環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第2回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(爬虫類・両生類)議事録


1. 日時 平成17年1月20日(水)10:00~12:06
2. 場所 経済産業省別館9階 944会議室
3. 出席者  
   (委員) 太田 英利    千石 正一
安川雄一郎    石橋  徹
   (環境省) 上杉生物多様性企画官
名執野性生物課長
堀上野生生物課課長補佐
   (水産庁) 田中水産庁生態系保全室課長補佐
5. 議事  
【環境省 堀上補佐】 予定の時刻になりましたので、特定外来生物等分類群専門家グループ会合、爬虫類・両生類の第2回会合を開催したいと存じます。
 まず、お手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。資料が1と2とありまして、資料1-1が選定の作業手順、資料1-2が特徴と選定に際しての留意点、資料1-3が情報及び評価、資料1-4が特定外来生物、未判定外来生物、その他種名添付生物の例。資料2が、要注意外来生物リストの案ということになっております。参考資料1が特定外来生物等の概念図、参考資料2が前回の会合の議事概要となってございます。配付した資料は以上でございます。もし不備がございましたら、事務局の方までお申し出いただければと思います。
 それでは、議事の進行につきまして、太田座長、どうぞよろしくお願いいたします。

【太田座長】 おはようございます。
 それでは、これより本日の議事に入らせていただきます。
 今、お手元の資料の議題1として出ているのは、特定外来生物等(爬虫類・両生類)の選定についてですね。これは、前回の会合で、皆様、ご記憶に新しいと思いますが、特定外来生物や未判定外来生物の選定の仕方、基本的な考え方も含めたですね、基本的な考え方、仕方や選定対象の生物について、本当にさまざまな突っ込んだ議論がありました。本日は、前回の指摘も踏まえて、さらに、いろいろ議論はこれからもしていかないといけないことは山ほどあると思うんですけど、爬虫類・両生類については基本的に今日である程度の結論を出したいということを前提として整理していきたいと思いますので、皆様のご協力をどうかよろしくお願いいたします。
 まず、特定外来生物の指定候補と未判定外来生物、種類名添付生物について、前回の指摘を踏まえて、どのように整理したのかについて、事務局の方からご説明願います。

【堀上補佐】 資料1-1から4までがその資料なんですが、資料1-1と1-2は前回大体ご了承いただいておりますので割愛いたします。資料1-2につきましては少し手直しをしておりまして、前回、ペットだけが由来でいろいろ問題が起きているのではないので、展示とか天敵導入とか、そういったことも含めて書いてほしいということがございました。そういった意味での手直しをしてございます。
 それから、資料1-3につきましては、中身は実は変えてございませんで、基本的には、ここに掲げた7種について、特定外来生物の選定作業が必要と考えられる生物として候補としているということでございます。
 本日は、資料1-4について、特に未判定の部分のご説明をしたいと思っております。
 資料1-4のお話をする前に、資料1-2の一番後ろのところを見ていただきたいんですが、資料2の巻末につけてございますヒアリング結果というのがございます。全日本動物輸入業者協議会からヒアリングをしてございまして、主なヒアリング内容としては、この選定リスト案、未判定、種名添付を含めてお話をしまして、業者の方々から輸入量ですとか各社が把握している流通に関する情報等を聴取したということになっております。このことが、未判定の生物を判定する際に非常に重要になってくるということでございます。
 まずカメの方ですが、カミツキガメですけれども、国内のストックが相当量推定されると。例えばA社となっていますが、ある会社では危険動物としての、これは条例の方のカミツキガメを1,000頭飼育する枠がある。現在でも2カ月に100頭程度、輸入している。ストックは200頭程度あって、それ以外に警察が発見した個体について50から60頭を引き取っているというような状況があると。
 それから、その業者の方から卸し先に対して、危険動物であるということを確認させる意味で念書をとって、念書をとってから卸していると。ただし、小売店からどういうふうに販売されているかというのは、ちょっと輸入業者の方はわからないということでございました。
 それから、その輸入元ですが、特にアメリカが多いということで、それ以外にメキシコ、ニカラグア、エクアドル等があると。年間通じてアメリカからコンスタントに輸入されていると。それ以外の地域からは少数であるということでございました。カミツキガメは、アメリカから中国へも食用として輸入されているということでございます。
 アカミミガメですが、これは輸入業者さんたちというよりは、むしろ観賞魚協会の方で把握しているのではないかということでございましたが、輸入頭数の把握は観賞魚協会の方でできるのではないかと。これは別途話を聞こうとしているところでございます。
 トカゲの方ですが、アノールですが、グリーンアノール、ブラウンアノールは爬虫類の餌として輸入されているということで、両者合わせて、毎週、ある社では300個体程度輸入している。毎週300個体ということでございます。爬虫類の餌として、この2種に代わるようなものは少ないということでございました。例えばアノール類の輸入が禁止になった場合にですが、一部のヘビ愛好家が困るのではないかと。特に、個人で飼育することの多いヘビについてアノールを餌にしていることが多いということでございました。
 この餌以外に、ペットとして少数のアノール類が入っていると。例えばナイトアノール、ロケットアノールといったものが入っているということでございました。
 ほかのアノールについても、これまで30種程度輸入されたことはあるけれども、いずれも個体数は少ないということでございます。
 それからヘビですけれども、オオガシラですが、オオガシラヘビ属(Boiga属)の輸入が少数あるということ。ただし、ガンマオオガシラなど3種以外は輸入されてはいないだろうということでございます。ミナミオオガシラの輸入はないだろうということでございました。
 それから、タイワンスジオについては入っているものがあるということですが、食材として中国で利用されているものの一部が入っているようなものもあると。それから、輸入個体数は少ないだろうということでございました。
 それからヒキガエルですが、オオヒキガエルはアメリカ、スリナムから輸入されていると。ある社では年間100個体程度輸入しているということでございます。その他、ヒキガエル属として年間30種程度入っていると思われるということですが、これは基本的に数は少ないということですが、その中で多いのがここに挙げているヨーロッパミドリヒキガエル、テキサスミドリヒキガエル、ナンブヒキガエル、ガルフコーストヒキガエル、この4種については割と輸入が多いということで聞いてございます。こういった割と多いものは、未判定外来生物に入れると直ちに申請が出てくる可能性が高いというようなことを業者の方々がお話ししておりました。
 こういったことを踏まえて、今回、未判定外来生物の整理をいたしておりまして、資料1-4に戻りますけれども、カミツキガメを特定外来生物にした場合に未判定は基本的になしと。種類名証明書添付は、カミツキガメ以外に種類名をつけるものもなしということでございます。
 アノールにつきましては、先ほど幾つかの種が入ってきたことがあるということですが、グリーンアノール、ブラウンアノールを特定外来生物にしたときに未判定についてはアノール属を全種入れると。仮にアノール属のもので入れたいという申請があれば、そこは判断するということで対応しようと。今のところ、たくさん入っているという状況ではないということで、未判定として見るということです。証明書の添付はアノール属について全部つけるんですが、それ以外のものでは特にないということでございます。
 それから、ミナミオオガシラに関しては未判定についてBoiga属全種を未判定にする。これは、Boiga属も入ったことはあるけれども、それほど多くはないであろうということで、未判定にして輸入をストップさせて、申請があれば、そこで判断するということでございます。これも同じように、種類名証明書はBoiga属全種で、それ以外のものはなしということでございます。
 タイワンスジオについては、その近縁のものとしてスジオナメラというものを未判定にしておくと。種類名証明書は、似たものとしてホウシャナメラを入れておくということでございます。
 タイワンハブについては、ハブ属全種を未判定外来生物とする。これは日本のハブを除くということですが、ハブ属全種を未判定にしておいて、種類名証明書添付としてはヤジリハブ属も含めると。ハブ属プラスヤジリハブ属について種類名証明書をつけてもらうと。
種類名証明書は日本のハブについても必要になります。ほとんどないと思いますけど、日本のものを海外に持っていって、それを持ってくるような場合、向こうで生産させて持ってくるような場合が仮にあれば、それは日本のハブについても種類名証明書が必要であるという整理でございます。
 それからヒキガエルですが、オオヒキガエルについて特定にした場合、未判定外来生物は、一応ここではBufo属全種と書いてありますが、その中からオオヒキガエルと在来のヒキガエルと、それから先ほど輸入が多い、すぐに判定が必要になるという4種を除いたものが未判定外来生物として挙げる必要があるということで書いてございます。種類名証明書につきましては、これ、ちょっと今日議論していただきたいと思うのですが、「なし」と書いておりますが、一応、Bufo属以外のものとほかのカエルと見分けがつけば、種類名証明書は要らないわけですけれども、もし見分けがつかないようなものがあれば、ここで種類名証明書の添付が必要になろうと。
 それから、種類名証明書につきましては、科学的に見て見分けがつくかつかないかという議論が当然あるのですが、ただ、税関の方で、ある意味、素人に近いかもしれない税関の方が見るときに、ポイントを聞いたとしても見分けられないようなものがあった場合に、税関の方が「これは見分けられない」という場合には種類名証明書が要るようになりますので、今回、ここである程度答えが出ても、税関の方で、もう一度こちらから聞いて、場合によっては、こういったものも加えた方がいいという議論になるかもしれません。そのときには、また先生方にご相談する面も出ることがあり得ます。
 そういう意味で、今回示したのは、この7種の特定外来生物について選定対象とし、未判定外来生物は個々について、ここに記したような整理をし、種類名証明書についても、こういった整理をしてはどうかということでお示しをしているところでございます。
 説明の方は、以上です。

【太田座長】 ありがとうございます。
 ただいまの説明につきまして、ご意見、ご質問がありましたらお願いしたいと思います。

【千石委員】 全日本動物輸入業者ヒアリングですね、これ、飼育動物としての輸入にほとんど偏っているのではないかという気がして。把握している限りでも、ちょっと書いてありますけど、アカミミガメは、中国でとられたものだと思われるアカミミガメの生体が輸入されて販売されております。育て方によって甲の色が違うので中国のものだとわかるものが、ペット用と違ってアダルトで輸入されて、中国関係の食材とか、そういったところで生体が売られております。それは、量的にはペット用に比べれば相当少ないんだと思われますけれども、そういったところのが多分抜けているのではないかと。
 そういったようなことで言えば、そもそも、例えばスッポンモドキなんていうカメがいますけれども、ペット用のやつが事実上難しくなっているので、あれ食用として入ってきているわけですね。だから、押さえるときに食品としての輸入というものを、しかも、そういった食品が生体で入ってきていることが多いので、チェックする必要性がかなりあるんではなかろうかと。
 同じようにスジオなんかも、どうも食品として入っているのは、こんなものではないだろうと思われます。とりあえず、そういうことですね。
 あと、未判定の方で種類名証明書を添付というようなところで、見分けられないだろうというのは、まさに判定する人間の能力に物すごくよるものなので、かなり違うものでも区別できないという場合もあれば、かなりよく似たものでも個人によっては区別できると。一般的に言って割と混乱が見られるだろうなと思われるのは、カミツキガメが、もしそうなるのであれば、ワニガメは多分一緒に混同されるだろうなという気がしています。
 それからBoiga、頭のでかいタイプのヘビは多分これと同じように考えられると思いますけど、特にPsammodynastes、チャマダラなんかは割と混乱されるのではないかと。ただ、チャマダラは、あれは割と分布域が広いし生活力もありそうなので、Boigaと同じような問題も起こしかねないので、ひっかけておく必要性はあるかもしれないです。ちなみに、このチャマダラは若干毒がありますが、春、爬虫類のペットフェアにおいて非常に安く子供たちにも売られていたと。咬まれて指がはれたという電話がかかってきたことがあって、そういった点もひっくるめて何らかの規制が必要なのかもしれないです。

