環境省自然環境・生物多様性外来生物法資料等特定外来生物の選定(専門家会合資料・議事録等)

第5回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(哺乳類・鳥類)議事録


1.日時

平成21年8月31日(月)10:30~11:30

2.場所

経済産業省別館 10階 1012号会議室

3.出席者

(座長)
村上 興正
(委員)
石井 信夫  石田  健
小林 正典  羽山 伸一
(環境省)
塚本野生生物課長
牛場外来生物対策室長
宇賀神外来生物対策室長補佐
(農林水産省)
高橋農業生産支援課長補佐

5.議事

【環境省 宇賀神補佐】 それでは、予定の時刻となりましたので、ただいまから第5回特定外来生物等分類群専門家グループ会合(哺乳類・鳥類)を開催したいと存じます。
 前回の第4回の会合、4年前となってございますので、改めまして、事務局の方から委員の先生方のご紹介をさせていただきます。
 まず、村上興正委員でございます。村上委員には座長をお願いしております。よろしくお願いします。
 石井信夫委員です。
 石田健委員です。
 小林正典委員です。
 羽山伸一委員です。
 よろしくお願いします。
 続きまして、環境省と農林水産省の出席者のご紹介をさせていただきます。
 塚本野生生物課長です。
 牛場外来生物対策室長です。
 農林水産省農業生産支援課の高橋課長補佐です。
 私、外来生物対策室の宇賀神と申します。よろしくお願いします。
 続きまして、お手元にお配りした資料の確認をさせていただきたいと存じます。お手元のクリップどめで、グループ会合資料、議事次第というのが一番最初にございますが、これを確認させていただきます。
 めくっていただきまして、専門家グループ会合委員名簿でございます。1点、訂正をさせていただきたいと思います。羽山伸一委員でございますが、大学名、誤記がございましたので、訂正をお願いします。正式には日本獣医生命科学大学でございます。大変失礼しました。
 めくっていただきまして、グループ会合の座席表でございます。
 次は資料一覧でございます。資料1、未判定外来生物について。4ページございます。資料2、未判定外来生物の輸入届出の概要。資料3、シママングース(Mungos mungo)に関する情報(案)。
 続きまして、参考資料といたしまして、特定外来生物分類群等専門家グループ会合関連資料ということで、以下、五つございます。第二次以降の特定外来生物等の選定の作業手順。外来生物の特徴と第二次選定に際しての留意点(哺乳類・鳥類)。今後の検討の進め方について(哺乳類・鳥類)。ジャワマングース(Herpestes javanicus)。我が国におけるジャワマングースによる農作物被害状況でございます。
 資料等に不備がございましたら、事務局の方にお知らせいただければと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、開会に当たりまして、塚本野生生物課長からご挨拶申し上げます。

【環境省 塚本課長】 皆様、おはようございます。野生生物課長の塚本と申します。どうぞよろしくお願いします。
 今年の7月15日付で、野生生物課長を拝命いたしました。今日初めてお目にかかることになりますので、よろしくお願いいたします。今、宇賀神の方からもお話がありましたけれども、4年前に前回やっていたということであれば、私の前任は一度もこの会に出ていなかったのではないかと思います。17年の7月は名執が課長をやっておりましたので、名執からお目にかかることなく、変わってしまいました。役人の常でございまして、申し訳ございません。
 本日は、お忙しい中、また、台風で雨が強い中、お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。
 本日は、お手元にありますように、シママングースについて、大臣が特定外来生物に該当するかどうかという判断をするに先立ちまして、外来生物の輸入に係る届出があったので、その判定をする前に皆様方の意見を聞くということでございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

【宇賀神補佐】 それでは、議事進行につきましては、村上座長にお願いしたいと思います。
 座長、よろしくお願いします。

【村上座長】 これより、本日の議事に入らせていただきます。
 議事(1)は、未判定外来生物の判定についてとなっております。それでは、資料1、資料2について、環境省から続けて説明をお願いします。

