環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第2回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(昆虫類)
セイヨウオオマルハナバチ小グループ会合 議事録


1. 日時 平成16年11月29日(月)13:00~14:50
2. 場所 経済産業省別館10階 1028会議室
3. 出席者  
   (座長) 土田 浩治
   (委員) 池田 二三高   小野 正人 五箇 公一    横山  潤
   (利用関係者) マルハナバチ普及会 光畑雅宏 豊橋農業協同組合 山口雄二
   (環境省) 上杉生物多様性企画官 堀上野生生物課課長補佐
   (農林水産省) 岡田野菜課課長補佐
5. 議事  

【環境省 堀上補佐】 それでは予定の時刻になりましたので、特定外来生物等分類群専門家グループ会合昆虫類のマルハナバチ小グループ、第2回会合を開催したいと存じます。 前回の会合で、座長の方から、農業の現場の方からのヒアリングの必要性についてご指摘がありましたので、今回、豊橋農業協同組合の山口課長に来ていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。 お手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。 事務局の方がご用意した資料ですが、委員名簿がありまして、資料としては資料1と2でございます。資料1が特定外来生物等の選定の作業手順、資料2が、セイヨウオオマルハナバチに係る情報及び評価(案)11月29日改訂版でございます。 参考資料として、前回のセイヨウオオマルハナバチ小グループの議事概要をお付けしてございます。 それから、委員の方々から提出いただいた資料が幾つかございまして、一つはJA豊橋さんから出していただいた資料、それから横山委員からお出しいただいた資料、それから1枚ですが、ネットの展張比率の資料、それから、小野委員から出していただきましたセイヨウオオマルハナバチと日本在来の近縁種の雄が生産するフェロモン成分に関する知見という資料、それから五箇委員の資料が二つほどございます。 以上がご用意した資料でございまして、もし何か不備等ございましたら、事務局の方に言っていただければと思います。よろしいでしょうか。 それでは、議事進行につきましては、土田座長、どうぞよろしくお願いいたします。

【土田座長】 それでは、これより本日の議事に入らせていただきます。 議題1は、セイヨウオオマルハナバチの取り扱いとなっております。前回は、セイヨウオオマルハナバチによる生態系被害に関することと、輸入流通に関することについて議論をいたしました。本日は、JA豊橋の山口課長に来ていただいておりますので、まず、マルハナバチの農業現場での利用の状況について、山口課長からご説明をお願いします。

