環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第5回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(植物)議事録


1. 日時 平成17年7月14日(木)14:00~16:08
2. 場所 三田共用会議所(東京都港区三田2-1-8)A・B会議室
3. 出席者  
   (座長) 角野 康郎
   (委員) 岡野 邦夫    黒川 俊二
小林 達明    高橋 新平
真鍋  徹
   (環境省) 名執野生生物課長
上杉生物多様性企画官
中島自然ふれあい推進室長
長田移入生物専門官
   (農林水産省) 更田生産局花き対策室課長補佐
伊藤林野庁森林保全課森林保護対策室課長補佐
4. 議事  
【環境省 長田専門官】 時刻になりましたので、若干遅れておられる先生方もいらっしゃるようですけれども、ただいまから特定外来生物等分類群専門家グループ会合(植物)会合の第5回会合を開催させていただきたいと思います。
 私どもの課長ですけれども、ちょっと別の会議が入っておりまして若干おくれる予定でございますが、ご了承いただければと思います。
 それでは、今回資料大変多くなってございますけれども、順に確認をさせていただきたいと思います。
 お手元にお配りしました資料ですけれども、上から順番に確認してまいります。一番上に議事次第がございまして、次に委員名簿、それから資料一覧、その次が資料1-1、第二次以降の特定外来生物等の選定の作業手順、資料1-2、外来生物の特徴と第二次選定に際しての留意点(植物)、資料1-3、今後の検討の進め方について(植物)、資料4は横長の資料ですけれども、第二次の特定外来生物に選定することが適切と考えられる外来生物(植物)に係る評価の理由(案)、それから資料1-5、特定外来生物等に選定することが適切と考えられる外来生物(植物)に係る情報(案)、それから資料1-6がまた1枚のペーパーですけれども、横長で前回の会合で議論となった種の取扱いについて、それから資料1-7、これも1枚のペーパーですが、アカウキクサ属の分類について、それから資料1-8、横長の表で、特定外来生物、未判定外来生物、種類名証明書添付生物のリストになります。
 ここまでが資料1関連ですけれども、続きまして資料2-1、要注意外来生物リストの再整理・活用の方針について、資料2-2、横長の要注意外来生物リスト(植物)(案)、資料2-3が要注意外来生物に係る情報及び注意事項(案)、これが非常に厚い資料になっておりますが、それから資料2-4、特定外来生物をはじめとする外来生物の取扱いに関する普及啓発の考え方について(案)、資料5が外来植物に係る影響評価の仕組みの構築について、資料2-6が緑化植物に関する総合的な取組みの推進について。
 それから参考資料としまして、参考資料の1が前回の専門家会合、全体会合の議事概要です。参考資料の2はこの植物会合の前回の議事概要になります。
 そのほかにお手元に冊子として特定外来生物被害防止基本方針をお配りいたしております。もし資料に不備等がございましたら事務局の方にお知らせください。
 それでは早速ですが、議事進行につきましては角野座長、よろしくお願いします。

【角野座長】 それでは本日の議事に入らせていただきます。
 議題1は特定外来生物等(植物)の選定についてということになっております。前回の会合で第二次の特定外来生物の選定作業の進め方について議論いたしまして、検討対象とするについて、ある程度暫定的な結論を得た種類と、さらに引き続き検討するという種類を決めたわけです。その結果は全体会合に報告いたしました。全体会合でもこの内容についていろいろ意見が出まして中間的な整理を行ったところです。それで、その全体会合の結果は簡単に事務局の方からご説明いただきたいと思います。

【環境省 中島室長】 それではご説明したいと思います。後ろの方の資料、参考資料1という資料をごらんいただたきたいと思います。第4回特定外来生物等専門家会合議事概要という資料でございます。
 6月9日に開かれました全体専門家会合で、今回第二次指定の作業、中間的整理というものを行ったわけでありますが、そのときの議論の内容をご説明いたします。
 まず、要注意外来生物リストの再整理・活用の方針についてということで、今回第二次指定と同時に、要注意外来生物リストを再整理して公表するという方針についてご説明をしたところです。これにつきましては後ほどまた詳しくご説明したいと思います。
 それからその後、各分類群ごとに座長の先生の方からそれぞれの分類群で議論が行われた点について簡単にご報告をいただきました。植物につきましても角野座長より幾つかの点についてご報告をいただいたところであります。
 一つは植物については2回グループ会合を既に開いて、そのうち半分ぐらいの時間を緑化植物と、それから雑草のリスク評価のヒアリングに費やしたという点、それから緑化植物については環境省、国土交通省、農林水産省で研究会を立ち上げたと、個々の種を取り上げるのではなくて総合的に検討する必要があるというような点。
 それから選定の根拠となります客観的な基準づくりのために、海外で行われておりますリスク評価を日本で適用できるかどうか、事務局の方で検討の仕組みづくりを行っていくと。また、並行して緊急性の高いものは今回特定外来生物の指定を検討していくという方針について。
 それからスパルティナ・アングリカについては、世界的問題になっていて、中国にも広がっているので、水際で防ぐというのが適切であるというような点。
 続きまして、アレチウリ、オオブタクサ等指定したとしても有効な手立てを講じるのは難しいものにつきまして、在来希少種への影響、それから防除の事例等を集めて引き続き検討しましょうという点。
 オオキンケイギクとオオハンゴンソウについては、ワイルドフラワー緑化等でどれだけ流通しているのか、あるいは勝手に広まっているのか、そのあたりの情報を引き続き検討しようというような点等につきましてご報告をいただきました。
 各分類群ごとの検討の報告の後に全般的な意見交換が行われまして、その中で緑化植物についての意見がさまざま出ております。緑化植物として総合的に検討を進めるということ以外にも既に問題が明確化している植物については、種としてどんどん指定していけばいいのではないかというような意見もございますし、種の選定ももちろん選択肢の一つだけれども、それだけで問題は解決しないと。研究会の結論を早く出していただきたいというような意見もございました。
 そのほか蔓延している生物についてどのように考えていけばいいのかといったような点が主に議論されたところであります。
 簡単ですけれども、第4回の全体会合の報告は以上であります。

【角野座長】 どうもありがとうございました。
 ただいまのご説明で要点はもうほぼ網羅されていると思います。部会長として印象に残ったのは、やっぱり緑化植物について放置できないのではないかということが複数の委員の方から出まして、それについては研究会が立ち上がって動き始めているので、ですから、ちょっとそれを無視して特定の種類を先に指定することには問題もあるということも考えられましたので、結局とにかくその研究会の方の結論を早く出してもらって見通しを明らかにしようというようなところが現在落ち着いているところです。
 それでは、きょうは第二次選定に関しまして、植物部会として最終的な整理をしていきたいと思っています。それで、まず事務局から特定外来生物の指定候補と未判定外来生物、それと種類名の添付生物について、前回の指摘を踏まえてどのように整理したのか、ご説明願いたいと思います。よろしくお願いします。