【太田座長】 そうですね。どこまで判別できるかというのは、専門家の視点とはまた違ったところの判断が必要になるので、慎重に検討しないといけないと思います。
 それから、確かに輸出入の現状を把握しようとしての調査に関しては、ペットだけではなくて、やっぱり食材としての部分というのは非常に大きな割合を実際には占めていると思いますし、沖縄のタイワンスジオに関して言えば、展示用というよりも、むしろ粉末にして健康食品として売るために持ち込まれたものではないかというような話も出ていますので、そのあたりは引き続き把握の努力をしていただければと思います。
 ほかに。今のご意見に関係した発言でも、また、それ以外でも結構です。

【安川委員】 ハブについては外国から輸入する場合、種類名証明書をつける必要があるということですが、それだとするとサキシマスジオについても同様なんですか。

【堀上補佐】 似ているかどうかで判断しますので、タイワンスジオと似ている、多分似ていると思うんですけれども、恐らく区別がつかないということであれば、それは在来のものであっても要るという整理になります。

【安川委員】 スジオナメラ類は外国でブリードされているものが変異個体なども含めて輸入されることがありまして、その中には、余りサキシマスジオは多くないですが含まれていますので、ハブも入れるのなら、当然サキシマスジオも入れる必要があると思います。
 それから、ヒキガエル類の輸入の多い4種については外すということですが、これらは種類名証明書を添付する必要はないんですか。そうしないと混乱が生じるし、多分判定がかなり難しいと思います。専門家なら見分けがつくと思いますけれども、税関レベルの職員の方が、よほど趣味的にやっていて詳しい人でもない限り、まず種類の同定は無理だと思いますので、これらは、もし外すということなら種類名証明書添付に入れないと。

【堀上補佐】 そういうご意見を承っているということで、入れたいと思います。それ以外に、例えばこのヒキガエル以外にヒキガエルと似たもので種類名証明書が必要かどうかということも、ぜひご意見をいただければと思います。

【安川委員】 それと、最後にもう一つですが、ヒアリングの方で、これは爬虫類の輸入業者という形でしたが、両生類、特に(その中でも)水棲種、あるいはカメについては、リクガメ科を除く水棲、半水棲のカメはかなり観賞魚のルートで入ってきて、特に中国などで養殖されているカミツキガメ、アカミミガメなどについては、大体爬虫類系ではなくて、そういう観賞魚系のルートで来るので、そちらの方のヒアリングも可能なら行っていく形でやっていただきたいと思います。以上です。

【太田座長】 ありがとうございました。
 そういう意味では、先ほど種類名証明書添付種については税関の方のご意見も聞きながら、いろいろ、またやるかもしれないというご発言もあったんですけど、ここで特に確定するものではないので、意見はどんどん言っていただいた方がいいですよね。
 ほかに、ございませんか。

(なし)

【太田座長】 ほかにご意見等がないようであれば、爬虫類・両生類について、今回、第1次の選定候補として挙げる特定外来生物、未判定外来生物等証明書添付については、資料のような整理とするということでよろしいでしょうか。

【堀上補佐】 1点、よろしいでしょうか。
 今回議論していただきたいと思っておりましたのが、前回、カミツキガメのところで、まだいろいろご議論する必要があるということでしたので、そこのところを少しご議論いただいた方がいいと思います。

【太田座長】 今のこの時間の議論で、実際にここに挙げられている、これは前回の議論を含めた事務局案、その後、いろいろ収集された情報に基づく事務局案なのですが、これについて、もう少し議論が必要なのではないかという感触を前回の検討会の議論内容から私は持っているのですが、そのあたりについて。例えば、今、事務局の方からもご指摘がありましたように、カミツキガメについて、これは前回、実は議論の大半をとっておりまして、指定することのメリットとデメリットのバランスで考えないといけないというご意見が出ました。それは全くそのとおりなんですが、そのあたりについて、どういうふうに考えるかということですね。そこについて、もしよろしければ事務局の方から、前回の議論を踏まえて、ここに案として載せているいきさつについて簡単にご説明いただければありがたいですが。

【堀上補佐】 前回議論でポイントになりましたのは、業者の方あるいは飼っている方を含めて、今、お手元にカミツキガメを飼われている方が、仮に指定をされるとなったときに、飼い切れないで逃がしてしまう可能性が非常に高いのではないかと。動物愛護管理法が改正になりましたときに、危険動物に指定されるということで規制されるのであれば逃がしてしまうということで、かなり逃がしてしまったということも考えられているということでしたので、今回もそういう恐れがあるのではないかというようなご懸念がありまして、それが一つのデメリットということでありました。
 一方で、メリットとしましては、動物愛護管理法では規制ができない輸入について、要するに蛇口を閉めるという効果が一つ高いと。もう一つは、きちんと飼うということで、ある程度罰則もかかるということもありますし、そのあたりのメリットがあるであろうと。
 もう一つ、ちょっと一般の方々は誤解をされているかもしれないんですが、外来生物法で規制されるということにつきましては、ペットに関しまして新規のペットの飼育というのができなくなるわけですが、今飼っているペットのカミツキガメを飼うことについては、申請をすれば、きちんと飼えるという状況であるということがわかれば、それは許可を出すことができるということです。例えば動愛法の危険動物で、条例で申請しているようなもので、ちゃんと飼っている場合、そういったペットについてはこれからも飼い続けることができるということで、規制されたからすぐ放すというようなことはないよう。そこは、むしろ、これから普及啓発しなければならない点としてあるということで、必ずしも今あるものを手放さなくてもいいよということは一つ言えますので、そこがデメリットになるかというと、個人で飼われている方は飼い続けることが可能でありますので、そこはデメリットではないだろうと。
 ということで、我々としては輸入を許可制にするということのメリットと、それからきちんと飼っていただくということについてもメリットとしてあって、デメリットの部分は、そのバランスで先生方、そこのところは考えていただきたいと思いますけれども、特定外来生物の候補として載っけていく必要があろうと考えております。
 動物愛護管理法の危険動物についてですが、基本的には地方公共団体が条例で規制をしているわけですけれども、今、条例ができておりますのが43都道府県ありまして、残りの4県はまだ未制定であります。残りの県についても条例制定の作業があるということも聞いておりますが、まだ43都道府県。危険動物について、その43都道府県のうち5県がカミツキガメについて対象にしていないという状況がありまして、全県で対応しているという状況では実はないということもございます。
 そういうことも含めて、今回、特定外来生物として外来生物法で規制するということについて、我々としてはメリットがあるのではないかというふうに考えているところでございます。

【環境省 上杉企画官】 ちょっと補足をしますが、動愛法の危険動物にしたときの遺棄が大分起こった背景の一つに、手数料が非常に高いという点と、それから飼育のための施設が相当厳しいといいましょうか、新たに追加投資をしなきゃいけないという面が非常に大きかったのではないかと思います。
 実は、特定外来生物法の規制がかかるにしても、今、飼っているもので条例上の許可を受けているということであれば、ほとんど追加的なものはないと考えていただいて結構だと思っています。つまり、実は法律上、手数料はかかりません。要するに、申請料は要らないということになっています。それから施設の方も、少なくとも条例で規制している以上に厳しくするということは、今のところは余り想定されていないという状況でありますので、今、そういうちゃんと手続をとって飼っている人については、そういう意味で、申請はしていただく必要性はありますが、ほとんど新たな負担はないという認識をぜひ広めたいというふうに思っています。
 それから、もう1点は、動物愛護法でどうしても対処できない部分としましては、既に野外で見つかっている個体等がありますので、そこの防除をどうしていくかという際に、一応この法律の枠組みをうまく活用することができるという点も、もう一つのメリットであるということでございます。

【石橋委員】 申請にコストがかからないという話なんですけれども、個体と申請した飼育者をリンクさせるような、要するに個体識別と、それからそれのIDですね、だれだれさんが飼っていますという。それが屋外で発見された場合には、これはだれだれさんのところから逃げちゃったとわかるような、そういうことは現時点では整備する予定がないということですね。

【上杉企画官】 そこは、今、議論をまだしているところです。そういう意味で、例えばマイクロチップを入れる入れないの議論は出てくるとは思っています。その部分は、そういう意味で若干負担がかかる可能性はあると。

【石橋委員】 現時点では、この整備によっては……。

【上杉企画官】 カミツキガメが例えば対象になったとしたときに、今飼っている人にどういう形で個体識別をしていくのかということについて、完全に決まっているものではないです。ただ、システムとして、マイクロチップなどを使った個体登録的な発想といいましょうか、それは当然我々も持っています。ただ、問題は、情報としてシステム的に我々は整備をしていきたいというふうに思っていまして、それが今飼っている人にどこまで普及することができるかというところと合わせて考えていかなきゃいけないということは考えています。そういう意味で、基本的にはマイクロチップ、入れられるようなものについては入れさせるようなことを考えていきたいと思っていますので、確かに、その点は新たな負担が生じる可能性はありますが、申請手数料みたいなことは考えていないという趣旨です。

【太田座長】 よろしいでしょうか。

【石橋委員】 参考までなんですけれども、カミツキガメにチップを入れるとなると、かなり危険な作業にならざるを得なくて。その当事者、矢面に立つのは我々なので、かなり危険な作業で、そうすると全身麻酔になってくる。それのコストが相当かかりますので、もし、そういうプランがあって検討されるときには、コストということについては、また聞いていただければ答える用意はあるんですけれども。
 あと、危険動物の条例で、もう申請している方に関しては、余りおとがめなしで、そのまま飼ってくださいというのは非常にすばらしいんですけれども、結構無視して飼っている人も相当数いると思うんですね。ですから、ここでダブルで法律がかかってくると、もはやこれまでということで、第2次遺棄ブームがやってくる可能性が十分考えられますので、そういったことも十分考えておかないと。今、これを指定してしまうと、もう間違いなくそれが起きると思いますので、デメリットは比較的ないと考えたいところなんですけれども、それはもうほとんど性善説に基づくデメリットがないという仮定ですので、その辺もご検討いただければと思いますね。

【上杉企画官】 1点。マイクロチップだけで識別システムをつくれるかというと、ほかの生き物も含めると、なかなかそういうわけにはいかないものですから、それぞれの生き物の特性に応じて識別をしていきたいというふうに思っています。そういう意味では、そのほかの方式、カメについて個体識別をするようないい方法があれば、ぜひ、そういうので適用できないかなというふうにも思っています。
 もう1点の闇の部分、ここは、実はもうデータのとりようがないところがありまして、ストックは相当あるという話もあり得るわけですが、現実にどれぐらいあるかというのは、ほとんどもう把握のしようがないのが現状だと思っています。とにかく野外へ出ないようにしてもらうのが一番大事であると思いますので、そこの普及もあわせてやっていく必要性が非常にあるのかなと。むしろ、これ、遺棄すること自体の方が罰則も非常に重い、個人で飼っている場合に許可を取らない罰よりは捨てる方が罰が実は重い、法律はそういう構造になっていますので、そこもあわせて普及・啓発をしていかなきゃいけないだろうと思っています。

