1 日時 |
平成17年1月11日14時~16時 |
2 場所 |
経済産業省別館第1028会議室 |
3 出席者 |
村上 興正(座長)、石井 信夫、石田 健、小林 正典、羽山 伸一 川本 芳(霊長類関係)、池田透(アライグマ関係)、江口和洋(鳥類関係) |
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(利用関係者)大矢秀臣 |
(環境省)野生生物課長、生物多様性企画官、野生生物課課長補佐 |
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(農林水産省)生産局農産振興課技術対策室課長補佐 |
4 議事概要 |
〔特定外来生物、未判定外来生物、種類名証明書の必要な生物の選定について〕
(事務局より資料1-3,1-4、全日本動物輸入協議会ヒアリング結果、国立大学動物実験施設協議会及び(社)日本実験動物協会からの資料を用いて修正部分について説明)
- 用語の問題だが、マカク属という言い方は、英語のマカクから来ているが、ここでは分類学上の属名で呼ぶ以上、マカカ属という方がよい。また、未判定外来生物のマカカ属は12種とあるが、分類が揺れているので15種としておいた方がよい。
- (事務局)省令で書くときには種数までは記さないが、国民に分かりやすく示すための資料としては必要。15種に改める。
- 分類が変われば、それに応じてこのリストも見直されるということで良いか。
- (事務局)そのとおり。
- 他に特にご意見がなければ、この案のとおり整理することとしたいがよいか。
-特段の異議なく了承-
〔ソウシチョウ、ガビチョウの取扱いについて〕
(事務局より資料2について説明)
(江口委員より「ソウシチョウ関連の説明」について説明)
- ソウシチョウなどガビチョウ類は、分布を拡大しているので、是非リストに入れてほしい。
- これだけの証拠があって長期的に見れば影響があるので、特定外来生物に入れるべきとの提案であるが。
- 在来種では考えられないほど高密度に生息するというのは哺乳類の外来生物とも共通している。状況証拠的なものは出てきている。外来生物問題は証拠がない限り何もしないというのはやるべきではない。
- 県単位で隔離分布しているようだが、分布拡大のスピードはどの程度か。
- 遺伝子構成を調べたら、どこか一箇所から広がったのではなく、各地で同時多発的に広がりはじめたと考えられる。広がるスピードは分からないが、九州では、生息する標高がだんだん下がってきている。四国でも高知県で確認されているが、高知市周辺であり、誰かが飼っているものを逃がしたのではないかと考えられる。
- 現に各地でみられるものが、エスケープによるものであれば、飼養等の管理をしっかりしないといけないということになる。
- 一部の噂だが、化粧品用に大量に飼養していた業者が、経営が成り立たなくなって逃がしたという話を聞いたことがある。
- ソウシチョウは入っているところが自然生態系の中。他の哺乳類と同様に問題がある。
- ソウシチョウによって顕著に被害を受けるのはウグイスである。最近ダイトウウグイスが再度確認されたが、小さな島嶼部ではソウシチョウにより小さな個体群は絶滅するおそれがある。その観点からもリストアップしてほしい。
- 九州で広がった大元の話について、ソウシチョウはペットとして飼養されている羽数は少ないが、どのように流通していたのか調べて、事務局を通じて報告したい。
- 90年代の流通量は少ないが、70~80年代のデータではかなりの量が輸入されていた。九州の個体群は、昔の輸入個体から始まっている。
- (事務局)今までの議論では、どの分類群でもそうだが、捕食や遺伝的かく乱の問題が中心であり、競合・駆逐については余り詰めてこなかった。ソウシチョウは資料1-1の2被害の判定の考え方の4つの状況(2ページ目最上段)のどれにあたるのか。
- iv)の在来生物の群集構造や種間関係を著しく変化させ、又はそのおそれがあること、に該当すると考える。
- (事務局)ソウシチョウ、ガビチョウ、カオグロガビチョウについては、特定外来生物に指定すべきとのことだが、規制をかけるという観点で、飼養状況などを把握したい。
- このグループ会合としては、これらを指定する方向で全体会合に意見を出すこととし、飼養状況については、全体会合までに調べて資料を出してもらいたい。
〔要注意外来生物リストについて〕
(事務局より資料3について説明)
- 要注意外来生物リストは法律上の位置づけはないが、運用上重要な役割を担うものと考えている。[1]「被害に係る科学的知見はあるが、広範に販売・飼養等がなされ、現時点で効果的な規制を行うことが難しいと判断される。」、[2]「被害に係る科学的知見が不十分であり、さらなる知見の集積が必要である。」の課題がクリアされれば、特定外来生物に指定されていくと考えて良いか。
- (事務局)それで良い。
- 要注意外来生物リストにソウシチョウの名前が載っていないが、全体会合で見てもらって、もう少し議論をしようということになったときには、このリストにも載らないと考えて良いか。
- 資料3の2(1)の「ただし、特定外来生物の候補として具体的な選定作業が継続して行われる外来生物については、要注意外来生物リストに掲載せず、別途継続検討中の生物として取り扱う」の意味が分からない。
