環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第3回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(哺乳類・鳥類)議事録


1. 日時 平成17年5月18日(水)14:00~16:05
2. 場所 経済産業省別館10階 1020会議室
3. 出席者  
   (座長) 村上 興正
   (委員) 石井 信夫    石田  健
小林 正典    羽山 伸一
池田  透
   (利用関係者) 全日本動物輸入業者協議会 大矢 秀臣
   (環境省) 名執野生生物課長
上杉生物多様性企画官
中島自然ふれあい推進室長
長田移入生物専門官
   (農林水産省) 安田農産振興課課長補佐
5. 議事  
【環境省 長田移入生物専門官】 予定の時刻になりましたので、特定外来生物等分類群専門家グループ会合(哺乳類・鳥類)の第3回会合を開催したいと思います。
 本日は委員の先生方に加えまして、第1回、第2回とご出席をいただいておりました北海道大学の池田先生、それから、全日本動物輸入業者協議会の大矢様にもご出席いただいております。
 また、事務局側の新しい出席者についても紹介申し上げます。まず、環境省の自然環境局の室長の中島でございます。私、環境省の野生生物課の長田と申します。よろしくお願いします。
 それから、お手元にお配りしました資料の方の確認をさせていただきたいと思います。まず、議事次第の次に委員名簿がございます。その次、資料一覧、それから、資料1、特定外来生物選定フロー、資料2としまして、特定外来生物等の第二次選定に当たっての基本的な考え方。資料3に第二次以降の特定外来生物等の選定の作業手順。資料4に特定外来生物と要注意外来生物の一覧表でございます。それから、資料5、一枚紙ですけども、外来生物の特徴と第二次選定に際しての留意点(哺乳類・鳥類)。それから、資料6、今後の検討の進め方について(哺乳類・鳥類)。資料7、横長の表ですけれども、第二次選定の検討対象種一覧でございます。それから、資料8、第二次選定の検討対象種に係る情報という一番厚い資料がございます。それから、参考資料ですけれども、外来生物法施行までのスケジュール。参考資料2として、未判定外来生物及び種類名証明書添付生物について。参考資料の3として、第一次の特定対象種の評価の一覧、一枚紙です。参考資料4は、一次選定の過程でまとめられました要注意外来生物リストの暫定版でございます。参考資料5は、第一次の選定対象種37種を選定する際に行ったパブリックコメントの中で37種以外の種について提出をいただいたご意見の概要を取りまとめているものでございます。参考資料6は、特定外来生物等の選定に係る学識経験者からの意見聴取の要領、それから、参考資料7が、本グループ会合の運営方針になります。そのほかにお手元に冊子としまして、特定外来生物被害防止基本方針を置いております。もし、資料に不備がございましたら、事務局におっしゃってください。
 それでは、開会に当たりまして、名執課長から一言ごあいさつ申し上げます。

【環境省 名執野生生物課長】 環境省の野生生物課長の名執でございます。
 本日は大変お忙しい中、特定外来生物の哺乳類・鳥類の専門家グループ会合第3回会合にご出席いただきまして、厚く御礼申し上げます。また、先生方には、日ごろより野生生物の保護行政におきまして貴重なご助言、ご協力いただいていることを、この場をお借りしてあわせて御礼申し上げたいと思います。
 この特定外来生物の関係でございますけれども、昨年の11月から今年の1月にかけてご議論いただきました第一次選定候補、哺乳類11種、それから鳥類4種でございますけども、これにつきましては1月31日に全体専門家会合を実施いたしまして、これを第一次の選定指定対象とすることが適当という結論が出まして、その後、2月から3月にかけまして1カ月パブリックコメントを実施したところでございます。
 それで、4月5日に再び全体の専門家会合を開催いたしまして、パブリックコメントの結果をご報告、検討いただきまして、特に、哺乳類11種、鳥類4種についての指定方針は変更する必要ないということになりまして、この特定外来生物の指定に関します政令につきまして4月22日に閣議決定をして、6月1日から施行されるという段取りになっております。
 それで、今日お集まりいただきましたのは、次の第二次の指定についてご議論をいただくということでございますけれども、先ほどお話しした4月5日の全体専門家会合におきまして、後ほどご説明いたしますけれども、二次以降の指定方針というものを、全体の指定方針というものをご議論いただきまして、それに沿って、哺乳類・鳥類についての第二次指定についてご議論いただきたいというふうに思っております。これにつきましては、7月下旬を目途に選定候補が決まればというふうに考えているとこでございますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。

【長田専門官】 では、議事進行につきましては村上座長にお願いいたします。

【村上座長】 それでは、早速始めたいと思います。
 先ほどご説明ありましたように、一次選定が終わって、二次選定については、哺乳類・鳥類は1回で済ませれば済ますと思いますが、必要ならばもう1回やってもらう。7月下旬の間に決めようという話になっておりますので、ご協力のほどよろしくお願いします。
 そうしましたら、まず、議題1は特定外来生物(哺乳類・鳥類)の第二次選定についてとなっております。前回の会合では、第一次の特定外来生物の選定候補などについて論議がありました。まず、全体会合で検討されました第二次の特定外来生物等の選定の作業手順等について、事務局から説明をお願いします。

【環境省 中島自然ふれあい推進室長】 それでは、私の方から説明をいたしたいと思います。
 まず、資料1をごらんになっていただきたいと思います。
 資料1は、第二次の特定外来生物の選定のフローという資料でございまして、先月4月5日に開かれました第3回の全体専門家会合におきまして、第二次指定以降の進め方についての確認がございました。そのときにこの紙を出しているわけですけれども、7月下旬までに検討を進めて、7月下旬に第5回全体専門家会合を開いて、第二次の特定外来生物の候補リストを作成するということになっています。それまでの間に、6月9日ですけれども、第4回の全体専門家会合を法律の施行とほぼ大体同じ時期なんですが、開催いたしますが、その前、5月中旬から6月上旬にかけてと書いてありますけども、今回、第一巡目の専門家グループ会合ということなんですけれども、それぞれの分類群ごとに1回あるいは2回このグループ会合を開催すると。その結果を一度、第4回の全体専門家会合で報告をしていただいて、その後、もう一度、専門家グループ会合を6月から7月にかけて行うというような形で進めてまいりたいと考えております。
 なお、4月5日の全体専門家会合におきまして、分類群の会合の構成につきまして一部変更を提案されまして認められましたのでご紹介いたしますが、会合の構成というところに哺乳類・鳥類、それから爬虫類・両生類とありますけども、下の方に昆虫類等とあります。これまでは昆虫類とそれ以外の無脊椎動物というふうに分かれておりましたけれども、クモ、サソリ等につきましては、これは昆虫類等の方に含むということにいたしまして、昆虫類等と、それから無脊椎動物(陸生節足動物を除く)というような形で整理をしようとしております。最終的には、まだこの分類群会合の名称が確定しておりませんけれども、仕分けとしてはそんなふうに変更になっておりますのでご報告をしたいと思います。
 それで、7月下旬にリストを作成しました後、またパブリックコメントなり、WTO通報の手続をしまして、最終的に政令の公布を年内11月から12月ごろにやりたいというふうに考えております。
 以上が選定のフローであります。
 続きまして、資料の2でございますけども、全体会合のときに、第二次選定に当たっての基本的な考え方というものを、この1枚のペーパーですけども、これで議論していただきました。
 まず、第一次選定を踏まえた検討対象の考え方ということで、第一次選定については37種類、指定に向けた条件が整っているものとして選定をしております。第二次選定におきましては、第一次選定の際に整理をいたしました要注意外来生物リストの暫定版を主な対象にして、そのほか新たにつけ加えられた種、それからIUCNの外来種ワースト100リストに掲げられた生物などについても、予防的観点から検討対象として取り上げるというふうにしております。
 それから、閣議決定をしております特定外来生物被害防止基本方針の中で、ほかの法令上の措置によって、外来生物法と同じような規制がなされていると認められているものは選定の対象としないというふうに基本としてはなっておりますが、それを前提といたしまして、ほかの法令の規制対象かどうか明確でないものについては、こちらの方で規制対象とする可能性がないかどうかを検討しようということにしております。具体的には、植物防疫法の関係でそういったものが一部あるかもしれないということでございます。セイヨウオオマルハナバチにつきましては、年内程度を目途に指定についての検討作業を進めるということになっておりまして、これにつきましては、二次選定のスケジュールとは別の形で別途動くというふうに考えております。
 それから、2番の検討方法ですけれども、第二次選定作業におきましては、第一次の選定作業のときは文献主義といいますか、文献によってはっきりその被害の報告がなされているものについて取り上げたというような経緯があったんですけれども、第二次選定作業におきましては、専門家会合の討議によりまして生態系等への被害が確実と推定されるものにつきましては、その生物学的な根拠を記述しながら、選定のための検討に当たっての根拠として採用していこうというふうにしております。
 なお、分類群ごとに外来生物の特徴と選定に際しての留意点という紙をつくっておりますけども、これを順次、改定をして検討していくということにしております。以上が基本的な考え方であります。
 資料3でありますけれども、今の基本的な考え方、第二次の選定に当たっての基本的な考え方を踏まえまして、第一次の選定のときに作成いたしました特定外来生物等の選定の作業手順というペーパーですけれども、それを少し変更しております。主に変更部分についてご説明をしたいと思います。
 まず、最初、囲みで囲ってあります部分は、特定外来生物被害防止基本方針からの抜粋ということで、それ以外の部分はこの作業手順のオリジナルの文書ということになっております。選定の前提のところですけれども、今回、選定の検討の対象にする生物ということで、囲みの下のところですけれども、先ほどの資料にありましたように、要注意外来生物リストを主な検討対象として、さらに新たに知見が得られたものと、IUCNのリスト、世界の侵略的外来種ワースト100、あるいはほかの法令によって規制されていないかもしれないものについても、検討の対象として勘案していこうということにしております。この部分につきましては、今回、第二次の指定で書き加えた分でございます。
 それから、被害の判定の考え方ですけれども、この囲みのところは変わっておりませんが、次の2ページ目の一番上の部分で、外来生物の種の存続または我が国の生態系に関し、重大な被害を及ぼし、または及ぼすおそれについての詳しいこういう状況が発生する場合ということで4つ観点を上げていたわけですけれども、このうち一番下の在来生物相の群集構造、種間関係または在来生物の個体群の遺伝的構造を著しく変化させ、また、そのおそれがあるところというところが前回と少し変わっておりまして、具体的には個体群の遺伝的構造というところを明確にここに書いたということでございます。
 それから、人の生命または身体に係る被害、それから、農林水産業に係る被害につきましては前回と変わっておりません。
 続きまして、被害の判定に活用する知見の考え方ですけれども、これにつきましても、基本的には国内並びに国外の知見を活用するということにしておりますけれども、紙の真ん中辺、「また、」以降の欄でございますが、今後の検討対象が必ずしも学術論文として公表されている知見が十分にないこと。それから、予防的な観点も踏まえて、今回は文献にまとめられていない情報の集積に努めて、専門家ヒアリング、あるいは専門家グループ会合における意見等を科学的知見として十分に活用していくと。それでもって被害、それからそのおそれの判断を行っていくということにしております。
 考慮事項につきましては変更はございません。ただし、すみません、考慮事項につきましては、「なお」以降で、第二次の特定外来生物指定の対象としないものにつきましては、その理由を明らかにして、被害の判定に向けた情報収集・検討を継続していくというふうなことを書き加えております。
 それから、未判定外来生物、それと種類名証明書添付不要生物につきましては前回と変更はございません。
 それで、資料4でございますけれども、先ほどから申し上げましたように、第二次の選定につきましては、検討の母集団をあらかじめこれまでの知見をもとに整理して要注意外来生物リストと暫定版ということですけれども、それを整理してございますので、これと、それからIUCN、それから、日本生態学会のワースト100それぞれのリストについて検討の母集団としていこうということでございますので、まず、それぞれのリストについて、第一次指定をしたものが何であって、継続検討中のものが何であって、そもそも法律の対象になっていないものが何であるかというような整理をしてございます。
 1枚目が要注意外来生物リストについて、そういう整理をしているものでございまして、真ん中の網かけの部分が151種類とありますけれども、ここが第二次選定に係る検討対象ということでございます。その下のその他というところは、専門家の皆さん方と意見交換をする中で新たに知見が出てきたものの対象ということでございます。
 めくっていただきまして、IUCNのワースト100につきましても同じような分類整理を行っておりまして、100のリストの中から第一次指定に指定されているものと要注意外来生物リストに入っているもの。それから、植物防疫法の対象になっているもの。それから、もともと在来生物であるもの、感染症関係であるもの、それから微小生物ということで、上記以外と書いてありますところが網かけの部分ですけども、今回の検討対象ということになっております。
 それから、3枚目が、これは日本生態学会の方でつくっております侵略的外来種ワースト100の表でありまして、同じように整理をしておりまして、これにつきましては、要注意外来生物リストにかなり含まれておりますので、上記以外のところに入ってきますのは植物の5種類ということでございます。一応、この網かけに入っている種類を、今回、第二次の検討の母集団にしていこうということでございます。
 以上が、全体会合で検討した選定の手順等につきましてご説明いたしました。

