども、現在でも食材、中華料理とフランス料理だそうです。それから実験動物として限定的には利用されているということで、主要な流通経路が添付図、1枚めくっていただきまして、その次の次のページですが、ウシガエルの流通状況という図がございます。こちらで説明いたしますが、上の方の食用の囲みでございますけれども、中国・台湾等、上海等から養殖されたものが一部は直輸入で中華料理店、それからそれ以外のものは箱ごと冷蔵、生体のまま冷蔵ということだそうですが、卸売市場等に入ってきて、年間2万頭程度だろうということですけれども、中華料理店に卸されているということでございます。
 それから下の実験用の方ですけれども、こちらの方は国内の野生個体、これを採り子さん、採捕業者がつかまえてきて、それを直接大学等に送るというやり方と、実験動物の取扱業者に一度卸してそちらが各大学なり学校機関に送るというような流通があるそうでございまして、採り子、採捕業者につきましては、有名な方がお一人おりますが、その方は年間2万頭から3万頭捕獲しているということでございます。この方も合わせて全部で数万頭ぐらいかなと。実験動物の取扱業者は40社程度あるということでございますが、大手業者で数千頭、中小で数百頭ということで、それぞれが学校なり研究機関に送られるということであります。ウシガエルの流通状況については、大体このような形になっているということであります。
 参考までに、今の資料1-7の資料を1枚めくった裏のところに、参考としまして外来生物法に基づく規制の概要というものをつけてございます。実際に特定外来生物に指定されたときに、今、ウシガエルのようにいろいろな形で利用されているものがどういうふうに規制がかけられるかということを念のためここに簡単にご紹介したいと思いますが、飼養等の禁止ということで、飼養等の中には飼養すること、保管すること、運搬することが含まれております。これにつきまして、主務大臣の許可を受けた場合、その他の事由があるとして認められる場合を除いて禁止されると。つまり許可があれば禁止が解除されるということでございます。
 その飼養等の許可につきましては目的を限定しておりまして、許可に適合する飼養等の目的の中に、学術研究、博物館等における展示、教育、生業の維持、それから特定外来生物の指定のときにもう既に飼っているその生物に関する愛がんまたは観賞と、これらにつきましては許可になるということであります。ただし、その許可の条件というものがありまして、それぞれの生物の種類に応じて、逸出を防止できる構造及び強度とする。これは飼養等施設という施設の基準ですけれども、そういったその細かい基準に適合すると、そういった飼養等施設を持っていることというのがあります。
 それから(2)で輸入の禁止、これは特定外来生物の輸入も飼養等と同じように禁止されるということですが、飼養等の許可を既に受けている者が輸入する場合は許可になるということでございます。
 それから、譲渡し等の禁止ということでありまして、これも同じように許可を受けた者同士が行う譲渡し等については許可になるということであります。ですから、仮にウシガエルが特定外来生物に選定、指定された場合、現在、食用あるいは実験用として運搬、それから保管、それから譲渡ということがそれぞれの場面で行われているわけですけれども、それぞれの方が許可の目的として、学術研究とか、あるいは教育とか生業の維持に該当するというふうに認められる場合はそれぞれ許可になるということでございまして、ここに掲げております食用、実験用それぞれの事業者あるいは学校等は教育の目的、あるいは生業の維持という目的に合致するというふうに考えておりますので、適正な施設を持っておって手続をとって許可を得られれば、引き続いて適正な形で事業は維持できるというように考えております。
 以上、資料1-7の説明でございました。よろしくお願いします。

【長谷川座長】 ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思いますが、順番にちょっと確認していきたいんですけども、最初の参考資料の1で、6月9日の全体会議での説明について、本来であれば私が出席しなければいけないところを安川委員にかわって出席いただいたんですけども、今の報告に関して補足説明等、もしございましたらお願いします。

【安川委員】 特に補足することというのはないんですけれども、一応この4種類については、もう少しここで書いてあるのよりも詳しい説明を、例えばシロアゴガエルについては、宮古諸島に大体9年ほど前に入り込んで、宮古島に入り込んだものは宮古諸島で広まったと。続いて西表島、石垣島などのある八重山諸島にも、石垣島で見つかってさらに広がる可能性があるという形で今、沖縄の島でどんどん分布を広げていると。ウシガエルは例えば沖縄の島にも侵入していて、まだ入っていないところがあるけれども、そこに侵入したら影響が大きいだろうと。
 キューバアマガエルとコキーコヤスについては、海外で被害が出ていると。特にコキーコヤスガエルについては日本人がよく旅行に訪れるハワイ諸島でふえていますので、旅行先でこれを何匹かとって持ち帰って、このカエルは直接発生といいまして、オタマジャクシの段階を経ないで卵からカエルになりますんで、基本的に湿った環境があれば水場がなくてもふえることができるので、捨てられたりした場合には定着するおそれがあるといったあたりのことを紹介しました。
 以上です。

【長谷川座長】 ありがとうございました。議事録の方にその事務局案を了承したという形になっておりますが、今日が特定外来種としてこの4種類を了承するかどうかの最後の会議になると思います。それで、ウシガエル等特定外来種指定候補の4種について後ほどまた細かい議論に入りたいと思います。
 次に、資料1-2と1-3に関しては、前回この会議で議論して文案の変更等について提案して新しく留意点等について変更案を出していただきましたが、これについて了解いただけるかどうかという点に関してご意見をお願いします。
 資料1-3についてよろしゅうございますか。

(異議なし)

【長谷川座長】 それでは、本題に入りまして、特定外来種としてシロアゴガエル、コキーコヤスガエル、キューバアマガエル、ウシガエルの4種類を指定するという提案に関して議論を十分尽くしたいと思います。
 ウシガエルについて、私の方からまず意見を述べさせていただきます。コキーコヤスガエルとキューバアマガエルに関しては、まだ国内に入っていないということで、事前に被害が予測されるために輸入を禁止するという形での対処という形で十分理解できると思います。シロアゴガエルに関しても沖縄諸島において、先ほど安川委員から説明いただいたように分布を広げつつあって、いろんな影響が懸念されるという状況にあります。
 それに対してウシガエルについてはもう既に日本国内に導入されて80年以上が経緯していて、沖縄等についてはこれから侵入の懸念がある場所がありますが、日本国内ではかなり定着している場合があります。このように既に十分定着している種類を指定するということに関して、いろいろな問題・課題があるかと思います。このあたりに関しまして、ご意見ございましたらお願いします。
 安川委員、お願いします。

【安川委員】 ウシガエルに関しては、特に沖縄のまだ侵入してない島に入り込むことというのがかなり問題でして、こういうのに関しては例えば沖縄県の条例でそういう持ち込みを禁止するとかという方向での対応もあり得ると思います。この種に対しては、採集してそれが消費される分には結構なことで、余り問題もありません。むしろ日本本土ではとり尽くせないほどの数がいるわけで、それが資源として枯渇しないように、ふやすように積極的努力をするというようなことになるとまた問題がありますけれども、こういう現在の形のように捕獲を続けてくれることについてはむしろありがたいぐらいでして、そういうのを許可をするということをした上でなら規制する方向でも問題ないんではないかと思います。
 ただ、その場合、流通する過程については、例えば冷蔵状態で移動して、基本的には暖かいところで活動できるような状態でストックしないとか、解剖などに使うようなものに関しては、可能なら冷凍したものを利用してもらうとかというような形で、扱いに関していろいろ指導した上で許可を与えて流通を続け、生業としてやっている人もいるようなので、そういうことにすれば指定に入れても問題ないのではないかと思います。
 以上です。

【千石委員】 ウシガエル等が既にかなり定着しているわけですが、定着しているから指定しないというのはどう考えてもおかしいわけであって、今後の輸入はもちろん規制するわけですが、特に害も多いし、指定する必要性はあると思います。
 譲渡とか飼育とかというふうなのが問題になってくるわけなんですけれども、安川委員がおっしゃったように、とるということについては今まで以上にむしろそのことが奨励されるようなやり方がとられるべきであって、例えば先ほど沖縄の場合には条例でやってほしいとか何かというふうな、今入っていないところがあるからという、この法律全体の中で、枠組みの中で、これこれのものについては特にこの地域が問題になっていくので、その地域の条例でこういうふうな対応が望まれるみたいな法の方から条例に対して指令というか指示というか、そういうふうな下ろすべき性格を持った方が個別に対応できるんではないかと。前から申し上げているように、この法律であるがゆえに硬直化してしまって、問題がうまく解決できないところがある。もし、そういったようなことをやれば、国内外来の問題なんかも、あるいはうまく解決できるんではないかというふうな考え方を持ちますと。
 それから、ウシガエル固有の問題については、とにかくいまだにそのことによって流通によって生業を行っている方々がいらっしゃる、かつその生業が行われるというのは多分この外来種の蔓延につながる方向ではなく、むしろ駆除につながっている方向にあると現段階では考えます。もちろん中国から生きたものが輸入されているとかというのは、問題はあるとは思うんですけども、ほぼ行き先が決まっているわけなんで、余りそれ以上蔓延するということではないと思うんですね。ただ、その流通過程において逸脱するものがいないとは全然限らないので、生きたまんまでなくてよい部分については、なるべく冷凍なり冷蔵なりで済むような形で指示をして、行政的な指導ができるような方向でやればよろしいかと。だから、そういった問題をクリアする限りにおいては、ウシガエルを指定することに私は賛成ですと。