- (事務局)継続検討中に生物としては、事務局で情報収集をしている程度のものではなく、会合で議論を継続しているものが対象となるが、今回の哺乳類・鳥類グループでは、そのようなものはない。
- 大陸産メジロについては、前回、鳥獣保護法で面倒をみているから外来生物法でみなくて良いということであった。野外で在来種との交雑個体は見つかっていないが、いったん交雑すると対処のしようがない。要注意外来生物として、このリストに載せて、交雑させないよう注意喚起をしてほしい。
- メジロについて影響を示すデータはあるのか。
- 国立環境研究所が近々出す報告書がある。ヒメメジロは国内個体と余り差がなく亜種であり交雑のおそれはある。また、鳥マラリアなど病原体を持ち込む可能性も指摘されている。現時点でデータは揃っていると考える。
- 今、どういうデータがあるのかがポイント。今現在文献があるものを了承することにしている。
- できたものはあるが、どういう形で出せば良いのか。
- メジロについて今回は見送らざるを得ないのではないか。この場に資料も出ていない。今回は、資料もないので、記録に留め、来年以降に議論する。
- (事務局)他の分類群グループ会合では、会合終了後でも、文献が有れば、追加することとしている。
- では、メジロについても、資料を委員間で見て、リストに掲載するかどうかを判断したい。
(池田委員よりミンクとアカシカについて資料により説明)
- ミンクとアカシカ以外にも、コウライキジの放鳥が北海道で行われている。特定鳥獣保護管理計画では、国内外来生物も含めて放鳥は避けるようにされているはずだが、120羽が放鳥されている。コウライキジについても、要注意外来生物又は継続検討中の生物として議事録に残しておいてもらいたい。
- 北海道でのコウライキジの放鳥には長い歴史がある。昔は単純に狩猟鳥獣を増やしていたが、これからはこの放鳥事業をどうするかを考えないといけない。
- (事務局)コウライキジは、対馬に在来生物として生息しており、国内由来のものはこのリストの対象とは別と考えている。
- 本来であれば、鳥獣保護法の中できちんと扱うべき。そこできちんとやれば、放鳥事業もなくなる。
- ニホンイタチやチョウセンイタチなど在来生物であっても、島嶼部など国内移動で問題になっているものがある。これらを国民に何も示さないのは如何なものか。また、今後、再導入を図るケースが増えてくると思うが、そういう基準であれば野生に返していくことができるのかを明らかにすることが必要。
- ニホンイタチなどはこの法律の枠外であるが、どこそこで扱うとか言えないだろうか。
- (事務局)国内外来種の問題は岩槻委員長談話にもあるが、今回は、外来生物法の一連の動きの中で海外原産のものに限っている。国内外来種問題については、これからしっかり検討したい。
- 国内外来種はこの要注意外来生物リストに入れるのではなく、別立ての何かがほしい。
- 要注意外来生物リストは、法的な拘束力はもたないが、レッドリストのように実態にあった柔軟なものを作った方がよい。要注意外来生物リストを作る手順をきちんと決めてほしい。
- 要注意外来生物リストの対象を漫然と広げるのは如何なものか。
- 広げるというのではなく、何故、この種がリストアップされたのかというプロセスを明らかにする。
- (事務局)このリスト自体は、この会合から派生してきたもの。会合は今回で終わりではない。今後の会合の中で指摘されたものについて、文献があるかをみて、会合の都度、更新していきたい。
- 今はそうやって進めていって、そのうちシステマチックな方法を作ることで良いのではないか。
- ヌートリアに関連して、種類名証明書が必要なものとして、カピバラがあげられているが、カピバラは区別がつくのではないか。
- (事務局)成体は区別がつくが、幼獣は区別が難しいのではないかと考えた。
- 幼獣であっても、あきらかに区別はつくので、外すべき。
- では、カピバラは外すことにする。
- (事務局)ソウシチョウ、ガビチョウなどを特定外来生物とすることとなったが、この場合の未判定外来生物、種類名証明書の必要な生物についてご意見をいただきたい。
- チメドリ科という分類は寄せ集めであり、系統の違うものを集めてしまっている。アジア産のチメドリ科が問題だが、250種全部を入れると手がつけられなくなる。
- ゴシキソウシチョウの輸入状況はどうか。
- 一時期入ってきているが、現在はない。中国は、野鳥の輸出は一切禁止してしまった。インドも全面禁止である。以前は、香港経由もあったが、中国はヨーロッパも香港も全て輸出は禁止している。カビチョウ、ソウシチョウも現在は入ってきていない。
- 予防原則の観点から、チメドリ科は全部未判定外来生物にしてはどうか。
- 250種を全部やる必要はない。アジア地域にいるものを判断して指定すべき。
- 実際に運用する際に支障があるかどうか。
- (事務局)北米産のものは、チメドリ科でも系統で違いがあり、影響がないと考えられるのであれば、入れるべきではない。
- 影響がないかどうかは分からない。アジア産チメドリ科は各地で問題を起こしているが。
- (事務局)資料1-1の(2)の未判定外来生物の選定対象の考え方では、特定外来生物と似た生態的特性を有していることが要件となっている。
- ソウシチョウ等に関連する未判定外来生物をどうするかは、鳥学会で話しあって、後で相談したい。
- では、メジロと同様に、資料を出してもらい、原案を作った上で皆さんにおはかりしたい。
(文責:環境省自然環境局野生生物課 速報のため事後修正の可能性あり)