【村上座長】 それでは、1から4までの内容ですが、一応、資料1からいきましょうか。まず、資料1に関して、このフローに関して何かご質問、ご意見ございますか。これは、今はこういう形でやりますよという話ですから、特にこれで了解ということでよろしいですね。

【羽山委員】 2ページの一番上のところで、新たに個体群の遺伝的構造を著しく……。

【村上座長】 資料1についてまずやっていますので、資料1終わりましょう。資料2に関して、第二次選定の基本的な考え方ということに関して何かご質問ございますか。
 ここも特になければ、次は資料3、これですね、先ほど質問出かけたのは。
 そうしたら、どうぞ。

【羽山委員】 先走りました。2ページの在来生物の個体群の遺伝的構造を著しく変化させというあたりをもうちょっと詳しくご説明いただきたい。

【中島室長】 これは在来生物と生物学的に近縁なもの、近縁な外来生物との間で交雑を起こして、在来生物の個体群の中の遺伝的な構造を変えてしまう場合ということでありまして、そのことについて、これまでも前のページに被害の判定の囲みの中で生態系に係る被害として4つ例示を上げておりますが、1つ目は捕食、2つ目が競合による駆逐、3つ目が生態系基盤の損壊、4つ目として交雑による遺伝的攪乱というふうに上げております。このことを再度、重大な被害に何が当たるかというところで明示的にあらわしたということでございます。

【羽山委員】 そうした場合、例えば国内移動による遺伝的攪乱を、遺伝的構造が著しく変化したとは判断しないのかどうか、そのあたりはいかがでしょう。

【中島室長】 国内移動といいますのは、そもそも在来の生物であって、それを国内で移動した場合にというお話だと思いますが、今回、特定外来生物の方の選定の基本的な事項の中で、どういった生物を対象にするかというところで、そもそもそうじゃなくて、失礼しました、法律の定義の中で、外来生物の定義にですね、国内外来種、国内移動みたいなものは、外来生物の定義の中に入らないというふうな整理がされておりますので、今回、そもそもその検討の対象に国内移動に係る在来生物の国内移動に係る被害というものは含まれていないということでございます。

【羽山委員】 制度論的にはおっしゃるとおりだと思うんですが、ここで言われている遺伝的構造の著しい変化といったときに、国内移動によって著しい変化が起こっていた場合、じゃあそれは、ここでいうところの重大な被害と判断するのかどうかというお考えをお聞かせいただきたいんです。私は被害だと思うんですけども。

【中島室長】 質問のご趣旨は、在来生物の国内移動に関してということでしょうか。

【羽山委員】 例えば、コウライキジも在来種ですけども、それが本州で交雑をしたら種間雑種ができる可能性があると。そういうものについて著しい遺伝的構造の変化と私は思うんですけれども、それがこれに当たるのかどうか。制度論的には対象にしないというのは前回も議論しましたけども。

【中島室長】 それにつきましては、ですから、今回の作業手順では、特定外来生物の選定に関してその対象をどんなものにしていくかということですので、今、ご質問にありましたものを少なくともそもそも前提にしておりませんので、ここの記述がそういったものを含むかどうかという点につきましてはちょっと何とも言えないんですけれども、一般論として、在来生物の国内移動によって遺伝的構造を著しく変化させるという問題が生じる可能性があるということは我々認識しておりまして、それにつきましては、今回、特定外来生物の法律の成立に当たって、そういった国内移動の問題については、別途、例えばほかの法令の対応だったとか、そういった形で考えていくべきだということで、岩槻委員長談話なり、国会の付帯決議などでうたわれておりますので、それにつきましては、可能性としてはそのとおりだというふうに考えています。

【村上座長】 今の問題は、別に遺伝的な問題だけに限らず、上のことに全部引っかかってまして、だから、一般論としては、当然、国内移動の、僕らが国内外来種と呼んでいるものがこういうことを起こすというのは現実にわかっていることですから。ただ、今回の話に限定しますと、それは対象外ですよという話ですから。それはそういう形で整理したらいいと思いますし。ここでは別にそれがあるから、だから、国内外来種を問題にしようという形にはならないということだけ把握していただきたい。
 ほかにございますか。
 先ほどの問題は重要な問題でね、そのうちにそういったことを法改正しないと扱えないですから。まずは国外外来種から手をつけて、その上で順次やっていく方が僕は順番としては正しいと思うし、それはそういう方向で動いていると思いますので。
 資料3に関して。私、3ページ目でちょっと気になるんですが、真ん中の第2-2の関連というとこの3段落目、またというところがありますね。今後の検討対象が必ずしも学術論文として公表されている知見が十分にないこと、ここがちょっと気になっていまして、これも前もちょっと引っかかっているんですが、公表されている知見が十分にないものも含まれている場合があること、ぐらいにしてもらえませんかね。としないと、今後、含まれるものが科学的知見がないと、論文がないという話をされますと、たくさんありまして、それが選ばれてないものですから、それはやっぱり、そういうふうに表現を変えていただかないと困りますので。

【中島室長】 若干、誤解を生む表現になっていると思いますが、今後の検討対象が必ずしもという、その必ずしもの部分で最後まで係るというふうに役人的には考えておりまして、ちょっと誤解されやすいので検討させていただきたいと思います。

【村上座長】 趣旨としては、要するに、学術論文としてはっきり明確になったもの以外のものも含めて幅広く取り扱いますよということを言いたいんですね。ただ、そのときに知見では十分でないことと書かれますと、これはちょっと問題だということなんです。そこのところの表現をちょっと変えてほしいということです。
 どうぞ。

【大矢氏】 今のところで委員長の意見に賛成なんですけども、業界側の立場として何でもかんでもちょっとどなたかが危ないぞと言い出したら、もう全部それが引っかかってしまうような錯覚に陥るようだと業界の中もかなり混乱してまいりますので、そういう点では十分にお気をつけいただきたいと思います。

【村上座長】 専門家へのヒアリングや分類群専門家グループ会合における意見等の科学的知見を十分に活用してというとこが、その活用の仕方は十分に気をつけてくださいという話ですね。それは割と慎重にやっていると思われますので。ただ、一番困るのは、知見がはっきりしないものが困るわけですね。ですから、鳥類はちょっとはっきりしませんが、哺乳類の場合はあると明確なんでやりやすいんですが、それがはっきりしないものについては、かなりこの部分、苦労すると思いますね。そういう弾力的なことも考えるということは、僕は予防原則からいっても非常に重要で入れる必要があると思いますし。それを運用するときに暴走しないようにしたらいいと思うんですけど。
 どうぞ。

【石田委員】 恐らく、今の点については個表という形でデータベースができていますので、それをやはり環境省として、この資料を認める認めないというものを、どこかでここに入っているものは認めていますよというような基準をどこかに書いておけばいいんじゃないですかね。外来種について、今、国立環境研のデータベースもありますし、あれはあれで基準としてかなり広く取り扱っていて、そこにも文献等いろいろ引用されているんですね。ですから、幾つか見る人にとっては参照する複数のデータベースがありますので、それを環境省として公表して、これは環境省として専門家会合で認められた資料であるということをどこかに明記しておくというようなことがよろしいんではないでしょうかね。それでしたら、単なるうわさだけで、それが環境省として認めているか認めてないかということは公にはわかると思いますね。それを審議するような場所としてこういう会合を利用していただければいいんではないかと思います。

【村上座長】 個表を充実したものにしておけば、それによって根拠が明確になると。個表の中では、引用文献の形にしてないので参考文献なので、どれがどれに引用されているかというのがちょっとわかりにくいですが、これは仕方ないですかね、本来ならこれについてはこの文献というふうに書いてあれば非常に明快なんですが。
 ほかにございますか。
 基本的に前のやつを踏襲しながら、若干、幅を広げたという程度のことなんで。恐らく今問題になったことが、一番、今後の1つの課題だろうなと思います。
 そうしましたら、資料4の方に移りたいと思います。資料4は、検討対象種というものが一応こんなものですよという話ですね。例えば、新たな知見、あるいはこういうものがやられているというような情報があったら、それはここは柔軟に入れても構わないと思いますね。そういった形で見ていただいて、特に哺乳類・鳥類について、ここに上がったものについて、これは順次検討しますし。それから、それで上がってないものであるかないかというところを見てください。
 後でこの議論にありますので、個表が出ていますので、それについてはそのときに議論するということで、それ以外のことについて何かありますか。
 なければ、資料1から4については、これで了承ということで。
 そうしますと、次は資料5から8、哺乳類・鳥類グループの選定に際しての留意点と進め方等について事務局から説明をお願いします。

