環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第2回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(哺乳類・鳥類)議事録


1. 日時 平成17年1月11日(火)14:00~15:53
2. 場所 経済産業省別館10階 1028会議室
3. 出席者  
   (座長) 村上 興正
   (委員) 石井 信夫  石田  健
小林 正典  羽山 伸一
川本  芳  池田  透
江口 和洋
   (利用関係者) 全日本動物輸入業者協議会 大矢秀臣
   (環境省) 上杉生物多様性企画官
名執野生生物課長
堀上野生生物課課長補佐
   (農林水産省) 安田農産振興課課長補佐
4. 議事  

【環境省 堀上補佐】 それでは予定の時刻になりましたので、第2回特定外来生物等分類群専門家グループ会合(哺乳類・鳥類)の会合を開催したいと存じます。
 今回、新たに出席がありますのでご紹介いたします。九州大学の江口先生でございます。よろしくお願いいたします。
 お手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。委員名簿がありまして、資料1-1として「特定外来生物等の選定の作業手順」、資料1-2が「外来生物の特徴と選定に際しての留意点」、この2つは前回お出しした資料と同じものでございます。資料1-3が「特定外来生物等の選作業が必要と考えられる外来生物に係る情報及び評価(案)」。資料1-4が「特定外来生物等の選定作業が必要と考えられる外来生物に関し、想定される未判定外来生物の例及びその他種類名証明書添付生物の例(案)」。この2つにつきましては、今日の版として前回から少し変えてございます。それから、資料2として「ソウシチョウ・ガビチョウの取扱い(案)」。資料3として「要注意外来生物リスト(哺乳類・鳥類)(案)」。参考資料1としまして「特定外来生物等の概念図」。参考資料2が前回のグループ会合の議事概要。以上が事務局の方でご用意した資料でありまして、その後に幾つかヒアリングの資料としまして、国立大学動物実験施設協議会から「サル類の特定外来生物指定について」というもの、社団法人日本実験動物協会の方から「特定外来生物の選定に係る実験動物の流通・飼養実態・要望等について」、それから、江口先生と石田先生の方から外来種検討会資料としてソウシチョウ関連の説明、それから、池田先生の方からミンクの資料。それと、全日本動物輸入業者協議会ヒアリング結果という紙。以上が出ておりまして、そのほかに、テーブルの方にはソウシチョウ関連の文献とアカシカの参考資料があるかと思います。いろいろたくさんありますけれども、途中でも結構ですので、もし不備がありましたら事務局の方までお願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、議事進行につきましては、村上座長、どうぞよろしくお願いいたします。

【村上座長】 それでは、早速ですが、本日の議事に入らせていただきます。
 議題1は、特定外来生物(哺乳類・鳥類)の選定についてとなっております。前回の会合では特定外来生物の選定の仕方や要注意外来生物リストの作成などについて議論がありました。本日は、前回の指摘も踏まえて、さらに内容を整理したいと考えています。
 まず、特定外来生物の指定候補と未判定外来生物、種類名証明書添付生物について、前回の指摘を踏まえてどのように整理したのかを事務局から説明をお願いします。

【堀上補佐】 資料1-3と1-4につきまして、前回の指摘を踏まえて、個別にヒアリングした結果等を踏まえまして、若干変えてございます。
 1-3につきましては、前回の指摘を踏まえまして、タイワンサルとアカゲザルについて若干訂正をしておりまして、1ページですが、タイワンザルの4番のところですけれども、最初の・ですが、和歌山県及び青森県でというふうな、「青森県」というのを入れてございます。これは交雑が、前回のときには和歌山県でのみ交雑が確認されていたと書いておりましたが、前回、川本先生の方からもご指摘がありましたので、「青森県で」というのを入れてございます。
 それから、アカゲザルにつきましても同じように、5ページでありますけれども、千葉県での交雑が確認されているということでしたので、4番の最初の・に「交雑が確認されている」というのを入れてございます。
 この2つが、この資料1-3につきましては変更した点でありまして、あとは特に変えてございません。
 それから、資料1-4、一覧表でありますけれども、これにつきましては、特定外来生物のところは変えてございませんが、未判定のところと種類名証明書添付のところを若干変えてございます。未判定のところで変えておりますのは、マングース科の種数ですが、前回36と出しておりましたが、35というふうに整理し直してございます。これは技術的な修正であります。
 それから、種類名証明書の添付につきましては、先ほども参考資料の方に実験動物の関係と輸入業者ヒアリングというのがあったかと思いますが、この2つの方から若干整理をいたしました。
 まず、全日本動物輸入業者協議会の、ヒアリングの中ではすべての候補について、それぞれヒアリングをさせていただきました。どういうものが輸入されていて、輸入量が多いのか少ないのか、それから、今後輸入される可能性があるか、そういったことについて確認をさせていただきました。
 例えば、輸入業者協議会の方に聞いたところ、サル、マカク属に関しては、基本的には実験動物の用途だけで輸入されているということでございました。それから、マングースについては余りペットに向いていないので輸入量は少ないというようなことでありました。リスについては、シマリス以外に、キタリス、アカリス等が輸入されていると。今年9月までは検疫の規制の対象とはならないことから個人輸入も結構多いということですが、今年の9月には動物検疫の規制の対象となるということでございました。ヌートリアについては輸入されていないということ。カピバラが輸入されているけれども少ないということ。裏に行きまして、フクロギツネは輸入量は少ない。かつてはペットとしての需要があったと。オポッサムが、過去2年で輸入はされているけれどもわずかであるということ。
 それから、鳥の方ですが、クジャクは毎年コンスタントに輸入されている。大体毎年100羽以下程度、動物園展示用に輸入されていますと。それから、ソウシチョウ・ガビチョウについては輸入されていないと。現在、日本で販売されているものは3年以上前に輸入された個体であろうということでございます。他のチメドリ科も特に近年の輸入の実績はないということでございます。
 それから、実験動物の関係も確認をしておりまして、実験動物は2つの団体から話をお伺いしました。1つはサル類の特定外来生物指定についてということで、国立大学動物実験施設協議会というところからお話を聞きました。大学関係の施設でありまして、基本的にマカク属についてはアカゲザルとカニクイザルが多いということでありまして、これはまだ内部資料としてしか扱っていないということでしたので、回覧でお回ししますけれども、ニホンザル、他のマカク属について飼育している状況を表でまとめてはいただきましたが、ちょっと公表できないということでしたので、テーブルのみ回覧させていただきます。
 国立大学の関係ですと流通形態は輸入業者を介して輸入する場合と、そうでなくて直接ということもあるということですが、基本的には輸入会社を介して輸入していると。輸入手続も輸入業者に依頼しているということであります。入ってきた実験用のサル類の場合には共同研究、幾つかの施設で一緒にやってということですので、移動しているような例もあるということでございます。
 それから、かなり実験の中身がさまざまでして、飼い方もその実験に応じてかなり違うということでありました。飼育数の変動も割と多いということでありました。
 2ページ目にいきまして、一番下の方ですけれども、飼養施設・方法に関して、あるいは外来生物法そのものについての要望事項というのが幾つか出されておりました。許可申請について、最初のところですけれども、飼育数の変動ですとか、輸入後の所有権の移転、動物の移動、そういったことがあるので手続を簡略化してほしいというようなこと。
 2)の方の飼養施設・方法に関する基準についても、研究の目的に応じた多様な飼育形態を認めてほしいと。そういうことが言われています。
 その他のところでも、個体識別のことが書いてあるんですが、基本的には施設あるいは機関ごとに個体の管理をしているので、そういった統一的なものというのはなかなか難しいのではないかと。今やっている個体識別というのをなるべくそのままにしてほしいというようなご指摘がございました。
 国立大学の方の実験の施設ではそういったことでありました。
 もう1つ、社団法人日本実験動物協会の方から資料が出ておりまして、ここは基本的に企業等の実験動物に関することでして、ほとんど医薬品あるいは化粧品の関係の実験ということでありました。1ページの真ん中の方にサルの輸入種別というのがありますが、95%以上がカニクイザルであると。アカゲザルの昨年の輸入実績は200頭程度であるというようなことが書いてございます。タイワンザルの実験動物としての輸入は現在のところ皆無である。それから、実験用サルの供給はそのほとんどが輸入に依存しているということで、各社、1,000頭とかそういった数字を概数だと思いますが、記されてございます。
 それから、2ページにいきまして、生産施設、各国、日本以外の生産施設の数もここにまとめていただきました。日本の中ではカニクイザルを生産している、あるいはアカゲザルを生産しているところもあるということであります。
 流通形態については、直接会社が輸入している場合と輸入業者の介在があると、その2つがあるということであります。
 飼養の目的については医薬品の開発といった、大学ほどいろいろな目的ということではなくて、企業の目的で飼っているということであります。飼養期間は最長2年ということでありました。
 それから、3ページの方ですが、個体識別の方法が下の方に書いてありまして、サルの個体識別は、金属プレート、入れ墨、マイクロチップがあるということであります。申しおくれましたが、大学の方は入れ墨が割と一般的ということでございました。
 それから、実験後の処分方法は、実験終了後、100%安楽死処置方法により処分されると。施設外に解放されることは一切ありませんということでございます。
 それから、要望事項としましては、後ろの方にまとめて書いてありますけれども、5ページですが、「従って」の後のところですが、「感染症予防法並びに同法下の省令も、適用除外の根拠としての法令として位置付けられるものであり」と書いてございますが、ちょっとここは誤解があるかなと思いまして、感染症予防法については、感染症については感染症予防法で見ますけれども、生態系の被害というのを見ているわけではございませ んので、そういう意味では、こちらの法律でも適用する必要があろうということでございます。ですから、適用除外というのは誤解されていると思います。
 飼養施設・方法に関する基準に関することは、きちんと調整してくださいという趣旨のことを書いていただいております。
 特定外来生物の指定については生態系等への被害の観点から指定をし、その後、許可の基準、施設の基準等についてはまた現状をいろいろと、さらにヒアリング、あるいは業者の方にヒアリングをした上で、これから基準をつくっていきたいというふうに考えております。
 それで、ちょっと回り道をしましたけれども、戻って、資料1-4ですが、種類名証明書添付のところですけれども、サルとマングースは基本的に変化がありません。リスのところですが、リスの種類名証明書のところは、最初、リス科の一部だったんですけれども、リス科全種に変えました。基本的にはすべて種類名証明書をつけるという整理にしてございます。ですから、もともとこれは30種ということでしたが、273種すべてに変えてございます。
 それから、ヌートリアの関係で種数を精査したところ、15種から17種に変わってございます。
 それから、フクロギツネの関係でも、もともとオポッサム科の一部だったんですが、これもオポッサム科全種というふうに変えてございます。
 以上がヒアリング等も踏まえて変えたところでございます。
 事務局からの説明は以上です。