【豊橋農業協同組合(山口)】 それでは、ただいまご紹介いただきましたJA豊橋の山口と申します。よろしくお願いいたします。 お手元の方に4ページほどの資料の方、お配りをさせていただいておりますので、おおむねそれを中心にご説明の方をさせていただきたいと思いますけれども、お時間も余りないと聞いておりますので、かいつまんだ形でお願いしたいと思います。 それでは、まず豊橋市の紹介ということでございますけれども、非常に農業が盛んな地域でございまして、当地におきましては、昭和43年に豊川用水という灌漑用水が開通いたしまして、それ以降、園芸を中心とした地帯として発展をしております。 平成15年の農業産出額は496億円ということで、市町村単位では昭和42年から日本一を続けており、露地野菜、施設園芸、果樹、畜産いずれも盛んに農業を展開している地域であることを、ご理解いただければと思います。 続きまして、セイヨウオオマルハナバチの導入経過でございますが、いつごろから入ったかということについて、正確にいろいろ調べてみたわけですが、わからない部分もありましたが、おおむね1993年ごろに、受粉用といたしましてミニトマトですとか、トマト栽培に使用が始まっております。それから、最近では、施設ナスでも約半数近くの方が使用するようになってきておりまして、豊橋市内の平成15年度の使用群数は約1,400群程になっております。 それから、その内訳につきまして表を作ってみました。各組織、それぞれ使用しております。使用割合ということで書かさせていただきましたけれども、これについては、いわゆる部会員数の使用割合ということでございます。面積等ということでご理解いただきますと、使用状況が作物によって若干の差がございますので、おおむねミニトマトであれば部会員全員の方がほぼ使用しています。トマトでは、部会員の80%程度の方が使用しているという状況でございます。 使用時期につきましては、トマト類では、9月の下旬から6月にかけ使用しております。ミニトマトにつきましては、周年的に出荷しておりますので、ある程度平均した使用状況でございますが、トマトにおきましては、12月から2月ぐらいの低日照の時期においては、花粉等の発育が悪いため、若干の使用頻度は少なくなることがこの時期にはあるということをご理解していただきたいと思います。 続きまして、この間に在来、マルハナバチの試験導入等もしております。ハチの飼養技術といいますか、そういった面が若干不十分であった場合もあるかと思いますけれども、通常の商品と比較しまして、全般的にハチの活動がおとなしいですとか、受粉活動が分かりにくい、あるいは有効期間が短い等の理由によりまして普及等には至っていないという結果に至っております。 また、これ以外にもトマトであれば、単為結果の品種試験等もやっておりますけれども、これも玉が小さいですとか、あるいは整理障害等が出やすいというふうなことで、通常のトマトに代わる状況には至っていないことでございまして、セイヨウオオマルハナバチに依存をしているという状況でございます。 続きまして、セイヨウオオマルハナバチの利用効果ということで書かさせていただきました。項目的にも8つほど挙げさせていただきましたけれども、一番のメリットといたしましては、農薬に頼らなくなる意識が農家に生まれることです、当然ハチの活動を優先したいろいろな資材、様々な形でのトマト栽培に取り組むなどの意識が生まれるという点でまず一つでございます。 それから、マルハナバチを使うことによりまして、品質の向上を図れるということで、いわゆる植物調整剤につきましては、技術的に大変高い技術が要求される剤でございます。それが結果として、トマトに非常に大きな影響がありますので、産地全体の品質向上を図れるということが2点目でございます。 それから、3点目といたしましては労働力の軽減効果、あるいは規模拡大が図れるということで、トマトを中心といたしまして、大変厳しい状況の中で、雇用を踏まえた大規模経営に取り組む産地状況もございます。そういう中で、交配の作業につきましてはハチに頼る比率が高いということを、ご理解をいただきたいと思います。 続きまして4番目でございます。生態系の保全に向けた取組ということでは、JAといたしまして、以前から取り組んでまいりました。そういう中で、性フェロモンを初めとして取り組んでおります。セイヨウオオマルハナバチが導入された経過を見ておりますと、3ページ目の上の方でございますけれども、当時は価格が非常に高いということでございました。そういった理由から導入当初から施設の換気部分の逸出防止対策、あるいは秋冬期では、モズやヒヨドリ等による捕食防止ということから、防風ネット等を張りまして、セイヨウオオマルハナバチの利用期間を少しでも延ばすために、ネット展張の指導を進めてきた経過がございます。 最近では、防虫ネット等の性能も向上してきたということで、いろいろな形で使われる面積がふえている状況にあります。 つまり、ネット展張についての指導経過があるわけでございますけれども、当地域、施設園芸の歴史がある古い産地でございます。そういったことから、多くのタイプのハウスがあります。パイプハウスですとか、鉄骨丸型ハウスあるいは屋根型ハウス、ダッチライト型ハウス、さまざまなタイプがございます。被覆資材におきましても軟質フィルム、硬質フィルム、ガラス等さまざまな資材が使われております。そういった面もございまして、換気部分の構造も多種多様だということで、換気部分へネットを張っていただくための、研修会あるいは視察等行っておりまして、できるだけネットを張っていただくことについて取り組んでいるところでございます。 また、ネットを展張した場合の施設内部の環境変化、作物への影響等、まだ不明な点もありますので、そういった面の情報収集に努めている状況でございます。 続きまして、課題と改善方向ということでまとめさせていただきました。国内の農業は、農業者の高齢化、後継者の減少等、労働力不足が大きな課題となっております。あるいは生産コストについて、いろいろな形でおっしゃられるわけですけれども、農業が日本人の働く場である以上、ある程度は仕方がないようにも思いますし、農業を守ることは、食料、環境を守る大変重要なことだと思います。 それから、トマト、ミニトマト、ナス等は輸入によります価格低迷という状況の中で、いわゆる国策として規模拡大を推奨してきた経過がありますので、今回の規制等とは相反する部分があるのではないかということで、農業者にとっては理解はしづらい状況にもあるということでございます。仮に日本でセイヨウオオマルハナバチを使用できず、輸出国で使用していれば、先ほど申し上げましたように、品質面での競争力の低下から大打撃を受けるということで重要な問題を含んでおります。セイヨウオオマルハナバチを利用している農業者全体の認識として、日本の生態系を守ることは大変重要なことであると認識していると思います。各産地で規制を予見しつつ逸出防止のネット利用推進やセイヨウオオマルハナバチの巣箱の使用後の適正処理についても対応が進んでいると思います。 そういう中で、実際大きな課題といたしまして、逸出防止について一番問題になりますのが、当地域では天窓の換気部分ということで、屋根型ハウスの天窓部位は高さが4~5メートルございます。たいへん高い場所でございますので、農業者自身がネットを張ることができないため、業者に委託しなければなりません。これについては、ネットが破れればまた張り替えなければいけないということで、当初のコストアップ、それから継続的にもコストが必要になるということで経営の収支面ですとか、管理技術あるいは作物転換等を含めた大変厳しい重要な問題であるというふうに考えております。 以上のことから、セイヨウオオマルハナバチの特定外来生物の判定については、しっかりとした科学的知見に基づく十分な検討と慎重なご判断の上、農業者を含めた関係者が納得できる明らかなご検証を示していただき、ご検討いただきたいと存じます。 今回このような機会を与えていただきましたことについて感謝を申し上げるととともに、関係者の努力に対し敬意を表したいと思います。 なお、私たちは、セイヨウオオマルハナバチの規制がなくても、継続的に環境に優しい農業を目指していきたいと思います。関係者、農業者が連携いたしまして、いろんな形でのネットの展張ですとか逸出防止対策に取り組みたいと思っております。 また、要望といたしまして、逸出防止に係る費用の助成等の支援があれば、普及推進が図りやすいと思われますので、ご検討をいただきますようお願いいたします。大変ありがとうございました。

