環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第2回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(植物)議事録


1. 日時 平成16年12月22日(水)15:00~17:00
2. 場所 経済産業省別館8階 827会議室
3. 出席者  
   (座長) 角野 康郎
   (委員) 勝山 輝男    黒川 俊二
小林 達明    須藤 憲一
高橋 新平    濱野 周泰
真鍋  徹
   (環境省) 名執野生生物課長
上杉生物多様性企画官
堀上野生生物課課長補佐
   (農林水産省) 児玉花き対策室課長補佐
  (水産庁) 田中生態系保全室課長補佐
  (林野庁) 伊藤森林保全課課長補佐
4. 議事  

【環境省 堀上補佐】 予定の時刻になりましたので、特定外来生物等分類群専門家グループ会合(植物)の第2回会合を開催したいと存じます。
 今回からご出席の委員の方いらっしゃいますので、まずご紹介をいたします。
 畜産草地研究所の黒川委員でございます。
 それから、東京農業大学の高橋委員でございます。
 同じく、濱野委員でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
 それから、事務局の方も今回からの出席となりますので、環境省野生生物課長、名執でございます。
 それでは、続きましてお手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。
 委員名簿がございまして、資料1が四つございます。資料1-1が特定外来生物等の選定の作業手順、資料1-2が特徴と選定に際しての留意点の案、資料1-3が特定外来生物等の選定作業が必要と考えられる生物に係る情報及び評価の案、資料1-4が特定外来生物等の選定作業が必要と考えられる外来生物に関し、想定される未判定外来生物の例及びその他種類名証明書添付生物の例。それから、資料2が要注意外来生物リスト(植物)の案となっております。
 それから参考資料が四つございまして、参考資料1として水草を含む分類群について、参考資料2が特定外来生物等の概念図、参考資料3が第1回専門家グループ会合(植物)の議事概要、参考資料4が、これは日本自然保護協会から出ております特定外来生物(植物)の選定に関する要望書でございます。
 資料の方、以上でありますけれど、もし不備がございましたら、事務局の方にお申し出いただければと思います。
 もう一つ、委員の方からの資料がついておりまして、これは雑草リスク評価についてというもので、一まとまりでございます。よろしいでしょうか。
 それでは、議事進行につきましては角野座長、どうぞよろしくお願いいたします。

【角野座長】 それでは、ただいまより本日の議事に入らせていただきたいと思います。
 議題の1は特定外来生物の植物の選定についてとなっております。前回の会合では特定外来生物の選定の仕方ですとか、要注意外来生物リストの策定などについて議論があったわけですけれども、本日は前回の議論で出てきました問題点なんかをいろいろ整理いたしましたので、さらにそれを確認しながら整理していきたいと思います。
 まず、外来生物の特徴と選定に際しての留意点について、前回の指摘を踏まえてどのように整理したのかということについて、事務局の方から説明してもらいます。では、よろしくお願いします。

【堀上補佐】 資料1-2が外来生物の特徴と選定に際しての留意点の案でございます。12月22日版というふうにしております。資料1-1につきましては、作業手順はこれ、前回と変わっておりませんので、基本的に必要に応じて参照をしていただければと思います。
 資料1-2の留意点につきましては、前回いろいろご指摘を受けまして、内容を修正したところと、全体をほかの分類群にあわせまして体裁を整えてございます。基本的にはその特徴、それから留意点、それぞれで整理をしておるところでして、1としまして外来植物の特徴、2として選定作業を進める際の留意点と、一応分けた形にしております。2の中に前回お出しした(1)から(4)までの、そのグループごとの内容というのを記しているというところでございます。その四つのグループにつきましては前回と基本的には同じでありますが、内容について少し修正をしているというところでございます。
 1の外来植物の特徴につきましては、基本的にこれまで外来植物がいろんな利用で持ち込まれているということと、それから非意図的に入ってきている場合も多いということを書いてございます。それから、観賞目的で栽培された水草等が逸出あるいは放棄によって野外で増加して、貴重な植物の生育地等で増加する例が見られていると。一方で輸入、流通に係る規制措置等の特段の対処はされていないということ。植物は種数が多いということで、我が国に持ち込まれてきている種の全貌というのはなかなか明らかになっていないということ。それから、意図的に持ち込まれている外来植物の中に、流通量あるいは栽培している人たちがどういう人がいるのか、どのくらいいるのかという実態も明らかでない点が多い。そういったことが外来植物の特徴として挙げられております。
 それから、選定作業を進める際の留意点としまして、ここは特に第1陣の選定作業ということを意識して書いておりまして、来春の法施行をするという限られた期間で最初の選定作業を実施する必要があるということで、既存の科学的知見を最大限活用する。それから、法の趣旨、執行体制を勘案して、指定による法規制の効果を十分に検討するということでございます。これ、実はほかの分類群、哺乳類ですとか爬虫類、そういったところも同じような内容で置いてございます。2番目の丸に入れておりますが、科学的知見が十分でないとされるものが出てきます。これについては文献等で影響の指摘があるわけでありますけれども、ただその被害の科学的知見が十分でないというものが出てくると。それにつきましては、そうはいっても予防的に対応しなければいけないということで、前回も要注意外来生物リストについてのご指摘が委員の中からもございました。基本的に利用はするとしても、利用に当たって注意すべき点があろうと。それから、影響を及ぼしている中身について、もう少し科学的にデータを集めていく必要があろうと。そういうことも十分検討する必要があるということで、ここに留意点として出しております。それから、外来植物は特にその利用形態、導入のされ方に応じて(1)から(4)のグループに分かれるということで、グループごとに生態系等に係る影響を評価する仕組み、今のところそういった仕組みはございませんので、そういった仕組みを構築して、早急に規制について検討する必要があると。今まさにいろんな被害が出ていて、早急に規制をしなきゃいけないというものについては優先的に選定作業を進めるということで、留意点をまとめてございます。
 (1)から(4)、それぞれ水草、水草以外の園芸植物、それから緑化植物、雑草というふうにまとめておりますけれども、前回の指摘を踏まえて変えたところは(3)、2ページ目の緑化植物のところでございまして、2段落目のところですが、経済性等の観点から難しく、直ちに緑化用植物の輸入や使用を規制することは容易でない状況にある。これはもともと、「可能な状況ではなく」と書いてあったわけですが、そこは可能な状況ではないというよりは容易でないという形で、全くだめとかということでないような書き方にしようということでありました。もう一つ、その次の、「このため、中央環境審議会外来生物小委員会の委員長談話にあるとおり、総合的な取組を進める必要がある」。ここは、当初、「総合的な取組が課題である」と書いてあったわけですが、ここはもっと能動的にということでしたので、「取組を進める必要がある」というふうに変えてございます。
 以上が変更したところでありまして、別紙の水草に係る留意点は基本的には同じでありますが、1点だけ4.の留意点のところの一番下に、なお書きでつけ足してございます。「なお、被害に係る指摘はあるものの、広範に販売、栽培等がなされ直ちに規制をかけることが容易でない状況にあるものについては、その扱いについての情報を別途整理することとする」。これが要注意外来生物リストの方につながっていくというふうにお考えいただければと思います。
 事務局の方からは、以上です。

【角野座長】 どうもありがとうございました。ただいま、生態系等に関わる影響を評価する仕組みを構築するということがこれからの一つの課題としてあるということが、事務局の方からも提案されたわけですけれども、この件に関しまして黒川委員の方で、ちょっと資料を準備いただいておりますので、ちょっと補足説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【黒川委員】 雑草リスク評価についてという資料ですけども、こういった特定外来生物を指定していく作業の中で必要と思われる観点ということで、まず科学的知見を用いて行っていくということは前提だと思うんですが、その中にやっぱり透明性があって客観性のある過程というものが必要じゃないかと。そういったことが行われることで、こういう委員会のメンバーだけで決めたわけではなくてということが見えてくるんじゃないかと。そういったもののツールとして、今、雑草リスク評価というもののシステムというものが注目されているということで、既に諸外国ではそういうものが法規制と組み合わされて使われているということで、ここでちょっと紹介を含めて参考にしていただきたいと思います。
 うまくいっている例としてオーストラリアとニュージーランドがあるんですけども、その中で外来種対策制度と、雑草リスク評価をWRAとちょっと略しますが、ということで、まずオーストラリアでは制度的には農林水産省が主管となっている検疫法というものと、環境省だと思うんですけども――が主管となっているEPBCというものがありまして、WRAは検疫法の中で使われているということです。EPBC、環境への影響について必要な情報についても、その農林水産省で行われる検疫法のもので満たされているという判断がされています。現状の中で、この特徴なんですけども、オーストラリアのこのWRAというものはどこで使われるかというと、既に入っているものではなくて、これから入れようとするものについての潜在的な被害を判定するという目的に限定されているために、このWRAがそのまま直接輸入許可の判断に使われるという形で使われています。
 一方、ニュージーランドでも同じような状況にあるんですが、ニュージーランドではこの二つの法律がありまして、そのうちBS法という生物安全保障法というものが外来生物については中心的な役割を果たしているということで、ちょっと次のページへ行きますけども、担当官庁である農林省が総合的な対策を立てているということです。その対策の中で、そういう入れてはいけない種というものはやっぱり指定しているんですけども、それについては一応所管のその省庁が権限を持って判断すると。その判断材料としてWRAを使うというところがちょっとオーストラリアと違うところで、間接的にWRAを使う。判断をするためのその情報提供ツールというふうになっています。
 そこでニュージーランドでは二つの機能がありまして、一つは新たな導入によって及ぼされる被害を防止するという機能と、もう一つはこちら、ニュージーランドの方はもう既に問題となっているものについて優先順位をつけていく。対策を立てていく優先順位をつける目的で、このWRAが使われているというような状況です。この二つの国からすると、今の日本の状況はこのニュージーランドの方に状況としては近いかなと思うんですけども、そういった中でこのWRAというものが使われていく必要があるんではないかということです。
 主要なWRAモデルということで幾つか挙げていますけど、細かいことは省略しまして、簡単に言いますと目的に応じてそれぞれいろんなシステムがつくられているということです。一番最初のこのEsler等のモデルというものは、既にあるものについて重要性を判断するものです。そのページをめくって、次、Pheloung等のモデルというものは、これはオーストラリアで使われている、これまで導入されていない植物種について判定するモデル。3-3のChampion&Claytonというものは水生植物に特に特化したモデルということです。さらに、最近では環境への影響を判断するモデルとして、このWilliams等のモデルというものもつくられつつあります。これらの国では結構これでしっかりと実効性があるものがつくられていまして、日本でもやっぱり、そのいろんな人の理解を得るためにも、こういう科学的根拠に基づいた、透明で客観性のあるそういうWRAというものを利用していく必要があるんじゃないかと。ただ、その使い方としてはあくまで判断材料の一つとして使うということで、最終的にはやっぱり社会的、経済的影響も考慮した上でやっていく必要があるんじゃないかというふうに思います。
 使い方としては、ニュージーランドのようにそういう潜在的被害を推測するということと、対策の優先順位を決めていくというようなやり方が必要ではないかと。現在、日本でそういう研究的、まだ研究段階ですけども、そういう輸入規制をターゲットとしたWRAの開発も進められていますし、あと小笠原諸島ではその地域固有生態系を保全するためのWRAというものの開発も進められているということで、WRAというものがそういう検討段階で重要じゃないかというような意見です。
 以上です。

