環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第4回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(哺乳類・鳥類)議事録


1. 日時 平成17年7月8日(金)14:00~16:04
2. 場所 経済産業省別館10階 1014会議室
3. 出席者  
   (座長) 村上 興正
   (委員) 石井 信夫
小林 正典
江口 和洋
石田  健
池田  透
大矢 秀臣
   (環境省) 名執野生生物課長
上杉生物多様性企画官
中島自然ふれあい推進室長
長田移入生物専門官
   (農林水産省) 安田農産振興課課長補佐
近藤林野庁森林保全課森林保護対策室専門官
5. 議事  
【環境省 長田専門官】 予定の時刻になりましたので、ただいまから第4回特定外来生物等分類群専門家グループ会合(哺乳類・鳥類)を開催したいと存じます。
 今回、前回の出席者に加えまして、九州大学の江口先生にも出席をいただいています。
 それでは早速ですが、資料の確認から始めさせていただきたいと思います。お手元にお配りしました資料ですけれども、順にご説明してまいりますが、まず一番上に議事次第がございまして、次が委員名簿でございます。その次に資料一覧がございます。それから資料1関連ですが、1-1として特定外来生物の選定の作業手順。1-2として1枚の外来生物の特徴と第二次選定に際しての留意点。1-3として今後の検討の進め方について。それから1-4として横長の第二次の特定外来生物等の選定作業が必要と考えられる外来生物に係る評価の理由(案)。それから資料1-5として特定外来生物に選定することが適切と考えられる外来生物に係る情報(案)。それから資料1-6が特定外来生物・未判定外来生物・種類名証明書添付生物対象リストの(案)。それから資料1-7がリス類の輸入・流通、飼育実態及び遺伝的攪乱等について。それから資料1-8が養鹿実態とシカ亜科に関する遺伝的攪乱の可能性について。それから資料2関連ですけれども、資料2-1、要注意外来生物リストの再整理・活用の方針について。資料2-2が要注意外来生物リストの(案)、横長の資料です。資料2-3が要注意外来生物に係る情報及び注意事項(案)、厚めの資料になります。資料2-4が特定外来生物をはじめとする外来生物の取扱いに関する普及啓発の考え方についての(案)。それから資料2-5、インドクジャクの流通・飼養実態と対策の状況になります。そのほかに参考資料の1として第4回特定外来生物等専門家会合議事概要、参考資料の2として前回第3回の哺乳類・鳥類の専門家グループ会合の議事概要をお配りしています。それから冊子としまして、特定外来生物被害防止基本方針を机の上に置かせていただきました。それから追加で本日、石田先生からお配りいただきました1枚のペーパー、特定外来生物等分類群専門家グループ会合(哺乳類・鳥類)石田・持込資料という一枚紙をお配りしております。
 資料については以上ですけれども、不足等がございましたら、事務局の方にお知らせいただければと思います。
 それでは、議事進行につきましては、村上座長よろしくお願いいたします。

【村上座長】 それでは、これより本日の議事に入らせていただきます。
 議題1は特定外来生物(哺乳類・鳥類)の選定についてとなっております。前回の会合では第二次の特定外来生物の選定作業の進め方や検討対象とする生物について論議がありました。また、これらの結果を6月9日の全体会合でも論議され、前回、中間的な整理を行ったところです。全体会合の結果を簡単に事務局からご説明願います。

【環境省 中島室長】 それでは、参考資料1でございますが、第4回特定外来生物等専門家会合議事概要という資料でございます。6月9日に行われました全体会合の議事概要をつけてございます。議事の内容といたしましては、1つは要注意外来生物リストの再整理の考え方をお示ししたということで、これにつきましては後ほどもう少し詳しくご説明をいたします。それから、それぞれの分類群ごとの専門家グループ会合の議論の紹介をしていただきました。村上座長から哺乳類・鳥類、この会合の議論の内容ということで、交雑の危険性についての話ですとか、インドクジャクをどう取り扱うべきか。あるいはシリアカヒヨドリについて挙がっているけれども、ほかのものもあるんじゃないかといったようなこと。それからマスクラットについて追加して検討すべきだというような前回のこの会合で出されたことを紹介をしていただきました。
 それぞれの分類群会合で議論になったことを紹介をしていただいた後で、全体的な意見交換がなされまして、緑化植物についての取り扱いをどうするかというようなことですとか、既に蔓延してしまっている生物をどういうふうに考えていけばいいのかというようなことについて、熱心に意見交換があったということでございます。
 簡単でございますけれども、以上でございます。

【村上座長】 今のとおりでして、それに基づいて若干修正が行われています。それで、本日は、これまでの指摘も踏まえまして、本分類群グループとしての整理をしていきたいと考えています。
 まず、事務局から特定外来生物の指定候補と未判定外来生物、種類名証明書添付生物について、前回の指摘を踏まえてどのように整理したか説明をお願いします。