【中島室長】 それでは、資料1-1から順にご説明をしていきたいと思います。
 まず資料1-1ですけれども、特定外来生物等の選定の作業手順という表題の文章であります。これにつきましては、特に前回お出ししたものと変更はございませんけれども、選定に関する基本的な資料ということで本日もつけさせていただいております。
 続きまして、資料1-2でございますけれども、これにつきましても特に前回変更点に関するご指摘等はございませんでしたので、今回そのまま前回の資料をつけさせていただいております。
 同様に1-3につきましても、植物の今後の検討の進め方についてですが、これにつきましても今回変更点はございません。前回のとおり再度提出をさせていただいております。
 それで、前回の専門家会合での議論を踏まえまして、事務局の方で再度さまざまな検討を行いまして、資料1-4ですけれども、第二次の特定外来生物に選定すべき植物として、この一覧表に掲げてあります9種類を再度事務局の案として提出したいと思っています。
 前回の案と違うところが2点ございますので、そこを中心に説明したいと思いますが、まずアゾラ・クリスタータと最初にございますけれども、これは前回アカウキクサ属として提出をしていたものであります。
 アカウキクサ属につきましては、その後、アゾラの専門家の方々からさまざまにヒアリングを行いまして、事務局の方でちょっとまとめた資料がございます。資料1-7をごらんいただきたいと思います。資料1-7、アカウキクサ属の分類についてという表題がついてございます。事務局の方で分類が現在どのようになっているかということを簡単にまとめたものでございまして、まず一つはそのアカウキクサ属全体に、分類が非常に難しいという現状があるようでございます。それから大きくはアカウキクサ節と、それからオオアカウキクサ節の二つに分かれておりまして、在来のアカウキクサはアカウキクサ属、在来のオオアカウキクサはオオアカウキクサ節に属するということでございます。
 農業利用、アイガモ‐アゾラ農法で使われております在来のアゾラでございますけれども、オオアカウキクサ節の在来種のオオアカウキクサの下の4番以降でございますが、filiculoidesというものと、それからcristata、このcristataにつきましてはもともと三つの区分がなされていたものを最近cristataに統一されているということのようでございます。それから6番のrubraというものが大きくオオアカウキクサ節に四つ種類があるということでございまして、現在アイガモ農法の一部で盛んに利用されているのは、filiculoidesとcristataのうちの一つを交配してつくり出した雑種系統であるというようなことでございました。
 一つ問題点がございまして、3番の在来種のオオアカウキクサと4番のfiliculoidesについては識別が非常に困難で、同種かもしれないという説があるということでございます。この点が1点になります。
 それから、現在は先ほど申し上げたように雑種系統が多く設けられているということでございますけれども、これまではfiliculoidesとその雑種系統と、それからcristataの中の種類が使われてきた経緯があるというようなことでございました。
 今回事務局の方で考えまして、前回はアカウキクサ全部というような案でございましたけれども、分類が明確になっていない部分がfiliculoidesについてはあるということで、今回幾つか日本で見つかっているもののうち一つ、アゾラ・クリスタータのみを今回特定外来生物の選定種としてはどうかというふうに考えております。
 アイガモ農法の一部で利用されているものにつきましては今回指定種ではないということでありますけれども、比較的その管理がされやすいというようなことがあるようでございますので、自主的に規制をしていただくというようなことを求めていきたいというようなふうに考えております。
 アカウキクサ属については以上のように変更をしたいというふうに考えました。
 それから資料1-4に戻っていただきまして、オオフサモとボタンウキクサにつきましては前回どおりでございます。
 それからオオキンケイギク、オオハンゴンソウ、アレチウリにつきましては非常に蔓延しているということで、この蔓延種についての考え方をもう少し整理した方がいいのではないかというご指摘がございましたので、これにつきましては、資料1-6でございますけれども、こちらの方で事務局の考え方を再度整理をいたしております。
 オオキンケイギク、オオハンゴンソウ、アレチウリ、それから前回はオオブタクサを特定外来生物等の候補種の案としておりましたけれども、今回は特定の案とはせずに、要注意外来生物のリストの中に入れていくという案でございます。それともう一つセイタカアワダチソウを含めて、広く既に蔓延している種類について、しかも被害がさまざまに指摘されているものについて、それをどういうふうに考えて指定をするものとそうでないものとを分けるのかということでございます。
 我々が考えましたのは表の上の方にございますように、まず規制による直接的な効果があるのかどうかと、法律上の効果と申しますか、規制によって任意的な栽培、運搬あるいは放つこととか、そういった野外利用が禁止になるということでございます。この効果があるかないかということと、それから横に行きまして、指定による間接的な効果、指定そのものが防除、イコール防除ということではないんですけれども、防除が全般的に促進されるだろうといったようなこととか、一般の方々への注意が浸透するのではないかと、間接的な効果があるのではないかということでその点。
 それと、最後に指定によるマイナス効果ということで、違反行為が多発するような可能性があるのではないかということで、この六つの点についてそれぞれの種類ごとに、その種類の現状を見て評点をつけているといった作業を行っております。
 まず規制による直接的な効果ですけれども、オオキンケイギク、オオハンゴンソウにつきましては、もともと園芸種としての利用がある、あるいはそのワイルドフラワー緑化の種子として使われているといったようなことで、特にこれはオオキンケイギクについて非常に多く使われているということでございますけれども、オオハンゴンソウの方も一部使われているのがあるということで、これについては規制による直接的な効果があるというふうに判断をいたしました。
 アレチウリ以下3種については、そういった人為的な利用が行われていないということで、法律の規制による直接的な効果はないというふうに判定をしています。
 続きまして、指定による間接的な効果ということですけれども、現在までもそれぞれの地域で防除が行われている事例がございますので、そういった防除が行われているところについてはこれからも促進されるのではないかというふうに考えたのですけれども、オオハンゴンソウと、それからセイタカアワダチソウについては防除の実績がかなりあるということで丸をつけてあります。それからアレチウリについても防除の実績があるということで丸をつけております。オオキンケイギクとオオブタクサについては、今のところそういったことはどうもされていないようだということで、三角にしてあります。
 それから指定によるマイナス効果というところですけれども、これにつきましては、都市内など日常生活に近い場所、空き地などに多く生育しているために、防除の方針が明確でないと、混乱するおそれがあるのではないかというような観点でチェックをしているのですけれども、これにつきましてアレチウリのみは生育地が主に河川であるといったようなこととか、防除が行政・NGOが行っている事例が多いということで、それほど混乱は生じないのではないかというふうに考えましたが、それ以外の種類については多かれ少なかれ非常に日常生活に近い場所にあるということで、そういった混乱が起きる可能性があるというような評価をしています。
 それでその三つの項目についての総合的な評価というものを右端の方針というところで書いておりますけれども、オオキンケイギクとオオハンゴンソウの2種類につきましては、規制による効果が大きいということで第二次で指定をするというふうに書いております。
 アレチウリにつきましては、規制による効果はないけれども、指定による防除の促進に一定の効果があって、かつ指定によるマイナス効果はそれほどないだろうから指定してもいいのではないかという結論にしております。
 最後の二種、オオブタクサとセイタカアワダチソウにつきましては、規制による効果がないということと、指定によるマイナス効果があるということで、第二次ではとりあえず指定しないというような判断をしております。
 以上、前回議論になりました蔓延種につきましてどのように考えるかということをこの表で整理をしております。
 この結果資料1-4にまた戻っていただきますけれども、オオキンケイギクとオオハンゴンソウ、それからアレチウリについては指定種の候補ということで一覧表に載せているということでございます。
 それからオオカワヂシャにつきましては、前回同様候補に載せております。ナルトサワギクにつきましては分類上の疑念があるということで、前回ご指摘いただきましたけれども、調査の上、ナルトサワギクということで指定して問題ないというふうに確認しましたので、そのまま再度載せております。スパルティナ・アングリカにつきましても前回同様に載せているということで、計この9種類を第二次の特定外来生物等の選定種としてはどうかというのが事務局の案でございます。
 その9種類につきまして、資料1-5ですけれども、それぞれの種類ごとの定着実績、それから被害の実態あるいはその要因、その他の関連情報等について個表という形でまとめてあります。前回とアゾラ・クリスタータにつきましては、前回がアカウキクサ属ということで個表をつくっておりますけれども、今回はアゾラ・クリスタータということに絞って若干中の表現を変えているところがあります。
 一応評価の理由のところだけを読んでいきたいと思いますけれども、アゾラ・クリスタータにつきましては、在来種のアカウキクサ、オオアカウキクサは絶滅危惧種で、これらを含む水生植物との競合、駆逐のおそれがあるということを挙げています。
 それと近縁種である絶滅危惧種の遺伝的攪乱のおそれがあると、それほど大きくはなさそうですけれども、おそれがあるということも書いてあります。
 それから続きまして、オオフサモですけれども、評価の理由ですが、各地の湖沼や水路を覆う大繁茂がみられ、在来の水生植物等との競合、駆逐のおそれがあることから、駆除が行われている。水質浄化等の目的で意図的な導入が行われているため、今後も分布を拡大するおそれが大きいというふうに評価をまとめています。
 続きまして、ボタンウキクサですけれども、浮遊性の水草で、栄養繁殖により急速に繁茂し、水面を覆い尽くして光を遮ることで、在来の水生植物の生存を脅かすとともに、水生生物への悪影響のおそれがあるため、防除が行われているというふうにまとめております。
 それからオオキンケイギクですけれども、評価の理由、ワイルドフラワー緑化等に広く利用され、各地の河川等で繁茂して、河川敷固有の植物等の在来種との競合、駆逐のおそれがあるということで、これにつきましては生態系に係る被害の事例を幾つか集めて、少し表現といいますか、この個表の情報を強化をしております。天竜奥三河国定公園の天竜川の事例、それから木曽川の事例、長野県の南箕輪村の事例等で被害の事例があるということで、その記述をしております。
 それからオオハンゴンソウでございます。評価の理由ですが、自然性の高い環境への侵入が多く見られ、希少種を含む在来植物との競合や駆逐のおそれがあることから、各地で駆除が行われているというふうにまとめてあります。
 これにつきましても、各地の事例を、日光国立公園の戦場ヶ原が有名でございますけれども、それ以外、十和田八幡平国立公園、それから登別の、多分間違いだと思いますが、キトウシ湿地だと思いますが(事務局注:キウシトでよい)、それから大雪山の旭岳も侵入しているという事例を掲げております。
 それからアレチウリでありますが、河川敷等で見られる大型のつる性の植物で、河原の固有種を含むほかの植物を被陰するため、競合や駆逐のおそれがあり、各地で駆除が行われているというふうにまとめています。これにつきましては千曲川等の事例を掲げております。
 それからオオカワヂシャでありますが、近縁で準絶滅危惧種のカワヂシャと交雑して雑種を形成することが野外で確認されていると。多分在来種の遺伝的攪乱が生じているということでございまして、オオカワヂシャとカワヂシャの雑種ホナガカワヂシャができるという点を挙げております。
 それからナルトサワギクですけれども、評価の理由のところですが、日本に侵入して間もないにもかかわらず、急速に分布を拡大しており、海外では侵略的な種類として問題になっていることから、在来種と競合するおそれが大きいというふうにまとめております。オーストラリア、ハワイ等の事例を掲げております。
 それから最後がスパルティナ・アングリカですけれども、日本には侵入していないが、海外では急速に分布を拡大するなどして問題になっていると。日本に侵入した場合、希少な環境である汽水域の在来植物と競合するおそれが大きいというふうにまとめています。
 海外の事例等をそこに掲げております。
 以上が資料5でございます。
 それから資料1-8でございますけれども、今のご説明いたしました9種類を特定外来生物に指定をした場合に、その特定外来生物と生態的に似ているもので、まだ日本に入ってきていないものは未判定外来生物、それから形態が似ているものを種類名証明書添付生物にするというふうになっておりますけれども、この植物の場合は、何をその二つに種類にすべきかと生物にしていくかということで、事務局で考えた案でございますけれども、未判定外来生物につきましては、ほかの分類群等では同じ属に属するものを挙げているものが多いのでございますけれども、今回この植物の場合は同じ属に属するといって、同様のその生態的特性を有するかどうかと聞いて、若干知見が足りないといいますか、そういうふうに言えるというふうには、我々の情報としては言えないということで、とりあえず未判定外来生物はすべてなしというふうにしております。
 それから種類名証明書添付生物の方は、これは外国から輸入されるものについて、特定外来生物と未判定外来生物に形が似ているものを指定するということになっておりますけれども、これにつきましては、すべてその特定外来生物の種が属する属を全種ということで掲げてございます。
 このナルトサワギクにつきましては、キオン属というふうに今しておりますけれども、この日本語の表記がちょっとキオン属というのが正しいのかどうか、もう少し精査をしていきたいと思います。
 もう一つは、約1,500種類の種類がこの属に含まれるということですけれども、さまざまなタイプの植物がこの中に含まれているということで、再度その種類名証明書添付の範囲として、属全部を取るのがいいのかどうかという点についてももう少し精査をしていただいて、もしこの表と違う判断があり得るということであれば、再度先生方にご相談をしたいというふうに考えております。
 それと、今回、専門家会合を欠席されております矢原委員から事前に資料を送ったところ、意見がメールで届きましたので、口頭でご説明させていただきたいと思います。
 まず蔓延種の取り扱いですけれども、蔓延種の3種を指定して、セイタカアワダチソウとオオブタクサを指定しないということは、一応今回の表、整理の表で一応筋が通っているというふうに思います。それからセイタカアワダチソウとオオブタクサに関しましては、国立公園あるいはその隣接地域の駆除等に予算措置が可能になるような行政的な対応、法律的な対応以外、行政的な対応も考えていただければというふうに矢原先生からメールが来ております。
 以上でございます。

【角野座長】 どうもありがとうございました。
 以上、前回ちょっと問題の残りました種類についての整理の結果と、それと新たに判明したアゾラ属についてですけれども、ちょっと分類学的な知見なんかを踏まえて、ちょっと絞ったという報告があったわけですが、一応事務局案としては9種類が第二次選定の候補種として挙げられているわけです。
 きょうの議論で第二次選定の種類として、何を選ぶかということを実は決めなければならないんですね。ですから、それがまず最初の議論の焦点になるかと思うのですが、ただいまのご説明について、まず質問とかご意見がございましたらご発言いただきたいんですが。話を順序よく進めていくために、資料1-4のこれは順番にグループごとにちょっとやっていけば話が混乱しないと思いますので、ちょっとそういうふうにしたいのですけれども、まずその最初に水草3種、アゾラ・クリスタータ、オオフサモ、ボタンウキクサ、3種挙っています。これについては前回は特に異論はなかったんですね。アゾラについてだけは分類の現状を考慮してアゾラ・クリスタータ、これを指定するということに変更になったわけですが、まずこの3種類に関していかがでしょうか。この3種類の選定に関してですね。