【宇賀神補佐】 それでは、資料1、資料2について、続けてご説明させていただきます。
 お手元、資料1、「未判定外来生物について」をご覧ください。未判定外来生物につきましては、外来生物法で規定されてございますので、その部分を抜粋して資料を作成いたしました。
 法律の概要でございます。法律の第二十一条のところに、「未判定外来生物(在来生物とその性質が異なることにより生態系等に係る被害を及ぼすおそれがあるものである疑いのある外来生物として主務省令で定めるもの)を輸入しようとする者は、あらかじめ、主務省令で定めるところにより、その未判定外来生物の種類その他の主務省令で定める事項を主務大臣に届け出なければならない」となってございます。
 二十二条で、「主務大臣は、前条に規定する届出があったときは、その届出を受理した日から六月以内に、その届出に係る未判定外来生物について在来生物とその性質が異なることにより生態系等に係る被害を及ぼすおそれがあるか否かを判定し、その結果をその届出をした者に通知しなければならない」となってございます。
 細かい主務省令等は、今ご説明した下の丸の方に書いてございます施行規則の方に、どういった内容を届け出るかというふうに書いてございます。
 今回、シママングースにつきましては、この未判定外来生物に指定されておりますので、今回この届出が出たということをもちまして判定をするということでございます。
 裏を見ていただければと存じます。2ページ目でございます。特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の概要、いわゆるポンチ絵でございます。
 この外来生物法の中には、ご承知のとおり、特定外来生物、未判定外来生物、種類名証明書の必要な生物等々、カテゴリーがございまして、今回のシママングースは、真ん中の柱でございますが、未判定外来生物に指定されております。未判定外来生物につきましては輸入の制限がされておりまして、今回の判定ということで、終わるまでは輸入を制限されてございます。輸入をしたい者につきましては届出を義務づけておりまして、今回その届出が出されたということでございます。届出が出された際には、主務大臣が判定して、特定外来生物にするかしないかということになっていまして、今回この会議が、その主務大臣の判定に当たりまして、専門家の意見を聞く場となってございます。
 続きまして、3ページ目でございます。2.の特定外来生物被害防止基本方針における位置づけということでございます。特定外来生物被害防止基本方針、閣議決定で決まってございますが、特定外来生物の指定、その他必要な事項が定められておりまして、この未判定外来生物に関する抜粋をつけさせていただいております。
 後ろの4ページ目をご覧いただければ、今回の判定の手続というところになってございます。
 (5)判定の手続ということでございます。ちょっと抜粋の仕方がまずく、届出があった場合は、第2の2から4までということでございますが、大変恐縮ですが、お手元に基本方針の冊子がございまして、こちらの方に具体的な記述がなされております。冊子の3ページの一番下のところが、第2の2のところでございます。3ページの下から3行目に被害の判定の考え方というところから始まりまして、4ページ、5ページの(3)WTO通報手続というところまでが、今回の手続に該当するところでございます。
 申し遅れましたが、基本方針の冊子につきましては、大変申し訳ないのですが残部が限られており、会議後また再利用させていただきますので、回収させていただきます。
 続きまして、資料2をご覧ください。資料2につきましては、未判定外来生物の輸入の届出の概要ということで、届出者から出た内容をまとめております。届出の日は平成21年7月3日でございます。受理日ということで、7月6日ということになってございます。種類につきましては、シママングース(Mungos mungo)でございます。入手国につきましては、タンザニアを予定していると伺っております。生態特性に係る情報につきましては、本来の分布状況、その根拠を示す資料ということで、サハラ以南のアフリカに分布しており、その根拠としましては、そちらに記載されているように、保育社の図鑑というところで、届出者の方から資料の提出がございました。その他、既に入手している情報であって、提出が可能なものというところで、届出者から出された資料につきましては、その資料2の2.届出の添付資料というところに、全部で6種類、届出者から届出があったというところでございます。
 ページをめくっていただきました以降に、原本をコピーしたものを添付させていただいております。
 以上でございます。

【村上座長】 はい。資料1は法律の内容とそれから手続に関する話ということで。これに関して何かありますか。毎回見ていますので、特にはないと思いますが。

(なし)

【村上座長】 なければ、資料2。これは届出の概要で、具体的な内容については資料3の方で説明がありますね。

【宇賀神補佐】 はい。

【村上座長】 そうすると、一応、こういうものが届けられましたと、そこまでですが、何かございますか。

(なし)

【村上座長】 なければ、この資料1と2というのは終わりまして、それでは、輸入の届出があった未判定外来生物の取り扱いについて、検討してまいりたいと思います。
 資料3について、環境省から説明をお願いします。