【太田座長】 ほかにございませんか。

【千石委員】 カミツキガメに関してですけれども、そもそも遺棄の起こった大きな原因が危険動物・特殊動物で、あれの多分根本的に間違った基本想念として、こんなものを飼ってはいかんではないかというふうな感じがあって、登録しろと、登録料を払えと、それからまた未成年は飼ってはいかんというふうなところで捨てられたわけですよね、ほとんどの場合には。今回、それで登録すればいいということで、外来生物法の方で登録をすると。登録をすると、特殊動物としての届け出の方と当然リンクするわけで、そこのところで、今まで払っていなければ登録料を払わなきゃならないというふうなところで全く同じ話になってくるわけですよね。そのようなことに関して、どんなふうに。

【上杉企画官】 そういう意味では、既に自治体の条例での登録手続をしている方で見れば、新たな法の申請に伴う手数料みたいなものは当然要らないということですから、既に自治体関係でやっている分については、引き続きその自治体が条例で規制をする以上は二重にかかってしまうという状況が一時期出現してしまうことにはなると思います。ただ、今までやっていない方が、法が厳しいのができたので、それはやはり申請しようということであれば、もちろん自治体によっては手数料を払って新たに手続をするという方も出てくる可能性はあるんだと思いますが、そこは先ほどの、今、まさにそういう水面下でいる方がどれぐらいいて、表にどれぐらい出てくるかということについて、ちょっとまだ今のところデータ的には見通しがよくわからないのが現状ではあります。

【千石委員】 外来生物ないし潜在的危険な動物を飼うのに登録をするというのは、これは結構重要な作業だと私は思いますが、そのことに登録料を課すというのは、多分逆の効果を生む場合が非常に多いのではないかと。これは、この外来生物法の問題ではなくて関連する動愛法の問題なんですけれども、あれの登録料みたいなものを下げる、ないしただにするというふうな発想なんかも多分必要になってくるのではなかろうかと思いますが。

【太田座長】 今の点については、ここだけで余り確定的な話ができない部分だろうと思いますけれども、見通し的なものがあればお願いします。

【上杉企画官】 自治体が、多分これ登録料というのは単純に事務をすると。自治体として、種類によって料金を変えているのは、多分、いろんな巡回を含めて非常に行政経費がかかるのを賄うために手数料を取るというのが建前といいましょうか、自治体条例をつくる際の普通の考え方になっています。そういう意味で、そこをやっちゃいけないとか、そういうことには多分ならない。原則的に、いろんな自治体として事務をする際に財源をどう賄うか、一般的な税金でやるんではなくて、個別に、例えば使用をすることで、それなりの個人がメリットを受けているという人から手数料をもらって事務的に対処するんですというのが一般的な考え方になっています。そういう意味で、登録手数料を自治体が下げるなり、やめるなりというのは、それぞれの判断だと思いますけれども、一律にどうだということはなかなか難しいんではないかと思います。

【石橋委員】 遺棄は非常に重罪であるというのが看板にかかって、それが非常に抑止力になるであろうということなんですけれども、やはりこれ、持ち主と個体のリンクがきっちりしない限りは、ブラックバスが池にいっぱいいるのは見えますけど、それを投げ込んでいるところを僕は見たことがない。要するに、現行犯逮捕が成立しない限りは遺棄を取り締まることは不可能なわけですから、捕まったら確かに重罪だけど、捕まる可能性が極めて低いということなので、余り抑止力にはならないのではないかなと思います。

【上杉企画官】 そこが従来とちょっと違いますのは、運搬という行為も規制をしております。つまり、許可証を持たずに持ち運んでいれば捕まえることができると。もう全く従来とは状況が違います。捨てているところじゃなくて、持っている際に許可証がなければ、既に、そこで実は捕まえることができるということになります。もちろん、それは遺棄ではなくて、使用等の許可を持っているか持っていないかの違反ということになりますけれども、そういう意味では、単に捨てたところだけを見るのではなくて全体的に見ます。最終的に捨てているところが見つかれば、それは重いのがかかるという構造になっています。

【石橋委員】 ということは、持っている人を偶然見つけて、当然わからないように持っているとは思うんですけれども、例えば警らの巡査とか、そういった方にそういう動物の識別能力を教育して、なおかつ、そういう人たちが町でカメ発見ドッグみたいなのを連れながら見つけるとか、そういうことでもない限り、やっぱりそれは防げないと思うんですよね。だれが摘発するのかというのは、どういう感じになるんですかね。

【上杉企画官】 一般的に言えば、最終的には警察力というのか、そういうのを使わざるを得ないと思うんですが。もちろん、全くそういうことが起こらないような緻密な監視システムというのは、それはもう不可能でありまして、これはけん銃や麻薬でも同じなんですけれども。ただ、持っているところを見つかった際に、ちゃんと許可証があるなしで、そういう意味では、かなり判断が非常に楽になると。今の状態で言えば、そこのところがわかりにくいところがあるわけですね。自治体の条例でもちろん規制されている部分は、それはあると思いますけれども、今回の法令で言えば、運搬をする、あるいは譲渡・譲受も含めて全部規制がかかるというところで言えば、従来よりは、そこのところをきちっと見ていくことがやりやすくなっているという仕組みにはなっていると思います。

【太田座長】 ただ、特に犬なんかは従来からかなり厳しく、野生化した場合、直接人に対していろいろな危害を加えるということで、管理あるいは予防注射なんかも含めた法的あるいは自治体レベルでの条例なんかで、いろいろな規制がかかっているはずなんですけど、実際には捨て犬というのは物すごく多くて。カメ以上に、多分、犬を捨てるということは、いろいろな意味で精神的にもストッパーがかかりやすいと思うんですけど、しかし現実にはあちこちに捨てられて野良犬が増えてということが起こっていますから、そこがやっぱり余り楽観的にはできないところで。私としても、やっぱりポイントは、捨てた場合に、だれが捨てたかがわかるような、つまり外で発見・捕獲された場合に、これはトランスポンダーを当てて「ああ、このバーコードはこの人が登録していたはずだ。あなた、捨てたでしょう」というところまで追えるようにならないと、なかなか抑止力にならないのかなという気はしますけれどもね。そのあたりは、またご検討いただければと思いますが。
 それから登録料に関しては、とりあえず規制がないところからあるところに移る段階で、突然に登録料をとても高く取ってやるということが、今、千石さんがおっしゃったように、非常に野外の遺棄を促進するような一つのあれになるというのは、もう明らかにそうだと思うんですけれどもね。ただ、一方で、将来的なことをにらんでいくと、じゃあ気楽に飼えるものにしておくのか、それともある程度金銭的にも覚悟しないといけないものに引き上げていくのかというところは、また別の話だと思うんですけれどもね。そのあたりも、多分、ちょっと長い展望で考えていかないといけない問題じゃないかなというふうに個人的には思います。

【千石委員】 今の話に絡んで言うと、カミツキの場合には、既に飼われている状況があって、しかも未成年を十分に含む段階があって、そういう状況の中で、いきなりそんなものが出てきて「年間2万円払えよ」とか何かと言ったら、それはもう適応し得ないのであって。初めから覚悟があって飼うべきだというのは全く太田委員のおっしゃるとおりの話なんであって、そういうことで言えば、初めに、こういったものを飼うときには、これこれこういったお金が、別に飼育そのものじゃないにせよ、かかるんですよというふうなことを、始まる前になしておくべきだろうというふうには思いますね。犬を飼うのにさまざまな法的な規制もあるし、まともに飼う人だったらちゃんとそれをやっているわけだから、ほかの動物についても、すべてそういったシステムがあってしかるべきだと思うし。だからICチップみたいなものについても、本来あってしかるべきものだと私は思いますね。

【太田座長】 ほかに。
 ちょっと議題を戻したいと思いますが。今、出ましたように、特にカミツキガメばかりが出ていますが、カミツキガメについてメリット、デメリットをどう判断するかというところにちょっと戻したいんですが、多分この委員の中では、かなりメリット、デメリットの個々の項目に関しては、もう共通認識はできているというふうに私の方では理解しますが、それで最終的にどう判断するかというのが今あるわけです。そのあたりについて、ご意見があればお願いしたいんですが。

【石橋委員】 要するに、整備しなければいけないことが多過ぎるので、かつ、今、指定してしまった瞬間から起きる問題が多過ぎるので、時期尚早というか、継続審議とか、そういうことがある以上は、まだそっちに回しておいた方が無難な種類かなというふうな印象は受けます。

【安川委員】 多分、指定されると同時にかなり捨てられるということは予測できると僕も思います。そのために、防除の仕組みとかをもう少し整備して、例えば具体的に指定したと同時に防除活動をスタートさせるというような、やはり初期に、捨てられた直後にどれぐらい回収できるか。それから、同時に、今日参考資料として私の方でお配りしたぶりくら市というイベント(日本国内の飼育下で繁殖させた爬虫両生類の流通促進を図るイベント)での調査ですけれども、どれぐらい登録に負担がかかるか。この場合の登録というのは、この法律だけではなくて条例上の場合も含むわけですが、それの負担がかかる場合、あるいは、そういう指定のかかるものを飼い続けることについては、やりたくない、どこかで引き取ってほしいという人がかなりいますので、そういう方の対応をどうするかまで決めた上でないと、現時点ではちょっとデメリットの方が多過ぎるかと考えます。

【太田座長】 ほかに、ありませんか。

【千石委員】 特定生物に指定されれば、安川委員のおっしゃるような遺棄は確実に起こるだろうと思いますけど、一方で、特定種にしない限り国内のものの駆除だとかなんかに関して有効な手立てを打つ方法はないわけですよね。後は量的なものだとか実効性の問題になってくると思いますけれども。
 ちょっと離れますけれども、要注意外来生物ってありますよね、これ。こういうものになる、例えば今回、アカミミガメの方は明らかに捨てられる数が多くなり過ぎるだろうというところで、初めから入れないだろうというふうな暗黙の了解みたいなものがあったんですけど、そういったものもひっくるめて。アカミミガメだけじゃなくて、水棲の温帯域にいるようなカメなんていうのは、ほとんど全部、要注意外来生物に入れていいんじゃないかというふうに思うし、もし外した場合に、そういった移行措置、それから要注意外来生物について、また実効的な方法を、できるところで手を打っておく必要性があるだろうというふうに思いますね。