【角野座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの黒川委員の説明も含めまして、外来生物の特徴と選定に際しての留意点に関する、先ほどの事務局の説明についてご質問あるいはご意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。どうぞ。

【須藤委員】 ちょっと。こういうふうに水草、水草以外の園芸植物、四つに分けたわけですけども、これは輸入されたときの状態で分けているわけですよね。入ったときの。

【角野座長】 そうですね。あるいは、どういうところで利用されるかということで。

【須藤委員】 はい。それで、特に花の方で、種のレベルでは今の段階ではそんなに問題ないんですけども、今度、属の段階でもし問題が出るような場合、そうするといろんなところに、花、花き園芸としての園芸植物が入ってくるんですよね。その場合に、どういうふうな取り扱いに今後なっていくのか。そこら辺、何かもうお話しになっているんでしょうか。

【角野座長】 それについては、未判定外来生物という範疇を設けまして、輸入されるおそれのある、もし輸入された場合にはちょっと危険性があるものについては、あらかじめリストアップしておこうというふうなことが考えられているんですけど、その他で事務局の方から詳しく。

【堀上補佐】 後ほどご説明をしようとも思っていましたけれども、その未判定外来生物を選ぶときにどういうふうに見るかということの中で……。

【須藤委員】 未判定に限らずに。

【堀上補佐】 ええ、おっしゃるとおり、水草を含む植物のその分類群を見たときに、全体的には水草だけじゃなくて陸生のものも入ってきますし、水草と思われているものが実は陸にも生きるものもあるということで、参考資料1に、参考までに水草を含む分類群の暫定版というのを挙げております。これはあくまで暫定というか、既存の幾つかの文献をもとに、水草と呼ばれているものをざーっと整理をしますとこれだけの数が出てくるということでありまして、これ見ていただくとわかるんですが、真ん中の方にそれぞれの科、属ごとに水草がどのくらい含まれているのか。属の中全部が水草という属もありますし、属の一部が水草という属もあります。これがまた、流通されている形態がさらにこの属ごとに違ってくるわけでして、これに園芸種、品種改良されたものも入ってくると、かなり多岐にわたるのは出てくると思います。ですから、水草だけとっても、確かにもうかなり広くて、今それをすべて整理するのは困難な状況でありまして、現在のところ、特に問題があるものをここからピックアップして、ここでは特定外来生物を含む属というところに網かけをしておりますけれども、見ておるわけですが、先ほどのウィード・リスク・アセスメントの方にもありましたが、やはり全体を見てどういうふうに判断していくのかという視点も一方で必要であろうと。そうすると、これからやはりいろいろ考えていかなきゃいけない中で、須藤先生がおっしゃったようなところも含めていかなければいけないんではないかなというふうに思っております。

【須藤委員】 質問する場所がちょっと違ったような気がいたします。このことはこの前同じ質問をしたんですけれども、それでそういう形で考えてくださいということでしたけれども、次の作業の段階で、この前のお話だと何かいろんな不都合が出てくるんじゃないかなということで、ちょっと心配して質問した次第です。

【角野座長】 その心配というのをもう少し具体的に、こういう問題点があるんではないかとか言っていただけると助かるんですが。

【須藤委員】 はい。属で指定されてしまうわけですよね、他の分類(実判定と輸入証明)のところで。そうしたら、これ、当然、示されたように、特定外来以外の二つの分類で、何かの形で輸入が規制されるという形になるわけですよね。そういう問題が出てくると思う。そういう形でのぶつかり(影響)が花では非常に多いことを心配しているということです。だから、次の段階のこういう(4つの導入・利用の形態毎に)調査に入っていく場合に、花に関係する人間は、いろんな調査がどういうふうな形の作業で、知見を明らかにしていくかということに関心をもっています。それぞれ別個の(形態毎)に指定作業が進められたらいろんな問題が出てくることを、花きをやっている者としては恐れているということです。

【角野座長】 その辺はどうなんでしょう、証明書の添付の問題など検討されているようなんですけど、少し説明していただいたらいいと思うので。

【堀上補佐】 もう次のに入ってもよろしいですかね。その中で話をした方がいいのかなという気もします。

【角野座長】 今の質問はそうですね。そうしたら、そのことについて、ちょっとこの次の議題として入っていますので、ちょっと一度置いておきまして、最初の議題についてもう少しご意見なり質問があれば受け付けたいと思うんですが。どうぞ。

【小林委員】 ちょっとお聞きしてもよろしいですか。この時点では余り問題にする必要があることでないのかもしれませんけども、黒川先生に紹介していただいた資料についてですけれども、オーストラリアとニュージーランドの例を中心に、あと研究について説明していただいたと思うんですが、オーストラリアとかニュージーランドは、私が聞いたところですと法施行以降の新たな導入について規制しているというふうに聞いております。そうしますと、この研究の中では3-2以降が直接には対応することになると思いまして、それは予防原則ということで問題ないと思うんですけども、我が国の場合は明治以降ということですので、現在既に入っているものも対象に評価していかないといけないと。そうすると、それはちょっと、やっぱり予防原則だけではだめで、やっぱり便益との評価が非常に難しいところじゃないかなと思うんです。そういう意味で、この3-1でしたっけ、3-1のモデルはもう既に入っているものについて評価しているということなんですけども、それでその便益等はどういうふうにこのモデルと関連して評価されるのか。もし、何か情報をお持ちだったら教えていただきたいんですけども。

【角野座長】 黒川委員、お願いします。

【黒川委員】 ちょっと詳しい情報はないんですけども、あくまでこのモデルでやられるところについてはそのリスクの部分だけなんですよね。総合的な判断は、ニュージーランドの場合はその官庁で責任を持ってやるので、その中で、細かいところまでちょっとわからないんですけども、そういうほかの考慮すべき点等も入れてやられているんだと思います。だから、これがどの程度その効力があって、その中に生かされているのかというのはちょっと覚えていないんですけども、あくまで参考資料という形で使われているんだと理解しています。

【角野座長】 今回の特定外来生物の指定に当たりましては、既に入っているものの規制とこれからの輸入の規制と両面があると思うので、どの評価方法が有効かというのはケース・バイ・ケースだと思うんですけども、日本でも既に、若干研究が進んでいるということなんですが、その研究を今回の判定に生かすというところまではまだ行っていないんでしょうか。

【黒川委員】 行っていないと思います。ただ、だからすぐに入れていくということは難しいと思うんですけども、来年ぐらいには大体形ができてというところまで行くようですので、あくまで参考資料的に使うのであれば、その暫定的なモデルであっても使った上でどんどん改良していくというような過程があってもいいのかなと思っています。そういう意味では、どこの国でもそうなんですけど完成版というのはなくて、指摘を受けた上でどんどん変えていく。そういう意味でも透明性というものがあるというのが特徴かなというふうに思っているんですけど。

【角野座長】 この外来種の影響評価につきましては、関連するいろんな学会で検討も進んでいるようなんですけれども、まだ今の段階で決定的といいますか、それに基づいて今回完全に選ぶということはできていない状況にあるわけですけれども、今まで出ました事務局からの説明並びに黒川委員からの説明について、もし質問や特にご意見がなければ……。
 どうぞ。

【濱野委員】 2番目の選定作業を進める際の留意点というところで、三つ目の丸の、「外来植物は、」というところで、「利用形態、導入のされ方に応じ」ということから四つの分類をされておられまして、緑化植物のところで、追加の記述で「総合的な取組を進める必要がある」ということが加えられて、これでいいんではないかというふうに考えるんですが。ただ、利用あるいは導入の背景があって、意図的に持ち込まれたものが、例えば管理の放棄でありますとか、栽培地からの管理不足による逸脱でありますとか、これによってこの害をもたらす、あるいは被害を及ぼすというものも出てくるんだろうと思うんです。そこで、やはりこの最初の意図するもの、そこから逸脱したものについて、何か総合的という視点から、もう一つこの選定作業を進める中に1項目加える必要があるんではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。

【角野座長】 そうですね。今おっしゃったことだけではなくて、例えば自然に種が落ちて広がるとか、それで大きな問題を引き起こしている外来植物も実際にあるわけですね。そういうものをどうするかというのは、今、やっぱり今回も大きな論点の一つだと思うんですね。しかし、なかなか緑化植物の場合には、すぐにやめると影響が大きいというので、もう少し様子を見るなりしようというのが事務局の方針なんですけども、いかがでしょうか。そのあたりをもう少し補足していただくと。

【堀上補佐】 利用の仕方ということが一つと、利用にかかわらず生じる問題というのがあり得るということのご指摘かなとは思うんですけれども、意図的なものと非意図的なものをとりあえず分けていますけれども、意図的に持ち込んだ中にも非意図的に被害が出てくることも当然あり得るとは思います。ただ、そこはなかなかこの規制なり、あるいはその防除といったもので対応するのは難しい面でもありますので、まずはその利用者側が注意する。そういったこともあり得るということに注意するということが大事かなとは思います。ですから、確かにこの総合的なという形で利用の方法を考えていくというのはもちろんありますけれども、そういった面での注意点というのも一方で出していかなきゃいけないと思っていまして、そういう意味では後ほど出てくると思いますが、要注意生物リストの中でもその辺の世の中への示し方というのも考えていった方がいいかなとは思います。

【角野座長】 その点につきましては、いろいろ要望書等でもその緑化植物に本当にかわるものはないのかどうか検討をしっかりしろとか、なぜ指定しないのかとか、そういう意見というのは出てきているんですね。それにどう対応するかということが、やはり我々この部会としても非常に慎重に検討しなければならない課題だと思っています。現時点では、今回第1陣の指定ということですので、まずは要注意の外来生物リストの中に入れておいて、今後これは指定した方がいいということになれば順次していこうというのが現在のスタンスであるわけなんですが。そういうことも含めまして、それでは手ぬるいというようなことを含めて、もしご意見があればおっしゃっていただければいいかと思うんですが。