【土田座長】 ただいまの説明につきまして、ご意見、ご質問がありましたら、お願いしたいと思いますが。 それでは、私の方から二、三質問させていただきますが、これ、現状としてネットはどれぐらい利用されていますでしょうか。

【豊橋農業協同組合(山口)】 先ほど申し上げましたように、ハウスのタイプがそれぞれございます。どの程度ということではなかなか具体的に説明しづらい点はありますけれども、ハウスの換気部分といいますと、サイドの部分、それから天窓の部分、あるいはアーチ型でありますと谷の部分、また妻面の入り口等がおおむね換気の部分であると思います。側窓のサイド部分、それから入り口等におきましては、いろいろなハウスがございますが、建設時におきまして、標準的にネット展張を前提にしておりまして、サイド部分では、かなり高い割合でネットが展張されていると思われます。 それから、谷の部分あるいは天窓の部分では、いわゆる高い位置での換気部分でございますが、谷の部分では、サイドと同様に高い比率で張られているというふうに思います。 また、天窓の部分では、先ほど申し上げましたように、農家自身が張れない位置ですので、業者に委託しなければなりません。既にネットを展張している農家もいらっしゃいますけれども、天窓部分に、どういう方法で張るかということについて、業者が様々な形の張り方を示してきておりますので費用、見積もりをとる等、ネット展張に向けて必要なことについて現在検討している最中でございます。

【土田座長】 ほかに、何か質問はありますか。  それでは私の方から、農家の方というのはどれぐらい意識を持たれているんでしょうかね。そのネットを展張しない場合に、統合して、いわゆる、今非常に在来種に対する攪乱が、僕らの中では多分意識としてはあるんでしょうが、農家の方にはそういう情報というのは入っているのでしょうかということ、ちょっと答えにくい質問かもしれませんが。

【豊橋農業協同組合(山口)】 新聞ですとか、いろいろな形でマスコミからの情報もあるかと思います。それから、業者からもセイヨウオオマルハナバチが今回のように環境の面で問題があるよというふうなことについては農協を通じてお示しをしています。そのようなことから、当然ネットの利用ということについて、生産者の意識も非常に高いという状況になっています。ただ、費用的な面で、一度張れば終わりです、ではありません。一度張っても、3年、4年経過すれば破れてしまうことから、張れるところからまず張っていこうという状況です。 あと、ネットをすべて展張してしまうと、夏場の温度が高くなり過ぎてしまう、そういった弊害等も当然問題化してくる可能性がございます。最近のネットは非常に風通しがいいネットでございまして、性能も上がってきておりますけれども、若干の懸念はございます。ただ、いずれにしても、セイヨウオオマルハナバチのため、あるいはほかの虫の防除を含めて、今現在は農薬を使う機会というのはなるべく減らしていこうという意識が高いということで、農薬に頼らない防除方法、ほとんどの農家はそういった意識を持っておりますので、ネットを展張していこうという意識は高いと思います。

【土田座長】 どうもありがとうございました。ほかに何かご質問ございますでしょうか、どうぞ。

【五箇委員】 要は、今回そのお話しいただいた中で問題となるのはお金の問題ですよね、コストの問題。大体平均して幾らぐらいかかるのかというのはなかなか計算できないと思うんですけど、大体どんなものですかね。1戸当たりの負担というのはどれぐらいになりそうかというのはわかりますか。

【豊橋農業協同組合(山口)】 張り方によったり、あるいはネットの種類にも若干の差はあるかと思います。たまたま豊橋地域の業者の見積もり金額を、参考ということでご紹介させていただきますけれども、天窓部分では、サイドは別として、業者に委託をしますと、場合によっては50万円ほどかかるという見積もりも出ております。参考程度ということでございます。両天という、イメージはちょっとわかないかと思うんですけれども、屋根型の、片方だけ開くのを片天といいまして、両方開くのを両天というんですけれども、ですから、間口20メートル、奥行き50メートルの、二屋根のハウスですと、50メートルが4通りになりますので、すべての部分ではないわけですけれども、おおむね170メートル前後の延べメートルになると思います。