【中島室長】 それでは、資料5をごらんいただきたいと思います。外来生物の特徴と第二次選定に際しての留意点(哺乳類・鳥類)(案)ということでございまして、これまで哺乳類・鳥類に関して外来生物がどのように使われてきているかとか、あるいは生態、被害に関する知見としてどのようなものがあるかとか、そういったあたりを主に事実関係を整理するという意味でつくっているペーパーでございます。
 まず(1)導入形態・利用形態、1つ目の○ですけれども、外来の哺乳類・鳥類は、天敵導入、実験動物、展示動物、愛玩などの目的で利用され、意図的に我が国に持ち込まれてきているものがほとんどであると。
 2つ目の○ですが、教育や愛玩の目的では、公共施設、個人、民間施設等で多数の個体が飼育されているが、その実態が十分に把握されていないものがあると。
 2番目が、生物学的特性と被害に関する知見ということです。1つ目の○が、哺乳類は生態系における栄養段階の上位に位置することから、外来の哺乳類の定着による生態系への影響は一般的に大きく、直接的な捕食や競合、農林業への被害等の事例が報告されている。
 2つ目ですけども、我が国の固有種や固有亜種に対応する大陸形の近縁種が存在し、極めて交雑を起こしやすいと考えられる種が複数存在するが、被害の評価が困難な場合がある。
 3つ目の○、外来の鳥類については、定着に係る報告はあるものの生態系や農林水産業に与える被害に係る調査研究事例が全般的に少ない状況にある。
 それから、(3)関係する他の法令、鳥獣保護及び狩猟の適正化に関する法律、感染症法、動物愛護管理法等の他法令により、輸入や飼養の制限がなされているものがあると。
 それから、(4)ですが、規制により期待される効果ということで、意図的に我が国に持ち込まれているものがほとんどであるため、法律に基づき飼養等に係る規制を行うことは、生態系等への影響を防止する上で効果的であるというふうにまとめております。
 続きまして、資料6の方にまいります。今の資料5の留意点を踏まえまして、今後、第二次以降の選定をどういうふうに進めていくかということで事務局案でございます。今後の検討の進め方について(哺乳類・鳥類)(案)、「第二次以降の特定外来生物等の選定の作業手順」に基づいて、検討対象の生物について、例えば、次の特性やその組み合わせに着目して知見と情報の整理を進め、生態系等に係る被害を及ぼし、または及ぼすおそれがあると判断されるものというふうに選定するものとする。その際、文献による知見が不足していると思われるものについては、下記の特性に関する文献以外の情報の蓄積に努め、これらの情報をもとに専門家会合における判断が可能かどうか検討する。
 なお、海外で被害をもたらしているものについては、海外での被害の内容を確認し、次の特性等に着目して我が国に定着して被害を及ぼすおそれについて検討するということにしておりまして、その特性というものですけれども、箇条書きで幾つか書いてございます。
 まず、在来生物に対する捕食能力が高いこと。逆にいえば、在来生物側の捕食回避能力が低いというふうに言えると思います。それから、在来生物と比べて繁殖能力が高いこと。分布拡大能力に優れていること。大型の草食動物で植生構造を著しく変化させるおそれがあること。我が国にその生物を捕食する天敵がいないこと。在来生物と近縁で交雑を起こす可能性が高いこと。野外へ逸出しやすい性質や遺棄されやすい性質、例えば気性の荒さ等の危険性を持つとか、大型化するといったことですが、を有していること。大量に流通・飼養されていること。野外での利用を前提とした放逐がなされる可能性があること。
 以上が、大きな被害を及ぼすおそれがあるかどうかについて、こういった特性に着目していく必要があるだろうということでございます。
 続きまして、資料7、横長の表でございますが、この後、資料の8でそれぞれの検討の対象の生物についての個表の情報がございますけれども、それを踏まえた上で、現在、事務局として考えております第二次選定に選定するという方向で考えていくべきものと、それ以外のものというふうに分けて一覧を整理しております。○が4つありますけれども、1つ目の○は、第二次の特定外来生物の選定作業が必要と考えられるものということで、ナミハリネズミ、マンシュウハリネズミ、キタリス、チョウセンシマリス、タイリクモモンガ、アメリカミンク、シカ属8種というふうにしております。
 それから、海外での被害の内容を確認し、我が国で被害を及ぼす可能性について十分検討するものとしてシリアカヒヨドリ、これはIUCNのリストに載っておりまして、まだ我が国にはそれほど入ってきてないものですけれども、まだ被害の内容がよく我々の方で分析できておりませんので、とりあえず中途半端ですけれども、こういった形にしております。
 それから、3番目の○、被害に係る一定の知見はあり、被害の防止に向けた普及啓発・防除手法の具体的検討を進めつつ、引き続き、指定の適否につき検討する外来生物ということで、インドクジャクを上げております。
 それから、一番下は、関係者に利用に当たっての注意を呼びかけるとともに、被害に係る知見等の情報の集積を図る必要があるものとして、これにつきましては、被害に係る情報が、知見がまだ余り明確でないというものでございまして、これまで要注意外来生物リストがそういったものだったんですけれども、今後も要注意外来生物リストの整理のときにその中に入れて普及啓発を図っていきたいというふうに思うものであります。それとしてリスザルとフェレット、外国産メジロ、この3つをここに上げてございます。
 それでは、資料8で具体的な個々の生物についての情報を、かなり大量にありますので簡潔にご説明したいと思います。
 まず、ナミハリネズミ、マンシュウハリネズミでございますけれども、これにつきましては、定着実績として静岡県、神奈川県と書いてありますが、小田原市だとか、伊豆半島で定着をしているという情報がございます。
 それから、海外ではニュージーランドに入ってかなりふえているという実績がありまして、鳥の卵・ひな、あるいは昆虫類等、地上性のものを捕食しているという情報があります。
 国内に地表を動き回る肉食の哺乳類が少ないので、いろいろな意味で影響は大きいのではないかというふうに考えております。
 それから、一方でペットとしてかなり利用されているという状況がございまして、ナミハリネズミ・マンシュウハリネズミ以外のハリネズミを含めて多種類多数のものが流通していると思われます。夜行性ですので、目撃情報は先ほどの2カ所、あとは栃木県などであるんですけれども、もっと実はもう少し定着しているのでないかなという予想もされるところであります。
 ヨーロッパ原産のハリネズミは日本の冬にも対応が可能ですので、定着の可能性は十分あるだろうと。アフリカの原産のものであっても暖かいところでは定着できる可能性があるのではないかというふうにまとめておりまして、これにつきましては、選定を前提に進めていくべきではないかという考えでおります。
 それから、続きましてキタリスでございます。キタリスと、その次のシマリス、それからタイリクモモンガにつきましては、基本的な被害の対応としては、在来生物との遺伝的な交雑というものが上げられております。キタリスにつきましてはエゾリスと、エゾリスは在来の固有亜種ということで同じ種の中の別の大陸産の亜種ということですけれども、エゾリスとの間で亜種間の交雑をすると。それから、ニホンリスとの間でも遺伝的には近縁なので、捻性雑種の形成が予測されるということが言われております。
 定着した場合に、捕食などによる直接的な、あるいは間接的な植生に対する影響というものも懸念がされる。
 農林業被害に関しては、林業被害というものも海外で報告されているということであります。
 定着実績のところでは、狭山丘陵などで見つかったものが外国産のキタリスである可能性が強いと言われておりますが、それ以外にはっきりした定着というものはまだ確認されていないようでございます。
 大陸に広く分布しているので日本の気候にも適していると。恐らく日本の中でも定着が可能ではないかというふうに言われております。
 一方、やはりこれもペットとしてかなりの量が流通しておりまして、そのことが原因で逸脱する個体があるのではないかという可能性がございます。
 ペットとしての流通ですけれども、リス類としてこちらの方で把握できた範囲では、リス類としての輸入の状況が、大体、1年間で3万8,000弱あると。ほとんどが中国から入ってきているようでございますけれども、かなり多数のリスが輸入されているという実態があるようでございます。
 同じようにシマリスですけども、我が国の固有亜種でありますエゾシマリスと亜種間の交雑をする可能性が高い。導入された地域では、キタリス同様の影響が懸念されるということであります。シマリスも同じように多数ペットとして飼われて、あるいは流通をしているという状況がございます。
 同じように、タイリクモモンガにつきましても、定着については全く不明でありますが、エゾモモンガと亜種の関係で亜種間交雑が懸念されるということでございます。これにつきましても一部ペットとして流通しているという情報がございます。
 今、申し上げました3つのキタリス、シマリス、タイリクモモンガにつきましては、それぞれ北海道に生息している在来生物と遺伝的に交雑する可能性が高いということで、一応、ここの選定していくべき生物のグループに入れておるところでございますけれども、事務局としては、若干、迷いがございまして、その1つは、遺伝的な交雑の可能性というのがどのぐらいの危険性を見積もればいいのかといいますか、在来生物と近縁なものであれば、大抵どんなものでも遺伝的な交雑の可能性というものがあると思うんですけれども、すべての在来生物に対して遺伝的に近縁なものをすべて特定外来生物に指定していくというふうにはなかなかいかないと思いますし。そのときに、じゃあどういう判断基準で、これは危険だと、あるいは被害が大きいというふうに判断できるのかというところが、ちょっと我々としてはまだ整理がつきかねるところでございまして、この辺につきましてはぜひご意見を賜れれば幸いと考えております。
 なお、もう1つの迷いにつきましては、先ほどの多数の飼育者がもう既にいるということでございまして、5年程度の寿命を持っているということでございますから、国内に、今、十数万頭いると。それがほとんど個人のペットとして飼養されている可能性がありますので、そうしますと、これは我々の執行体制の話ですけれども、許認可数が膨大になりまして、なかなか事務的に追いついていかない部分があるのかなというようなところも心配の点としてはございます。
 それでは、次のアメリカミンクにまいります。アメリカミンクにつきましては、北海道に広範囲に既に分布しているということでございまして、山地には少ないんですけども、海岸部を初めとする水辺に多く生息していると。1950年代ぐらいから逸脱した個体による野生化が始まって、もう定着してからかなりたつということであります。哺乳類、鳥類、甲殻類など、たくさんのさまざまな生物を捕食するということが知られておりまして、水鳥などに対して強い捕食の影響があるのではないかと指摘されています。繁殖力も旺盛でありますし、分布能力にも優れておりますので、非常に大きな被害をもたらしている可能性があるということが指摘されております。
 一方、もともとミンクの飼育、毛皮の生産のためにもともと始まっているミンクの飼育ですけれども、これにつきましては、最盛期にはかなりたくさんの飼育場があったそうなんですけども、現在は、確認できたところでは北海道と新潟県に1カ所ずつ、2カ所。あと相当数飼っていると思われるところがもう1カ所ということで、多数飼っているところは3カ所程度しかないだろうという情報がございます。これにつきましては、イタチ科の非常に捕食性の高い生き物ですし、生態系の上位に位置してほかのいろんな生き物に影響を与えるだろうということで、これにつきましても、選定を前提に検討していくべきものであろうと考えております。
 それから、外国産のシカ属に関するものということで、これにつきましても、ニホンジカとの間で遺伝的な交雑の心配があるということで上げております。もう1つは、大型の草食動物ですので、定着すれば植生構造を変化させるというもう1点の被害もございます。既にイギリスで、逆にニホンジカがイギリスで在来のアカシカと交雑が進んでいるという問題が以前から指摘されておりまして、遺伝的な攪乱が問題になっているということでございます。日本の中で、アカシカほかシカ属に属するシカを養鹿の対象として取り扱っている場合がございまして、これにつきましては、そのために輸入しているというものはもう現在ではないということですけれども、全国で5つか6つの施設で、すべての頭数合わせて1,000頭程度のアカシカが飼われているという実態が、まだ正確な数字がまだできていませんけれども、おおむねそのぐらいの頭数だろうということでございます。
 シカにつきましても、先ほどの遺伝的交雑の危険性の見積もりといいますか、判定をどのようにすればいいかというところを1つの確認のポイントとして、そのおそれが大きいということで選定されるべきではないかというふうに考えております。
 続きまして、シリアカヒヨドリですけれども、これにつきましてはIUCNのワースト100のリストに載っている鳥類でございまして、ヒヨドリの一種ということで、東南アジアからハワイなどに輸入をして被害をもたらしているという情報がございます。我が国にもし入った場合には、ヒヨドリなどと競合するおそれがある。あるいは果樹食ですので、農林水産業に係る被害も与える影響があるだろうということで整理をしております。ただし、まだ我が国できちっと定着したというような確認をされておりませんで、一部、愛玩用に輸入されている例があるようでございますけれども、かなり少ないというようなことでございます。これにつきましては、その被害の内容がどういったものであるのかということについて、もう少し情報を集めて整理する必要があると考えております。
 続きまして、インドクジャクですけれども、インドクジャクにつきましては、沖縄の小浜島、石垣などで野生化して繁殖をしているということでございまして、地上の小動物を含めてかなりたくさんのものを食べているということで、捕食による被害が懸念されております。これにつきましては、沖縄県の幾つかの島では被害についての情報がかなり推定されるということなんですけれども、全国的に学校、公園施設などで飼育されているということでございまして、このあたりの量はどのぐらいあるのかということを少し調べているんですけれども、まだ全容がわかっておりませんが、幾つかの調査によりますと、学校で飼っているところが恐らく全国で600、700か、大体そのぐらいのオーダーであるのではないかと。そのほか動物園で放し飼いをしている例があるとか、観光施設で飼っている例も幾つかございますので、少なくとも1,000頭ぐらいは全国的に飼養されている個体があるのではないかと考えております。これにつきましては、沖縄における被害というものは恐らく確定的に言えるだろうということなんですけれども、それ以外の地域においては、必ずしもそういった被害に関する情報がないということで、かつ飼養している方々が多数にわたるということで、強い規制を沖縄以外の地域にかけるということになりますのが、若干、我々としては気にかかるところでございまして、そのあたりのことは、若干、もう少し整理をしたいということで、事実上、沖縄については防除を進めていきたいというふうに考えております。
 それから、リスザルにつきましては、伊豆大島で野外で確認されているということでございまして、ただ、どんな被害をもたらしているかということにつきましては、まだよくわかっていないということでございます。これにつきましては、さらに今、被害に関する知見を集めていきたいということで要注意のリストのままにしておきたいということでございます。
 フェレットにつきましては、非常に多数の飼育がなされておりますが、定着についてはこれもわかっておりません。イタチの仲間ですので捕食性が強いということが考えられますけれども、ほとんどの個体が去勢・不妊の手術を受けているということで、定着して、どんどん繁殖して拡大するというおそれはまずないだろうというふうに考えております。これにつきましても、要注意生物リストのままで置いておくのが適当ではないかと考えております。
 外国産メジロでありますけれども、これにつきましても、前回の専門家グループ会合で少し議論になりましたけれども、外国産メジロが日本の野外に出て、それで何か被害をもたらしているかどうかということにつきましては、今のところまだ確たる情報がないという状況でございますので、これにつきましても、要注意のリストのままで知見を集めていくというものにしていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