【村上座長】 ただいまの説明、ヒアリングした結果の変更点、前やったときに種数が、リス科は全科にして種数が増えたところですね。そういったところが出口ですね。何かこれについてご質問がございましたら。

【川本委員】 2つあるんですけれども、1つは細かなことで、用語の問題なんですけれども、「マカク属」というふうに資料にたくさん書いてあるんですけれども、これ「マカク」というのは英語の名称の一般名称なんです。ですので、学名で属というふうについている場合には「マカカ」と書き直していただきたいと思います。そういう場所がたくさん、この間の議事録なんかでもあります。
 それから、2点目は、未判定外来種のところ、これ、サルについては、私が資料を求められてちょっと返事が遅れたせいで申しわけなかったんですけれども、もし種数を明記するなら、ここ、12と書いてございますけれども、15の方がいいかなというふうに事務局の方にはお伝えしました。ただ、具体的に種数を書く必要がなければ、左側に書いてあるように、ニホンザル特定外来種を除くマカカ属全種で、これだけで十分だと思います。以上です。

【村上座長】 15が確実なら15と書いてもいいですね。

【川本委員】 分類が揺れていますので、論争があるためにいろいろな意見があるかと思います。

【村上座長】 だから、種数という問題なら分類に応じて多くしておくということですね。

【川本委員】 恐らく省令で指定するときには種数まで書く必要はないんですけれども、ただ世の中にきちんと伝えるという意味では、わかっているのであればこういう種も対象ですよというのは伝えていく必要があろうと思います。そういう意味では多いという、わかりやすい方をとった方がいいということであれば、おっしゃるとおり15の方がよろしいかと思います。

【村上座長】 これは結局分類学がリビジョンされたら、国の方でもそれに応じてどんどん種数が変わりますね。だから、最新の分類に関しては、それは本当かどうかというチェックが要りますから、そのアイデアが定着するまで時間がかかるのです。その辺が難しいのですが、一応最新の知識に基づいて、分類を見直していくという程度にしておけばいいんですね。そういう理解でいきたいと思います。

【大矢氏】 細かいことなんですけれども、今の日本実験動物協会の、5ページの、サルは感染症法の予防法から適用除外になっているという件なんですけれども、これは適用除外ではなくて、検疫にひっかかるものについては適用しませんよということだけで、感染症法の予防法の適用除外という意味は違うと思うんですね。今後、この議論を重ねていく上にそういうことが必要じゃないかなと、一言申し上げておきます。

【村上座長】 そのほかございますか。今の問題は、それに対して少しコメントを入れておいた方がいいかもしれませんね。

【堀上補佐】 いずれにしても、ここのところは、この法律で適用除外するということはまずないと思います。ただ、ほかの法令との関係というのはこれから、例えば基準をつくるときとかというのは整理をしていきたいと思っております。その際には、また実験動物協会ともヒアリングの中で対応をさせていただきたいと思います。

【村上座長】 そういう取り扱いでいいかと思います。
 その他にございますか。
 ご意見等がないようであれば、これについては、今回、第一次の選定候補として挙げられる特定外来生物として、先ほどの11種として、未判定外来生物と証明書添付生物については資料のような整理をするということでよろしいですか。 よければこれでOKということで。
 それでは、次に鳥類について、今日の本論なんですが、ソウシチョウとガビチョウについては、前回データが不足していたために資料をつくって、さらに検討したいとのことでした。まずは事務局から資料の説明をお願いします。

【堀上補佐】 資料2に基づいてご説明をさせていただきます。
 ソウシチョウ・ガビチョウの取扱いについてということでありまして、頭のところに書いてございますが、第1回会合において委員から生態系の被害を及ぼすとの指摘があったソウシチョウ・ガビチョウについて、被害に係るデータ等を整理した上で第2回会合において議論することとされた。その議論に資するように、あらかじめ石田先生、あるいは江口先生に情報をいただきまして、その情報を整理させていただきました。ざっと概略を申し上げます。
 原産地は東アジア、東南アジアでありまして、日本での定着実績ですが、ガビチョウ、カオグロガビチョウ、ソウシチョウの3種が、九州・四国・本州の落葉広葉樹林あるいは常緑広葉樹林に定着していると。ソウシチョウ・ガビチョウにつきましては江戸時代に飼育されていたことがあると一般に言われておりますけれども、そういった記載があるわけですが、ただ、輸入飼育の記録はほとんどないということでありまして、当時、野生化を引き起こすほど一般的に飼われていたと考えられないということであります。ソウシチョウが最も早く野生化した記録というのは、1931年、神戸市でありまして、定着が多い九州でも1970年代以前の記録はないということでございます。そういうことからしますと、今日、定着・拡大しているのは江戸時代の飼育個体ではなくて、最近輸入された個体に由来しているというものではないかということでございます。
 被害につきましては、前回もお話がございましたとおり、原生的な森林において、最優占種になっていると、群集構造が変化しているのではないかということでございます。
 もう一つ、長期的には競争種あるいは捕食される小動物等への直接の影響が推定されるということでございました。海外でも、ハワイ諸島でもこの種が侵入した地域で在来の固有鳥類が衰退していったと、そういうセンサスデータもあるということでございます。
 生物学的にはそのようなことですが、社会的要因として、もともとペットとして飼育されていたということ、それと、ここはちょっと後で補足していただければいいと思うんですけれども、伝統的な化粧製品であるウグイスの糞の代用品として用いられて飼育されているというようなことも言われてございます。
 裏にいきまして、その他関連情報として、チメドリ科、約250種が、アジア、アフリカ、オーストラリアに分布しております。1種は北アメリカ西部にもいるということでありますが、渡りはしないということであります。ですので、自力で他の国から日本に来ることはないのではないかということでございます。
 それから、一番下のところに書いてありますが、先ほどもお話をしましたけれども、近年、ソウシチョウ・ガビチョウの輸入は輸出国の中国の政策及び日本における需要等の要因からなくなっている。ただ、飼育が容易でペットとしても魅力があるので広く飼育されている可能性もあると。そういったことは実はよくわかっていないということであります。後ほどまた、これも補足していただければいいかと思います。
 いただいた文献は1から⑪までございまして、一応このような整理をさせていただきました。