【岡野委員】 特にアゾラなんですけど、これは危険性のある水草ということですけれども、一方の有用性ということで、アゾラというのはたしか窒素固定するので、緑肥植物としても利用されていますし、何かアゾラを使った、急速にその水面を覆うものですから、それで雑草防除をするというようなそういう事例もありますけれども、そういった点の考慮というのはいかがなのでしょうか。有用性をどういうふうに考慮したかということなのですけれども。

【中島室長】 今回特にその環境保全型農業の中で、アイガモ農法と併用してアゾラが使われているということで、今の窒素固定の問題ですとか、雑草の防除の観点で有用性があるということをいろいろヒアリングの中で考えて、我々としては今回特にアイガモ農法では現在使われているのが雑種の系統が主に使われているということで、この雑種の系統については交配の心配がないということで、遺伝的攪乱については少なくともクリアできるということで、もう一つの競合、駆逐については心配があるところでありますけれども、これにつきましては、それぞれ使っている農家の方々に外に逸出しないような適切な管理をしていただくように呼びかけるということで、ある程度その被害は防止できるのではないかというふうに考えまして、有用性も我々としては配慮しながらこういった結論を出したということでございます。

【岡野委員】 実際に例えば、緑肥して使っている場合には何か届け出する許可を得れば、使えるというようなそういうことでしょうか。

【中島室長】 先ほどご説明いたしました1-7の中で、緑肥として使われているアゾラ属のうちの幾つかの種類の中で、不稔性の雑種系統があるということで、我々としてはできるだけこの不稔性のものを遺伝的な攪乱の防止という点から、これを使っていただくようしていただきたい。
 それで、それ以外のものについては、今回クリスタータは指定をするということでございますので、できるだけ同じ目的で使う場合にクリスタータを使用せずにその交配の雑種の方を使用していただきたいということでございます。
 クリスタータを仮にどうしても使うということでありますと、生業の許可という、生業の維持のための許可ということで、許可になる目的の一つに合致するんですけれども、実際には逸出しないような、施設の中でそれを取り扱わなきゃいけないという条件がありますので、水田で開放系の中で使うのはちょっと事実上、無理じゃないかなというふうに考えております。

【角野座長】 アゾラについて議論になっているんですけれども、いかがでしょうか。アゾラの場合に日本では緑肥として使われているケースは余りないんじゃないですか。ベトナムとか中国では使われていますけれども、日本の場合はいわゆるアゾラ農法ということで、アイガモのえさとして使われているというのが実情だと思います。これはあるところが全国に配布していまして、今まではいろんな種類をミックスして混合して送っていたわけですよね。その中に雑種もあれば、このクリスタータというのもあれば、ほかの種類も入っていたというわけですが、アゾラ農法を進めておられる方の中にも問題点を気づかれる、ちょっと問題意識を持たれる方が出てこられて、これからはできるだけ雑種、交雑のおそれがなくて、しかも1年で消えてしまうアゾラにしようというふうな、ちょっとそういう動きがあるというふうに聞いています。そういう意味で、このクリスタータをそのアゾラ農法から除外するというのは、そのアゾラ農法のあり方そのものというのですか、そういう農法をやっておられる方にもちょっと考えていただく機会になると思いますので、これを指定するからアゾラ農法が規制されるわけではありませんので、そういう意味では問題はないかと思っているわけですけれども、いかがでしょうか。現状ではこのアゾラ農法で配布されたものが逃げ出して各地で繁茂しているという状況がありまして、それが最小限になるような規制ということだと思います。このアゾラに関しては、このクリスタータに絞って選定すると。そうなると、アゾラ農法をやっておられる方たちは、被害の一番少ない雑種を中心にこれからアゾラ農法というのを進めていかれるという方向になるかと思うんですが、これについて異論特にございませんでしょうか。そうしたら、これはまず通ったといいますか、選定するという方向でまいりたいと思います。
 あと水草でオオフサモとボタンウキクサが入っているんですが、これいかがでしょう。これはやっぱり最近どんどん水質浄化植物だとか、そういうことで組織的に広められたり、あるいはボタンウキクサなんかはホームセンター等で売られて、それがふえ過ぎたものがあちこちに捨てられるということで異常繁茂という事態が起こっているわけですが、これは選定すれば、規制の効果というんですか、それはかなり大きな種類だと思いました。選定することの問題点等、もしあればご指摘いただけるとうれしいんですが、疑問とか。
 もし何もございませんようでしたら、この2種も選定種として挙げるということで了解いただいたということで進めさせていただきます。
 次に前回も問題になりましたオオキンケイギクとオオハンゴンソウですね。これについてはいろいろ実際に、ワイルドフラワーとしてどういう流通の実態があるのかとか、そういうことも調べた上で検討してはどうかというような意見が出たわけですが、その結果、今、事務局の方からご説明いただいたわけです。事務局案としては指定するという方向で、方針が出てきたわけですが、そのことも含めていかがでしょうか、ご質問なりご意見がございましたら。前回この2種について、小林委員の方からもう少し調べたらいいんじゃないかというご意見があったかと思うんですが。流通の実態、もう少し調べた方がいいんじゃないかと発言されたのは、黒川先生……、すみません。何かありますか。

【黒川委員】 前の議論の中で実際そういう園芸用に使われているものが出ていって問題になっているのか、それとも別のルートで入っているものが問題になっているのかがわからないんじゃないかというお話があったように思ったんですけれども、その辺は直接的効果という面で本当に効果が高くなるという判断の情報がもっとあるかどうかという点。

【角野座長】 いかがでしょうか。オオキンケイギクの場合にはどんどんやっぱり高速道路とか、ああいうところの緑化にどんどん使われていてもう広がる一方だと、このままではね。という状況があるかと思うんですが、何かただいまの質問について何か。

【長田専門官】 まずオオキンケイギクなんですけれども、今座長からもご発言がありましたように、今現在その実際にワイルドフラワー緑化等で広く利用され、数年前から利用されるようになってきていて、現実に確認されている場所では、最初に意図的にというか、緑化のために播かれた種子からから生じた個体がその播いた場所から外にどんどん逸脱して分布を拡大しているということが割と最近のその分布拡大の動きとして出てきているということもありまして、事務局の方でちょっと大手のその種子の取り扱いをしている、その生産業者さんにヒアリングを幾つかのところにさせていただいた結果としては、現在全国で種子の量として大体3,000キログラムぐらい流通しているのではないかと、ちょっと粗い推定なんですけれども、というような話がございまして、そのミックスして販売をするようなワイルドフラワー緑化用の種子として流通しているものが多いということでございます。緑化用のポット苗というような形でも流通しているというふうに聞いておりまして、それもある程度の量が人為的に植栽をされているということで、現在そういう形で流出しているものが主として影響大であるというようなことになろうかと思います。
 それからオオハンゴンソウですけれども、こちらはちょっと状況が違うと申しますか、そのワイルドフラワー緑化の種子としては、それほど積極的に利用されているということはないようでして、現在その業者にヒアリングをしますと、最近の混ぜて販売する種子としてはオオハンゴンソウのものは入れていないという、幾つかのところにお伺いしたところではそういうことでした。もともと野外に広がって日光等で問題になったのも、ワイルドフラワー緑化というのが広く行われるようになった時期の前ですし、もともと流通したものは園芸が起源ではないかというようなことをその先生方のお話の中から伺ったこともございます。そこの2種については状況が若干違いますが、いずれもその園芸とかその緑化というような形で、意図的に用いられていることによって逸出してきた結果として今の被害が発生しているというふうに考えております。

【角野座長】 この2種につきましては、オオハンゴンソウの場合は現在も人為的に広がっているけれども、自然に分布が広がって、特に必然性の高いところに侵入して駆除活動も行われているということで、今回の法律の趣旨に照らし合わせても指定することには問題ないと思うのですね。一方、オオキンケイギクというのはいろんな問題があるにもかかわらず、一方で、非常に花がきれいとかそういうことで、何というんですが、河川敷をオオキンケイギクで埋めようとか、そういう動きもあるほど、ある意味で社会的にはこれがなぜいけないのというふうな声が出ないとも限られない植物だと思うんですね。ですから、そういう状況を踏まえて、やっぱりこれはもうこれ以上広がってもらっては困るんだということをはっきりさせた上でここで選定する、そういう合意が必要かと思うんですね。そういうことも踏まえてご意見はいかがでしょうか。
 高橋委員。

【高橋委員】 この2種類につきましてやっぱりこういうふうに考える方がいいかなというふうに、ちょっと経験上も踏まえて思っておりました。特にオオハンゴンソウの場合は、やっぱり人が種をまくというよりは、もう二十数年以上前からはびこっている事態がありまして、特に資料の中にもありましたように、日光の国立公園の場合は、いきなりここの戦場ヶ原にあらわれたのではなくて、一番下の中禅寺湖とかああいったところからどんどん派生していきまして、そのいろは坂を順番に登っていくわけですね。登っていって、結局はその戦場ヶ原まで到達すること、観察しながらもうその当時、結局は僕もそれを抜いていく作業にかかわったことがありまして、その種がこぼれる前にどうやって防除していくかというようなことも、その環境省の管理の方々の中で話がありまして、結局いろは坂を登ってくるものをなるべく早く防除していかないと、戦場ヶ原に到達していくだろうということで、自然にふえていくような力というか、その繁殖力の強さは恐らくオオキンケイギクよりは大きいのかなというふうに思っていましたので、こういった二つの種類がここに入っているのは非常に妥当な線というか、こういうふうに取り扱うべきだなというふうに考えていました。

【角野座長】 どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

【岡野委員】 たしか今この2種、少し問題が違うような気もしますけれども、オオキンケイギクについて見ますと、ワイルドフラワー緑化で使っていまして、それから最近ですと、やっぱり身近のところに道路沿いとか自分の家の周りとかあるいは庭にたくさん植えています。確かにきれいです。そういう意味ではさっき座長がおっしゃったように、何でこんなきれいな花がいけないのというような、正直なところ、私もそういうふうに思いますけれども、それで、オオキンケイギクをつくっている方の心理、聞いたわけじゃないんですけれども、恐らくそんな危険性があることは全然認識せずに、きれいだからといってつくっているんですね。そういうことで、そういう人たちに対して一挙にその罰則規定を伴う、法律で規制するというのが果たして妥当かどうかというのが、何かワンクッション置いてもいいような気がするんですね。恐らくこれは非常にきれいだけれども、放っておくと蔓延して後から防除が非常に難しくなると。だから、なるべくこんなの使わないようにしてくれという、そういう啓発活動というか、そういう注意喚起のステップ、一遍置いた方がいいんじゃないかと。そうすると、きれいだけれども、そういうものなのかということで、何というんですか、皆さん認識深まって、その後で、実はそれでも全然効果がなければ、その次はこういう特定外来生物に指定して規制するのはしようがないと思うんですけど、何かそれぐらいした方が、こういう花を愛する人たちの混乱が避けられるんじゃないかなという、そういう気が若干します。

