1 日時 |
平成16年12月22日15時~17時 |
2 場所 |
経済産業省別館第827会議室 |
3 出席者 |
(委員)角野 康郎(座長)、勝山 輝男、黒川 俊二、小林 達明、須藤 憲一、高橋 新平、濱野 周泰、真鍋 徹 |
|
(環境省)野生生物課長、生物多様性企画官、野生生物課課長補佐 |
(農林水産省)生産局花き対策室課長補佐、水産庁生態系保全室課長補佐、林野庁森林保全課専門官 |
4 議事概要 |
〔外来生物(植物)の特徴と選定に際しての留意点(案)について〕
(事務局から資料1-2について説明)
(黒川委員から雑草リスク評価について説明)
- オーストラリア、ニュージーランドのWeed Risk
Assessment(WRA)は、法施行以降に新たに導入されるものに対して適用されていると聞いている。黒川委員の資料の3-2のモデルは、予防原則の観点で問題ないと考えているが、日本では、既に入ってきているものも評価していかないといけないので、便益との調整をどう評価するかが重要となる。すでに入っているものを評価するという点で3-1のモデルでは、その点、どのように評価されているのか。
-
詳しい情報は有していないが、WRAではリスクだけを評価している。実際に規制するかどうかは、その上で、政府が社会経済的な面も含めて総合的に判断しているものと思われる。WRAは判断にあたっての参考情報である。
- 日本でもWRAは研究が進んでいるとのことだが、今回の評価には使えないのか。
- 現時点では無理。来年にはだいたいの姿ができあがると考えているが、WRAは、どの国でも完成版というものはなく、指摘を受けて常時見直しをしていくもの。
- (資料1-2について)意図的か非意図的かという導入の背景や利用のあり方に応じてとのことだが、意図的に導入されたものでも管理地の放棄などが原因となって非意図的に広がっているものがある。
- (事務局)意図的に持ち込んだものでも、国内では非意図的に広がり問題が出ているものもある。まずは利用者側が非意図的に広がっていかないよう注意することが必要であり、注意喚起していくことが必要。
- 緑化植物については、代替となるものがないとのことだが、本当にないのか、よく検討することが必要。今回の第一陣の指定では、特定外来生物にせず、要注意外来生物リストに入れておき、代替手段の開発状況をみつつ第二陣以降に順次指定していこうというのが事務局のスタンスのようだ。
- 2(4)で記されている雑草が、外来生物法の規制になじむものではないのは理解できるが、では、予測の付かない形で入ってくるのかというと、そうではなく、経路は分かってきている。大量に非意図的に入ってくるポイントは事例が分かっているので、単に「課題である」というのではなく、対策を模索していくような記述がほしい。
- 今の意見に賛成。2(4)に具体的な導入経路の事例を書くのも一つの方法だが、資料2に要注意生物リストというものがあるようなので、そちらに具体的にこうこうだから危ないと書いていく方が良いのではないか。資料1-2の2(4)では、包括的な表現とする方がよい。
〔特定外来生物、未判定外来生物、種類名証明書添付生物の選定について〕
(事務局から資料1-3、1-4について説明)
- 前回、特定外来生物の3つの候補について異論はなかったが、未判定外来生物、種類名証明書の必要な生物については意見があった。
- (事務局)前回資料から、未判定外来生物、種類名証明書について対象種の精査を行って、種数の数字を入れている。未判定外来生物は原則的に特定外来生物の同じ属から選ぶこととしており、その結果、前回同様、ブラジルチドメグサの近縁の2種だけが候補となった。種類名証明書は、形が似ているかどうか税関等で事務的にチェックできるかで選ぶことになる。前回、ツルノゲイトウ属に御意見があったが、水草と良く似た外見を持っていれば、完全に陸生のものでも種類名証明書が必要になる。
- 種類名証明書が必要なこの3グループについては、種類名証明書がついていないと輸入できないということになる。
- 輸入手続上、証明書が必要なのであれば、法律が施行されるときに種類名証明書の発行体制が整っていないといけない。