【中島室長】 それでは、資料の1-1から資料1-8まで、ちょっと長いですけれども一括して説明をしたいと思います。
 まず、資料1-1でございますけれども、これは前回お示ししました第二次以降の選定の作業手順ということで、変更点はございませんので説明は省略させていただきたいと思います。
 それから資料1-2でありますが、外来生物の特徴と二次選定に際しての留意点(哺乳類・鳥類)というものでありまして、これは3点ほど修正をいたしております。1点目は(2)の生物学的特性と被害に関する知見のところで、一番最初の○のところに「多くの」という言葉をつけ加えたこと。それから(4)の規制により期待される効果のところで、1つ目の○を追加しております。「既に我が国に定着しているものについては、早期に計画的な防除を実施することにより、生態系等に対する被害を効果的に防止することが期待される」という文章をつけ加えております。それからその下の○の中では、輸入及び飼養ということで「輸入及び」というところを加えていることと、「特に」という言葉をつけ加えております。いずれも前回の会合のときにご指摘がございました点を踏まえて修正をさせていただいております。
 それから資料1-3でございますが、今後の検討の進め方についてでございます。これにつきましても前回の会合のときにご指摘がございました点について、一番下の○でございますけれども、「在来の野生動物に感染症をもたらすおそれがあること」ということを選定の上での着目点の1つとして追加しているところでございます。
 続きまして資料1-4でございます。初めに、申しわけありません、修正をお願いしたいんですけれども、この資料1-4の資料の表題でございますが、「第二次の特定外来生物等の選定作業が必要と考えられる」というふうに書いてありますけれども、これはちょっと誤りでありまして、資料1-5にあります「特定外来生物に選定することが適切と考えられる外来生物(哺乳類・鳥類)に係る評価の理由」というふうに直していただければありがたいと思います。申しわけありません。
 今回、第二次の選定として特定外来生物に指定するものとしての事務局の案がこの表に一覧になっているわけでございまして、前回、ハリネズミにつきましては、ナミハリネズミとマンシュウハリネズミの2つの種類を挙げておりましたけれども、この2つの種が属する属、ハリネズミ属ですけれども、これにもう一つヒトイロハリネズミというものがありまして、それを一緒に属として指定するのが適切ではないかというふうに考えて、このように変更してございます。評価の理由は省略をさせていただきます。
 それからキタリスでございますけれども、これにつきましては在来亜種を除くキタリスということで挙げております。
 それから前回、シマリスが挙がっておりましたけれども、シマリスについては今回、特定の候補としないということで、要注意外来生物の方のリストの方に入れてございます。
 それからタイリクモモンガにつきましては、在来亜種エゾモモンガを除くタイリクモモンガということで、特定の候補にすると。
 それから前回、ご指摘が池田委員の方からございましたマスクラットですけれども、前回の会合の後、資料をいろいろ調べまして、これも特定外来生物に選定することが適切ではないかというふうに考えて挙げてございます。
 アメリカミンクにつきましては、前回どおりでございます。
 それから、最後のシカですけれども、前回はシカ属ということでくくっておりましたけれども、その後、遺伝的攪乱に関する危険性あるいはそのリスク評価みたいなことをいろいろ調べまして、後ほど詳しくご説明いたしますけれども、その結果、シカ属ということではなく、もう少し広くとってシカ亜科という形で全体をくくった方が適切ではないかというふうに考えまして、こういったくくりにしてございます。
 以上が資料1-4、今回、特定外来生物に選定することが適切と思われるものの一覧でございます。資料1の方は今のそれぞれの種類に関しまして、それぞれの情報、被害にかかる情報等を整備したものでございます。
 ハリネズミ属に関しましては、先ほど申し上げましたようにナミハリネズミとマンシュウハリネズミ、これはつい最近アムールハリネズミというふうに名前を変えることがどうやら決まったようでございますので、アムールハリネズミ(マンシュウハリネズミ)というふうに表記してあります。その2つと、それからヒトイロハリネズミのこの3つについて、ハリネズミ属として特定外来生物に指定してはどうかということであります。評価の理由は前回申し上げましたように、現在、アムールハリネズミが定着をしているということと、ナミハリネズミについては海外で大きな被害を出している知見があるということと、それと同様の性質を持つと思われるヒトイロハリネズミを一緒にするということでありますが、日本では地表を徘徊する肉食哺乳類が少ないということで、昆虫類等を捕食することによる影響は大きいと考えられるということであります。
 次のキタリスでありますが、キタリスにつきましては、エゾリスとの亜種間交雑のおそれがあること。もう一つ、二ホンリスとも遺伝的には近縁であるというふうにされておりますので、ニホンリスとの間で交雑のおそれ、あるいは生息空間をめぐる競合が懸念されるということで、エゾリスを除くキタリスを特定外来生物に選定すべきではないかということでございます。
 それから、タイリクモモンガにつきましても同様の理由でございますが、エゾモモンガとの間で亜種間交雑のおそれがあると。それから本州のモモンガですが、これと生息空間を巡る競合などが懸念されるということで、影響が大きいのではないかということで候補に挙げてございます。
 それから7ページのマスクラットですけれども、これにつきましては原産地北アメリカということで、現在、江戸川周辺域にのみ定着をしていると。ただし数はそれほど多くないというような情報でございます。評価の理由といたしましては、水生植物を中心にさまざまな動植物を捕食しているということで、海外では非常に大きな問題になっていると。国内では定着地域が限られていますけれども、ほかの地域に侵入すると被害が拡大していくおそれがあるのではないかということで、これを特定にしてはどうかということであります。被害をもたらす要因ですけれども、基本的には草食ですけれど動物も捕食できると。二枚貝とか小さな動物あるいは鳥なども食べるという報告があるようであります。その他の関連情報のところで、イギリスでは完全駆除に成功したという情報があるということとか、ヨーロッパでさまざまな被害を出していることをまとめて書いてございます。
 それから、アメリカミンクにつきましては、前回と同じでございます。捕食性が強いということと、現在、国内で分布拡大中ということで、生態系への影響が大きいということで、特定外来生物に指定してはどうかということであります。
 11ページのシカ亜科でありますが、シカ亜科の中に何が含まれるかということですけれども、アクシス属が4種、それからシカ属が10種、ダマ属が2種、シフゾウ属1種、この合計17種をシカ亜科ということでとらえております。この中の幾つかの種同士で交雑の報告があります。そのために、これらはすべて遺伝的に近縁であるというふうにみなせるということでありまして、その遺伝的な交雑の問題と、もう一つはニホンジカと生態的に共通点が多いものですから、仮に日本に入ってきて定着した場合に植生を改変するというようなそういった影響が懸念されると。その2つの理由でシカ亜科に属する種をニホンジカの中の在来亜種を除き指定するということなんですけれども、少し複雑ですけれども、日本の在来のシカ以外のシカ亜科に属するものを特定外来生物として一括して指定してはどうかということでございます。
 以上が資料1-5であります。
 資料1-6ですけれども、今の種類を特定外来生物とする場合、未判定外来生物と種類名証明書添付生物をどのように選定すればよいかということでございまして、左側の特定外来生物の種ごとに例えばアメリカミンクでありますと未判定外来生物としては、特定外来生物と在来のイタチを除くイタチ、Mustelaということで13種類が未判定にすればいいのではないかと。それから種類名証明書添付の生物についてはイタチ属全種ということで、特定も在来も含めて19種ということにしてはどうかということです。
 マスクラットにつきましては、未判定外来生物はなしということで、種類名証明書添付生物につきましては、第一次指定のときにヌートリアの指定の関係で指定されておりますものをすべきではないかということで、これにつきましては指定済みということです。
 それからキタリスにつきましてはキタリスとニホンリスを除くSciurus属全種ということで、これについても指定済みであります。種類名証明書添付生物はリス科全種ということで、これも指定済みであります。
 タイリクモモンガにつきましては未判定外来生物はなしということで、種類名証明書添付生物はリス科全種ということで指定済みであります。
 ハリネズミでありますけれども、これにつきましてはナミハリネズミ等と類似した生態を持つハリネズミということで、ヨツユビハリネズミを除くハリネズミ亜科というくくりで考えてはどうかということであります。種類名証明書添付生物についても、ハリネズミ亜科全種ということで19種類でどうかと考えております。
 シカですけれども、これにつきましては未判定外来生物はなしと。シカ亜科すべて特定ということでございますので、似たものはもうすべて特定になっているということで、未判定外来生物はなし。種類名証明添付生物については、そのシカ亜科全種をしてはどうかと。
 このような事務局の案でございます。
 続きまして、前回の会合のときに幾つか議論がございましたことを、その後、事務局の方で情報を整理したものがございますので、それをご紹介したいと思います。
 まず、リス類の輸入・流通、飼育実態、それから遺伝的攪乱等について。資料1-7でございます。まず、輸入・流通の実態でございますけれども、既に少なくとも40種類の外国産のリスが輸入されたことがあるというふうにされておりまして、平成15年の統計では年間3万7,919匹、プレーリードッグ以外のものですが、それが輸入されているということで。そのうち、中国から3万5,000頭以上が入っているということであります。その中国から入ってくるリスの約8割から9割がシマリスであるということで、シマリス1種だけで輸入量が年間で約3万匹に達するというふうに推定できるということでございます。
 それから、前回もご指摘ございましたように、感染症法の改正がございまして、その関係で野生個体の輸入ができなくなるということでございますので、リス類についての輸入数が減少するというふうに考えられております。
 それから飼養実態ですけれども、これにつきましてはウェブアンケートといいますか、インターネットを使ったアンケート調査をいたしまして、1,000名にアンケートをかけたんですけれども、1世帯がキタリスを飼育中という回答でございまして、シマリスについて2世帯が飼育中という回答がございました。ただ、シマリスにつきましては、以前飼育したことがあるというのが50件に達しておりまして、かなりの割合でシマリスを逃がしてしまったという回答がございました。ですからシマリスにつきましては、かなり野外に放されている可能性が高いというふうに推定をいたしております。
 それから遺伝的攪乱に関する件でございますけれども、前回、シマリスとタイリクモモンガとキタリスのこの3種につきまして、在来種との間の遺伝的な攪乱のリスクをどういうふうに評価したらいいのかということをご相談をしたわけですけれども、これにつきまして専門家の方にヒアリングをいたしましていろいろ情報が集まりました。
 まず、キタリスですけれどもエゾリスとの交雑が懸念されるということなんですが、ニホンリスとの間での交雑も懸念されているということであります。遺伝的な研究からニホンリスとエゾリスは非常に近いというふうにされているそうであります。
 それからタイリクモモンガですけれどもエゾモモンガとの交雑が懸念されることと、それからエゾモモンガの遺伝的な特徴が非常に古い時期に隔離されているということで、タイリクモモンガの亜種の中で特異性が強いものと、守られるべきものというような意見がございました。
 それからシマリスにつきましては、こういう遺伝的な研究というものは非常に少ないということがわかりました。
 それから次のページ、その他のところですけれども、それらを総合いたしまして、キタリスとタイリクモモンガに関しましては、北海道での固有亜種との遺伝的攪乱、それから北海道以外の場所での在来種との競合、両方の危険性があるということであります。シマリスについては北海道以外の都道府県では狩猟鳥獣になっているということでありますが、たくさん逃がされているという推定はできているんですけれども、今のところ野外でのいろんな被害についてはよくわからない点が多いということで、キタリス、タイリクモモンガ、シマリスの3つのうち、シマリスだけは今回特定外来生物の候補から抜いて、そのほかの2種を特定外来生物に指定してはどうかというふうな結論づけた根拠の資料でございます。
 それから資料1-8でございます。シカに関する資料でございますけれども、養鹿の実態がどうなっているかということをまず調べてあります。非常に古くから養鹿が行われて観光的にかなり施設もできていて、非常に多いときには合計5,000頭ぐらい買われているというような状態だったようでございます。養鹿は観光施設としての活用ということと、それからシカの角等の生産のために利用されているものというものがあります。実際に入っている種を調べましたところ、ニホンジカが半分ぐらいを占めておりまして、そのニホンジカの中に外国産の亜種も含まれているということでございますが、一応それで半分ぐらいと。その次に多いのがアカシカということであります。それが3割ぐらい。かなり少ないですけれどもサンバーとダマシカの2種類が少しずつ飼われているという状況だそうでございます。最近ではその輸入というのは非常に減っておりまして、1991年以降は外国産のシカの輸入はないということで、養鹿業界としても輸入はないだろうというふうに考えられております。
 現在、アカシカが1,000頭程度、それからダマシカが300頭程度飼育されているというふうに推定をされております。施設の数についても減少傾向にあるというような状況だそうでございます。
 それから遺伝的攪乱の可能性につきましては、交雑の報告例ですけれども、ニホンジカとアカシカの交雑というものが、これはたくさんあるということであります。そのことによって固有のアカシカの小型化などがスコットランドで被害として出ているということであります。それからニホンジカの亜種のタイワンジカとニホンジカの間の交雑というものも報告をされています。それからニホンジカとほかのシカの間の交雑というのはちょっと余りないようでございますけれども、アカシカについてはワピチ、これはアメリカ産のアカシカです。それからサンバーとの交雑例、それから属が違いますシフゾウ属のシフゾウとの属間の交雑例もあるということでございまして、アカシカと遺伝的に近いと思われるニホンジカがほかのシカ亜科のほかの種類と交雑する危険性は、いずれもかなり高いのではないかというふうに考えております。
 ニホンジカとアカシカとターミンジカ、それからサンバーですけれども、それぞれ遺伝的な距離は非常に近いというふうに考えておりまして、先ほどのように遺伝的な交雑の危険性も同様ですが、生態的にも共通点が多いというふうにされているということでございます。
 以上、シカ亜科につきまして、遺伝的な攪乱の可能性はシカ亜科の範囲でそれぞれ非常に高いというふうに判断いたしまして、今回、前回と少し違いますけれどもシカ亜科で特定にすべて指定をするのが適当ではないかというふうな案にしたところでございます。
 資料1関係につきましては以上です。

【村上座長】 ただいまの説明につきまして今から意見をもらいますが、選定の前提条件、ということは資料の1-2、1-3に関して、この前議論しましたが、さらに何か問題があれば出してください。修正点含めて、これはいいですか。
 そうしたら、この前提条件はいいということで、そうしますと具体的に資料の1-4ということになりまして、そこに挙がっている種類。特に今回その1-4に挙がっているものと1-5のその説明資料、それからその内容についての1-6、7、8ですね。1-6のというよりも、その1-4、1-5を中心として、1-7、1-8はその参考資料ということで議論しましょうか。
 まず、ハリネズミ属に関しては何かありますか。どうぞ。

【石井委員】 ハリネズミ属に関してヒトイロハリネズミを今回つけ加えたということですね。その方針については私は賛成です。それで補足的なことを言っておきますと、ヒトイロハリネズミというのはナミハリネズミとユーラシアの西の方に分布域を接して分布しているんですよね。ほとんど同じ生態的な地位にあると考えられますので、アムールハリネズミとナミハリネズミを指定するということであれば、ヒトイロハリネズミが入ってくるというのは適当だと思います。それでアムールとナミについては実際に、日本と外国と含めて定着実績とそれから被害があるということで指定するのは適当だと思うんですね。それで特に今の時点でやるということの意味としては、日本では定着しているんだけれども、非常に初期段階にあって、これを放置しておくと将来かなり大きな影響が懸念される。ただ、今のうちに手を打っておくと費用も少なく効果的な対策が打てるということになると思いますので、この法律の目的の1つ、さっき新しくつけ加えた早期に手を打つというのに照らして適当な種類なんじゃないかというふうに思います。

【村上座長】 早期対応が可能であるということは、この文章の中には余り書いていないですね。そのことをちょっと入れておいてもらった方がいいかもしれませんね。ハリネズミに関する情報として、この種類はまだそれほど分布拡大をしていないから現在やることが意義があるということは、ちょっと入れておいた方がいいかもしれませんね。今のはとにかくハリネズミを入れることに対して意義が大きいという話ですので。
 ほかにありますか。これはこれでいいと思いますので。
 そうしますと、その次に在来亜種エゾリスを除くキタリスについて、これ、どうですか。2番目のもの。ここで問題になるのは、キタリスはこれは問題ないですね。今回、前回も入れるようになっていますし。ただ、シマリスについて外したというところ。続いて表を見てもらったら、結局シマリスが一番輸入実績が高い。その最も輸入実績が高い、これは感染症法が改正されますから、もう減るであろうということが予測されるからシマリスもいいだろうという考えなのですが、その辺が1つのポイントになると思います。シマリスを入れるか入れないか。原案としてはシマリスについては、要するに遺伝的攪乱の確証がない。それで被害というのが顕在化していないということで、今回は見送りましょうという案になっているんですね。これについてはどうですか。池田さん、どう思いますか。

【池田委員】 感染症法の関係で今回は見送りということになっているようなんですが、ただ、やはり飼育実態を考えるとかなり多い。それから先ほどの説明でありましたが、アンケートで出てきた件数より私の感触だともっと飼育数は多いんじゃないかなというようなのが、ちょっと私の感想なんですけども、その点でちょっと心配されることがありますし。またアンケートで出ているように逃がしやすい。ですから飼育年数が短いのも、これはちょっとアンケートの方がどういう形かちょっともし伺えれば。本当に早く飼育できずに死んでいるのか、それともそれだけ最後まで飼えずに逃げてしまっているのか、結構その辺が判断の分かれ目になるかなと思うんですが、その辺、何か資料はございます。

【中島室長】 アンケートにつきましては、すべてのことをつかみきれるところまで詳細なアンケートじゃなかったものですからわからないところもあるのですけれども、一応、わかったこととしては、明らかにその飼育者の方で逃がしてしまったというふうに答えているものが飼育したことのある人のうちの16%だったということで、恐らくそれ以外はだれかに譲ったとか、あるいは死んでしまったとかというものが入っているんだろうということでございます。

【村上座長】 シマリスについては要注意外来生物リストには挙がって、引き続き、被害に関する知見が不足しており、引き続き情報の収集に努め、外来生物として今回は見送ったが将来的には入る可能性があるという形で処理されているわけですね。

【池田委員】 できれば今回その本当の飼育実態についてはまだ不明な点が多いということですので、何とかこの飼育実態をもう少し明らかにするような手立てというのを考えて、少なくとも次回の検討に向けて、そのような情報を蓄える必要があるんではないかと思います。