【勝山委員】 ちょっと視点が変わってしまうんですけれども、4番の雑草のところで、これ、非意図的に導入される場合、今回のこの特定外来種の法令では、それの規制をというものになじむものではないということは、これはもうよくわかるんですが、ただ現実にそれは非意図的な導入というのが全く予測のつかないような形で入っているのかというと、最近の例では例えば畜産農家での、いわゆる牛ふんの処理というようなところから、きちんとした発酵をしない、堆肥としてきちっとできていない、熟していない段階でまいたところが非常に大量に発生してしまう。あるいは、もう大分昔の話ですけれども、三重県の四日市の周辺なんかでは、いわゆる羊毛のあれを果樹園などに肥料として導入したためにいろいろなものが出てきちゃったとか。あと、最近でも穀物のいろんな、そばがらだとか、いろんなものがやはり輸入されたものを土壌改良剤という形で農地にまく。そういうところから非常にたくさんのものが出るとか、あるいは園芸用の植え込み材料としてやしがらを使っているところから、南方系のものでいろんなものがばっと出てくるとか。すぐにそこで発生した外来種が定着するというわけではないですけれども、大量にそういうふうに、非意図的に入る可能性のある行為というのは、幾つか事例としてあるわけなんですね。そういうようなことに対する注意点をちょっとこの最後の4番の雑草のところに、単に課題と、どう構築するかは課題であるけれども、そういう非意図的に大量に入る可能性のあるような行為に関する規制なりなんなりというようなものを模索していく。何かそんなような文面が4番のところにちょっと欲しいかなと。ちょっと、先ほどの緑化の方の話とあわせてみると、ここにもそういう表現が欲しいなというふうにちょっと感じましたので、一言。

【角野座長】 ええ、この資料の1、2というのが我々この部会がどういう点に留意してどういう立場から、今回いろいろ特定外来種の指定なり、要注意の植物リストをつくったかという根拠になるものですから、その辺の問題点を我々がちゃんと理解した上でこういう作業を進めているんだということを明らかにするということは非常に重要なことですので、今勝山委員が言われたようなことも含めて、この留意点の中には書き込んでおくと。そして、その上で次のステップに進んだんだということを明らかにすることは非常に重要だと思います。ですから、そういうことも含めて、ぜひこういう視点とか問題点の指摘も欠けているんではないかというようなことがございましたら、ぜひご指摘いただきたいと思うんですが。
 では、真鍋委員。

【真鍋委員】 今のご意見に賛成なんですけれども、ここの欄に細かいというか具体的なことを書いていくというのが一つの手ではあると思います。それ以外に、資料2の方に種名がリストアップされていますので、この表に、「こういうことがあるから危ない」というような指摘を書き込んでいった方が、より正確に世間に伝わるんじゃないかなという気もいたしました。ですから、ここ(資料1)はもっと包括的な内容とし、資料2についていますリストの方にそういうこと(注意を要する理由等)を書き込んでいくというのも一つの手じゃないかなということを感じております。

【角野座長】 そのリストにつきましては、種類を今後追加するとか、あるいは削除するということも含めて、今しばらく時間をかけて検討したいと思うんですが、ちょっと問題が、きょうの議題に上がっています他のこともあわせて考えると、いろいろとはっきりしてくると思いますので、ちょっと次の議題といいますか問題に進みまして、それとあわせてちょっとまたこの辺の議論もしたいと思います。
 次にちょっと事務局から説明をお願いしたいのは、前回、水草の3種について特定外来生物に指定しようということが議論として上がりまして、それについては異論がなかったわけです。しかし、未判定外来生物とか証明書添付生物についてはちょっと十分な議論ができませんでした。それについてどういうふうに整理されたのか、ちょっと事務局から説明をお願いいたします。

【堀上補佐】 資料1-3と資料1-4をご用意しているわけですが、資料1-3につきましては、特定外来生物として選定が必要と考えられる外来生物は3種でありまして、これについては前回異論がありませんでしたので、中身の変更はここではございません。
 資料1-4がいわゆる一覧表として整理をしているわけですが、特定外来生物に伴ってその周辺で見なければいけない生物ということで、未判定外来生物と種類名証明書添付の生物をここで掲げてございます。前回、特に種類名証明書添付のところが余り詰まった内容になっておりませんでしたので、今回少し精査をしまして、一応その種数を入れているということでございます。
 考え方ですけれども、特定外来生物と似たような生態的特性を持っているだろうということで、被害を及ぼす疑いがあるようなものについては未判定外来生物ということで、とりあえず輸入をストップして、届け出があったらそこで判定をするということにしております。未判定外来生物は、基本的には日本にまだ入ってきていないもの。入ってきているものについては特性なりが判断できるという、そういうことで、未判定外来生物は基本的に日本に入ってきていないものを対象にするということにしておりまして、それぞれナガエツルノゲイトウ、ブラジルチドメグサ、ミズヒマワリを見ますと、そういったものに該当するのが、ここではブラジルチドメグサの近縁のものということで、この2種を挙げている。基本的には特定外来生物と同じ属の中で、同じ属であれば生態的には大体同じようなものであろうということで、同じ属の中から未判定外来生物を選ぶということにしておりまして、そうやって見ますとブラジルチドメグサの近縁のこの2種がまだ日本には入ってきていなくて、被害を及ぼす疑いがあるということで、ここで未判定外来生物にしようと。基本的に前回と同じ結論でございます。
 種類名証明書につきましては、水草か水草でないかに限らず、形が似ているか似ていないか。これはどちらかというと税関でチェックをするときに、事務的にきちんとチェックできるかどうかという視点で見ていきますので、外見が似ているか似ていないかで選んでいきます。そうしますと、どうしても、陸生であっても水草とよく似ている外形を持っている場合には、やはり見ていかなきゃいけない。そうしますと、やはり同じ属のものについてはかなり似ているものがあって区別がつきにくいということで、ナガエツルノゲイトウの同じ属、ツルノゲイトウ属についてはその種について種類名証明書の添付が必要。ただし、これは輸入禁止ではなくて、種名の添付がしてあれば日本に入れることはできますし、入ってきたものを自由に使うことは構いません。そういう意味で、ブラジルチドメグサもチドメグサ属、ミズヒマワリもミズヒマワリ属、それぞれ種数がその属の種数ということになっております。前回、種数、ツルノゲイトウ属170と書いてありましたが、これ精査したら80ぐらいでしたので、種数は変わっておりまして、ミズヒマワリ属も前回種数を出しておりませんでしたが5種ということで、今回お出ししております。
 さっきもお話をしましたが、参考資料の1に文献から水草と呼ばれるものを整理しますと、すごくたくさん出てきておりまして、この未判定なり種類名証明書を考えた際、あるいは特定外来生物もそうなんですけれども、何か1種を選ぶと結局未判定というのはその周辺を見たときに、この複雑な属の関係というのをすべて見ていかなければいけないということになりまして、ナガエツルノゲイトウ、ブラジルチドメグサ、ミズヒマワリの3種についてはある程度被害の中身なり近縁のものが特定できたわけですが、それ以外のものが出たときには同じような整理をしなきゃいけないということで、結構作業に時間を要するというのが事務局としての感想であります。
 須藤委員(が)、先ほどおっしゃったとおり、水草については被害があるものもあるであろうと。ただ、陸生のものは被害が起きないんじゃないかと。そうしますと、水草と同じような特性を持ったものがその属の中全部であればいいですけれども、そうでない場合もあり得る。中には、在来種もある、と。そうしますと在来種は抜かなきゃいけませんし、そういった総合的な検討が一方で必要になりますので、先ほどの影響評価の中にはそういったその分類群の中身というのもきちんと見ていかなきゃいけないという科学的な部分の検討が必要になってくるということでありまして、今回そういうことも含めてざっと分類群見てみたんですが、一応この3種についてはこういう整理が適当であろうということで整理をしております。
 それから、未判定外来生物については先ほど属で指定をするというようなお話がありましたが、これ属じゃなくて、基本的には種で見ていって、必要に応じて属あるいは科のレベルでも見るという整理ですので、その属全部を特定なり未判定にするということじゃなくて、その中で被害がある、おそれがある、あるいは疑いがあるものを種の単位で指定していくということで考えております。
 以上でございます。

【角野座長】 どうもありがとうございます。その種類名の証明書というのは、この3属に属するものについては、基本的に全部その種類名の証明書がついていないと輸入できない、あるいは販売できないというふうに理解していいわけでしょうか。

【堀上補佐】 輸入できないということです。

【角野座長】 要するに自分はクロではないということを、とにかく証明しないといけないということになるわけですね。それがなかなか大変であると、実際に輸入している人たちにとっては大変なことになるかと思うんですが。どうぞ。

【須藤委員】 そういう輸入手続上の取り組みの準備はされ始めているわけなんでしょうか。要するに証明書を発行してもらうためにどういうふうな形でお願いするとか、それはもっと法律が施行されてから決められるのでしょうか。

【堀上補佐】 施行されるときにはその準備が整っていないといけないと思っておりまして、それまでの間に関係諸国にその依頼をして、そういう証明書をつけてほしいと。国によってはつけられないというところもあるかもしれませんので、そこは国内でできるところを用意するという形になると思います。

【須藤委員】 もしできなかったならばどうなるんでしょうか。

【堀上補佐】 ついていなければ、輸入は、それはできないです。ただし、その種類名証明書の場合にはその種を全部特定して、その種名を書かなきゃいけないということじゃなくて、例えばナガエツルノゲイトウではないというような書き方もあると考えています。

【須藤委員】 はっきりしていればいいわけですか。

【堀上補佐】 特定外来生物でないということがはっきりしていればそのことを書いて、それで通すということもあり得ると思います。

【須藤委員】 はい、わかりました。

【角野座長】 この水草3種のうち、特に上の2種、ナガエツルノゲイトウとブラジルチドメグサに関しましては、例えばナガエツルノゲイトウですとアクアリウム・プランツとして非常にポピュラーなものなんですけども、アクアリウムをやっている人はこんな長ったらしい和名で呼ばないんですよね。みんなアルテラ何てらでしたっけ、そうですね。そういう名前で、実はこの属のいろんな種類が流通しているんですね。だから、その中でナガエツルノゲイトウを特定するとか、ちょっとそういうことは何か対策を考えないといけないと思います。それはブラジルチドメグサについても同じでして、一番よく売られているのがこの仲間ではアマゾンチドメグサというのがあるんですが、ひょっとしたらこれの中にこのブラジルチドメグサが含まれているのかもしれないということも、実はあるんですね。ですから、ちょっとその辺は実際の対応に関しましては、その流通の実態を調べて対応、ちょっと考える必要があるんではないかと。そうしないと、ちょっと抜け道をつくってしまうことに。知らなかったと言われればそれまでですので、そうならないようにする必要はあるんではないかと思っています。どうぞ。

【黒川委員】 ちょっと分類のことがよくわからないんですけども、諸外国との間でその分類、何というんですかね、同定が違う種に同じ学名がついてしまっている例とかも植物の中にはあると思うんですけど、そういった面もちょっと注意が必要なのかなという気がするんですけどね。その国によって、つくると形が違うとか、それでちょっと判断が全然違ってしまっている場合がないのかなという。水草の場合どうなのか、ちょっとよくわからないんですけども。

【角野座長】 いや、それはあると思いますね。特に日本のアクアリウムショップで売られている名前というのはでたらめが非常に多いですので、そのあたりはきっちりチェックするというんですかね、そういうことを作業をやらないと、これが有効なものにならないんではないかと、そういうふうに、私ども水草をやっている者としては考えていますけども。
 この未判定の外来生物というのは、今ここにブラジルチドメグサ属のもの2種類しか挙がっていませんけれども、実はこのグループはもっとたくさん輸入されていまして、例えば先ほど言いましたがアマゾンチドメグサなんていうのは、随分とこれは出れば問題になるもんだと思うんですね。だから、そういうものを追加するというのはあれなんでしょうか、今日の議論を踏まえて。

