1 日時 |
平成17年7月8日(金)14時~16時 |
2 場所 |
経済産業省別館1014号会議室 |
3 出席者 |
(委員)村上 興正(座長)、石井 信夫、石田 健、小林 正典、池田 透、江口 和洋 |
|
(利用関係者)大矢 秀臣 |
|
(環境省)野生生物課長、生物多様性企画官、自然ふれあい推進室長、移入生物専門官 |
(農林水産省)生産局農産振興課課長補佐、林野庁森林保護対策室課長補佐 |
4 議事概要 |
(事務局より資料の説明)
<特定外来生物等(哺乳類・鳥類)の第二次選定について>
特定外来生物について (資料1-4)
- ハリネズミ属に関して、ヒトイロハリネズミはナミハリネズミとユーラシア大陸で生息地が一致するところもある。アムールハリネズミとナミハリネズミを特定外来生物に指定するならば、ヒトイロハリネズミも加えてハリネズミ属で指定するのは望ましい。アムールハリネズミは日本で、ナミハリネズミは外国で定着し、被害も報告されている。アムールハリネズミに関しては、日本に定着してから期間が短いので、早期に対策を講じれば、費用を抑えて、効果的に防除が実施できる。
- このことを個表に追加するべきである。
- 輸入量が多いシマリスを第二次選定種の中でどう取り扱うか問題であると思われる。
- 飼育実態を考えるとアンケートの結果よりも、飼育数はかなり多いのではないか。アンケートでもあったように、飼育年数が短いということについて、飼育が難しいのか、逃がしやすいのかを判断する資料はあるのか。
- (事務局)詳細なアンケートではないため、不明な点は多い。ただし結果としては、飼育経験者の16%はシマリスを逃がしてしまい、それ以外は、譲ったか、死亡させたのではないかと思われる。
- 今後、飼育実態について引き続き情報を収集し、次回検討会で報告していただきたい。
- 今回の会議で特定外来生物に指定しないことは理解できるが躊躇している。本州では、定着したという情報もあるようだがしっかりした調査は行われていない。現時点で根拠が不足しているので、定着に関する情報を集めるべきである。
- 狩猟鳥獣であるシマリスの捕獲を制限していない都府県では被害実態があるのではないか。
- 狩猟統計等整理する必要がある。
- 北海道では、シマリスが放されたとされる。もし今後、指定する場合には、在来種との見分け方について検討する必要があると思われる。
- (事務局)第二次選定では、要注意外来生物となっているが、今後、飼育実態や被害に関わる知見、見分け方に関する資料をそろえて、第三次の選定のなかで議論していきたい。
- タイリクモモンガの生態が在来のモモンガと重複することを考えると、営巣に樹洞を利用するため、在来の樹洞を利用する鳥類などと高頻度に競争が起こり得る。そのような情報を加えるべきである。
- (事務局)その他の関連情報として、樹洞をめぐっての競争があるという記載を加えたい。
- マスクラットは、爆発的な繁殖力と分布拡大能力を持ち合わせていることを資料に付け加えるべきである。この種に関しては、以前、行徳で保護運動があったようだ。広く一般に特定外来生物に指定することに理解を求めるためにも、海外での被害の事例と爆発的な繁殖力を持つということを強調すべきである。
- アメリカミンクは、資料に書いてあるとおりで、すでに定着しており生態系への影響も大きいため、特定外来生物に指定するべきである。
- シカ亜科は、資料1-8で示したような養鹿の実態と遺伝的撹乱の問題があるため、特定外来生物に指定することが望ましい。
未判定外来生物について (資料1-6)
- 分類の確認として、種類名証明書添付欄のハリネズミ亜科というのは、ヨツユビハリネズミも含まれるのか。
- (事務局)含まれる。未判定外来生物の属の欄のところで、ハリネズミ属とアフリカハリネズミ属とオオミミハリネズミ属が含まれるべきであり、修正したい。
要注意外来生物について(資料2-1~2-3)
- 要注意外来生物リストには情報が不足し、被害報告はあるが課題が多い種がリストされている。全国一律で取り組むのが困難と思われる種もある。要注意外来生物リストの解釈によっては、リストされる種が異なってくると思われる。要注意外来生物リストは、普及啓発を目的に準備しているのか。リストした種については様々な取組が必要であり、3.(4)の総合的な取組みを進める外来生物を緑化植物に限定せず、いろんなものについて対策を講じる必要があるので、事務局の考えを教えてほしい。
- (事務局)要注意外来生物リストを作成する目的は、一般に広く利用する際に注意喚起することにある。結果として、要注意リストの作成目的は、普及啓発が中心となる。緑化植物については、植物グループ会合において社会的有用性が高く、代替のきかないものが多いという観点から3.(4)の項目を別途設けた経緯がある。