【五箇委員】 大体1戸当たりかなりの金額がかかるとなれば、実際これ規制された場合、張るのが義務化された場合、どうなんでしょう、行政的にこういうところの補助金というのは確保可能なんでしょうか。環境省、農水省、どっちかが出すことになると思いますが。

【農林水産省 岡田補佐】 規制の内容というか、それにもかかわるんですが、まだ、これ現在討論中ということで、余り前提を言うと問題があるので、端的に言いますけれども、基本的に農林省の持つ補助金で、このネットとか、そういう生産資材、要は個人の財産形成にかかわるようなものに対する補助金はございません。ということで、仮にネット、個々の農家に張る場合についての補助は出ないということになります。

【土田座長】 よろしいですか。

【堀上補佐】 環境省側として見ると、防除の観点からの何かお手伝いというのがあり得るかもしれませんが、いわゆる生産の観点でどうかというところについては、環境省の補助というのは特にないということでございます。

【五箇委員】 現時点では結論としては、今のシステムではどこからもお金が出てこないということですね。そうなると、やっぱり農家さんの負担がかなり大きくなるというところで、マルハナを使って生産性が上がっても、結局そこの部分でコストがかかるというのであれば、割に合わないという話も出てくるということもありますが、ありていに言っちゃえば、行政の方で何とか本当その辺はカバーしていただければという気はするにはするんですけれども、一応これは意見です。

【土田座長】 わかりました。ほかに何かご質問ございますか。どうぞ。

【小野委員】 大変ご苦労されているということがよくわかったんですが、ネット展張して、ハチを外に出さないということに対しての認識というのは非常に高まっているということなんですけど、ご使用後の巣箱の処理については、何か特に工夫などされておられるんでしょうか。

【豊橋農業協同組合(山口)】 メーカーさんからのいろいろな形での指導といいますか、使用した後は、外に飛び出さない形での処分ということについて指導がございます。農家も1カ月ないし、あるいは2カ月、あるいは長いものであればそれ以上もつものもあります。それだけ、何というか、働いてくれたお礼の意味もございますので、なかなかこの箱を使わないから殺してしまおういうことに関しては、実際にはかわいそうじゃないかなという方が多いのではないかと思います、現実的に言うと。ですから、そのシーズンが終わるまではハウスの外に出さずに、使い終わった箱はハウスの中にずっと転々としています。今使っているものが、古くなったら新しいものが入ってくるということで、最後の最後にトマトの作が終わった後にハウスを閉め込んで、中の虫も外に出さないという方法で、最終的に熱をかけるような形で処分をしています。一群が終わったから、すぐに処分するということよりも、とりあえずハウスの中でずっと置いおいて、最終的に外に出ないようにしているということです。また、中には使い終われば使い終わった形で殺虫剤等をかけて殺しているという方もいらっしゃると思います。

【土田座長】 ほかに何かございますか。

(なし)

【土田座長】 なければ、農業現場での利用の確認については以上としたいと思います。 続いて、前回の議論での指摘を踏まえて、事務局や委員の方で資料の修正や追加をしたいと伺っておりますので、そのことについて説明をお願いします。まず、事務局の方からお願いします。

【堀上補佐】 事務局の方では、資料2のセイヨウオオマルハナバチに係る情報及び評価につきまして、前回の議論でご指摘があったところについて訂正をしております。 一つ、2番の原産地ですが、当初ノルウェーと書いてあったんですが、イギリス、イスラエルというふうに変えてございます。 それから、3の定着実績の2番目のポツのところで、静岡と北海道で野外越冬が確認されとなっているところが、静岡はそうじゃないということで、静岡は取っております。 それから、3番目のポツで、道央地方と書いてあったんですが、これは正確には日高地方ということでしたので、北海道日高地方ということで変えてございます。 それから、4番目の評価の理由の最初のポツの2行目のところに、最初、雑種形成による遺伝子攪乱という形の記述があったんですが、それは正確ではないということで、在来種と交尾することによる生殖攪乱ということに変えてございます。 それから7万コロニーが輸入というふうに最初していたのですが、これも間違えということで、流通・利用というふうに変えてございます。 以上が大きなところで、あと3ページの文献の頭にナンバーをつけまして、その番号に応じた評価の理由等につきましては、その文献の番号を入れているということでございます。 この資料2につきましては、今後も随時表現については適正なものにしていくということと、新たな知見が、前回も含めて、今日またいろいろ議論されると思います。加わってきましたら、またさらに追加していくということで考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【土田座長】 どうもありがとうございました。 次に、横山委員からご説明お願いします。前回、ネット展張の効果について情報が不十分であるという指摘があったところです。よろしくお願いします。