【石橋委員】 資材に混入して蔓延していくようなもので、かつ沖縄あたりで注意しなければいけないものというのをどういうふうに資材をチェックするかという問題があると思うんですけれども、物流上いろいろ何かとコストがかかる離島の生活というのがさらに経済的に停滞するようなことにも考えようによってはなりかねないんで、効率よくその資材の中からコストをかけずにカエルを検出する方法とか、そういったようなことですね。例えば、百発百中で燻蒸するとかそういうことをやっていたらもう、何、ブロック1個買うんだって沖縄の人苦労してしまうわけですね。ハブ探知犬の文化のある地域ですから犬を使うとか、何かそういうような何らかのその研究をしていかないと、その資材に混入した動物を見つけてどうこうというのはかなり難しい。でもその方法をちゃんと効率よくやる方法、コストをかからずやる方法をやらないと、やはり沖縄の、沖縄とか離島地域の物流に影響してしまう可能性があるのかなと思いますので、その辺はよく私も、シロアゴガエルに関してはもう定着しているけれども新しい未分布の島に入っていくことが懸念されるという話なわけですけれども、それをとめるにはやはりその資材のチェックという形にどうしてもなっていくと思うんですよね。だから、基礎研究的にそういうのをどんどんやっていかないとしようがないかなとは思います。

【長谷川座長】 特に今、沖縄の事例として島嶼間への移動に関しては、検疫というか、今ご指摘あったように国内での生物の移動を港で食いとめることに関しては、現在沖縄はどんなような状況になっているんでしょうか。

【安川委員】 実際にはほとんどまともに行われていないというのが現状だと思います。
 宮古諸島のシロアゴガエルは大体10年弱ぐらい前に宮古島で一、二例見つかって、産卵するのは水辺に泡巣で産みますからかなり目立つので、それを見つけた人が出始めて、最初はそれが宮古島だけだったんですけれども、もうそれから大体8年か9年で宮古諸島の大多数の島に今は分布するようになっています。宮古島と一部の島の間には橋がかかっていて、それで物資の出入りとかが普通に行われていますし、観葉植物あるいは苗木などの形で植物が運ばれたりしますので、そういうときにそれについていたりするというのは、事実上ノーチェックに近い状態だと思います。
 一応、植物などに関しては主に農業害虫が入り込まないようにということで、そういうものにかかわるようなものに関しては検疫をしたり、この植物は運べませんというのがあるわけですが、そういうの以外のものに関しては、基本的にほとんどチェックされてないというのが現状だと思います。

【長谷川座長】 国内移動の問題にもかかわることなので、効果的かつ低コストで、島嶼間への蔓延を防止する対策の検討を十分ここで喚起しておくということが必要ではないかと思います。
 それからウシガエルの問題に戻ってみたいと思います。まず、生業の維持という観点から捕獲を継続するということですが、捕獲し続けることを前提として指定をするということに賛成の意見をいただきました。しかしながら、外来種は最終的には駆除されるべきものという目的をかかげていながら、持続的な利用もある程度視野に入れた形で指定を行うと、特定外来種の指定方針に抵触する懸念が生じます。それ(持続的利用)を認めた形での特定外来種の指定という形に関して、現状ではそれもやむなしと考えるか、積極的に認めた上で指定するという、どちらかの方向になると思うんですけれども、この点に関してご意見もしありましたらお願いします。

【千石委員】 この一次で指定したカミツキガメや何かとも話がつながると思いますけれども、あるいはこの先アカミミガメとか何かも絡んでくるのかもしれないですけれども、利用しながら駆除するというのは方向としては基本的に正しいんだと私は思います。むしろそのことによる経済的な効果があれば、その経済的な効果によって駆除が行われて進められるということになる。例えばこれはちょっと質の違う問題ですけれども、CITESにかかわる象牙の問題なんかにしても、象牙をとにかく流通できないということになると、国によってはゾウは全く何の役にも立たない。農業被害だけある生き物になってしまう。そうすると、むしろ邪魔だから殺すというふうな国もないわけでもないので、ゾウの保護につながらなくなるというふうなことがあって、象牙が利用されればそのお金でもってゾウの管理もできるという部分もあると。それが正しいかどうかというのはまた別の判断だよと。カミツキガメなりウシガエルなりを利用すると、持続的というのは最終的には持続できないようなところへ持ってきていけばいいんですけれども、とりあえずいる限りは利用できるということになれば、むしろ放っていく。そのことを放っていることによって何も効果が出ないよりもましであるというふうに考えるので、全般的に外来生物を利用するというのは正しい姿勢だと思います。

【石橋委員】 ウシガエルの今後の沖縄のその未分布地域への侵入の問題で、珍しいカニだの蛇などを食べちゃうかもしれないという話が懸念されているということなんですけれども、結局明日にでも入って来年あたりから増え始めてしまうと、少ない生物など手おくれになってしまう可能性というのは非常にあって、そこまでに検疫体制とか捕獲体制というのが整備されるかというとなかなか疑問な部分があるんですけれども、昨日、とある方から意見いただきまして、例えばそういう非常にピンポイントな生き物ですけれども、そのシンボリックな生き物をそれだけ助けりゃいいのかという話にもなりますけれども、例えば天然記念物とかに指定されていると飼育というのはなかなか、捕獲して飼育というのはなかなかその難しい部分が出てくるわけなんですけれども、その管轄の動物園なり新しい施設をつくるなりして、いつ入ってきても大丈夫なように避難して飼育しておいて種を維持しておくというようなそういった側面というんですかね、そういうアクションも別個に、食われちゃう側の生き物……、だからオガサワラシジミなんかもまさにそんな感じもするんですけども、すばらしい意見だなと思ってきのう伺ったんですけども。要するに、入ってきてもとりあえずは食べられないで済む場所をつくっておくとかそういうような、あとはウシガエルの何かバリアがある池をつくっておくとか、川をつくっておくとか、よくわからないですけど、そういうような守りたい生き物を別個に注目しておくというような、そういう考え方も斬新でいいなと僕は思いました。

【千石委員】 守りたい生き物を守っておいても、いざ侵入した場合にそれに対応しておくというふうなのは考え方として正しいように思うんですけれども、一見見えるんですけれども、実際的には珍しいとされているものの、レッドデータブックに載っているとか、そういったものだけが取り上げられているんです。生態系というのはご存じのように生態系として守らなければ意味がないのであって、その弱小種というか希少種とか、それをピンポイントで選んでそいつを守ろうというのはかなり趣味的なものを感じる。
 それで多分、そういったことに対する対処の仕方としては、ある島なら島で、そこに絶対に外来種が入ってこないようなシステムをつくっておいて、ある地域だけでも構わないですから。そこの地域においてはそこの生態系は守られるというふうにすれば、希少種だろうと何だろうと全体的に生態系が守られるというふうに考えられる。だから、もしそういう何かが入って、ある島ならある島に入ってきたときにどうするんだということを考えるのであれば、そういうシステムこそとるべきであって、一々の種を選んで、この種はどこそこで保存しようとか何かというふうなのは、やり方あるいは考え方として私は正しくないと思います。

【長谷川座長】 今の話に関連すると思うんですが、既に指定されたオオキヒガエルに関しては、西表島で監視体制等かなり入念にとられていますよね。そこで、それ(西表島)に準ずる形で特に沖縄島嶼に関しては、生態系全体の保全を目標にウシガエルやシロアゴガエルを対象に、オオヒキガエルの対策と同じように対応することが望ましいんじゃないかなと思います。この辺に関してちょっと事務局の方から説明が可能でしたらお願いします。

【長田専門官】 今ご指摘いただいたオオヒキガエルの場合ですと、今、石垣島には大量に蔓延していて、そこからフェリーで行く西表島には今のところ定着していないだろうという判断をしているわけですが、体制という部分では、西表島では地元の住民の方にボランティアとか謝金をお支払いしてというような形でその定期的な監視とかをお願いをしたりしているわけですけれども、今度例えば石垣島でどれだけ綿密な対策がとられるかという、例えばそういうことを考えると、石垣の場合には、石垣から西表にその建築資材が運ばれるような場所を重点的に監視をしましょうとか、そういう場所にオオヒキガエルが定着できないようにその環境を管理していきましょうというような形になるんでしょうし、それから、西表島からさらに先の鳩間島で繁殖が確認をされていて、そちらについては狭い島ですので、繁殖する場所も大体押さえられていますので、基本的には根絶を目指してやっていこうというような話になっておりまして、やはり段階的に先ほど低コストというお話がありましたけれども、その対象とするというか守るべきエリアの広さとか蔓延の状況とかを踏まえて、効率的・効果的にやらなければいけないと思うんですけれども、今回の例えばシロアゴガエルについてどういう対策をとっていくかというのは、やはりオオヒキガエルのようには簡単ではないと思いますので、場合によってはその地域の方々の普及啓発と合わせてその積極的な協力を求めていくとか、そういういろいろ幅広いやり方を組み合わせて検討していかなければいけないんだと思っていますけれども、それは今後の課題になるのではないかと思います。