【角野座長】 ワンクッション置いた方がいいんではないかというご意見だったんですが、どうでしょうね。オオキンケイギクがもうはびこりますと景観が変わってしまうわけで、そういう意味でも影響は非常に大きいと思いますので、もしそれをよしとしないんであれば、早く手を打つ必要はあるかと思うんですが、皆さんご意見、いかがでしょうか。仮に選定されても流通とかそういうものはとまりますけれども、今生えているものがすぐに消えてなくなるというのではなくて、やはり問題点を指摘した上で、指摘というか、理解されるようにいろいろと啓発活動をした上でだんだんと減らしていこうと。そして在来の景観を取り戻していこうという、そういう動きになるかと思うんですが。

【岡野委員】 質問なんですけど、例えばそのオオキンケイギク、オオハンゴンソウ、指定されたとして、この種自身じゃないんですけど、近縁種が非常に園芸種としてたくさん出回っているんですけど、こういうものの流通というのはやはりこの種類名証明書というのは必要になってくるんでしょうか。先ほどの説明ですと、外国から輸入する場合にはそういう証明書がいるんだけれどということでしたが、既に国内で出回っている近縁種についてはどういう影響が出るのでしょうか。

【中島室長】 種類名証明書添付生物につきましては、先ほどお話がありましたとおり、外国から輸入するときにその外国の政府機関の種類名を証明した文書が必要だという規制だけでございますので、国内で出回っているものについては特段の規制はございません。

【角野座長】 ただいまのご説明ですと、何か補足される。

【中島室長】 もう一つ先ほどのご発言に関連してなんですけれども、今回第二次特定外来生物の指定をこの専門家会合で、最終的には8月の初めに取りまとめるということになりますけれども、その後、この案を公表してパブリックコメントという形で、さまざまな生物、取り扱っている方々等からの意見を募集をするという期間を1カ月から2カ月ぐらいの間ですけれども、設けて、その後、再度最終的にこれでいくということになって、政令の形で正式に決定をして、規制がかかるのは大体1月とかそのぐらいのスパンになりますので、その間、さまざまな関係の方々に我々の方から周知といいますか、具体的にはこういう規制がかかるんだというようなことについて説明する機会を努力して設けていきたいというふうに考えております。

【角野座長】 オオキンケイギクの場合、近縁種もいろいろとあるということでしたが、もし仮にオオキンケイギクが使えなくなって、次、第二のまた問題種が出てきた場合には、また検討されるということになるんではないかと思うんですが。この2種類について、一応選定候補種として挙げるかどうかということ、結論この部会として出す必要があるんですが、いかがでしょうか。まずオオハンゴンソウについては、ちょっと今までのご意見聞いていると異論はないと思うんですね。オオキンケイギクでちょっとワンクッション置いてはというご意見が岡野委員から出ているわけですが、とにかくひょっとしたらパブリックコメントあたりでいっぱい、何というか反対の意見が出てくる可能性もあって、まだ流動的な要素もあるわけですけれども、この部会のきょうの時点でこれを候補種として選定するかどうかということについていかがでしょう、これ結論を出さないといけないんですが。ほかにちょっとやはりもう少し待った方がいいというご意見の方がおられれば、考えなければいけないんですが、いかがでしょうか。これはやはり日本の植物的景観というか、そういうものをどう考えていくかとか、そういう面も含めて非常に大きな私は決断だと私自身は思っているんですね。ですから選定するんであれば、これを選定するということはそれなりにインパクトのあることだと思います。事務局案では選定ということで、ちょっと岡野委員から少し慎重なご意見が出ているわけですが、どういたしましょうか。
 もし特にほかの委員の方からご異論がなければ、候補種として挙げるということでお話進めたいんですが、岡野委員、やはりそれは。

【岡野委員】 これは私の意見ですので、取りまとめは座長におまかせします。

【角野座長】 そうしましたら、特に反論ないようですので、これもまず候補種として挙げると。そして今後のプロセスでどういう意見が出てくるかわかりませんけれども、それを踏まえた上で最終決定はパブリックコメントの後になされるという、そういうことで進めたいと思います。ですから、オオキンケイギクとオオハンゴンソウもこれも選定するということです。
 次に、蔓延種の問題をどう考えるかということで、アレチウリ、オオブタクサ、セイタカアワダチソウ等のことが考えられまして、この中からアレチウリが今回選定の対象として候補に挙ってきているわけです。その理由は指定したからといって、すぐに日本からアレチウリが消えるわけではないですけれども、アレチウリは実際生育地が河川敷なんかに限定されていて、いろんなところで防除活動が進んでいるわけですね。それをバックアップする意味でもこれを指定するという、選定するということの意味があるんではないかということなんですが、まずその蔓延種の中の一つのシンボルというか、トップバッターとしてアレチウリを挙げようということなんだと思うんですね。この蔓延種の中からアレチウリを選んだことだとか、あるいは蔓延種を選定することに意味があるのかどうかということも含めていろいろご意見があればご発言いただきたいんですが、いかがでしょうか。

【真鍋委員】 今回出していただいた資料、特に資料1-6を見ていますと、やはりアレチウリは指定するけれども、オオブタクサとセイタカアワダチソウに関しましては、これからも議論になると思うんですけど、特定外来種の方に挙げると、それ(=要注意外来生物)でとどまっておくというところの差はかなりはっきりして説明はしやすくなったと思うんですね。ただ、これからもう一つ考えていかないといけないと思うのは、オオブタクサとセイタカアワダチソウがなぜ特定外来種にならなかったかという理由ですね。その一つには、やはり防除の方針が明確でないということ、そのもとになるのは生育地のタイプが非常に多様である、都市の中から希少生物がいるところまで、そういうものに関しては防除の方針が明確でないというのがやはりアレチウリとあとの2種の違いを際立たせるところだと思うんですけれども。だとすると、やはり先ほど矢原さんからのメールにもありましたとおり、防除の方針をこれからどう明確にするかというのもどこかでちゃんと議論するというか、そういうことを(=方針を)これからちゃんと議論するんだということを書いておいた方がいいと思います。そうすることによってやはり蔓延種もこれからは指定されていく可能性があるし、そうなると、今特定外来種でなくて要注意になるものでもほかの人たちも喚起をして、これからあるところでは駆除、NPOなんかのNGOの人たちは駆除の対象にしていくという、いい流れができてくると思いますので、やはりところで防除の方針が明確ではないと書いているだけではなくて、これからどうするかということも少し何かご意見といいますか、どうしたいかというのを聞いていた方がいいような気がします。

【角野座長】 アレチウリの場合は住民の方だけじゃなくて、国交省が相当大規模に大がかりに駆除を最近はやっているところがありますので、方針とは言えないかもしれませんけれども、実績はかなりあると思うんですね。ですから、アレチウリが河川敷の植物を覆って、生態系に被害を与えるということと、それと、だから積極的に駆除活動が行われているというようなことを後押しする意味で選定するということだと思うんですが、どうぞ。

【中島室長】 ちょっと先の資料になりますが、資料2-3の中に今回これは要注意外来生物にするというもののそれぞれの種毎の個表なんですけれども、セイタカアワダチソウとオオブタクサについては、1-10ページと13ページに情報を整理してございます。今回要注意外来生物のリストをつくって、それを一般に公表してさまざまな人に注意を呼びかけるという趣旨でございますので、それぞれの種について注意事項という項目を設けまして、現在考えられる取り扱いをされている方々に対して、あるいはその防除みたいなものをどう考えるかということをごくごく簡単ではございますが、触れているものがございます。セイタカアワダチソウにつきましては、注意事項として既に各地の河川敷や荒れ地等で野生化しているが、希少種との競合、駆逐のおそれが高い地域については積極的な防除、または分布拡大の抑制策の検討が望まれるといったような形で非常に大ざっぱではありますけれども、簡単な防除に対する考えをこうやって示して、現段階でできる範囲ですけれども、示しているところであります。

【角野座長】 ということでアレチウリを選定することについてはご議論はないでしょうか。

(なし)

【角野座長】 ないようでしたら、アレチウリに関しては蔓延種の第一弾として選定するということで、この部会の結論としたいと思います。
 あとオオカワヂシャとナルトサワギクが出てきています。これは少しちょっと場合によってはなじみが薄いかもしれないんですが、オオカワヂシャにつきましては最近急速に広がっていまして、特に河川で広がっているわけですけれども、どんどん裸地なんかができますと侵入しまして、いろいろと本来そういうところに入るはずの在来種との競合、駆除ということもありますし、在来のカワヂシャとの交雑というような問題もありまして、これに注意喚起するという意味では選定しておく理由はあるかと思うんですが、いかがでしょうか。各分布拡大途上の種類に当たって早めに手を打とうということですね。これ花が非常にきれいなので、私はひょっとしたら、どこか業者あたりが商売に使うんじゃないかということもおそれているんですが、そういうこともちょっと含めまして、オオカワヂシャを選定することについていかがですか。特にご異論がないようでしたら、じゃ、これも選定ということでここの当部会の現時点の結論としたいと思います。
 次、ナルトサワギク、これは一番何というんですか、まだ急速に分布を拡大しているといってもどこにでも広がっているものではないわけですね。しかし、外国では侵略的な外来種として問題になっているということもあります。ですから、早めに手を打とうということだと思うんですが、いかがでしょうか。同じような状況にある種類というのはほかにもあると思うんですが、まずその中でいろいろと情報が集まっているナルトサワギクを指定しようという、そういう方針だと思います。

【小林委員】 前回勝山委員からナルトサワギクについては分類がいろいろ混乱しているというふうな指摘があったと思うんですけれども、その点についてはどういうふうになっているでしょうか。

【長田専門官】 事務局の方で今回ちょっとご説明を忘れて、失礼しました。ご指摘を受けて、ちょっと文献等に当たって、勝山先生にもちょっとお調べをいただいたんですけれども、結果としてその記録がしっかりしていて分類もちゃんと対応がとれるというものとして挙げられるのが、このSenecio madagascariensisで、その他についてはちょっとはっきりしない。例えば資料の17ページの個表ですと、淡路島の個体群というのは別名で発表されたということなんですけれども、一応このmadagascariensisだというこがはっきりしているということでして、そのほかにも類似の種で野生化をしているものがかなりあるようなんですが、それが具体的に何の種なのかというところが今ひとつはっきりしていないというところもありまして、事務局としては今の段階で、その被害がはっきりしているものとして、その学名で具体的に定義できるものとして、今回はこれを提案をさせていただいたということです。

【角野座長】 ということなんですが。確かに近縁種も入ってきていまして、それがこのナルトサワギクと分類学的な混乱を引き起こしていたんで、それもやはり別種が同じような状況にあるとなれば、この検討の対象にはなると思うんですけれども、現在、このナルトサワギクといいますか、ちょっと正確な、忘れましたけれども、madagascariensisですか、これが急速に広がっているのは特に西日本なんですけれども、そういう実態がありまして、諸外国では非常に被害を及ぼしているという情報がありますので、今のうちに手を打とうということだと思います。また、そのナルトサワギクのその被害に対するその実感というのはない方が多いというか、またそういう状況だと思うんですね。しかし、ちょっと先を読んで、指定種選定しておこうということだと思います。入ってきてどんどん急速に拡大しているものについては早く手を打とうという、そういう例ですね。そういう趣旨で選定の候補に挙っているわけですが、いかがですか。まだその程度なら選定しなくてもいいんじゃないかというふうなもしご意見があれば考えなければいけないんですが、やっぱり早めに手を打つ方がいいというような、そういう事務局の判断ですので、もしご異論がなければ、これも選定……。
 はい、どうぞ。