【堀上補佐】 先ほどお話ししましたけれども、基本的には日本に入っていないものを未判定外来生物というということにしておりますので、入っていて何か問題があるのがわかっていればそれは特定にするわけですし、まだその判断がつかないということであれば要注意外来生物にしておく。要するに普及啓発を図り、あるいはその知見を集めというところにしておく必要があると思います。

【角野座長】 わかりました。私も座長をしながら、ちょっと理解の及ばないところがありました。
 今までの議論を含めまして、どうでしょう。この3種を指定することについては異論あるけども、実際にこの指定が有効になるためにはいろいろと問題点が、一部名称の問題など私申し上げたわけですけども、ほかにやっぱりこういうことにも留意した方がいいんではないかというようなことございましたら、いろいろとご指摘いただけるとうれしいんですけれども。
 では、お願いします。

【真鍋委員】 資料1-3に書いてくださっています3種の被害をもたらしている要因は非常に読みやすくてわかりやすいんですが、先ほど資料をいただきましたWRAのように、例えばナガエツルノゲイトウでしたら環境への適応性などで、点数化、スコア化するような作業の実施が、これから(法律の施行までに)間に合うのか、あるいは可能なのかなというのが一つ疑問なんですね。もしそういうこと(WRAのようなスコア化)が現段階で導入できるなら、これから指定種を増やす場合にも、よい先例になるという気がします。ただ、現段階で先ほどお話がありましたように、日本の場合にこのWRAの当てはめが時期尚早であるにも関わらず無理やりに導入すると、逆に悪い側面も出てくるかと思います。実際そういうことがこの3種に関してできるかご意見をいただきたいと思います。

【角野座長】 いかがでしょうか。どうぞ。

【黒川委員】 やはり、そのWRAでそういうスコアをつけていくというときには、そのWRAのシステムがある程度形ができて、それが公表された段階でないと、どれを使った点数なのかということが見えないんで、そういう意味ではまだ無理だと思います。その点数だけが最後に残っていって、それで後々いろんな悪い点が出てきてしまうと思いますので、セットだと思いますね。WRAができて、できるときにこのシステムを使ったときの点数だと。だから、点数だけが残っていくというのはちょっと問題かなというふうに思います。

【真鍋委員】 そうですね。例えば今回、この資料につけてくださった3-1を使うとか、3-2あるいは3-3を使うとか、すなわち、これら既存のモデルをそのまま日本に適用してもいいものかなという疑問も一つあると思うんですが。

【黒川委員】 そこも含めて、まだ研究段階だと思います。だから、日本にそぐわないような項目が結構あるので、そういうものについては日本版ができた段階でやっていくということはできると思うんですけど、現段階ではちょっと難しいと思いますね。

【真鍋委員】 難しい。はい、わかりました。

【角野座長】 ほかにいかがでしょうか。
 この資料の1-3と1-4の具体的、特に資料1-3、いろんな情報が書いてあるわけですけれども、こういう事実があるということと、それと現在、特定外来生物に指定して規制することが有効であるというような、むしろ定量的ではないですけども、そういう根拠でこの3種を指定するというのが今回の方針かと思います。
 ただ、その場合やはり問題になるのが、今回指定から漏れた種がなぜ指定されなかったのかという疑問がやはりあるんですよね。ですから、そのあたりを、それは今回は第1陣だということと、このあと話題になります要注意外来生物リストでの取り扱いという、とりあえず当面対応して、今後特定外来生物に指定していくという、そういうステップを事務局としては考えておられるようなんですが。
 今までの点で、特にご意見なりご質問なければ、次へ進みたいんですが、いいでしょうか。また問題点があれば、あとから帰ってきていただいたらいいです。
 それでは、第1陣の選定候補として挙げます特定外来生物としては先ほどの、今挙がりました水草3種類で、具体的な表記法についてはちょっと名称の問題なんかいろいろありますので、若干、私、部会長と事務局の方で調整したり、また皆様の方からも意見、お寄せいただいたものを含めて調整したいと思いますが、この未判定外来生物と証明書添付生物については、基本的にこの資料を加筆・修正するというような形でまとめるということでよろしいでしょうか。

(了承)

【角野座長】 それならそれで了解いただいたようですので、次に、今回ちょっと時間をかけて議論したいと思っています要注意外来生物リストについて、ちょっと議論を進めたいと思います。
 この要注意外来生物リストというのは、法律に基づくものではありませんので、何かを規制するとか、そういうことには使えないんですけれども、今回の法律の趣旨をより社会に広く理解してもらうとか、そういう、今後生態系等に影響を及ぼすという指摘がある種類を含んでおります。そういう意味で、注意喚起を図る必要があるとして挙げられたものなんですね。これについて事務局の方で候補を挙げてもらっていますので、まずこれについて説明をお願いしたいと思います。

【堀上補佐】 資料2に基づきまして説明をさせていただきます。資料2につきましては最初の1ページ、2ページが考え方を書いておりまして、3ページ、4ページがリストということになっております。5ページがそのリストを挙げたもとになっている文献でございまして、7ページ以降が特に注意を要する外来生物の個票という形になっております。
 1ページ目でございますけれども、前回のワーキンググループにおきまして、このリストの作成が必要であるという指摘がございました。もう一つ、中央環境審議会の委員長談話の方でも同様の指摘がございまして、そういうリストを作った方がいいであろうということが、こちらの方でも事務局の方でその中身を用意した趣旨でございます。それで1番のリスト作成の目的というところでありますけれども、まずは真ん中のところを見ていただきたいんですが、今回特定外来生物に選定されなかった理由というのが書いてございます。
 主に二つ、植物に関しては挙げておりまして、1番が被害に係る科学的知見は既にある程度示されているけれども、広範に販売・飼養等がなされていて、現時点で効果的な規制を行うことは難しかろうと、そういうふうに判断されたもの。2の方は、その1以外のものについてでありますけれども、導入の形態ですとか利用の形態で分けたグループ、先ほど(1)から(4)で分けておりますが、そのグループごとに見て、本来、植物全体、そのグループに属する全体の植物を見て被害の判断について考えるべきなんですけれども、その評価の仕組みあるいはその知見がまだ十分でないためにそういう判断がしにくいというものについては、グループごとにその仕組みを構築した上で、個々の植物の被害についても判定する必要があろうということで、主にこの12の理由で今回は特定外来生物に選定されなかったものがあるということでございます。
 その選定作業の中で置いていかれたものというのは、前にお示ししておりました文献等で影響が指摘されている生物なり、あるいはこの委員会の中でいろいろと指摘があったものということであるんですけれども、こういった理由で指定されなかったものについては要注意外来生物というふうな形にして普及啓発を図り、さらなる知見の集積を図るということでございます。基本的にはこのリストは被害の予防の観点から、環境省の方で作成をし公表するという位置づけにしておりまして、この委員会でご意見をいただいて環境省の方でまとめていくということにしております。
 これらを利用するに当たって、利用そのものを規制するものでは当然ありませんので、その利用に当たって注意すべき点というのは文献等で示されているということからして、その利用に当たって予防の観点から注意する点というのを付けて、世の中には示していくということでございます。特に大きいのは、生態系等に係る被害の予防という意味では、今管理されている地域、地域というよりは施設・場所、そういったところから外に出さない。漏れ出ていかないような、そういう管理が予防的に必要であろうということでございます。そういったその注意点というのを付記して、さらなる知見の集積も図っていきましょうということがこのリスト作成の目的でございます。
 要注意外来生物リストとしては大きく二つございまして、2の(1)ですが、特に注意を要する外来生物。これが先ほど、理由で言いますと1の方の理由で、特定外来生物にはならなかったものということでありますが、これはもう被害がいろいろあるというような知見がありますので、ここは特に注意を要する外来生物ということでリストをまとめて、個票をつけて詳しい影響の指摘というのを、中身を世の中に示していくということであります。ここで、「ただし」とただし書きをしておりますのは、植物では基本的には先ほどもう結論が出ましたので今回はないと思うんですが、特定外来生物の候補として具体的な選定作業が継続して行われる外来生物について、今回、例えばまだもう少し継続して議論しましょうというものがあれば、それはこの要注意リストというものでなくて、継続審議のものという取り扱いをしましょうということで、ここはちょっと蛇足のような形で付記しております。(2)につきましては、先ほどの2の理由でならなかったものということで、これはグループごとに全体を考えていきましょうということでございます。
 2ページ目に行きまして、その2の理由でならなかったものにつきましては、そのグループごとに利用に当たって管理されている場所、そういったところから外に出ないような形で取り扱いに注意しましょうということをリストの中で書いていくと。それから参考文献を書いていくということで整理したいということでございます。リストの公表につきましては環境省において行うということでありまして、その公表に際しましてはこのリストの目的、取り扱いを明記する。掲載種は基本的には外来生物法の規制の対象ではないということをきちんと書きまして、世の中に大きな混乱を与えないようにそれは注意するということでございます。
 具体のそのリストでありますが、3ページ、4ページのところで挙げておりまして、大きく1と2に分けております。1の方は特に注意を要する外来生物で、意図的導入がなされている水草4種ということで掲げております。オオフサモ、ホテイアオイ、オオカナダモ、ボタンウキクサ、これについては別途個票を整理しておりまして、後ほどご説明いたします。基本的には野外にかなりもう出ておりますが、国内で流通・販売が多くされていて、かなり多くの人が栽培しているというような状況にあるということでございます。
 2番目として、グループごとに評価の仕組みの構築を図る必要がある外来生物。意図的導入と非意図的導入と分けておりまして、意図的導入の方には水草と陸生の園芸種、それから緑化、その他と書いております。これ、見方ですけれども、和名と学名が書いておりまして、その右側に文献等で指摘されている影響の内容ということで、大きく分けて生態系と農林水産業でありますが、生態系の中に競合・駆逐あるいは遺伝的攪乱という形で書いております。基本的に文献等の指摘につきましても、定着しているとか、あるいは自然環境に影響があるというだけでは、ここには載っけておりません。ある程度こういう中身の影響がある。例えばほかの植物と競合していると。こういう種を駆逐していると。あるいは遺伝的な攪乱を起こしている。農林水産業についても非常に強い被害を与えていると。そういうような具体的な記述があるものについて、ここには載っけていくようにしております。
 それで主な参考文献を書いておりまして、備考欄に注意書き、注意喚起すべき内容というのを書いております。これがそれぞれ少しずつ違えておりますけれども、基本的に水草と園芸というのはもう園芸で一くくりにしておりまして、同じような中身です。運搬や栽培に当たり管理されている施設や場所以外の逸出を起こさない適切な方法で行うことが重要である。利用に当たってはということでありますけど、また遺棄を起こすことがないように関係者に普及啓発を行うことが重要である。ここは後ほどまた議論していただければいいと思います。書き方についてはまだ工夫があるかと思います。それから、緑化に関しましては使用に際し使用場所からの逸出により生態系に影響を与える可能性が指摘されているということに留意して、原則として生態系等への影響評価の仕組みの構築を検討しつつ、個々の植物について判断した上で、代替となる手法の開発、実行体制の整備を行うなど、総合的な対策を進めることが必要であるという形で一くくりに、ここは備考欄には書いてございます。その他に書いておりますのは食用であるとか、上に挙げた三つ以外の目的で活用しているものについて書いております。
 それから非意図的導入については、いわゆる雑草と呼ばれるものを書いておりますけれども、備考欄に書いておりますのは管理されている、非意図的であっても何かにくっついてくるということからしますと、くっついていることがある程度わかっているんであればそういった場所・施設については逸出を防ぐ方法を検討することが必要である。書いてはいませんが、そういった、そのくっついてくるものの主体に関しては普及啓発等で注意喚起をすることも必要だと考えております。
 5ページは飛ばしまして、特に注意を要する外来生物の四つについて簡単に内容をご紹介します。
 ここは水草4種を挙げておりまして、基本的に特定外来生物の個票と同じような内容の整理にしております。8ページ、オオフサモでありますが、オオフサモに関しては国内の本州以南に見られまして、九州筑後川水系に多く見られるということで、海外でも侵略的な外来種とされておりますが、国内でも水流を妨げる等の問題を引き起こしていると。その被害をもたらしている要因として、これ、ほかの水草も大体共通でありますけれども、温帯から熱帯に分布するということで、日本に定着する。日本では栄養繁殖をして、非常に旺盛に繁殖していくということと、それから社会的な要因として多く流通していて、海外からも輸入されることがある。公共団体によります、例えばビオトープづくりですとか復元事業とか、そういったところでも活用されているというようなことがございます。9ページの方で、その他の関連情報としまして、一番最後のポツでありますが、観賞用の人気種として国内繁殖も実施されており、流通量も非常に多く、飼育施設や販売業者を特定するのが現段階では困難であると。そういった栽培者に対する普及啓発、逸出させない、あるいは捨てさせない、捨てないというような、そういった普及啓発が重要であるということを書いてございます。
 これ以降のものも基本的に同じ整理でありまして、オオカナダモ、ホテイアオイ、ボタンウキクサもそれぞれの特色と、それから社会的要因と注意すべき点ということが書いてあるということであります。
 1点、オオカナダモの中に、11ページですがコカナダモを含めておりますが、11ページのその他の関連情報の一番下のポツですけれども、オオカナダモは基本的に流通量が多いのですが、コカナダモは流通はしていないようでございます。ただ、コカナダモも繁殖をさせることはできますので、流通することもあり得るということで、ここでは名前を一応出しているということであります。
 事務局の方からの説明は、以上です。