【村上座長】 そのことは事実ですし、飼育されているものがどうなのかというのはやっぱり問題ですから、それは次回のときに回しましょう。
 それで、とりあえずキタリスに関してはよろしいですね。

【石井委員】 私もシマリスについて、ちょっとさっき。私もちょっと見送るのは躊躇する気持ちがあるんですね。それで、ただまあ幾つか、今回はとりあえずペンディングするという理由も理解はできるのですが、特に本州で定着の実態があると昔から言われているんですね。それを、ただ、ちゃんとした調査がないので、できるだけ早く調査をしてほしいなというふうに考えますね。将来的には特定外来生物にしていくということを、結構詰めて考える必要のある種だというふうに思います。今の時点で強く指定すべきだという根拠もちょっとないんですけれども、その点をはっきりさせてもらいたいと思いますね、ぜひ。

【村上座長】 私も今の案件賛成でして、先ほどの地域実態の把握と、それから定着実績。長野県なんかで私現に見ていますけれども、それでそういったものがやはり問題になるかと思うんです。これはやはり早急に、次回の会議までにはそういうことを調べて、それで指定する方向を考えるというようなことでよろしいですか。

【石田委員】 シマリスの実態については知らないんですけれども、この文章を見て、その他の2ページ目ですね。狩猟鳥獣になっており、まれであると、野外観察が。ここは何か内容的に矛盾するように思われるんですね。狩猟鳥獣になった時点で少なくとも、前、林野庁の管轄ですかね。たくさんいて例えば有害獣の対象になるとか、獲物としていいというようなことがあって狩猟鳥獣になったのかなという印象を持つんですけれど、その辺の何か調査というか、わからないんですか、経過は。

【中島室長】 ここで狩猟鳥獣になっておりというのは、狩猟鳥獣になっていることで捕獲圧がある程度かかるだろうというようなことを参考程度に書いているということであります。それ以上の意味はほとんどないんですけれど。

【石田委員】 まあ、いいんですけど、ちょっとここはちゃんと確認しておいた方がいいんじゃないでしょうかね。どういう状態で狩猟鳥獣になったかと。獲物にもならないようなものが狩猟鳥獣になるはずがないと思うんで、たくさんいたんじゃないかと。

【村上座長】 狩猟の関係統計をちょっと見たらいいですね。どのぐらいとられているかとか。次回までには資料を整理して、それでその上で決めましょう。シマリスは今回は見送る形で中には入れないという形で、次回以降にしましょう。
 どうぞ。

【池田委員】 すみません、シマリスについてもう一つなんですが、北海道では結構、昔、70年代、80年代ぐらいには結構公園とかに放されて、いまだに残っているというような場所もあるんです。そういう問題がありますし、もう一つは、もし今後指定に向けて指定された場合に、そういう難しいのは逃げているやつとの在来種との見分け、判断の仕方ですね。どのような形で対応ができるのか、それについてもちょっと検討しておく必要があるんじゃないのかと思います。私も今回は積極的な理由がなければ仕方ないなとも思うんですが、やはり放っておくわけにはいかないと思いますので、極力指定に向けて情報を集めながら次回には何とか指定できるような形につくり上げていくべきだと思いますので、ちょっと先の話にもなりますけれども、指定した場合の実際に防除等の計画に当たって何が可能になるのか、そこら辺も明らかになれば、さらに選択理由にもなると思いますので、そこら辺も少し詰めておく必要があるんじゃないかと。

【中島室長】 今回、第二次指定では一応要注意外来生物の方に位置づけて、その上で被害に関する知見を今後しっかり集めていくということとか。仮に指定をした場合に見分けがなかなかつきにくいというような問題、実際の問題がございますので、そのあたりどういうふうに考えていくのかといったことも含めて、今後、資料をそろえて次回といいますか、第三次の選定の作業の中でもう一度議論していただきたいと思います。

【村上座長】 そうしたら、この議論を終わりたいと思います。
 そうしたら、在来亜種エゾモモンガを除くタイリクモモンガ、これに関してはどうでしょうか。書いてあることはもっともで、特に何かここで抜けていることございますか。どうぞ、石田委員。

【石田委員】 モモンガは樹洞営巣性ですね。それで在来種も同じことなんですけれども、キツツキの営巣中の穴を乗っ取ったりということが報告されていまして。そのほか、その樹洞営巣性の鳥とか小動物全体、コウモリとかですね。全体に対する影響ということが、在来種も同じなんで特にというわけではないんですけども、加わることによって何かあるんではないかということは懸念されると思います。ですからそういったことはちょっと書いておいて、樹洞営巣性であると。しかもかなり積極的に人の巣を乗っ取るということをしますので。そういうふうにちょっと加えておいてもいいかなと思います。

【村上座長】 これは何か事例ありますか。

【石田委員】 いや、タイリクモモンガという例はないんですけど、エゾモモンガは相当アカゲラの巣を乗っ取ったりとかしますね。鳥の中でもコムクドリとかそういったものも取り合いをするんですけれども。

【村上座長】 今の段階では可能性があるということですね。競争者になり得るという程度のものですね。

【石田委員】 ええ、単純に捕食者ではなくて、なり得るというか、かなり確率は高いと思いますけど、たくさんいればですね。

【村上座長】 書くときにある程度根拠が欲しいものですからね。

【石田委員】 タイリクモモンガは特別樹洞を嫌うという性質がなければ、モモンガに準じて相当何というか樹洞を取るという、場所によってはかなりの確率で取っていくんでありまして、それはある程度データがありますので、いずれはまとまったものを出せる思いますけど。ただ、それはタイリクモモンガではないので。

【村上座長】 だからタイリクモモンガということではなしに、ほかのものもそうではないかというそれはいわゆるコミュニティの種間関係ではないかという話になってくると……。

【石田委員】 ただ、密度が上がればそれだけ行動が、ソウシチョウの場合あり得るということは。

【中島室長】 今のお話で被害をもたらす要因として明確に書くのはちょっと違うような気がしますので、その他の関連情報のところに、そういった懸念もあるというような形でちょっとつけ加えさせていただきたいと思います。

【石田委員】 というか、樹洞の資源をめぐってモモンガとか。

【中島室長】 ほかの在来生物。

【石田委員】 そこは結構繁殖成功率もきいてきますので、いろんなものも大きいかと思いますね。

【村上座長】 石田さんはそういうキツツキの調査をやってたから特に気になるというところで、ほかの人は余り気がつかないし気がつけないですからね。その他の関連情報で書くことは可能だと思います。それでいきましょう。
 そうしますとマスクラット。これは前回指摘があってぜひとも入れるべきだと私も思ったんですが、それで今回、まだ個体数も、これも10頭というのは本当かなと思いますけれども、ある場所に分布が限定されており、そういう意味では今のうちにもう根絶させるということをきっちりと目標化してやったらいいと思うんですが。これに入れることに対して何か特にありますか。根絶をもう目標にすると。

【池田委員】 よろしいですか。私もこれ取り上げていただいて大変喜ばしいことだと思っておりますが。資料としてちょっとつけ加えておきたいのが、爆発的な繁殖力を持ち合わせているということで、先に資料をお送りすればよかったんですが、ちょっと間に合いませんでしたので手持ちのメモなんですが、チェコですね、ボヘミア、1905年に一番最初にこれ入ったのは5頭入ったんですが、ボヘミアでは最初5頭だったのが9年後には200万頭というふうに推定されています。あと最初のうちは年に大体4キロぐらい拡大してたんですが、後半になると年に30キロぐらい生息地を拡大してきたという記録があるので、今、日本ではこういう状況ですけれども、可能性としては違う郊外とかに入れられた場合には爆発的に広がる可能性というのをここで示しておいた方がよろしいかと思います。これ、資料と出所については、後でお送りしますので。
 それともう1点、私20年前ぐらいに新聞で読んだ記憶があるんですが、行徳のところでこのマスクラットが少なくなったときに、ちょっと保護運動が、保護グループができた経緯があるんですね。今はどうもそこの所在はわからないようで行徳の野鳥観察者に聞いても、そこら辺は今はないんじゃないかということなんですけれども、そういう動きが以前ありましたし、取り立てて現在でもその被害というのが出ているというわけではないので、海外での例と、そういった爆発的な繁殖力ということを強調して一般の方に理解を強く求める必要があるかなと。もしかすると小型ですし、ちょっと見た目かわいらしいところもあるもんですから、感情的には反対の感情を持ち合わせる方もいるかなと思うので。その辺は説明には十分注意を要するのかなと感じます。

【村上座長】 今のは2点でして、情報に関して分布拡大の能力とか、それから個体数増大の能力が非常に高い。それを記載してその文献を入れること。それから第2番目が、要するに根絶作業に入ったときに、その地域住民への十分な周知をした上ですることという2点を考えなきゃならんだろうということです。これはこれでいいですね。
 そうしますとアメリカミンク、これはここに書いてあるとおりで、ここ以外のところで何か追加情報とかございますか。既に定着していること、それから非常に影響が大きいこと、それで分布拡大能力も高いこと、その3点で、これはできるだけ早急に指定した方がいいと思います。この前議論していますので、これはいいことにして。
 最後の在来種ニホンジカの在来亜種を除くシカ亜科全種。この前と変わったところは「シカ亜科全種」となったところですが、きょうの説明にありましたように、1-8でしたかね。シカ亜科としている方が遺伝的攪乱とかそういうものが非常に属間で起こっているということで、それを入れた方がよろしい。それから生態系への影響というのは、もうシカは全部同じように非常に大きな問題があるという2点で要するに入れましょうという話ですから。これもいいですね。この前出てまして、この前より広げた形で今回は入れているということです。広げたことに関しては今の説明で十分だと思います。
 そうしますと資料の1-4のことは議論が済んだということになります。
 それで1-5、1-6、1-8、これ全部一連のものはこれで済んだことになりますね。

【中島室長】 1-6、未判定と……。

【村上座長】 未判定、そっちの方がありますね。そうしますと、その次には資料の1-6、未判定外来生物に関して。それに関して、1-6に関してありますか。
 特に今後……、ありますか、どうぞ。

【石井委員】 分類の確認なんですが、ハリネズミ亜科というのはヨツユビハリネズミも入ってくるわけですよね、この証明書については。

【中島室長】 はい。

【村上座長】 その他ございますか。種類名証明書添付、これも含めてその資料1-6に関して何かございましたら、どうぞ。

【中島室長】 すみません、今のハリネズミ全種のところの未判定外来生物の属の表記が1つしかありませんけれども、これはハリネズミ属とアフリカハリネズミ属とオオミミハリネズミ属の3つの属をここに書くべきでしたので、ちょっと修正したいと思います。

【村上座長】 どれをどう修正するんですか。要するにどの部分をどう。亜科と書いてあったら、ハリネズミ亜科と書けば先ほどの3つの属全部入るわけですね。

【名執課長】 この属の欄に3つ入るということです。

【村上座長】 そうかそうか、わかりました。そういうことですか。要するに属の欄のところが1属だけ、Erinaceusだけになっているところを。これceusじゃなくてErinaceinaeになったらいいわけでしょう。naeだったら亜科ですから。そこ属と書いているからあれですけど、亜科と書くわけにいかんのか。わかりました。そういうことですね。だからそこを3つにしようということですね。わかりました。ではそれで結構です。これはこれで結構ですね。
 そうしますと、一応ここまで議論できて資料1はこれで終わります。
 次に要注意外来生物リストについて議論したいと思います。事務局の方でリストの考え方、候補種ごとに注意すべき事項を整理していますので、これらについて説明をお願いします。