【村上座長】 ただいまの説明につきまして、江口委員、石田委員、補足の説明をよろしくお願いします。

【江口委員】 それではご説明させていただきます。
 今回は、比較的データが整っているソウシチョウについて説明したいと思います。
 現在、外来鳥類として日本国内で数が増えているのは、ソウシチョウ、ガビチョウ、このチメドリ類、それと、局地的ですけれども、被害が深刻なのは南西諸島のインドクジャクということですけれども、このソウシチョウは、資料を見ていただきますと、ここに日本地図がありまして、現在繁殖が確認されている都府県を緑で塗りつぶしていますけれども、これは私どもが行いましたアンケート調査の結果です。これで言いますと、これまでの日本国内の外来鳥類に比べると非常に広い範囲に分布していると。東北から北の方というのは、これは環境的な問題があると、恐らくほとんど繁殖はしていないと思いますけれども、関東以西の方は、白いところがまだありますけれども、これはデータが不十分なだけで、恐らく繁殖個体群がいるものと考えられます。特に九州の方では1,000メートル以上の落葉広葉樹林の分布している山地のほとんどに生息していて、しかもかなりの高密度になっているということがあります。
 それで、その次の2ページ目に、生息範囲と、どういう鳥類と同所的に生息するかということを示しております。主に、このソウシチョウは、先ほども言いましたけれども、落葉広葉樹林帯、特に下層にササ類の繁茂している落葉広葉樹林帯に生息しています。といいますのは、このササ群落の中に巣をつくるという、そういう習性があるためです。
 それで、ここに筑波山の縄張り数のカウントデータとその下の方に九州の地図等がありますけれども、九州内で私どもが調査しましたセンサスデータによる優占度を示しております。この筑波山の方は縄張りをカウントしていますので、センサスデータに比べるとかなり正確な密度が示されています。これで見てわかるように、筑波山に生息している鳥類のほぼ3分の1を占めているということがわかります。
 それから、九州の方で見ますと、この黒い点の方は今まで繁殖が確認されている地域です。ほとんど九州全域に広がっております。その中で、センサス調査を行った地域というものをそこにグラフで示しております。黒い棒がソウシチョウを示しています。これで見てわかるように、福岡県の英彦山、熊本県の三方岳、市房山、宮崎県のえびの高原、こういうところでは優占度が第1位になっております。それ以外のところもかなり優占度が高いと。それ以外の、どういう鳥がいるか記号で示してあるからちょっとわかりにくいと思いますけれども、Pが最初に出てくる種というのは、これは全部シジュウカラの仲間で、シジュウカラ、ヤマガラ、ヒガラ、コガラ、こういうのは九州、それから日本の落葉広葉樹林で一般的に優占している種類です。それから、Cdというのがウグイスです。ウグイスであるとかシジュウカラの仲間が九州ではもともと優占している種であります。
 それで、在来種への影響を考えるときに3つのメカニズムが考えられますけれども、1つは上位捕食者によるトップダウン的な影響、それから、2つ目が生態的地位の似たようなもの同士の競争、3番目が同所しているということによって共通の捕食者、そういうものによる影響という、そういうことが考えられます。
 それで、どういう種類に影響が出やすいかということを考えるのが3ページ目です。ソウシチョウと在来鳥類の空間利用ということで図を示していますけれども、森林内で上層部の方は大体シジュウカラ類が占めております。下層部の方は、在来鳥類としてはウグイスであるとか、コマドリ、コルリ、アオジ、クロジ、ヤブサメ、クロツグミ、そういうものがいます。ただ、九州の場合には、こういう下層部を利用している種類としては、ウグイス、ヤブサメぐらいしかいませんで、本州に比べるとかなり下層部利用鳥類層というのが貧弱であります。そういうところにソウシチョウが入り込んできて、ソウシチョウは、この横軸の方は下層植生の密度が濃いところから低いところまで、ウグイスの方はほとんどやぶの中で生息していますから、割と植生密度の濃いところに生息しています。それから、ソウシチョウの方はかなり選択の幅が広いという傾向があります。ここで、特に私どもが九州の方で調査しておりますウグイスとソウシチョウの方で、かなり相互作用があるんではなかろうかということを考えて調査をやりました。
 その次に、具体的なソウシチョウの侵入によってどういう影響があるかということです。まず海外の例ですけれども、1つはハワイ諸島に、ソウシチョウ、ガビチョウ、それからメジロ、こういうものが自然林の方に侵入して、ハワイミツスイであるとか、そういう在来の鳥類に影響しているという報告があります。これは長期間のセンサス調査でもって調べられているわけですけれども、ソウシチョウやガビチョウ、外来鳥類が増えているところというのは、在来の鳥類というのが著しく減少しているという、そういう傾向になっています。それで、図であらわすようなデータがあればいいんですけれども、そういうデータがありませんで、すべて、相関係数であるとか、そういう指標でもってあらわしてあるので、なかなかわかりにくいと思うんですけれども、こういう、ガビチョウ、ソウシチョウ、メジロというのがどういう在来鳥類と相互作用が考えられるかということです。まず最初の方の表ですけれども、1次競争者と2次競争者というふうに分けております。これは、一次というのは食性の重複が非常に大きいので、競争関係がかなり厳しいだろうと思われる関係、それから、2次の方は食性の重複がそれほど大きくはないという、こういうふうに分けていますと、その次の表で、上の方にありますけれども、1次競争者と2次競争者、そういうすべての組み合わせを見てみますと、1次競争者の方が、こういう外来鳥類が増えているところでは減少している例というのが非常に多いという、特にソウシチョウの場合であれば、前の表にありました、上から3番目、ハワイミツスイ、それから、下から3番目のアカハワイミツスイ、ミツスイの仲間ですね、これと有意な負の相関があるという、ソウシチョウが増えているところだったら著しくこういう種類というのが減少しているという、そういう結果が得られております。それで、これをハワイの研究者は、これが餌をめぐる競争によって在来鳥類が減少したのであろうというふうに考えております。
 一方、国内ではどうかといいますと、こういう長期にわたって、同じ地域で調査を行った例というのがほとんどありません。それで、傾向が非常に不明瞭です。それから、特に、先ほど申しました潜在的な競争種の多い本州でもってほとんど調査がなされていないので、多分そういうところだったらもう少し影響というのは大きく出てくる可能性があるんですけれども、データはありません。
 1つ、ここで上げている図5ですけれども、これは先ほどの九州の五家荘、雁俣山という、熊本県ですけれども、ここで5年間にわたって調査をやった結果を、これは同じ場所でセンサスを繰り返していますから、その地域でどういうふうに優占種に変動があったかということを示しております。この地域は1989年にソウシチョウが初めて確認されております。それから2年後から調査が始まっているわけですけれども、ソウシチョウの数が増えるに従って、ウグイスの数が顕著に減少しております。
 それで、先ほど空間利用のところで申しましたけれども、ウグイスとソウシチョウというのは利用空間が非常に大きく重複しているので影響が強いだろうというふうに考えられます。それで、その結果でこういうことになったのかなというふうに考えられますけれども、実際には、私ども、この別の地域でソウシチョウとウグイスとの関係を調べておりますけれども、直接的に餌をめぐる、それから餌場所をめぐって競争があるという証拠は得られておりません。筑波山で研究された、東條さん中村さんたちの結果でも、直接的影響が見られないと言う結果が得られております。
 それで、特に九州の場合は競争者が余りいませんので,顕著に出てこないという可能性もありますけれども、実際に温帯林地域の鳥類であれば、自然との1対1の関係というのは余りありませんから、どの種が増えたからといってある種が顕著に減少するというのは、非常に小さな島であるとか、そういうところ以外では起こり得ないんじゃないかなというふうに考えております。
 ただ、先ほども初めの方で示したように、ソウシチョウの密度というのは非常に高密度になっております。その一つの例が筑波山の例ですけれども、100ヘクタール当たり350から400つがいという、これは他の温帯生息鳥類に比べるとめちゃくちゃ多い、あり得ないような高密度です。それで高密度になると、鳥に限らず他の生物にも影響が出てくる可能性というのはあり得ます。
 それで、このような異常な高密度で考えられる悪影響というのをそこに3つ上げておりますけれども、1つは生物相の攪乱という、これは実際にインドクジャクなんかではそういうことが起こっているのだろうと思われます。それから、島しょであると競争による特定種の減少というのは出てくるだろうと。これはハワイ諸島のチメドリ類であるとか、それから、モーリシャスとかタヒチに侵入したインドハッカであるとか、それから、シロガシラに近い仲間ですけれども、コウラウンという、こういうものが、ある種類、在来種に顕著に影響しているということが言われています。
 それから、3つ目の例ですけれども、これは高密度になることによって捕食者相に大きな変動が出てきて、それで、捕食者を引きつけることによって、それにとばっちりを受けて同所している鳥類が繁殖成功は低下するという、そういうことがあり得るんではなかろうかと。これは実際に「apparent competition」と呼ばれておりまして、やぶに生息している鳥で、必ずしも外来鳥類ではありませんけれども、データが実際にいろいろな研究で得られております。これがひょっとしたらソウシチョウとウグイスの間で生じているのではなかろうかということで、九州大学の方で私たちは調査をやったわけです。
 その次の5ページ、ソウシチョウの間接的な影響ということを考えました。それはどういうことかといいますと、侵入地とソウシチョウがまだ入っていない地域でウグイスの繁殖成功が非常に違うという、侵入したところでは非常に繁殖成功が低いということがありますが、それがどういうメカニズムで起こっているかといいますと、その下の絵で示しています。ソウシチョウとウグイスというのは空間が非常にオーバーラップしていて、それもなおかつ、やぶの中に生息して、巣をつくるという習性があります。それで、やぶの中を私どもが移動していって、ソウシチョウの巣を見つけると、その近くでもやはりウグイスの巣が見つかるという傾向があります。捕食者がそういうふうな探索の仕方をすると、両方の種に対する捕食というのが高まるであろうと考えられます。片一方でソウシチョウが非常に高密度になると、そういう場所での捕食者の活動というのが高まって、それのとばっちりを受けてウグイスの繁殖成功が低下するのではないかということです。それを確かめるためにソウシチョウの巣を除去するという実験を行いました。これが6ページ目です。対照区に比べて除去区の方では全体の密度が下がりますから、ウグイスの繁殖成功が高まるだろうと予測されます。
 それで実際に結果はどうだったかというのが下の図です。2年間のデータですけれども、まず、地震研下という区域で、ソウシチョウの巣を除去しますと、除去しなかった対照区に比べると、ウグイスの生存確率というものが高くなっております。その翌年には、今度は除去する地域というのを入れかえまして、ホテル裏という地域で除去しますと、やはり除去区の方で生存確率というのが高くなっております。こういうメカニズムによってウグイスの方に影響が出てきているんではなかろうかというふうに考えております。
 それから、2ページの方にちょっと戻っていただくと、先ほど九州の図がありますけれども、この中で、一番上の英彦山というところは1974年にソウシチョウが初認されております。それから、一番下のえびの高原、これは79年、この両地域というのは、ソウシチョウはかなり古い時期に侵入しています。括弧の中の数字というのは、これは調査を行った年です。それから、左側の雁俣山と白髪岳というのは、雁俣山が89年、白髪岳が83年、調査を行った時期というのはソウシチョウが侵入してまだ新しい時期です。この2つを比べますと、ソウシチョウの侵入から時間がたっているところというのはウグイスの数というのはかなり低くなっております。それに対して、まだ侵入が起こってそれほど年数がたっていないところというのは、まだウグイスの方も結構優占度が高いという、そういうことが見られます。そういうことで、このデータも恐らくウグイスに対するソウシチョウの影響というものを裏づけるようなデータではなかろうかと思われます。
 ここではウグイスの例を示しましたが、実際にはこういう捕食者の影響というのは、数が多い少ないに限らず、同所している種類が多い少ないに限らず、どのような種類にも利用空間がオーバーラップしていれば生じるわけで、特に優占種じゃなくて、数は少ないけれども恒常的に生息している種類に対する影響というのは、恐らく大きいのではないかと考えられます。
 ソウシチョウの影響については、あとは、ハワイでは病気を通じて在来種に影響するということが知られております。日本ではそういう例は、今、知られておりませんというか、調査したことがないのでわからないというところなんですけれども、日本の鳥類のウイルスを研究した例というのがあります。これを見ると、日本ではそういうウイルス感染というのは非常に少ないと言う結果です。逆にいうと、ウイルスなどが入ってきたときに、日本の鳥類はそういう病気による影響を受けやすいんではないかという、そういう懸念があります。 大体以上がその影響についてです。
 あとは、先ほどちょっと説明されましたけれども、輸入時期についての問題ですけれども、これは読んでいただくと、大体、先ほど説明された内容と同じですのでわかると思います。現在あるソウシチョウの拡大というのは、最近の輸入に起因するものであろうというふうに考えられるということです。
 以上です。

【村上座長】 ありがとうございました。
 ソウシチョウ、従来影響がないと言われていたのが、ウグイスに関しては影響が出ましたよという話が1つです。
 それで、これ、今日のお話の最終結論は、したがって、やはりソウシチョウの仲間を入れるべきであると。その部分はどうですか。それを一言言ってもらえませんか。

【江口委員】 ソウシチョウの場合というのは、ガビチョウも現在拡大しておりますので、ぜひこのソウシチョウというのをこのリストに上げていただきたいと。対策についてはいろいろあると思いますけれども、またそれはそれとして。

【村上座長】 今の説明と提案にありましたように、これだけの証拠が出ている。長期的に見れば影響が大きいと考えられる。従来、鳥類は非常に影響が見えないグループとして問題だったんですが、こんな形の間接的な効果が出てきたということになりますと、在来種への影響が顕在化しつつあるということで、ソウシチョウをやはり入れておくべきであるという提案です。
 今の説明について、どなたからでも。質問、意見。どうぞ。