【長谷川座長】 今、西表島の周辺の島嶼についてのオオヒキガエルの監視体制についてご説明いただきましたけれども、指定された種、指定される予定の、候補種であるシロアゴガエル、ウシガエル等の侵入防止の体制を今後十分検討をしていくということを前提としていきたいと思います。
 それからあと、外来種の利用に関してやはり低密度に抑え込むために、その方策として積極的な捕獲をしていくということも重要になってくると思います。ただし、利用先で、例えば大学等で使われなかったカエルが周辺に逃がされるとか、そういったことがないように十分指導していく必要があるかと思います。特に、飼養等には許可申請が実際に必要になるわけですから、その際に十分な指導というものをしていくことが重要になるかと思います。
 この4種に関して特にほかにご意見がなければ、資料の1-6の特定外来生物・未判定外来生物・種類名証明書添付生物対象リストに関してご意見等ございましたらお願いします。

【安川委員】 コキーコヤスガエルに関してですけれども、このコヤスガエル属というのは非常に大きな属で非常にたくさんの種がいまして、日本にはペットとして来ている種というのはほとんどいませんが、コキーコヤスはコヤスガエルの中でも比較的小型な種類ですが、同じぐらいのサイズの別のコヤスガエルと間違えて輸入される可能性というのがゼロではないということで、種類名証明書添付の種に関しては、コヤスガエルはもう少し大きさが、かなり大型のものとか全然違うものとかもいますので、そういうのは問題ないと思うんですけれども、もう少しちょっと数をつけ加える方が妥当なのではないかと思います。

【千石委員】 今のことでいうと、どういう範囲で限定するかというのは相当問題があると。Eleutherodactylus全体をやるのは多分無意味だし、大型種を除いてじゃあどういうやつをって、別に亜属分類もそんなちゃんとされているわけじゃないし、だからそれをやるのが難しくなると思います。
 それから、この表の名前のことであるけれども、ここでOsteopilus属を種類証明添付生物対象リストに入れると、Osteopilusを入れると。そうすると、ズツキガエル属全種というふうに言っていると。Osteopilusがズツキガエル属であるのにOsteopilus septentrionalis がキューバアマガエルであるというのは、斉一性を欠くような感じがあると。それともう一つ、ヒルナバッサというカエルがおって、それがキューバアマガエルという同じ和名で呼ばれたことがあると。それらを加味すると、Osteopilus septentrionalis、今回ここで特定外来生物に挙げようとしているカエルについて、キューバズツキガエルというふうに変える方が斉一性があるだろうというふうに考えます。
 それから、目がカエル目になっていますけど、これは環境省としてはこういうふうに使おうということなのかもしれないですが、日本爬虫類両棲類学会でこれ無尾目というふうなことにしてたですね。そういう名称の問題ですけれども。

【長田専門官】 ちょっと今ご指摘いただいたことを順にお答えしたいと思いますけれども、1つは、コキーコヤスガエルの同属種が非常に多くて何百種もいるというふうに伺っておりますけれども、種類名証明書の添付を義務づけるということになると、実際には税関で税関の職員がカエルを見て、それが種類名証明書の添付が必要な生物か、必要でない生物かというのを判断をして、この場合でしたら、コキーコヤスガエルと同属のものであれば証明書を確認するという手続になるわけですけれども、その判断が税関職員の知識ではなかなか難しいということも現実にあると思いまして、一般的には非意図的に混入して入ってくる種であるということから、今回は、広げるにしてもその広げ方が難しいという千石先生のお話もありましたけれども、そういったこともありまして、今、未判定外来生物を同様の生態を持っていて問題視されているオンシツガエル2種に限定をしているところでございます。
 それから、キューバアマガエルと書いてそれがズツキガエル属だというご指摘はおっしゃるとおりだと思うんですけれども、ちょっと分類学的な、特に一般的にどちらで理解されるのが多いのかというようなことと、それからおそらく法律の中でその種の名前を書いていくときに、どういうルールに沿って何のリファレンスに沿って書いていくのかということ等の両方の整理が必要だと思いますので、一般の方向けには例えばよく通っている名称をホームページ等でPRをしながら法律の中での書き方については例えば一次指定をしたときの基本的な考え方に沿ってやっていくというような形もあろうかと思いますので、ちょっとこの辺は私ども今の段階でここで専門的な知識持っておりませんので、ちょっと先生方にご相談させていただいて、最終的な出し方については、また追って整理をさせていただきたいと思います。

【長谷川座長】 この未判定外来生物、種類名証明書添付生物対象リストのただいまご指摘があった件に関しては、この会議が終わった後、先生方に相談して、適切なリストとして整理していくということにさせていただきたいと思います。
 それから資料の1-4で、字句の修正をお願いします。キューバアマガエルの評価理由のところ、1行目の真ん中辺で「様々な動物を補食」の字を訂正してください。
 それから、シロアゴガエルの評価の理由のところで前回の資料の1-2のところで、競合的なものだけでなくて、シロアゴガエルがふえることによる、例えば沖縄等でハブのえさとなって……。

【安川委員】 ヒメハブ。

【長谷川座長】 ええ、ヒメハブの餌となっていることを考慮して、資料1-2の生物学的特性と被害に関する知見というところで、文章の直しをお願いしたはずなので、その文章、評価につけ加えてはいかがかと思います。
 よろしいでしょうか。

(なし)

【長谷川座長】 もしほかにご意見がないようでしたら、両生類・爬虫類について、今回、第二次の選定候補として特定外来生物、両生類4種、カエル4種、それから未判定外来生物等証明書添付生物については今回事務局の方から提案された形で整理するということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【長谷川座長】 了解いただいたということで次に進めさせていただきたいと思います。
 それでは次に、要注意外来生物リストについて議論したいと思います。
 まず、事務局の方でリストの考え方、候補種ごとに注意すべき事項を整理させていただいておりますので、これらについて説明をお願いいたします。