【中島室長】 それでは要注意外来生物関係でございますが、資料2-1をごらんいただきたいと思います。
 前回、6月9日の専門家全体会合におきまして、この資料を議論していただいて了解をいただいております。
 まず、1ですけれども、要注意外来生物リストの再整理と書いてあます。第一次の選定作業において149種類のリストを暫定版の要注意外来生物リストとしたわけですけれども、今回、二次の選定作業とあわせて下の方針で再整理して公表することとしたいということでございます。
 リストの対象でございますけれども、第二次選定の検討対象として暫定版の要注意外来生物、それからIUCNと生態学会のワースト100のリストを基本に、そのほか幾つかの種を入れてございます。これらについて第二次の特定外来生物の選定の対象としなかったものを要注意外来生物リストの対象生物とするというふうにしたいと思います。国内外来種、それから微生物とか他法令の規制の対象種等、本制度の対象外である外来生物については、基本的には要注意外来生物リストの対象外ということであるわけですけれども、ただ、他法令の規制対象であっても注意喚起が特に必要なものとして指摘があったものについては、例外的にリストの対象に含めることとすると。具体的には昆虫のチョウの問題等でございます。
 それから、検討の過程で我が国に被害を及ぼすおそれが高くないと判断されたものは、この要注意外来生物リストの対象とはしないということであります。
 ちょっと裏をごらんになっていただきたいんですけれども、ポンチ絵で検討成果のイメージというものがございます。今回、左側の検討対象種とした約200種類ぐらいの幾つかのリストから、これを検討の上、第二次選定作業の成果ということで特定外来生物を決め、それの一番下の対象外になるものを除いて、それ以外はすべて要注意外来生物リストとするということで。ただ、この要注意外来生物リストは幾つかのカテゴリーに分けるということでありますが、1つ目は被害に係る一定の知見があるというものであります。これについては被害に係る知見があるので特定外来生物にすることが考えられるわけですけれども、引き続きさまざまな課題があるというふうに認識されるものについては、今すぐ第二次で指定をするのではなくて、引き続き指定の適否について検討していくべきだという判断がなされたものがこの1のカテゴリー。続きまして、被害に係る知見がまだ不足しているんではないかというふうに考えられたものが、この2番のカテゴリーに入るということです。先ほど、植物防疫法等の今回の法律の対象外となるものなんですけれども、注意喚起だけはしっかりとしていくべきだというふうに指摘があったものについては3のカテゴリーに入れると。それから緑化植物については、別途総合的な取り組みを進めるべきだということになっておりまして、一緒くたにここの箱の中に入れていくということで、一応4つのカテゴリーに分けて要注意外来生物リスト、その内容についてわかりやすくしていこうということでございます。
 今回、この分け方に基づきまして、資料2-2でございますけれども、哺乳類・鳥類の要注意外来生物リストにつきましては、このようにしたいと思います。
 1つ目の箱がインドクジャクでありますが、これにつきましては被害に係る一定の知見は沖縄等でございます。ただ、いろいろ課題があるということで、引き続き指定の適否について検討していくというものにしております。それ以外のもの、リスザル、シマリス、フェレット、シリアカヒヨドリ、外国産メジロ、シジュウカラガンの大型亜種、コリンウズラ、テンニンチョウ、クロエリセイタカシギにつきましては、被害に係る知見が不足しており、引き続き情報の収集に努める外来生物というふうに位置づけております。
 先ほどちょっと申し上げるのを忘れてしまったんですけれども、前回の全体会合の前に生態学会と、それからNGOの3団体から、改めて第二次選定に係る意見の提出がございまして。今回、我々の方で検討の対象種としていなかったものがNGOの方から意見が出されたものが20種類程度ありまして、それについては急遽検討の対象に含めようということで、今回、個表を整理してございます。ただ、特定外来生物にするというところまでは至らないだろうということで、今回はこの要注意外来生物リストの方に位置づけてあるということで、下の方にありますシジュウカラガン、コリンウズラ、テンニンチョウ、クロエリセイタカシギの4種類については要注意外来生物として各方面に注意を呼びかけていきたいというような整理にしてございます。
 資料2-3でございますが、これがそれぞれの種についての具体的な評価の理由、それから被害に関する科学的知見の現状をまとめたものであります。前回と基本的には変わってないものが多いものですから省略をさせていただきますけれども、今回、初めて出てきたものについてご紹介をしたいと思います。
 13ページのシジュウカラガン大型亜種からでございます。これは北米のシジュウカラガンの亜種が幾つかございまして、そのうち日本にもシジュウカラガンの亜種が2つほど渡来するということなんですけれども、それ以外のもともと日本には来ていないはずの亜種が定着しているということで、関東地区、中部地区で確認がされております。これにつきましてはニュージーランドとかヨーロッパに北米から移入されてふえて問題を起こしているオオカナダガンである可能性が高いということで、確認はまだなんですけれども、別亜種が定着しているということで要注意外来生物のリストに入れたいということで、被害につきましては在来亜種と交雑する可能性。在来亜種の方は絶滅のおそれがあるというふうに位置づけられている種でございますので、その交雑の可能性について。それから海外ではそのオオカナダガンが留鳥化して増加しているところではさまざまな被害が出ているということでございますので、こういった点を踏まえて、これを要注意外来生物リストに入れたいということであります。
 続きまして15ページ、コリンウズラですけれども、北米原産で神奈川とか大阪などで生息が確認されております。原産地ではかなりいろんな環境に生息して定着しているということで、日本でも今、定着が確認されているところですけれども、被害についての中身はまだ少しわからない点が多いということであります。ただ、生物学的には繁殖率が強くて環境適応能力が高いというようなことで、狩猟の対象として使われているというような状況もございますので、これにつきましては今後被害の状況について情報を収集していくべきと。あるいは狩猟等に使うということに関して注意を呼びかけていく必要があるということで、要注意外来生物リストに入れたいと思います。
 続きまして17ページ、テンニンチョウでございますけれども、生息の記録はそれほど多くないということでございますが、ちらほらと確認をされている事例があるということでありますが、鳥の習性として托卵の習性を持つということでございまして、原産地における托卵の宿主が日本にはいないために、もし日本で繁殖するとなると日本の在来の種に対して托卵をするということになる可能性があるということで、その可能性、もしそういうことになると影響はかなり大きくなるのではないかというふうに推測をして、要注意外来生物にリストアップしたらどうかということでございます。
 それから19ページのクロエリセイタカシギでございますけれども、これにつきましては奈良県などで生息が確認されておりますが、在来のセイタカシギの亜種は一応絶滅危惧B、ⅠB類なっているということで、これらとの交雑による遺伝的攪乱の影響が大きいのではないかというふうに考えているわけですけれども、クロエリセイタカシギの定着の実態、影響の程度については、まだ知見は不足しているのではないかということであります。奈良県等で確認されているものについては、ある方が飼っていたものを意図的に野外に放したということがわかっているといいますか、そういうふうにされておりますので、そういった放鳥行為というようなものについては、きちっと抑制していくように、このクロエリセイタカシギ等の事例で普及をしていきたいというふうに考えております。
 以上が要注意外来生物に係る情報、注意事項でございます。
 それから続きまして資料2-4でございますけれども、今回、特定外来生物をはじめとする外来生物の取扱いに関する普及啓発の考え方についてというペーパーでございます。要注意外来生物のリストをつくって、これにつきましてはその被害の危険性ですとか取り扱いに関する留意点を普及啓発していこうということでございますけれども、そもそも特定外来生物の指定であるとか取り扱いについても同じように普及啓発を進めていかなければいけないということで、今回、それを一緒にして考え方を整理してございます。特定外来生物につきましては、法律に基づいて適正に取り扱う必要があるよということで、法律の趣旨の徹底ですとか、具体的な規制の内容について各方面の理解を得る必要があるということで、さまざまな形での普及啓発をしていきたいと思っております。
 それから要注意外来生物につきましても、引き続いて科学的な知見の集積と、それから利用に関する実態把握を進めていきたいということと、同時にもう適正な利用に向けた普及啓発をどんどんやっていくべきだというふうに考えております。これ、今回要注意外来生物についても個表を整理して、それぞれの問題点、あるいは注意をすべき点について整理をしておりますので、そういったものをホームページ等で広く周知することを考えております。
 それから3番目ですけれども、個別の種に着目した点ということではなくて、生物群あるいは利用形態に共通して配慮すべき事項というものもあるということでございまして、こういったものについてもこの生物のリストの公表とともに、さまざまな関係の方々に行き渡るような形で普及啓発を推進していきたいと考えておりまして、具体的にはどういう事項かといいますと、めくっていただきましたところに別紙とありますけれども、生物群や利用形態に共通して配慮すべき事項の例として、例えば1.ペットとして外来生物を飼育する全ての方にということで、飼育するときにはその前に、飼育する前にどのくらいお金がかかるのかとか、その生物の寿命、繁殖能力とか成長したときにどのぐらい大きくなるのかというようなことを、よく最初から理解してくださいねといったようなことを理解していただくというようなことですとか、そのほか業を営む方に対してとかペットの販売店の方に対してとか、そういった我々として特に注意をしていただきたい、理解をしていただきたいことをわかりやすく示していきたいというふうに考えておりまして、こういったものをまとめて要注意外来生物のリストとともに公表をして普及をしていきたいというふうに考えております。
 最後ですけれども資料2-5でございます。前回、インドクジャクについていろいろご議論がございましたので、これの流通・飼養実態と対策の状況についてご説明をしたいと思います。
 まず1番、流通・飼養の実態ですけれども、現在、年間に数十から数百羽ぐらいの単位で輸入されていると。主に動物園中心の飼養施設が、もう既にあるものに対する交配目的の輸入が多いということでございます。現在、インドクジャクが940頭、同じく家禽型が565頭、合計で1,500頭ぐらいということでございまして、動物園によっては100頭以上を一遍に飼っているところもあるということであります。今のは動物園、水族館関係でございます。それ以外の施設でレジャー施設もかなりありまして、児童公園とかピクニックランド、お寺さんというようなところでも飼っているところが結構あると。それから学校ですけれども、自治体に対するアンケートの結果、非常に粗い推計ですけれども、全国で580校程度が飼っているのではないかというふうに考えられます。
 飼育形態といたしましては、ケージ方式、バードホール、それから放し飼いと、やはり放し飼いで飼っているところもそれぞれあるようでございます。
 それから、沖縄県以外でクジャクが野外に逸出した事例というのは新聞記事等で報告がございますが、かなり多数のクジャクが飼育されているにもかかわらず、沖縄以外での野外定着の実態というのは情報が得られなかったということでございます。
 その沖縄に関する対策の状況は次のページ、裏ですけれども、沖縄では宮古、八重山地域でクジャクが定着しておりまして、下のような取り組みが既に進められております。
 まず小浜島ですけれども、多数のクジャクが確認されて農作物被害もあります。ここではそもそもクジャクの飼育を行っている観光施設の事業者がみずからの責任ということで島内の個体の全頭捕獲を目指して有害鳥獣捕獲を継続して実施しているところでございます。
 それから黒島・石垣島・新城島ですけれども、これにつきましては西表国立公園と、それとその周辺地域ということで、平成15年度から環境省のグリーンワーカー事業で「西表国立公園における移入鳥獣対策調査」が継続して実施されております。15年度から分布状況と、あるいは影響調査等さまざまやっているところでありまして、平成17年度は効果的な捕獲方法の検討と実践を本格的に開始することにしております。今後もグリーンワーカー事業によって対策を継続したいというふうに予定をされているところであります。
 その他の地域、与那国、宮古島等につきましては沖縄県による調査が実施されておりまして、具体的にまだ駆除ということではありませんけれども、対策の検討が始まっているというような状況でございます。
 以上、資料2関係でございました。