【石井委員】 この資料を見せていただいて、在来種では考えられないほどの高密度になるというのは、やはりこれも哺乳類と同じ外来種の特徴をよくあらわしているなと思いますね。それで、何らかの影響が多分あるだろうなと、それだけを考えても思うし、幾つか状況証拠みたいなものが出てきていると。外来種の問題、対策を考えるときに、証拠がない限りは何もしないというのはやめた方がいいと思うんですね。予防原則というような言い方をする場合もありますけれども、ですから、この種に関してははっきりした証拠がなくても、これだけ高密度になる種類であるというのはわかっているので、何らかの対策をとるべき種類だろうというふうに思います。
 それで、1つ質問があるんですけれども、全国的に、県単位の分布で見ると、いろいろなところに隔離分布というか、まだらに分布しているのかなという気はするんですが、何か起源になったポピュレーションの位置とか、それの広がり方というのは、全国的には無理かと思うんですけれども、どこか一地方でも、どのぐらいのスピードで広がっているかというようなデータってないんですか。

【江口委員】 そうですね、これは起源はいろいろだと思うんです。私ども、それぞれの地域個体群で遺伝構造を調べたことがあるんですが、それぞれの特殊性というのがある。恐らく1つのところからぱっと広がったということではなくて、かなり同時多発的に別々なところで出てきたんではないかと思われます。といいますのは、九州で広がり出したのが、いろいろな地域で、ほぼ同じ時期で、それから、この種類というのは渡りをしませんので、大きな移動をしません。ある山の上から冬になると下に下がってくるというだけですから、そういうことを考えると、全国で分布しているというのは、それぞれの地域で逃げ出した個体が徐々に増えていったということになるだろうと思います。

【石井委員】 広がるスピードとかというのはわかりませんか。

【江口委員】 九州ぐらいだったら何とか追えるかもしれません。今、今度は繁殖している標高がだんだん下がってきているんですよね。400メートルぐらいのところとか。それで、大体熊本を中心に、そこら辺で調査を最初の方にされたからそうなのかもしれませんけれども、それから福岡市の近くであるとか、そういうところで最近は出てきているという。それから、四国に侵入してきて、今、高知県だけなんですけれども、これから広がりつつあるんじゃないかという。四国のがどこから来たかというのは、多分、ここも独自に、高知市の近くですから、そこら辺から逃げ出したのが増えたのだろうというふうに考えております。

【村上座長】 恐らく初認記録を確認しながら、同時多発的であるということが明らかとなり、これがいわゆるかご抜け鳥、要するに飼養鳥がエスケープした問題があるということがはっきりすれば、飼養の管理というのがかなりの問題になりますね。輸入した数なんていうのはわからないですか。

【江口委員】 もう1つ、これはうわさですが、熊本県とか他の県で、個人が飼育していて逃げたということは、先ほどウグイスの糞の化粧品というのがありますけれども、割と業者が大量に飼育していたのが、それが経営が成り立たなくなって放したという、そういううわさを九州内でも、1、2カ所、聞いております。

【村上座長】 その可能性が高いですね。これは遺伝的な組成とか、いろいろなことを調べていけばそのうちにわかると思いますが。重要な問題は、先ほど石井委員が言ったように、予防原則で、ある程度はっきりしたところで管理に乗り出さないと話にならないということですから、これはここまで証拠があると入れた方がいいであろうと。ただ、これは入っている場所はほとんどが自然生態系なんですね。

【江口委員】 そうです。ここがまた重要なところだと思うんですけど。

【村上座長】 今まで上げられた九州のやつもほとんどが自然生態系、だから、人為的攪乱が入ったことによって外来種が入り込みやすくなったというような話ではないんですね。その辺のところは、一応生態系への影響というのが、自然生態系の影響というのは非常に顕著です。しかもそんな場所を好んで入るというのは非常にこれは大きな問題だと思うんですが。どうですか、石田委員、補足。

【石田委員】 ちょっと補足として、今、ソウシチョウのお話が中心になっているんですけれども、被害を受けるものの一番顕著な例だろうと言われているウグイスの方ですね。最近というか、去年の春ぐらいにダイトウウグイスというのが再発見されたというような新聞報道があって、見られた方もおられると思うんですけれども、ご存じのように、皆さん、非常にウグイスの声はご存じのように日本中にいるんですけれども、島しょ個体群も結構いるんですね。今、その系統関係が過去に形態で分類したものから、かなり実際は違うんじゃないかということで研究が進んでおりまして、群集系統とか、いろいろな研究が出てきているんですけれども、まだ研究の途中です。ただ、実際問題として、かなり小さな島しょの特徴的な固有の個体群がまだまだ記載されていないものがたくさんいる可能性があります。そういったものが実際に大東島では1回消滅してまた戻ってきたりとかということもある可能性があるし、今、実際、奄美大島にはウグイスはいないんですけれども、万一ソウシチョウみたいなものが入ったときに、そういう小さな固有の個体群が絶滅するということは、私はかなり可能性があるんじゃないかと。そういう意味で、今すぐに島にだれかが連れていくということはないかもしれないんですけれども、やはり注意を喚起しておいて、島にそういったものを持ち込まないとか、そういうことが非常に大事になってくると思うんですね。そういった点でもリストアップしていただきたいということを考えております。

【村上座長】 わかりました。
 他にございますか。

【大矢氏】 現在、九州等で繁殖しているソウシチョウ、大もとのことなんですけれども、ペットとして入っている数量というのはそれほどでないし、それから鳴き声等、きれいだということで、飼育される羽数が非常に少ないんですね。それが仮に逃げたとして果たしてこれだけのものが出るかどうかという、ちょっと私は疑問を持っているんですが、先ほどウグイスの糞の代理ということが出てきましたので、これについて私もちょっと認識しておりませんので、私どもの協議会を通じて、過去に輸入したものをどういうルートでどういうところに流しているのかというのをちょっと調査してみたいと思います。それについてはまた事務局の方にご報告をさせていただくということにしたいと思います。

【村上座長】 ありがとうございます。

【江口委員】 80年代、そこら辺ぐらいまでは環境庁のデータか何かで、ソウシチョウというのはかなりの数というのが輸入されておりまして、今の拡大というのはそういう、最近の90年代以降の輸入ということでなくて、かなり、70年代、80年代の輸入からの逸出、そういうことが大きいじゃないかなと思っております。

【村上座長】 だから、資料をそろえるときに、初認記録が70年代とか古い記録ですので、その辺のことを記入して貰うなどの処置をお願いします。
 それで、この件はどう扱いましょう。今の提案にもありましたように、これだけの影響を得て、鳥類グループの中では影響がはっきり明確化した方だと思いますし、これは入れておいた方がいいと思うんですが、どうでしょうか。これは意見の賛成を求めますので、特に異議はありますか。

【堀上補佐】 選定の考え方ですけれども、今まで割と、他の分類群もそうなんですけれども、捕食の関係あるいは遺伝的攪乱といったことで、競合について余り実は詰めていなかったということがあります。そういう意味では、例えば資料1-1の選定の作業手順の中ではどういう整理、今回のソウシチョウに関してはどういう整理になるのか、2ページの頭にⅰ)からⅳ)までありますけれども、お話を聞いていれば4番の在来生物の群集構造や種間関係を著しく変化させ、又はそのおそれがあると。あるいは、先ほど石田先生からご指摘がありましたような、島しょにおける固有の個体群に絶滅をもたらす可能性がある、こういったことは今回のソウシチョウに関してはある程度恐れとして認め得るということなのかどうかということだと思います。

【村上座長】 そうですね。確かにその部分に関して、資料1-1の影響の、2ページ目の4つのところの関連は言っておく必要がありますね。それで、今日明らかになったのは、4番目のものは明確になりましたね。それで、この影響からいくと、それに伴って地域的な個体群の絶滅をもたらす可能性がありますが、主には4番目ということで良いのじゃないかと思います。そのときに在来生物の群集構造や種間関係への影響とされていますし、今日のソウシチョウが侵入している場所が割といい場所といいますか、群集構造が安定した在来群集ができている場所なのです。そういうことを考慮したということでいいかなと思うのですが。
 特に異議がなければそうしたいと思います。

【堀上補佐】 もう1点補足をさせていただきたい。
 今のご指摘というか、この委員会では特定外来生物の候補として、ソウシチョウ、ガビチョウ、あるいはカオグロガビチョウをカウントするということかと思いますけれども、規制をかけるという観点からしますと、先ほど大矢さんの方からご指摘がありましたが、実際に今、どういう飼われ方をしているのか、それは数もそうですし、それから飼い方、施設の問題もそうなんですが、そういったところを実はまだこちらでも十分情報を持ち合わせてございませんので、一応学術的、科学的な視点ということではいただきましたが、そのあたりの実際の飼養状況というのもあわせて見ていかなければいけないというふうに考えておりますので、そこは別途こちらの方で、またヒアリングするなり、大矢さんに伺っていくなりしていきたいと思っています。

【村上座長】 わかりました。
 一応、こちらでは選んで、全体会議に対して提案するという形に、それまでにできたらできる範囲の資料を提供するということでよろしいでしょうか。そういう形にさせていただきます。
 それでは、次に要注意外来生物リストについて議論したいと思います。本リストは法律に基づくものではありませんが、影響を及ぼすという何らかの指摘がありますので、注意を喚起する必要があるとして上げています。事務局の方で考え方と候補を上げてもらっていますので、まずこれについて説明をお願いします。