- 資料2-2のフェレットについて、ほとんどが去勢・不妊手術が施されているというのは本当か。
- ペットで飼育されているものについては、ほとんど手術されてから輸入されている。国内で繁殖希望者が僅かにおり、あえて去勢、不妊手術を実施していないものを入手している実態はあるようである。
- フェレットは生態系への影響が大きいため、将来的には特定外来生物に指定するべきと考えるが、現在は資料が不足しているため、要注意外来生物リストに含むべきであろう。
- (事務局)インドクジャクは、沖縄では被害の知見があるが、本州では被害の実態がない。被害の生じていないところで厳しい制約をかけた場合、一般の方の理解が得られにくいと考える。問題のある地域で具体的に対策を講じる方が良いのではないかと考えている。
- 沖縄では、調査により被害が健在化しているだけで、本州では、被害がないわけでなく、調査もされていないと考える。そのため、本州では、被害実態が不明とするべきである。
- 法律上で規制することにより混乱することは理解できる。ただし、生態系によっては被害が生じているのであって、科学者としては、被害の基準をきっちりと決めていただかないと判断できない。
- (事務局)法律の仕組みとしてご指摘のあったような問題点があることは認識している。現在の法律では、全国一律に規制することになるので、この件については理解していただきたい。
- 植物やブラックバスのように指定したあとで柔軟に対応もできるのではないか。
- (事務局)指定したものについては、全国一律に厳しい規制をかけている。ブラックバスも同じで厳しい規制が課されている。防除については現実に即して、地域や場所によって対策を講じている。
- インドクジャクについては、放し飼いの実態が懸念される。学校において飼育の注意を促す時期を経て、指定へ踏み込むというステップが必要である。
- 鳥類については、6種類が要注意外来生物リストの候補になっているが、普及啓発が目的ならば、テンニンチョウやシリアカヒヨドリのように侵入や定着の実例がほとんどないものよりも、もっと多くの種類が定着しているので、それら多くの定着種をリストに加えるべき。例えば、ハッカチョウ類はIUCNのワースト100の中に含まれており、国内でも確認されている。
- 鳥類については、優先順位をどうするかという議論が未成熟ではないか。鳥類のワーキンググループを作ってみてはどうか。
- 要注意外来生物リストに挙げるためには方向性も明らかにしたい。対策が講じやすいものからリストに加えていくべきでないか。
- 要注意生物リストに片っ端からリストされると、業界としては苦しい。なぜ、リストされたのかを理解できるよう情報公開をしていただきたい。学問的な懸念と一般的な実情とのコンセンサスが必要である。
- 防除したものについては殺処分するのか。動物愛護の観点から、一般の方は、動物園に保管を期待している。どう対応すればいいのか。
- (事務局)殺処分は視野に入れざるをえない。処分する場合には当然ながら安楽死を考えている。ただ、防除したものを引き取る施設があれば、それら施設に預けることも可能としたいと考えている。
- 今回はテンニンチョウは、要注意リストから外す。シリアカヒヨドリはIUCNのワースト100に挙げられている種でもあり、注意するべき種と考える。ハッカチョウについては、第3次指定に向けて資料を準備していただきたい。
普及啓発の考え方について(資料2-4)
- (事務局)資料2-4は、要注意外来生物リストと併せて公表したいと思う。
- 別紙で示されている全内容をメールで各委員にまわし、意見を集約して親委員会で検討したい。
- 要注意外来生物は、特に規制のある特定外来生物に指定されていないという事項を示してほしい。
- (事務局)飼育している特定外来生物についても、1代限りについては継続して飼育できることを示していく。
- 現実に、飼育しておられる方々が許可の申請で混乱しているので、許可の申請に関するマニュアルのようなものがほしい。
- (事務局)申請が進み、資料も作成しているので、ペットショップ等で様式集などを配っていただけるのであれば、配っていただきたい。
- 申請資料のマニュアルができたら、機関誌などに資料提供をしていただきたい。
石田委員持込資料について
- 資料に提示したように、クマネズミについては、遺伝的特性などを含めて議論したいということを提案したい。
- クマネズミのような船や飛行機を使って、非意図的に侵入する外来生物についてどう対応するか問題である。
- 第三次指定に向けた検討の中で議論したい。
- (事務局)検討する必要はあるが、外来生物法の枠組みなのか、それとも島嶼生態系保全の枠組みなのか、様々な議論が必要であると考える。
(文責:環境省自然環境局野生生物課 速報のため事後修正の可能性あり)