- (事務局)今後、各国政府機関に協力を求めていくことになるが、中には発行できないという国もあると考えられる。そのような場合には、事前に国内で証明書を発行する方法も検討している。また、種名を特定しなくても、ナガエツルノゲイトウではないということを証明していれば良いと考えている。
- アクアリウムをやる人たちの中では、Alternanheraなどの属のものはいろんなものが流通していて、その流通名も様々である。また、アマゾンチドメグサの中に、ブラジルチドメグサが含まれて取り扱われている可能性もある。流通の実態を調べてやっていくしかない。
- 分類については、諸外国との間で、分類・同定が同じではなく、違った物に同じ学名がつけられていることに注意が必要。水草の場合は、どうなっているのか。
- 名前はきっちりとチェックしていかないと有効なものにはならない。
- 未判定外来生物に、チドメグサ属の2種しか入っていないが、アマゾンチドメグサ等を追加していくということは可能か。
- (事務局)未判定外来生物は、日本に入ってきていないものを指定することとしているので、すでに入ってきているものは基本的に指定しない。
- 資料1-3の特定外来生物の候補の3種については、被害をもたらしている要因は分かりやすい。これらの要因を、WRAでスコア化することはできないだろうか。今後、種を選定するときに、スコア化できるとやりやすい。また、WRAがそこまで準備できていなければ仕方がないが。
- WRAの形がある程度できて、それが公表された段階でないとスコア化は無理。スコア化して点数だけ公表されても無理であり、その算定方法が明らかでないといけない。まだ、その段階ではない。
- オーストラリア等の既存のWRAのモデルを使ってみてはどうか。
- 検討段階であり、現段階では難しい。
- 今回指定から漏れたものも何故漏れたのかが問題となる。第一陣の指定なので、要注意生物リストに載せて、今後、検討して特定外来生物に指定していくというのが事務局の考えのようだ。流通名など対象種の名称の問題は、今後も調整したいと思うが、未判定外来生物、種類名証明書添付が必要な生物についてもこの案でよろしいか。
- 特段の異議なく了承-
〔要注意外来生物リストについて〕
(事務局から資料2について説明)
- この要注意外来生物リストは法律に基づくものではなく、規制には使えないが、注意喚起と被害の予防を図るもの。環境省において公表するとのことだが、どういう計画で公表していくのか。
- (事務局)まだ、決まっていないが、この分類群会合で議論していただいた上で、各分類群会合の分もまとめて、全体会合でみてもらった上で、公表していきたい。
- 要注意外来生物リストは広く周知していくことが重要である。
- 要注意外来生物リストの目的は普及啓発とのことだが、公表した場合、「特定外来生物」と「要注意外来生物」と両方を聞いて、どちらに強い印象を受けるだろうか。要注意の方が強い印象があるのではないか。他の言い方はないだろうか。
- このリストには、特定外来生物に含まれていくべきだが事情があって指定できないものと、特定外来生物にはならないが注意喚起をするものが含まれている。このリストの公表による風評被害が非常に怖い。また、このリストが一人歩きして、いつ特定外来生物になるのかというリストとして使われると影響は大きく、混乱が心配である。例えば、飼料作物の一部が緑化植物のグループにリストアップされている。緑化では代替植物があるかもしれないが、牧草としては代替になく、使うべきではないとなると、日本の畜産業はとまってしまう。リストの取扱いについては議論した方がよい。
- このリストの性格をもっと明らかにした方がよい。このリストは生態系などへの影響が大きいが、指定を見送ったものに対する手当の側面もある。一方、受け止められ方によっては風評被害などのマイナスの面もある。
- リストに載せて普及啓発が必要とのことであるが、普及啓発が進んだ結果、リストから外すこともあっても良いのではないか。リストを出すことでリストの趣旨など全体を見ないで、名前だけをみて外来生物を悪者にする人も出てくる。外来生物の取扱いは人がするので、取扱い方が悪いのだということを明らかにしてほしい。
- 要注意生物リストは、利用の規制ではなく、被害の予防を意味しているとの説明があったが、そのことと、このリストがどう関係するのか疑問がある。緑化植物の中には、牧草として利用されているものもある。その産業としての面をどう評価して作られているかが重要。牧草用に栽培されている場合、逸出はしていないだろうが、取扱いについての注意をリストではっきり表すことが重要。また、よく繁殖する気候帯とそうでないところもあるので、地域性の考え方を展開していくべきである。