【堀上補佐】 資料3に基づきまして、要注意外来生物リストの案についてご説明させていただきます。
 前回の会合でも要注意生物リストといったものをつくるべきというようなご指摘があったかと思います。既に他の分類群で、例えば無脊椎動物あるいは植物のワーキンググループの中でも、このリストをそれぞれ示しているところでありまして、基本的なこの考え方は、他の分類群と共通であります。
 1番のところで要注意外来生物リスト作成の目的というのを書いておりまして、これまでこの分類群については2回議論しておりますけれども、生態系等への影響が指摘されているものは、今回の特定外来生物の候補だけではなくて、他にも幾つかあるわけでございまして、それらがその特定外来生物には選定されなかったということに関しては大きく理由としては2つあります。1つは、共通ですけれども、被害に係る科学的知見というのがまだ不十分である。さらなる知見の集積が必要であるということ。もう1つは、ある程度科学的知見も示されてはいるけれども、広範に販売・飼養等がなされているとか、そういった状況にあって、現時点ですぐに効果的な規制を行うことが難しいのではないかというものもございます。そういう理由から特定外来生物には選定されないと。
 しかしながら、被害の予防という観点からは注意を要するリストとして何らかの位置付けが必要ではないかということで、今回環境省の方でそれを整理して公表することによりまして、この外来生物を理由する関係者の方々に影響の内容を知っていただく。利用に当たってきちんと利用して、外に出さない、放したり逃げられたりしないように、そういう管理をしてくださいと。そういうような取り扱いについての留意事項をつけて公表していく必要があろうと。あわせてさらなる知見の集積を図るということでございます。こういった知見を集積し、なおかつ利用に関して注意を払い、知見の集積ができれば、いずれその特定外来生物としての指定についてもまた再考するということで考えております。
 2として、要注意外来生物リストの内容ですが、(1)の方は特に注意を要する、ここで特に注意を要するといいますのは、現状でかなり幅広く利用されているような場合に、なおかつ逸出するような可能性もあるような場合に、きちんと利用者に内容を理解していただいて逸出するような、あるいは逃がしてしまうようなことがないように注意喚起するという意味で、特に注意を要する外来生物と。
 もう1つは、単に注意を要するということで、これはどちらかというと科学的知見の集積がまだまだ足りないということで、科学的知見の集積を図っていくということでございます。
 3番でそのリストの公表でありますけれども、この会合の中でいろいろ意見を承った上で環境省において公表していくと。全グループ会合を見た上でまた整理が必要になりますので、全体会合に提出していただきまして、それをまた議論するということになろうと思います。その結果を踏まえて、どういうふうに公表していくかというのは、これからまた事務局の方が考えていきたいと思っておりますが、ただ、法律の対象、規制種ということではありませんので、その出し方をなるべく注意したいと思っています。出したことによって世の中に大きな混乱を与えるということも、またそれはそれで困るということで、きちんと趣旨が伝わるようにしたいというふうに考えてございます。
 2ページ目ですが、哺乳類と鳥類に関しての要注意外来生物を掲げています。前回の会合でも文献等で指摘があるものというものを並べておりましたが、基本的にはそれから、特に文献で影響について内容が記述されているものを選んできたということでございます。
 1の特に要注意外来生物はインドクジャクを上げておりまして、これは影響に関する指摘がございますし、沖縄の方では既に駆除をしているということもございます。ただし、本州、要するに本土の方では広く飼われておりまして、学校でも飼われておりますし、幼稚園でも飼われていると。なおかつ放し飼いをしているようなところもあるというような状況であります。そういう意味で、まだまだ飼い方に関して、あるいは飼養の状況についてわからないことも多いということもあって、そこは十分飼い方を注意していただくということで、普及・啓発を図る必要があるということでございます。
 それから、2の、まだ知見が足りないだろうというものとして上げておりますのが、ナミハリネズミ、リスザル、キタリス、チョウセンシマリス、タイリクモモンガ、フェレット、アメリカミンク、アカシカ等のシカ属8種、全種を上げてございます。その影響の中身としては真ん中に書いておりますけれども、競合・駆逐・捕食・遺伝的攪乱といったような内容がありまして、参考文献は下に並べてございます。
 備考欄に書いておりますのが、どういう注意をすべきかということ、これはかなり簡単にここでは書いておりますが、これからまた中身を詰めようと、詰めなければいけないと思いますが、飼養施設以外への逸出や遺棄をすることがないよう関係者に普及・啓発を行うことが重要なものであるということが、これは利用に当たっての注意事項ということでございます。
 それで、インドクジャクについては、別途インドクジャクに関する情報というので、ざっと整理をしております。
 被害については、捕食によってトカゲ類などの小動物が激減している。そういったような状況で小浜島では高密度に生息しているというような状況が指摘されてございます。
 一方で社会的な要因のところに書いてございますが、学校、公園施設などで飼育されているような状況があると。その他の関連情報のところにも書いてございますが、アメリカとかオーストラリア等でも野外に定着していると。しかしながら、生態系被害とか農業被害に関する報告は少ない状況、よくわかっていないというような状況でございます。国内で繁殖された個体が譲渡され、多数飼育されていると。ここ、輸入はあるものの多くないと書いてございますが、先ほど100個体ぐらいあるということでございましたので、必ずしも少なくはないという状況でございます。放し飼いにされている例が多い。逸出が比較的多いのではないかと。ただし、多数飼育されていますので、それを把握できていない状況、現時点で規制を徹底させることは難しい状況であります。飼育者に対する飼育管理について注意喚起が必要ということで留意点を書いてございます。
 以上が要注意外来生物として、事務局の方で整理した資料ですが、ここでいろいろとご意見を承った上で、またさらに内容を詰めていきたいと考えてございます。

【村上座長】 要注意外来生物というのは法律にはないんですが、運用上は、ここは割と重要な課題で、これを入れることによって外来種の管理がより容易になるだろうと思いますので、そういう意味では、資料3、1ページ目の、こういう目的とか内容ということに関して、これは一般論として少し議論をしておいた方がいいだろうと。それが済みましたら、その内容に基づいて、特に注意を要する外来生物と注意を要する外来生物の候補が上がってきます。それについて議論、2段階に分けた方がいいと思いますので、一応そうさせてもらいます。
 最初の、資料3の1ページ目について何かございますか。
 選定されなかった理由が1つ2つあって、要するに広範に販売・飼養等がなされ、規制をいきなりやると効果的かどうか危ないというものと、科学的知見が不十分だという、その2点が解決されれば、これは当然、その種は要注意外来生物リストから選定の種の方に移行すると、そう考えていいですね。ということは、要注意リストの内容のところで、「別途継続検討中の生物として取り扱う」と書いてあるんですが、「選定作業が継続行われる外来生物については」という言葉がありますね、2行。これは要するに、これとの関係は、同じなのですね。

【堀上補佐】 別途継続検討中の生物といいますのは、例えば今日お認めいただきましたけれども、特定外来生物の候補に挙げていながら、もう少し審議が必要であるというふうなことがもし今日あれば、例えばソウシチョウ、ガビチョウがもし今日残った場合に、それは継続審議というような扱いがあり得るとしてここに入れておいたものでして、それは要注意とちょっと別途、もう被害についてはある程度知見はあるけれども、具体的な特定外来生物として議論はやっているというものとして別途整理していましたけれども、今回、哺乳類・鳥類についてはそれはないようですので、そこを見る必要はないと思います。

【村上座長】 候補にはなっているけれども、片一方の方はもう既に挙がっているものだと。どうもいま一つよくわからない整理ですね。

【石田委員】 ちょっとだけ確認して。私もちょっとひっかかったんですけれども、ソウシチョウの場合、全体会議でもう少し様子を見ましょうということになったときに、自動的に要注意リストには入るんですか。特に。そこのところの関係がよくわからなくて。

【村上座長】 原案としてここは一応、先ほども挙げることになっていますから、そこでペンディングになることはまず余りあり得ないと思うのです。

【石田委員】 そうですか。要注意リストに入れちゃうと上へはあり得ないと。

【村上座長】 要注意リストは将来的には上がる可能性がある。

【石田委員】 現時点ではね。

【村上座長】 現時点では、第一陣としては入れない。

【石田委員】 そういう意味の断り書きなんですね。

【堀上補佐】 そうです。他の分類群とかなり共通でこの概念図はつくっていますので、いろいろなことを想定してつくっていますものですから、今回、残ってしまったもの、例えばソウシチョウがもし残ったら、こういうこともあり得るということで書いておりましたが、もう上げるんだという整理であれば、これは特定の候補ということに整理されると思います。

【村上座長】 いずれにしろ、リストに載ったものについては継続的な活動を行って、例えば知見が足りないものについては知見を充足するようにするし、それから管理の問題についてはこういう問題が、例えば飼養実態を把握するとか、そういったことが行われるわけですね。だから、それについては継続審議でいうと、いわば内容的には同じものですね。

【堀上補佐】 あと、こういった会議の中で具体的にこれは特定の候補として議論しましょうと言っているものと、そうでなくて、事務局としてデータ収集をしているというものとの違いというふうに考えていただければいいと思います。
 ここのところはまだ具体的な、これで決まるというものではなくて、他の分類群も見た上で最終的な整理をしたいと思っております。

【村上座長】 それはまだ暫定的、そういうふうに理解して、継続審議しているものとはちょっとだけ違うのだという理解程度のところで行きましょうか。

【石田委員】 リストについては意見……。

【村上座長】 それで、これが大体一般論として行ってよければそれでいいですね。
 そうしますと、リストの2ページ目の方に移りたいと思います。2ページ目、3ページ目。ここでは、特に注意を要するものと注意を要するものとを識別してあるということなんですね。

【石田委員】 多少蒸し返しになるかと思ってもらえればいいんですけれども、一応お話はしたかと思うんですが、メジロの件ですね。先ほどから伺っていますと、遺伝子汚染の恐れがあるという点に関して、鳥獣保護法の方で面倒を見るからいいというお話が基本だったと思うんですが、何となく先ほどから伺っていると、それなりに防疫法になると別の面でケアできるようなところがちらちらと出てきていると思うんですね。それで、メジロに関しましては、ちょっとまだ報告書が、前回ご紹介した永田尚志さんの報告書は出版されていないんですけれども、まだ野外では交雑個体は見つかっておりませんが、鳥の場合は多分、1回交雑が野外で進んでしまったら、もう後手の施しようがないと思うんですね。それで、飼育に関してこういう注意を要する方の、下の方のリストでいいと思うんですけれども、メジロを入れておいていただければ、やはり外から輸入したヒメメジロを外見ではっきりわかるわけですから、そういったものを見たならばなるべく早く駆除するとか、条例みたいなもので、あるいは飼育している人に別の面で非常に気をつけなくちゃいけない。交雑を、遺伝的攪乱を気をつけてほしいということをこういう形でアピールできるのであれば、やはり入れていただきたいなというのが私の希望といいますか、考えなんですけれども、私たちの。

【村上座長】 例えば今メジロにそういう影響のデータがあり、あるいは何か今日のソウシチョウ、あるいはインドクジャクもそうですが、これらについては一応客観的なデータがこれだけありますよというものがあったわけですね。それでメジロについては、まだそれが出ていないのですね。これはあるけれども出していないのですか。