【中島室長】 それでは、資料2-1をごらんいただきたいと思います。
 前回の全体会合におきまして、要注意外来生物リストの再整理・活用の方針についてというこの紙で、今後第二次指定が終わるときに前回第一次指定のときに整理した要注意外来生物リストの暫定版を今回整理をし直して公表するという、そのやり方について、考え方をまとめたものでございます。
 まず1番目、要注意外来生物リストの再整理と書いてございますが、今ご説明しましたように、第一次の選定作業のときに整理をしました要注意外来生物リスト、149種類挙げられておりますけれども、これについて以下の方針によって、要注意外来生物リストを再整理して公表することとするということでございます。
 2番、リストの対象とする生物というところですけれども、第二次選定の検討対象といたしました「要注意外来生物(暫定版)」、それからIUCNのワースト100と生態学会のワースト100等のうち、被害について文献等による指摘があってその科学的知見が不足しているというものとか、それから普及啓発を先行して実施すべきもの等の理由で、第二次の特定外来生物の選定の対象としなかったものを要注意外来生物リストの対象生物とする。それから、国内外来種、微生物、他法令による規制の対象種等の本制度の対象外である外来生物については、要注意外来生物リストの対象外となると。ただ、他法令の規制対象であって、注意喚起が特に必要なものとして指摘があったものについては、例外的にリストの対象に含めることとすると。
 それから、検討の過程で我が国で被害を及ぼすおそれが高くないと判断されたものは要注意外来生物リストの対象としないというふうにしております。すなわち、今回検討の対象としました全種のうち、特定外来生物として指定をするものと被害のおそれが高くないと判断されたもの以外は、すべて要注意外来生物リストの対象に掲載するということでございます。
 それから、3番目、要注意外来生物リストのとりまとめと活用の方法というところでございます。要注意外来生物リストにつきましては、これにつきましては、次の裏の図で説明をした方がわかりやすいと思いますので、検討成果のイメージという裏のポンチ絵でございますけれども、右側が第二次選定作業の成果ということで、検討した種をすべて右側のように振り分けるということでございまして、一番上は特定外来生物になるもの、一番下が対象外になるものでございまして、それ以外は皆、要注意外来生物リストということでございまして、ただ、この要注意外来生物リストの中に4つのカテゴリーを設けて1から4までのそれぞれのカテゴリーに分類すると。
 1番目は、被害に係る一定の知見はあり、引き続き指摘の適否について検討する外来生物。2番目が、被害に係る知見が不足しており、引き続き情報の集積に努める外来生物。3番目は、選定の対象とならないが、注意喚起が必要な外来生物。これにつきましては、ほかの法律の規制の対象となっているものを考えているわけです。それから4番目が別途総合的な取り組みを進める外来生物ということで、緑化植物をイメージしてこの箱を特別につくっております。
 以上のように、4つのカテゴリーに分類をした上で、こういった構造化をした上で要注意外来生物リストをまとめ、それを公表していきたいというふうに考えているところでございます。
 それから、最後から2段目の「なお」のところですけれども、リストの公表につきましては、すべての要注意外来生物について、被害の実態、利用に係る情報、注意すべき事項を含む種別の情報票を作成して、ホームページ等を通じて広く周知することとしたいということであります。この種別の情報票といいますのが、これから後で説明いたします各種類ごとの個表のことでございます。
 それから、また以下の2行ですけれども、生物群とか利用形態に共通して配慮すべき事項についても、要注意外来生物ごとの情報票の整理とあわせて整理・取りまとめを行って積極的に注意喚起を行っていきたいというふうに考えております。
 資料2-2を御覧いただきたいと思いますが、爬虫類・両生類の分類群につきましては、資料2-2で掲げました対象種が要注意外来生物リストの対象ということでございます。前回、個表をざっとご紹介いたしましたけれども、資料2-3がその個表、要注意外来生物に係る情報及び注意事項ということでまとめ直したものであります。今回、要注意外来生物リストは4つのカテゴリーに細分といいますか、カテゴリー分けするということですけれども、爬虫類・両生類につきましては、すべて2の、細分されたうちの2のカテゴリーにすべて含まれるという整理をしておるところでございます。
 引き続きまして、資料2-3でございますけれども、それぞれの生物ごとの個表でございますが、これにつきましては、前回のこの会合でご紹介いたしましたけれども、今回、要注意外来生物リストの個表とするに当たりまして追加した項目がございます。それはワニガメ、めくっていただきましてワニガメのところを見ていただきますと、3つ目の○評価の理由というところで、これ要注意外来生物リストに掲載するという、そういう評価をした理由ということですが、咬みつきによる身体への被害が心配されるものの、国内での被害のおそれは明らかでないということで、特定外来生物にはしないで、要注意外来生物リストに掲載するというふうにそういった評価をしたということでございます。
 それから、次のページ、2ページの下の方に注意事項というのがございまして、要注意外来生物リストを公表して、どういう点に要注意なのかということを明確に書いた方がいいなということでその注意事項というものを追加してございまして、注意事項の1つ目が都市部を中心に遺棄されている可能性があり、今後も継続的な情報収集が必要であるということと、販売、飼育に当たっては、長生きすること、大型になることや危険性等を十分理解し、飼い主が責任を持って飼育することを確認する必要があるといったようなことがワニガメに関する注意事項だというような形でつけ加えてございます。
 次、めくっていただきましてアカミミガメでありますが、これにつきましても評価の理由と注意事項をつけ加えております。評価の理由につきましては、野外に広く定着しており、在来種への競合等による影響がある可能性があるが、繁殖確認事例は少ない。大量に飼育されており規制により代替となるカメ類の輸入が増大する可能性や、大量に遺棄される可能性などが考えられ、今後の被害知見の集積とともに、遺棄のリスク評価や普及啓発が重要であるというふうに評価をしております。注意事項のところでは、野外で確認される多くの個体が、遺棄か逸出が原因とされる。飼育に関するマナーの向上が特に必要であるという点。それから、販売、飼育に当たっては、先ほどのワニガメと同じであります。それから、次の輸入、販売の関係者も、安易に購入して遺棄されることのないよう、販売方法や飼育者への普及啓発に積極的に取り組むべきであるということを注意事項として掲げております。
 次が6ページ目、クーターガメ(アカハラガメ)属に関する情報ということで、評価の理由ですが、稀に野外で確認されるが、被害の実態に関する知見は十分ではない。今後の知見の集積が必要であるというふうに評価をしております。めくっていただきまして、注意事項ですけれども、一般的なことですけれども、販売、飼育に当たっての注意事項を1つ書いております。
 それから、チズガメ属の3種、これにつきましても、先ほどのクーターガメと同じ評価の理由、それから注意事項になっております。
 ハナガメにつきましての評価の理由も同様でございまして、注意事項の方も同じことを書いております。
 12ページのチュウゴクスッポンですけれども、これにつきましては、評価の理由は遺伝的な攪乱などが懸念されるが、交雑事例に関する知見等が不足しており、競合等による在来生物相に対する明確な被害は確認されていない。今後の知見の集積が必要であるというふうにまとめております。めくっていただきまして、注意事項ですけれども、食用として利用する場合は、遺棄することがないよう、適切な管理を行うことが重要であるという点と、被害の実態は十分に把握されていないものの、これ以上の分布拡大を防ぐために定着している水系から他水域への不用意な移植が起こらないよう、対策を講じるべきであるという点を挙げております。
 それから、アメリカスッポン属につきましてですが、評価の理由、被害の実態については不明であるが、定着すれば在来種への影響が懸念され、今後の知見の集積が必要であるというふうにしておりまして、注意事項につきましては、販売、飼育に当たっての一般的な注意事項を掲げております。
 それから次、16ページのグリーンイグアナであります。評価の理由のところは、稀に野外で確認されるが、被害の実態については不明であるというふうにまとめております。注意事項、めくっていただきまして、17ページですけれども、特に定着の可能性がある八重山諸島などでは、流通量を増やさないように安易な販売、飼養は控えることが望ましい。石垣島などでは、被害の実態は十分に把握されていないため、今後とも科学的知見の集積が望まれるという2点を挙げております。
 続きまして、18ページのヒョウモントカゲモドキ。評価の理由につきましては、本種による在来種への原虫クリプトスポリジウムの感染が懸念されているが、実態は十分には把握されていないため、今後とも科学的知見の集積が望まれると。今後は、本種を含むペット爬虫類が在来動物へのクリプトスポリジウムを伝播する危険性があることに留意すべきであるというふうにまとめております。めくっていただきまして、注意事項でありますが、本種を含むペット爬虫類は、在来動物へのクリプトスポリジウムを伝播する危険性があることに危惧すべきであり、積極的な普及啓発が必要であるという点と、特に、沖縄等で、本感染症により致命的な影響を受ける可能性が高い希少爬虫類の生息する地域では、閉鎖した室内で隔離飼育するなど、十分な配慮が可能な場合に限って飼育を行うべきであるというふうにまとめてあります。
 それから、アフリカツメガエルですが、評価の理由ですけれども、野外で確認されることがあるが、定着や被害の実態に関する知見が不足しており、今後の知見の集積が必要であると。その次に「不明である。」とありますが、これはちょっと誤植でありまして、消していただきたいと思います。すみません。それから、注意事項ですけれども、実験に利用する場合は、遺棄することがないよう、適切な管理を行うことが重要であるという点と、被害の実態は十分に把握されていないため、今後とも科学的知見の集積が望まれるという2点を挙げております。
 それから最後に、ヨーロッパミドリヒキガエル等ヒキガエル属の5種でありますが、評価の理由は、被害の実態については不明であるが、定着すれば在来種への影響が懸念されることから、定着の可能性や海外での被害事例等今後の知見の集積が必要であるということを挙げております。注意事項につきましては、飼育に当たっては、逸出のないよう十分に留意し、飼い主が責任を持って飼育する必要があるというふうにまとめております。
 以上が、要注意外来生物リストに掲載しようとしております生物についての情報を前回の個表につけ足した部分を説明をいたしました。
 それから1つ飛びまして資料2-5でございますが、特定外来生物をはじめとする外来生物の取扱いに関する普及啓発の考え方について(案)というものでございます。
 今回、要注意外来生物リストを公表して、それぞれの生物について被害が発生することあるいは拡大することのないように利用者に対していろんなことを注意喚起していくということでありますけれども、そもそも特定外来生物につきましても、そういった一般的な普及啓発をしていく必要があるというふうなことや、それから、生物ごとということではなくて生物群やあるいは利用形態に共通して配慮すべき事項もあるのではないかということで、今回、この普及啓発の考え方というものをまとめております。
 まず前段ですけれども、専門家会合においての検討結果を踏まえまして、特定外来生物、それから要注意外来生物の扱い、それと生物群や利用形態に共通して配慮すべき事項等について積極的に普及啓発を進めることとしたいと思っています。まず特定外来生物ですけれども、特定外来生物として指定された外来生物については、外来生物法に基づき適正に取り扱う必要があるため、特定外来生物の輸入、販売、飼養、保管等を行う様々な関係者に対し、法律の趣旨を徹底し、逸出防止措置や飼養等に係る申請手続等、具体的な規制の内容について理解を得る必要があります。
 特に、法律の規制等に関して比較的情報を得にくい立場にある愛がん目的の飼養者に対する効果的な普及啓発は重要であると。このため、業界団体や地方公共団体の協力も得ながら、ペット販売店や飼育専門誌を通じた情報提供・普及啓発に努めるなど、飼養者の目にふれやすい方法で行うことに配慮しつつ、積極的に普及啓発を進めていきたいと思っております。
 次に、要注意外来生物ですけれども、要注意外来生物につきましては、引き続き、科学的知見の集積、利用に関する実態把握を進めつつ、適正な利用に向けた関係者への普及啓発を行う必要があると考えております。
 なお、被害に係る知見の充実度とか利用実態の把握状況、それから周知すべき注意の内容や対象者というのは、外来生物……、これ間違いです。申しわけありません、特定外来生物とありますが、要注意外来生物の間違いでございます。要注意外来生物ごとに異なることから、リストの公表に当たっては、すべての要注意外来生物について、被害の実態、利用に係る情報、注意すべき事項を含む種別の情報票を作成し、ホームページ等を通じて広く周知することとするということにしていきたいと思います。
 3番ですけれども、生物群や利用形態に共通して配慮すべき事項。前回のこの会合でも問題になりましたクリプトスポリジウムのようなものにつきましては、生物の種の取り扱いというよりは利用形態に共通して出てくる問題であるということで、こういったものを設けております。専門家会合における検討の結果を踏まえて、特定外来生物や要注意外来生物等に限らず、特定の生物群や利用の形態に共通して一定の配慮が必要な事項については、環境省インターネットホームページや関係事業者団体を通じた配慮の要請を積極的に行うことによりまして、多様な関係者がそれぞれに具体的に何をなすべきかについての普及啓発を推進していきたいというふうに思っております。
 次のページが別紙ということで、生物群や利用形態に共通して配慮すべき事項の例というものを挙げております。幾つか挙げておりますが、ここでは爬虫類・両生類に関連するものだけを挙げてございまして、それ以外にありそうなものは項目のみを挙げております。
 1番、ペットとして外来生物を飼育する全ての方にということで、飼養者全般に対して一般的な注意事項みたいなものを書いていくですとか、あるいは2番として、爬虫類を飼う方に特にクリプトスポリジウムの問題を分かっていただくというようなことを考えていきたいと思います。
 それから、さまざまな外来生物を利用して業を営む方向け。逸出を防止していただくだとか、被害を及ぼすおそれの低い生物を選択することが重要だとかというようなこと。それから、餌として生きた動物を利用する方にということで、ペットの飼育に関して、外来のエビ類、ゴカイ類等の外来生物がえさとして輸入されているような場合があるので、こういったものに対する注意。
 それから、ペット販売店の方にということで、その購入を希望する方に対して、大きくなったときにどのぐらいの大きさになるのかとか、寿命がどのぐらいなのかとか、遺棄されないために十分に事前に知識を与えてくださいといったようなことを書いております。
 ほかに動植物を輸入される方に対する普及の内容というものもあると思いますが、ここではその点については省略をしておりますけれども、こういったことを共通して普及が必要なことについてはこういった形でまとめた上で、要注意外来生物の種のリストとともに、あるいは特定外来生物の普及とともに、効果的に普及を啓発をしていきたいというふうに考えております。