【村上座長】 それでは、今の説明で質疑に入りたいと思いますが、順番にいった方がいいと思いますので、資料5に関してありますか。哺乳類・鳥類の特徴みたいなことを、外来生物の特徴というのがそこに書いてあります。こういう問題は書き入れといた方がいいのではないかという話がありましたら、どうぞ。

【石田委員】 これについては、一次指定のときはちょっとリストをつくるということに専念していて、余り発言はしなかったんですけれども、記述は大分直した方がいいのではないかなという気がいたしております。
 それで、例えば、哺乳類が生態系における栄養段階の上位に位置するという記述ですが、実際に選定されたリストを見ましても、必ずしもトッププレデター(最上位捕食者)というよりも、むしろ……。

【村上座長】 資料5ですよ。

【石田委員】 すみません、6ですね、先走りました。

【村上座長】 被害に関する知見の一番上の○に書いてありますね。そこでもそうですね。

【石田委員】 資料6ではなくて、やはり5の方について3点ほどちょっと気になるところがありまして、生物学的特徴を科学的に整理することは重要なことで、特に鳥類・哺乳類に関しましてはリストがかなり固まっていますので、どういうものがこういう侵略的な生物になるのかということを科学的に検討する機会をやっぱり十分時間をとって生態学会等で議論していただくのがいいと思うんですけれども、現時点の整理というのは、かなり何というか、検討は不十分だと思います。そういう意味で、具体的にリストになったものを再整理すると。あんまり海外の文献等にも一定の記述がありますけれども、それほど整理されていないと思います。やはり環境とか、社会的な状況とかによって侵略的になるかならないかというのは変わってきますし。世界的にみれば、日本の生態系というのはかなり多様性が高くて、そういうところに入ってくるものというのは、やはりそれなりに特殊なものであるとか、あるいはマングース等におきましても……。

【村上座長】 具体的に資料のどこが問題であるか。

【石田委員】 ですから、ここで哺乳類がトッププレデターだという記述はちょっと間違っていると思うんですね。それを含めて、ここにもしそういう特徴……。

【村上座長】 栄養段階の上位に位置することからというのが間違っているんですか。

【石田委員】 ええ、例えば、マングースは、確かにトッププレデター的な性質もありますけれども、非常に農林植物食ですし、昆虫も食べますし、小動物を中心に食べているんですね。冬に関しましては、クマネズミとか、シロハラを最近は食べているという話があったりして、かなりトッププレデター的な性質を持ってますけども。

【村上座長】 この部分で一般……。

【石田委員】 むしろ広がっていること自体は競争者がいないとか、島みたいなところで。それから、やはり広食性であるために1年間を通してえさが十分確保されてしまうとか、あるいはコントロールするような捕食者なり、競争者を含めていないとか、そういうことがあると思うんですね。

【村上座長】 それは個々の種類についての特性ですね。

【石田委員】 ええ、ですから、個々の種類について特性をもう一度、再整理して、全体について何が言えるのかということは、このグループに関してまず再整理した方がいいんではないかなという気がします。

【村上座長】 だから、要するに、これを今、何とかするんじゃなしに、この話は結局、資料6の前から議論になっている基準づくりなんですけどね、影響の大きさというものをどういうふうに判断するか。その部分の議論が一番大きいですわね。

【石田委員】 だから、資料6の方は見せていただいて、もちろん見たんですけれども、かなり網羅的に箇条書きになっていますので、これ自体は別にどれかに当たるということであればいいと思うんですね。ですけれども、実際にやっぱり侵略的な外来生物として日本で私たちが問題にするような生物がどういうものなのかということを、今後の予想をする被害予測とか、危険な生物を、まだ入っていないものに関して海外の資料だけに頼らず、日本にとって何が危険性が高いのかということを判断していく上では、やはりもう少し議論を深めた方がいいなという気がいたします。
 それから、2点めは、繰り返し申し上げていることなんですけど、鳥類研究者の立場からしますと、鳥類に関する研究事例が少ないと言われますと、本当にそうなのかというのが質的なものも含めてあります。それで、被害をどういうふうに考えるかという点でかなり価値観の、審議よりも善悪の問題で境界がはっきりしないということがあろうかと思いますけれども、これに関しては、むしろ今後、指定されたリストに上げられましたソウシチョウですとか、要注意種であるクジャクとか、メジロとかに関して、環境省の事業等で、例えば林業試験場の専門家の方とか、江口さんとか、ああいうグループで実際にフィールドを持って研究されている方がいらっしゃいますので、具体的なデータを出していくような方向でサポートしていただければというのが私の希望です。
 それから、4番目の規制により期待される効果というところで、定着してしまっているものがリストに上げられているわけですけども、それに対するもう少し具体的な方向性なりを、今後、検討していくことが重要かなと。インドクジャクの例でも先ほどありましたけども、別にリストに上がらなくても具体的に防除することは可能ですし。それから、そういうことにリスト、要注意リストを使っているわけですけども、運用上のあくまでも問題であるわけで、やはり、本来ならばインドクジャクはリストに上げるべきだと思うんですね、私は。私はって、これちょっと価値観の判断になっちゃうかもしれないですけども。その上で、その運用上は問題にならない部分に関しては許認可業務だけの処理で済ませると。それで、問題になる部分に関しては、その生態系、生態系ごとに防除を具体的に行っていくということをやはり法律としては明確にアピールするのが筋だと思うので、今回がどうかはともかくとしても、インドクジャクに関してはぜひリストに入れるという方向で検討していただきたい。それを含めて、ここにも留意点というところも基準に定着しているものに関してどういうふうに考えるかということを、鳥類と哺乳類についても記述していく方向で改定していただきたいというのが3つ意見です。

【村上座長】 生物学的特性と被害に関する知見というものを、もう少し明確にしていった方がいいのでないかという意見ですよね。

【石田委員】 明確というか、はっきりしないと、多分まだ混乱している段階だと思いますので。

【村上座長】 はい、これは池田さんどうですか。例えば、哺乳類について先ほど生態系の上位と話がありましたけども。

【池田委員】 個々の事例でどれが当たるかというのは、確かに個々の事例を見ていくと当たらないものとは言いがたいものも指定されていると思いますが、ここは、一般的な性質ということで記述していると私は考えているんですが、そういう点では、全般的にはこう記述しておいても問題はないと私は思うんですが。

【村上座長】 羽山さんどうですか。

【羽山委員】 比較的上位ぐらいにしておけばいいんじゃないでしょうか。

【村上座長】 ここは厳密にいえば、栄養段階の上位にいればそれが影響するのかというたらそれだけでもないんですよ。だから、それはこういうふうに書くと、それはそれを突き詰めていけばどこかでうそが出るのは確かですから、余りこんなところでこだわらないでいいと僕は思っているんですが。

【石田委員】 より重要な性質が私はあると思うんです。

【村上座長】 だから、むしろ抜けている部分を補う方がいいと思うんですよ。

【石田委員】 それでしたら、やはり生態系の中に侵入した、例えばコントロールするような別の競争相手とか、あるいはニッチがあいてるときに、そういうことを書き込むべきなんですよ。

【村上座長】 だからそれをどういうことを書き込めばいいかということを。

【石田委員】 今の3点を私は具体的に思っておりますけれども、全部の哺乳類についてどのぐらい当てはまるかというのを具体的に検討していませんので、マングースとかソウシチョウであれば、そういったようなニッチがあいているようなところに……。

【村上座長】 ソウシチョウだったら、例えばウグイスが占めている位置を侵しているわけですから、あいているとは言えないですね。

【石田委員】 それは、ですから微妙ですね。最初にやっぱり、すき間がかなり大きくないと一気に入っていくということは難しい(ニッチにすき間が大きく空いていないと、入るのは難しい)んで、入った上でその競争が起こってくるわけですから、必ずしも最初にニッチが全くないところに、狭いところへ入り込んでいく力だけが強かったかどうかというのは検討対象だと思うんです。やっぱりどういうプロセスで入ってきたか、どこから入ってきたかという。

【村上座長】 生態学的に言うようでありますけど、今、選定の話に当たって、そのことを議論しても意味がないんですよ。だから、そういうものを突き詰めるのは今後のことにして、そういう問題もここの中で僕は議論すべきと思うんです。それで、一番議論すべきことは、影響の大きさをどういうふうに判断するかということをもう少し生態学的に詰める必要があるだろうと。その中に例えば、先ほど資料6のところで構造的になっていませんので、それをもう少し構造的にするとか、そういったとこが一番最初のステップだと思っています。むしろ資料5は一般的に書いてあるなと、資料5及び資料6をちゃんとしてから、資料5に移った方がいいだろうと、僕はそういうふうに見ているんですよ。だから、むしろ資料6を議論することが非常に意義があるような気がするんですけどね。
 石井さんどうですか。