【角野座長】 どうもありがとうございました。この要注意外来生物リストというのは、とにかく社会に外来生物への注意を喚起したり、被害を予防するというようなことが、そのためにまず、法的な規制力はないけれどもこういうものをつくろうということなんですが、これ、環境省において公表するとあるんですが、具体的にどういう形で社会に周知させるということを考えておられるんでしょうか。

【堀上補佐】 いつごろ公表するかというのはまだはっきりしておりませんけれども、このワーキンググループでお話をしていただいて、その結果をもってまた中身を整理して、ほかのワーキンググループでも同じような指摘がございますので、基本的には全グループで要注意外来生物リストというのをつくることになると思っています。その上で全体会合の第2回を1月末に予定しておりますが、そこでまた先生方に見ていただいた上で、その公表の仕方も含めて考えていきたいというふうに思っております。

【角野座長】 具体的な公表の仕方は今のご説明ですと決まっていないようですけれども、やっぱり広く周知させるということが、やっぱり一つ非常に重要な意味です。ポイントになると思うんですけども、それはやはり、全体会合で議論になるでしょうけれども、やはり何か、それがないと、ただこのリストをつくっただけでは意味がないということになりますので、ちょっと要望しておきたいと思うんですが、この要注意外来生物リストの作成の目的だとか内容、それとすべて今片づかなくてもいいんですけども、実際にリストに挙がっている種類ですね、これでいいのかとか、こんなの要らないんじゃないかとか、両方あると思うんですね。そういうのも含めて、あるいは追加する種類、追加する種類は別に今でなくても、全体会合までにお知らせいただければ検討して出すということにしたいと思うんですが、このような形で要注意リストを準備するということについて、ご意見なりご提言あればお願いします。
 では須藤委員。

【須藤委員】 先ほど要注意、特に外来植物のオオフサモとか何かの案を示していただきましたけども、要するに目的は普及啓発ですよね。

【角野座長】 というか、それにとにかく気をつけてくださいということに。

【須藤委員】 そうした場合に、要するにこれを公表した場合に、特定外来生物という言葉と要注意外来生物という言葉、一般の人は、どっちの言葉を強く受けとるでしょうか。何か、私なんか要注意外来生物の方を特定外来生物より怖いなと思ってしまうんですけれども、そこら辺、何かちょっと要注意外来生物をもっと別な表現があるような気がするんですけれども、ちょっとお考えいただけないでしょうか。

【角野座長】 どうぞ。

【黒川委員】 関連してなんですけど、その目的が二つあるように見えたんですけど、その特定外来生物に、今回は挙げれなかったけども、今後検討して挙げていくものというもののリストなのか、特定外来生物に挙げることはできないけども注意喚起すべきものなのかというところが混乱しないような形にして出していかないと、やはりいろんな産業にかかわっているものがありますので、風評被害という意味では非常にやっぱり怖いかなと。名前も含めてそうなんですけども、どんどんこのリストの位置づけというものが定着していって、みんなに理解されるようなリストであればいいんですけど、それがひとり歩きして、ずっとここに載り続けているのにいつまで、特定外来生物にならないんだというようなものの材料になってしまうんであれば、やはり影響はかなり大きいかなと思うんですよね。そういう意味も含めて、名前も含めてなんですけど、要注意って、確かに要注意かなと。それで、もしその準備段階なものという意味なのであれば、要検討なのかなという気もするんですよね。そこも含めて目的がはっきりと見える形でやっていかないと、この、混乱がないようにということなんですけども、どういう混乱が起きるかがちょっと心配かなという気がします。特に、ちょっと具体的に中身に入りますと、僕ら関係している飼料作物が緑化のところに入っているんですよね。例えばこれが準備段階のものだとして、緑化目的ではほかのものがあるよとなったときに、じゃあ、特定外来生物にしましょうということになったときに、これ牧草としてはもう大体の基幹牧草種がほとんど入っていますので、そうするともう畜産は一遍にとまってしまうというような状況にもなりかねない。そういう意味も含めて、もう少し吟味した方がいいかなという。中身もそうなんですけど、そのリストの取り扱いについても、ちょっともう少し考えた方がいいかなというような気もするんですよね。

【角野座長】 ええ。ただいまの黒川委員のご指摘はこのリストという性格というんですか、果たしてどういうもの、何を意図したものなのかということをもう少し明確にした方がいいということなんで、これ非常に、この要注意リストの持つ意味というのは非常に大きいと思うんですね。特に植物の場合、いろいろ、本来ならば生態系に対して非常に影響は大きいんだけども、今回特定外来生物への指定を見送らざるを得ないというものが非常にたくさんあるというのが現実だと思うんです。それに対する手当てという側面もあると思うんですね。ですから、このリストをどれだけ有効なものにしていくかという。今の黒川委員の指摘のように、受け取られ方によってはマイナスの面というところが出かねないということなんですが、いかがでしょうかね。そういう点に関しまして。
 まず、濱野委員からお願いします。

【濱野委員】 すみません。今のお話に少し関連するかと思いますけども、このリストに載ったものが、例えば個票の方にそれぞれ最後に使用者等に対する普及啓発が必要であるという一文がついておりますけども、もし普及啓発の結果、被害の軽減でありますとか適正な栽培育成がなされた場合にリストから外れるといいますか。この仲間のものはそれほど被害を及ぼさないという配慮があってもいいんではないかなという気がちょっとします。
 それとあと、種をやはり出すことによって、先ほども風評害ということがありましたけども、その辺は本当に一般の方はその全体を見ずに一つの種を見て、それがあたかも悪者という、そういうその判断をやはり持たれると思いますので、その辺の慎重な公表というのもあるでしょう。
 それからもう一つは、いずれにしても普及啓発ということが絡みますけども、取り扱いは人がするわけでありますから、その辺が人の取り扱いが悪くて、その植物が本来の生育をしたために在来のものへの被害を及ぼすという基本的な部分を、「要注意」がいいのか、私は「注意を要する」というふうに、少しやわらかくした方がいいんじゃないかと思っていますが、このリストの中の表記の方法を慎重にお願いしたいというふうに思います。

【角野座長】 高橋委員も何か。

【高橋委員】 今の内容と非常に共通するところがあるんですが、先ほどの説明の中に利用の規制ではないと。しかし、その予防を意味しているんだという説明があったわけですが、そのことと、このリストのことがどう対応するんだろうかというところが、ちょっと疑問に思っていたわけです。要するに種として、これ、リストを挙げておきますと、同じ種でも、先ほどの黒川委員のお話のように、私、緑化という部分でちょっと言いますと、牧草として扱われている種類がある。それから、当然それには産業が関係していらっしゃると思いますので、そこの大きなことをどう評価しながらというか、どう考えながらこのリストをつくられるかどうかというところが非常に大事で、もしその栽培をしっかりしている場合、人の関わりがある場合は非常にエスケープして、外へ出ていく可能性が非常に少ないだろうと。そういった場合もその同じ種として取り扱われていいのだろうかどうか。その辺は先ほどのご説明の中に、多分その取り扱いをちゃんと明快にしたいというようなお話もありましたので、その取り扱いをはっきり考えるということと、このリストできっちり表すということのそのリンクがちょっとないのかなと思って、お伺いしていたわけです。その栽培の仕方、管理の仕方によって、外へ大きな影響を及ぼす度合いが多分違うだろうというふうに思います。それから、種類として挙がっていますが、この種類が非常によく繁殖する気候帯のところとそうでない気候帯のところがあるはずですので、東日本とか北日本あるいは東北の方、考えていきますと、全国どこでもこれが繁殖するということではないはずですので、その地域性の考え方はこの中にはどう展開して考えたらいいのかなということをちょっと思ったもんですから。

【角野座長】 はい。大変重要なご指摘だと思うんですが、実際の問題としては確かにその管理、牧草にしても緑化植物にしましても、本来の目的にかなうようには管理されていても、やっぱりエスケープという問題は避けられないわけで、それが在来の生態系に大きな影響を及ぼしている。そんなことからここに挙がってきているということなんだと思うんですが、その辺をどうするのかということは、非常にこれ、大きな問題なわけですね。特に産業で使われているものを、生態系への影響の方が大きいので、やはり産業そのものを少し考え、見直すというような強行論も一方でありますし、いや、それはもう仕方がないんだというふうな主張もあるわけですね。ですから、そういうことも含めて、この要注意リストの中でどういう意図で取り上げるのか。そしてもしいろいろ注意点とすればどういうことがあるのかというようなことをはっきりさせる必要があると思うんですね。そういう意味でこの要注意リストの名称も含めまして、かなり本質的なことが議論になっていると思うんですが。いかがでしょうか、ご意見。