【真鍋委員】 そういう意見じゃないんですけども、実際に外国、ここに文献、17ページに書いてくださっていますとおりオーストラリアとかハワイでは、実際に生態系に係る被害が出ているということがわかっているわけなんですけれども、ちょっと勉強不足で申しわけないんですけれども、実際にどういう被害が出ているのかというのをちょっと、もし今ご存じでしたら教えていただいた方が、それだったらやっぱりこれは指定しておった方が日本でもいいなということになる、もっと強く思えるんじゃないかと思いまして、自分で調べておくべきだったんですけれども、申しわけございません。もしご存じでしたらお願いいたします。

【角野座長】 もし情報があれば。

【長田専門官】 そのナルトサワギクの代表的な被害というのは、実はその生態系被害というよりも、その家畜に対する被害といいますか、非常に蔓延している場合に、その家畜に対して有毒、その草食動物がナルトサワギクを食べてしまうと中毒症状が起きるというようなことがあるというふうに聞いておりまして、その除去に経済的に大きな被害が出ているということですが、それぐらいですから分布を拡大をして、その優占をしてしまう特徴があるということで、生態系被害ということも当然あるだろうというふうに考えております。

【角野座長】 そうですね。そういう意味では、ちょっとオーストラリアと日本ではちょっと状況が違うと思うんですが、そういうことも含めて、とにかくキク科の植物というのはいろいろ交雑等の問題もどんどん引き起こしていきますし、やはり危険な、危険というんですか、できるならば広がるのを防ぎたいですね、植物であることには間違いございませんので、これをそういう意味で選定候補として選定するという案に特にご異論がなければ、これもそういう方向でいきたいと思いました。ご異論ございませんでしょうか。
 そうすれば、これも一つのこういうケースもあるということの一つの啓発にもなりますので、候補として選定するというのを当部会の結論にしたいと思います。
 次に、もう一種残りましたスパルティナ・アングリカについては、これはまだ日本に入っていないわけですけれども、もし入った場合にはどの影響があるだろうということで、水際で防ぐという意味で、指定するという意味で、これに関しては全体も異論なかったと思うんですね。そういう意味で、もし今特に異論がなければ、これはこういう実例というのも事例というのもつくっておこうということで、法の趣旨に照らしても意味のある決定だと思いますので、選定候補として選定するということでいきたいと思います。
 この9種類結局事務局案どおり、第二次の特定外来生物に選定する候補種として全体会合なりパブリックコメントに上げるという結論になったということでお認めいただきたいと思います。
 次に、資料の1-8で未判定外来生物と種類名証明書添付生物のことについてご説明がありましたけど、これについては何かご意見なり質問ございませんでしょうか。何かちょっと、どんな細かいことでも結構ですので、問題点といいますか、疑問点残さずに議論を進めていきたいと思いますので、もし何かあればおっしゃっていただければうれしく思います。そうしましたら、このキオン属という読み方についてはちょっと検討していただくということで、これについても今までの方針どおりやった結果ですので、これでよしとしたいと思います。
 ということで、一応第二次の選定候補として挙げる特定外来生物並びにこの未判定外来生物、それに証明書添付生物については、一応今のような案でいくということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【角野座長】 そうしたら、この点については議論を終わりまして、次に、要注意外来生物リストについて議論したいと思います。事務局の方でリストの考え方、あるいは候補種ごとに注意すべき事項を整理していますので、これらについて説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【中島室長】 それでは資料2-1をごらんいただきたいと思います。要注意外来生物リストの再整理・活用の方針についてというペーパーでございます。これは先ほど前回開かれました6月9日の全体専門家会合でお示しした資料でございまして、今回、要注意外来生物リストを今までの暫定版の中から特定外来生物なるもの等を除いて、再度整理をして公表していきたいということでございます。リストの対象になる生物というところですけれども、今回第二次選定の検討対象といたしました暫定版の要注意外来生物リスト、それからIUCNと日本生態学会のワースト100等のうち、被害について文献等による指摘があるが、その科学的知見が不足しているもの、それから普及啓発を先行して実施すべきもの等、第二次の特定外来生物選定の対象としなかったものを、要注意外来生物リストの対象生物とするというふうにしております。なお、国内外来種、それから微生物、他法令による規制の対象種等、これらは本制度の対象外でありますけれども、これらは要注意外来生物リストの対象外としたい。ただし、他法令の規制対象になっているものであっても、注意喚起が特に必要なものとして専門家会合で指摘があったものについては、例外的にリストの対象に含めるというふうにしたいと思います。
 また検討の過程で、我が国で被害を及ぼすおそれが高くないというふうに判断されたものは対象としないというふうにしております。
 裏のページをごらんになっていただきたいんですけれども、左側の方が今回第二次選定の検討の対象にしたものであります。暫定版の要注意外来生物リストと、それから新たな知見ということで、専門家からの指摘、それからNGOからの検討要望ということで幾つか、それとIUCNのワースト100、生態学会のワースト100ということで、それを全体の検討対象として、右側の方ですけれども、そのうち特定外来生物に今選定したものがあって、一番下の方にありますように、被害がないだろうということで対象外にしたものがあって、それ以外のものはすべて要注意外来生物リストに掲げるというような整理にしてございます。
 この要注意外来生物リストの中身ですけれども、これを四つに区分をして、意味が明解になるようにしようということでございまして、一つ目のカテゴリーが被害に係る一定の知見があり、引き続き指定の適否について検討するものというくくりでございます。
 それから二つ目が、被害に係る知見が不足しており、引き続き情報の集積に努めるものというふうにしております。
 3番目が先ほどの法律の対象外ということで、選定の対象とならないが、注意喚起が必要な外来生物ということで三つ目のカテゴリーで、最後のカテゴリーが別途総合的な取組みを進める外来生物、これは緑化植物のこと、そのものでございますけれども、この四つに要注意外来生物の中をカテゴリー分けをしていきたいということでございます。
 表に戻っていただきまして、3番の文章が今説明していましたことでございますけれども、4種類のカテゴリーに分けるということで、なお、生物ごとにさまざまな知見の充実度なり利用実態の把握状況等異なりますので、リストの公表に当たっては、すべての要注意外来生物について種別の情報表、今回資料2-3でお示しているものですけれども、これをホームページ等を通じて広く周知しようということであります。
 また、生物群あるいはその利用形態に共通して配慮すべき事項というものもあるんじゃないかということで、こういったものについても整理取りまとめを行って積極的に注意喚起を行うというふうに考えております。
 それで資料2-2が要注意外来生物リストの一覧表でございます。資料2-3が種別のそれぞれの種ごとの被害に係る知見なりあるいはその要因なり定着実績なり、その他関連情報を種ごとにまとめたものでございますけれども、非常にその植物の種類が多うございますので、ちょっとすべて紹介していくと時間がなくなってしまうものですから、その資料2-2で簡単にご紹介をしていきたいと思います。
 まず、植物の場合は、この要注意外来生物リスト、四つのカテゴリーに分けると申しましたけれども、三つ目のカテゴリーがなくて、1と2と4のカテゴリーになっております。資料2-2の1枚目に上の方の四角ですけれども、これにつきましては、被害に係る一定の知見はあり、引き続き指定の適否について検討する外来生物ということで、被害に関してのさまざまな知見等から特定外来生物に指定をしてもいいようなものですけれども、先ほど蔓延種のところでご説明しましたようなさまざまな理由で、今回はとりあえず先送りということで、引き続き指定の適否について今後も検討していこうというようなものとして5種類を挙げております。水草のうちオオカナダモ、コカナダモ、ホテイアオイ、それから陸生のものとしてセイタカアワダチソウ、それからオオブタクサと、この5種類は今後も引き続き指定の適否について検討していくものとしてそのカテゴリーに入れるということです。
 資料2-2の最後のページに4番目のカテゴリーとして、緑化植物につきましてはすべてここに入れてございます。イタチハギからオオアワガエリまでの十数種類ですけれども、以前よりご説明申し上げているとおり、緑化植物については、社会的に積極的な役割を果たしているということですとか、代替性がないというようなことが考えられるということで、あるいはその国内の移動という別の問題も発生するおそれがあるというようなことから、まず、環境省とそれから農水省、国土交通省の方で研究会を立ち上げていくというように、総合的な取組みを進めるというようにしておりますけれども、その検討結果をとりあえず待つというふうにさせていただいて、ほかの囲みとはちょっと別の囲みということでここにすべて入れさせていただいております。
 それ以外のものが第二番目のカテゴリーということで、1ページ目に戻っていただいて、被害に係る知見が不足しており、引き続き情報の集積に努める外来生物というカテゴリーの中に入れてあるということでございます。
 この表の一番右側に摘要というところがありますので、それぞれちょっとすべて説明をしていますと時間がなくなりますので、一番目のカテゴリーだけを紹介をしていきたいと思いますけれども、オオカナダモにつきましては、各地の湖沼に侵入し、クロモ等の在来の水生植物と競合し駆逐していると。大量に利用されているため、規制による大量遺棄のおそれがあると。既に広範囲に蔓延しているため指定の緊急性が低いというような形でまとめております。
 コカナダモについても同様でございます。
 ホテイアオイにつきましては、浮遊性の水草で、水面を覆い尽くし光を遮ることで在来の水生植物の生存を脅かすと。それからアレロパシー作用等を通じて水生生物全体へ影響するおそれがあるというようなこと、これにつきましても同様に大量遺棄のおそれがあると。それから広範囲に蔓延しているため指定の緊急性は低いというようなことをまとめております。
 セイタカアワダチソウ、オオブタクサにつきましては先ほどご説明したようなことがここにまとめてあるということでございます。
 それ以外の要注意外来生物リストのそれぞれの種につきましては、摘要のところでこのように簡単にまとめてございますけれども、情報がある程度あるものにつきましては、それぞれその種の状況に応じてそれなりに書き分けてございますけれども、IUCNのワースト100に含まれているもので、まだ導入されていないようなものについては、一応今回個表をまとめていく際に情報を集めて、それなりの情報量を確保していますけれども、なかなかまだ詳しいところまではわかっていないということでございまして、そういったものについては余り詳しい記述はできていないという現状でございます。
 資料2-3の方を少しだけご説明したいと思いますけれども、先ほどの注意事項のところですけれども、今回要注意外来生物リストを公表するに当たって、関係の方が種ごとの表を見て、具体的にじゃ、どういうことに気をつけたらいいのかというようなことをわかるようにしようということで注意事項という欄を設けてあります。例えばオオカナダモに関しましては、栽培に当たっては管理されている場所や施設以外に逸出を起こさない適切な方法で行うことが重要であるといったこと、それから関係業者や利用者は責任を持って栽培し、栽培できなくなった場合は野外へ遺棄することなく適切な処分を行うことが必要であるということ。既に各地の湖沼等で野生化しており、在来種との競合・駆逐等のおそれがあるため、積極的な防除または分布拡大の抑制策の検討が望まれるといったような、その種ごとに考えられる注意事項につきまして、それぞれ記述をしているということでございます。
 すべて紹介しておりますと時間がなくなりますので、一部の紹介にとどめさせていただきたいと思います。
 それから資料2-4でございます。資料2-4につきましては、要注意外来生物を今回取りまとめて公表するということですけれども、普及啓発というふうに考えますと、特定外来生物も含めてこれから広く普及啓発を進めていかなければならないということで、簡単に今の事務局の考え方をしてございます。特定外来生物につきましては、法律に基づいて適正に取り扱う必要があるということで、特定外来生物の輸入販売等を行うさまざまな関係者に対して法律の趣旨を徹底する、あるいは申請手続等の具体的な規制の内容について理解を得る必要があるということで、特に法律の規制等に関して情報を得にくい立場の方々に対しての効果的な普及啓発が重要であるということで、業界団体、それから地方公共団体の協力を得ながら、ペット販売店や飼育専門誌を通じた情報提供、それから普及啓発に努めていくなど、飼養者の目にふれやすい方法で行うことに配慮しつつ積極的にやっていきたいということです。
 それから要注意外来生物については、引き続き科学的知見の集積、それから利用に関する実態把握を進めていくということですが、適正な利用に向けた関係者への普及啓発を行う必要があるということであります。先ほどから申し上げているとおり、種別の情報票をすべての要注意外来生物について整理をしてホームページ等で周知をしていきたいと。
 それから3番ですけれども、生物群や利用形態に共通して配慮すべき事項ということです。専門家会合における検討の結果を踏まえまして、その特定あるいは要注意の生物に限らず、その特定の生物群あるいは利用の形態に共通して一定の配慮が必要な事項については、ホームページそれから関係事業者団体等に通じた配慮の要請を積極的に行うことにより、多様な関係者がそれぞれ具体的に何をなすべきかについての普及啓発を推進していきたいということで、別紙と書いてありますのは裏でございまして、生物群や利用形態に共通して配慮すべき事項の例ということで、植物の関係のところをピックアップして今掲げておりますけれども、外来生物を利用して業を営む方にとか、あるいは動植物を輸入する方にという特定の利用形態をしている方に対して、具体的にどういったことに注意をしてほしいかといったようなことを書いてあります。こういったものをまとめて要注意外来生物あるいは特定外来生物の種としてのこういった種が規制対象です、あるいは要注意なんですといったようなことと同時に、外来生物の取り扱い全般に対して具体的に注意を呼びかけていきたいというふうに考えております。