- 牧草や緑化植物は、エスケープは避けられないかもしれない。その辺をどうするかが大きな課題。産業で使われていても、生態系への影響が大きいのであれば、産業での利用のあり方を見直すこともありえるのではないか。このリストをどういう意図で取り上げるかが重要。名称をどうするかも課題である。
- どうすべきかという観点で言えば、定義をしっかり書いておくことが重要。今回、リストに掲載したが、取組が進んだらリストから外すこともありえる。また、リストの備考欄に書いてあることは重要なので、ここに書くよりも、章を独立させて書いた方がよい。また、注意を要するものとして、種名を公表することは重要である。
- 1の特に注意を要する外来生物はわかりやすいと思うが、2の導入・利用形態別のグループ毎に影響評価の仕組みの構築を図る必要がある外来生物というのは何のことなのか分かりにくい。すぐ規制しようということとは距離がある。これは何のためのリストなのか議論しておかないといけない。
- 表の形でぱっと出されると問題が相当に大きくなってくる。どういう風に影響するのか情報を与える形でのリスト提出をお願いしたい。名前のリストだけでは怖い。これを見た全員が理解できるような形での公表をお願いしたい。
- 1は個票が用意されているが、2の導入・利用形態別のグループ毎に影響評価の仕組みの構築を図る必要がある外来生物は一覧表を公表する予定なのか。
- (事務局)その予定であるが、ご意見を踏まえて誤解の生じないような工夫はしたい。要注意外来生物リストには、もともと知見が少ないが疑いのあるものをリストアップし、知見を集めることも考えており、現時点でその全部に説明を加えるのは難しい。
- 今のような方針で臨まれるようだが、それぞれの種について、問題点と指定できない理由を書かないと何故、ここに上がっているのか分からないものがある。
- 名称の問題については、要注意外来生物リストというのは明快だと思う。このリストにはそれなりのインパクトがあるものでなければいけないが、この名前で良いと思う。ただ、要注意外来生物リストは全体会合で決めるものなので、この名前では不適当というご意見が有れば、全体会合の場でそういう意見もあることを申し上げたい。対象種については、これから指定を検討する候補種とそうでないものとが混在していることに整理はどのようにするのか。分け方もこれで良いのか。
- この表だけでは読み取れないので、数行でも良いので、どういう影響があり、どのくらい広がっていくおそれがあって、どう注意すれば良いのかなどを書いていけばかなり解決すると考える。
- (事務局)基本的に知見がない中では書けないものも多い。
- 主な論文で指摘されている表現を例として示すという書き方であればかなり書けるのではないか。
- 単なる名前のリストというだけでは不十分。個々の説明が入ったレッドデータブックに相当するような冊子が出てこないと余り効力がない。真意が理解してもらえない。
- この植物分類群の特殊性を強調してはどうか。植物は生態系の修復をする反作用という特徴がある。富栄養化物質を大量に吸収するとか、CO2を吸収するとか、植物そのものが持っている生活機能は無視できない。学習資料にも使われている。植物は動物とは違うという位置づけも必要なのではないか。人が判断し、人の植物に対する取扱いに対する姿勢を明らかにしていくことがこのリストの公表にあたって重要である。
- 子供たちに外来生物は、生態系にとって脅威であることを学習させることも重要である。
- 前回、要注意外来生物リストが必要と言ったが、こうなってくると難しいなと思う。ここに入れてどういう影響があるかを考えて、今後使うのを減らしていこうと頑張るのか。すでに人里環境に定着してしまっているものもいる。単純にこういう割り振りではなく、蔓延しているが、減らしていくべきものだとか、生態系への影響を考えてきめ細かにこのリストを作っていかなければならない。
- このリストを作って注意喚起する相手が重要。飼料作物で言えば、利用者である農家だけの問題ではない。記載内容は注意喚起の対象を明らかにした上で、整理していく必要がある。