【太田座長】 要注意外来生物については、全くおっしゃるとおりだと思います。
 ただ、ちょっと私の方として問題にしたいのは、前回に余り情報としてなかったところで、今回の、先ほど出していただいた資料2のカミツキガメのところで、依然としてカミツキガメの輸入が、この環境省の方でヒアリングを行ったA社だけで月50頭、2カ月で100頭を輸入している。しかも、これは状況から見て幼体で、かなり安価な値段で取引されているのではないかと考えられるんですが。確かに、今、石橋委員、安川委員がおっしゃったような体制の整備をしないといけないという、それは多分早急に取り組まないといけない課題で、規制する以上は必ず責任としてついてくる問題だと思うんですが、それを先延ばしにすることによって、こういう数のものが流れ込んできて依然取引される状況が、入れる方は売れるから入れるわけでしょうけど、あるということについて、これを指定すれば規制にかけることができる。指定しなければ、これを規制することができない。つまり、先延べにすればするだけ、これだけのペースでそのものが流れ込んでき続けるというところをどういうふうに考えるかですよね。
 今、確かに、非常にそういう大量放棄・遺棄が起こりかねないところに対応する整備が必要で、それが不十分であるというのは、多分ここにいる委員全員がその点については意見が一致していると思うんですけど、その部分で、例えばこれから先、来年に向けて整備される可能性があるか、それが何年先になるかということと、その間に流れ込んでくるものが、また一定の割合で遺棄されて、より広範囲に野外定着個体群ができてしまって、それがより除去しづいらい状況に陥っていくのではないかと、そのあたりを全部はかりにかけないといけないと思うんですけれどもね。
 私個人の意見としては、ほとんどものが入ってきていないという考え方で、前回、これは座長としてではなくて1人の委員としてなんですが、そういう中で、やはりこれはちょっと先延べにしておいた方がいいだろうとかなり強く感じていたんですけれども。この継続して輸入されているというところを何とかしないといけないということについては、今の時点でも、もちろんやりようによってとんでもない遺棄が起こって、アカミミガメで生じたようなもの、あれほどひどいことにはならないとは思うんですけど、かなり同時に野外での除去、あるいは引き取りですね、それよりもまず。とにかく、行政側はちょっと楽観的に考えている節が、申しわけないけど、僕は強く感じるんですけど。そこについては、やっぱり早急に取り組まないといけない。同時進行で、だけど、もう規制の枠はかけて、輸入については抑えていかないといけない。もうそういう状況にあるような気がしてならないんですが。これは委員としての意見です。いかがでしょうか。

【千石委員】 同じようなことは大概のカメについて起こるわけで、カミツキガメの場合には、生態系への影響はほかの水棲のカメについても大きいだろうなと思いますけれども、はっきりと把握されている例があるのでわかりやすいんですが、アカミミはご承知のように非常に広がっているし、ある特定の種類についてカミツキと同じようなレベルでもって調べてみたら、もうかなりの個体群を確立していて何らかの被害を起こらせているという種類も十分考えられるわけです。それで、そういうことで言うと、アカミミを外しているわけですけれども、アカミミは現実に一番たくさん入ってきているわけですし、新たな飼育というのを指定しなければどんどん増えていくわけです。そういったことを考えると、何でカミツキだけがという感覚を持つ人も多分いるだろうなというふうには思います。
 ただ、特に影響がはっきりしているし、定着の例が出ているからというのを根拠にして、それを支える裏づけがあるんだということにおいてカミツキを指定するということであれば、私は太田委員の意見に賛同いたします。

【安川委員】 確かに一月に50頭程度、これは一つの業者ということなので、もう少し数は来ていると思うんですけれども。ただ、ここだけでもストックが200頭程度ということで、1,000頭程度の飼育する枠がありということもありますが、実際に飼われている数は、やはり膨大なようで、この輸入数に比べて数百倍程度の数が多分飼育下にあると思います。しかし、聞く限りにおいては登録を実際にされている例というのはかなり限られるようで、そうなると現在飼っている人の多くは条例違反の状態で、もちろん条例がない県やカミツキガメが対象になっていないところで飼っている人もいるでしょうけれども、そういう人が、すんなり登録してということは余り期待できないと私には思われるので。その場合、この時点で入れてしまうと、全国的に相当な規模で捨てられるということが私は非常に危惧されるので、それを考えると、もう少し、実際に登録しないで飼い続けられるのだとか、あるいはこれぐらいの施設が必要なのかとか、あるいは県単位で条例の改正をしているところとかが、どれぐらいの規模、要するに飼育設備として、あるいは登録の費用をどれぐらい予想しているかとかがわからないと、この時点では捨てられる量の激増というのは恐ろしいというふうに考えます。

【千石委員】 あと、輸入される先の話なんですけれども、輸入元ですよね、アメリカというのが基本的に考えられていますけれども、実は中国でかなりよく食用にされておって、中国でも相当養殖しているんですね、今現在。それが入ってくる。アカミミガメなんかが明らかに食品として入ってきているのは見ていますし、カミツキも、向こうでよく評価されているので向こうで消費されている部分が多いと思いますけれども、在日中国の方だとか、そういう食生活を持っている方も日本にもいらっしゃいますから、そういうのに向けて入ってくるというのは十分考えないといけない。そこのところが、ちょっと抜けているんじゃないかと。要するに、今は一度手元にいたペットの逸脱だけ考えていますけれども、食品として入ってきているものだとかは、多分生体での取引を禁止するというふうに、ひっくるめて論議した方がいいんじゃないかなというふうに思っています。

【太田座長】 それは、例えば食用ガエルなんかの取引、ウシガエルなんかの取引についても関係してくることで、ちょっとまた別途で議論しないといけない問題ではないかなと思うんですけど、食用については。逆に、食用というのは、ペットとはまた別の意味での経済的・産業的な問題も出てきますので、そのあたりはちょっとまた別途議論したいと思います。

【千石委員】 量的に結構多いところが問題なんです。

【太田座長】 それで、メリット、デメリットの話の延長なんですが、そうすると、今、安川委員がおっしゃっていることは非常によく理解できるんですが、これを例えば継続審議として1年延ばしたとき、あるいは2年延ばしたときに、どれくらいのメリットとデメリットが考えられるかと。そのあたりのことについては、いかがでしょうか。

【安川委員】 まず、ここの業者だけでも50頭ですから、1年程度延ばした場合に大体600頭前後、ここだけではないですから1,000頭前後入ってくると思われるんですけれども、輸入されるのが幼体で、必ずしもそれが全部大きくなるわけではないので、これまでの輸入数から考えると、それまでは本当に年間数万頭の単位で20年ぐらいは入り続けていたわけなので、それを考えると、この数というのは重大なデメリットとされるほどではないのではないかと。むしろ、現在飼われている個体数が非常に多くて、その中のかなりの数が登録されておらず、こうした厳しい法律ができると、仮に条例上の許可を得ている人はすんなり飼えるとはいえ、条例上の許可を得ていない飼育者は相当に多いように感じていますので、そうした人間がすんなり登録できるような方向は、費用などの点、あるいは各自治体とかの飼育する際の施設に関する、これだけのものが要求されるというのは非常に厳しい点などを考えると、すんなり登録されるとは思いがたいので、そのあたりが改善されないときには、やはり大量に捨てられるというデメリットの方が多いのではないかと考えます。

【太田座長】 ただ、そのあたりの、例えば登録料だとか飼育施設の条件というものが、これからのあれでより緩和される、そういうことが期待できるかということですよね。

【安川委員】 そうですね。それは、先ほどのお話でも余り期待できないと思うんですが、もう一つ、幾つかの既に指定されていない県向けに販売するために輸入されている面が強いようですので、実際、指定されていない県の人でたくさん買い集めている人がいたりするようですので、そういうのは現在制定中の県などが制定することで減少することはあり得るのではないかと思っているんですが。
 ただ、先ほどのお話では5県ほどですか、カミツキガメを対象にしていない県があるので、確かにそれを考えると、そういう県向けには販売が成立し続けるとは思います。

【太田座長】 指定していない県と全くそういう条例そのものがない県と、合わせて9県です。

【安川委員】 ええ。それで、その4県は制定準備中ではないんですか。

【堀上補佐】 正確には、準備中なのは1県です。残りは未定です。

【安川委員】 未定ですか。わかりました。そうなると、先ほど言った条例の制定で販売が減るということは、ちょっと撤回させていただきます。

【石橋委員】 今、アンダーグラウンドで飼っている方が、すんなり新しい法律に対しても申請していくということの難しさは、今まで条例違反をしていたということを公的に認めることになるので、それを考えても、まず不可能だと思うわけですよね。ですから、それをさかのぼっておとがめなしっていうようなこととか、だから今の時点で、今、飼い始めたということにして県の条例なんかの申請も一緒にしましょうねということすら準備してあげないと。昔、帯広にあった不要犬ポストみたいなもので、夜中にこっそり「ここにカメを入れていいですよ」というのを設けてあげても、いや、殺されちゃうんだったらかわいそうだから池に放したいという心情もありますから、やっぱり遺棄は避けられない。
 今、入ってくるものに関しては、結局、入れている業者さんはそんなに多くないわけなので、法でくくらなくても、司法取引とは言いませんけれども、何か行政指導のような形で、ちょっと輸入数を抑えてくれないだろうかみたいな、そういうやんわり交渉する。要するに、飼育文化というものが健全で安泰であることによって輸入業さんも繁栄して食べていけるわけですから、その辺の良心に訴えようというレベルの交渉でも。輸入数、ちょっとカミツキガメに関しては今こういう審議中なので、ここ何年か少し考えられないかみたいな、そういう交渉というのは成り立つのではないかなという気はしますけれども。

【太田座長】 そのあたり、いかがですか。

【上杉企画官】 もちろん、そういう呼びかけはできますけれども、あくまでも強制力のないものになりますし、それは営業上の、例えばデメリットに対してこちらとして何の対処もできないということで言えば、そこも甘い幻想の部分は当然あると思います。

【太田座長】 ほかに、ご意見はありませんか。
 これは私の印象なんですが、各委員、メリット、デメリットも十分に理解した上で、やはりちょっとまだ議論が尽くされていない、あるいは情報が出そろっていない、そのあたりの考えを持っているというのが私の印象です。
 それで、一つ、ちょっと事務局に伺いたいんですが、今、特に各委員の方から出ていた、これはもう前回も問題になったところなんですけど、制定されて遺棄が増える状況に対して何らかの取り組みというか、形として示せるような整備ですね、受け入れ体制。あるいは、どうしたって受け入れても、もちろん飼い続けることは難しくて殺処分という形になってしまうことが多いのかもしれないですけど、そういうことも含めて具体的に何か、特にこういう問題になりそうなものに対して、行政として対策はとれそうかどうか。これを、つまり継続して審議して、来年度また再び審議するときに、何がしか、そういうところについて前進のある回答が得られそうかどうかということについて、ちょっと難しい質問だとは思うんですけど、ご意見を伺って。

【上杉企画官】 基本的に、引き取って国が飼い続けることは、あり得ないと考えます。これは、国の予算を個人がやっていることの後始末のために、飼い続けるために出すということは、もう100%ないと考えていただいていいと思います。
 ただ、例えばあっせんをすると、どこどこの動物園では引き取っていただけますよと、そういう情報を流通することは当然考えていきたいと思っているんですが、生かしたまま国が飼い続けることは、もうこれはないと、そこだけはっきり言えます。

【太田座長】 そういうことだと、これを先延ばしにして、ここで継続審議として考えるという選択肢は、何か私には残念ながら余りないような気がするんですが。ですから、現時点でとめるということをメリットと考えるか。それともカミツキガメに関しては、もうこのまま規制の枠の外に置いて考えざるを得ないというふうにするのか。かなりこれはシビアな話だと思うんですが、いかがでしょうか。

【千石委員】 継続審議にするというのは、時間的に数カ月だろうと1年だろうと2年だろうと、法的な中身の変更がない限りは余り意味がないですね。情報が集まってきたところで、じゃあ何なのということなので、法を変えるということを伴わない限り何ら意味がないと。もちろん考えていただくし、関連する諸法律についても、こういった問題点があるんだということは、これからも出ていく必要性はあるだろうけれども、そこのところの動きがない限りは、待っていれば待っているだけ、確かに入ってくるわけですよね。出ていくことは、基本的にはない。例えば中国で食べるわけですけど、食用にしているわけですけど、海外の物価の差によって日本から輸出することは多分ないだろうと。あ、あり得るのか。まあ、そういったこともあって。
 カミツキガメのみならず、淡水性のカメ類というのは日本の生態系に対してかなり物すごく問題を生じさせつつあるというときに、アカミミガメはその他、もちろん規制すべきものだとは思いますけれども、諸般の事情をかんがみると指定しない方がいいだろうというふうに思われるわけですね。別に、そういったような問題が生じて名前が挙がっているから、そうなるということだけなわけです。もし、ここでカミツキガメを外してしまうと、カメというものに対しての注意を喚起できなくなる恐れがあるということで、カミツキガメ及びカミツキガメの飼育者には多大な犠牲を払っていただくことになるであろうとは思いますが、何らかのカメが入っているところ、それと、かつ、また先ほども申しましたけれども、被害とか分布の広がりだとかがかなりはっきりしている、また海外での生態系の影響もはっきりしているカミツキガメを入れるということに対して賛成しますというか、太田委員が結論を急いでいるようなので、私としてはその辺のところで。