【宇賀神補佐】 はい。それでは、資料3に基づいてご説明させていただきたいと思います。
 資料3、シママングース(Mungos mungo)に関する情報(案)ということでございます。
 原産地につきましては、先ほど届出者からの届出内容にあったように、サハラ以南のアフリカ(コンゴ及び南西アフリカを除く地域)となってございます。
 定着実績につきましては、国内外での定着事例は知られていないということでございます。
 被害の実態・被害のおそれでございますが、生態系に係る被害につきましては、雑食性で地表性昆虫類を中心に捕食することが考えられる。昆虫以外に鳥類の卵、ネズミ、カエル、トカゲ、小型のヘビなども捕食するということでございます。引用文献につきましては、一番最後の方にナンバーリングしてございます。
 続きまして、(2)農林水産業に係る被害ということでございます。果樹を餌資源として利用するため、農作物への被害が発生するおそれがあるということでございます。
 影響をもたらしている要因につきましては、生物学的要因としましては、食性は昆虫類主体であるが、昆虫類以外にも両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類も捕食すると。寿命は飼育下では12年程度ある。群れの中で複数のメスが繁殖に参加できること、性成熟までに最短で8カ月であること。一度に1~6仔(平均1腹産仔数は3.2)を出産し、年に複数回の出産が可能であることから、繁殖力は大きいとされてございます。
 (2)社会的な要因。これまでの輸入および国内での流通は動物園での飼養に限られてございます。しつけが容易で、ペットとして適当であるというふうな文献もございます。
 特徴ならびに近縁種、類似種などについてでございますが、頭胴長30-40センチ、尾長20-25センチ。体重が1-1.5キロの中型肉食獣でございます。6-最大75頭からなる家族・グループを中心とした群れを形成します。昼行性で、38-130ヘクタールほどの行動範囲を徘徊して採食するということでございます。行動範囲の中には複数の巣穴を持ちます。マングース科に属するジャワマングース、エジプトマングース、ハイイロマングースは他地域に導入され、在来生態系に影響を与えてございます。幅広いハビタット選好性を有しまして、サバンナや岩地、草地、川辺を主な生息地としてございまして、人里近くでも見られる場合がございます。群れの分散は、オスまたはメスのみの小グループを単位として起こります。分散する個体には性の偏りが見られませんが、メスは群れから追われ、オスは自発的に群れから離れる傾向がございます。
 その他の関連情報としましては、繁殖を抑えるために、皮下に避妊薬を挿入して飼養した動物園が国内にございます。低木の茂みの下などに巣穴を掘ることから、定着した場合には発見や防除が困難となるおそれがございます。タンザニアから日本に持ち込まれたシママングースから、原虫クリプトスポリジウムが検出された報告がございます。動物園では、シママングースに牛肉、馬肉、鳥肉の頭・首、ヒヨコ、ウズラのひな、マウス、卵、サツマイモ、リンゴ、ドッグフード等を餌として与えてございます。肉中心でございますが、与えれば、いも類、果実類も食べるという、国内の聞き取り情報もございます。
 その他の情報に関連しましては、農水省の方から、補足でご説明をしていただきます。お願いします。

【農水省 高橋補佐】 今ありましたように、私どもシママングースについてどういう食性があるかということで、農作物の被害にどういう影響を及ぼすかという視点から調べました。
 今ございましたように、シママングースを実際飼っている動物園に聞き取りをやりますと、やはり肉食が中心でありますけれども、与えれば、果実なりいも類も食べるということがあるということであります。
 それと、もう一つ、参考資料の一番裏になりますけれども、これは先ほど説明がありましたけれども、類似種としてジャワマングースがございます。ジャワマングースにつきましては、ここにもありますように、鹿児島県、沖縄県で農作物に対する被害があるということでございますので、こういう食性について、もしもそういうことになった場合に、農作物に対する被害のおそれがあるということの観点から、委員の皆さんにおかれましてはご検討いただければなというふうに考えております。

【宇賀神補佐】 それでは、そういった事務局からの内容をもちまして、資料3の表の上から三つ目の「評価の理由」でございます。事務局といたしましては、雑食性であり、野外に放逐されれば、在来の地表性昆虫類を中心に捕食されるおそれがある。一度に1~6仔(平均1腹産仔数は3.2)を出産し、年に複数回の出産が可能であることから、潜在的な個体数の増加速度が大きい。鶏卵、鶏雛に対する養鶏被害や、農作物への被害のおそれがあるというふうな評価の理由の案を書かせていただきました。
 ご検討の方、よろしくお願い申し上げます。

【村上座長】 はい。そうしましたら、今の説明につきまして、ご意見、ご質問がありましたらどうぞ。

【石井委員】 よろしいですか。シママングースの飼育実績って、日本の動物園であると思うんですけど、飼育が容易とか、何かの病気で死にやすいとか、それから、繁殖が割に簡単にできるとかできないとか、そのあたりの飼育に関する情報はないですかね。

【宇賀神補佐】 聞き取り調査の方にもありますように、既に国内で数カ所の動物園で飼養していると聞いてございます。そういった情報から伺いますと、飼育自体は比較的容易ということで、特段、何か付加的な施設というのでしょうか、特別な装置が必要とか、そういったところはないように聞いてございます。日本の環境でも、特に適応しているというふうに聞いてございます。繁殖につきましては、資料の3の方にもございますが、繁殖を抑制するために薬を用いているということもございますし、国内の数カ所のシママングースの飼養個体も、一つの動物園の方から繁殖した個体を譲り受けたというんでしょうか、国内で移動させたということもございますので、比較的容易だというふうに考えられます。
 以上です。