【真鍋委員】 非常に大切なことがいっぱい出てきたんですが、じゃあどうすべきかという対処法を考えていく必要があると思います。その一つとして、(リスト名変更の是非は別としまして)まずは、要注意外来生物がどういうものかという定義をどこかにちゃんと書いておく必要があると思います。例えば1のところにそういう定義を入れてあげる。そのあとで、なぜそういう植物のリストをつくったかということにつなげていけばいいと思います。そこで、今回は要注意外来生物にリストされたけれども、こういううまい管理が浸透したらリストから外す、広がる恐れがなくなったので外す、ということも有り得るといったような一文も書いておけば、わかっていただけるような気がします。
 それと、あと気になった事ですが、このリストの備考に書いていること、これは実は非常に重要なことだと思うんです。従って、ここに書くよりも、例えば、別に章を立てて、取り扱いに際してどのようなことにより注意すべきかということを整理して、それがどの植物に当てはまるというのを書いてあげると、混乱は少なくなるんじゃないかという気がします。もう一点は、リストとして種名を具体的に公表しないと意味が薄くなるので、やはり僕は種名は公表すべきだと思います。その選定に際しては非常に慎重にすべきだとは思いますが、やはり種名は挙げるべきだというのが私の考えです。

【角野座長】 はい。どうもありがとうございました。
 このリストを見ていただきますと1は特に注意を要する外来生物ということで、注意を喚起するというんですか、取り扱いに注意しようという意図をはっきり言っているわけですが、2の方は影響評価の仕組みの構築を図る必要がある外来生物ということで、ちょっと、かなり、どういうことなのかということをよく考えないとわからないというんですか、これと本当にすぐに規制しようという話とはちょっと距離があるような書き方がしてあるわけですが。ですから、この整理の仕方ですね。それもやっぱり要検討かなというふうな雰囲気を皆さんのご意見から感じるわけですが。今、こういう外来植物の利用にかかわる立場の方と、逆にその生態といいますか、その在来の生態系の保全というか、そちらにかかわる方、両方の方からの意見が出ているわけですが、いかがでしょうね。これは非常に大事な問題ですし、これは結構議論してもいい問題、議論しておかないと、いいかげんな形でこのまま出すと、やっぱり先ほどご指摘があったように、一体これはどういう、何のためのリストなのかということがはっきりしませんので、それをはっきりさせておきたいと思うんですが。どうぞ。

【須藤委員】 よろしいですか。ご意見出ていると思うんですけれども、要するにこういう表と形でばんと出されてしまうと、相当問題が大きくなってくると思います。そのためには、先に水草で示されたように、どういうふうに環境に影響するのか。その環境の被害程度ですか、被害面積、そこら辺はっきり情報として与える形でこういう問題があり、そしてこういう方法でやればそれは防げますよという、そこまで含めたリスト提出、そういうことを使う方(花き産業に関与する者)としてはお願いしたいと思います。そうしないと、何か問題意識が偏ってしまいます。リスト以外にもいろんな、花として問題になっているようなものが、たくさんあります。でも、要するに難しい(要注意植物として重視される)方に動いてくると(花き文化や花き産業の発展にとって)ちょっと怖いということで、(良い悪いを含め)全員が理解できる形でのリスト公表をお願いいたしますということです。

【角野座長】 ちょっと事務局の方にお尋ねしたいんですが、特に注意を要する外来生物に関しては、こういう具体的な問題点が整理されるわけですよね。この2番のその他のものについては、これは一応このリストとこの右の備考欄までの、こういう一覧表の形で作成されるというのが今の予定なわけですか。

【堀上補佐】 一応その予定でまとめてはおりますけれども、個別にもう少し具体的にとか、あるいは誤解を生じるのでより誤解を生じそうなところについて細かくということであれば、そこは工夫をしたいと思っています。基本的にはその全体が要注意の外来生物で、その中に特に注意を要するものがあるという、そういう整理で書いておりますので、それは基本的にはこれまで指摘はあるけれども文献が足りない。でも、それは疑いがあるというものとして委員会の中でも扱われてきたという経緯がありますので、それは注意を要するという形で世の中に呼びかける。加えて、知見が足りないのであれば知見を集める。知見が集まった結果、それがクロなのかシロなのかというのはそのまた次のステップであると、そういうふうに考えておりますので、一応その性格としては整理されてはいるとは思います。ただ、言葉が足りないというところがあれば、そこはもう少し補っていきたいと思っております。

【角野座長】 今のような方針で環境省としては臨まれるようなんですが、いかがでしょうかね。1ページも2ページもかけて個々の種類について説明を書く必要はないでしょうけども、やはりそれぞれの種類について、問題点なり、それとやっぱり、しかし特定外来生物には指定できない理由とか、項目を絞ってでもやはり全部の種類については必要ないかもしれませんけど、それを書かないとなぜここに挙がっているのかというのがちょっとわからない種類というのはやはりあるように思うんですね。だから、その辺は何か考えていただいたらいいんじゃないかと思うんですが。
 その中身の問題もいいんですが、もう一つ、その名称の問題について、ちょっと二、三の方が言われたんですが、この要注意外来生物リストというのはどうですか。言葉としては明快で、それなりに要注意なのかというのはわかるんですが、もう少しやわらかくした方がいいんではないかという声もあるんですが、その辺についてはご意見いかがでしょう。これはやっぱり、それなりにインパクトのあるものでないといけないので。ちょっときつい目でもいいかと、私個人的には思うんですが。その特定外来生物よりももっと要注意だというような、そういう印象も与えたようなことになってきますと、ちょっと本末転倒ですので。ただ、これは植物部会で決められる問題じゃないですよね。全体会で決められる問題ですね。

【環境省 名執課長】 そういう、個々のグループの意向としてどういうようにするかというのは、検討していただいて結構でございます。

【角野座長】 そういう意見があるということは全体部会で申し上げたいと思うんですけれども、むしろ、本質的には、いろんな意味で注意しなければならないということにはかかわりないと思うんですね。
 それで、黒川委員が言われた、この中に結構ヘテロな内容のとヘテロでないといいますか、そういうものが含まれて、つまりこれから特定外来生物に指定される候補種のようなものと、逆にそうではないものとが混在しているという指摘があったんですが、その辺を整理する必要というのはいかがでしょうね。あるいはここに書いてあるように、例えば園芸だとか緑化だとか、その他とか、こういう分け方で、これでいいのかどうかといったことも問題になるかと思うんですが。
 はい。

【真鍋委員】 今のように、この表だけではそれが読み取れないと思うんですね。やはりできるんでしたら、数行だけでもそういう重要な項目、共通する項目を立ててあげて、各種についてそれを書いてあげるというようなことをしていかないと、多分それは解決できないと思います。ですから、なぜそれが今危ないのか、指定されたかということですね。それが今どのぐらいの被害を及ぼす可能性が考えられているかと。あと、どうすればいいかという対策や取り扱いの際の留意点とか、それと、どのぐらい分布域が広がる可能性があるのかと。そういう必要な情報を含めて各種数行のものをつくっていけば、文章量は増えるかもしれませんが、かなり解決できるような気がいたします。

【角野座長】 どうぞ。

【堀上補佐】 基本的に知見が足りない中で、すべてにというかかなりの部分そういう整理ができにくいものが多いですね。ですから、ある程度その影響ごとに、例えば競合・駆逐のものはこういう意味で注意しなさいとか、遺伝的攪乱を起こしそうなものはこういうふうに注意しなさいというふうに分けていくことはできると思うんですけれども、個々にそれぞれこういう影響があってこういう注意が必要であれば、もうかなりそれは知見があるというふうに見れますので、なかなか一律そういう整理はしづらいというのが事務局としての考えです。もちろん、ご意見を踏まえてもうちょっと全体をまとめていくような整理を、より詳し目の整理はしたいと思っておりますが。

【黒川委員】 ここで主な参考文献って出ているんですけども、そこで指摘されているというんですかね、その例を挙げるということはできないんですかね、そういう意味では。こういう被害が報告されているものなのだという形だったらどれも書けるんじゃないかなと。文献ありますのでね。

【堀上補佐】 そういう意味でどういう被害かという、競合・駆逐であればこんなようなものというのを挙げて、こういう面に注意しましょうという分類分けはできると思います。

【角野座長】 このリストはどういう形で公表するかということは全体部会の結論待ちだということだったんですが、植物部会の要望として、単なるリストだけではやっぱり不十分であると。これ、六つの生物群すべてについてこういうリストが出てくるわけですから、言ってみればレッド・データ・ブックに相当するような冊子がつくれるぐらいの内容があるわけですよね。だから、そういうものでもつくって、普及啓発なり注意喚起に使うというようなことでやらないと、これ公表の仕方ね、何かホームページに載せるとか、それだけでは余り効果がないかもしれないというようなことを、あるいはその真意を理解してもらえないかもしれないというような危惧を持つわけですけども、そのあたりはここで決めることはできないんですけども、意見なり要望としてどんどん上げたいと思いますので、ちょっとご発言いただければうれしいんですが。
 どうぞ。

【濱野委員】 他の部会との関連性で、この植物の部会の特殊性というのは一つあると思うんですね。これはもう、ご存じのように生態の修復をする反作用という環境形成作用があるわけですよね。今、その外来と言われている、日本で大変旺盛な生育をするものというのは、逆の言い方をすれば活発な生活作用の中で、富栄養物質を多量に吸収するであるとか、あるいはその旺盛な形態を形成する中で、今の二酸化炭素の炭素を固定するであるとかというような、植物そのものが持っている生活機能も見逃せないものだろうと思うんですよ。その中で、例えば今ホテイアオイのことも記述がちょっと後ろの方にありましたし、それからオオカナダモですか、例の葉脈やなんか、観察によく適しているというような、そういう学術といいますか学校での学習資料にもなるということもあります。ですから、その辺が単に動物と違うという位置づけも、何かこのリストの中で、あるいはそのリストを読むに当たってとか、その辺の注意事項というのは必要なんだろうと思うんですね。これはちょっと私も先ほど初めに申し上げましたように、いずれも人が判断をすることで、植物の取り扱いに対する我々の姿勢が現在のこういうリストにして何とかしようとか、そっちに反映しているんだろうと思いますから、何か基本的な姿勢をこのリストの公表に当たってお示しいただければいいんじゃないかなと思うんですが。

【角野座長】 はい。今、名前の挙がりましたオオカナダモですとか、あるいはホテイアオイは小学校や中学校の教科書にも出ている植物でして、それがいきなり特定外来生物に指定できない一つの理由でもあるわけですけれども、子供たちにも外来生物というのは生態系にとっていかに脅威なのかということをやっぱり教育するということも大事だと思うんですね。ですから、その取り扱いについては十分注意するといった、そういうことも何らかの手段でやっていかなければいけないと思うんですね。その基礎資料として、この要注意リストというのは不可欠のものかと思うわけですけれどもね。
 ちょっと、では勝山委員の方から。