【太田座長】 議論は尽くさねばならないと思いますが、要するに、全部をはかりにかけたときに、継続という選択肢は私には何か余りメリットが考えられないのではないかなということを申しただけで、ここでの結論を急いでいるわけではありませんが。ありがとうございました。

【安川委員】 もう少し、引き取りだとかに関して、法律以前の段階から動けるというような前提に立って考えていたような面があるんですが、現時点では、それはかなり難しいようですので、そうなると、輸入をとめると同時に、この法律の対象者になるということで、防除の対象として特に取り上げていただけるという前提があっての話ですけれども、その上であれば入れることにも賛成したいと思います。ただ、やはり、そのあたりの防除については相当積極的に対処していただけないと、非常に恐ろしいことが起きると思っております。

【石橋委員】 動物園での引き取りというのは事実上、不可能なので、全部殺処分になると思うんですけれども、要するに、制定その日までに、もうあすから準備できていますという状況において、殺処分の方法と場所ですよね。処理の方法ですよね。それにかかる費用の負担のやり場。それから、遺棄の管理として個体の識別、持ち主の明確化、それの費用は安価にしなければならない。そして、かつ保持の摘発システムですね。持ち歩いていたり、あるいは違反で飼っていたりということに対する摘発システムというものが整備されなければならない。登録のしやすさということにおいて、過去の条例違反を問わずに、そのスタート時点で国及び県の条例というか申請がおとがめなしでできる、それに関しては費用がかからない。飼育設備ということに関しては、あらかじめ心の準備をしてもらうしかないんですけれども、アンダーグラウンドで飼っている人たちには。そういったことが、その当日までに全部整備できていて、なおかつ、その日にいろんな不都合なことが起きたときには、全部それのシステムが稼動して池に投げ込まれるのが防げたりとか黙って飼っている人がちゃんと摘発できたりとかっていう、すぐにそれが有効になるぐらい整備がし終わっているということが前提であるならば、今、入れちゃってもいいのかなという気はします。

【太田座長】 今、石橋委員がおっしゃったのは、どれも大変難しいあれだと思うんですが、そのあたりが課題で早急に取り組まないといけないということは厳然たる事実だと思うんですが、そのあたり、どうですか。

【上杉企画官】 例えば自治体の条例違反を不問に付すというのは、これは無理な話であります、はっきり言って。それを前提にするのであれば,いつまでたっても、100年たとうが1000年たとうが、それは無理な話であります。既に違反をしているわけですから、そこを何とかするということはあり得ない話ですね。

【石橋委員】 自首をしろというのも、あり得ない話ですね。

【上杉企画官】 ただ、それは、もう本人が違反をしているわけですから、そこを不問に付すということはあり得ない話なんです。それを前提にした議論というのは、もう成り立たないと思います。少なくとも、その点はそうだと思います。
 それから殺処分云々も、本来はすべて飼っている個人の責任で、終生飼うのが当然の話でありまして、そこを抜きにした議論はあり得ないわけですね。国が引き取って殺処分する、これも多分予算上はもう無理なんです。責任がないという言い方をするしかないんですけれども。そこのところは、やっぱり飼っている個人個人の本来の責任でありモラルであり、そこを抜きにした議論は本来成り立たないわけです。
 少なくとも、今、手続をしている方について言えば、個体識別で若干負担は出る可能性はありますけれども、法で国が許可制で管理をすると。これは自治体でやりませんで国が全部直轄でやりますので、条例等の手数料も一切かからないわけですね。そこは誤解のないように我々も普及したいと思っているんですが、そういう意味で、今の自治体の条例でやっていることを国として「こうしなさい」というのも、できる話でもないと。なおかつ、既に違反状態になっている人に対して、それを不問に付すということも、これはもう基本的に自治体としてもできない話であります。そういう前提で考えれば、多分、指定するしないにかかわらず、ずっと放置するということしか結論はないのではないかなというふうに思えてしまいますけれども。

【太田座長】 法律論から言えば、行政はそういうふうに答えるしかないし、そうしか答えられないというのはよくわかりますし、まさに、おっしゃるのは非常にきっちりした原則論だと思うんですけれどもね。ただ、この種の問題で我々が考えないといけないのは、結果であって、結果がすべてであって、どれだけすべての原則をまっすぐ通して正論でやっても、結果として次の世代に、そこらじゅうにカミツキガメがうろうろしているような状況になったら、もうはっきりとこれは失敗だったということになるわけですね。だから、そこをぎりぎり、もちろん原則論以外のものは全くできないでしょうけど、例えば、さっき話に出た北海道にある犬を入れていくポストですとか、何がしか、多少なりとも対応をすることはできないのかなというのは、正直、私自身も感じることですけれどもね。

【上杉企画官】 基本的には、国でやるにしても予算措置なり体制がかかりますが、それは極めて困難が予想されます。理屈上の世界で予算というのは要求することになりますので、なぜ国が引き取って飼い続けるのかという説明は、もう恐らく100%不可能なことであります。それから、そんなに数がいっぱいあるものを、そもそも収容する場所すら確保することは無理であると。それを前提にした議論は、はっきり言って、もう、今、幾ら言っても、何年かけても解決は不可能な話だと思っています。だからこそ、もちろん現実にそういうのが起こり得ることは当然我々も認識をしている部分がありますので、起こらないようにどうしていくかというのは考えなきゃいけない部分ではあるんですが、引き取りが前提であるとかということになった瞬間、これはもう本当に何年かけても簡単には解決できない話だと思います。

【石橋委員】 予算がないということに関して非常に理解できたんですけれども、そうしますと、この法律の求める結果というのは、日本の河川にカミツキガメがいちゃいかんと、そういう話なわけなんですけれども、現実に、これが今、この状況でゴーサインが出てしまうと、安川委員が言ったみたいに日本の河川にカミツキガメがあふれるわけですよね。そうすると今度は、この法律のアクションとしては駆除という話になってくるわけなんです。これは引き取り・殺処分と同等の予算がかかるわけなんですけれども、その予算がないということは、事実上、駆除は不可能だというふうに理解してよろしいわけなんでしょうかね。

【上杉企画官】 そこの工夫のしようはあるのではないかとは、もちろん思います。つまり、飼い続けるという前提の議論は多分もう難しいと思うんですけれども、いずれにせよ、野外にいるものを防除していくという段階でいえば、いろんな処分の仕方がもちろんあるということになってきますので、そこのところとうまく組み合わせて考えていくやり方はあり得ないわけではないですが。ただ、いずれにしても予算措置は必要でありまして、そこは簡単ではない話であります。なぜ、今、個人で飼っているものを国が責任を持って引き取ってやらなきゃいけないのかということについては、かなり議論があるわけですね。
 そういう意味では、理想論で言うのは余りよくないんですが、本来的には個人が自分の責任で飼うということでやっているところを、あれこれ行政が出ていくものではないというのが建前の議論になってしまうわけですが。現実に法律の目的としている野外に出て生態系被害を起こさないことを達成するためにどんなことができるのかという面で、もちろん我々としては、そこは工夫をしなきゃいけないところだとは思います。現実的には、全国の非常に広範なところで飼われている実態の中で、それをシステム的にどうするかというのは、相当な大変な作業になるということだとは思います。

【石橋委員】 個人の方々に最後まで飼っていただくというのが理想であり前提でありということなんですけれども、この制定が個人の方たちが飼いにくい状況をつくっていく、遺棄しやすく飼いにくい状況をつくって、そういう状況にそういう人たちを追い込んでいくという側面もあることを認識しないといけないのかなという気はするんですね。池に落ちているものに関しても持ち主はいないわけですから、これはもうアクションとして、とにかく捕まえなければいけないわけです。その数が、恐らく引き取りもなし、要するに飼っている人からの直の引き取りで殺処分というのはなしというのはわかったんですけれども、いるやつに関しては捕まえて処分しなければいけないということがスタートするわけなんですけれども、その予算というのは、恐らく個人から引き取って何とかということ以外に、やっぱりしっかり予算を落としていかないと、駆除にかかるお金というのは相当なことになるのではないかなと。お金が出る額は同じことになるかなということですね。

【上杉企画官】 現実の環境省が今持っている予算からいうと、とても追いつかないだろうと思います。現在、例えば印旛沼ですか、もう既に野外で発見されているような場所で防除をやるにしても相当な予算がかかると。それはどういう形でやっていくのかというようなことすら、まだ議論は端緒についている段階に過ぎないというふうに思いますので、それをどういうふうにやっていくのかというのは非常に大変な作業、予算もそれなりに見ながらやっていかざるを得ない話だと思います。
 もちろん予防的に考えれば、そういう野外に出る前に引き取ってできるということができれば最もいいわけだというふうに我々も考えるわけですが、現行の国の予算のシステムからすれば、そういう制度をつくるというのは、そう簡単な話ではないというのが現実の話として当然あります。そういうのを前提にした上で、我々としては、とにかく水面下にいる方がどれぐらいというのは、そういう意味では、よくわかっていない部分がすごくあるわけですけれども、そこの方々でない部分ですね、正式に手続をしている方は、少なくともそんなに大きな新たな負担はなしに、ちゃんとそのまま適正に飼い続けていただける前提で話をしていくしかないというふうには思っておりますし。水面下の方が例えば今回の法律の対象になったことで、どういう動きをするのかというところをどう読むかという議論について、きょう、ここであるような話は当然もちろんあり得るということはよくわかるわけですけれども、そっちのインパクトをどの程度考えていくのかという話なんだと思うんですね。これは多分カミツキガメだけに限らず、他のやつも全部同じような議論が当然あるんだと思っていますけれども。ほかの種類の、例えば哺乳類の関係だって、同じような議論は当然ありますし。

【太田座長】 多分、外来種がこれ以上増えたとき、あるいは明らかに希少種や生態系に対して影響を与えたときに、どれくらいの予算をとって、どういう駆除をしていくかというのは、今の行政側の立場としては言質になるようなことは一切言えないと思うんです。
 ただ、流れとしては、昔はもう完全に放任状態だった、例えば奄美、沖縄のマングースですね。あれはもちろん特定の個人が入れたわけですが、特定の個人が入れたものを何で行政がというあれではなくて、とりあえず、もうここまで来てしまったら何とかやるしかないということで、実際、予算投入と、それに伴う除去の努力は行われているわけですよね。ですから、先を余り楽観的に語るということは、もちろん我々にとっては許されないことなのかもしれないですけど、私個人の展望としては、10年前に外来種を飼う議論をして、それでこういう会を開いてということは、全く考えられすらしない状況だったわけですよね。そういう認識が進んでいくことで、そういう方向にいろいろなものが動いていくのではないかというのは、個人的に感触は感じております。
 ほかに、ありますか。