【横山委員】 それでは、お手元の資料の表紙をめくっていただいて2枚目をごらんいただきたいんですけれども、こちらは、私たちの調査で2002年と2003年におけるセイヨウオオマルハナバチが平取町によってどれぐらい捕獲されていたかということを比較したものです。 ごらんいただくと非常に一目瞭然なんですけれども、2002年度は、特に5月から7月にかけて、大量の働きバチないし雄バチが捕獲されているんですけれども、2003年ではこれがなくなっております。かわって2003年の場合には5月に大量の女王バチが捕獲され、その後7月、8月、9月にかけて働きバチが出てきて、特に9月では雄バチがふえているというような、2002年度の捕獲の状況というのは、先年のマルハナバチの発生の状態とかなりかけ離れた成虫の構成になっているんですけれども、2003年はかなり自然の状態に近いようなものになっている。このことからかなりネットの展張によって、野外に放出されるハチの個体数が減少していることが伺えます。 これを捕獲努力に対する捕獲数の比較に直したものが次のページの資料になります。これは採取された個体数を1人当たり1時間当たりに換算したものです。こちらでも2002年度は、多いときですと1人当たり1時間12と、5分に1頭ぐらいとれるような状態になりますけれども、そういった状態で、外にセイヨウオオマルハナバチはいる状態だったものが、やっぱり2003年では、一番多い9月の状況でも6頭と半分以下に減っている。もっと減少している部分としても、例えば7月なんかですと、12頭以上とれていたものが2頭程度に減少しているというふうに、捕獲努力に直しても捕獲される数は減っていますので、ネット展張によりハチが外に放出されなくなっているということが非常に効果があったということが、このデータから伺われるのではないかというふうに考えております。 あとは追加の資料なんですけれども、前回で、在来のそのハナバチのもともとのその比率がデータとしてない状況であるというようなお話があったと思うんですが、それについて、ごく最近なんですけれども、三重大の松浦先生がミツバチ科学にマルハナバチの主構成を北海道の主要都市で観察されたデータを掲載されていまして、そちらと鵡川町の前回出しましたデータと比較したものを次のページに掲載してございます。 こちらを見ていただくと、札幌市、小樽市、函館市と道南地域の主要都市での捕獲状況とその鵡川町と比較しておりますけれども、その3都市、いずれも基本的には多い種類でも30%程度で、主要な種類が2種類から3種類ぐらいというような状況なんですけれども、これに対して鵡川町ではセイヨウオオマルハナバチが非常に多くを占めていて、かなり主構成がひずんだ状況になっているということが見てとれるんじゃないかというふうに考えています。 続きましての資料は巣の発見数なんですけど、これは前回余り詳しくお話ししませんでしたけれども、鵡川町では、2003年にセイヨウ8巣、2004年にセイヨウ7巣、自然状態で発見されています。特にその注目すべきなのはセイヨウの1巣で、エゾオオマルハナバチの女王の出入りが確認されたこと。それからエゾオオマルハナバチの巣のうちの一つで、セイヨウの働きバチの出入りが確認されたこと。それから2004年のセイヨウの巣の中で1巣で3頭のセイヨウの女王の死骸が確認されたことが特筆すべき点だというふうに考えています。上の二つの事例は種間競争の可能性を示唆しますし、最後の事例は、セイヨウの個体数が増えてきたために、場所をめぐるセイヨウ種内での争いがかなり激化していることを示したものだというふうに考えています。 最後の2枚の写真は、セイヨウの働きバチの出入りが確認されたエゾオオマルハナバチの巣での観察事例なんですけれども、この二つの写真を見比べていただくとおわかりになるかと思うんですけれども、背景が全く同じですので、同じ巣穴に出入りしている状態を観察したものなんですけれども、最初の写真が、新女王がその自分の巣に帰巣しているところで、次の写真がそのエゾオオマルハナバチの巣であるはずなんですけれども、セイヨウオオマルハナバチの働きバチが出入りしている状態です。円の中に囲まれているのが、それぞれのハチの個体の写っている状態です。矢印が巣の出入り口になります。 以上です。