【村上座長】 どうぞ。

【小林委員】 今のに関連してですが、大体、動物園で飼育しますと、ある程度限られた、余り大きくないスペースで飼います。それともう一つ、これの特徴は、母系集団でありまして、確かに自然の状態ですと繁殖は容易なのですが、オス、メス、1頭ずつ入れての飼育下ですとなかなか難しい部分がございます。
 以上です。

【村上座長】 そういった飼育に関する情報というのは、今の資料には入っていませんが、例えば、日本でどの程度飼育されているのかとか、どのぐらい飼いやすいかみたいなお話は入れておいた方がいいんじゃないですかね。あるいは、これ、案ですから変更することは可能ですね。

【宇賀神補佐】 可能です。

【村上座長】 それを入れておいた方が、僕は今後にとってはいいと思うのですが。皆さん方、どう思いますか。
 いろんな動物園関係からこういった資料が出てきたときに、逸出したらどうなるかということが一番気になるのですが。遺棄することはないですから、それは動物園の方で大丈夫だと思いますが。逸出が一番怖いと思っていますね。そういう点で、そういった情報も、国内飼育の例があるのだったら、入れておく方が望ましいと思いますね。

【石井委員】 質問をした一つの理由は、何かこう、特別の施設をつくって飼わないと飼育が難しい動物なのか、そうでもないのかということは、定着する可能性がどのぐらいあるかということの参考になると思うので。あとは、繁殖が容易かどうかというのは、狭いところで飼うと難しいということですよね。そういうことも、これが野外に出た場合にどういう可能性があるかということを考える上では大事な資料だと思うので、今、村上先生ご提案のように、飼育実績ですね、そういう情報も入れておいたら、今後の参考にもなると思います。

【村上座長】 これ、仮に許可したとして、これが入れられた場合の飼養の条件というのは、どの程度、環境省がチェックするんでしょうか。

【宇賀神補佐】 今後、特定外来生物に指定されてという前提でご説明しますが、特定外来生物になりますと、座長ご指摘のとおり、特定飼養等施設を告示で定めます。中型哺乳類につきましては、既にご承知のとおり、ジャワマングースが指定されてございますので、まだ具体的な検討をしてございませんが、基本的にはそういった過去の実績を踏まえて検討するということになると思います。ただ、シママングースにつきましては、今後も予定されるのが、動物園等の施設で飼育されるということになりますので、その辺については、事前のヒアリング等をやった中では、ジャワマングースの施設の規定、その内容でそぐわない現行の施設はないと、事務局としては認識しております。

【村上座長】 はい。一応チェックはされるのですね。

【宇賀神補佐】 はい。

【村上座長】 ほかには何かございますか。
 少しだけ気になることを言わせてもらいますと、8ページ目に、我が国におけるジャワマングースによる農作物被害状況が出ていますね。それで、ジャワマングースに関する情報が出ている。これは特定外来生物で、これに似た種が入るから、やっぱりどういう被害が起こっているかということを被害のおそれという項目をもう少し具体的にしたものですね。

【宇賀神補佐】 そうですね。

【村上座長】 そういうことですね。これ、気になるという点は、ジャワマングースは、実は生態系被害の方が大きくて、それで、もうアマミノクロウサギやアマミトゲネズミ、オキナワトゲネズミとか、トゲネズミ類に対する影響が大きいなどの生態系被害というのは、かなり報告されていますね。これが載っていないのはなぜかという。だから、今、農水省の方から説明があったのですが、環境省としてはこれに該当する生態系被害の状況というのをつくって、今これだけで、しかもそれに対する防除対策にどれだけの金を使っているかというのを出して、入ってきたときにこれだけの恐ろしい被害が起こるんだということを、そういうおそれでも、もっと具体化する資料を出すべきだと思います。
 これだけ見ますと、私なんかは、いわゆる鳥獣害を扱っていますと、額だけ見ると、ジャワマングースは大したことはないじゃないかと、この程度の額かというふうに判断されてしまうおそれがある。そういう問題ではないのです。後で結構ですから、やはり同様の資料を環境省として作って、一応回していただけませんでしょうか。これはやはり必要なことだと思うんですよ。

【宇賀神補佐】 よろしいでしょうか。ジャワマングースに関する被害は、その前のページの6ページ、7ページの方に、以前に先生方とご議論したときに提出した資料がつけてございまして、今、座長にご指摘いただいたものにつきましては、6ページ目の5.(1)のところに生態系に係る被害というところで記述はございますが、特に現況、環境省と沖縄県等がやっている実態的な被害とその防除につきましては、ご指摘のとおり、一連の資料の方には添付してございませんので、そういったものをまとめまして、後日、委員の先生方にご覧いただくという形にさせていただければと存じます。