【千石委員】 法と条例を厳密に適用すれば、まず間違いなく遺棄は確実に増えるだろうと。厳密にやればやるほど、増えるだろうという状況はありますよね。それの中で、法をつくるんだったら当然予算的な裏づけがあって法律は成立するものだろうと思っていたら、事実上、そんなにないというと、駆除もできないと。そうすると、ただ捨てる数が増えるだろうなというふうな方向に、むしろ厳密にやればやるほど、そうなるわけです。多分、これは日本全体の話で。別に、この法律が特にどうのこうのというわけじゃなくて。したがって、日本人の中には、お上のやることだから反対するという人種が出てくるわけです。そのようなことを多分罰則だとか何かという形でもってやっていくとまずいので、外来生物の場合、そうですけれども、管理下にあれば関係ないわけですね、間違いなく。今現在、飼育下にあるものを、そのまま飼育を継続するというふうな方向についてサポートするという発想と、それの裏づけた手法なんかっていうのは開発されてしかるべきなんじゃなかろうかというふうにも思います。

【上杉企画官】 そういう意味では、現在飼育している人については、水面下かどうかというのは別にしまして、我々としては引き続き、そのまま適正に飼っていただきたいということで、例えば新規のペットで飼うことは認めないということにしておりますけれども、既に飼育している人は継続的に、とにかく逃がさないように飼ってほしいというのを打ち出しているわけです。ただ、ここでややこしい議論になっているのは、既に条例等の対象になっている闇の形の人が存在するだろうという部分については、今回の法律で救うとか何とかという議論と全然違う議論になってしまいますので、そこはなかなか難しい話なんだと思いますけれども、基本的には、条例上の手続をしていようがいまいが、この法律上は、今飼っている人にはきちんと最後まで飼っていただきたいということが基本的な考え方なんです。そこのところは、しかも新たな申請手数料を特に取るつもりもないわけですし。ただ、飼育施設については逃げ出さないようなきちっとしたものをもちろんちゃんと整備をしていただきたいということはあると思いますけれども、あるいは個体識別の議論はもちろん残っているんですけれども、そこを除けば、とにかく引き続き野外に出さないように飼っていただくということを我々としては考えている、あるいはそういうことを望んでいるということです。

【太田座長】 ほかに。非常に難しい結論を出さないといけないんですが、今聞かれて、いろいろ理解された範囲のところでご判断いただきたいんですが、このカミツキガメについて、いかがでしょうか。
 非常に長い時間軸を入れた場合に、今の状況で、一切ここからお構いなしということで外した状態で時間が経過していけば、やがて、あっちで出た、こっちで出た、ここでも個体群が実はいると、そういう状況にいつかなってしまうのではないかなと思うんですよね。それを、やってみないとというようないいかげんなことでは議論していけないものだと思うんですけど、ここでとりあえずストップできるかもしれないチャンスをとにかくつくって、最善を尽くすという考え方で、私としては特定外来生物に入れて、次にそうならないような努力をするステップを考えていくのが妥当ではないかなと考える次第です。
 いかがでしょうか。今までの議論をあれすると、とても積極的に賛成とは言えない心理状態を、私も物すごく気持ちの中ではバランスがとれないで困っているんですけど、こういうことでご了承いただけないでしょうか。

【千石委員】 今までのやつを結局取りまとめて言うと、捨てさせるなら今だということになりますわ。

【太田座長】 そういうことです。もっと増えれば、次に何かやったときのリアクションとしては、もっとひどいことになるだろう、そういう考え方です。

【安川委員】 やはり、防除されることをかなり期待してという言葉をつけないと、ちょっと賛成はできないんですが。現時点では輸入をとめることには、それなりの意味があると思いますし、多少そうした防除も進むということを考えて、指定に賛成します。

【石橋委員】 捨てるなら今ということ。結論的に、これを入れてしまうと、本当に皆さん捨てると思うので、その結果について本当に責任がとれないので、何とも非常に言いづらいんですけれども。ただ、継続審議というニュアンスがよくわからなかったんですけれども、法律が指定されてからも、その法律が円滑にいくように、ちゃんと、今、僕がばっと言ったようなことに関して工夫をする。議論をして、捕まえるための予算の捻出とか、そういうことがどんどん議論されていって、ちゃんと求める結果に向けて、まだ議論が続いていくというならば。指定と同時に議論がストップしてしまうならば、やはり僕は継続審議を希望しますが、指定された後も、ふたをあけてみないとわからないんですけど、やっぱり捨てられちゃったので、じゃあ駆除の方法について新たにもう一回議論していきましょうと。もう指定されているので、しっかり駆除しましょうと、そういう議論がされるのであるならば、賛同したいと思います。

【上杉企画官】 先ほど石橋委員から指摘があったうち、条例の違反状態を不問にするというのは、これはもうはっきり言って無理だと思いますが、防除の議論は我々もぜひやらなきゃいけないという気持ちで当然おりますし、予算上の措置はもちろん十分ではないところはありますけれども、例えばマングースについて言えば、完全排除を目指していこうということで今回も増額の予算は一応認めていただいているというような状況があります。
 そういう意味では、生態系保護のために、このカミツキガメ、なるべく野外にあらかじめ出さないような形で、うまく対応ができるような工夫は当然しなきゃいけないと思いますし、引き取りというよりは防除の一環なんだという発想をうまくそこに盛り込めるようなことも、もちろん考えていきたいとは思いますが、現段階で言うと、なかなか直ちにシステム的にというのは非常につらいところがあるなというのが実態ではあります。申し出てくださいとか、そんな形まで一気にいけるかというと、なかなか厳しいところはあると思いますけれども。いずれにしろ被害を防止していくというのが基本的に一番大事な部分でありますので、野外になるべく出ないような形で、どういうふうに対処できるのか、そこはまだまだ工夫の余地はあると思いますし、やりくりの中でやっていくしかないところがありますので。非常に厳しい局面はいろいろあると思いますけれども、当然、防除という発想の部分が、本当は少なくなればなるほどいいということでもあると思いますので、我々としては、とにかくそこのところをきちんとやっていくつもりがあるということは、ぜひご理解はいただきたいと思います。

【千石委員】 水産庁の方がいらっしゃるので思いついたんですけれども、費用というようなことで、国として、例えば内陸水産業の支援というふうな形でもって税金を使うということはできますよね、全般的に。一般的にはね。それで、先ほども申し上げましたけれども、カメは中国でかなりよく食用にします。かなり高額のお金を中国の方は使います、それに。日本国内産の外来化したカミツキガメなりアカミミガメを大量に中国に輸出するシステムを国としてつくっていくということで考えれば、コストの面だとか何か、かなり解消できるのではないかと。むしろ黒字になるのではなかろうかというふうにアイデアとして考えますが。

【水産庁 田中補佐】 今の千石委員からのお話ですけれども、そもそも内水面の漁業という職業自体が、率直に申し上げて非常に規模が小さくなっているということと、あと、それぞれやはり養殖業の振興として、果たしてそういったようなものを養殖して、あるいは集めて養殖して中国に輸出するということが、本当に商業的に経済的にもメリットがあるということであれば、私の理解としては、もうとっくに始まっているのではないかというふうに思っておりますけれども。そこのところは我々の方も、まだそういうふうな産業とか新しい商業行為が始まっていないということを考えますと、基本的にはメリットが余り今のところはないというふうに理解を、業界の方ではされているのではないかなというふうに思います。

【石橋委員】 長期間継続したメリットを期待するビジネスとして申し上げているのではなくて、今回の防除というのが、多分、一時期、防除が本格的に始まったときに、カメの漁獲高というのはぽんとあって、一時以降は、もうほとんどだんだんとれなくなってくる。その短期間において出てきてしまった物体の処理の受け皿として、特別な枠で回していただきたいという、そういう話だと僕は理解していますけれども。

【千石委員】 カメを食品として出す。私が申し上げているのは養殖するというわけではないですね。現実に捕まえて、ただ出すというだけの話なんですけれども。駆除に絡んでの話なんですけれども。メリットがあるのだったらば、もう始まっているだろうというふうにおっしゃいますけれども、始まっているのかもしれません。ごく一部でね、プライベートに。そのようなことが我々に入ってきていないのかもしれない。
 というのは、中国の周りの国、ベトナムやなんか、中国の外交経済はベトナムのドイ・モイ以降、非常に大量にカメがベトナムから中国、あるいはタイから中国とか、最近ではミャンマーから中国へと流れておりまして、野外個体群の壊滅を招くぐらいのことが起こっているわけです。そういったことを考えると、中国がそういったものを買い集める努力というのはかなりあるので、それに我が日本が乗らないということも多分ないだろうと。それを野生のものではなくて外来のものを使うというのは、お互いに利益があるのではなかろうかというふうには考えますが。

【太田座長】 ちょっとよろしいでしょうか。
 一つのアイデアとして大変すばらしいと思うんですが、そのあたりのいろんな行政間での部局間での調整努力、いい方向にいくような形で、そういうことも含めて、ちょっと前向きに考えていただければというふうに考えます。
 いかがでしょうか。

(なし)

【太田座長】 それでは、時間もちょっと、かなり進行上おくれていますが、大体出るべき意見は出たと思うんですが、再びもとに戻さざるを得ません。このカミツキガメの問題について、防除の努力、先ほど事務局の方からもおっしゃられたような、そういう防除の努力、具体策ということまで含めて、カミツキガメについては、ここに特定外来生物としてリストするということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【太田座長】 なかなか気の重い選択ですが、異議なしと認めて、そのように結論いたしたいと思います。
 それ以外のここに掲載されているグリーンアノール、ブラウンアノール、ミナミオオガシラ、タイワンスジオ、タイワンハブ、オオヒキガエル、これについて問題点等がございましたらお願いしたいんですが。

【千石委員】 全般的に、今現在飼育下にあるものが多いというものが多分指定されたときのデメリットが大きくなるだろうというふうに考えるわけです、私はですね。そういったことで考えると、ここに入っているものは、カミツキガメ以外は余り関係ないだろうというふうに甘く考えていますけれども、その発想を敷衍すると、ここにウシガエルが入っていないのは何でだろうなというふうに思います。

【太田座長】 その点については、事務局の方からご説明をお願いできますか。

【堀上補佐】 ウシガエルにつきましては、別途、資料2の方に実は個票を載っけているんですが。後ほどご説明しようと思っておりました要注意外来生物リストとして整理をしておりまして、実は個票としてウシガエルの個票、アカミミガメと並べて、それぞれの情報を整理しております。
 8ページになりますけれども、ウシガエルとして情報を整理しておりますが、被害の事例につきましては、国内というよりは海外の事例として整理されている点が非常に多いということ。国内では京都の深泥池で若干情報があるということでありますが、基本的には海外事例をもとに、ここでは整理をしております。
 そういった事例は確かにあるんですが、もう1点、社会的に利用されている状況から言いますと、先ほどのカミツキガメ以上に食用で利用されているということと、もう一つは実験動物として利用されているという面がありまして、ここで書いてあります「その他の関連情報」のところですが、実験用、食用として、ここでは「少数の需要があり」と書いてありますが、この後、業者へのヒアリング等を含めまして調べましたところ、年間、少なくとも2万頭以上、それぞれ実験用あるいは食用で生体で利用されているだろうということでありまして、その販売者、利用者、あるいは飼育者が、どういう人がいるのかというのが実はよくわからない段階です。飼っている人はそれほどいないのではないかと最初は思っていましたが、実際には野外から防除した個体を実験動物用に流通し、実験動物にするためにしばらく飼っておくというようなことが結構行われていると。
 もう一つは、中国からかなり多く食用として冷蔵された個体が生体として入ってきて、それが食品として流通しているという状況がありますが、これも、どこからどのくらい入っていて国内のどこに行っているのか、全くわからない状況でございます。
 そういう意味では、今現在、ウシガエルの知見・情報ともに若干整備ができていないということで、この特定外来生物の候補としてよりは要注意外来生物に挙げて、いずれ知見・情報をきちんと整備した上で特定外来生物の候補として再度検討していってはどうかということで事務局としては考えている次第です。