【土田座長】 どうもありがとうございました。 続いて、ネット展張の状況について、光畑さん、よろしくお願いいたします。

【光畑委員】 前回、ネット展張の全国的な状況、ネット展張率について情報が欲しいというご要望でしたので、ここに提出させていただいています。ただ、普及材として調べたデータがございませんで、これは私どもアリスタライフサイエンスで独自に昨年1年間かけて調査したアンケート結果から約3,000件の回収データから解析したものです。ただ、先ほど農協さんの方から、ネットの展張する場所、サイドであるとか、それから天窓、谷というようなご説明がありましたが、このデータに関しては区分けはしておりません。張ってあるか、張ってないかのみで回答を求めておりますので、場合によっては、サイドしか張っていなくても張っていると答えられた方もいらっしゃるかもしれませんし、サイドのみしか張ってないので張ってないと答えていらっしゃる方もいると思いますので、多少その部分でのデータの不足というところはあるかもしれませんが、全体的に今張っていると答えられた方が56%になります。無回答、それから張っていないと答えられた方が、合計しますと44%ということになります。 この中のデータ、作物別に見ますとトマト、ミニトマト、ナスの回答が一番多い。中でトマトが約50%を占めておりまして、ミニトマト、ナスがそれぞれ20%程度の構成比率になります。それ以外にイチゴであるとかメロンといった非常にごく少数意見はあったんですが、その部分に関しては割愛させていただいております。 トマトに関しましては、一番展張率が低くて45%、ミニトマトに関しては62%、ここでナスが87%と非常に高い数字になっておるんですが、これに関しましては、1999年もしくは2000年からナスの方は本格的にマルハナバチの普及が進んでおりまして、この当時は既に道内でセイヨウオオマルハナバチの野生巣が確認された後での普及になっておりますので、メーカー、それから農協さん等含め、ネットを張らないと使えないというような前提条件のもとで普及をしておりますので、このような結果が出ているんではないかというふうに考えられます。 以上です。