- 2の導入・利用形態別のグループ毎に影響評価の仕組みの構築を図る必要がある外来生物についても、どういう対策を取りうるのかを踏まえたリストにした方がよい。
- (事務局)影響とその対策については、文献等で指摘があるものもあるが、悩ましいところ。現在の案は、利用形態等でグループ毎に分けて問題提起をしている。
- 意図的に導入されている植物では、第一次産業にかかわるものと第二次、第三次産業、例えばレクリェーションや観賞利用などにかかわるもので生活にかかわる寛容度が違う。生活様式に分けて考えても何か整理できるのではないか。
- 動物は愛玩利用が多いが植物は生業のものが多いので、その辺を考えていく必要があるが、生態系への影響は大きい。追加、削除についてご意見があれば、是非、事務局にお知らせいただきたい。
- (事務局)期日は1月11日までとしたい。
- 追加すべきものとして、2の導入・利用形態別のグループ毎に影響評価の仕組みの構築を図る必要がある外来生物の方は、気楽に追加意見を出させてもらうが、1の特に注意を要する生物について、現在、2にあるシナダレスズメガヤを1にあげられないかと考えている。河川等で影響が指摘されているので、これを使わない方に持っていけないだろうか。
- 実は、いろんな文献を調べて一番出てくるのはシナダレスズメガヤである。その取扱いとして2に置いておくのが良いのかどうか。利用しなくてもすむものであれば良いが、緑化の立場からはどうか。
- 1の特に注意を要する生物が、水草だけではバランスが悪いと思うし、緑化植物のあり方について業界や官庁の中で前向きに取り組もうという動きもあるので、その動きに水をかけないよう1に入れておいても良い。このリストは法律とは別のものと理解しているが、ここでは外来種だけを載せている。例えば、コマツナギは中国産のものが同じコマツナギとして利用されているが、形態が大型で侵略的であるので、在来種と同種だが海外から持ち込まれるものについて、このリストに載せてはいけないのか。
- その問題については、中央環境審議会の岩槻小委員長談話でも総合的な取組が必要とされており、これに沿って対策が進められると理解している。今回は、シナダレスズメガヤを1にするかどうかについて結論を得ておきたい。
- 2に示されているもののうち非意図的に広がる雑草類はその取扱いに特に注意を要するという観点から全部1に入れておいても良いと考える。全笛はなく、3つ選べと言われたら、イチビ、アレチウリ、ワルナスビになる。全て駆除が難しいのが特徴で、積極的な注意喚起が必要。
- そういう意味では、雑草のうち、オオブタクサもあがってくる。要注意生物リストのうち1は規制の観点で、問題はあるが今は規制できないため、きちんと管理しないといけないというものを選んでいる。1の性格を明らかにする意味では、すぐには指定できないにしても、生態系影響ははっきりしているので、1にあたると考えるが。
- (事務局)1は広範に販売、使用されているため、すぐの指定は困難という趣旨のもの。注意喚起する内容としてメッセージをつける必要があるというのは分かるので、工夫をしたい。また、2の注意喚起がメッセージとして伝わりにくいことについては、分かるように書いていく。その中で、さらに書き込んでいくことで整理していきたい。
- シナダレスズメガヤは意図に反して、河川に流れ出て分布を拡大している。1にあげて、説明を分かりやすく書いていくことを考えてはどうか。
- シナダレスズメガヤを1に入れることに賛成。他のものは、作り直してもらったリストを見た上で、判断したい。
- シナダレスズメガヤを1に入れていくことについては賛成の方がおり、特に反対もないので、1に入れる方向でいきたい。
- (事務局)この会合の意見としていただくことになるが、岩槻委員長談話にもあるとおり、緑化植物のグループとしての課題もあるので、総合的な取組の中でも考えていく必要があると思う。
- 座長と事務局で相談して、全体会合に出していきたい。
- 非意図的導入については、ワイルドフラワーを蔓延させるような行為の例示ができないか。不用意な土壌改良材の使用が外来植物を広がらせているなど、非意図的な導入の経路をリスト化して出していくことが重要。
(文責:環境省自然環境局野生生物課 速報のため事後修正の可能性あり)