【太田座長】 後で説明いただく予定だったんですが、ウシガエルのことについては。今、順番を変えても、疑問が出たときにやった方がいいだろうということで説明いただきましたけれども、いかがでしょうか。

【千石委員】 食品としての流通は冷凍で構わないわけで、この法律が施行されたところで、食品としての流通に差し支える必要性はないだろうし。だけど、中国だとかから入ってきているやつは、多分生体で入ってきていると思いますけれどもね、事実上。それが、入れれば規制できる形になると思います。
 それから実験用には生体でないと困るというのは、もちろん明らかな話なんですけれども、実験用とおっしゃいますが、ウシガエルは確かに体が大きいというメリットはあるんですけれども、逆に野外採集個体群で、明確な医学実験だとかなんかの材料に供することもできないですね、こんな遺伝的にばらつきのあるものだと。だから、そういったことでも2万頭程度といったら、それに関してはいろいろ異議もあると思いますけれども、それで規制がかかってもいいのではなかろうかと。
 それから、飼っているというのが実験用のストックなわけですよね。その逸脱を防ぐという。もともと、それも捕まえたものなので、話としては同じなんですけれども、カミツキガメの場合で起こっているような種類の問題は起こるとは思えないので、これは特定生物に入れても私は構わないのではなかろうかというふうに思います。

【太田座長】 いかがでしょうか、今の点について。

【安川委員】 これ、オタマジャクシの段階では、かなりペット店などで販売されているケースがありまして、そしてオタマジャクシの段階は魚用の人工飼料などの非常に簡単なもので飼えるんですが、大人になると今度は昆虫などの生き物を与えなくてはいけないということで、途端に飼えなくなって捨てるというケースがかなりあるそうで。
 これは知り合いで、幼稚園に勤めている保母をやっている人から聞いたんですけれども、夏休みなんかに子供がたくさんオタマジャクシをとってくると。その中にウシガエルがまじっていると。結局カエルになってしまうと虫しか食べないし、虫を常時とるのも難しいということで園の中の池とかに放すと、いつの間にかいなくなってしまう。そういう形で、オタマジャクシの形でかなり流通したり、いろいろと移動させられたりして、姿を見かけなかった池とか、新しくできてそれまで周囲にウシガエルもいなかったような池に、いつの間にか捨てられたカエルが定着しているというようなケースがあるようです。かなりペットとして流通・移動がなされ、被害を与えているおそれはあると思います。

【太田座長】 非常に貴重な情報だと思います。
 ほかに、ありませんか。

【石橋委員】 実際に環境調査とかの現場へ出てみると、ウシガエルというのは、日没近辺になって日本の沼に行けば、本当に、そこここにいるんです。何万個も卵を産むわけなんですけれども、実際にこういう法律にひっかかった場合には、駆除もしなければいけない、入れるのもとめなければいけないし、それから飼育の管理もしなきゃいけないという三位一体で、前回の議論の中では、どれかだけっていうことはあり得ないという前提を聞かされて理解したわけなんです。つまり、決めてしまうと駆除もしなければいけない。どうも予算がないという話で、ちょっとひっかかっているんですけれども。駆除もしなければいけない。だから駆除をするのかなと思うんですけれども、ウシガエルに関しては、とってとり切れるものじゃないというのがあって、これはどうするのかなというのがちょっと疑問に思うところなんです。非常に捕まえにくいところにいて、なおかつ非常に素早く逃げるものですから、とってとり切れるものではないものを、どう駆除しなければいけない法律に組み込むのかというのは、ちょっと非常に難しいところかなと思いますね。

【堀上補佐】 ちょっと1点、よろしいでしょうか。
 先ほど説明が不足していたかなと思いますのは、本来、このウシガエルで問題になっておりますのは、今いないところに持ち込まれて、そこの生物相に対して影響を与えるであろうということでありました。日本にもかなり広く蔓延してしまっているのは、もうご承知のとおりでして、ただ、そうは言っても入っていない島もあるであろうし、そういうところに入ってしまうのは非常に困ると。一方で、今、蔓延しているものについて、すべてに規制がかかっていくというのがこの法律の状況ですので、そういう意味では規制したいという部分と法律の規制の内容とが少しマッチしていない部分がございます。そういう意味で、我々の方でも、なかなか整理がしづらいものとして、今、整理をしているところでありまして、むしろ注意を呼びかけて、そういう島に入っていかないようにというところの呼びかけをどうしていったらいいのかというのが、まず整理されるべきだろうというふうに考えているところです。

【千石委員】 駆除の問題で言えば、実際的に予算も限られるところで、全般的にすべてのものを駆除していく、方向としてはそうだとしても、優先順位がつきますわな、どうしてもね。離島にいる個体群だとかなんかについて。マングースなんかは別にこの法律とは関係なく予算がついたぐらいなものですから、問題によって生じるので、石橋委員がおっしゃるような、もう全国に蔓延しているウシガエルをどうするんだとかというふうに、いきなり切りつけられても、それは多分だれも困ってしまう話だと思いますけれども。
 一方で、私は、このウシガエルが指定されることによって、むしろ逸脱が減る方向に向かうのではないだろうかと。それは安川委員がおっしゃったような側面もひっくるめて考えるので、これを入れた方がいいんだろうというふうに思います。

【太田座長】 ウシガエルの問題については、今、先ほどのカミツキガメの問題以上にいろいろな背景ですね、極めて単純に指定することのメリットというのは、やっぱりカミツキガメのように複雑ではなくて、むしろ明らかな部分が大きいと思うんですが。カミツキガメの場合も、当然、どういうレベルでトレーディングが行われていて、経済に関係ある、社会に関係あるかというところの把握にかなり労力を払われたわけですけど、ウシガエルについてはそれ以上に、ちょっと現時点でまだ事務局側が、この資料を見ると押さえられていないという印象を受けます。そういうものを押さえた上で、どういうやり方が効果的かという議論は、先ほどのカミツキガメの場合と違って、1年程度を使って議論しても、多分さほど大きなデメリットはないのではないか。デメリットというか、メリットとデメリットをてんびんにかけたときに、さほどデメリットが際立つということはないのではないかというふうに考えますので、このウシガエルの問題については千石委員のおっしゃるとおりだと思いますが。ここは問題のある種として認識しておいて、次の年度にきっちりとした結論を出す方向で考えたいと思いますが、いかがでしょうか。

【千石委員】 次の年度ということは、今回は外しておくということですね。とりあえず了承いたします。

【太田座長】 ほかに、ございませんか。

(なし)

【太田座長】 それでは、大分遅くなってしまいましたが、ほかにご意見等がないようであれば、ここまでの第1次の選定候補として挙げる特定外来生物、未判定外来生物等証明書添付生物については、証明書添付生物については、先ほどから出ているように、かなり動き得るわけですが、ここではとりあえず資料のような整理とすることでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【太田座長】 ありがとうございました。
 それでは、次に、要注意外来生物リストについて議論したいと思います。
 これはちょっとはっきりさせておかないといけないんですが、この要注意外来生物というのは、法律に基づくものではありませんが、影響を及ぼすという何らかの指摘があるものについて注意喚起を図る必要があるということで挙げるという趣旨です。事務局の方で考え方と候補を挙げてもらっていますので、まず、これについて説明をお願いします。

【堀上補佐】 要注意リストの説明に少し先ほど入りましたけれども、資料2の方ですが、このリストと申しますのは、先ほど座長からお話がありましたとおりで、法律に基づくものではございません。今までの検討の中で出てきておりました生態系等への影響が文献等で指摘されているものについて、リスト化して、これを予防的に考えるという意味で世の中に広めていろいろ注意喚起をしようと。もう一つは、知見の収集をもっと深めようと、そういう趣旨でございます。当然、ここで知見が収集されて、それが深まるということであれば、特定外来生物の選定の作業にまた随時入っていくということでお考えいただければと思います。
 最初のページですけれども、目的としては今お話をしたとおりでございまして、法律にはないわけですが、別途、中央環境審議会の方でまとめられております小委員会の報告の中でも委員長談話としてこれが付記されておりまして、外来生物問題に予防的に対処する観点から、特定外来生物には指定されていないものの生態系等に被害を及ぼす懸念があるものについて、リストを作成する必要があると。そういったリストが公表されることによって、関係者が日ごろより外来生物の使用に関心を持ち、さらなる知見が集積され、被害の予防に役立つようになることが期待されると。そういう性格のものとして、このリストを環境省がつくって公表して世の中に広めていく必要があるのではないか。その上で、知見の収集を並行して図るということでございます。
 そのリストの中身としましては、注意を要する外来生物ということで、一応、爬虫類・両生類に関しては二つに分けております。(1)と(2)がありまして、特に注意を要する外来生物として、これは先ほどのウシガエルを含むわけですけれども、いろいろ知見・情報はある程度あるとしても、まだ深められていないものがあって、これは継続して検討をしなければいけないということでございます。(2)の方は、そこまで実は至っていない。もう少し知見が必要であるというような趣旨ですが、それでも影響を及ぼすであろうということについての指摘が文献等であるものとお考えいただければと思います。
 実際の中身ですけれども、次の3ページですが、ある程度情報があるものは上の方に挙げておりまして、アカミミガメとウシガエルという形で整理をしていまして、それ以外のもので指摘されているものとして、ワニガメ、チュウゴクスッポン、グリーンイグアナ、シロアゴガエル、アフリカツメガエル。それから、先ほど未判定外来生物の中から外したヒキガエルのたぐいが、ここに四つ並んでいるということでございます。未判定から外したものの、どういう影響があるのかというと、やはりある程度あるだろうということで、ここは注意を要するということで。ここで挙げたものにつきましては、知見あるいは流通等に関する情報がもう少し集められてくれば、そこは特定外来生物の候補として検討していくということでございます。
 このリストで一番必要なものとしましては、備考欄に書いてありますように、実際に使っている方々に、どういうふうにこの生物が危険なものであるとか影響について考えなければいけないものなのかということを伝えていくということが必要でございますので、この備考欄につきましては、こういう面でいろいろと問題があるので、こういった利用に関してはこういうような注意をしましょう、それから普及・啓発をしていきましょうというようなことが書かれてございます。
 別添個票としてアカミミガメとウシガエルについては後の資料に書いておりますが、基本的には、それぞれの情報は特定外来生物で整理したような情報を同じように整理してございます。ただ、関連情報のところで書いてありますように、アカミミガメについては飼っている方々が非常に多いということと、子供が飼っているとか学校とか幼稚園とか、そういうところでも飼っていて、法律の規制をかけていくという意味では、今すぐ規制をかけて許可をとっていくという状況になるには難しいものであると。その意味では、ウシガエルも全く同じであります。
 もう一つ。アカミミガメ、ウシガエルについては、国内での被害を及ぼしている知見というものの情報について、まだ整理されていない面もございます。そういう意味では、知見あるいは流通等に関する情報、両方、これから整備していく必要があると。
 ここの要注意外来生物リストに挙げたから特定外来生物にはならないということでは全くございませんので、そこは、ここで挙げて、さらにこれから知見を収集して議論を深めていくということでお考えいただければと思います。そういう意味では、ここに文献等で指摘されているものを挙げておりますけれども、これ以外にもやはりあるということであれば随時挙げていく必要があると思いますし、今回、第一陣という特定外来生物の整理の中で出てくるものとして、ここに挙げていますので、今回のものとしては、ある程度、現時点でまとめざるを得ませんけれども、これも継続的に中身については更新していく必要があろうというふうに考えてございます。
 内容については、以上です。