【石井委員】 議論の順番としてはそうだと思います。進め方についてというのを具体的にもう少し詰めて、整理して、留意点を書くと。ここに出てるこの2つの文書というのは、最終的にどのぐらい影響力を持つかというのと、スケジュール的にはどうなんでしょう、かなりきょうの段階で詰める問題なのか。結構、これ時間とって議論しないと決着つかないと思うんですね。それがわかってから少し話をしたいと思います。

【村上座長】 前から問題になっているんですが、基準をつくってから、例えば絶滅のおそれがある種の選定というような基準をつくって、基準に基づいたやつを選定するとなっていますが、今回はそれはしてないわけですよ。それで、とりあえず必要なものは必要なものとして入れたと。だから、割とばらつきがあるという段階ですので、そろそろ基準づくりみたいなものを客観的に進めて、そうしないと、今後入ってくる問題としての予測がつきにくいということで、そっちの方向は明らかにちゃんとしなければならないという話になっていると思うんです。それは、まさにそれが一番起こるのは、やりやすいのは哺乳類・鳥類だと思うんですね。そういう意味では、僕らのグループがそこを頑張って1つのモデルみたいなものをつくるのが僕は非常にいいことだと思います。その話と、それもっと時間かかると思うんですよ、その話と今の第二次選定に当たって、とりあえずこのぐらいのものを指定したいという、そのレベルの話とはちょっと切り離した形でやらざるを得ないと思うんです。一次選定は完全に切り離しましたけども、と言いながらでも、一次選定した結果において、個々に出てきたやつを見ていくと資料6に書いたようなことが出ているんだよという話になっているわけです。
 だから、一次選定の個表に当たるもののところから順次それも抽出してきたと、そういう段階だと思うんです。だから、今後そういう資料6みたいなものをどう詰めていくかという議論と並行しながら、やっぱり切り離したらというたらいかんのです、並行しながら選んで、またそいつを基準に戻してとか、そういうフィードバックをしていったらどうですかね、そういう形にしたいと思います。
 それで、資料6のところをちょっと議論しておきたいんですが、どなたでも、この分、割と重要な議論が入っていると思うんですが。

【羽山委員】 項目的に追加になるのかどうか、感染症法の対象ではないけれども、在来の生物に対して非常に甚大な影響を与える感染症というのは非常に多いですから、ですから、それが原産国で問題になっているような生物については、やはり留意すべきではないかと思います。

【村上座長】 そうですね。感染症の対象外だけれども、在来種に対する影響、感染症というのは、大体、人を中心に考えていますから。野生動物はあんまり考えていませんので、だから、野生動物というものに対しての話ですね。

【羽山委員】 家畜伝染病予防法でも対象外の、要するに、野生動物から野生動物へというものがありますので、これについては。

【村上座長】 広くどう言ったらいいですかね、それも含めた話でしょう。だから、家畜伝染病予防法も含めた話でしょう。

【羽山委員】 いや、ですから、他の法令で対応するということをどういうふうに切り分けるかだと思いますが、いずれの法令にもかからないものが想定できるという提案です。

【村上座長】 その病気に関してね。

【羽山委員】 はい。

【村上座長】 それは動物疾病ですか、何ですかね。

【羽山委員】 感染症……。

【村上座長】 感染症といったら感染症予防法をパンと思い浮かべるから。感染症で済ませますか。そうすると、先ほど使われた感染症というのは感染症予防法のことじゃなしに、感染症全般についていうわけですね。

【羽山委員】 いや、ここで私が問題にしたいのは、野生動物から野生動物へですよ。

【村上座長】 野生動物感染症。

【羽山委員】 そういうことばがあるのかどうか私は知りませんけども。

【村上座長】 とにかくそういった、今、人間を対象としたものがほとんどなので、野生動物にうつる可能性のあるものを、対象にしたものを入れましょうという話ですね。それは言葉を適当に事務局と相談してつくらせてもらいますので、それは確かに僕は入れた方がいいと思います。ネコのAIDSウィルスとかあんなのはどうなっているの。

【羽山委員】 もちろん家畜からも感染しますし、むしろ今、その方が問題ですけども。ただ、個体群に入ってしまえば、もう野生間での感染はあり得るし。逆にヤマネコを輸入するというようなこと、あるいは野生化させるということはないでしょうけども、可能性としてはあり得るということだと思いますね。むしろ私が思ったのはジステンパーですね、ジステンパーウィルスが肉食動物の間では相当広がっておりますので。

【村上座長】 これは確かに入れておきましょう。
 そのほかこういう項目を入れた方がいいなという話ないですか。

【石田委員】 入れるという話じゃないんですけれども、ご存じのように、鳥、野鳥関係、今、鳥インフルエンザのことがいろいろ半年ほど前から話題になっておりまして、それに限らず、渡り鳥がかなり感染症を運んでいる可能性は指摘されています。
 今、羽山さんがおっしゃったことは確かに重要なんですけれども、どう考えるかというのはそれこそ確かに基準の方とのバランスで、入れていただくのはいいんですけども、また、かなり大きな問題をはらんでいて、へたすると野鳥はみんな悪者扱いされて、何か駆除されていく方向性がないとも言えないので、むしろカラスの管理とか、そういうことと密接に結びついているんですけども、その辺はもちろん環境省の方も考えておられるとは思うんですが、非常に広がりとしてはありますので、慎重には対応させていただきたいと。特に、鳥の関係者、今、野鳥が悪者扱いされるのを心配かなりしていますので、どう考えているか整理しているところですけれども。よろしくお願いします。

【小林委員】 今のに関連して、動物園での考えも、今、感染症というと、野生生物の方から人間の方へという意識がございますけど、日本動物園水族館協会には感染症対策委員会というのがあるんですが、その中でもそういうことじゃなくて、人からまた動物の方へもという可能性もあるわけで、その辺も含めて、今、石田先生と同じように慎重にお願いしたいと思います。

【村上座長】 ここは何か定着の可能性、分布拡大のあれとか、影響の大きさとか、それから、人の利用状況という何か項目を少し分けた方がいいような気がしますね。それで、そういった項目でどうなんかとか出して、一応、ここにばらばらと書いてあるやつを少し整理して書いといた方が後のためにわかりやすいですね。そういう形のことをちょっとやって、そうすると、そのときに例えば、定着の可能性が大・中・小かとか、A、B、Cぐらい分けて3段階ぐらいで分布拡大の能力はどうかとか、それから、定着した場合の影響の大きさはどうかとか、そういったことをやって、それで例えば、何度も何度もソースがどんどんどんどん持ち込まれるような状況だったら困りますから、そういった問題も進めていく。そういうのを項目に上げて、それで、これを並べるという形の、1つの将来的な判断基準になるようなものをつくったらいいと思うんです。
 どうぞ。

【石田委員】 つい話が発展し過ぎて、ちょっと注意されるかもしれないんですけども、こういうことに関しては、やはりどういう対策をとっていくか、あるいはどういう対策が可能性としてあるのかということを、どこかの段階で、やはり例えば、今、リストにあるものについても、個々でどういう対策をとるかということが検討されると思うんですけども、それの中には、やはり輸入をいかにコントロールするかということがありまして、それで、ちょっと例がいいかどうかわからないんですけれども、IUCNのワースト100に入っていて、私も入れるべきだと主張しているクマネズミが、最近は割と被害というか、移動が制限されているという記述があります。それはちょっとまだ出ていないハンドブックに書いてあるんですけども。原因は何かというと、物を輸送するに当たってコンテナを使うようになったと。コンテナを使うとコンテナは密閉性が高いので、なかなか侵入できないんですね。そういうようなことを含めて、バラストなんかもそうなんですけれども、どういう形で生き物を移動させるか。例えば、必ず殺して肉を入れなさいとか、そういうことも含めて、感染症みたいなものに関していうと、やはり防疫法があるわけですけれども、それ以外のペットの輸入に関しても、いろんな形で動物福祉の上で死なせないというような規制もありますけど、そんな形で専門家の方に検討していただくと、病気を持ち込ませないような形の輸入の仕方とか、あるいはどういう集団からペットなり、輸入する動物をとってくるのかとか、もとの管理がいいか悪いかによっても感染症とかは大分違うと思うんで。そういったことを、多分、動物園の方なんかは、そういうことのある程度、情報を持っておられると思うんですけども、いずれは何かどこかのところで検討していただくといいんではないかと。ちょっと話が先走り過ぎるかもしれませんけれども、そういうようなことを考えております。

【村上座長】 それに関連しては、資料5のところの規制により期待される効果というとこが飼養等に係る規制だけと書いてありましたね。例えば輸入をとめることの意味とか、それから、防除に関する問題とか、これが書いてないので、効果はやっぱり、今一番、僕らが期待しているのは、定着しているものを防除することが指定されたときに非常に効果が大きいと、指定されたときに。その辺のことを含めて4番目のとこは、今の法律で期待される効果をもうちょっと入れといた方がね。そうしないと、単に飼養等に係る規制だけだったら、これは余りにもここはまずいと思いますよ。だから、最初の法律をつくったときの書いてあることをここへ全部持ち込んでもらった方がわかりやすいと思います。そうしないとちょっと、僕、先ほど言おうと思って忘れていましたね。今の話で、ああそうそうと思って。これはそういう形で、もともとこの法律をつくった目的のところへ書いてある部分をちょっと持ち込んで、確かに飼養等に係る規制というのは非常に意味があるんですが、それ以外でもやはり事前に入ってこないようにするという、輸入規制ということが非常に問題なので。それが一番、対費用効果もいいし、予防原則ですから、それを書いといた方がいいと思います。
 資料6はこのぐらいにしまして、資料7に移りたいと思います。資料7と8は連動しています。それで、ここでは、始めは資料7の4つの○がありますが、第二次特定外来生物の選定作業に必要と考えられる外来生物という形でずらずらと上がっております。それから、ここは段落がやっぱり4つとも明らかに違っている形になっています。その辺のことをどう考えるかというところが問題ですね。
 それで、最初の○のやつ、これは要するに、これについて意見を求めましょうか、まず。ここは文献等で指摘されている影響の内容というのが出てまして、それで適用というところに個表の書いてあることの主なことが書いてあると。それで、こういうことが起こる可能性があるという話になっていまして、それで、これは選定した方が望ましいと考えられる種だと思うんですが。

【大矢氏】 ちょっとご参考なんですが、先ほどシマリスの輸入が3万7,000匹という数字が2003年にあったという報告があったんですが、シマリスのシーズンが始まりまして、今年度はもうほとんど入ってない、中国で繁殖したものは、1回のシップが大体200ぐらい、激減しているんですね。ということは、野生のものの輸入はもうほとんどできなくなる、9月1日から感染症法の輸入の届出で、げっ歯類の野生のものは輸入禁止ということで、中国側の方にも各業者さんがその旨を伝えまして、ここ一、二年繁殖したものの輸入ということでやってきております。数はほとんど激減しているというのが現状でございますね。今、輸入されていらっしゃる方は、私どもの協会では、大体三、四社、それ以外にもいらっしゃると思うんですけども、それを全部合わせるとしても、今年度5,000匹以下になってしまうんではないかなというような実態が出ております。まだ最終的な数字の調査はしておりませんので、正しい数字かどうかわかりませんけども、そのぐらい激減しているんだということは事実関係としてご報告しておきます。