【石田委員】 これは、ですから内部報告書を国立環境研究所の内部報告書は既に44ページのものができております。それで、私が勝手に配るわけにはいかないので、多分3月には、五箇さんが企画された研究成果として、全体の報告書で、この部分の、メジロの部分は多分30ページぐらいに圧縮して出るはずです。ですから、そういう形で情報収集を続けていただきたいということですね。メジロはもともとかなり渡りをしますので、日本の国内ではマイクロサテライトの塩基配列とか、それほど差はないんですけれども、ダイトウメジロだけが遺伝的なはっきりした差があって、クラインといいますか、地方によってちょっとグラデーションみたいな違いがあって、ただ、そこにヒメメジロが入ってくれば、ヒメメジロはもう完全に遺伝的に違う亜種ですけれども、そこが交雑する可能性はもう十分に高いということが指摘されております。
 あと、永田さん、先ほど江口さんが紹介されたトリマラリアとか、そういうウイルスの方も永田さんたちはこの研究の中で研究をされていまして、それで、メジロはほかの日本の在来種の中では、割とそういうマラリアとかトキソプラズマとかを持っている、やや比率が高いものであるとか、そういった具体的な感染率の問題とかも出て指摘をされております。
 ですから情報としては、現時点ではそろっていると言ってもよろしいかと思うんですけれども、ヒアリングを続けていただく価値はあるんではないかと。

【堀上補佐】 一応、この普及啓発をするということと、科学的データをこれから集めていく必要があるということからすると、今、どういうデータがあるのかというのがやはり求められますので、対外的にはそういうところは説明する必要がありますので、そういう意味では文献主義でいろいろご批判があるのもあるんですが、参考文献としてこういうものがありますというのを上げているという状況です。ですから、メジロに関しても何らかのデータがこういうものに指摘されていますというのを客観的に示す必要があると思っていまして、そこはむしろ、そういう文献を出していただいて載っけていくということかなと思っています。

【石田委員】 できたものとしてあるんですけど、どういう形で出せばいいんですか。永田さんに直接……。段取りがちょっと、私、わかっていなくて、いろいろと後手になって申しわけないんですけれども、例えば私がいただいた、PDFのファイルを堀上さんに永田さんから送っていただくということはもうすぐにできます。

【村上座長】 だから、そういったことにかかわるポイントの部分をぽんぽんぽんと、例えば一番困るのは、この会議の席上にちゃんとデータが出ていないものを入れろというのは少し無理だろうと思うのです、はっきり言って。だから、この会議の中で出ていれば僕らが判断しますが、出ていないものについて、そういうものがあるから認めろというのは、僕は原則論として止めた方がいいと思うのです。だから、もしどうしてもというのであれば、親委員会までの間に、そういった資料を全員に回してということも考えられますが。それでも、それは形式上非常におかしな話になりますので、今回は見送らざるを得ないというのが私の判断ですが。 ですから、そういうことが議論になったということを書いて、それで、これは次回のときにそれを入れる方向にしましょうという話しかできないと思うのですよ。やはりここの会議の席上に資料が出て議論をした上でないと、そういうことは余り健全でないと思いますので。

【石田委員】 ちょっとタイミング的に後手になったので、来年以降という形でいいと思うんですけれども。

【村上座長】 そういう扱いにして、それまでに十分資料を蓄積して、議事録にそういうことにするということでどうでしょうか。今の段階でここに入れろというのは少し無理です。

【石田委員】 そこまで言っているわけではない。

【村上座長】 わかりました。

【石田委員】 どうしたらいいんですか。

【堀上補佐】 よろしいでしょうか。他の分類群の方では、ある程度きちんとしたデータなり文献、外に示せるものがあるのであれば、要するにこの会合の後でもいただいた上で事務局と座長との間で話をして、全体会合に持っていくという整理をしています。

【村上座長】 そうしたらそうしましょう。そうしたら、多分委員の方に全部送って、それで私の方と事務局で相談して、こういう形でよろしいですかという書面会議みたいな形でやらせてもらってよろしいかどうか。それでよければ、私はそれが一番スムーズなので。今みたいに、メジロは僕も入れた方がいいと前から思っていましたので、入れることに賛成なので、そういう取り扱いが許されるならそうしたいと思います。

【堀上補佐】 ただ、余り時間が実はないものですから、1月下旬の全体会合に持っていくとすると。

【石田委員】 現物はあるので、今日中に皆さんに回覧するように永田さんに連絡します。

【村上座長】 わかりました。そういう話なので、そうしたら、それを見て判断して、これならという話だったら、そこの中に追加をするという方向でやりたいと思います。
 その他、ございますか。
 それで、実は池田さんの方からミンクとアカシカについての補足資料が若干ありますので、これについて説明をお願いできますか。

【池田委員】 お手元の方にミンクの資料とアカシカの資料を配らせていただきましたが、ミンクに関しては前回の会議の最後に検討に加えていただきたいということを言いまして、それからアカシカに関しましては、前回、ページいただいた資料の影響の可能性が指摘されている外来生物の中に、一応、アカシカが載っていまして、その際には遺伝的攪乱のみが指摘されていたんですが、その後、哺乳類学会のシカ研究者から情報をいろいろ得ましたところ、その他にも影響があるということで、今日、資料として示させていただきました。
 まずミンクの資料ですが、これは北海道で出した北海道ブルーリスト、北海道の中の外来種のリスト、これはホームページでも公開されておりますが、この中の資料です。実は、ミンクは1985年に北海道が自然保護課の方で調査した結果を公表して以来、新しい情報というのがずっとなかったんですが、最近になりまして釧路湿原の方でザリガニへの影響が非常に危惧されると。昨年か、ウチダザリガニも外来種なんですが、ウチダザリガニの籠にミンクも入り込んで、死体が上がるとかというところで、その場所、同所的にニホンザリガニが生息していますので、そちらへの捕食が非常に危惧されるということで、また注目されてきておりますので、ぜひきちんとしたデータがまだ十分ではないので注意を要する外来生物としては入れておいていだたきたいと思いまして、資料を提示させていただきました。
 それから、アカシカの方に関しては、遺伝的攪乱の他にも人獣共通感染症ですね、特に最近、シカ類特有のプリオン病である慢性消耗性疾患、これの感染が危惧されております。さらに、在来のニホンジカより大型になりますので、やはりニホンジカ同様の希少植物など、自然植生への悪影響も予想されるということです。
 養鹿だけじゃなくて、観光業などの導入も結構なされているようで、しかも状況が悪いことに、この養鹿観光業ともに余り営業成績が上がっていないところが多いということで、遺棄等の危険性も十分にあるということで、これもぜひとも注意を要する外来生物に入れていただきたいということで、資料を提示させていただきました。
 アカシカに関しては、資料の最後に書いてありますが、日本哺乳類学会でも1991年にアカシカを含む外国産シカ類の養鹿禁止を求める決議というのを出しております。こういった経緯も含めて、要注意外来生物に加えていただきたいと思います。

【村上座長】 ありがとうございます。
 今の最後の説明、ミンクとアカシカ、シカ類について、特に何かございますか。
 なければ、先ほどの表のリスト、これに上がっているもので、これ以外に追加せえとか、これは少し事実と違うというのがありましたら指摘してください。

【池田委員】 先ほどのメジロの話で新しいのは要注意ということなんですが、実は、私、直前に北海道の方で情報を得た話で、これは鳥類の方に関わるんですが、コウライキジ、北海道でまだ放鳥しているというのがありまして、これはちょっと放鳥事業ということで難しい点もあるかと思いますが、鳥獣保護事業計画の指針では、一応、国内外来種を含めて外来種の放鳥獣を行わないということにしているはずなんですが、実際にはそうした放鳥が行われている。急ぎ、ちょっと鳥獣統計を見てみたんですが、平成13年の資料で、北海道で120の放鳥が現実に行われている。これは影響等はまだ、調査とかはあるわけではないですが、こういう事実があるということはちょっと問題だと思いますので、これに関してはどういう取り扱いになるかはわかりませんが、要注意もしくは今後の継続課題として議事として残していただけないかなと思います。恐らくその他のコジュッケイなんかも同様のことが考えられると思いますが、今回の指定等で何もこういう問題で喚起をしないと、一般の方に、こうした放鳥に逆に市民権を与えてしまったというような誤解が生じるのはちょっと避けたいところだと思いますので、何がしかの対応をお考えいただければと思うんですが、いかがでしょうか。

【村上座長】 この点について江口さんか石田さん。

【江口委員】 北海道のコウライキジの放鳥というのはかなり長い歴史がありまして、もう1930年代ぐらいだろうと思いますけれども、それで、その当時はこういう外来種を放すということはそれほど問題でなかったから、単純に狩猟鳥獣を増やすということで始まったんだろうと思いますけれども、現在ではその考え方自体というのが変わってきましたので、過去のこういう放鳥事業というのをどうするかというのはかなり、これから議論が必要なところだと思います。だから、コジュッケイは放鳥しているわけではないですけれども(江口注:少ないながら放鳥されている)、これだけ広がったもの、それから、まだ狩猟鳥として認知されていますから、こういうもの外来種をどうするかというのをこれから考えていくことではないかなと思います。

【村上座長】 事務局の方から。

【堀上補佐】 コウライキジは対馬に生息しているものは在来扱いというふうに聞いているんですけれども、この会合なり、この要注意外来生物については、基本的には国外からのものを整理するということで考えておりまして、国内由来のものはやはり別途検討が必要とは思いますけれども、ちょっとこの場では整理し切れない問題でして、そういったご意見があることは十分承知した上で、別途検討なのかなと思っています。

【村上座長】 要するに鳥獣法の方で検討するということになりますか。ですね。だから、この放鳥事業は鳥獣保護事業計画の一環に入っていますから、そちらの中をきっちりとしなければ話にならないので、そちらをきっちりとすればとまると思うのですが。京都府なんかもう今年とめていますが。これは各県によって状況が違うと思うのですが。だから、この辺りのことをちゃんと把握して、ここでは鳥獣法の中で扱うということさえ書いておいてもらえれば、一応そういう問題であるということでいいんじゃないでしょうか。