【村上座長】 資料2関係はいろんなものが入ってますので、議論としては、まず資料2-1、要注意外来生物リストの再整理・活用の方針についてというやつ、これが前提みたいな話になりますので、これの議論をまずしたいと思います。それで1番にありますように従来要注意外来生物リストというのが割とあいまいなものが入っていますが、そのあいまいさを4項目に分けて一応整理をしたというところがみそだと思います。これに関しては何かありますか。どうぞ。

【江口委員】 まず、4番目のカテゴリーというのは、これは緑化植物だけに限ったものなんでしょうか。この要注意外来生物リスト。

【中島室長】 緑化植物につきましては、植物の会合の中で社会的に有用な役割を果たしているもので代替性がないということで、影響があるものはあってもいきなり選定をしていくということについては、例えば1つの種を選定してもかわりに別の外来生物が使われるだけに終わってしまうとか、あるいは国内のものが使われて国内移動の問題が新たに発生してしまうとかということが容易に想像できるので、緑化植物については少し総合的な取り組みを役所の方でまずいろいろなデータを総合して集めて、その検討の結果を見ながら再度検討していくということにされておりますので、一応、またちょっと別立てのような形ですけれども、4番だけは緑化植物の問題ということでくくらせていただいております。

【村上座長】 今の話は緑化植物だけに限定するのか、それともそういった総合的な取り組みがあるものはここの中にほかのものとしても入るものがあるのではないかと、こういう質問ですね。緑化植物が入るのは当然なんですが。

【江口委員】 ほかの動物であるとか、そういうのにはこれ当てはまらないのかということ。

【中島室長】 ちょっと表現がはしょってありますので、緑化植物については社会的に積極的な役割を果たしていて、かつその代替性がないということが前提で、別途総合的な取り組みを進めることにするという整理をした関係で、ちょっとほかのものとは違うということでここに入れているものでございます。その取り組みを進めるという意味では、例えば1番の中に引き続き指定の適否について検討する外来生物というものがございますので、そういったものに入っているものについてはさまざまな被害知見、被害の、具体的にその規制をどういうふうにかけていけばいいのかとか、普及啓発をどういうふうに図っていけばいいのか、あるいはその防除を具体的にしていくというようなものが、生物種類によってはございますので、そういったものはそれぞれのカテゴリーに入ったままで取り組みを進めるものがあるというふうに考えています。

【江口委員】 1月の会議のときに、この要注意外来生物というカテゴリーについて説明を聞いたときには、まず情報不足であるから今後ももう少し検討の対象にしようということでした。これはいいんですけれども。もう一つが実際に被害の情報というのがあって、現実に被害が起きているんだけれども、特定として指定するのは課題が多いというものですが、それで要注意リストに挙げて法律の枠内ではあるけれど、何か裏の技を使ってほかの法律、その他を使って対処したいというものです。具体的にはインドクジャクなどは全国一律でやるのは不適当だから現実に被害がかなり問題になっているところでは、ほかの法律でも使って何か駆除なりそういう積極的な対策をとる、そういうカテゴリーであるというふうに理解しておりまして、これは割と積極的な姿勢であるというふうに書かれていました。しかし、今ここに出て来ているような、じゃあその対策としてどういうものかというと、普及啓発というところだけが挙げられているようなイメージがあって、何となく一歩後退じゃないかというような気がしないでもないわけですね。それで鳥の具体的に挙がっているところでもまた発言したいんですけれども、この要注意リストをどういうふうに理解するかによってどういう種を挙げるべきかというのが鳥の場合だったらかなり違ってくるわけです。それで、ここで確認したいのは、普及啓発を中心にやって、ここにリストアップすればそれだけでかなりの抑制効果があるので、それで一応要注意種のリストはそれで役目を果たしていると考えているのか、それとも、もっといろんなことを使ってできるものなら対策をやりたいというふうに考えておられるのか、そこのところをちょっとお聞きしたいと思います。

【中島室長】 要注意外来生物リストをつくる目的といいますか、先ほど申し上げましたように、基本的には今現在特定外来生物になっていないけれども、一定の被害知見等がある、あるいは被害がはっきりしていなくてもその一部報告があるという、その我々が社会の中で外来生物の取り扱いに関して気をつけていかなければならないと思われるものについて、その生物を取り扱っている人たちに対して基本的に野外に放さないようにしていく、その考え方を広げていくためにそのリストを使いたいと。基本的にはですから普及啓発が第1番の目的ということでございます。ただ、インドクジャクのように、これはその被害に関しては一定の知見があって特定にしてもいいようなものであるんですけれども、本州においては被害が、野外に放されていたとしても被害が確認できていないと。かつ、たくさんの飼養者がおられるということでございまして、特定外来生物に指定をすると、そういった問題のない地域においても厳しい規制がかかるということがございますので、むしろ沖縄の問題の出ている地域について、具体的に防除を進めるということを進めていった方が特定外来生物に指定するという選択肢以外の方法で対策をもうとられているわけですから、それを進めていった方がいいのではないかということでございます。ですから普及啓発ということだけではなくて、生物によっては具体的なそういった対策をとることにも使えるものだというふうに考えております。

【村上座長】 要注意外来生物の内容をどうするかというのは、この前からずっと懸案になっていまして、4番だけ緑化植物と書いてほかのものは書いてないというのは、ちょっと異質な感じがしまして、こういう総合的な取り組みを進める外来生物はもっとほかにもあっていいと思ってるんですよ。例えば学校教育の中で外来生物をどう扱うかというのはかなり重要なことで、これは緑化植物と書かなくて、4番のカテゴリーでそういうものがありますよというふうにしておけばそれでいいと思うんです。

【環境省 上杉企画官】 これは実はこの冊子の30ページに緑化植物のことを実は特化して書いています。それに対応して総合的取り組みと言っているんですけれども。そういう意味では、今、中島の方から説明しましたようにインドクジャクのように具体的に対策をこういうふうにとっていった方がいいというのは、別にここの総合的取り組みだと言わなくても、上のカテゴリーで十分それはやっていくものはやっていこうということでありまして、何も取り組みをしないと言っているわけではありません。ここを分けているのは、緑化植物はちょっとやり方が全然ほかと違って公共事業として使っているものを、その供給体制の方からも含めて、すべての関係者を巻き込んでどうやっていくかと、そういう趣旨で総合的とこう言っておりまして、そういう意味ではこれだけ別、緑化だけ別にしたいというのが趣旨でありまして、総合的取り組みを別にしたいという趣旨ではございません。

【村上座長】 そういうことですか。なるほどね。これは緑化植物に特化した話だということですね。

【上杉企画官】 そうです。

【村上座長】 例えば、先ほど言ったんですが、学校教育の外来種の取り扱いとか、こういったものは文科省を通して選んだんですね。そういったものは。

【上杉企画官】 その話は多分後でこの石田先生の資料なんかも関連してくるのかなと思っているんですけれども。いずれにせよ生物多様性保全を進めていく上で1つの新しい柱としての外来生物対策ということでありますので、ある地域の環境をどういうふうによく管理していくのかという観点からすれば、まさに総合的に本当は見ていかなきゃいけない。そのうちの1つの柱の外来生物対策を、今回は法律をつくって法律上しっかりやっていこうということだと思います。学校教育云々については、まさにそういう意味では法律の対象になるもの、ならないものを含めて、全体としてどう見ていくか。あるいはそれは生物多様性保全という全体の中でどういうふうに理解をしていってもらうかということも含めて多分考えていかなきゃいけないのかなというふうに思います。

【村上座長】 これは要注意外来生物リストという形の中での話ですから、一応それはそれとして置いておきましょうか。とりあえずそうしたらこの資料2-1は……。

【石田委員】 いいですか。

【村上座長】 これは時間的にちょっと、もうその一言で終わりましょう。

【石田委員】 繰り返しなんで一言だけにしておきますけど、クジャクに関しては最初にリストに挙げるべく要注意に入れて検討する話だったはずなんですね。それで外来種の方、要するにこの法律自体がやっぱりきちんと対応していくと。対応できるようにその運用を考えるということで、ブラックバスなんかでもキャッチアンドリリースやっていい場所を決めて、それ以外のところはいろんなことをやっていますよね。それでリストに入っているわけですね。そういう線でいて、なおかつ何か急にクジャクはそのままでもいいからというような形で随分説明が変わってきちゃっているんで、ちょっと何かその辺は私はやっぱり対外的にこの法律についてきちんと説明できているのかなというのは疑問に思いますね。

【村上座長】 インドクジャクの議論は後にしましょう。それでとりあえず資料2-1に関してはそれで終わりまして、今度、今の話で2-2、2-3と2-5、この3つで。それで今たまたまインドクジャクの話が出ましたから。ただ、哺乳類に関してもぽんと済ましておけるようだったらいいんですが、リスザル、シマリス、フェレット、これはこれでよろしいですね。だから、シマリスは先ほど議論したとおり条件つきで次回でやると。この次の第三次選定に入れると。リスザルとフェレットに関してはこういう扱いにとりあえずはする。ただ、これもフェレットの飼養実態というのがもう少し、例えばそのほとんどが去勢、不妊されているというのは本当かいなというのがちょっと気になるんですが。大矢さん、この辺どうですか。

【大矢委員】 ペットで飼育されているものは、ほとんど去勢して入ってきています。ただ、一部国内で繁殖をしたいという方がいらっしゃいまして、そういう方は去勢していないものをあえて求めているという実態はあると思います。

【村上座長】 フェレットも将来的には入れた方がいいと私は思っていますね。こういうかなり生態系の上位のもので影響が大きいと思うんですが、これは、ただ今その資料が不足しているような体制なんで、今すぐ入れられるかという、ほかのものと比べるとやはり落ちるなと。だから今後検討すべき種の中のかなり上位のものにあるだろうと思いますので。
 なければ鳥に入りまして。今のインドクジャク、これがこの前からずっと懸案になっていますので、この議論をしましょう。石田さんの意見で、話がえらく違ってきているんではないかという指摘なんですが、その辺につきましては事務局どうでしょうか。

【中島室長】 話が違ってきているんじゃないかという認識は我々全くなくて、そもそも被害の知見があるかどうかをまず検討しています。被害の知見はあるというふうに、少なくとも沖縄でかなり広範に拡大をして被害を出しているということで認定できるだろうということなんですけれども、その次に、では規制の効果があるかどうかとか、あるいはその規制についての社会的な理解が得られるかというような、別の行政的な観点を踏まえると、インドクジャクの場合は沖縄の一部の地域で問題を起こしているといっても、その本州等のほかの地域、広い地域でたくさんの方が飼っておられて、そこでは野外で放されていても問題を出していないという実態がございますので、そういったところ、問題が起きていないところで厳しい規制をかけるということについては、規制に対する一般の方の理解が得られにくいのではないかということが、規制をかけた場合の問題点として我々としては挙げられる点だと思っております。そのあたりのことをちょっと課題としてあるので置いておくとして、その問題が出ている沖縄では防除をどんどん進めていくべきだろうということで、先ほど申し上げたような国立公園等の事業の中で防除の事業はもう着々と進められているということでございます。

【村上座長】 今の説明私は少しひっかかるんですけれども、本州での被害が明らかになっていないのは事実ですが、それは調べられていないからわからないのではないか。だから沖縄はたまたま調べられて、それで島であるということも含めて顕在化した。それで、そういう顕在化するぐらいの影響力を持っているものが、その放逐されていると。今、クジャク園とかで放されているやつはその中で動いていますから、あの中の生物を調べた人なんていないと思うんですよ。それで影響している人もそれはわからないだけではないかということは考えられるんです。その辺はむしろどこかで被害が起こる場合には、そいつがよそに行った場合は、やはり被害を起こすんではないかと考える方がいいなと。今のところ被害実態が不明であるというべきであって、被害実態がないとは言えないと思うんです。