【村上座長】 こういうことは非常にいいですね。今まで入れたものをどう管理するかいうのが中心になってきて、今後は割と楽なことになりますので、これはぜひとも指定することに大分意味が出てきますね。

【農林水産省 生産局農産振興課】 この選定作業が必要と考えられる外来生物の中にも2種類ほど農林水産業に係る被害の観点が入っているんですが、それをどう考えるかということはあるかと思うんですけど、資料3の作業手順ですか、それにもありますように、単に食性があるだけでなく、反復継続的に重大な被害を及ぼすということから考えますと、例えば、海外でそういう報告もあるとか、そういったレベルでそういうふうにやるのがどうなのかというようなことが1点あるんじゃないかと思っております。
 さらに、シカ属全種ということ、こういう指定の仕方はあるかとは思うんですが、いろんな生態とか、そういうのは全種すべて同じですというようなことならともかく、あるいは全種が個別に検討した結果、全種そうだったということでならわかるんですけど、こういうようなあれはどんなものかなというような、ちょっとそういう考えも念頭に検討していただければなというふうに思っております。

【村上座長】 今、言われたことは、海外の事例があるからといって、それでそれを入れることに対してはどうかなという話が1点と。それから、シカ属全種にと書かれますと、要するにちょっと気になるということなんですね。
 事務局の方ございますか。

【中島室長】 まず、農林水産業に係る被害の判定につきましては、先ほどの作業手順の中で、今、ご紹介をいただきました、ちょっと見当たらないんです、すみません。作業手順の2ページ目に、ここは3つに分けて、生態系等に対する被害、それから、人の生命身体に対する被害、それから、農林水産業に対する被害というふうに3つに分けて、それぞれ重大な被害といいますか、選定すべきものとしてどういうものを取り上げていくかというのを基本方針で述べて、それをさらにかみ砕いているというところでありまして、農林水産業のところは、農林水産業に重大な被害を及ぼし、または及ぼすおそれについて判定するということなんですが、それを具体的にいうと、農林水産物や農林水産業に係る被害等に対して、反復継続して重大な被害があるかどうかを検討するというふうに、反復継続して重大な被害があるようなものを農林水産業に対する被害というふうに認定して選定の根拠にしていくという整理が既になされているところでありまして、今回、個表、あるいはこの一覧表に載せております文献等で指摘されている影響の内容の中に、生態系と並んで農林水産業というふうに書かれてあるものが2つございますけれども、これにつきましては、今のところ我々の方でもここに書いてありますような農林水産物や農林水産業に係る被害等に対して、反復継続して重大な被害があるというふうなところまで判定できるかどうかというのはちょっとはっきりしてないと、キタリスについては特にはっきりしてない。シカについては、かなり大型の草食動物ということで、ニホンジカと同じように食性に対する影響は大きなものがあるんではないかなというふうには考えておりますけども、すべてのシカについて同じような被害があるのかどうかというところまではちょっとまだすべて確定的に確認しているわけではないということでございます。
 もう1つのシカ属について、全種というふうにするのがどうかという点でございますけども、これにつきましては、もともとニホンジカとアカシカの交雑がイギリスで報告されて問題になっているということで、事実としてそういう被害が発生しているわけですから、ニホンジカに対するアカシカの侵略性といいますか、被害をもたらす可能性というのは非常に大きいだろうというふうに判定されると思うんですけれども、同じ属であれば、この遺伝的な攪乱といいますか、交雑の可能性というのは、基本的には同じようにあるのではないかという推定のもとに、一応、属の中のものはすべてというふうに上げてございます。これにつきましても、我々の方ですべて情報があるわけでございませんので、いろいろご意見を賜れば幸いと思います。

【大矢氏】 今の外国産シカのことなんですけども、アカシカがイギリスでニホンジカと交雑をしたという事実関係があるということなんですが、逆にニホンにアカシカが入ってきてるというのはごくわずかですよね。一部の動物園で飼育されているようなものぐらいしかない。養鹿産業の中にアカシカは入ってないと思うんですね。

【中島室長】 ほとんどアカシカだということで、今、我々が養鹿協会の方に確認したところによりますと、全体で……。

【大矢氏】 何を指してアカシカと言っているのかな。

【中島室長】 そこがちょっと確認をしてみないとわからないところがあるかもわかりませんね。

【大矢氏】 エルクのことを言っているんですかね。

【中島室長】 そこは、一応、今の情報は、全日本養鹿協会というところに電話でヒアリングをした結果なんです。ですから、あちらの方がアカシカというふうなもので呼んでいるものが、学問的に実は別の種である可能性がないわけじゃないんですけども、一応、向こうはアカシカが、日本で飼育されている外来生物はほとんどアカシカですというふうに、ほかにはダマシカを飼育しているところがあるというふうに聞いていますというようなことがヒアリングの内容になっております。

【村上座長】 日本養鹿協会ができたときに、日本哺乳類学会で現状調査をしたデータがあるはずなんです。そのときの時点で4,000頭ぐらい書かれているんです。それで、その中にたくさんのアカシカが入っていました。それは種ごとに出しています。それで、その後の調査がちょっと、もう一度だけ三浦慎吾さん、やられておるんですが、それ以降のフォローがまだ十分できていないと。それで今、心配していますのは、養鹿業あっちこっちでやっているやつが全部もううまくいっていない。それを殺すのが面倒だからといって放されるのが一番こわいんですよ。そういう意味でこれ入れているんです。だから、そういうことなんで、恐らく狂牛病関係でとまりますからね、新たに入ってくるやつは。だから、今あるものをどう管理するかということが大きな問題になってくると。

【大矢氏】 わかりました。ちょっと私の方も正式な数字を調べてみたいと思いますけれども、前に石田先生がおっしゃったように、ソウシチョウと同じような問題になると困るもんですから。

【石井委員】 まずは質問なんですが、さっきリス類の飼育個体数が国内で十数万という数字が出ましたけど、それはリス類全体ですか。モモンガ、リス類を含めてですね。

【中島室長】 モモンガが含まれているかわかりませんけども、統計上リス類ということになっております。

【石井委員】 先ほど事務局からのご質問で、遺伝的攪乱があるかないかという可能性をどう考えたらいいかという点ですけど、それははっきりいってこのぐらいの近さならば危ないとか、そうでないという線は引けないと思うんですね。やっぱり、この可能性についてはあるかもしれないということも前提にして議論を進めていった方がいいと思います。その点に関してはですね。
 あと、リス類が十数万頭、国内で飼われているとすると、確かに実効性の問題があるんですよね。これから新たに入ってくるリス類はもうほとんどなくなるでしょうと。ということは、だんだんだんだん減ってくる可能性が高いと。そこら辺の数字をもう少し具体的な数字でシミュレーションしてみて、この特定外来生物に指定した方がいいかそうでないかということをもう少し詰めた方が私はいいような気がするんですね。ここで何か今あるデータだけで、基本的には何かした方がいいような気も私はするんですけれど、そこら辺のことはもうちょっと少し慎重に考えてもいいかなと思います。シカについても同じですね。基本的には指定した方がいいなと思いますが、養鹿業が今どういう状況かというのと、特定外来生物に指定したときにどういう実効性があるか、または逆効果かとか、そういう検討が、このリス類と、それからシカについては必要かなと思います。
 それから、ハリネズミについては、これは指定していいと思います。先ほどちょっと前に戻って資料6のところに村上さんが指摘したように、資料6でなくて5だったかな、定着してしまったものをどうするかということが、やっぱり規制により期待される効果という中には当然入ってきて、ハリネズミなんかはまだ定着の初期段階ですから、今のうちにきちっと指定してパッと手を打てばまだ間に合う、根絶が間に合う可能性があるんです。という観点からも指定した方がいいです。
 ミンクについても指定する方向でいいのかなと思いますが、これも先ほど国内で飼養されているのが何頭とかっていうデータがあって、そこが納得してくれればかなり話が先に進むということであれば、指定をしていく方向で検討したらいいというふうに思いますけども。あとは、ただ定着したものの駆除というのは難しいですね、これは。

【村上座長】 ただ、飼っているものの全部の後追いをしてから指定するというのは無理でね。だから、必要なものはやはり必要な規制を行うということでやらないと仕方がないと思うんですよ。そういう意味では、実態調査をもう少し詰めるということに対しては賛成ですが、ミンクなどは明らかに影響が出ているんですから、これは入れた方がいいというふうに思っています。それから、ハリネズミなんかもそうです。それで、リス類とモモンガについては確かにもう少し実態が欲しいなという感じはしますね。

【大矢氏】 ミンクだとか、養鹿産業が非常に低調になっているかとはいっても、生業としてやっていらっしゃるわけですよね。これを指定されると、繁殖させちゃいけないよという部分がありますよね。経済的な問題と規制の問題とのバランスはどういうふうなことを考えていくのか。そこはひとつ解決をしておかなきゃいけない問題だと思うんですね。

【中島室長】 今回、規制の対象に飼養等ということで広く生き物を産業として使っている場合が含まれるわけですけども、そのときに許可になる場合、そうでない場合というのを整理をしているわけですが。学術研究であるとか、展示、教育、それから生業の維持というものも許可できる場合に含まれていると。愛玩飼養というものも、一代限りであれば、選定されたときに既に飼っているものを一代限りであればいいというような形で、今、整理をしているわけでございます。ですから、養鹿業なり、ミンクの毛皮を養殖で利用しているという場合は生業の維持に恐らく当たるだろうと思いますから、特定飼養等施設という形で、しっかり逸出しないような施設を用意していただければ、許可になって、これまでどおり事業が続けられると。基本的にはこんなふうに考えているところです。

【大矢氏】 その場合に、新たな輸入も認められるということですね。ということは、ご存じのように、同じ数、飼育されている中で繁殖を繰り返していたら、当然、遺伝的な問題が出てくるわけですから、新しい種を導入してこないといい商品にはならない。それが認められるか認められないかによって絵に描いたぼたもちになってしまうわけですね。

【中島室長】 既に、生業の維持ということで飼養等の許可を得ているものに限って、生業以外のものもそうですけども、新たに輸入することも許可になるというふうな整理になっております。

【大矢氏】 そうすると、1つ問題なのは、ペット業界においても自家繁殖をしようとしている人たちがたくさんいらっしゃるわけです。そういう人たちも生業なんですね、生業繁殖なんです。そこのところを十分に交通整理をしとかないと、あとで禍根を残すことになると思います。何をもってして生業繁殖か。

【村上座長】 犬のブリーダーみたいなもので、いろんなことでブリーダーがいますから。その辺が、今言っている養鹿みたいな話と同じレベルで議論できるのかというのは非常に難しいですね。

【上杉企画官】 生業の中でも、ペットの場合は売り先が愛玩飼養ということになりますので、基本的にそこで引っかかって売れなくなります。ただ、養鹿の場合は基本的には肉、食用に出すということで、別に殺して出す分には全然引っかからない形になりますので、そういう意味では、実際の生業をやっている中身で実際にふやせるかどうかという、全部そこで見ることができると思っています。要するに、譲渡譲受で引っかかってしまうと。