【羽山委員】 コウライキジの話題が出たので、ちょっと今の整理ではどうかなというのが私の意見です。つまり例えばニホンイタチにしても、それからチョウセンイタチにしても、島しょ地域あるいは国内移動によって、現実に生態系への影響が出ているような種について、何らリストアップもされない、国民にも知らせることができないというのは果たしてどうなのかなと。当然、今回の法の趣旨は十分わかりますけれども、別途検討ということであれば、やはりそこも踏まえて考えていく必要があるんではないかなという気がいたします。
 それからもう1点、今後、再導入というのがいろいろ行われる予定になっているわけですけれども、これは、実は外来種の対応方針を決める段階から、この法律が一段落してから再検討しようという仕切りになっていたと思いますので、やはり次の段階としてそれも含めて、どういう基準であれば野生に返すことができるのか、その検討も引き続きやっていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。

【村上座長】 そうですね、リイントロダクションは野生復帰というぐあいに日本語で言われているんですが、それはいずれにしろ考えなければいけないことでしょうけれども、要するに、気になるのはむしろニホンイタチとかチョウセンイタチの国内外流通、あるいはそういったもの、今回は法律として扱わないけれども問題になっている。これについては、確かにリストアップしておくことは意味があると思うのですが、その辺のところはどうなのですかね。僕は、先ほどのコウライキジに関しては、「鳥獣法で扱う」というふうに書いておけばそっちで扱わざるを得ないのだから扱うだろうと。ニホンイタチ、チョウセンイタチはどこそこで扱うとか、そういうふうにすれば。要するに、今回の法律では、国内外来種は日本における従来の法律で適切にやりなさいという話になっているわけですね、前の説明によりますと。そうすると、その前の法律が非常に問題となる。しかし、対処が必要であっても、今回の特定外来生物法の中には入らないので、他のこういう法律で扱いますよということを書いておく、そういった姿勢があってもいいのではないかというのが私の意見なんですけれどね。その辺はどうですか。

【環境省 上杉企画官】 在来種といいましょうか、国内に既に分布している種を国内の他地域に移動してしまうという議論は審議会のときからずっとありまして、なおかつ、今回の法律の基本方針の際にも、岩槻委員長の談話という形で対応については、ここはしっかり考えていきましょうということが言われています。そういう意味では、我々として宿題として当然意識はしているわけですが、今回のこの法律に伴う、いろいろな一連の流れの中で、特に要注意外来生物というまた新たな概念のものを出そうという中で、そこに入れてしまうと非常に混乱をするということがありまして、今回の仕切りとしては、あくまでも海外原産のものを対象にしたものというふうな形で、とりあえず整理はさせていただきたいと思います。我々として、先ほどのご指摘については当然意識をしている部分ではありますので、これからしっかりと検討したいというふうに思いますけれども、今回の整理の中では、とりあえず仕切りをちゃんとした方がいいだろうという考え方でおります。

【村上座長】 私もその要注意リストの中に入れるのは反対で、むしろ明確にした方がいいというような意味ですが、その積み残したやつについては、何らかの形で別立ての何かが欲しいなということです。別立ての何かをつくっておいてもらえれば、それについては順次検討しますよと。これは重大な問題と考えていますよというようなことがわかる。そういうことをわからせておくことも非常に重要な意味があることだと思っていますので、そういうことを考えてもらえたら、それでいいなと思います。今回の議論に直接かかわっていないことはわかっていますが、何か、これは親委員会で言うべきことかもしれませんけれども、やはりそういうことがここで出たということは親委員会に報告したいと思うんですが。

【石井委員】 要注意外来生物のリストですか、それに関して、もうほぼ結論が出たので蒸し返すつもりはないんですけれども、ちょっと蒸し返しますけれども、この要注意外来生物は法的な拘束力を持たないリストですよね。だから、希少種でいうとレッドリストみたいに、なるべく実態に沿った柔軟なものをつくった方が本当はいいなと私は思います。それで、ただ、実際にどうするかというのはそちらで決めていただくことになると思いますが。
 それと、国外産のものに限るとしても、今日示されたリストを見ると、大体こんなものが上がっているのは妥当だと思うんですが、もう少し何か、例えばリスの仲間でも上げておいた方がいいのがありそうだなとかという感じがするんですね。それで、要注意生物リストに関しては、何か手順が、このリストをつくる手順というのがよくわからないので、もう少し何かシステマティックに、それこそさっき言ったレッドリストみたいに、何か基準を決めてリストアップしていくという作業をした方がいいのかなというのが全体的な印象です。個別に何をつけ加えるという具体的なアイデアは今ありませんが、そういう過程をどこかでつくっていただきたいなというふうに思います。 というのは、なぜこれが出てきたかというのは何となくわかるんですけれども、はっきりした説明がないので、そこのところをはっきりさせた方がいいのではないかと思いました。

【村上座長】 実は、これ、親委員会に出たときに農水省の方かと思いますが、こういう法律にないものをつくることに対して、えらい反対をされた記憶があるのですね。それはやはり運用上こういうものがあることは必要なのですが、法律には書かれていないというところが問題になって、これはどういう性格のものだという話をある程度明確にしなければならないだろうと。それを余りいろいろなものに広げてしまうと、恐らくまた、国内外来種まで含めますと話がおかしな方向に拡大解釈されて、そっちの方で何か問題が起こりそうな気がするのですよ。だから、僕は、そういうふうに漫然と広げるのではなしに、限定して、それで別のものは別のところとしてやっていくというふうな方が、整理した方がいいと思っているのです。

【石井委員】 とにかく広げるということではなくて、なぜこの種が出てきたかというプロセスを。
 シカなんかがつけ加わったというのは、非常にこれはいいことだと思いますけれども。

【村上座長】 ヤマネ類ね。今、ペットとして入っていて、これは遺伝的攪乱も起こることも確実に、ヨーロッパヤマネとかその辺入っていますね。これも入っていないですけれども、こういったものがたくさんあるのですよ、まだ。そういったものをどうするかというのは。そしてそのときにどういう手順を踏んでこれをやっていくかというのは、恐らくこういう委員会に資料が出てきて、みんなが納得したら出てくるという、今、決まっていることはこれだけなのですよ。だから先ほど、委員会に出ていないものを入れることに対しては、ちょっと僕は一言文句を言ったのですが、そういう形式だけはせめてとっておこうと。今、決まっていること、恐らくそのレベルなのですよ。それをもう少し組織的にしようと思うと、きっとレッドデータブックの絶滅の基準みたいな、恐れの基準みたいなことをやはり考えないといけないだろうと。影響に関してもそういうことだろうし。そういった方向に向くに違いないと思うのですよね。そういう話だと。だから、それは将来的にそういうことに向かざるを得ないと思いますが、その辺のところは暫定措置としてどこまでのことをやっておくかという、そこを明確にした方がいいと思うんですが。今つくったものはどんなものであるということだけ明確にして、将来的にはそういうことを考えますよということをどこかでやっていかなければいけない。というふうに分けた方がいいと思いますが、事務局、どうですか。

【堀上補佐】 このリスト自体がこの会合の中から派生してきたものというふうに考えておりまして、そういう意味では、この会合は今回きりで終わりではないですし、これからもされます。前回の会合の中で既に影響の指摘をされている生物のリストを挙げておりましたし、その中にシカも入っていましたし、メジロについては前回石田先生からご指摘もありましたので、基本的には会合の中で議論をされて何らかの指摘がされているものについて、さらに文献があるかないか、そういったところを見ていって出てきているという整理です。それは今後も変わらないですし、これからまた会合が開かれるたびに指摘があれば随時更新していくことはあり得るということで考えています。

【村上座長】 今の段階ではその整理で行って、そのうちにもう少しシステマティックなことを考えるという、そういうことで行かざるを得ないと思います。暫定的措置としたら、この委員会の中で出たデータを見て、これは入れておきましょうという判断をして入れていくという形にしたいと思います。これは親委員会でもそれをちょっと確認しておかなければいけないと思うので、その辺でちゃんとしたいと思います。

【羽山委員】 シカのところなんですけれども、下の星印についてちょっと教えていただきたいんですが、外国産のセルベスニッポンも含むといったときに、これは識別可能ということを前提で書かれているんでしょうか。

【事務局】 まず1つ目、識別も不可能な可能性がありますので、逆に、例えば台湾で飼われている飼育個体が日本には入ってこないようにするためにも、この法律上では、現在そういう規制をかけるわけではないですけれども、そういう面でも要注意を促しながら、逆に入ってくるおそれがあるぞということを示しております。

【村上座長】 鳥獣害関係で登録に関してはかなり厳しい輸入規制が行われていますから、現実には余りないと思うんですが。

【羽山委員】 だとしたら、今後の輸入の問題を考えたときに、先ほどのイタチの仲間というのは挙げておいてもいいんじゃないでしょうか。

【堀上補佐】 すみません。そういう意味で事務局としてちょっと勘違いをしておりまして、これは確かに在来のものですので、この整理、本来のこの会合の整理からすると外れてしまいます。ですから、これは入れておくのは正しくはないです。

【羽山委員】 そうすると、これは大陸産の亜種ということですか。

【堀上補佐】 はい。

【村上座長】 ちょっとややこしいですね。一旦外へ出てそいつが入ってくるという、そういうややこしいことをされると一発で困りますね。まさかそういうことをしないと思いますが。今、別な法律で止まっていますからいいですが、他のものについて、そういうややこしいことをされると困りますね。
 他にございますか。とりあえず、今みたいに非常に難しい問題は一応あるよということで意識をしておいて、また別な手段を講ずるということになると思いますね。
 他になければ、このリスト、これで了承ということでよろしいでしょうか。メジロに関してはデータを入れた上で、メール会合みたいな形で意見を求めて、最終的には座長と事務局とで相談させていただいて、それで結論を出すと。それを親委員会に対しては、その結論をちゃんと上げるということでよろしいですね。そうすると、それを含めた形で。

【大矢氏】 すみません。種類名証明書添付のところで、ヌートリアのところにカピバラ科も添付となっているんですが、カピバラとヌートリアとは外観上一目瞭然だと思うんですけれども、やはり入れますか。入れるなら入れるで大したあれはないからいいんだけれども、今、本来の趣旨からいくとちょっとずれるような気がするんだけれども。

【事務局】 外すかつけるかは非常に悩んでいるところなんですけれども、もし小型のものが、幼体が入ってきた場合のことを考えますと、研究レベルでは必ず判読可能だと思うんですけれども、税関レベルでもし小さい幼体が入ってくるということを少し危惧しまして添付させていただいておりますけれども、もちろん議論をしていただければ結構と思います。