【村上座長】 ほかに何かございませんか。

(なし)

【村上座長】 その評価の理由のところには、生態系被害に関することは書いていないんですね。「在来の地表性昆虫類を中心に捕食されるおそれがある」で終わっていて、後ろは「農作物への被害のおそれがある」となっていますが、もう少し、この辺のところも資料をつけて、やはり同様に生態系被害が起こる可能性があるということは書いておいた方がいいような気がするね。
 それから、ここに言われているように、要するに潜在的な個体数の増加速度が大きい。これは文献を見ますと、かなり増加速度が大きいみたいです。添付した資料をちらちらと見ましたけども、かなり個体数増加の速度が大きい。だから、脅威は、定着した場合には大きいと思われます。そういう意味で、これはやはり特定外来生物に入れておく方が妥当と思うんですけどね。その辺について、意見を求めます。やはり一番問題なのは、これを入れるべきかどうかというところをちゃんと議論しなければならないと思います。これに関しては、皆さん方の意見を出してほしいと思いますが。

【石井委員】 結論から言うと、特定外来生物に含めていいと思います。ジャワマングースに比べると、定着実績がないということですよね。あとは、生息地が乾燥地なので、定着の可能性というのはジャワマングースに比べれば少し低いのかなと思いますけれども、やっぱり飼育も容易だというふうに聞いていますから、定着する可能性がやっぱりあるというふうに考えておいた方がいいと思うんですね。だから、(定着の)おそれがあるということ。予防的な観点を考慮してというのが、どこかに、基準にも書いてあったと思いますから、私は特定外来生物に含めるということで異存はありません。

【村上座長】 どうぞ。

【小林委員】 私も同感です。というのは、先ほどの石井先生がおっしゃったとおり、乾燥地といわゆる湿潤な地との差はございますけども、やはりジャワマングースがほとんど生態的に近縁種ですから、かなり近い部分があるので、ジャワマングースは指定してシママングースは指定しないというのは、ちょっと統一性に欠けると思うので。

【村上座長】 ほかに何かありますか。

【石田委員】 よろしいですか。ちょっと疑問に思うのは、余りリストが増えると、その中で薄まってしまう効果というのが心配されないのかなというのがありまして。特定というものに関しては、常に輸入を規制するとか、かなり厳しい対応をとられますが、当然、法の目をかいくぐってやるような飼育とか輸入とかいうものに関しては罰則等を含めて生じてくる。その有効性というのか、きちっと監視できるのか、とか。そういう意味で、シママングースについては割と恒常的に動物園とかで輸入されるとかというのも一つの選定の理由になるかなとは思うのですけれども。その辺がちょっとよくわからないという。

【村上座長】 今の、薄まってしまうという意味がよくわからないのですが。特定外来生物に指定されますと、もう輸入は原則禁止ですね。ですから、許可をとるためには特別な条件が要りますね。そういう意味では薄まってしまうということはないと、かえってそういうふうにきっちりしておいた方がいい。マングースの仲間は数十種いますね。今後とも、こういうことがいろんな種類で起こる可能性がある。そうすると、ある場合には許可して、ある場合はだめというようなことの判別は非常に難しいと思うのですよ。そういう意味では、両方一括して……。

【石田委員】 ですから、マングース科で一括してという……。

【村上座長】 それはそう思うのですが、ただ、これはそんな形でいったら何十種もいますから大変だろうということで、申請があったものを個別に対処するという形になっております。だから、その点に関しては心配要らない、逆に薄まることはなくて、こういうふうに指定した方が明確だなと思っています。
 羽山さん、どうでしょう。

【羽山委員】 はい。同じ意見です。特定外来生物に指定することについて異存はありません。
 評価の理由のところに、1点、意見を言わせていただくと、いわゆる養鶏被害、これが理由として挙げられていて、その下にあるそれに対応する記述がちょっとわかりにくい。ですから、むしろ飼育下で、特に鳥について、餌で使われている、また、それがよく食べられているというような根拠があるのであれば、明確に記述をしておいた方がいいと思います。

【村上座長】 どうぞ。

【小林委員】 追加なのですが、やはり動物園や水族館関連ですと、先ほども申し上げているとおり、きちっとした施設で飼うようにしますけど、やはりここの項目にも書いてありましたけど、ペットとして容易に飼える、私はその辺が非常に不安なので、やはり指定した方がよろしいかと思います。