【土田座長】 ありがとうございました。 次に、生殖攪乱に関するデータについて、小野委員からご説明をお願いします。

【小野委員】 A4サイズの資料ですけれども、ここではセイヨウオオマルハナバチと、それから日本に在来しているセイヨウオオマルハナバチの近縁種である2種類、オオマルハナバチ、そしてクロマルハナバチの雄バチが生産するフェロモン成分に関する知見ということで、ちょっと参考的にお話をさせていただきたいと思いますが、学会大会では一応(口頭で)発表させていただいていますが、まだ論文になっていないものなので、未発表資料という形にしております。 1ページ、めくっていただきまして、自然生態系への悪影響がちょっとあるんじゃないかというようなことが言われていて、それに対して主に4点挙げられているんですけれども、その中の2番目に、1週間で交尾をしてしまうということが確認されていると。実験室内でのことであって、野外で実際にそういうことが起きているかどうかということについては、今後きちっと調べていくという必要があるというわけなんですが、あくまで実験室の中で、この写真の右上にあるようなセイヨウオオマルハナバチの雄バチが、エゾオオマルハナバチの新女王と交尾をしてしまうというようなことが確認されております。これは非常に再現性のあることです。実験室内で、こういうことについての自然生態系の、自然ではどんなことが起きているかということを確証するのはなかなか難しいんですけれども、日本の在来種間ではどうなっているか、あるいは海外の例で、例えばミツバチとか、あるいはアリの仲間でも、近縁種の仲間で同じ場所、同所的と私たち言っていますけれども、同じ場所で生息している近縁種では、じゃ、どうやって雄と雌が出会う前の、交尾前の生殖隔離というのがなされているのかというようなことについては、ミツバチでは1970年代の後半ぐらいに、雄バチが集まる場所がずれて違っているとか、あるいは雄の交尾飛行の時間がずれているとかということで、同じ場所に生息しているミツバチの間で生殖隔離がなされているということがわかっていて、また、シュウカクアリの仲間でもアメリカで同じようなデータが出ています。 じゃ、マルハナバチについてはということで、1990年ぐらいからクロマルハナバチとオオマルハナバチ、あるいはウスリーマルハナバチとトラマルハナバチという近縁種において調査をしてきたところ、オオマルとクロマル、あるいはトラマルとウスリーにおいて、同じ場所に生息しているけれども、雄と雌が出会う前に、そういうことが起きないような生殖隔離機構があるということを示すデータが得られているわけです。そこに、もともと日本には生息していなかった、セイヨウオオマルハナバチが入ってくると、どのような関係になるのかというふうなことを示す実験的なことをやってみると、セイヨウオオマルハナバチが例えばクロマルハナバチの雄バチがいる状況下においても、(クロマルハナバチの雄バチを押しのけて)クロマルハナバチの新女王バチに交尾行動を起こすというようなことが一応確認はされてきているわけです。 セイヨウオオマルハナバチは働きバチが100匹以上出てくるような大きな巣ですと、その巣から出てくる雄バチの生産数も相当多いものですから、そういったものが野外に逃げ出すと、在来のハチとの間に間違った交尾みたいな行動を起こしてしまうような可能性があるということが示唆されるということになるわけです。 ページ1枚めくっていただくと、図が書いてあるんですけれども、マルハナバチの交尾前の生殖隔離機構、ちょっとわかりにくい言葉かもしれませんけれども、それには、新女王ではなくて雄バチが生産する種特異的な香りが関係している。機能的にいうと性フェロモンという形になると思うんですけれども、ということが、外国の実験でも野外で実際に観察されていて、(成分の)分析結果も発表されています。雄バチが独自の飛行ルートを野外に持っていて、その中で、例えば葉っぱの上とか木とか木の枝とか、そういったところに、頭の中にある唾液腺で生産するにおい、これでマーキングしていくということになります。そうしますと、その雄バチのにおいに同じ種類の新女王が、まだ交尾していない女王が引き寄せられてきて、そこで雄がまた戻ってくるのを待っているということです。そうやって雄と雌が出会うことになります。ですから、この雄のにおいに種特異性があれば、たとえ同じ場所に何種類のマルハナバチが生息していても生殖隔離が成立するということになるわけです。これは同じ場所で生息しているオオマルハナバチとかクロマルハナバチの間、あるいはウスリーマルハナバチ、トラマルハナバチといったようなマルハナバチでは同じようなことが起きているんじゃないかということが考えられるわけですね。 参考資料として、次にカナダの例なんですけれども、これは私自身がカナダに1年間いるときにやった実験なんですけど、3種類のマルハナバチの新女王バチが1枚の図の中に大きく映し出されております。Bombus melanopygus Bombus mixtus Bombus flavifronsという学名がついていて、日本の名前はこのマルハナバチたちにはまだ与えられておりません。これが同じ生息地でこの3種類がまざって生息しているわけです。 1ページめくっていただいて、その裏側になりますけれども、このマルハナバチについて、まず左側の写真ですけれども、同じ種類の新女王バチ、Bombus mixtusの新女王バチと同じ種類の雄バチ、同種の雄を一緒に入れておくときちっと交尾します。 それでは、今度は右の写真なんですけれども、Bombus melanopygusという近縁種ですが、これをBombus mixtusの雄が入っているところに入れると、Bombus mixtusの雄はmelanopygusの新女王に交尾行動を起こすわけです、背中に乗っかって。しかし、新女王の方がそれを拒否する行動を引き起こすことが観察されました。つまり雄は新女王を識別できないけど、雌が識別をしているということなんですね。同じような関係がほかの組み合わせでも起きるわけなんですけれども、3種類の中で。雄の生産するにおい、背中に乗ってわかるわけですから、やっぱり香りが、においが関係しているんじゃないかということが考えられたものですから、じゃ、その雄の香り成分を分析して比較しようということで分析をしました。分析機器と、どこの組織を分析したのかということが次のページに書いてあるわけです。 左側にはマルハナバチの頭の図が書いてあって、向かって右側の複眼を取り除くと、内側に下唇腺、Labial glandというLGldとこれから訳しますけれども、そういうブドウの房状の唾液腺の一種がございます。この中でマルハナバチは揮発性の香気成分をつくっています。