【村上座長】 しっぽの形体が全く違いますね、これは。だから、ちょっとそこを見れば一発でわかることですから。

【小林委員】 幼体は、私どもカピバラを飼っておりまして生まれていますけれども、明らかに区別はつきます。

【堀上補佐】 明らかに区別がつくということであれば、そこの区別点を明確にして税関の方で見るということになりますので、外したいと思います。

【村上座長】 そうしたら、今みたいに識別が容易であるということで、外すということでいきたいと思います。

【堀上補佐】 すみません、1点、よろしいでしょうか。ソウシチョウとガビチョウについては特定外来生物の候補ということで整理することにいたしますが、未判定と種類名証明書のことをちょっと忘れておりまして、そのことについて、資料2の裏側にチメドリ科は約250種あると。例えば未判定でいいますと、恐らく輸入はほとんど今ないという状況で、どこまで未判定として見る、あるいは見る必要がないのか、ソウシチョウとガビチョウだけを記入すればいいのか。その辺の考え方と、それから、ソウシチョウ、ガビチョウに似ているものについては種類名証明書をつける必要があるんですが、それをどのぐらいのものにするのか、その点、ご意見を伺いたいと思います。

【村上座長】 確かに抜けましたね。ソウシチョウ、ガビチョウが入るとしましたら、未判定のところに全種を入れるかどうか。そういうところ。これ、江口さん、どうです。

【江口委員】 実際的にはアジア産のチメドリ類ぐらいで、チメドリ類というのは、これ分類の寄せ集めみたいなもので、形態的にものすごく違うもの、恐らく系統的に違うものもそこに集めてしまっているんですね。だから、北米産、そっちの新大陸の方とこちらのアジアの方とではほとんど系統が違うので。実際的な問題としては、やはりアジア産のチメドリ類がその侵入性から見ても一番大きいんじゃないかと思います。それ以外のところはそれほど問題にならないと思うんですけれども、この二百七十何種類というようなのをやると手がつけられなくなるというような感じがします。

【村上座長】 識別が困難になりますから。

【江口委員】 そのぐらい違うとわかると思うんですけれども。

【小林委員】 ちょっと未判定のあれで私も聞きたいと思っていたんですが、ソウシチョウが、もう今、ほとんど入ってきていませんけれども、その後、ゴシキソウシチョウというのが、私どもが飼った例がございますけれども、その辺は、大矢さん、どうなんですか、今。

【大矢氏】 ソウシチョウが入っているのとあわせてゴシキソウシチョウというのが一時期入りましたけれども、形体は全然違いますので、これはよく識別はできると。と同時に、現在、中国では自然保護の観点から野鳥類の輸出は一切禁止していると。昨年の12月23日から1週間中国に行っておりましたので、林業局の担当官に直接伺ってまいりました。そうしましたらそういう回答でしたので、中国からはまず、よほどのことがない限りは出てこないだろうと。それから、インドも、今、野鳥類の輸出を全面的禁止をしております。それから、先ほど江口先生からもちょっとご質問があったんですが、香港経由で、昔、鳥が入ったんですけれども、中国は、香港、ヨーロッパも含めて、今、輸出を禁止しておりますので、そのルートもまずないだろうと。現に、ここ数年、ほとんど野鳥の類の輸入が行われていないというのが現状です。あと、一部、とんでもない地域から少し入っているのがあるんですが、問題になっているガビチョウとかソウシチョウのたぐいでは入っておりませんので、その辺のところはそういうご認識で検討をいただければと思います。

【村上座長】 そういうことを入れておいても大したことはないのですね。だから、問題が起こったときの対処の仕方として入れておいて、何か出てきたときにはちゃんと入っていますよという話をすればいいわけですね。

【大矢氏】 それしかないと思いますね。

【村上座長】 後から入れるのは難しいですから、最初から入れておいて、問題になれば、今のようにとまっていれば滅多にないでしょうから。その問題が起こったときにぱっとチェックができる体制でということで、江口さんの意見ですが、それとにかく何でもかんでもいいですから入れておけばいいということになります。予防的な原則からいったら、その方がいいと思いますから。

【堀上補佐】 ただ、先ほど江口先生がおっしゃるように、日本に入ってきて被害が起こる可能性がないとは言えないものを基本的には未判定に指定をするということからしますと、チメドリ科、さっきおっしゃったように、250とかというのを全部未判定にするのか、ある程度予想がつくものを、法律の趣旨としてはそういう趣旨ですから、そこは対外的な説明としてやはりつかないといけないと思っています。

【大矢氏】 250を全部入れる必要はないと思うんですよね。やはり、先ほど江口先生がおっしゃったように、少なくともアジア地区ぐらいを入れるのなら判断していくということだと思うんですよね。アフリカだとか、オーストラリアなんていうのは絶対に入ってこないということもありますし。それからもう1つ、メジロもやはり最近は全然入っていませんので、そのことも1つつけ加えておきたいと思います。

【村上座長】 運用上でもやはり原産種を指定した方がやりやすいですか。

【堀上補佐】 運用上というよりは生態的特性という観点から選びますので、そういう意味で、今日ご意見を伺いたいなと思っています。

【村上座長】 影響が確実なものと、影響が入ってきたときにわからないものについては同じような仲間でも入れないでおこう。江口さん、これ、どうですかね。かなり重要なことで、要するに、今、アジア地域のやつははっきりしていますが、それ以外のものも入ったときに影響を及ぼさないとは限らないですね。だから、その辺のところについてどのぐらい言うかです。だから、それを識別しようと思うと、そうしたらこちらの方から影響が その中を識別して、二百何十種のうち影響の大きなものをリストアップして、これらのものはだめですよと。

【江口委員】 鳥の方の基本的な姿勢というのは、やはりホワイトリストが基本なので、その意味からいうと、250、全部を入れておった方がいいんですけれども、実際の手続上、それで問題が出てくるんだったら、必ずしもそこまでやる必要はない。でも、そうじゃなかったら全部のファミリーを入れた方がいいのかなと思いますけれども。そこを実際に運用する場合に何か支障があるかどうかという、そこのところが問題になると思うんですけれども。

【堀上補佐】 先ほどお話があったように、北米のものはそれほど問題がないという知見があるとすれば、それはやはり入れるべきではないであろうと思います。

【村上座長】 先ほど言われたときに、それが北米産の方がないというのはどの程度確かなのかという話をぽっとしたんですね。だから、その辺のことが結局問題になるわけです。

【江口委員】 だから他に、よその地域でも北米産のメチドリ類が輸入されていたという事例がほとんどないのでわからないんですね。アジア産のチメドリ類については現実に日本だけでなくてあちこちに輸入して、やはりそこで定着しているから危険であろうというふうに思いますけれども、他のところではそういう事例がないので考えようがないという。

【堀上補佐】 資料1-1に作業手順がありますが、それの4ページですけれども、未判定外来生物の選定について書いてあります。選定対象となる外来生物について(2)で書いてありますけれども、この囲みの中ですけれども、未判定外来生物については特定外来生物のように被害事例の報告や被害を及ぼす恐れの指摘はなされていないものの、ある特定外来生物に似た生態的特性を有しており、その特定外来生物と生態系に係る同様の被害を及ぼす恐れがあるものである疑いのある外来生物、原則として特定外来生物が属する属の範囲内で、必要に応じて、属、科等、一定の生物分類群を単位として選定する。ちょっとここは技術的になりますけれども、北米のものが同じ属でアジアにもいるとすると切りにくいと思いますし、種で分けてしまうことができるのなら種でもいいんですが、そのあたりが、北米のものは違う属というのであれば、それは切り離して他の残ったものを未判定にすればいいですし、その辺の技術的なところも伺っておきたいと思います。

【村上座長】 どうですか。

【石田委員】 一般論なんですけれども、昆虫とかと比べますと、哺乳類とか鳥類って、そもそも目とか、そういうレベルで非常に近縁な生物なんですね。そういう点でいうと、鳥で、例えば生態が本当に全部いるよとなると、鳥で生態が近い、こういうブッシュ性のものを全部入れるみたいな形になってしまうと思うので、これから江口さんとか鳥学会の研究者仲間で相談して、やはり余りリストが大きいと、運用していく側で、リストをもらった人が見る気がしないとかがあると思いますので、やはりファミリーの中で輸入される可能性の高いものを大矢さんに伺って、その中で特に似ているものを近づけてちゃんとした識別表をつくるとか、そういった作業はさせていただこうと思いますので。

【村上座長】 そうしたら、こうしましょうか。先ほどのメジロと一緒で、少し資料を調べていただいて、原案をつくって、それを皆さん方に提示して、その上で決めるということにしませんか。この場ではちょっと無理だと思います。 ですから、そのときに今の知見を十分踏まえて、それで原案をつくって皆さんにお回しするということでどうでしょうか。この議論は、ここではもうこれ以上は進められないと思います。そうしたら、そんな形にさせてもらいます。
 他に。なかったらこれで大体今日の議論は終わったんですが、その他、ございますか。事務局の方。
 これで今日の議題は全部終了しました。その他、ございましたら。

【環境省 名執課長】 そうしましたら、前回、11月19日だったと思いますが、私、海外出張中で欠席いたしましたけれども、そして本日と、2回、哺乳類・鳥類の分類群グループの会合で非常に活発なご議論をいただきましてありがとうございました。
 本日の議論で、哺乳類についての特定外来生物の候補と、あと未判定外来生物、種類名証明書、それから、本日、さらに鳥類について、ソウシチョウとガビチョウを特定の候補にするというようなご議論をいただいて、それの周りの未判定種名証明書についてもまだ検討課題として残っておりますけれども、一応ご議論いただいたということ、それから、法律の外側ではございますけれども、要注意外来生物リストについても貴重なご意見をいただきまして、どうもありがとうございました。
 今日をもって座長の方から今月末に予定されております全体会合の方に報告をしていただくことになると思います。今回、第一陣の選定というのはできたわけですけれども、先生方には引き続き未判定外来生物が輸入される際の影響の評価についてのご議論、あるいはさらに第二陣、第三陣の候補の検討ということで、また引き続きおつき合いいただくことになると思いますけれども、ご協力をお願いしたいと思います。
 本日は、本当にどうもありがとうございました。