【村上座長】 これで全員の意見が出ましたけれども、やはりジャワマングースがあれだけの被害を起こしていますので、これに関しては特定外来生物に指定して、入れたい人はちゃんと特別の許可をとって入れると。そういう話でいけると思いますので、やはり特定外来生物に指定すべきだというのが。
 それで、評価の理由のところに、もう少し内容を、先ほど農林水産業に関する被害とか果樹としか書いていない、という話がありましたけども、その部分が一番重要なので、そこに動物園の状況とか、飼育が容易でありペットとして飼育される可能性もあるとか、そういったものも入れて、わかるようにしてもらった方がいいのではないかと思います。そういうことに関しては、事務局と座長にお任せ願えますか。

【石田委員】 範囲を広げることが無理であれば、例えば、飼育実績のあるマングース科を一応網羅しておくとか、何か少しその辺を統一した方がいいのではないかと。未判定で、その都度みたいな形になりますから。

【宇賀神補佐】 よろしいですか。今、石田先生からご指摘の点なのですが、仕組み的には、今回、未判定外来生物で届出があったものについて判定をする、主務大臣が判定するに当たって専門家のご意見を伺うという機会でございますので、今回の手続につきましては、シママングースということで進めさせていただきたいというふうに考えてございますが、ただ、今ご指摘のとおり、マングース科のその他の生物、あるいはその中の生物につきまして、全く同様な議論をしないということではないのですが、今回の仕組みに関して言えば、届出があったものに限定せざるを得ないというところがございますので、その辺ご理解いただければというふうに存じます。

【村上座長】 法的には、まさにその手続で、届出のあったものを判定するわけですから、それで、種の選定会議が開かれて、そのときにまたたくさん出てきて、一々面倒くさいということがあったら、ひょっとしたら全体を指定することはあり得るだろうということですね。それはそのときの議論であって、今の話はとりあえず、この本種に関する判定ということですから、それは議論が別のことになると思います。
 そうしますと、ほかになければ、これで一応、結論が出たということになりますが、よろしいですか。

(異議なし)

【村上座長】 そうしたら、このシママングースに関しては特定外来生物に指定するということで、しかるべき手続をするということになります。
 これで主な議題が終わったのですが、一応、シママングースを資料3の評価の理由に基づき――多少、評価の理由を修正しますが――生態系及び農林水産業に係る被害を及ぼすおそれのある生物として特定外来生物に指定すべきとの結論に達したということです。
 それでは、指定に向けたスケジュールについて、環境省から説明をお願いします。

【宇賀神補佐】 どうもありがとうございました。今、座長ご指摘のとおり、資料3の、特に評価の理由につきましては、事務局と座長ご相談の上、進めさせていただきたいと存じます。
 それでは、今後の指定に向けたスケジュールでございますが、本日8月31日にグループ会合でいただいた結論を踏まえまして、今後、上部組織になりますが、特定外来生物等専門家会合、これを開催させていただきます。こちらの方で判定への専門家のご意見をいただいた上で、特定外来生物に指定することが妥当ということになった場合につきましては、今後、WTO通報、その他、種の指定に関するパブリックコメント、そういったものを含めましてご意見を伺った上で、主務大臣として判断するということでございます。
 それで、もう一つの手続としましては、7月6日にいただいた届出を、その判定について、6カ月以内に主務大臣から届出者にお伝えするというところがございますので、それもあわせて実施するということでございます。
 以上でございます。

【村上座長】 先ほど当哺乳類・鳥類部会としてはそういうふうに決めたということで、その決定は全体会合ですので、そこに資料提供させていただくということになると思います。
 それでは、続いて、議事(2)その他とございますが、環境省から鹿児島市のマングースについて報告があると聞いておりますので、説明をお願いします。