【長田専門官】 1つ資料戻りまして、資料2-4についてもご説明をさせていただきたいと思います。
 前回、アカミミガメに関する議論の中で、どれぐらい入ってきてどれぐらい捨てられているのかというようなことですとか、それから海外での規制の状況等について宿題をいただきましたので、こちらで調べたことについてご説明をしたいと思います。
 まず、ミシシッピアカミミガメの輸入・流通の実態でございますけれども、日本にどれぐらいの数のミシシッピアカミミガメ、アカミミガメが入ってきているかということに関して、それを具体的に示した統計はございません。アメリカのルイジアナ州とかミシシッピ州にはアカミミガメの繁殖施設がありまして、そこから世界各国にアカミミガメが輸出されているという状況ですけれども、そちらの方の統計を見ますと、日本の輸出量は中国、香港、これらは主に食料、食用だと思いますけれども、に次いで多いというふうにされております。主な文献を取りまとめた結果としては、1990年代には年間で約100万匹程度のアカミミガメがアメリカから日本に入ってきているというような状況でございまして、表の1にありますのが、これが日本の貿易統計でございます。カメ類として一くくりにされておりますので、このうちアカミミガメがどれぐらいというのはこの統計からすぐには分からないんですけれども、こちらによりますと、アメリカが2位の中国の10倍以上の数ですね、2002年の時点で入ってきているということになっておりまして、一方でアメリカの方の1997年の爬虫類の生体輸出の統計ですと93%、それから93年から98年の輸出ですと、平均で85%がアカミミガメというふうにされておりまして、両方のデータを参考に評価をしますと、恐らく年間で約60万匹から70万匹程度のアカミミガメが日本に輸入されているというふうに考えることができると思います。
 それから最近は中国で、食用の目的で中国国内で数万匹以上が生産されていると言われていまして、その一部も我が国にペットとして入ってきているようでございます。もともとアカミミガメの流通は1960年代ごろに大手菓子メーカーの景品として、これはミシシッピアカミミガメではない別の亜種だそうですけれども、人気になりまして、ブームが到来しましたが、現在はアカミミガメと言われるものはほとんどミシシッピアカミミガメ、Trachemys scripta elegans がほとんど流通しているもののほぼ100%を占めているという状況です。流通経路もさまざまでございますけれども、輸入されたものはほとんど小売店、大型量販店などで販売されております。
 その他に多く販売されているものとしてゼニガメがございますけれども、ゼニガメとして売られているものの多くは中国産のクサガメでして、輸入統計から恐らく年間に数万頭が輸入されているというふうに考えられております。
 それから、クサガメのほかにもアカミミガメの代用として別亜種であるキバラガメ、それから北部産地のチズガメ属なども利用される可能性があることに留意しまして、対策の検討に当たっては多面的に検討していくことが必要となっております。
 それから、次にアカミミガメの日本での飼育の実態についてでございますけれども、最近事務局の方でインターネットを使った簡易なアンケートを実施しまして、各年齢層を無差別に抽出をしました約1,000名の方を対象としたアンケートを行いましたところ、全体の約2.6%の世帯がアカミミガメを飼育中であるというふうに回答しております。一方、以前にアカミミガメを飼育していた、今は飼育していないというふうに回答した方が20%いらっしゃいます。それから年齢層等についても聞いておりまして、アンケートの結果からは子供のいる世帯で高い割合でアカミミガメを飼育している、または飼育していたというふうに考えられます。
 これらのうち、現在までで、今飼っている方でアカミミガメを10年以上継続して飼育している世帯というのはアンケートの中では1世帯3.5%、飼っている方の3.5%しかない。過去の飼育期間は多くの場合が3年以内というふうに回答されておりまして、3年以内にアカミミガメが死ぬなり逃げるなりしているわけですけれども、継続して飼育できなくなった理由としては、71%の方がアカミミガメが死んだ。それから7.7%の方が「遺棄した」「池に放した」とか、それから「逃げてしまった」が12.2%ということで、野外に生きたまま出ていったものが20%ぐらいいるということになりますので、非常に単純に計算をしますと、アカミミガメを飼ったことがある世帯が日本全国の約5,000万世帯の2割、1,000万世帯ぐらいで、そのうちの2割がアカミミガメを逃がしたことがあるというふうに考えますと、合計で200万匹が生きたまま野外に出て行ったというふうに、非常に大ざっぱな試算ですけれども考えることができると思います。
 まとめますと、アカミミガメについては、非常に大量の個体が出回っていて、その多くが数年以内に死亡してしまう。だけれども、一方で遺棄と逸出も高い割合であるというふうに考えられます。
 それから、海外におけるアカミミガメの規制の状況でございますけれども、まず韓国ですが、韓国においてはアカミミガメ、ウシガエル等が特定外来生物のような指定を受けておりまして、輸入とか国内流通ですね。そういったものについては原則として禁止をされております。違反したときには約200万円の罰金ということになっておりまして、それから「野外に放つとも」と書いてありますが、失礼しました、「放つことも」ですね、放つことも禁止されておりまして、かつてはお寺で生きたまま放す放生などが問題であったというふうに言われていますけれども、規制によってそれにアカミミガメを使うことは減少したというふうに言われています。減少したというところは規制はされているんだけれども、十分に効果が上がっていない面もあるということだと思いますけれども、それから前回議論になりました所持そのものについては、直接的な規制はないということでございますけれども、その所持について規制がないためにちょっと放すことに関する規制もだれが所持をしているか把握ができないということで、十分にできない面もあるのではないかというようなこともございました。それから、規制されているのがミシシッピアカミミガメでして、別の亜種、何かは確認ができていないんですが、別の亜種が脱法的に輸入をされているというような問題もあるということでございました。
 それから、オーストラリアにおいては、爬虫類の生体の輸入を禁止しておりまして、商業目的を除いて数種のカメ類のみ輸入が許可されていると。それから、アカミミガメについては既に定着していて、有害動物としてオーストラリアの各州の州法で規制されて愛がん飼養は禁止されているということです。
 ニュージーランドにおいては、アカミミガメ等の侵略的な爬虫類を法律によって有害動物として取り扱うことが可能となっておりまして、アカミミガメの自由な輸入は禁止されていると。
 ヨーロッパにおいては、アカミミガメの輸入禁止が97年になされて、これは在来のヨーロッパヌマガメの保護を目的としているということです。
 それから、輸出側ですけれども、アメリカですけれども、アメリカは約10センチ以下のアカミミガメ等のカメの販売が禁止されているということでして、これはアカミミガメにサルモネラ感染症が増加して騒動になった1976年にこういう規制が施行されたということでございます。
 そのほかとしまして、下にちょっと書いておりますが、サルモネラ対策としてカメの輸入を禁止している国として南アフリカなどがございます。それから、アメリカ国内の州政府自体がサルモネラ対策や在来種の保護の観点からカメ類の飼育に厳しい規制を持っているというところも多いということです。それからカナダでも、州政府でアカミミガメやフロリダスッポンの食用利用に規制を加えているということでございました。一方で、爬虫類を含む野生動物の飼育に対して厳しい規制が敷かれているシンガポールでは、アカミミガメのみが愛がん飼養を認められているということでございました。
 今、事務局で把握しているのは全体的にこのような状況ですけれども、詳細な情報はちょっとまだ十分に把握し切れておりませんので、今後とも継続的に海外の事例ですとか遺棄のリスクとか、そういったものを把握していく必要があるというふうに考えております。
 以上でございます。

【長谷川座長】 それでは、ただいまの説明、事務局からの説明に関しまして、ご意見・ご質問等ありましたら発言願います。
 まず、要注意外来生物リストの区分け等に関して、あるいは具体的な生物に関してでも結構ですけれども、お願いします。

