1 日時 |
平成17年7月14日(木)14時~16時 |
2 場所 |
三田共用会議所A・B会議室 |
3 出席者 |
(委員)角野 康郎(座長)、岡野 邦夫、黒川 俊二、小林 達明、高橋 新平、真鍋 徹 |
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(環境省)野生生物課長、生物多様性企画官、自然ふれあい推進室長、移入生物専門官 |
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(農林水産省)生産局花き対策室課長補佐、林野庁森林保護対策室 |
4 議事概要 |
(事務局より資料の説明) |
<第二次特定外来生物(植物)の選定について>
〔水草(アゾラ・クリスタータ、オオフサモ、ボタンウキクサ)3種について〕
- アゾラは、窒素固定をするので緑肥植物として利用されたりしているが、そういった有用性をいかに考慮したのか教えてほしい。
- (事務局)環境保全型農業のなかで、アイガモ農法と併用してアゾラが使用されているということだったが、ヒアリングをした結果、アイガモ農法では主に不稔性の雑種系統を使用しているということであった。雑種系統については、在来種との交雑の心配はないということで、遺伝的撹乱については少なくともクリアできる。競合駆逐については心配があるものの、それについては、使用農家の方々には気をつけてもらいたい。
- 実際に、許可を申請すれば使用ができるのか。
- (事務局)特定外来生物の候補であるアゾラ・クリスタータより、不稔性のものを使ってもらうよう呼びかけをする。アゾラ・クリスタータを使用する場合は、生業の維持ということで許可申請してもらうことになるが、特定外来生物を飼養する際には、逸出しない施設の中で使うことになっており、水田のような開放的な場所では、実質的に難しいのではないかと考えている。
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日本では、緑肥としてのアゾラの使用は少ないのではないか。むしろ、アイガモ農法で、アイガモの餌としてアゾラが使用されている。農家の方々にもアゾラ・クリスタータよりも不稔性雑種を使うといった動きはある。アゾラ・クリスタータを規制することは、アゾラ属の使用に対する警鐘という意味もあるので、指定するのは問題ないと思われる。
- オオフサモとボタンウキクサは選定すれば、規制の効果はあると思われる。
〔オオキンケイギク、オオハンゴンソウについて〕
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オオキンケイギクとオオハンゴンソウは、事務局案では、選定する方向で扱われているが、園芸用に使われたものが逸出し蔓延するのか、または流通過程で逸出するのか、ということについての情報はあるか。
- (事務局)オオキンケイギクは、緑化等で広く利用されており、それが分布拡大していると考えている。種子の量として、粗い推定で3000kg程度が全国で流通し、他の種子とミックスしてワイルドフラワー緑化用の種子として流通しているものが多い。また、緑化用ポット苗としても流通している。一方、オオハンゴンソウは現在ワイルドフラワー緑化としては、積極的には流通していないようである。もともとは園芸用で導入されたものが逸出したようだ。いずれも、園芸や緑化という形で意図的に用いられた結果、被害が発生しているということである。
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とくに、オオハンゴンソウは人が種をまくというよりは、20数年前から蔓延している。繁殖力はオオキンケイギクよりも強いと考えていたので、これら2種が選定されることには賛成である。
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オオキンケイギクはワイルドフラワー緑化で使用され、身近なところにたくさんある。オオキンケイギクを作っている人たちは、危険性を認識せず、花がきれいだからと作っていることが考えられる。いきなり規制して、オオキンケイギクを作っている人たちの理解が得られるのか。注意喚起の普及活動等のワンクッションを入れた方がよいのではないか。
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オオキンケイギクは、いったん定着すると景観が変わるほどの大きな影響があると思われる。指定するなら早めにするべきである。仮にここで選定されても、流通は止まるが野外に生えているものは急にはなくならない。
- オオキンケイギクを指定した場合、近縁種の流通はどうなるのか。外国からの輸入は禁止されるが、国内の流通についても種類名証明書が必要なのか教えていただきたい。
- (事務局)種類名証明書添付生物については、外国から輸入するときの制度なので、国内の流通には規制はかからない。
- (事務局)最終的には、8月5日の全体会合で選定したあと、案に関してパブリックコメントを求める期間を設ける。それをふまえて政令というかたちで正式に決定し、実際に規制がかかるのは、来年1月くらいである。その間事務局として、規制に関して説明する機会を設けたいと考えている。
- 日本の景観をどう考えるかにも関わる、大きな問題だと思う。オオキンケイギクを選定することはそれなりにインパクトがあると思われるので、選定候補としたい。
〔蔓延している種(アレチウリ等)について〕
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蔓延種として、アレチウリがあがっているが、この種は河川敷に限られるものであり、いろいろな所で防除などが進んでいる。それをバックアップするという意味でも、この種を選定することに意義があると思われる。
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資料1-6をみると、アレチウリを特定外来生物に指定し、オオブタクサとセイタカアワダチソウを要注意外来生物リストにあげることの理由ははっきりしていると思う。ただ、オオブタクサとセイタカアワダチソウが特定外来生物に選定されなかった理由として、防除の方針が明確でないことがあるが、防除の方針を今後きちんと議論する必要があり、そのことを記載しておく必要があると思う。今後、防除の方針をどうするのか伺いたい。
- (事務局)資料2-3において、オオブタクサとセイタカアワダチソウの注意事項で、現在取り扱っている方々に対して、防除に対する考えは一部示している。
- アレチウリは蔓延種の第一弾ということで選定したい。
〔オオカワヂシャについて〕
- オオカワヂシャは河川で分布を拡大しており、花が綺麗なことから業者等が広げるおそれがある。とくに異論がなければ選定したい。
〔ナルトサワギクについて〕
- ナルトサワギクについては、分類に問題があるということであったが、どのように整理したのか。