【長田専門官】 続きまして、資料2-5についてご説明をさせていただきたいと思います。
 前回、外来植物に関する影響評価に対する基本的な事項を簡単に整理してご説明をしましたけれども、その後も事務局で今後具体的に外来植物に関する影響評価の仕組みを検討していくに当たってどういう方法で進めていったらよいかということを少し検討しておりますので、今回は中間的な報告というような性格になるかもしれませんけれども、少し今の段階で事務局が検討している状況についてご紹介をさせていただきたいと思います。
 外来植物については、前回の会議でもご説明をしたように膨大な種が含まれているということがございまして、評価に当たって、特にほかの分類群と同等以上にその客観性とか透明性を確保しつつ、一定の基準で評価をしていくということが重要であるというふうに考えております。このため外来植物のその被害の評価については、影響評価の仕組みを何らかのものを構築しながら検討結果に反映していくということを考えております。これまで3人の先生方、それからお一人のヒアリングの結果をもとに、この専門家会合の中でもヒアリングをやってまいりましたけれども、そういった状況も参考にしながら、今後一つは具体的に外来植物の他の地域等でのその侵入実績と日本における気候適応性のファクターで評価をしていくということ。それともう一つはオーストラリアやニュージーランドで広く利用されておりまして、これまでのヒアリングでも草地研究所の西田さんですとか、首都大学東京の加藤さんのヒアリング等でも情報を提供していただきましたそのPheloung氏らがつくったWRAモデル、そういったものを用いて、その適用の可能性について検討を進めていきたいというふうに考えております。モデルを適用するに当たりましては、当然ながらその日本の自然条件等に照らして、この海外で使われているモデル等がそのまま日本に当てはめることが適切かどうかというようなことも検証しながら、必要に応じてその基準点を変更したり、二次評価をさらに加えていくというようなことも検討していきたいというふうに考えております。
 評価の対象としましては、未判定外来生物になっているものを評価をして特定外来生物にすべきものなのか、未判定外来生物から除外すべきものなのかというようなことを検討していくですとか、現在も要注意外来生物リストにも入っておりますが、その世界の侵略的外来種ワースト100のように海外で大きな影響が指摘されているもの、それからその他の要注意外来生物、そのほかに国内外で被害について危険があるもの等について評価をしていくべきというふうに考えております。
 もう一つは、既に指定されている特定外来生物について評価をするということも必要ではなかろうかとは考えております。
 仕組みづくりと評価の手順として今事務局で考えておりますのは、一つはその評価のモデルの適用の方法として先ほど申しました侵入実績と気候適応性による評価に当たっては、気候と分布、それから他の地域での雑草化というような項目がWRAモデルにもございますので、そういった項目に関する生物ごとの情報を収集して評価を行うということが最も効率的に適切に評価をできるのではないかというふうに考えておりますが、先ほど申しましたように、日本の気候条件がどうかとか外来生物法における被害のタイプとして整理しております内容とモデルの評価項目の整合性というようなものについても検証を行っていく必要があるとは考えております。
 それからWRAモデルそのものを適用して評価をやっていくということも考えられるわけですけれども、これについてもそのモデルの各評価項目の設定根拠と、その外来生物法における被害の内容等の関係について検証を行って、必要に応じて評価の重みの修正とか項目の修正というのが出てくるというふうに考えております。
 それから水草についてはヒアリングの中でも若干コメントがあったんですけれども、水草そのものに対する影響評価のモデルというのがございまして、そちらの方がより適切に評価のできるというような専門家の指摘もありますので、そういうことについても検討を行っていくべきではないかというふうに考えております。
 モデルの有効性の検証というのは非常に重要でかつ難しい課題だと思っておりますが、一つの例としましては、既に特定外来生物に選定されているものというのは、これまでの議論において我が国で被害をもたらすおそれが大きいというふうに判断をされているわけですけれども、こういったものが仮に設定したモデルでどう評価されるかというのが一つ重要な参考情報となるだろうと。それから前回もご説明しましたが、被害をもたらさないことが明らかなものを判断していくということも重要だと思います。それで、実際今の段階で被害をもたらさないということがわかっている植物をそのモデルで評価をしたときに、ちゃんと被害をもたらさないというふうに判定されるかどうかというようなことでもモデルの有効性の検証というのができるのではないかというふうに考えております。
 評価結果については、このモデル自体は海外でも同様ですけれども、そのすぐに完成度の高いモデルが構築できるというのはなかなか技術的には難しい状況がございますので、ほかの科学的知見、それから有用性とか代替性、そういった情報についても整理をした上で判断の材料の一つとして活用していくということが当面は必要なのではないかというふうに考えております。具体的には専門家グループ会合において、こういったモデルに適用した結果、それがその根拠となった情報、その他の情報を提示をして十分に議論を行っていただき、特定外来生物に指定すべきかどうかということを検討していくというふうに考えております。
 特にその二つのモデルの適用の方法について今ご説明をしましたけれども、データ種ごとの生物学的特性等のデータの収集に異常に時間を要するということが想定される場合には、場合によってはその侵入実績と気候適応性による評価モデルというのをまず先行的に行っていくということが考えられるだろうというふうに考えております。
 それから、そのほかにモデルの活用の方向性としましては、代替的に利用することが可能な種を選定していくですとか、モデルの構築なり適用に当たって収集した情報をデータベースとして活用して種の選定だけではなくて、例えば効率的な防除の方法に関する基礎的なデータベースといったものとしても活用していくということが考えられるというふうに思っておりまして、実際に既に植物に関するさまざまなデータベースを運用している機関等そういったところと連携を図ってまいりたいというふうに思っております。
 具体的にこういったことを進めていくに当たってかなりの作業が予想されるわけですけれども、実際に例えば専門家会合の先生方、それから今までヒアリングを行ってきた先生方、それから例えば農業環境技術研究所でこれから3年間ぐらい農業環境技術研究所の方がプロジェクトリーダーになって、外来植物の侵入リスク評価に関する総合的な研究というのが始められるというふうに聞いておりまして、そういった研究者の方々の既存の蓄積と今後の動きについても十分意見交換をしながら、既存の知見を十分活用して効果的にこういった取り組みを進めていく方向で研究者の方々の協力もしていきたいというふうに考えております。
 2-5については以上です。
 それから資料2-6ですけれども、こちらについては前々回緑化植物に関して総合的な取り組みを行っていきますということを簡単にご説明をいたしましたが、具体的な取り組みの内容として今般その予算が一部獲得をできまして、関連三省庁で、外来生物による被害の防止等に配慮した緑化植物取扱方針検討調査ということを実施できる運びとなりました。具体的に調査を実施してまいりますのは、今年度環境省、農林水産省、国土交通省の3省で行ってまいるわけですけれども、調査の背景としてその工事での法面の早期緑化等の観点から緑化の材料として外来植物が広く利用されておりまして、これらについて一部影響が指摘されていると。このような問題への配慮から外来植物が積極的に利用されるようになっておりますけれども、ご指摘がありましたように外国で生産されたもの、それから国内の他の産地から持ち込まれたもの等によって、地域の生物の多様性に影響があるということも指摘をされています。
 公共事業における緑化というのは、国土保全の観点、それから機能上の要請を踏まえて利用する植物を選定しておりますので、幾つかの外来植物の利用については、現在はその代替的な植物ですとか代替的な手法というのが確立していないものもございます。これらに対して対応していくために、一般的には一つの地域の中でもさまざまな事業で緑化が行われていますので、いろんな公共事業にかかわる部局が横断的に検討を行うということが最も効率的だというふうに考えております。
 調査の内容としましては、現段階では国立公園等の自然性の高い地域をまずモデル地域としまして、公共事業における外来の緑化植物の利用の現状把握等を行いまして、植物の特性と地域の自然環境に実情に応じた手法を検討していくと、そのために技術的な課題、制度的な課題等も整理しながら、植物の利用に当たっての基本的考え方、採用すべき緑化手法の検討方法等を定めた長期性のある緑化植物取扱いの方針といったものを検討していきたいというふうに考えております。
 調査についてはかなり多くの機関がかかわってやるものですから、専門家とか利用関係者の参加も得ながら、協力して情報の共有、成果の共有を行って、各調査の内容も各省庁と連携しながら、各事業で共通する課題の整理等も行っていきたいというふうに考えておりまして、例えば環境省の場合は国立公園等で自然公園等事業というのが行われておりますが、例えばそういったものについて制度的、技術的な課題を整理すると。こういったものが行われる場合にどういう緑化のあり方が望ましいのかということを方法論的に検討していくということを考えております。
 農林水産省においては、主に水田等の農地、水路等で緑化が行われておりますし、林野庁においては森林でさまざまな緑化が行われております。国土交通省の方でも道路ですとか公園緑地ですとかさまざまなところで緑化が行われておりますが、こういったものにおける制度的な、技術的な課題を整理をしながら、関係省庁が連携して横断的な対応策を検討していきたいというふうに考えております。
 この調査とその分類群専門家会合の関係でございますけれども、下の囲みの中に簡単に書いておりますが、こういった調査の検討状況について事務局から随時分類群専門家グループ会合に対して状況をご説明いたしまして、その中で当然個別の植物に関する情報等も調査の進捗を踏まえてご提供をしていくことになると思います。このグループ会合においては、これらの情報もグループ会合としてのご判断で活用していただきながら、引き続き特定外来生物の選定のための検討を行っていっていただきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