【安川委員】 資料2-2とかを見ますと、これは海外での定着例とかは割とちゃんと書いてあるんですが、日本での定着例みたいなものがここには明記されておらず、例えばミシシッピアカミミガメについてとか、チュウゴクスッポンが日本で定着しているというようなことがここには書いてないわけですね。それで、そういう定着しているかどうかというのはかなり重要な問題になってくるので、こういう形で要注意生物のリストとして資料をつくるときにはその情報を必ず盛り込んでいただきたいと思います。
 それから、要注意外来生物のリスト、検討成果のイメージの方ですが、ミシシッピアカミミガメについては、確かに被害に係る知見については意外に調査されていないので少ないんですけれども、やはり現時点でも断片的なものを含めれば被害に係る知見はそれなりにありますので、しかもこれは非常にアフリカツメガエルなんかについてはやはり数が多いと思いますが、ミシシッピアカミミガメは他とは桁違いに大量に輸入されていて、しかも在来種に関する影響がかなり大きそうな種ということを考えて、このリストの中でも2の扱いではなくて、1の扱いにむしろ含めるべきなのではないかと思います。
 とりあえず以上です。

【長谷川座長】 今の安川委員の指摘に関して、資料2-4がここで説明された経緯を考慮に入れるべきではないかと思います。というのも、ある程度被害に関する知見があり、かつ被害が濃厚に予想されるにもかかわらず、特定外来生物、要注意外来生物として指定された場合には、一般の家庭からも大量遺棄の危険性があることを予測するために資料2-4が用意されたものと理解しております。そのことから考えると、アカミミガメは区分2の中に、被害に係る知見が不足しているという理由で納められるよりは、1の区分に入れる方が妥当ではないか思うんですが、いかがでしょうか。
 この資料2-4の説明によれば、アンケート結果を信頼するとすれば、1,000万世帯から200万匹のカメが現状でも既に遺棄されていることになります。こういう現状のなかで、愛がん動物としての飼養が禁止されることになれば遺棄される危険性がさらに増大することが危惧されます。
 ですから、遺棄の可能性を減らすための対応策がないという現状にあって、せめて注意を喚起するという意味でも、1のカテゴリーに入れるべきではないかと思います。

【中島室長】 要注意外来生物リストの中の、4つのカテゴリーの中の特に上の1と2の区分けについてなんでございますが、1の被害に係る一定の知見はあり、引き続き指定の適否について検討する外来生物につきましては、基本的にはさまざまな被害に係る科学的な知見は十分だけれども、さまざまな社会的な影響だとか、あるいはかえって指定することによって遺棄されるおそれがあることだとか、指定することによってかえってマイナス面が大きいというようなものについては、今すぐ第二次では指定しない方がいいのではないかというふうに判断をされるものもございまして、そういったものをこの1に入れていこうと。それ以外のものを2に入れようというふうに考えております。若干その表現ぶりがわかりづらいかもしれませんけれども、事務局の方ではそういうふうに考えておりまして、ですから、基本的には資料1-1であります作業手順の2ページ目にありますように、「重大な被害を及ぼし、又は及ぼすおそれ」というものに関して科学的な知見があるというふうに判断されるかというところがこの1に該当させるのか、そうでないのかの仕分けになるというふうに考えておるわけであります。
 これまで我々の方で集めました情報等を総合しますと、アカミミガメに関しては、先ほどご説明いたしましたような飼養実態あるいは流通実態、遺棄の状況等に関しまして、非常にその被害を及ぼしている可能性が高いというふうに考えられるわけですけれども、科学的な知見としてはその作業手順の方にあります重大な被害に該当するというふうにはっきり言えるかどうかというところでは、まだちょっと知見としては弱いのではないのかなというふうに考えておりまして、とりあえず2の被害に係る知見が不足しており、引き続き情報の集積に努める外来生物の方に区分けをしようというふうに考えたところであります。
 ただ、潜在的な危険性、流通量の多さみたいなことから考えて、潜在的な危険性もありますし、今後、科学的な知見を重点的に集めていかなければならないだろうというふうには考えておりますので、その点については今後考慮していきたいというふうに考えております。

【長谷川座長】 事務局から被害の科学的な実態というか、証拠がまだ十分でないという点を重視して、2のカテゴリーの方にという形での提案だというご説明をいただきましたが、いかがでしょうか。

【安川委員】 現時点でかなり山の中というようなところになるとまた別になってきますが、一番優占しているカメになっている地域がかなりたくさんあるという事実や捨てられる量が非常に多いということから、これはやはり1の方に含めるべきものだと思います。
 特にこの場合は、ほかの委員の方は別の意見をお持ちかもしれませんが、私としてはミシシッピアカミミガメを特定外来種に入れないということは、入れた場合の遺棄が非常にふえるであろうということから、現時点で入れるのは問題があるのではないかということで特定外来種に今回積極的に入れるという種からは外しているというわけで、やはりミシシッピアカミミぐらい非常に大量に遺棄されていて、各地で優占していて、しかも生活史などから考えて、明らかに日本の在来種とかぶるというようなものに関してまでやはり被害に係る知見が不足しているもの扱いをするというのは、非常に問題があると思います。

【千石委員】 1に入れて、被害の状況がわからないというふうなことですけれども、まず、とにかくごく普通にいると。アカミミガメは現在もういると。それは例えば在来植物で考えれば、それはもう被植度が高くなっているのと同じであって、それ自体がもう被害であるというふうに考えれば、これは明らかな被害を持っているというふうなところで、被害の実態に関しての知見の集積よりも、どうするかということを考える方が先であろうと。そうすると、この法律から言えば、指定するかどうかというふうなことについて検討する必要性があると。ただ、そのときに前からもともと出ていたことですね。要するに指定されると捨てると。現実に今回これでカミツキガメが指定されたことによって、その影響と思われる遺棄が生じています。したがって、そういう、こういった問題を持つ生物群についてどのように対処するかということもひっくるめて討議するべきであろうというふうに考えます。
 それから、そういうことにも絡みますが、資料の1-3でしたっけ、今後の検討の進め方について(爬虫類・両生類)の(案)というのがありますが、これを見てみると、在来生物に対するどうのこうのというのは、この外来の連中がネイティブな生き物に対して圧迫を与えることだけを考えていると。だけど、例えばシロアゴガエルが野生化した場合、増えていった場合、ヒメハブの餌となってヒメハブの個体数に影響を与えると。要するに食べることを、我が国にその生物を捕食する天敵がいないことというふうに書いてありますけれども、いることによってもまた問題を生じるということがあって、個別に物を考え過ぎるがゆえに生態系への圧迫そのものもちょっと抜けているのではないかと。つまり私としては「在来生物に対する影響があること」というふうな一文があってしかるべきであると。むしろそのことにこの前の方の幾つかのやつは併呑されるだろうというふうに検討の進め方の案につけ加えることを提案します。

【長谷川座長】 資料3のことについて千石先生の方から指摘がありましたけども、確かにその在来種に対する直接的なマイナス面が、捕食や競争という面だけに絞って取り上げられているという偏りがあります。そこで、資料1-2では、生物学的特性と被害に関する知見のところで指摘された内容とあわせて在来の生態系への改変の度合いを評価軸に組み込むといった文面を資料1-3に入れるという案に座長としても賛成したいと思います。事務局の方で検討いただけますでしょうか。

【環境省 上杉企画官】 資料の1-3に今のご指摘の点をつけ加えるということでいいのではないかというふうに思っているんですけれども、先ほどご指摘ありましたように、捕食する天敵がいないだけではなくて、捕食することで直接その全体の構造を変えてしまう、あるいは毒を持っているがゆえに捕食した希少種が実は影響あるかもしれないという観点も入っているのかなというふうに思いますので、そういう観点を入れておきたいというふうに思います。ただ1点、科学的知見として被害があるかどうかを判断をどのようにしたらいいのか。これはこの分類群だけじゃなくて、すべての分類群について、いわば1つの基準をどのラインで敷くのかというところが実はまだ完全に整理し切れていないというふうには思っています。
 これは前回、全体専門家会合の最後、事務局から、局長の方からちょっとお答えをしているようなところもあるんですけれども、ある意味、国際的に見てもそういう意味での基準というのは明確なものはないと。結局、専門家の方に個別具体の種を見てこれはどういう影響があるのだろうかということを個々に判断していくやり方しか今のところはやられていないというふうに思います。そういう意味で、今回幾つかの種について個別具体の検討をしていただいたことで大分整理が少しできてきている段階かと思うんですけれども、我々がアカミミガメについて今回そういう意味ではまだ知見が少ないというふうに言っていますのは、資料のむしろ1-1の2ページの一番上のところで整理をしているその考え方があるわけですけれども、例えば法律上、特定外来生物に該当するものをどう判断するかの考え方として「種の存続又は生態系に関し、重大な被害を及ぼすおそれのあるもの」ということで整理をしているんですけれども、そのさらに考え方として、1)から4)までの観点を整理しております。
 さらに先ほどの資料1-3というのは、これを見る際にどういう要素を個々に見ていったらいいかということで幾つかの観点が示されていまして、多分それ1個1個というよりは幾つかを組み合わせるなり、それの重要性をさらに判断するなりということで該当するしないを判断するのではないかというふうに考えています。
 アカミミガメに関しては、本当にここで挙げている1から4までのような例えば種の絶滅、地域個体群も含めて、種の絶滅をもたらすようなケースが果たしてあり得るのかどうか、あるいは群集構造的に見たときに確かにかなり優占しているのであり得るかもしれないということだと思うんですけれども、それが本当に在来生物相との関係で見てどうなのかというあたりについての既存の知見というものがどこまで整理されているのか。そこについてまだちょっと自信がないというのが先ほどの要注意外来生物でいえば、2番目に整理をしている理由ということになります。そこはそういう意味で我々としてはちょっと自信がないということであります。