- (事務局)勝山委員と相談した結果、分類がしっかりしているものは、Senecio madagascariensisであった。淡路島で発表されたものも、同種ということがわかっている。事務局として、現段階で、被害がはっきりしているもので、学名がわかっているものとして、これを提案させていただいた。
- ナルトサワギクは、とくに西日本で急速に拡がっており、諸外国では被害があるということなので、今のうちに早めに対策を講じるということである。
- ナルトサワギクについて、オーストラリアやハワイでは実際に被害があるということであるが、実際にどういった被害なのか教えていただきたい。
- (事務局)ナルトサワギクに関する代表的な被害は、家畜がナルトサワギクを食べることにより引き起こされる中毒症状である。そのため、除去に際して甚大な経済的被害が出ているということである。言い換えれば、家畜の被害が出るほどに蔓延し、分布を拡大してしまうことから生態系への被害もあると思われる。
なお、資料1-8のナルトサワギクの種類名証明書添付生物である「キオン属」については、呼び方について様々な学説があるため、事務局で引き続き検討したい。
〔スパルティナ・アングリカについて〕
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スパルティナ・アングリカについて、この種はまだ国内には入ってきていないが、入った場合には、影響を及ぼすおそれがあるということで、先手を打って指定するということであったので、このままに選定することにしたい。
<要注意外来生物リストについて>
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資料2-1のカテゴリーの(1)、(2)について、一定の知見がある場合と、知見が不足している場合の基準はあるのか。不足していることの定義を具体的かつ客観的に示したほうがよいのではないか。
- (事務局)特定外来生物に選定するものについては、資料1-1の作業手順に従って行っている。選定の際は、被害が生じているものや生じるおそれがあるものを特定外来生物にするか、一定の知見があるものとしてみなした。収集した資料をもとに、事務局が判断した結果を示している。
- 査読付きの論文の掲載された種が一定の知見のあるもので、ホームページや普及書、啓発書での情報では、被害に係る知見にならないということか。
- (事務局)今回は、査読の有無には関わらず、信用できるものについては活用していくという方針なので、そういったものも被害に係る知見として判断している。
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緑化植物について、広汎に使用されている牧草が入っているが、総合的な対策というのは、緑化植物としてだけの検討では不十分と思われる。牧草種の転換や管理などの検討を同時に行わないと効果がないと考えられる。
- (事務局)まずは、緑化という観点から検討をはじめるが、牧草としての利用についても整理する必要はある。牧草として利用することについては農林水産省の関連部局に情報をもらうなど、連携して検討していきたいと考えている。
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牧草利用という観点からは、ここにリストされているものは主要牧草である。これらが指定されてしまうと、今の畜産は成り立たない。総合的に取り組まれるのであれば、利用という観点をしっかり入れてほしい。畜産がおかれている状況を考えると、規制によって、より輸入飼料に依存した形態になってしまい、ますます非意図的に導入される外来種の蔓延につながると思われるので、そのことも含めて検討してほしい。
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今は、どういう種が危ないかという観点から種を選定しているが、可能ならば、次のステップとして、場所の指定という観点から進めていってもよいのではないか。そうすれば、すべての牧草地で規制するのではなくて、希少性の高いところに関してだけ規制の対象にできるようになるのではないか。
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要注意外来生物に関して普及啓発をするようだが、特定外来生物を指定する際にも、在来の絶滅危惧種と近縁なものについては、識別点をきちんと示していただきたい。間違って近縁の絶滅危惧種まで防除されるようだと、指定することによるマイナス面が出ると思われる。
- 特定外来生物に対する普及啓発をしっかり行ってほしい。
- 資料2-4の例について、学校に作られたビオトープの問題もあるので、学校の先生向けや子供向けの普及啓発のパンフレットなどを別途作成してほしい。
- 資料2-5の外来植物に関わる影響評価の仕組みの構築について、タイムスケジュールはどうなっているのか。
- (事務局)今回の第二次指定が終了したら、第三次指定を考えているが、まだスケジュールが決まっていない状況である。ただ、植物の影響評価や緑化植物、蔓延種等の検討課題が残っているので、第一次、二次に比べじっくり検討していきたいと考えている。
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既に入っているものの、モニタリング方法がはっきりしていない。現状では、環境省もさまざまな植生調査などを行っているが、外来生物の影響を把握するには、現在のやり方では足りないのではないか。モニタリングのネットワークを早急に構築してほしい。
- (事務局)外来生物が侵入して蔓延していることの状況把握について、環境省では十分な調査を行っていない。現在行っている国土の自然環境を把握するための調査としては自然環境保全基礎調査があるが、その他にモニタリング1000の調査が始まっているので、その中に外来生物を位置づけることも検討していきたいと考えている。
- (事務局)環境省以外にも農林水産省が行っている田んぼの生き物調査等があるので、情報をお互いに共有していくことも大切だと思われる。要注意外来生物のように指標になる生物も整理されてきたので、各自治体や環境アセスメント等の情報もあると思われる。情報を集める工夫をしたい。
- システムを作っても、結果が出るまでに時間がかかるので、ぜひ早めに取り組んでほしい。
<その他>
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この法律では、指定されたものは輸入に規制がかかるが、それ以外のものは輸入できる。今までの外来植物の影響における反省として、未だ導入されていないが、リスクの高いものを早急に選定する必要があると考える。
- 外来植物に関わる影響評価のなかで、侵入実績と気候適応性だけでもかまわないので、できるだけ多くの種類について情報を集めて、選定を進めていく必要があると考える。
- 第三次選定については、より判断基準や情報収集などの基礎を固めて、問題がある種の選定を進めたい。
(文責:環境省自然環境局野生生物課 速報のため事後修正の可能性あり)