【角野座長】 どうもありがとうございました。ただいま非常に膨大な資料で説明していただいたわけですが、まず要注意外来生物リストと、それに出ています植物についての注意の喚起の問題についてご説明がありましたけれども、まずその点に絞ってご意見、ご質問がありましたらお願いしたいと思います。
 どうぞ、真鍋委員。

【真鍋委員】 資料2を見ながらちょっとご説明いただきたいんですけれども、非常にこの二つ、植物は一つないんですけれども、わかりやすいまとめ方にはなっていると思うんですが、1番目と2番目、「被害に係る一定の知見はあり」というところですね。それと「被害に係る知見が不足しておる」と、この違いなんですが、「知見があり」、又は「知見が不足」というのをどういう基準で決めているのかなということなんです。なぜそんなことを言うかといいますと、実は例えば2番目の被害に係る知見が不足というところの中にも、アメリカミズユキノシタなんかを見ますと、天然記念物の深泥池で増加という、これはかなり知見が出ているんじゃないかと思うような記述があるのと、実はきのう、私の手元に届いたんですけれども、生態学会の保全生態学研究という雑誌の中に、特定外来生物に指定すべき外来植物種とその優先度に関する保全生態学視点からの検討という論文が出たんですね。それに幾つかちょっと細かいことは省きますけれども、やはり種をA、B、Cというランクに分けていまして、指定すべきランクですね。Aというのに何種類かあるんですけれども、それがほとんど実はこの上の段と、今回指定しましたのを含めた特定外来生物に入ってきます。ただし、入ってこないのが2種類ありまして、それがその下の被害に係る知見が不足しているというのに入っています。具体的にいうとタンポポとヒメジョオンなんですけれども、これをもしかして上に入れてしまうと、この方の仕事に追従するわけじゃないんですけれども、かなり同じような考え方で整合性のとれることができているなということを一つ考えます。
 それと、やはりその不足しているということの定義というんでしょうか、その辺がちょっとあいまいな気がしましたので、できればその辺を具体的というか、もう少し客観的に示した方が理解しやすくなるんじゃないかと思います。もし可能でしたら簡単にご説明を。

【角野座長】 いかがでしょうか。

【中島室長】 今回特定外来生物に選定をするものについては、資料1-1の2ぺージ目にありますように、外来生物の種の存続または我が国の生態系に関して重大な被害を及ぼし、また及ぼすおそれがあるものということで、四つその重大な被害として認定するようなものについて、その記述がありまして、例えば在来生物の種の絶滅をもたらすおそれがあるとか、地域的な個体群の絶滅といったようなことが書いてあります。最終的に我々特定外来生物の選定の際に考慮した、こういった個々の四つに該当するような被害が生じているようなもの、生じているというような知見があるものについては、基本的に特定外来生物にするか、あるいはこの被害に係る一定の知見はあるというふうにみなすべきだろうというふうに考えて、これまで我々の方で収集できた資料を一応眺めながらその今の二つ特定外来生物かあるいはこの被害に係る一定の知見はあるというふうなものなのか、そうでない、まだそこまで言えないんじゃないかというようなものを一応振り分けたということではございます。
 ただ、非常にその植物の場合量が多いということと、それからその評価についても、その文献をこちらの方で文献しか見れないということもありまして、何というんでしょう、そのWRAのような客観的なその判断基準みたいなものが今ない状態では、若干その見る人が見れば、これはちょっと違うところに入った方がいいというようなものもあるのかもわかりませんけれども、とりあえずその現段階で我々が収集できた、あるいは我々の目で判断をした結果がこうなっているということでございます。

【真鍋委員】 はい、わかりましたと言うしかないんでしょうけど、例えば思ったのが、その一定の知見というのは、こういう言い方はよくないかもしれないんですけれども、例えば査読つきの論文に載った種に関しては一定の知見があると。あとはただのホームページですとか、普及書啓発書に載ったものは被害に係る知見が不足しているとか、そういうことなのかなと思って、実はちょっと聞いてみたんですけど。

【中島室長】 そういうことではなくて、今回は査読つきの論文に限らず、知見として信用できそうなものについては採用していこうという方針を立てましたので、それについては区別をしていなくて、むしろその被害が実態的に先ほど申し上げた四つの状態をもたらすような被害なのかどうかというところで判定したということだと思います。

【角野座長】 ほかにいかがでしょうか。
 小林委員、どうぞ。

【小林委員】 別途総合的な検討を進める緑化植物というところなんですけれども、これこの中には以前もご指摘がありましたが、かなり広範に利用されている牧草が入っているわけですね。そうした場合、総合的な対策というのがその緑化植物としての検討だけでは多分不十分で、その牧草種の転換であるとかあるいは管理であるとか、そういうことも同時にやらないと効果がないと思うんですけれども、この点どうでしょうか。

【角野座長】 いかがでしょうか。

【長田専門官】 おっしゃったとおりだと思います。総合的に取り組みをやるものについては、緑化で使われているその利用の実態を把握するところから始めたいとは思っているんですけれども、ご指摘のように牧草で使われているものとかが結構入っているということもわかっておりまして、それから例えばハリエンジュですと養蜂に利用されているとかいろんな利用の形がありますけれども、基本的には緑化の観点からまず検討を始めていくわけですが、そもそもの問題点は代替性の問題でして、代替性がないとか、代替的に別のものを使ったときに、また別の新たな問題が発生するかどうかということですので、その検討の中では当然その牧草としてどういう利用がされているのかというようなことも整理はしていくべきだというふうに考えておりますけれども、今回総合的な取り組みでこの3省庁で実施していく調査についてご説明をしましたけれども、実際にはそれと並行しながら、例えば牧草の観点で利用している状況を把握するというのは、恐らくこの調査の実施機関だけでは十分に把握できないと思いますので、例えば農林水産省のそういった部局にいろいろ情報を提供いただくとか、ああいうことも含めて今後は検討していかなければならないのではないかと思います。実際にはその種ごとに置かれている状況がいろいろ違うと思いますので、できる限り幅広く把握をしながら取り組みを進めていきたいというふうに考えております。

【角野座長】 じゃ、黒川委員。

【黒川委員】 その牧草利用という観点からしますと、ここに入っているものは主要牧草、恐らくこれを規制してしまうと、今の畜産はほぼ成り立たなくなるだろうというものがすべて含まれていますので、そういった意味ではもし一緒に総合的に判断していくというか検討していくというのであれば、その利用というものの影響というのはやっぱりしっかり入れていかないといけないかもしれませんね。今、ちょっと畜産が置かれている環境、状況からすると、こういうものを規制するという形になると、より輸入飼料に依存した形態がふえてきて、それに伴ってますます非意図的に導入される外来種の侵入というものも促進されてしまう可能性もあるので、そういった観点も含めて検討していく必要があるかなというふうに思いました。

【角野座長】 ただいまのご指摘はもっともなご指摘なので、その検討、研究会の方でも専ら緑化植物として使われているものもあるわけですけれども、牧草としての利用が多いものについては、やっぱり社会的な問題ですから、ぜひそういうことも考慮に入れてご検討いただきたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。はい、真鍋さん。

【真鍋委員】 やはり関連することなんですけれども、今私たちのグループとかこういう会合でやっているのは、やっぱりどういう種が危ないかという種を指定する作業なわけなんですけれども。それをデータベースというかベースにしまして、もう一歩進んで、別の観点からやはりこういう生育地、こういうハビタットは気をつけるべきだという、今度は、場所の指定の方に考えを持っていった方がいいと思うんですね。そういうことができればなんですけれども。そうすると、例えば今の牧草の問題でもすべての牧草地で、それを対象に規制にするんではなくて、例えば希少性の高い脆弱なところとか高山のようなところ、そういうところに入ってきているものだけを対象にする、ということができると思いますので。次のステップとしてはそういう場所を考えるということをぜひやった方がいいんじゃないかなというふうに考えます。できればというお願いなんですが。

【角野座長】 それはやはり具体的な議論の中でそういうことも議論していただければと思います。ほかにいかがでしょうか。
 黒川さん、どうぞ。

【黒川委員】 この普及啓発のところで、今回特定外来生物の議論で出てきましたけど、特にこの遺伝的攪乱が起こるようなものについては、在来種でそういう、在来の近縁種で絶滅危惧種とかがあるわけですよね。そういうものとの識別点というものも同時に指定する際にはしっかり出しておかないと、防除のあり方というところにも関連すると思うんですけど、もし間違ってその近縁の絶滅危惧種までこう防除されてしまうようなことがあったら、この指定することによる逆のマイナスのインパクトというのが出てしまうと思いますので、できればこの要注意外来生物等のところにはこのホームページ等を通じてとあるんですけれども、この特定外来生物についてもより詳しい情報をしっかり出していく必要があるかなというふうに思いました。

【角野座長】 はい、それはもっともなご意見だと思いますので、ぜひその特定外来生物に関する啓発というんですか、あるいはその周辺の問題もきっちりPRしていただくようにお願いしたいと思います。
 私からちょっと質問なんですけど、この要注意外来生物のリストにIUCNのワースト100は導入、未導入にかかわらず含まれているんですけれども、例えば生態学会が外来種ハンドブックでワースト100というのを選んでいますよね。ああいうようなのはとりあえず無視されたんでしょうか。

【中島室長】 そうではなく要注意、すみません。資料2-1、裏を見ていただきますと、今回第二次選定の検討対象種の要するに検討の母集団としたものの中に、IUCNのワースト100と並んで、この一番下にありますのは生態学会のワースト100であります。ただ、これにつきましては、ほとんど今までの検討の中で要注意外来生物リスト(暫定版)の中にもう含まれていて、4種類が残っていたということで、その4種類についても一応検討の対象にして、その結果特定になっていないものについては要注意外来生物リストに含まれているということになっております。