【長谷川座長】 よろしいですか。外来生物の全体を見ていただいている環境省としては、ほかの分類群の生物との比較でみれば、アカミミガメとは知見が不足しているというカテゴリーに入れるのが適当というご判断かと思うんですが、両生・爬虫類の中で、アカミミガメとと他の要注意外来生物を較べるとカテゴリーを別にすべきだという認識を委員同士共有しているのではないか思うんです。

【安川委員】 また、資料2-4にもあるように、外国での扱いに関しても、非常に影響の大きな生き物であろうということで輸入禁止などの措置がとられているわけです。また同時にヨーロッパや韓国では新しく輸入規制がかかるわけで、それの結果、輸出先がなくなって日本に集中する。特に値段が安くなってほかで買ってくれないから日本で安く買ってくれるように非常に安価で出るというようなことがあったときに、やはりこのランクの、2のランクのまだそんなに被害があるかどうかわからないものだというような扱いにしておいたときに何か流通に対する歯どめがかからずに、安くなったから大量に仕入れて大量に売って、またその2割ぐらいが捨てられるというような悪循環が繰り返された結果さらに大量に定着して、そうなると結果として被害とかのデータがたくさん集まってくるかもしれませんが、ただ、そういう状態になる前に何らかの措置をとらないと、今言ったような輸出、ヨーロッパや韓国の輸入が減ることで日本への輸入量が大幅にふえるというような事態もあり得るわけでして、そういうことから考えても、これの種に関しては特別扱いしていただきたいと思います。

【長谷川座長】 事務局の方、いかがでしょうか。

【中島室長】 特定外来生物の指定については先ほど企画官から申し上げましたように、先ほど資料1-1の中で挙げられている重大な被害を及ぼしている、あるいはそのおそれがあるかどうかというところで判断をすることになっております。ですから、できるだけその部分につきましては、科学的な知見があるかないかというところが事務局としては重要視しなければいけない部分だと思っておりまして、要注意外来生物リストのカテゴリー分けのところでも、それは厳格に運用したいなというふうに考えております。
 ただし、今ご指摘ございましたように大量に既に飼養されている、あるいは大量に遺棄されているということがございますので、今後その遺棄の防止のために普及啓発を重点的にやっていかなければならないですとか、科学的な知見が今は少ないということですけれども、これだけたくさんの個体が見られるということから、それは今後、集めればそういった科学的な知見も出てくるのではないかというふうなことも考え合わせまして、重点的に検討する種として特記をして要注意外来生物の中で1番だけが重要だということではなくて、そういったまだ科学的な知見ということではっきりしていないけれども、潜在的な危険性というものは非常に大きいんだということで重点的に検討していくべき種だということで、報告の中で、最終的な報告の中で特記をしていくというような形で整理をさせていただければありがたいと思います。

【長谷川座長】 事務局の方のご説明としては、2の中のカテゴリーの中で特記して処置をしたいということなんですが、これはかなり議論すべきことだと思うんですけども、特定外来種の、二次選定に当たって、文献等の情報がなくても科学的な知見なり専門家による意見というか知見によって被害等の評価をした上で二次選定の特定外来種に指定するという方向性も確認されたと思います。そういう点も考慮しますと、1のカテゴリーに十分該当するのではないかなと考えます。
 恐らくほかの分類群との仕分けの整合性というようなことも事務局の方では考慮されているかと思うんですけれども。

【長田専門官】 ちょっと確認させていただきたいんですけど、その生物学的な特性からくる被害に関する知見という部分で、個表の中では例えば在来のカメとの生息場所、バスキングする場所で例えば競合しているとかそういったことも書いておるわけですけれども、そういうものの例えば影響の程度というものは十分ではないけれども、大量に入ってきているので1にすべきだということなんでしょうか。ご指摘は。
 例えば、資料1-3にはその大きな被害をもたらす可能性がある在来生物の特性として、○が並んでいまして、例えば4つ目の○には在来生物と生息場所、産卵・越冬場所が重なることと書いてあったり、一番最後には野外に遺棄されやすい性質を有していることと書いてあったりするわけですけれども、もちろんこの○はどれかに1つ当てはまればそれで被害に関する知見があるということにはならないというふうに事務局では考えているんですが、それに関する程度ですとか、科学的な知見が大きいということになるのか、それ以外の例えば輸入量みたいな社会的なファクターを考慮すべきだということになるのか、その辺についてご指摘をいただきたいんですけど。

【長谷川室長】 安川委員、お願いします。

【安川委員】 まず資料1-3を用いて説明したいと思うんですが、この下の方にある○のついた項目、まず在来生物に対する捕食能力ということに関しては、非常にさまざまな生物を食べます。仮に、食べているものの割合の中で、在来の生物が比較的少ないにしても数が膨大ですから、全体としてアカミミガメが捕食している在来生物の量というのは莫大な量になると思います。体が大型で、日本産の他の淡水ガメに比べて体が大型で、しかも特にえさを少ししか食べないとか捕食が少ないということはないですから、全体量で考えれば捕食量というのも大きいですし、実にさまざまなものを食べるわけです。1回産卵数について言えば、在来のどのカメよりも多いです。全体としての繁殖力も高いとされています。バスキング場所や淡水の止水、あるいは一部の川といったような生息環境、あるいは食物などは在来のものと大きく重なります。
 環境への適応能力が高いということで、かなりより環境の悪化したところにも入り込むことができまして、一たん入り込んでそこで繁殖を続けた場合に、環境が回復してきて在来のものがそこに戻るようなことが出たときに、そこにアカミミがいたらそれを押しのけて入れる保証はないわけです。
 カメ類というのは比較的大きく成長しますから、アメリカ合衆国などですとこれを食べるワニのようなものやワニガメ、カミツキガメのようなものもいますけれども、日本国内は基本的に捕食の天敵はいないわけです。在来生物との交雑の可能性とか資材に混入して侵入しやすい特性ということに関してはないと思いますが、野外に遺棄されやすい性質というのは、これは今回のアンケートの結果のとおり2割は捨てられているわけです。気性の荒さや、それから逸脱する能力、力がありますから、しかもカメ類というのは日光浴をさせながら飼うというのが一般的で、外の池のようなところで飼われることも多くあります。容器に入れて日光浴をさせる為に外に出している時に逃げてしまうという話は非常によく聞きますし、結構力もありますから、池などで飼ったものがいつの間にかいなくなる。それからかなり大型になると。こういう条件を資料1-3で見ても現在の知見だけで十分、むしろ特定外来種に入っていない方が変な種というふうにも言えるかと思います。

【中島室長】 それでは、今、安川委員の方からいろいろご説明いただきまして、我々の方も資料2-1の要注意外来生物リストの今2のカテゴリーに入っておりますミシシッピアカミミガメを1のカテゴリーの方に変更するということで、別途、表を再度整理をしたいと思います。
 なお、被害に係る科学的知見につきまして再度事務局の方から先生に詳しく、もう少し詳しく情報をいただきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

【長谷川座長】 それでは、1の今のご説明のとおりということで整理をしていきたいと思います。石橋委員、ありますか。

【石橋委員】 2点ほどありまして、質問なんですが、これちょっと聞き落としちゃった可能性があってちょっとトンチンカンかもしれないですけど、このゼニガメ、資料2-4にあるそのゼニガメが年間数万頭輸入されていて、多くが中国産などのクサガメである話で、非常にアカミミガメと同じようなニュアンスを感じるんですけれども、これはその存在としてはハナガメをこの……、扱いとしてはハナガメに近いポジションなんですけども、ハナガメ以上に何か問題ありそうなイメージがあるんですが、このゼニガメのうち何%が中国のクサガメであるとか、そのうちさっきのアンケートじゃないですけども、どのぐらいがやっぱり遺棄されているのかとかという調査は必要なのじゃないのかなと思います。
 ただ、一番最初にあるように特別な機械を使わない、要するにDNAとか、きっと区別がつかないからこのゼニガメが余り注目されてないのかなという、この辺がよくわからないんですけど、このゼニガメに関しては何か少し調査とかをされた方がいいのかなという気がいたします。
 もう1点、資料2-5にあります。これちょっと最近懸念しておりまして、クリプトスポリジウムの話がひとり歩きしてしまって、非常にちょっとアフターフォローに困っている昨今なんですが、この爬虫類を飼う方にという2のところで、ちょっと文章を、これ要するに爬虫類の病気というのは原虫あるいはウイルスだけではないんですね。寄生虫ももちろんクリプトスポリジウムだけではないので、この爬虫類全般に目を、爬虫類の病気ということと、爬虫類全般について述べるのであるならば、この「見た目では分からなくても、在来の爬虫類に感受性のある病原体(原虫ウイルスその他寄生虫など)を保有している可能性もあり、飼育している個体の野外への逸出を防ぐだけでなく、野生の爬虫類が飼育環境に侵入して」、ここでいきなりウイルスという具体的な話になってしまうのがおかしくて、「侵入して病原体に感染し、キャリアとなって野生に戻り、野生生物に大きな影響を与える可能性があることにも留意し」というような病原体全体について言及するような文章にちょっと直しておいた方が無難かなと思います。
 この普及啓蒙について、これちょっと余談なんですが、現場情報としてこのヒョウモントカゲモドキのクリプトスポリジウムという話が結構ひとり歩きしておりまして、案の定というか便乗商法のようなのが出てまいりまして、このたび、ヒョウモントカゲモドキが、そもそも「野生の」と限定すること自体が大間違いなんですけども、野生のヒョウモントカゲモドキが輸入禁止になりました。これが最後の便になります。今後貴重で価値が上がりますので、この機会にぜひお買い求めくださいという便乗商法が案の定出てまいりまして、非常によくないなと思うんですけれども、これも確信犯的にやっているといえばやっているんですけれども、ちゃんと普及啓蒙が進めば買う方が、ユーザー側がお利口になればそういうやっても売れないというのはありますけれども、普及啓蒙が足りないことによる1つの社会現象かなと思いますので、そんなようなことでよろしくお願いします。