【宇賀神補佐】 はい。引き続き、ご説明させていただきます。
 お手元、参考資料の一番後ろのところに、鹿児島市で確認されたマングースについてという資料、A4一枚紙を出させていただいておりますので、これにつきまして簡単にご説明させていただきます。
 既に新聞等で報道されている内容でございますが、確認の経緯としましては、本年6月22日に、鹿児島県が鹿児島市の喜入付近、市内でございますが、マングースの生息が見られるということを発表されております。
 その根拠としましては、2年ほど前に、高校の先生がこの鹿児島市喜入付近でジャワマングースの轢死体を収容したというところでございます。あわせて、2009年の4月に、野鳥の会の会員の方がデジカメ等で撮影した中の一つのものに、マングースというものが撮影されていたということをもとに発表されたと聞いてございます。
 その県の発表を聞いた方々から、30年前、20年前で、付近で捕獲された動物の剥製がございまして、これがマングースではないかということが判明しました。7月1日から、鹿児島県が中心となりまして各種調査を始めてございます。本日までに、累計で9頭、マングースの生け捕りをしたという状況でございます。
 現在の対応状況でございますが、鹿児島県の方が中心に対応をしておるところでございまして、環境省も出先機関でございます九州地方環境事務所を中心としまして、県の各種調査等をバックアップしているという状況でございます。具体的には、県が情報交換会を過去に2回、6月23日、29日と開催しております。この出席者の中に、当方の事務所の職員あるいは県の博物館、鹿児島市、鹿児島国際大学の舩越教授、野鳥の会の中島氏――野鳥の会の中島氏は4月にマングースを撮影された方でございますが――そういった方を中心に2回ほど会議をやられたということでございます。
 会議の中では、調査内容の方法等を検討されて、中段に丸数字がございますが、[1]捕獲調査用の箱わなの設置、[2]自動撮影カメラの設置、[3]生息状況アンケート調査を実施するということで進められているということでございます。7月15日には、県が緊急雇用創出事業の臨時特例基金というものを活用しまして、この対応をするということを発表されてございます。今月の11日に第1回のマングース生息確認調査防除事業検討会というのが改めまして設置されまして、そこにつきましては、先ほどの情報交換会のメンバーを中心に検討会を実施して、今後の事業内容、防除事業、自動撮影調査、アンケート及び聞き取り調査について議論しているということでございます。
 調査結果につきましては県の方で発表されておりますが、特に最初に見つかった鹿児島市の喜入付近で9頭確認されているということと、あとは、聞き取り調査等で周辺にマングースと見られるものが見つかった、自動撮影装置では一部マングースが撮影されたということで、今、具体的な検討を県の方でやっているというところでございます。
 以上でございます。

【村上座長】 はい。これに関して何か質問とかご意見は。
 石田さん、現場に行ったのですよね。

【石田委員】 いえ、現場には行っていないのですけど。ちょっと、いろいろお話を伺っておりまして、9頭というのが数だけ出ているのですけれども、非常に少ない数の8個ぐらいのトラップで、あっという間に捕まっているのですね。非常に高密度にいる状況だと思われます。奄美の例なんかと比較しても。それで、分布に関しては、それほどまだ広がっていない可能性も高いのですけれども、霧島の方でも見たんじゃないかという、未確認の情報らしいのですけど、そういうのも聞いておりますので。ちょっとかなり早めに対応をしていただきたいなということは感じております。
 あと、鳥学会の方から、コシジロヤマドリという、九州南部に固有の個体群がいまして、そういったものですとか、最近ですと、ミフウズラとか、ウズラは従来、何十年か前には普通種だったものが日本で非常に減ってしまっていて、きちんとモニタリングされていないようなものがあります。鳥類は外来種そのものというよりも、被害者の立場で何か言うことが多いのですけれども、そういったものへの影響をモニタリングしながら評価していく。根絶できればそれにこしたことはないので、早期にそうしていただきたいということです。

【村上座長】 石井さん、哺乳類学会の方は。

【石井委員】 ええ。この参考資料はこの場限りのものなのか、ほかの会合でも配付されるかということも関係するのですけど。今、石田さんの話にもあったみたいに、今月いっぱいで9頭というのは、捕獲努力量をここで入れておいてもらいたいんですね、ぜひ。本当に8個でしたっけ、そのわなを。

【石田委員】 何か直接聞いたところでは、9頭目は個人のところで別にかけたというので、個人的にかけている方がいらっしゃるかもしれない。そのデータがないんですけれども、最初の8個に関しては、少しずつ増やしていったわけですが、8個ぐらいで。

【石井委員】 ですから、この調査の内容というのを、捕獲努力量だけ入れておいてもらうと実態がわかると思うので。それをつけ加えてもらいたいということが一つと。
 それから、哺乳類学会で日付はちょっと忘れちゃいましたけれども、対応を早くしてほしいという、保護管理専門委員会というところの要望書を出しているんですね。それを加えていただきたいなと思います。それで、要望書はどういう問題がありそうかということとどういう対応をしたらいいかということが割に詳しく書かれていますので、参考になる文書だと思いますので、そういうのが出たということをぜひ入れてもらいたいというのと、できればそれをいろんなところで使ってもらえればというふうに思います。
 あと、鳥学会は何か文書を出すという予定は……。

【石田委員】 出しました。

【石井委員】 じゃあ、それも幾つかの学会から。

【石田委員】 先ほど申し上げたように、具体的に被害が心配される野鳥で、鹿児島県の絶滅危惧種に入っているようなものではありますので、そういったものに関して、具体的にやはり影響を見ていってほしいということですね。

【宇賀神補佐】 そうですね。要望書につきましては、今ご指摘があったように、鳥学会というのは、直接、県の方、県知事さんの方にご要望されたと伺っていますが、当方のほうにも日本哺乳類学会と、あと、外来種問題メーリングリスト管理者さんからいただいてございますので、そういったものを記載するというところで考えさせていただきたいと存じます。