【角野座長】 わかりました。
 それでは、この要注意外来生物に関するそのリスト並びにそれの普及啓発の問題についてほかにご意見がないようでしたら、最後に説明がありました資料2-5、6、影響評価の仕組みの構築についてというのと、それと現在進んでおります緑化植物に関する総合的な取り組みの推進についてということについて、もしご質問なり注文等がございましたらぜひ発言いただきたいんですが。
 はい、どうぞ。

【真鍋委員】 その前にちょっと1点だけ。普及啓発のことに関してなんですが、資料2-4の裏に書いていただいているとおり「例」というふうに出してくださっているんですけれども、多分これが例なのでほかにもあるとは思うんですが。これが例として読んだらわかりやすい文章なんですが、例えばこれが学校現場だとかにまわった際、小学校、中学校の先生には、よく伝わらないかと思うんですね。例えば外来種の問題というのは、学校ビオトープなんかにも深くかかわってきますので、やはり子ども向けとか学校の先生向けのそういう普及啓発のパンフレットとか、そういうのもできればつくっていただければなという要望なんですが。ちょっとお願いさせていただきたいと思います。

【角野座長】 そうですね。学校の関係では例えばこのリストに出ていますホテイアオイですとかオオカナダモ、教科書にも出ていまして、これを選定していく上ではそういった問題もクリアしなければならないと思うんですね。ですから、そういうことも含めてちょっと長期的な対策をちょっと考えていく必要があるかと思います。
 では、その緑化植物に関する総合的な取り組みの研究会の話ですとか、影響評価の仕組みの構築について、これについては質問等いかがでしょうか。
 はい、どうぞ。

【岡野委員】 影響評価の仕組みの構築のタイムスケジュールなんですけれども、これはどういう予定で考えておられるか。というのは、先ほど真鍋委員からもありましたけど、やはり知見が不足しているかどうかというそこら辺が非常にあいまいな気がするんですね。それから第一次、第二次の選定作業もそうですけれども、やはり今集まったそのデータだけで判定していいのかどうかというのは、我々本当に私は少なくとも自信がないんです。だから、できれば何か、だれが見ても納得できるような客観的な評決というものがあったらいいんですけど、ただ、これ非常に言うは簡単だけど非常に難しいことはよくわかっています。ただ、これがやっぱりある程度できないと、これから先の選定作業、やっぱり難しいものですから、この辺どういう予定でおられるのかというのをちょっとお聞きしたいんですけど。

【角野座長】 いかがでしょうか。

【中島室長】 現段階ではとりあえず決まっていることは、今回二次指定が終わりましたら、その後三次指定の作業を必ずやることにしてはいるんですけれども、その三次指定のスケジュールをどういうスケジュールでやるのかということについては、まだ事務局の方でもきちっとした案をつくっておりません。ただ、一次指定、二次指定につきましては、かなり急いで走りながらやっていたということがありまして、今までに出てきたさまざまな検討課題、少し課題が残っていますので、それにつきまして、少しでもやっぱりじっくりやるべき問題かなというふうに考えております。今回、植物の影響評価の仕組みにつきましても、それから緑化植物の関係につきましても、それから先ほどの蔓延種の問題なんかにつきましても、少しじっくり考えていかなきゃいけないかなということで、今までのようなスケジュールでは少なくとも進めないかなとは思っていますけれども、二次が終わったら、次は少し置いて三次には必ずスタートするということで、その三次の終わりといいますか、まとめをいつごろにするかというところについては、ちょっとまだ我々の方でも決めかねているという状況でございます。

【角野座長】 その影響評価の仕組みができるのを待っていたんではいつになるかわからないというので、とにかく緊急性のあるものは、そういった一般的な仕組みはちょっと置いておいて選定しようという形で今進んでいるわけですが、確かに仕組みについてそれでスクリーニングをやってみたら、今まで選んだのがどういう評価になるか、それもまた興味津々なんですけれども、できるだけ急いでいただくようにお願いしたいと思います。
 それと緑化植物に関する総合的な取り組みは先ほどご説明がありましたように、研究会がつくって、これ予算もついて本格的に作業が進んでいるように思うんですが、それでこの植物部会のスタンスとしては、できるだけこれの結論といいますか、緊急の課題から個別的でもいいですから、方向を出していただきたいというのが希望としてありまして、この第1回の議論から話題になっています、例えばシナダレスズメガヤっていう、これは全体会合でももうケース・バイ・ケースで選定してはいいんではないかというような声もあったぐらいなんですが、それを何といいますか、個別に先走ってやってしまいますと、その研究会の議論をちょっと無にすることになるというので、ちょっと待っているという状況があるわけですが、この辺の議論、特に代替性の問題ですね。それについてはやはりできるだけ急いで議論していただいて、やっぱり種類ごとにこれについてはどうだろうかとか、特にいろいろと選定すべきではないかというふうに名前が挙っている何種類かあるかと思うんですね。そういうものについては特に焦点といいますか、議論を集中して進めていただきたいなというようなことを私は思うんですけれども。
 ほかにご意見、ご希望、質問等ございましたら、どんなことでも結構ですので。では、小林委員。

【小林委員】 今回ちょっと今後のこととしてこの二つが出ているんですけれども、ちょっと一つ欠けているんじゃないかなと思うんですが、既に入ってきているもののモニタリング方法ですけれども、それがちょっとちゃんとしてない、それで先ほど岡野委員が言ったようなことも、それとちょっと関連すると思うんです。例えば現状だといろんな、例えば環境省でもさまざまな植生を把握するような調査をやられているんですけど、私ちょっと個人的にざっといろいろ調べてみたんですけれども、確かに外来生物の影響を把握するには今のやり方では足りないんですね。だけれども、工夫をすればある程度のネットワークはできておりますから、使えるようになる可能性もあると思うんですね。その辺のモニタリングネットワークの構築というのも、これちょっと早急に進めていただけないかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

【角野座長】 その使えそうな資料というのは、例えばどういう調査を念頭に置いていますか。

【小林委員】 例えば緑の国勢調査等でいろんなところを調査されていますけれども、現状ではそういう植物がどんな種が入ってきたかというふうなデータをとるような格好になっていないんですね。

【角野座長】 じゃ、今の点、もし何かございましたら。

【中島室長】 今ご指摘いただきましたように、外来植物が侵入してきている、あるいはどのぐらい蔓延してきているというような状況の把握についてのモニタリングがこれまでの、少なくとも環境省の仕事の中では適切な調査なりというものは行ってきていないと思います。委員ご指摘のように既存の調査等もある程度は把握できても、全般的に概括的に把握するというような形になっていないものですから、例えば植生調査とか、特定植物群落等の調査では断片的な情報しか得られないという状況だと思います。今、諸調査の枠組みとちょっと別な形で、モニタリング1000という国土の自然環境を概括的に把握していくというような形の調査が始まっておりますので、例えばそういった調査の中に外来生物の関係を位置づけるとか、そういった形を今後我々としては考えていきたいなというふうに思っております。具体的にどういうふうにできるかというところは、これから検討していかなければいけないと思いますけれども、そういったことも少し考えたいと思います。

【環境省 上杉企画官】 あとちょっと補足をさせていただきますけれども、もちろん環境省でやっている調査だけではなくて、河川・水辺の国勢調査ですとか、あるいは農水省がやっている田んぼの生きもの調査、この中でも外来種をそれなりにターゲットにした調査もやられています。そういう意味で全体的な情報をお互いに共有できるようなことも考えてやっていく必要があると思いますし、それから今回こういう形で要注意外来生物ということで、一つの指標になるような種がある程度わかりやすくなってきたということを踏まえれば、これは一般的な各自治体でもいろいろ調査をやられている、あるいは環境アセスメントなんかに際してもいろんな調査がされていると、そういう中でも一つ一つ情報が積み重なっていくことがもう一つ重要な点かと思っています。環境省、独自にやる調査だけではなくて、少しそういう全体的な情報を集めることも工夫をしていく必要性があるかなということで考えております。

【角野座長】 そういうことでよろしくお願いします。
 それでは、今まで特定外来生物等の選定についてということで議論を進めてきまして、事務局案にありました9種類については候補として選定するということ、そういう結論になりました。また、要注意生物リストについてもこういう形で出していくということになりましたので、そのほか出ました意見も踏まえて、これ全体会合に報告するというふうにしたいと思います。
 これでその1番目の議事は終わりまして、2番目、その他となっているわけですが、この際、何かほかにぜひ発言しておきたいということがございましたら、お願いしたいと思います。
 黒川委員、お願いします。

【黒川委員】 次、その第三次も進められるということで、それ以降の話になると思うんですけれども、これまでは緊急を要するものというものを優先的にしてきたと思うんですけれども、この法律の特徴として、指定されたものについては規制がかかるけれども、それ以外のものというのは輸入できますよね。これまでのこういう外来植物による影響というものの反省から考えると、やっぱり導入されていないものでリスクの高いものというものをやはり急いでしていく必要があるのかなと思います。それでなかなかそういうものについては情報が集まりにくいということがあると思うんですけれども、その影響評価の仕組みの中で前回小池先生の方から提案がありましたような侵入実績と気候適応性による評価だけのものでもいいと思うので、できるだけ多くの種類について情報を集めて選定を進めていくということが必要かなというふうに思います。
 以上です。

【角野座長】 第三次選定については、よりそういった基礎を固めてしっかりとまたさらに問題のある種類を選定できるように練られたらと考えております。
 ほかにいかがでしょうか。

(なし)

【角野座長】 それではないようでしたら、事務局の方から何かございましたら。

【環境省 名執課長】 遅れて参りまして申しわけありませんでした。本日は大変お忙しいところ、先生方には特定外来生物の植物グループ会合にご出席いただきまして大変ご熱心に議論いただきましてありがとうございました。
 本日、第二次の特定外来生物に選定することが適当と考えられる外来生物、それから未判定外来生物、それから種類名証明書添付生物等について取りまとめていただきましてありがとうございました。
 また、要注意外来生物あるいは今後の普及啓発の考え方などもお示しさせていただきましたけれども、とにかく外来生物の問題というのは、今後ますます一般の人々に正しく理解していただくようにいろいろな形でこういった活動に努めていきたいというふうに思っております。
 今、角野座長の方からもお話がありましたけれども、今日の議論、それからいただいたコメントにつきましては、座長とも相談しながらできるだけ正確な形で8月の上旬にあります全体の専門家会合の方に報告していきたいというふうに考えております。
 本日、一応第二次指定についての議論は終わりですけれども、先生方におかれては、今後第三次指定、それから、それとの関係で影響評価の仕組みの構築など引き続きいろいろな形でご協力いただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございました。

【角野座長】 いろいろと問題点は指摘されて残りましたけれども、第二次選定というのはあくまでも一つの一歩ですから、まだこの後第二歩、第三歩、第四歩というのがあるわけですから、そういう一歩進めたということでご了解いただきたいと思います。
 それでは、以上をもちまして第5回の特定外来生物等の分類群専門家グループ会合を終わりたいと思います。
 どうも長い間ご苦労さまでした。