【長田専門官】 先ほどのクサガメに関するご意見についてなんですけれども、今回、アンケートを行った際には、母集団が余り大きくなかったので、相当の数やはり飼われている可能性が高いものについてのみその選択肢として設けておりまして、クサガメについてはちょっと事務局として失敗したところもあったかと思うんですけども、その選択肢としては、設けずにお聞きしたというところがあります。カメについて現在飼育している方が、ミドリガメが29名いらして、その他のカメと回答された方が19名でした。自由回答の項目を設けておりまして、自由回答欄に何も書かない方もいるんですけれども、クサガメと書いた方が自由回答を書いた方のかなりの割合にやはりいまして、ほかにイシガメとかハコガメとかマタマタとかそういう回答があるんですが、そういうのは大体1件ぐらいしかないんですが、クサガメについては十何名かの方が飼育をしていたことがあるとか、そういうふうに答えておりまして、かなりの数あるというふうには認識しています。
 ただ、統計としてはちょっとはっきりしたものがなくて、特にそもそもこのクサガメが、日本のクサガメが一度海外に出て、海外で生産されたものがまた入ってきている、要は在来種と同種なのかどうかということも含めていろいろな断片的な情報はあるんですけれども、きちんと把握ができていないというのが現状でございます。
 それから、クリプトスポリジウムの件についてはご指摘を踏まえてちょっと修正をさせていただきたいと思います。

【長谷川座長】 クリプトスポリジウム、病原体のその感染、在来種に対する感染のおそれがあるというところで一般的な記述として配慮事項の修正をお願いするということにしたいと思います。
 資料2-5のこの考え方をここで提示していただいているわけですけれども、その具体的な具体案としてどのような方向で環境省としては普及啓発をされているかということについて、もしお考えをお聞かせ願えればと思うんですけれども。

【中島室長】 今後、今回の特定外来生物あるいは要注意外来生物等一般的な注意事項をまとめて、まずホームページ等で公開をして普及したいというふうに考えておりますけれども、それ以外に例えばこれまでもその生き物を扱っている業界、その店の団体とか、そういったところに対する説明会等もやってきておりまして、そういったことをこれからも引き続きやっていきたいと。ですから、そういったペットを販売されている方などには特にこういったものを効果的に印刷物等の形で配布して普及していきたいというふうに考えております。

【長谷川座長】 ほかに。千石委員、お願いします。

【千石委員】 今回、二次選定のやつでカエル類が取り上げられているわけですが、カエル類、先ほどから割とペットの輸入とか何とかというふうなところが問題となっていますけれども、カエルの主なものについては非意図的な導入であろうと。つまり流通に伴うものであろうと。それで、流通をどうするかということについて、もう少しちゃんと考えといた方がいいです。それで、その方策についてのアイデアを詰めていく必要性があるだろうと。
 例えば、話が大きくなりますけれども、CO2の排出に対して京都議定書なんかがあると。そういうのは、結局経済活動の制限に基本的にはつながるわけですよね。流通をそのままにすることはできないと。離島なんかの問題ありますけれども、何らかの形でもってこの外来生物に絡んで流通をきっちりと押さえる必要性がある。例えば、あるものについては積み出し港だとか流通ルートを決めて、そこを必ず経由してそこで検疫が入るようにするとか、それから物の燻蒸なんかについて、例えば沖縄とか琉球列島の場合は、燻蒸に薬を使わずに、多分生き物なんて暑いと死ぬと。それでシートかぶせるとか何かして熱燻蒸とか何か、熱による影響を受けない荷物についてはそういった作業を行ってから出すようにするとか、あるいはオオヒキガエルなんかについてはやっているんですけれども、建築資材なんかについては、あるところに置いといてそこからだけ動かすとか、そういうふうな細かなケアをいろいろ手法として考えていってやればカエルの問題なんかについてはかなり抑えられるんではなかろうかというふうに思うんですね。そういった内実なんかの方についても細かな検討が必要であろうというふうに思います。

【長谷川座長】  時間が大分押してきているんですけども、私の方からあと1点確認したいことがあります。資料2-4で今回ミシシッピアカミミガメの輸入規制について説明いただきました。これは、海外の事例ですね。対策として輸入規制をすることによって国内への蔓延をどの程度把握、抑え込むことができるかということから発してこの資料をつくっていただきましたが、このアカミミガメに先立って指定されたカミツキガメについての流通状況の把握はどのようになっているのでしょうか。これについて6月1日以前と以降で、遺棄等がどの程度起きたのかというあたりが非常に気になるところです。ペットとして飼われているカメ類が外来種の対策を実施する過程での遺棄が今回初めて具体的な事例として生じているわけで、事務局の方として現状をどの程度把握されているのでしょうか。市民の皆さんからいろんな連絡・反応が届けられているかと思うんですけども、その内容を今後の対策に生かすためにも、現時点で現状を把握されているところをご紹介くださいませんか。

【長田専門官】 カミツキガメにつきましては、6月1日の外来生物法の施行の後に、個別に都道府県ですとか警察署、そういったところから遺棄されて野外にいるという目撃情報があるとか、収容されているとか、そういった情報をいただいていて、今までに環境省に直接いただいている情報だけで30件以上のものがあります。
 これらが法律の施行前からいたものなのか、施行をきっかけに捨てられたものなのか、施行後に遺棄されたものなのかというのははっきりとはわかりませんし、同じようにそういう情報があっても、例えば危険動物の条例の中でこれまでの取り扱いがかなりしっかりされていたところで独自に対応されているようなケースがあれば情報が上がってこないということも考えられますので、それがすべてかということ、それから、それがいつ遺棄されたものなのかということについてはわからないんですけれども、相当広い範囲でそういった情報をいただいているところです。
 やはり、どういう状況で収容されたのかというようなことも含めて考えないと、全体的な目撃情報なり収容情報がどういう意味を持っているのかというのは今の段階でははっきり分からない部分がありますので、今、環境省の方で千葉県を対象にカミツキガメの防除の方のモデル事業に着手をしたばかりですけれども、着手をしたところでございますので、その中で、特に今、野外での定着が確認されている印旛沼周辺について千葉県と協力しながら防除の方策等を検討していく予定なんですけれども、それとあわせてその周辺で遺棄された個体について、どういう状況で遺棄をされていたのかというようなことも調べながら、その防除の技術的な検討とあわせて遺棄のリスクの評価というのをカミツキガメについて少し踏み込んでやってみようというふうに考えているところでございます。
 それから、カミツキガメを目撃したとか収容されたという情報をいただいたものの中に、かなりの割合でアカミミガメに関する情報がありました。それから、わずかですけれどもワニガメに関する情報等もありまして、やはりそういう面も含めて考えますと、普及啓発とかそういうことももっと積極的に進めていかなければならないのかなというふうには考えております。

【長谷川座長】 特定外来種に指定された後、具体的な外来種対策が適切になされないといけないという状況にあります。そこで、カミツキガメについては引き続き遺棄の実態を把握していただくということと、日本に入ってきて飼育されて、それがどの程度遺棄されるのかといった流通と飼育の流れをきちんと把握すべきでしょう。今後の指定前、指定以後の対策として十分対策を考えていただきたいというふうに思います。
 それでは、いろいろな意見出してきていただきましたけれども、こういったことをどのように反映するかということに関しましては事務局と座長の方に一任していただいた上で全体会合の方に持ち込みたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【長谷川座長】 では、ほかに議題ではその他とありますが、この際何かご発言されることがありますでしょうか。

(なし)

【長谷川座長】 事務局の方からはいかがでしょうか。

【環境省 名執課長】 野生生物課長の名執でございますけれども、本日は特定外来生物(爬虫類・両生類)の専門家グループ会合第4回会合に、大変お忙しいところご出席いただきましてありがとうございます。
 本日、第二次に向けまして、特定外来生物、未判定外来生物、種類名証明書添付生物などにつきまして非常に貴重な、また忌憚のないご意見を聞かせていただきましてありがとうございました。またさらに、要注意外来生物につきましてもいろいろご議論いただきました。それから、事務局の方から普及啓発の考え方についてもご説明させていただいて、それについてもご意見いただきましたけれども、特にこういった面についてさらに専門家の先生方のご助言・ご協力というのは非常に貴重なものだと思っておりますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 本日はどうもありがとうございました。

【長谷川座長】 では、以上をもちまして第4回特定外来生物等分類群専門家グループ会合(爬虫類・両生類)を閉会いたします。
 ありがとうございました。