【村上座長】 要は、現状がかなり危ない可能性があって対策が緊急だということと、しかも、これ、本土ですから、そのまま分布が拡大しますとえらいことになるだろうというのが一番大きな問題なんですね。ですから、封じ込めを何とかしないと。このまま、これがもしどこかに飛び火しますと、それはもう、とんでもないことになってくるということで、何としても鹿児島県内でとどめたいというのが一番の本音ですよね。だから、そのところを何とかするように。
 そのためにはもう少し、こういった、どんなおそれがあるとか、どういうことをしないとあかんかとかについての資料みたいなものはつけられた方が、僕はいいような気がしますが。後で、一応どんな学会からどんなものが出てくるかの資料ぐらいはメールでも配付してもらったらありがたいですが。できることなら、次回の委員会なんかでは、哺乳類学会とか学会で出したものは、多少参考資料に入れてもらったらありがたいと思いますが。
 羽山さん、どうぞ。

【羽山委員】 この資料を見て、実は改めて驚いたのですけれども、既に2007年の段階で現物の轢死体が発見されているのに、約2年間放置されたという事実があるわけですね。これについて、やはり特定外来生物に指定された後なのにこういったことが見過ごされてきたというのは、非常に重く受け止めなければいけないと思っていまして。
 去年、私はオーストラリアに行ってまいりましたけども、オーストラリア本土にいるアカギツネがタスマニア島に侵入したというので、それに対してどういう対策をとっているかというのを見てきました。タスマニア島でキツネの死体が発見されてから、わずか3カ月後に州政府で対策チームが設置されて、そして、島全体での24時間ホットラインが開設されているんですね。それによって得られた情報をもとに、情報がある地点で徹底的な捕獲を行う。こういう体制を敷いてもなかなか拡大を止められないという現場に立ち会って、これはやはり早期発見というのがいかに大事かというのがよくわかったのですが。
 やはり今後、こういうこと、特定外来生物に指定されているものについての情報収集体制、これが今後のこの法律を運用していく上で非常に大事だと思っていて、法律ができてから、もう既に5年間でさまざまな情報や技術の蓄積があるので、今度の法の見直しに当たっては、この基本方針の中にきちっとそこを位置づけていく必要があると思うんですね。今もざっと読みましたけども、防除実施後のモニタリングは一生懸命書いてあるんですけれども、そういう早期発見あるいは早期の情報収集体制ですね、それが一切書かれていないので、ですから、それをぜひ、今後の見直しで加えていただきたいなというふうに思います。

【村上座長】 重要なことですね。早期発見、早期対策というのは、早期対策の方がちゃんとやられないと、問題なので。そういうのをなるべく速やかにやるようなこと、ちゃんと法律の説明にもそういうことが書いてあるんですが、それを実施しないと意味がないということなので。それは重要な指摘だと思いますので、今後、何らかの形で考えていただくということに。それは問題提起だという話ですね。
 とりあえずは、鹿児島県が防除事業というものを開始するということなので、ただ、かなりの予算とか労力がかかりますので、そういったことを覚悟の上でしないとあかんということが一つ大きな問題です。途中で放棄されますと困るので。和歌山県のタイワンザルみたいなものも、もう大変な状況ですから。こういうものに対して、支援策みたいなことも考える必要があるんじゃないかと。今後のことを考えると、ここで封じ込めて根絶するというのが一番望ましい形なので、それに向けたことを考えるべきだと思いますが。この辺は今後の取り組み如何だと思います。
 ほかに、これに関して何かございますか。
 その他、何かございましたら。こういう問題はどうだとか。まだ、時間はたっぷりとございますので。
 今出た、結局、対策をどうするかという、早期発見のシステム化というのが盛んに言われているのですが、この辺がやっぱり、まだ全然できていないですね。

【環境省 牛場室長】 そのあたり、まだお時間があるようですので、一度、会議は閉めさせていただいて、もし、お時間がある方はお残りいただいて、この議題に限らず、久しぶりの検討会で専門家の皆さんにお集まりいただきましたので、フリートーキングでもさせていただければというふうに思っております。

【村上座長】 はい。そうしましたら、会議はこれで閉じて、それで、その後、フリーディスカッションのような形で、いろんな外来種関連の話をするということで、よろしいですか。

(了承)

【村上座長】そういうことで、関係者は残ってください。
 一応、これで閉じたいと思いますので、事務局、よろしくお願いします。

【宇賀神補佐】 はい。座長はじめ委員の先生方、どうもありがとうございました。
 これをもちまして、第5回特定外来生物等分類群専門家グループ会合(哺乳類・鳥類)の会合を終了させていただきます。どうもありがとうございました。