【石田委員】 よろしいですか。法律の運用でどうしても入れられないというその考え方が一方であることはわかります。それはもう最初からわかっていて私も理解しているんですけれども、2回目ぐらいからね。それで、私たちは一応生物学者ですので、やはりどこに入れるかということに対して基準がはっきりすれば、そこである程度白黒事実について判定するのが役割だと思うんですね。それでやはり生態系に被害があると。それはその環境によって違うのかもしれません。それはもちろん自然林であるとか人工的な環境であるかとか。それであれば法律の方でどこに入れるかということを、そこで定義すべきなんですね。被害のないところでは規制する必要がないとかね。だからそういうところを考えていただきたい。科学者はその被害があるとかないとかということの可能性とかいうことをもっと規準、ある一定の基準の中で判断していくわけですから、そこで私は繰り返し沖縄でははっきり被害があると。それで、村上さんも言われたように、ちゃんと調べれば場所によっては局所的には被害がある可能性が高いわけですから、そういうような基準につくり変えていっていただかないと、科学者としてはそこで判断できないというのは江口さんが言われたのと同じことですね。やっぱり専門家としてはそういうことをきっちりとした上で科学的にやっていっていただきたいというような考え方なんです。

【中島室長】 今のご意見は現在できているこの特定外来生物法の法律の仕組み自体が今のような問題点があるということでご指摘を受けたということで将来的には我々としても課題として受けとめていきたいと思いますけれども、現在の法制度は1つの特定外来生物を指定すると、それは日本全国どこでも同じような規制がかかるという仕組みになっているわけですから、一応その今の法制度を前提にこの指定をするかどうかということも考えざるを得ないというところも我々の置かれている状態なわけで、そこのところは理解をしていただきたいというふうに思います。

【石田委員】 それは理解しているつもりなんですけど、繰り返しますけど植物の問題とかブラックバスの問題とか、実際に運用を指定することの方がやはり大事であって、運用の方で柔軟に対応するということが実際ほかで起こってきていますんで、それに応じてメジロとか、すべて、私としては意見を言っているつもりなんですけどね。

【上杉企画官】 よろしいでしょうか。指定して柔軟に運用しているというのは、ちょっと事実と違いますので。ブラックバスについては指定をして、全国厳しく一律にこれはだめですというふうにしています。ただし現実にいるものをどう防除していくかと、これは現実にあわせるしかありませんので、規制は全国一律に、これは全く柔軟になんていうことはありません。そこははっきりしています。運用上やるというのは防除についてですね。今いる、既に蔓延してしまっているものについて防除はどうするかと。これは現実に即して考えざるを得ないということを言っているだけですので、ちょっと誤解のないように念押しをしておきたいと思っています。
 それでもう1点は、法制度上できるかどうかでいうと、これは我々も十分検討した上で、外国から来るものを水際で全国一律で見るという以外に法制度的には成り立たないというのがもう結論でありまして、片方では、守るべき自然公園のあるところについては、その区域内に持ち込むことをその自然公園の方で規制をしていくと。そういう意味では別途その守るべき場所ということで考えていきましょうと。両方で成り立つ、防いでいきたいというのが基本的な考え方になっているわけです。ただ、残念ながら自然公園の方は動物の持ち込み、放すことについて、必ずしも規制がされていませんので、これは自然公園法の方ではそういう規制について検討している。どういう形でどの場所でどういうものを規制していくのかということで、これはもう検討に入っているわけですけれども、具体的な制度改正はそのうちに出てくる形になると思いますけれども、その両方を組み合わせていかざるを得ないだろうということを考えています。

【村上座長】 インドクジャクに関しては、その放し飼いのことが非常に気になりますね。だからこれはやっぱり少し野外でどのぐらい出ているかどうかとか、その辺のところを、少しやっぱりチェックをかけて、次回にはその資料を出してもらうというのは。どこでどの程度放し飼いをしているのか、小豆島もたしか放し飼いをしていたと思うのですが、その実態を把握して、その上で議論するというのが次のステップだと思うのです。だからこれ、僕はインドクジャクは入れた方がいいと思っていますんで、それはその方向で議論をした方が僕は望ましいと思います。ただ、寿命が長いですから、学校で既に飼育しているやつが20年から30年生きられると、きっと大変な混乱が起こるだろうというのはよくわかります。だからこういうふうに要注意に入れておいて、学校関係者に注意しなさいよということが必要な段階はあると思いますので、とりあえずそういう形の処理はそれでとりあえず次回のときにやはりもう少し詰めた議論をしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 そうしたらほかのことはどうですか。ここにシリアカヒヨドリとかメジロというのが載っていますが、それに関して。江口さん、意見言ってください。

【江口委員】 ここに6種類ほど挙げられたんですが、それぞれ国内での広がりの程度とか入っているか入っていないか、それからどういう問題があるかというのはいろいろ違っていて、特にシリアカヒヨドリとテンニンチョウというのは、この2種類というのは、国内に入っていないか、または入って繁殖の事例というのがあるんだけども1例とかそこら辺ぐらいで実際はほとんど入っていない状態と同じです。それに対して例えばクロエリセイタカシギであるとかコリンウズラとかは、実際に繁殖していて、文献的にも被害の報告というのがある。シジュウカラガンもそうですね。それで先ほど申しましたように、この要注意リストに挙げることによって何をやるかということが関係してきます。まず水際でとめるために、注意を喚起したりリストに挙げてこういうものは持ち込まないようにということを主にするんであったら、鳥であればシリアカであるとかテンニンチョウだけに限らず、もっといろいろ問題になっている種があります。例えばハッカチョウの仲間もこれはIUCNのワースト100の中に入っています。そして現実に国内に広がってますし、こちらの方がより緊急度は高く、それ以外にも現実に日本で繁殖した事例があって外国でも被害が報告されているという種は割とたくさんあります。だから、そういうふうに水際で食いとめるということを中心に考えるんであれば、もう鳥のかなりの多くをここに挙げてほしいと思います。
 ところがそれをやると、また一方ではリストに挙げただけということになりかねないということもあるので、私としては国内に入ってきたもので割と被害が問題になるだろうと思われるもの、そしてなおかつ行政的な方策例えば駆除・防除が、インドクジャクみたいに地域的にでもなされるんだったらそのような種を優先的に挙げるのが最もいいと思います。それ以外でも、例えばコリンウズラみたいなものは、フィールドトライアルで猟犬の訓練のための意識的な放鳥をやっています。これは完全に外来種を意図的に放していることであるから、これに対する行政指導みたいなものという、そういう形でも何か対策がとれないかということでここに挙がっていますし、クロエリセイタカであれば確信犯的な人が放鳥しているということも聞いておりますので、それに対してもやっぱり指導をするという、そういうような対策というのができるだろうと思います。シジュウカラガンあたりになってくると、まだそれほど分布は拡大していないので、さらに大型だから駆除というのがひょっとしたら可能かもしれません。これらのレベルにあるものは何か対策をとってほしいし、そしてとれるかもしれないと思います。それで、対策が難しいものよりも、そういう何らかの対策が取れそうな種を挙げていきたいというふうに考えております。そういうことなので、今のところ、シリアカヒヨドリであるとかテンニンチョウというのは、私個人としては要注意生物のリストに挙げることはかなり疑問符がつくというところです。けれども、現実に入ってくるおそれもあるので、その抑止効果ということを考えるんだったら挙げておいてもらっても結構であるし、本当はもっといろんな種類を挙げてほしいというところですね。

【村上座長】 鳥類に関しては、基本的な検討が必要だと思うんですね。それで今言われたように、その優先順位がどうつけるかということの議論がかなり重要だと思うんですよ。今回はまだその議論がまだ未成熟。結局被害の実態とか、それから定着の状況とかその辺がどうもよくわからない。まだ哺乳類の方がよくわかっているというのが困るんですね。だからその辺のところについての情報をもう少しきっちりして、その上で決めていくという。だから今いろいろな種が挙がっていますが、その次のための資料づくりを頑張って鳥類グループでやってほしいんですけどね。そのワーキンググループをつくってやれるようなことを考えてもらえませんかね。

【江口委員】 だから広くいろんな種類をリストアップするというのであれば、それについての国内のデータでわかっている限りでは30種かそこらぐらいの情報というのは現時点で大なり小なりあります。

【村上座長】 だからその影響の大きさとかを考えて、指定の優先順位とかそういったものを割と絞って、これはいけるのではないかというような形で特定に持っていくというのは、ちょっとプロセスが必要な感じがしますね。

【江口委員】 それももとに戻るんですけど、そういうこの要注意リストのところにとにかく問題になりそうなものというのを片っ端から挙げるという、そういう方針で進むことになるんですか。

【村上座長】 これは難しいですね。余り不見識に要注意生物をふやすと後また困りますしね。だからそろそろ。

【江口委員】 そういう片っ端から挙げるという方向も1つの問題じゃないかと思うので、何か対策が容易にとれそうなものということでまず切るべきじゃないかということをちょっと考えたんです。

【村上座長】 そうですね。だからこの前から言っているように、レッドデータブックの絶滅のおそれの規準みたいに、この外来種に関する基準づくりを客観的に基準づくりをしましょうというのはそこにいくと思うんですよ。どうぞ、大矢さん。

【大矢委員】 要注意リストの作成の仕方なんですが、今、江口委員のおっしゃったように、どんどんどんどん何でもかんでもリストに挙げていくということを業界側の立場から申し上げますと、非常に影響が大きい。違う意味での影響が大きいということなんですね。それでなくても、どういう意味合いがあってこういうものがリストアップされているのかということはいま一つよくPRされていない。先ほど普及啓発というお話が出ておりましたけれども、そういうことが余り認知されない中で事がどんどんどんどん進んでいってしまうということは、鳥獣業界全体を圧迫する問題にもなりかねませんので、その辺のところは慎重にお願いしたいと思います。
 先ほどのテンニンチョウなんかに関しても、少なくとも私の認識の中ではまだまだというか、それほど野外に放たれているというふうな認識はないんですね。そういうものがどうしてこういうところに出てきてしまっているか。托卵習性はあるけれども、日本にその托卵習性の宿主がいないということで、ほかのものにも影響を及ぼす。確かに学問的にはそういうことがあるかもしれませんけれども、実態的にはどこまでいっているのかということも、ある程度一般的なコンセンサスを得るような方向に持っていっていただきたいと、そのように思います。

【村上座長】 どうぞ。

【小林委員】 私どもも動物園にいる立場としまして、ちょっと話がそれるかもしれませんけれども、今度は防除したものたちが、一部の方はそれは殺処分されちゃうんだという意識を持っている方もいますし、それは動物愛護の観点から命あるものはどこかで引き取るべきだということになりますと、動物園がまず一般の方たちは考えるところだと思うんですよね。その辺で我々としてはそういう部分でどう対応していけばいいのか。まして私の所属するところは公的なセクションですから、市民の方たちからもそういう意見が来ますしね。現実に私ども千葉ですので、今回、指定されたアカゲザルとニホンザルの交雑の問題で一部、今議会でもそれを動物園で引き取れないのかというような意見も出ましたので、その辺をちょっと当局の方はどう考えていらっしゃるのか伺いたいと思います。