【大矢氏】 そうすると、養鹿なんかの場合、生体の販売をやってますけども、その辺は規制していく。

【上杉企画官】 当然、それは相手が許可を受けている人でなければ売れませんので、例えば、養鹿業者がどうしようと、売る相手が許可を持ってないと買えないということになります。

【石田委員】 研究者の立場からしますと、やはり生業というのはやはり経営として成り立つということで、その中に環境を保持する、外来種法の基準を満たすということも入ってくると思うんですね。ですから、経営として成り立つために、単純にどんなやり方でもいいからお金をもうけるということではなくて、野外逸出をきちんと防ぐような、あるいは防疫法にのっとったようなきちんとした管理ができると。そういうことをノウハウも持っているし、そういう基準もちゃんと法律に満たしたことができるということも大事な基準になってくると思うんで、私たち研究者の立場からすれば、そういうところを重視する。それ以外の価値観の問題というのは社会が決めることですから、やっぱり、圧力団体として主張していっていただければ社会として認めるか認めないかというのは、内容とか、目的とかというのは時代とともに変わると思うんですね。私としてはそういうことを明確にしていただきたいということです。

【村上座長】 そのほかにこの8種について、特に、はいどうぞ。

【羽山委員】 前の検討会でも伺ったんですけれど、もう一度教えていただきたいんですが、要するに、Cervus nipponが入っているという外国産のということなんですけども、今度はこれが特定外来生物に指定されたときに国内で飼育されている個体についての識別というのは、これはどうやってやれるんでしょうか。

【長田専門官】 おっしゃっているのは、技術的な識別ということですか。技術的な識別については、十分、検討していかなければならない課題だと思っていまして、一次の選定に当たって、例えば指定をした種、それから、未判定外来生物にした種、種類名証明書の添付を求める種等についても、すべて識別が可能でないと適正な法の執行ができないということになりますので、亜種レベルですと非常に難しいものがあるというのは認識しているんですが、基本的にはそこは識別をしていかなければならないというふうに考えています。それで、ニホンシカがそもそも日本に輸入されることが、在来のニホンシカはあるかということが、実質的には法の運用上は非常に重要になってくると思いますので、そこは実態としては把握をしておきたいとは思っております。

【羽山委員】 シマリスについても同様なんですけども、要するに、既に国内飼養されているもので、それが登録すべき個体かどうかの判別というのは、これが実効性だと思うんですね。ですから、やはり、そこの制度論といいますか、技術論といいますか、そこの問題をぜひとも確立しておかないと、それこそ絵に描いたもちという話だと思うんですが、逆にしてそれができるんであれば、僕、くどいように思われるかもしれませんけど、例えば、チョウセンイタチなんかにしても、それを区別できるんじゃないかなと私は思うんですけども、いずれにしても技術的なところを期待したいと思います。

【長田専門官】 すみません、シマリスのお話がありましたので1つ。実は、哺乳類・鳥類については、ひとつそこの在来種との識別が難しくても法の運用がしやすいという面もございまして。というのは、鳥獣保護法で基本的にリス等の飼養は規制をされておりますので、リスを飼っている方は、特定外来生物の飼養の許可を受けて外国産のリスを飼っているというケースが基本的なケースというふうに考えられますので、特殊な状況で、傷病鳥類の保護とか、その他の理由で在来のリスを飼うというケースもないわけではありませんけれども、そこは鳥獣保護法の中でチェックができる仕組みがあると思いますので、そういった部分では、ほかの分類群よりはその部分については運用がしやすいという状況がございます。

【池田委員】 今まで大分意見が出ましたので、私の方ではハリネズミ、ミンクに関しては、今、ここに書いてあるような形で指定するのがいいかなと思いますし。リス類に関しては、今ちょっと出ましたけれども、シマリスなんか、北海道の場合でも、どこかもう完全に野生種なのかという事態も、かなりもう既に過去から、恐らく相当数が放されておりますし、かなり逃げている様子もとらえられていますので、実際の識別というのはかなり難しい問題が残っているのかなと。そういう技術的な問題が解決できるのであれば、指定すべきものだとは思います。
 ちょっと私、気になっているのは、第一次選定のときには大枠で指定していくということで余り気にしてなかった分があるんですが、今回のにも載ってはいないんですけれども、日本で定着しているマスクラット、ほとんど数はいるかいないかというような状況なんですけれども、海外での影響の大きさを考えると非常に大きな影響がある。それで、日本は幸い、今、残っているのは恐らく千葉の行徳と東京の水元公園で若干の情報がある程度なんですが、そういう非常に開発が進んだ地域にいたために広がらないで済んだというのが逆にそういう幸いな状態であって、これがまたそれ以外のところに入るとかなり大きな影響を示すのかなと。そういったたぐいの動物も幾つかあるんじゃないかと。今、全体としては、ほとんど日本では現在は生態系の影響等が心配されるような状態ではないですけれども、将来的にはもし別なルートで別なところに入ったときに大きな問題を起こす可能性があるかなということもちょっと気になってますので、そういう動物に対してどのように扱うか、ちょっと検討していただきたいというのと。
 もう1つは、前回もちょっとお話したんですが、コウライキジの方で、これはほかとの関連でちょっと調整を検討していただくという形になっていたと思いますが、その辺は何かその後、話が進んだかどうか、ちょっと伺えればと思います。

【村上座長】 今の問題は、マスクラットはちょっと情報を集めなければいけないですね。これは今回、議論するんじゃなしに情報を集めましょう。
 それから、コウライキジに関しては前から池田さんが言っていて、これに関してはどういう扱いをするかというのは、ちょっと事務局の方から今の段階での考え方を。

【中島室長】 コウライキジの件ですけども、これも朝鮮イタチと同じような話で、結局、日本の在来生物であるという整理を今のところはしているので、国内移動の問題は事実上あるにしろ、今回の特定外来生物の選定の対象にはならないというふうな整理をしております。それは、基本的に日本産の鳥類であるというところが変わらない限り、この法律では扱えないということでございます。

【池田委員】 あとマスクラットに関しては、かなり古い情報が多いんですけれども、大体、北半球ですと中緯度地帯はほとんど席巻されている状態です。ヨーロッパでも、確かデンマークがいないぐらいですね。あとは、それからフィンランドとか、北の方ではそれほど影響は出てないようですけども、それ以外はヨーロッパ全部、それからシベリアまでほとんど中緯度地帯は侵入されているような状況ですし。南米でも、若干、例があると思いますので、その辺、情報をもう一度整理してみた方がいいかと思います。

【村上座長】 恐らくマスクラットみたいに定着しているが局所的にしか分布していない種は、今は問題は少ないが今後他の場所に入った場合には怖い状態になる可能性がある。あいてる場所もあってヌートリアも入っておりますが、入った場合はこわい状態になると思うんです。そういう意味では、ちょっと今の定着状況と海外の事例というのを調べる必要があるだろうということで、それは今後の検討課題にしましょう。
 それで、最初の○のところで今いろいろ出てきたんですが、そこらについては、皆さん方の意見では、最初ハリネズミ類とミンクに関してはいいだろう。じゃあ、リスとか、リス類とモモンガとシカ属、シカ属については養鹿の実態をもう少し把握しようと。それから、リスについても、どの程度の飼育状況なのかということももう少し詰めようという話が出ていまして、これは、やはりもう少し実態がわかった方が考えやすい。それで、規制の効果といったことでも確かに実態把握をしておいた方がいいのではないか。それはちょっと次の段階では置きましょうかね。それで鳥と哺乳類で残された検討課題は、その分ができた段階で委員会を開催するということでいいですね。
 それで、そうしますと、次の事例のシリアカヒヨドリ、これは先ほど海外の事例があるから入れていいのかという話が出ましたけども、この辺についてはどうでしょうか。ヒヨドリの仲間、害を与え出したらすごいですからね、僕はこれ入れて……。

【石田委員】 後の方に出ていますシロガシラはここでは出てないのかな。シロガシラとか含めて可能性のあるものはかなりたくさんありますんで、これはたまたま報告されている例だと思うんですね。そういう意味で要注意種に入れていくということはいいんですけれども、それをいうと、先ほどのやはり資料の5、6を整理しないと、鳥類に関しては要するに、本当に恣意的に入れようと思えば、今、NGOの方たちからいろいろリストを上げていただいていますけども、非常にたくさんの鳥類が、実際、日本に入ってきていますし。それが影響、個体数がまだ少ないものが多いんですけれども、法律としてはちょっと収拾がつかないのかなと。私としては、研究者としては、特にシリアカヒヨドリを特別に優先してあげるような理由はちょっと見つからないんですけれども、一般論としてそういう農業被害を与えるようなものが外から入ってくる可能性はもちろん高い。ただ、国内の種についても、そういったものは実際、農林業被害はあるわけですから、ちょっと外来種法としてどういうふうにするかというのは、やはり資料5、6を、資料を整理してからまとめて入れた方がいいと思うんですね。これだけ何か上げることが特別意味があるように思えないし。別の形でも、多分、シロガシラも含めてケアしていけるんではないかと。そこを整理できないでむやみにリストをふやすことに関しては、あんまり積極的には考えてないんですけども、いかがでしょうか。

【村上座長】 それはあれでしょう、入ってからでは遅過ぎるんで、明らかに入っては困るものは入れといた方がいいという、これはまさに予防原則でしょう。

【中島室長】 そもそもなぜシリアカヒヨドリが、ここにこれだけが入っているかというのは、先ほども少しお話しましたけども、IUCNのワースト100のリストを今回の検討対象の母集団の中に入れておりますので、そこに入っているものがシリアカヒヨドリということで、たまたまこれは、ですからIUCNが把握している範囲で被害が海外では明確にあると。そこのところは明確であるので、それは入ってきていなくても予防的に入れるという考え方があるのではないかということで検討対象にしているということであります。

【村上座長】 きょうはまだ結論出さないで、鳥に関してはもう1人、江口さんもやはりちょっと委員に招いていただいて、それで、インドクジャクとかメジロを含めて議論した方がいいと思いますが。今のメンバーでは鳥に関しては弱体と思います。

【大矢氏】 インドクジャクの遺伝的攪乱となっているのは、これはどういう。

【中島室長】 申しわけありません。これは間違いです。

【村上座長】 先ほどの話でちょっと気になったんですが、沖縄だけの問題であるというふうな発言があったんですがね、どっかの場所で確実に影響が出た場合には、やはり、それは同じようなことが起こると考える方が正しいと思うんですよ。そうしないと、非常に複雑な群集では起こりにくい、島だから起こるというのは顕在化するとなりますけども、これだけの影響を持っているんだということがどこかで明らかになると、やはり、全体的にそれは影響があるんだというふうにしないと、すべての場所で影響が出るということを証明するのは絶対難しいと思います。その辺のことは選定のときに気をつけてほしいと思うんですが。
 ただ、先ほどのインドクジャクを延ばすというところの理由の中に、現在、学校で飼育されとってそれに対する影響が大きいので、ちょっと実態を調べましょうという話、これは賛成なんで、それで、その実態を調べるというところに、これも先ほどのリスなんかと同じで、少なくともこのぐらい飼われていますという資料がもう少し欲しいなと、資料が。その上で考えてみたいなということになると思います。したがって、これについても次回までにそういった資料を集めて議論をすると。
 メジロに関してはどうですか、石田さん。