【勝山委員】 前回のこの会議のときにはこういう要注意リストをつくらなきゃいけないというふうに言っていたんですけど、こうやってできてみると結構これ難しいなというような。というのは、今のような問題もあるんだけど、もう一つ、例えばセイタカアワダチソウが入っていたり、アメリカセンダングサでもいいんですけれど、あるいはメマツヨイグサでもいいんですけど、あるいは外来種タンポポもわかりやすいかもしれない。これをここに入れて、どういう影響を僕らの方が想定するのか。例えば、外来種タンポポは今みたいに、ただセイヨウタンポポをここの中に入れて、確かに影響あるんだけど、これを減らしていこうと頑張るのか、じゃあ、反対にそれができるのかとか。だから、かなり日本の中に完全にというか、人里環境にはかなり、もうきちっと組み込まれたような状態で定着してしまっている外来種ってかなり入っている。今、例えばこの冬のこの時期に、本来の日本の山野だったら茶色いというか、わら色のはずなのに、結構緑色していますよね。あれ、大体帰化植物だと、外来種だと思って考えていただければ間違いないので。
 そうなってくると、今もいろんな問題があったんだけども、単純にこういう割合、割り振りではなくて、もう少しきめ細かく、蔓延もしてしまっているけれども何か減らしていく努力が必要なものだとか、それぞれの生態系に対する影響をもとに少し評価を考えないと、単純に、今広がっているからこれは入れておこうとか、今この中に抜けているのは、随分抜けているなと思いながら、初めメリケンガヤツリだとかメリケンカルカヤだとか、コセンダングサが抜けているだとか、初めはそんなメモをつくりながら今聞いたんだけれど、そうやっていくともう、単なる外来種リストになってしまうし。そういう何か、影響とあわせて、何かもう少しきめ細かくつくらなきゃいけない。ちょっと大変なんですけれども要素を含んでいるんじゃないかなというふうにちょっと感じましたので。

【角野座長】 では、黒川委員。

【黒川委員】 これを注意喚起する相手というものも重要だと思うんですけど、例えばこの非意図的に導入されるものの中に、これ私たちがかかわっている飼料畑で輸入穀物経由で入ってきているものがいっぱいあるんですけども、これ例えば利用者に対してという注意喚起だと、農家の方々も本来は防ぎたいんですよね。ただ防げなくて困っているというものがここ入っていて、それが例えば業者という形だけに目がいってしまうと、その利用者に対してただ負担がかかるというんですかね。その構造としては畜産だけではなくて社会構造がかかわって入ってきているはずなので、こういうものは総合的に対策を立てていく必要がある種として、やっぱり挙げていく必要があるのかなという気がしますね。だからその対象、そういう注意を喚起する対象というものもやっぱり想定した上で整理していく必要があるかなというふうに思います。

【角野座長】 それはもっともで、何ていうんですか、政府刊行物というような形で出しても、一般の方の目に触れることはほとんどないわけで、何か本当に社会的な啓発をするためにはそれなりの積極的な手段をとらなければならないかと思うわけですね。それと、このリストはその影響評価の仕組みの構築を図る必要がある外来生物ということになっていますけども、むしろやっぱりどのような対策があり得るのかというふうなことも、それなりに提言を含んだリストにした方が、やっぱり本当に役に立つというんですか、何もこれを使うことに、もう使っておられる方も、例えば、先ほど言われた飼料作物だったらイチビだとか、あんなのは典型的に農業の方も困っておられる雑草だと思いますので、そういう対応策というんですかね、今後どういうことを問題にして、対策、対応していかなければいけないのかということも含めて、何か考えるということは必要だと思うんですが。

【堀上補佐】 影響の対策という意味で、いろいろその文献上ご指摘はあって、こういう影響があるから問題だというご指摘は非常にたくさんありますし、そういう指摘だけで拾っていけば、もうかなりになるのはなるんですけれども、実際それで、じゃあ、どういうふうにその影響を評価して対策を講じていくのかというのは、我々も非常に悩みのところでして、そのためにこのグループごとに分けて、それぞれについて見ていきましょうという形で、ある意味、問題提起をしているわけですね。それを次につなげていくときにどういうふうに見ていくのかというのはむしろこれからですし、緑化とかあるいは園芸、水草、全体というのをどうとらえていくのかというのは、むしろ今悩みのところでありますので、そういった面でのご意見もいただけると非常にありがたいと思います。

【角野座長】 はい。環境省の方も悩んでおられるようですので、積極的な、こういうふうにしてはどうかというようなご提案があれば、それは考慮いただけると思うんですけども。この意図的導入、非意図的導入というここまでの分類はいいとしても、園芸、緑化、その他というのはちょっとあれですね。緑化といいましても、いわゆる本当の法面緑化などのものと、それと飼料作物といいますか、牧草地にまかれるものと同じ種類が両方に使われていたりすることが多いので、何かそのあたりはちょっと検討した方がいいかもしれませんね。そして、その他というのはこれは食用ですか。そしてあと、また雑草とそのあとに出てきて、何かあれなんですが。
 お願いします。

【濱野委員】 恐らく意図的という何かの目的で植物を導入する背景に、例えば1次産業にかかわる生産業を目的として入ってきてしまった、入れたと。それと、例えば2次、3次産業にかかわる観賞であるとか、レクリエーションにかかわるような2次産業的に入ってきているものと、それぞれ私たちの必要度といいますか、生活にかかわるその関与度が違うと思うんですね。この意図的導入の中の導入、利用の形態を何かそういう私たちの生活様式といいますか、それにあわせて整理をすると、何かここでも一つのクラスができるんじゃないかなという気がしています。その中で、例えばその意図的ではないものに付随して入ってきてしまう。先ほども牧草地の種子混入の話がございましたけども、これはもう本当に、いろいろ本を読ませていただくと日本で牧畜業が始まったころからのお話のようですし、長い歴史を持っていますから、その中でずっと検討されてきているということで、まだその方策がここに至ってこういう指定をしなきゃいけないものになったというのかどうかなんていうのも、その生活の関与度の中である程度整理ができるんじゃないかなという気がしておりますが。

【角野座長】 動物なんかの場合は、ペットとかあるいはそういう愛がん動物としても入っているものが多いんですが、植物の場合は確かに生業というか産業とかかわるものが多いですので、そういうのをどう対応するかというのは、これはやっぱり考えなければならない問題かと思うんですね。しかし、それが生態系に非常に大きな影響を与えるとなると、次、じゃあどうするのかということで問題になってくるなと思うんです。そういうことも含めて、こういうリストを整理した形でつくるということになるかと思うんですが、このリストについて随分いろんな意見が出ましたので、また事務局とどういうふうに整理したらいいのか検討するとともに、他の部会がどういう形でまとめるのかというようなこともちょっと伺いながらやっていきたいと思うんですが。
 このリストについて、もっと追加すべきだとか、あるいは、これはもう削除してもいいというふうなものがあれば、今言っていただいてもいいんですけども、これは若干時間的な猶予がありますので、ぜひ事務局の方にお寄せいただきたいと思うんですね。何かそれ、期限を切っておきましょうか。次の全体会議が1月31日なので、整理する時間を考えると。

【堀上補佐】 1月上旬ぐらいでいかがかと思います。

【角野座長】 1月の上旬ぐらいですか。1月の、これ先延ばしたからといってあれじゃないので、やっぱり記憶が新鮮なうちにいろいろ考えても、きょうにでも考えて。あ、これは抜けているのはあれなんですけど。1月の上旬というと、例えば1月の10日ということにしておきましょうか。

【堀上補佐】 10日はお休みですので、11日。

【角野座長】 11日。そうしましたら、追加とか、あるいは逆に削除すべきだというもの、そのほか、例えばこういう文献が落ちているといったことも含めて、その辺の状況を1月11日までに事務局にお寄せください。そしたら、私と事務局でちょっと調整して、また必要であれば皆さんの意見を伺って、最終的にこのリストに取り上げる種類を、案ですけども、今後もちろん将来的に消えていくものや追加されるものがあるでしょうけども、当面この春に発表する要注意リスト、春とは関係ないようですけども、要注意リストとしてまとめたいと思います。
 どうぞ。

【勝山委員】 今のでいいんですけれども、ちょっと影響が大きいかなと思うので、この2の方ではかなり気楽にと言っちゃいけないんですけれども、いろんなケースとして僕らもちょっと追加させてもらおうと思うんですけれど、1の方はちょっとこういう形で、この4種類の水草でかなり問題が起こしているものなので出てきたんだろうと思うんですけれども、この水草以外で、例えば下の方に入ってきているものなんですけれど、大分、いろいろ物議を出しているシナダレスズメガヤみたいなものを上の方に上げられないのかなというのが一つで、多分緑化用に非常に性能のいいものなんだろうけれども、河川敷で非常に影響を及ぼしていることも事実なんで、これ使わないような方向に持っていけないかという、そういうようなことを促す意味でも、何か一つぐらい上に入れたいなという感触なんですが、いかがでしょうか。

【角野座長】 いかがでしょうかね。それは待ってくれという意見と賛成という意見とあるかと思うんですが。いろいろと文献ですとか、そういうのを読んでみまして、一番よく出てくるのがやっぱりシナダレスズメガヤなんですね。ですから、それの取り扱いがこれでは不当といいますか、適切ではないんではないかという意見というのは当然、今後このあといろいろパブリックコメント等するときも含めて出てくると思うんですね。ですから、それに対して我々としてはどう臨むのかという問題だと思うんですが。確かに水草だけというのは不自然といえば不自然、不自然というとおかしいですけども、今回水草を中心に選定を進めたという経緯からこうなるのかもしれませんけども、特に注意を要する外来生物というのは、確かに利用されているものであってもいろんな注意が必要だという点では、それは十分ここに該当するというんですか、挙げてもいいと思うんですね。利用する際に、今まで以上にやっぱり注意して利用していただくという。あるいは、もう利用しなくても済むものであれば利用しないというようなことも含めて検討されることになると思いますので。今、とりあえずシナダレスズメガヤを上に上げてはどうかという意見が出ているんですが、これはいかがでしょう。緑化に一番かかわっておられる小林委員、どうでしょう。

【小林委員】 いや、私は個人的には構わないんじゃないかなと思いますが、そんなことを言ったら怒られるかな。私もちょっと水草だけでは、せっかく業界あるいは省庁で前向きに取り組もうとしているところで、少しぴりっとするものがあった方がいいかなとはちょっと思っておりまして。

【角野座長】 大変うれしいご意見をありがとうございました。

【小林委員】 それと、もう一つよろしいですか。

【角野座長】 はい、どうぞ。

【小林委員】 これは一応外来種だけが残っていますけども、例えば緑化植物だと最近よくいわれるものでコマツナギというのがありますね。それがコマツナギで同じ種ということになっていますけども、外来物は明らかに形態が大型で、侵略的な性質が見られると。そういうふうなものも法律の、これは直接法律の概念の中のものではないわけですね、このリストは。そういうのも上げてよろしいんでしょうかね。