【上杉企画官】 確かに防除して捕獲をした個体をどう扱うかというのは悩ましい問題だと思います。ただ、実態的に相当数の多いものもおりますね。アライグマなんか典型なんですけれども。これを全部だれかが引き取ってそのまま飼養を続けるというのは、これはもうはっきり言って無理もあります。この基本方針の中にも書いているんですけれども、いずれせよそういう場合に殺処分も視野に入れざるを得ないと。ただ、これは動物愛護法にも書いてあるわけですけれども、むやみな殺処分はしないということと、殺処分をしなければならない場合には、当然ながら安楽死といいましょうか、適切なやり方でやっていくと。そういうことを視野に入れて取り扱っていく、そういうことを考えています。
 ただ、片方でどうしても防除の関係で捕獲した個体をある程度飼養した方がいいと。それが防除の推進につながるんであるというふうなケースで引き取るような施設があれば、そこについては我々として飼養を許可している、そういう対応もできるようなことを一応考えておりまして。場所場所に応じて引き取り施設があるのかどうか、そういうことを見ながら具体的な対応を考えると、そういうことになっています。

【小林委員】 わかりました。それで何が言いたかったかと言うと、先ほどの大矢さんの意見と同じで、確かに先生方のあれはわかるんですけれども、むやみに何でもかんでもリストに入れてやってしまわれると、これから動物園等、動物園、水族館関係もやはり先ほど申したとおり矢面に立つわけですよ、防除の問題でですね。だからそういう辺の部分もある程度整理した中で選定していっていただけたらなと、私どもの立場ではそういうふうに考えております。

【村上座長】 今の問題は実際の防除をやるに当たっては重要なことなんで、そのうちにちゃんとしたことを考えなきゃいけないですね、もう少しね。
 そうしますと、鳥についてはそういう形で詰めるということにいたしまして、そうしたら2-4に、今の要注意外来生物リストというのを一応、ここから外そうというような話はしますか。江口さん、テンニンチョウは外しといた方がいいというふうに思われますか。それともこれはこのレベルで入れておかざるを得ないとみますか、どうしましょう。今回の扱いとして。

【江口委員】 とりあえず入ってきてないものは、まだいいんじゃないかと私は思います。それよりも国内で問題になる、ここで挙げているもので問題になりそうなものを防除する方向で考えてほしい。

【村上座長】 だから特定に入れるという話じゃなしに、要注意外来生物の中のリストから外すかどうか、あるいはもっとこれだったらこういうものが入るのではないかという、そういう話をするかどうかということです。

【江口委員】 入れたいとかそういうこと。

【村上座長】 そういうことです。だから余りにも不合理で……。

【江口委員】 今回で間に合うなら。ハッカチョウの仲間だったらその次の三次のときという話もあったんですけれども。今まだこれ、資料も出てないんで。

【村上座長】 ですね。資料が出てなくてそれを議論するというのはちょっとしんどいですね。だから今の段階では、この中で特にこいつはちょっと不適切だから外そうと思ったら、僕は外すことは可能だと思うんですよ。それはもう十分に可能と思う。だからその辺の部分について。

【石田委員】 その具体的なことに関していろいろな基準がとにかくはっきりしないんですけど。もし、これIUCNのワースト100を基準にしているわけですね。後でクマネズミの話をしますけれども、そういうことを明確にしてまずそこから始めるんだということであれば、ワースト100に入ってるものをすべてまず入れると。その中でできるところからきっちりと資料を集めていくと。

【村上座長】 さっきハッカチョウの話も出ましたよね。

【石田委員】 ええ、ハッカチョウも含めてですね。実際にできないものは仕方ないし、ほかの生物群で大事なものありますから、待つのはいいと思うんですけれども、いずれはそういうものに関してきっちりと資料なり考え方を整理していくということが、やっぱり特にこの分科会というんですか、専門家会合で大事なことではないかと思います。

【村上座長】 だから今の話でシリアカヒヨドリを入れることに対しては、この前から問題なかったしね。シジュウカラガンも問題ないと。きょうコリンウズラ、テンニンチョウとクロエリセイタカシギ。特にテンニンチョウが今ちょっと問題になっているという感じなんです。

【石田委員】 テンニンチョウ入っているんです、ワースト100に。

【村上座長】 入っていましたか。

【中島室長】 テンニンチョウは入っていないです。

【村上座長】 入っていないでしょう。

【石田委員】 だからそのテンニンチョウを外してそのハッカチョウとか入ってますよね、もう少し鳥の名前が。

【村上座長】 そうしたら、これは今議論中の……。

【中島室長】 インドハッカがIUCNの100のリストに入っているんですけれども。

【石田委員】 ええ、だから、そういう形でまず入れて。

【中島室長】 いや、それは一応日本産鳥類の中にインドハッカが含まれているので、この法律の中では在来生物扱いということで除外されているということなんです。

【石田委員】 技術の話はわかるんですけれども、現実としてね。ただ研究者としては科学的な基準にはなり得ないですよね、それだとね。白黒はね。だからあとは妥協の産物ということになるんでしょうけれども。結果としては。

【名執課長】 石田先生から検討の基準がわからないということがございましたけれども。

【石田委員】 いや、わからないって言ってない。

【名執課長】 大変認識があいまいだというお話がありましたけれども。第二次選定を始めるに当たって、どういうものを検討対象種にするかというのは、このイメージ図にございますけれども、これで例えばIUCNのワースト100については検討の対象にするんだということを最初の会議のときに確認していただいたというふうに我々思っておりますけど。

【石田委員】 ですから、そのワースト100に関して入るものはすべて入れればいいんではないかと私は。全部入っているんですか。

【名執課長】 全部……。

【石田委員】 じゃあ、そのインドハッカは国内種だと。

【名執課長】 ええ、そういうことですね。

【石田委員】 じゃあテンニンチョウだけ外して全部入れていただければいいような話なんですかね。テクニカルにはね。ちょっと整理が頭の中できてないですけど。

【村上座長】 江口さん、何かありますか。

【江口委員】 すみません、聞いてなかったんですけど。

【石田委員】 そのハッカチョウが問題であればインドハッカはもう入ってないけど、かわりにハッカチョウはほぼ準じるものであるとしていると。

【江口委員】 迷鳥が1回でも出てくるとあれだよね。

【石田委員】 いや、そうじゃなくて。結局IUCNのワースト100にインドハッカが入っていると。それは国内種だという判断ですね。環境省は。だけどそれに準ずるものとしてハッカチョウは明らかに問題であるという形で江口さんが今判断で、それはワースト100に準じるものとして入れるべきだとか、そういう議論はできますよね。

【江口委員】 だから要するに同属のものというのが複数、3、4種類ぐらい入ってきて現実に繁殖していると思いますけれども。その中でインドハッカだけがワースト100に入っているんですけれども、生態的にはすごく似ているわけだし。それでハッカチョウそのものという、そのハッカチョウ属としてでも何かリストに入れる方向というのがいいんじゃないかと思うんですけど。

【村上座長】 ではこうしませんか。要するにこれに関してちょっと、鳥類に関してテンニンチョウを入れるかどうかというお話と、そのハッカチョウをどうするかという話に関しては、ハッカチョウに関するこういう個表をつくって、それでその上で皆さんに回してメール会議みたいなものでその原案をつくってお回しするということでどうでしょうか。これは親委員会で決めなければいけないですね。

【中島室長】 ええ。

【村上座長】 ですから、それまでにこれをそういう形で処理すると、こういう形に……

【中島室長】 そうしますとハッカチョウに関して……。

【村上座長】 だけね、今のところ出ていますのは。

【中島室長】 これに含める要注意リストに1つ追加する方向で、今回資料が出ていないので、次回、全体会合までにお集まりいただくことはできませんので、個別に皆さんに資料を見ていただいて、要注意リストに入れるかどうかを判断していただくと。

【村上座長】 その資料は江口さんと石田さんでつくってもらえますか。

【江口委員】 個人的には来週からちょっと海外出張になるもんで。全体会議っていつあるんですか。

【名執課長】 8月上旬です。

【村上座長】 8月の上旬で8月5日に予定されているんです。

【江口委員】 いないんで、ちょっと……。

【村上座長】 ということは、第三次の選定のときにそれを考えるということでしましょうか。そうすると今とりあえずはテンニンチョウを入れるかどういうことかに関してはどうでしょうか。この要するにハッカチョウを入れることでそれが入るとしたら。

【江口委員】 私としては外してもらってもいいと思うんです。

【村上座長】 なるほど。だから余り混乱を招くようなものを入れると後で困ると思うんですよ。それが入るんだったらこれも入るよ、これも入るという形で広がるのはね。

【江口委員】 どっかで入れるところはこういうものを入れるということを、鳥なら鳥だけでも何でも基準決めておいた方がいいと思うけど。

【村上座長】 基準をちょっともう少し議論した方がいいと思うんです。きょうはそのためには時間が足らなすぎるのでね。本来、もう少し詰めておいたらよかったんですが、その詰めができていませんので、とりあえずはテンニンチョウはペンディングしてしまいましょうか。どうでしょう、事務局の方。

【中島室長】 はい。テンニンチョウだけをそうしましたら外すという……。

【江口委員】 シリアカも同じようなもんなんですけど、シリアカは入れるということですか。

【石田委員】 シリアカはワースト100に入っているので。

【村上座長】 食害を与えているとなっているんで。これは被害を与えていることがあるという話だったんで僕はそれは……。

【石田委員】 対象になるんです。

【江口委員】 要するにワースト100に入っているから入れておこうという。

【村上座長】 それはそれでこの前の議論そうやって進んでいますので。それを踏まえるとこれは外す方がおかしいと思います。だから問題になるのはテンニンチョウだけだと思います。

【中島室長】 ではテンニンチョウについては要注意リストから外すということで、今出ましたハッカチョウについては三次の検討の際に議論ができるようにこちらの方で個表を整理したいというふうに思います。

【村上座長】 そうしますと、この議論はそれで終わりたいと思います。今外したやつを除いてはもう全部入りましたので、それで一応、特定とそれから要注意外来生物に関しては切ったということです。
 そうしますと資料2-4が残っています。この考え方について、これについてどうでしょうか。これは今、いわば今後の方針みたいなもので。割と、かなり重要な問題を含んでいると私は思っているんですが。ただ、これは現在これをきっちりと議論するという話になっていないんですね。こういう方向性を検討しますよという話で、それで僕は方向性は大賛成なんで。この内容について事細かに議論しますか、今。案についてというのはこれのことをどうやって議論の。僕は今回はそこまでしなくていいと思うんですが、どうでしょうか。

【中島室長】 できれば、その要注意外来生物リストを公表するときに、種のリストだけではなくて、先ほどのような生物を扱っている方々に対して、その利用形態等に共通して配慮すべき事項も一緒に普及したいというふうに考えております。ですからここに挙げております幾つかの項目については、哺乳類・鳥類に関係するところということで、具体的な文章を挙げておりますので、もし、今ご意見ございましたらこれについては意見をいただいて。ただ、確定はちょっとこの場ではいずれにしてもしないと思いますので、意見をいただいた上で、また座長とご相談をさせていただければと思いますけれど。

【村上座長】 わかりました。そうしたら観賞魚を飼育する方にとか、爬虫類を飼う方にというのは、各々のグループにそれは考えてもらうということですね。それから観賞魚を入れたら僕はそのアクアリウムの植物というのは大変なもんで、それがやはりかなり問題なのでそっちの方も入れてほしい。それからこの動植物を輸入する方に、これはかなり関係するところがあって、大矢さんなんかこれ原案をやっぱりつくらないと。これだからいつまでにつくらなきゃいけない。これ書いてないところがあるもんですからね。だから今議論しようと思っても、これまだ成案になっていないなというんで。