【太田座長】 ただいまの説明について、ご意見やご質問があったらご発言をお願いします。

【千石委員】 ヒキガエルですね、ヨーロッパミドリヒキ、テキサスミドリヒキって、この4種が載っているんですけれども、そもそも未判定外来生物の中からこれらを除くということになったので、ここに来ているわけですよね。これらが除かれたっていうのは、要するに業者が入れているからという理由以外にちょっと感じられない。この4種と、ほかの要注意外来生物に載っている種類との間に、すごく温度差を感じるんですけれどもね。ヒキガエルで入れるのだったら、例えばブホパラクレミスという、南米の南部あたりにいて割と温度の低いところに暮らしている、それで事実上オオヒキガエルみたいなやつがおるんですけれども、こんなのが入ってきているんですよ、結構ね。そういったものが、少なくともここに入っていないというのは、異常な感じを受けるんですけれども。

【太田座長】 いかがでしょうか。

【堀上補佐】 先ほど未判定の中でお話をしましたとおりですが、確かに流通量が多い、輸入量が多いものを除くということで、除いたときに除きっ放しで大丈夫なのかという意味で要注意外来生物の方に入れているわけですが。千石委員がおっしゃるような種については、もしある程度わかっているのであれば、やはりそれは未判定にしておくというよりは、わかっているものについては要注意にしていくということが必要ではないかと思います。そういう意味では、ここのところ、詰められていないものが幾つかあるということだと思いますが、こちらとしては、ある程度被害が予想されるものは未判定ではなくて要注意の方に入れていくということで整理をしたところでございます。

【太田座長】 問題は、予測の確かさのレベルだと思うんですけれどもね。この種のリストが注意を喚起するという効果を考えるならば、具体的に名指しで挙がっていないと効果がないということで、こうなっているというのはよくわかるんですけど。前の議論で千石委員がおっしゃったように、本当であれば、温帯から熱帯域に、例えば陸水域に生息するカメ類なんていうのは、みんな注意を喚起するべきで。カメというのは、そんなに気楽に飼って、その辺に放しちゃまずいものだということを喚起するのは、これはすごく重要なことだと思うんですよね。だから、そのあたりの性格づけが、ちょっと難しいところですよね。
 だから、どうなんですかね、具体的に事例が挙がっているものを象徴的に挙げていくものというふうに、やはり考えざるを得ないんでしょうか。

【堀上補佐】 これまで幾つかのグループ会合を経てきまして、やはりそのところは、かなり分類群によっても状況が異なってきますし、委員の方々それぞれの感じ方も違うということはございます。そういう意味では、私ども、最初は文献にそういう記載があるものということでお出しをしてきたわけですが、今回、未判定からある程度外してしまって、なおかつ、それでも影響の否定ができないということがあったものですから、ここには載っけておりますが、そこはこの中でご判断いただいて。ある程度文献等で記載があるものということで整理をするということでもよろしいと思いますし、現時点では、そういう整理しか、もしかしたらないかなというふうには考えております。

【太田座長】 いかがでしょうか。

【安川委員】 温帯産のカメということですと、例えばアカミミガメは学名 Trachemys scripta (トラケミス・スクリプタ)ということで指定されていまして、この中で実際にある程度流通していて、それで日本で見つかっているというのは、この資料にも書いてあるとおり2亜種(ミシシッピーアカミミガメとキバラガメ)のみで、中南米の種に関しては、少数は輸入されていますが、大半は寒さに弱くて国内での定着は、沖縄などでは一部可能な種もあると思いますが、中には沖縄でも幼体が野外越冬できないような種類も含んでいますので、これをアカミミガメとして種で指定して、そういうものまで入れている状態で、ミシシッピーアカミミガメはともかく、キバラガメと同等程度に入っているような北米産のクーター類などの複数の種類を入れないというのは、かなりバランスに欠いているかと。
 また、グリーンイグアナのように、一応これは石垣島などでは定着している恐れがあるということで新聞報道なんかもされているんですが、こういうような種類も入れるという形で、なかなかちょっとバランスを欠いているという気はします。
 それから、これは質問なんですけれども、ここに入れるやつは、基本的には未判定外来生物から除いたヒキガエルとかが入っているんですが、これを未判定外来生物あるいは種類名証明書添付に入れるということは、特に問題はないというふうに考えてよろしいでしょうか。

【堀上補佐】 未判定外来生物の方は、基本的には知見がない、あるいは輸入されていないので知見がないということで整理していますので、ある程度輸入があるものは未判定外来生物に入れることはできないと思います。
 ただ、種名添付は似ているか似ていないかという観点からですので、そちらの方に入れることは、似ていないものは外しますけれども似ているものは入れるということになろうと思います。

【安川委員】 そうなると、種類名添付証明書つきのところには、これらのヒキガエルは、先ほども言いましたが、当然入れるべきと考えますし、ワニガメについても、やはり専門家レベルでは間違えるということはまずありませんが、実際に捕まったワニガメがカミツキガメと報道されたり、逆のケースもありますし、識別点がわかっていれば間違えないレベルではありますが、こちらの方に入れると同時に種類名証明書添付という形にすべきだと思います。
 それから、特に注意を要する外来生物に関しては、もう少ししっかりミシシッピーアカミミガメ、それからキバラガメという形で実際の名前を挙げることが必要だと思いますし、それから注意を要する外来生物の方には、クーター類やミシシッピーチズガメなどの北米産のかなり大量に輸入されているヌマガメ科のカメ類まで含めるべきだと考えます。

【千石委員】 法的な規制がかからないということもあって、ちょっと何だったと思うんですけれども、要注意外来生物リストは、もっとかなり多くしておいても問題がないだろうと思われますし、ここで取り急ぎやるよりも、もう一回持ち帰った形で各委員の方でもって案を挙げてもらうというのが実際上のやり方だと思います。

【太田座長】 明らかにいろいろ抜けているのがあれなのと、それから、もう一つ怖いのは、ある特定の非常に実は危ないものが入ってきたときに、たまたま、それがここから抜けていて、要注意リストにも挙がっていないんだったら、これは大丈夫なものだという理解のされ方をすると非常に怖い気がするんですよね。
 一つは、表現法として、とりあえず文献で拾えるものでリストをつくってみたと、だから、これに載っていないことが注意を要しないという根拠にはならないということをやはりどこかで表現しないといけないということと、それから、これは実際問題、事務局のご努力でかなり短期間でつくられていて、その分、今、著しくバランスを欠くところがあるということは、もう明らかなんですよね。その辺は、ここの4委員、また、それ以外の専門家も適宜あれしながら、少し種を挙げてもらって整理していくという努力が必要だろうと思いますし、そういう方向で考えたらどうかと思います。
 今回のこの部分に関しては、ご意見それぞれごもっともですし、それをいろいろ、表現上の工夫も含めて反映しながら、適切に処理して全体会合の方に持っていきたいと思いますので、ここでは座長に一任していただけないでしょうか。

(異議なし)

【太田座長】 ありがとうございました。
 あと、議題の方でその他とありますが、この際、何かご発言されることがあればお願いしたいんですが。来年度をにらんだことでも結構ですし、どんな所見でも結構ですので、ご発言いただければと思います。

【千石委員】 質問みたいなものなんですけれども、委員会の方は継続的にこういったことを審議するというのは認識しておりますが、法そのものの不備の部分についても審議するというふうな考え方なり動きなりはございますでしょうか。

【上杉企画官】 法律そのものは、5年を目途に状況を見て必要があれば検討するというふうな附帯事項がついております。そういう意味で、動かしながら5年くらい、例えばどういう点についてもう少し充実すべきだ、あるいはやり方を変えるべきだということが現実に見えてくれば、それは当然、法律上反映すべき必要性があるものについては十分検討できるものだと思っております。
 そういう意味では、今回、第一陣ということで指定をするわけですけれども、それ以外に来年度以降も継続的に議論をして追加もあると思いますし、今回、いろいろ社会的状況の中で、どういう対応をしていくのが最も被害防止の観点からいいのかという点で、多分、種類ごとにいろいろ違った取り組みが必要な部分が大分見えてきているところもありますので、我々は、それを全体的に集約しながらやっていく必要性もあると思っています。
 ただ、今日の議論のかなりの部分が、法の枠組みだけではなくて、すごく予算措置だとか実施体制的な面の話もありますので、それは必ずしも法改正というだけではなく、環境省なり関係省庁のいろんな面での体制といいましょうか、そういうところもあわせて検討していかなきゃいけないと思います。

【太田座長】 それはもちろん、そういう努力をしていただけるということですね、適宜。
 ほかに、お願いします。

【安川委員】 これは質問というよりお願いという感じなんですけれども、やはりまだ、法律自体が指定されたときに、飼われている動物の扱いがどうなるか、あるいは新規の金銭的なものだとか設備はどれぐらいのものが要求されるかということが、ほとんど飼育している側に伝わっていないという現状がありますし、環境省のホームページなどでも、実際には、この内容は会議の内容なども含めて公開されている部分はあるのですが、なかなか目につきにくいところにあるので、どこに書いてあるのかわからないとか、あるいは環境省のホームページにあるんだということを教えても、見つけ切れなかったと言われるケースがかなりありまして。サイトを教えてくださいとかというメールが来たりすることもありますので、もう少しこのあたりの広報活動というか、啓蒙活動というのを活発化していただきたいと思います。

【生物多様性企画官】 先ほどいただいたアンケートの参考資料なんかでも、認知方法を見ていると、環境省のホームページの部分が非常に低いという結果も出ているみたいですので、例えば専門誌ですとか、あるいは業者の方ですとか、あるいは先生方のような専門家の方ですとか、いろんなチャンネルを通じて法律の趣旨と、あるいは使い方について、できるだけ正しい情報が伝わっていくように我々も努力はしたいと思っておりますし。特に、具体の扱いについては、個別の種、対象種が決まれば、飼養の基準みたいなことをある程度明らかにしていく作業も当然これからやるということになっておりますので、それも合わせて普及も図っていきたいというように思っております。

【安川委員】 特に、ペット雑誌などのたぐいは飼育者が目を通すことが多いですので、そういうところに実際にPRの広告を出すようなことも含めて、もう少し積極的に、そのあたりをやっていただくことを考えていただきたいと思います。

【太田座長】 今の最後のところは、非常に実効性のある有意義なご意見だと思いますので、ぜひお考えください。
 ほかに、ございませんか。

(なし)

【太田座長】 ないようでしたら、以上をもちまして第2回特定外来生物等分類群専門家グループ会合、爬虫類・両生類の部門を閉会したいと思います。
 非常に座長の司会進行がまずくて、予定時間を大幅にはみ出してしまったことをおわび申し上げます。
 ありがとうございました。