【石田委員】 メジロに関しては、まず個表でちょっと事務局の方に連絡が不十分だったかもしれないんですが、永田さん(国立環境研の永田向志さん)の資料は既に報告書になって公表されていますので、ちょっと後で訂正を入れておきます。資料としてはですね、縮尺版になって、この前PDFでお配りしたものから比べると短い、部分的な記述になっていますけども、公表された資料として文献があるという形になっております。
 メジロの関しては、やはり遺伝的な攪乱は明らかに起こっていると思いますので、それが実際にやっぱりメジロの個体群自体が日本の国内で大きいものですから、検出するのが難しいという点と。それから、先ほどの感染症の問題があるということ。それから、やはりバイチャンスというか、小さな個体群において遺伝的浮動というんですけども、遺伝的攪乱が一気に広がるという可能性は、もう遺伝学的にあり得るということが証明されています。それは確率の問題なんで、非常に低いことは確かなんですけれども、危険性があるということは明確にメカニズム的に証明されているわけですから。研究対象として常に上げていただきたいということですね。環境省として事業なり、1つバンディングをかなりされていますので、そういったところから資料というか、サンプルを集めるような方向で検討なり、連携を図っていただくと。標識の調査は環境省の事業ですから、そういう中で項目として入れていただくというようなことを考えていただく。学会の中でもそういうことを、今、議論していますけども、検討していただきたいと思います。要注意種に引き続き入れておいていただきたいと思います。

【村上座長】 インドクジャクに関しては、何か先ほど選定の中に入れてほしいということ。これはすぐにという話ではなしに将来に入ればいいんですね、すぐですか。

【石田委員】 ですから、運用上の問題として、データが、要するに許認可業務がどれだけできるかどうかということの判断が必要というのであれば、待つのは別にいいし、実際に事業は進んでいますのでいいと思うんですけども。待つ理由はそれ以外にはないということですね。ですから、自動的に関係者の判断で入れて何とかなるというところでなるべく早く入れていただくというのが原則かと。

【村上座長】 学校で飼育しているということは、案外、管理は易しいんじゃないかと思うんです。むしろ彼らは協力的になると思うんですけどね。

【石田委員】 非常に目立つ鳥ですから。

【村上座長】 だからね、そんなもの放してもね。

【石田委員】 あと防除もそんなに難しいとはちょっと思えないんですけどね。

【村上座長】 ですから、これはね、こっそり放されたっていけますから、僕はこれは入れた方がいいと思っているんですがね、判断としては。だから、入れて、ただ、今すぐといいますが、もう少し学校に対する、今、(埼玉県の)資料をみて、結構、飼っているんだなとびっくりしましたけども、こういう実態、動物園は飼育管理がはっきりしていますからね。それ以外に個人の動物園で放し飼いになっているとこがあるんですね。それが、その方がこわいですね。小豆島の観光施設などクジャク放していますね、何クジャクですかね。だから、ああいったところで放し飼いになっているのがちょっとこわいということですね。ああいったものがどのぐらいあるかというのが気になります。そういった実態を把握した上で、やっぱり被害に関しては顕在化しているんだから、これは僕は否定したい形で防除もし、それで啓蒙もするという話の方が望ましいとは思うんですが。これは含めて次回に、ちょっと鳥のことも含めて。相手も協力すると思うんですよね、これ。それは次回に今みたいなところで決めるということでよろしいでしょうか。

【中島室長】 それで、インドクジャクについて、引き続き、検討するものにした理由なんですけれども、たくさんの方が飼っておられるということと。今、被害が確実にわかっているのは沖縄だけで、それ以外の地域で、仮に放されたとした場合に、そういう大きな被害が出るのかどうかがよくわからない、仮に出ないかもしれないと。その中で、そういう飼養をされている方は規制だけを受けることになる。放しても別に被害がないのに、本州の方々は規制だけを受けるというところが、若干、気になっているところであります。放せば、当然、被害が出るんだから、沖縄だろうが、どこだろうが、同じように被害が出るんだから、みんなが同じように規制を受けるということであれば、規制に対して理解を得られやすいと思うんですけれども、グッピーなんかでもそうなんですが、定着をしないようなものを、明らかに定着しないようなものがあったときに、規制だけを受ける人たちがたくさん出るという状態が発生しますので、ちょっとそこが規制に対する理解が得られるかどうかという部分で少し心配なところがあったということであります。ちょっと補足でありますが。

【村上座長】 これは次回にしましょうか。

【石田委員】 すみません、外と中で区別しておくんですね、とりあえず。だからそこは何か整理が違うんじゃないかと。

【村上座長】フェレット、リスザル、この辺の問題が多少あれですが、ここはとりあえず第二次の指定の候補としては、今のところインドクジャクというのとシリアカヒヨドリと、これの2つをどうするかという話と。
 それから、外国産メジロはもう要注意外来生物でいいと思いますが、リスザル、フェレット、フェレットは先ほど不妊手術が行われているというのは、何かフェレット協会のやつは不妊手術が行われているらしいんですが、それ以外で入ってきている個体は不妊手術をしていないという噂があるのですがどうなのでしょうかね。

【大矢氏】 もちろん、この協会のものだけでなくて、それ以外のところから入っている可能性もありますけれども、大半が全部去勢、もしくは避妊手術をしてあるということですね。もちろん漏れているやつはないとは申し上げません。
 それから、もう1点、リスザルなんですけども、これは今度、感染症法の関係で個人飼育は禁止になりますので、あえてここの中に入れていく必要があるのかどうかということも含めて。それから、伊豆で繁殖散見しているというのは、これはあるゴルフ場が意図的にそこに放して繁殖をして、そこから外へ出て行かないんですね。ゴルフ場の中だけに定着しているという事実もあります。

【村上座長】 そういう問題はだれかがひょっとして持っていった場合にすぐ問題起こりますね。ヌートリアなんか、今だもってどうも人が放したというようなところにポンと飛び火しますから、やっぱり人は何をするかわからないというのが現実ですね。

【石田委員】 シロガシラについて、まだ未確認の段階なんですけれども、人為的に持ち込まれたかどうかが、多分、確定されてない、多分、最終的にわからないと思うんですけども。それで、集団としては別の集団、亜種であるということは確か確定している。環境省の確か事業で報告書が出ていると思いますので、既に指摘してありますけども、確認して個表を直していただくといいと思います。

【村上座長】 皆さん方で個表について、これが文献が抜けているとか、ここの表現がおかしいというものは、次回までに情報を事務局まで届けてください。また、そういう問題があると思いますので、これはなるべく個表はちゃんとして、客観的に正しいものにしましょうというのが1つですね。
 それで、きょうの議論でまだいろんな問題点が出ていまして、きょうすぐ決めるというわけにいかないんで、もう一度、整理しまして、それができた段階で選定を行うという話にしたいと思います。
 それで、どうぞ。

【羽山委員】 このリストで、例えば、普及啓発を進めつつとか、関係者に利用に当たって注意を呼びかけるとともにというのは、具体的にどういう進め方が検討されているんでしょう。

【中島室長】 一番下の関係者に利用に当たっての注意を呼びかけるとともに、被害に係る知見等の情報の集積を図る必要があるというものは、要注意外来生物リストの暫定版を前回つくりましたけども、それと同じ趣旨で、被害がまだ確定的でないようなものも含めて、普及啓発のためにリストをつくって、利用される方に対していろんな注意事項を普及していくということをやっていきたいという趣旨でありまして、要注意外来生物リストに掲載するという意味です。
 その上のところは、要注意外来生物リストというものの中に含めるかどうかちょっとわかりませんけれども、被害に関しては一定の知見はあるんだという整理をした上で、先ほどのいろんな我々サイドの体制の整備みたいな話も含めて、当面、ちょっと指定ができなそうだというようなものについて、具体的に普及啓発だとか、あるいは防除を進めることは可能なわけですから、そういった対策をとっていくというものであります。
 一応そういうふうに分けて考えています。

【羽山委員】 今、ちょっと国会でかかってしまっているので、今さらどうこうということはできないんですけども、やはり、動物愛護管理法の中で、例えば、放し飼いが特に規制されてないという動物がたくさんいるわけですよね。やはり、あの法律の目的の中に生態系に対する影響を排除するとか、生物対象の確保とかというのが入っておりませんので、結局、そこで一定の規制がかけられないというのがちょっともどかしいんですけども、いずれにしても、やはり外来生物法自体、非常に厳しい法律なので、こういう例えば、私、インドクジャクなんてはっきり言ってちゃんと飼えばいいだけの話で、だから、輸出入を規制したり、譲渡を規制したりというほどのものなのかなという気はするんですけども。ただ、やはり現実にこういう影響が出てしまうというものについては、きちっとした飼育なり、個体登録なりをかけられる仕組みというのが、やはりどこかに必要で、それがこの外来生物法に盛り込めないなら、やはり、動物愛護管理法の方で担ってもらえるような、何かそういう整理が必要なんじゃないかなという気がいたします。

【村上座長】 事務局、何かありますか。

【石田委員】 いろいろ言って申しわけないんですけど、一次選定のときにもメジロについて申し上げたんですが、そういう法律のどこでケアするかというのは、時代とともに変わり得ると思うんですね。確かに、クジャクはもしほかのところでケアするんであれば、それで十分だと私も思います。それで、すると逆にメジロの方は本当に動物愛護法がいいのかというのがあって、飼うこと自体よりも、むしろ遺伝的攪乱を起こすというようなことが、現実問題としてはより重要になってきてるんじゃないかなと私は思うんですね。すると、外来種の方で、より確実なデータなり、資料が出て……。

【村上座長】 鳥獣法でしょう。

【石田委員】 鳥獣法、失礼しました、鳥獣法の方ですね。その辺は多分、一次の議論の中で大分、何というか、かなり柔軟な考え方を環境省の皆さんはされてきているように思いますので、ちょっと長い目でいえば確か羽山さんのおっしゃったようなことですね、国内移動も含めて課題にしていっていただくというのが、1つの課題というか、問題点だと思います。

【村上座長】 今回、こういう形で幾つかのカテゴリーを分けたことは僕はわかりやすくていいと思うんですよ。それで、ただそうしたらどの段階の方で線引きするのかというところが、もう少しちゃんとしておかないと、何でこいつ残してこれを入れたみたいな話が、ある程度、整合性を持たさないといけないだろうなというところが、その辺の詰めが必要ですね。だから、そこにいきますと、結局、先ほどの選定の留意事項のところにかかわってくる問題になってくるだろうと。その辺を整理しながら、今できることのことをしておこうというふうなことで次回やったらどうでしょうか。
 ほかにきょうは質問、議論しておいた方がいいという問題はございますか。大体、予定した時間がきましたが、必要なことは議論しといた方がいいので延ばしますが。

 (なし)

【村上座長】 大体、主な議論は出たということで、そうしますと、きょうの議論をちゃんと整理して、今後の進め方についてやった上で、次回、決定をすると。決定に当たっては、鳥類のこともたくさんありますので、江口さんも含めて来ていただいてということでよろしいでしょうか。

 (異議なし)

【村上座長】 そうしたら、きょうはこれで終わりたいと思います。
 事務局にお返しします。

【長田専門官】 本日はどうもありがとうございました。これで終了させていただきます。