【角野座長】 そのコマツナギの場合はセイヨウコマツナギというのと、あれは同じ種類なんですか、日本のコマツナギと。

【小林委員】 いや、入れているものは中国産のコマツナギなんですけども、一応コマツナギというふうになっております。

【角野座長】 そうですか。それはヨモギとか、いろいろありますね。それについては岩槻邦男先生の談話というのが出ていまして、一応そういうものについても今後注意を払っていくということは、今回のアウトプットとして出てくるんですね。ただ、それは特定外来生物には入れないという方針で来ているので、とにかくそういう問題もあるんだということへの注意は十分喚起できるような体制というか準備ができているように伺っています。
 この、先ほど出ましたシナダレスズメガヤの問題は、これ、やっぱり今決着つけておきたいんですけども、ほかにありませんか、上に上げてはどうかという。もう一括して。
 黒川委員、どうぞ。

【黒川委員】 その2番というのがこの導入利用形態別という形になっているからかもしれないですけど、この非意図的導入についてはすべて注意を、特に注意を要する外来生物でしっかり注意喚起した方がいいように思うんですけど、これは意図的に入れなくても問題を起こしているものだという意味では非常に問題の大きいものたちばかりだと思うので、これは上に全部移ってもいいんじゃないかなと思ったんですが、どうでしょうか。

【角野座長】 そうですね。確かに非意図的という意味で注意を促すという意味では全部という点もあるんですが、これを全部入れるとちょっと薄まるかなという気がするんで、特にその問題になっているイチビだとかあるいは河川敷なんかですとアレチウリですとか、ちょっと種類をセレクトした方がいいかとは思うんですけどね、その中で選ぶとすれば。ヒメジョオンなんかを入れると、ちょっとこれはまたおかしなことになってくるかと思うので。そういう意味で、この非意図的導入の中で例えばもし三つ選べと言われたら、何を選びましょうかね。
 どうぞ。

【黒川委員】 いいですか。僕はイチビ、アレチウリ、ワルナスビかなと思うんですけどね。これ、すべて駆除が難しいなという意味で注意は必要かなと。入っていないところについては積極的に、やっぱりこういう注意を促す必要があるかなというふうに思います。

【角野座長】 そうですね。それと、この委員会の姿勢を示すという意味ではそれともう一つオオブタクサあたりが挙がってくるかと。その辺が妥当な線じゃないかと思うんですが。
 堀上さん、これ、特定外来生物のこの1番に追加するというのは……。

【小林委員】 要注意です。

【角野座長】 すみません、要注意リストの1番に追加するというのはいかがでしょう。

【堀上補佐】 その1の方は特に注意を要する外来生物としてくくっておりますのは、基本的にはその規制の観点で、今規制はしづらいんだけれどもいずれその規制についてちゃんと考えなければいけないと。そういう意味で特に注意を要するという整理をしています。ですので、非常に野外で蔓延してしまって被害を及ぼしているものがあるというものは、それはそれできちんと書く必要があると思うんですが、それはそれぞれのところで書いて、むしろ何でグループ分けしたかといいますと、やはりその中で全体を考えなければいけない。その中で濃い、薄いもあると思うんですが、その中で取り扱いを考える必要があるということで、グループの中に入れています。そこはちょっと1の方の性格を明確にするという意味で分けた方がよろしいのではないかなと思っております。

【角野座長】 しかし、そういう意味では例えばシナダレスズメガヤなんかはいろいろと、すぐには指定できないにしても、生態系に与える問題、影響という意味では非常に大きいということははっきりしていますので、ここに入れるに値するように思うんですけども。それはやっぱり事務局の考えに反するんでしょうか。

【環境省 上杉企画官】 少しそこは検討したいと思っているんですけども、いずれにせよ、特に注意を要する、と。その注意を、なぜ特に要しているのかの説明の話だというふうに理解をすれば、いろいろ位置づけの仕方はあり得るんだと思いますが、ここで考えていますのは要するに広範に販売・飼養等がなされているがゆえに、なかなか追っかけるのが難しい部分がありますよ、と。ただし、片方ではそういうものはきちっと押さえる算段として考えることもあり得るよというものを一応想定して今回出していたんですけれども。ただ、本来の注意を喚起する内容として、今お話のあったような、例えば広がっていないところの農家向けに,そういうことを気をつけた方がいいよというメッセージをしっかり伝えることが大事であるというのは重要なポイントだというふうには理解いたしますので、それがわかるような書き方を少ししていく。そういう意味で、きょう全体的なお話としますと、個々の、特に2番目の注意書きが備考で一括してくくってある部分について、これだけではちょっとメッセージが伝わりにくいのではないかという指摘が非常に多く出たということだと思っておりますので、個々の種についてもう少し、それぞれの何を問題として見て、どういうふうなことに注意しなければいけないのかがもう少しわかるように書いていくというのがまず一番かなと思っています。その中で、特にまた、例えばこの点はぜひということをしっかり書き込んでいくものが幾つか出てくるというような理解の仕方もできるのかなと思っております。

【角野座長】 事務局側からはただいまのようなご説明だったわけですけども、非意図的に入ったものについては確かに要注意であるということは、それはもう間違いないので気をつけなければいけないんですが、例えばシナダレスズメガヤなんかの場合は、本来の目的、例えば緑化植物で使っているけども、それがその意図に反していろいろと、種子が主に河川を通じて流れ出て、もう急速に分布を拡大しているという実態があるわけでして、その影響についても非常に科学的に実証されているものだと思うんですね。そういう意味で、その特定外来生物に指定するかどうかについては、これからいろいろ紆余曲折があるかと思うんですけども、今小林委員から指摘がありましたように、やっぱりこの部会としてそれなりに、それなりにというか毅然とした態度で外来生物の問題に取り組むんだという姿勢を示す意味でも、私はここに、1に加えてはいいんじゃないかと思うんですけども。別に、皆さんの意見で決まることですので。いかがでしょうかね。それはあくまで提案です。そういう提案を上げるということなんですが。この部会の判断といいますか議論としてそういう提案をしたいというふうに、ここで結論を出すか、それはやめて、今企画官の方から説明がありましたように、その説明をもう少しわかりやすくすることで、そういった問題点もきっちり指摘するという、そういう線を選ぶかということだと思うんですが。いかがいたしましょう。結論を出すのは今なんですが。

【真鍋委員】 では、皆さん言われないので。少なくてもシナダレスズメガヤは上のランクに入れてもいいと私も思います。イチビとかも上のランクに入れたいなとは思うんですが、それらの種の扱いは、今回の会議の意見を反映して改定していただけるであろうリストを見てから判断してもいいかなという、ちょっとモラトリアム的な考え方をしています。でも、やはり、シナダレスズメガヤに関しては入れた方がいいという意見を表明します。

【角野座長】 今、3名の方が賛成で、反対意見は出ていないわけですが、いかがですか。

【黒川委員】 ちょっとよくわからないので。

【角野座長】 ここに入れることが特定外来生物に指定するということとはイコールではありませんので、やはりこれからちょっと、問題点をちゃんと注意して検討していこうという、そういう意味ですので、入れるという方が、ちょっと賛成意見の方で多いですので。特に反対される方がおられなければ、ぜひそういう方向で提案していきたいと思うんですが、いいでしょうか。

(了承)

【角野座長】 そうしたら、この1番にぜひシナダレスズメガヤは追加するという方向でいきたいと、部会としては思います。
 どうぞ。

【堀上補佐】 委員会の意見としてお出しいただくということで、事務局としてはそれを受けたいと思いますけれども、1点、緑化のグループとしてのシナダレスズメガヤの位置づけというのも一方であると思いますので、それは総合的な対策というのも委員長談話では言われておりましたので、別途やはりそういった議論はしないといけないんではないかというのが、我々としても問題意識としては持っておりますので、一応その注意すべきものとして指摘したとしても、その先をじゃあどうするのかというところは、我々も何とかしたいと思っていますし、むしろそういったご意見も今後伺っていければというふうに思っております。

【角野座長】 それでは、さまざまな意見が出ましたけれども、これを皆さんからいただいた意見を反映させて、それを最終的に全体会議で決定する運びになりますが、その整理については座長であります私と事務局の方で整理させていただいて、全体会合に提案したいと思います。
 時間もそろそろ、予定されている終了時間に近づいているんですが、その他何か、植物部会というのは一応その第1陣がきょうが最後ですので、ぜひ発言しておきたいということがございましたら発言をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。どうぞ。

【勝山委員】 今日の一番最初のところでお話ししたんですけれども、特に意図的導入も含めて非意図的導入も含めてなんですけれども、例えば修景効果をねらったワイルド・フラワーの利用のような、非常に外来生物を蔓延させる可能性のあるような行為の例示というのを、これとあわせて何かできないかなと。一つの例として今の、本当に修景効果をするのに、まあ、花をやるんだけども、広がりそうな種類をそれに入れるというのはやはり問題があるだろうし、それから最初に言ったような不用意な土壌改良剤、特に外来の種子が含んでいるようなものを使うような行為とか、もういろんなところにこういう形で入ってきている例はいろいろ例示されていると思いますので、過去のそういうようなものというのは何かリスト化して出しておくのも必要じゃないかなと思いますので。これは種類を挙げるというんじゃないんですけれどね。

【角野座長】 そうですね。この外来生物問題がいろんなところで、やはりいろんな社会的な動きを通じて問題を引き起こしているんだということを注意、喚起するという意味で必要なことかと思います。
 それでは、そろそろ時間ですが、事務局の方から何かございますでしょうか。では、課長さん。

【名執課長】 本日、年末の大変お忙しい中お集まりいただきまして、また大変活発にご議論いただきまして、ありがとうございます。議論の結果、第1陣の特定外来生物として3種、それから未判定外来生物と種名証明書添付生物についても整理いただいたところでございます。それから、要注意生物リストについても、これは大変事務局としても有益なご意見をいただいたところで感謝しているところです。この要注意生物リストについては、名前をどうつけるかということもございますけれども、小委員長の談話でも指摘されているところでございますし、あるいは予防原則の観点からもぜひ何とか世に出していきたいというふうに考えているところでございます。その際、今日いただいたご意見を参考にしまして、世の中に誤解のないような形で、できるだけ効果的な形で出していきたいと思いますので、そのあたり、また座長ともご相談させていただきたいというふうに思っているところでございます。
 今日で第1陣についてはご議論いただいたところでございますけれども、この後、先生方にはまた第2陣、第3陣の指定についても引き続きおつき合いいただかなければいけないと思っていますし、あとは未判定外来生物についての判定、影響の判定等についてご協力いただくことになると思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 本日はどうもありがとうございました。

【角野座長】 それでは第2回目の植物部会、これをもって終わりたいと思いますけども、この要注意リストに追加すべきものがご意見ございましたら、1月11日までに事務局の方にお知らせいただければ幸いです。
 では、今日はどうも、長時間ご苦労さまでした。