【石田委員】 メールで回覧していただいて。

【村上座長】 だから今の段階では基本的なことを議論しておいて、それでこういうものが入った、あるいはそういうときにメールで回覧して親委員会にかけるというスケジュールですね、タイムスケジュールにして回すというのどうですか。特に今問題になることは議論しましょう。まだ時間が若干ございますから。やっぱり時間限ってやるからにはね、よろしく。

【大矢委員】 ひとつ誤解がないように気をつけていただきたいんですけど、ペット販売店の方にとか爬虫類を飼う方にとありますね。外来生物法で指定されたものは飼えないわけですから、そこのところを十分理解できるような仕組みにしておいていただきたい。これだけぱらっと見ると、何だ飼えるんじゃないかみたいな錯覚を起こす可能性がありますんで。
 それともう一つは動愛法の方で対面販売は確実にということも明記しておいていただきたいと思います。

【石田委員】 これはむしろ指定されていない生物であっても注意すべき。

【大矢委員】 そう、そうなんです、指定されたものは仲買というのはできないわけですから。指定されてないものに対しての話ですからね、これは。

【中島室長】 今の案だとそこのところが確かにわかりにくくなっておりますので、きちっとわかりやすいように変えたいと思います。

【名執課長】 一応今飼っている人については、その一代限りは認められるようになっていまして、そこら辺も含めて誤解のないようにやっておりますので。

【大矢委員】 今飼っていることについてというお話が出たんで、ちょっとよろしいですか。今飼育されているテンニンチョウだとかそういったものを届出制の申請書ができましたね。あの申請書が末端の一般の愛好家と、それから商売としている方たちとみんな同じような書式になっているんですね。ですから私のところにもかなり問い合わせが来る。例えばソウシチョウを飼っているんだけど、その飼っている場所の図面だとか写真だとか、それから逃げないような方式でどうやって飼っているかと。そんな難しいことを言われてもわからないと。だったらもうペットショップにでも持って行って返したいんだけどという問い合わせが随分来ているんですね。とにかくソウシチョウなんかは竹かごに入れて飼っているんだから、そこのところに、入り口に留め金をして逃げないようにして、部屋の中で飼っていますよというわかることをつけて、申請をとにかくしなさいと。そうすれば、いけなければまた指導してもらえるからというふうに今言っているんですけれども、現実にかなり混乱しています。
 それからもう一つ、ワニガメなんか危険動物扱いにもなっているんですけれども。ペットショップだとかそれから愛護団体が今困っているんですね。もう飼いきれないから愛護団体で引き取ってくれないかと。だけど愛護団体は許可もっていないから引き取れない。じゃあどうすんだという話で押し問答になっている部分がある。あとマイクロチップの問題も含めてかなり混乱している部分があるので、その辺をどう整理されていくのか。

【上杉企画官】 まず、許可の手続の方なんですけれども、確かに例えば記載様式のものがないということで、非常に特に一般の方はわかりにくいということがあるかと思っています。今、もう具体の申請も出てきておりまして、個別に指導する中でこういう書き方で書いていただいたらいいんじゃないかというのも整理をしていまして、これはホームページで全部出そうということにしていますし、場合によってはペット店の方に相談が行くのであれば、逆にお願いをしてそういう様式集をお配りして、こういうのでいいですよということを協力をいただけるんであれば、そういうことも考えていいかなと思っています。
 それから引き取りの話はこれはなかなか悩ましいところもあります。ワニガメは対象じゃありませんので条例の方でどうするかということになりますけど、やっぱり原則的にはやはり終生飼育の責任というのを自覚を本来はしていただくと。安易な引き取りというのはよくない話だと思いますが。個別に例えば枠を持っている愛護団体の方がいて、そこである程度引き受けられますよというケースの場合は、我々としては飼養の許可の範囲としてそういうのは認めていくということは当然考えておりまして、個別の相談があればそういうことは乗っていくという状況になっています。

【大矢委員】 生き物のことなもんですから飼育のスペース、それから管理の問題等々で、例えばペットショップでその保護を依頼したとしても、ペットショップまたそれを転売するわけにはいかないわけですから。ただでさえ狭い店の中に余分のものをというような物の考え方今非常にあるんで、その辺を今後、業界と一緒に整理していかなきゃいけないんじゃないかというふうに思っております。
 それから今の飼養の申請書のマニュアルですけれども、そういうものができ上がりましたら、業界団体、それから愛護団体等で機関誌や何か出しておりますので、大体そういうものを飼っている人というのはそういう機関誌をとっておりますので、そういうところへ資料をご提供いただければ、また掲載して流すという方法をとりたいと思います。

【村上座長】 そうしたら資料2-4に関してはメールファイルみたいな形で回させていただいて、それで意見を求めて、それで親委員会に原案的なものができれば。ただ、これちょっと慎重にしないといろんなところに影響するもんですから、もう少し十分な詰めが必要だと思います。そういう形でさせてもらいます。
 それで、これで一応の議論は終わったんですが、きょう提出された議論終わったと思いますが。このきょう石田さんが問題提起しているやつを、これは議論しておいた方がいいので。例えばクマネズミをどうするかということですね。今から、これまた時間が押してますが5分ぐらいで。

【石田委員】 申しわけありませんが。外来種の問題は村上さんが最初に自由集会を北海道でされたときからちょっと関心を持って見ているんですけど、私自身はやはりいろいろと生態学者としては疑問を持っている部分があって、法律の枠内で議論する委員会だと思いますので、ちょっと枠を外れるかとは思うんですけれども。やはりこれが象徴していますように、まずはクマネズミが入らない法律っていうのは何だろうなという疑問が常につきまとっております。それで、多分そこの整理というのは多分この2つのですね。確かに法律は日本の法律ですから日本の外と中という区別が大きなものはもちろんわかります。外国に対してそんな干渉的にどうしろとかということは言えないかもしれないんですけれども。ただ、やはり国内の中での移動ということが当然問題になってきますし、それからクマネズミに関していえば、ここに書いてありますように、本当に外来種じゃないのかというのは確かめられていないんです、実を言うと。遺伝的にちゃんと見ますと、常に船で持ってこられるわけですから、実は国外から新しく入ってきたものを同じクマネズミとしてそこにいるんだけど、実際に被害を出しているのは外から来ているものである可能性とかが、間接的なんですけれども示唆されているんですね。そういったことを親委員会の本来ならテーマなり生態学会なりで考えることもあるかとは思うんですが。ちょっと視野に入れて、特にここは哺乳類と鳥類である程度もう結果がまとまってきていますんで、次のステップとしてこういうことを検討課題として、いずれは念頭に入れていただきたいという提案なんですけれども。

【村上座長】 恐らくクマネズミの問題は非意図的導入という形に入るものが多くて、意図的にクマネズミを入れるということは実験動物以外はないんですよ。だからその非意図的導入の管理をどうするかという話がかなり大きな問題で、確かにクマネズミは船から来るのが一番多くてね。ただ、航空機でも来ている可能性はありますけど、わからないですよね。

【石田委員】 それで前にもちょっとお話ししましたけれども、もう1年以内にハンドブックとか、ニュージーランドですか、哺乳類のハンドブックが出てそういうところにも書いてあるんですけど、やはりコンテナが普及して、いわゆる流通、商業的なところでクマネズミが移動する機会が減っているらしいんですね。ただし、例えば鳥類で言えば無人島に釣り人が行くことによって、その船で持って行かれて、それでその無人島のクロウミスズメとかそういう集団が被害を受けている。長谷川博さんなんか随分調べられていたんですけれども。ただ、離島なんでなかなかデータが集大成されていませんけど、長谷川さんあたりであればかなりデータ持っています。生データを、発表していませんけれども。そういったものも含めて、やはりこういう法律にかなりかかわってくると思うので、課題としてね。新しい法律つくっていただいても結構なんですけれども、検討していただきたいと。

【村上座長】 恐らく先ほどちらっと上杉さんが言われましたけども、守れる場所に入ってくるやつをどうするかというやつを別途に考えないと。私なんかも、これクマネズミだけではなしにドブネズミも問題なんですよ。むしろドブネズミの方が問題だという場所もあるわけです。だから、こういうクマ、ドブをどうするかというのは、これ世界的にも非常に大きな、あっちこっちで問題になっています。これを入れない方が常識的にはおかしいという段階ですので、これをどう扱うかというのは物すごく大きな課題と思っています。これどうしようかとずっと考え出すと、今の段階でこれを入れると混乱すると思って、それでもうずっと我慢していたんですが、第三次選定ぐらいのときは基本的な考え方を整理した方がいいと思いますので、それでちょっと議論しませんか。僕はその方がいいと思います。

【上杉企画官】 検討しなければいけないという趣旨は非常によくわかっておりまして、こちらも当然そういうことを考えて、環境省としても考えていくべきものだと思います。ただ、どういう場で検討するのがいいのかというのは多分あるんだろうと思っていまして、法律に基づくある特定外来生物を選ぶという中で議論をするのか、そうではなくて例えば今ありましたようにむしろ無人島であるにもかかわらず釣り人が持ち込んでしまうような、その貴重な島の保全をどういうふうに図っていくのかというふうな考え方をベースにした検討というのもあり得るのかなという気がします。
 例えばここに奄美大島の例が出ておりますけれども、奄美大島という島の生物多様性保全をどういうふうに考えていくのかという場合には、恐らくその外来生物法でいう外来生物だけではなくて、いろんな観点のもう少し大きな目で見た自然再生をどうしていくかも含めた取り組みが多分必要になるんだろうと思っています。そういう意味で検討の枠組みというのも少し、どういう形がいいのかも含めて環境省としては宿題として受けとめさせていただくのがいいのかなというふうに思います。

【村上座長】 念のためにオオミズナギドリのいる冠島、ものすごいドブネズミです。それで、これ卵とヒナを食ってます。私調べました。だからその辺のこともすごく気になりますので。ちょっと次回にそういった資料を集めてやるということで、第三次選定に対してちょっとこの辺を資料にしましょうということで。
 そうしますと、きょう予定した議論は一応終わりましたが、きょう出た意見をどのように整理するかについては、私と事務局にお任せいただけますか。それで皆さん方にお諮りしますので。そういうことでよろしいでしょうか。
 そうしましたら、一応、ちょっと数分過ぎましたが終わらせていただきたいと思います。

【名執課長】 本日はお忙しいところお集まりいただきまして、長時間熱心にご議論いただきましてありがとうございました。本日は第二次の特定外来生物に指定するのが適切なもの、あるいは未判定外来生物、種類名証明書添付生物、さらには要注意外来生物リストにつきまして非常に貴重なご意見をいただきまして、いただいた意見については、今、座長がまとめていただいたとおり、事務局と座長で取りまとめまして、8月上旬に予定されております全体専門家会合の方にしっかり伝えていきたいというふうに思っております。
 それから本日、普及啓発の考え方についても案を示させていただきました。これまだまだ不完全なものでございますけれども、この外来生物の問題というのはどういうところから出てきたのかということを考えたとき、この普及啓発というのは非常に大切なものだというふうに思っておりますので、これについてもコメントをいただければというふうに思っているところでございます。
 きょうで一応二次指定については一段落ということでございますけれども、先生方には引き続き第三次指定、それから未判定外来生物の判定などでいろいろご協力いただかなければいけないことがあると思いますけれども、今後ともよろしくよろしくお願いしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

【村上座長】 すみません、先ほどのコメントですが、いつまでというちょっと期限をちゃんと言っておいてもらった方がいいので。

【中島室長】 こちらからは先生方のところにメールできょうでもお送りいたしますので、それをできましたら1週間ぐらいの間にご意見を賜れればありがたいなと思います。すみません、よろしくお願いいたします。