それを解剖学的に取り除いたものをきれいなガラスの入れ物の中でクラッシュします。つぶします。そしてつぶしますと、ガラスの上の空洞の空間の部分に揮発したにおいが立ち上ってまいります。それを吸着して、その香り成分だけをGC/MS、質量分析器で分析するということです。ここにあるSPMEというのは、その吸着させるためのいわば素材デバイスのようなもので、それをガスクロマトグラフの中に打ち込むという形になります。そうすると分析結果は出てきます。 じゃ、実際にもう一つ、このLabial glandの抽出物にどんな作用があるのかというと、これをつぶしたものを新女王バチの入っている入れ物の中に入れておくと、その抽出物をつけたところにその同種のマルハナバチの新女王バチが寄ってきて識別行動、触角でパタパタと触ったりする。そしてその後、コーリング行動といって、仁王立ちになって口ふん、舌ですね。それを動かすような独特の行動を起こすようになるわけです。こんなようなことを引き起こすという、そういう作用があるわけです。 そして、次のページ、分析器が書いてあるその裏側ですけれども、カナダ産のマルハナバチで分析をしてみますと、例えばBombus mixtus、左上ですけれども、場合には、アルコールが2種類、アルコールのAと、アルコールのBと書いてありますけれども、際だったものが出てきます。 その下にmelanopygus、Bombus melanopygusですけれども、これは全く違ったアルコール、アルコールCが出てきます。そしてアセテートのA、またもう一つアルコールのDということで、雄の下唇腺の分析をしてみますと、mixtusとmelanopygusでは全く違うにおいが生産されるということがわかったわけです。 右上にありますけれども、Bombus occidentalis、これは西海岸で一次トマトのポリネーションに使われていた北米のマルハナバチですけれども、これはEster、アルコールでもアセテートでもない、エステルという部類に含まれる化合物が非常にたくさん入っているということです。このmixtusとmelanopygusとoccidentalisは生息地Aということで、同じ場所に生息しているものなんですけれども、そういう場所で生活しているマルハナバチの雄については、それぞれ雄バチが違う香りを示しているということがここでわかるわけです。 では、じゃ生息地のB、違う場所、東海岸、北米大陸の東海岸の方で、トマトの受粉などに使われているBombus impatiens、これはどうかというと、これはアルコールのA、このアルコールのAというのは生息地のA、西海岸のBombus mixtusがつくっているアルコールと同じものがimpatiensはつくっている。それに加えてもう一つ3のAという、また別の3が、典型的なものが入ってきていますけれども、こんなようなことで、生殖地が重なっていない場合には、すべてが同じパターンではありませんけれども、少なくとも主要成分のアルコールについては同じものを持っているというようなことが、北米のマルハナバチではこんなことがわかってきているわけですね。 それでは、実際に日本のオオマルハナバチ、エゾオオマルハナバチを含むわけですけれども、亜種のレベルで違いますけど、種は同じですから。それからクロマルハナバチではどうかということで、次のページ、日本産の同所性近縁種ではどうかという形になってくるわけです。それを同じような分析方法で分析してみますと、オオマルハナバチの二つの亜種、オオマルハナバチと北海道のエゾオオマルハナバチでは、エステルのAですね。エステルが非常に大きな顕著なピークとして1本出てきます。 では、今度は1ページをめくっていただいた裏側ですけれども、クロマルハナバチではどうかと申しますと、そのエステルAは全く入っていません。そのかわりにアルコールのAとアルコールのD、2種類のアルコールが見つかったわけです。このAとかDとかという、あるいはエステルのAとかというのは前のカナダ産のマルハナバチの成分に対応しているものです。つまりアルコールのAというのは、Bombus mixtusとかBombus impatiensにも認められているものという形になりますね。クロマルハナバチの場合には、2種類のアルコールが非常に大きな主要成分としてピークとして検出されたということです。 それではもう一つ、今度はヨーロッパの方から人為的に運ばれてきたセイヨウオオマルハナバチ、もともと日本になかった異所性といいますけれども、異所性の同じ亜属に含まれる近縁種ですね、そういう意味では。セイヨウオオマルハナバチの場合ではといいますと、非常にこれは興味深いことに、セイヨウオオマルハナバチの雄バチのLabial glandからは、エステルのAとアルコールのAとアルコールのDの三つの成分が検出されたわけです。このことというのは、まさにクロマルハナバチの雄と、それからオオマルハナバチの雄の成分を足すと、セイヨウオオマルハナバチの雄の成分に非常に近いものになるという形になります。 それではということで、1枚ページをめくってもらって、日本産のオオマルハナバチとクロマルハナバチの雄バチの下唇腺のLabial glandの抽出したものを二つまぜてみると、当然ですけれども、エステルのAとアルコールのAとアルコールのDが出てきまして、非常にセイヨウオオマルハナバチのものと似たようなものが人工的に2種をまぜるとできちゃったわけです。 実際に最後のページになりますけれども、それらのにおいに対して、それぞれの種類のマルハナバチの新女王がどういうような反応を示すのか、誘引されてくるのかというようなことを調べたのが最後の資料になります。縦に回数が書いてあって、横に新女王バチの種類がついています。これはどういうふうにしたかというと、オオマルハナバチ、クロマルハナバチ、セイヨウオオマルハナバチの雄バチのLabial glandの抽出物、これは10分の1匹分です。1匹の雄の中に入っているものの10分の1です。それの相当量のにおいをかごの中にガラス板の上につけて、ポンと置くわけです。そのかごの中には新女王バチが入っているという形になります。どういうような反応を示すかというと、まず最初にオオマルハナバチの雄バチの抽出物に対しては、オオマルハナバチと新女王バチは非常に強く誘引されて、識別行動とコーリング行動を起こしているということがわかります。 次に、オオマルハナバチの隣ですね。全く棒グラフが立ち上がっていませんので、ちょっと見にくいんですけれども、クロマルハナバチの雄のにおいに対しては、オオマルハナバチは全く誘引されてないということがわかります。 最後に、セイヨウオオマルハナバチの雄バチのにおいですけれども、それに対して同種の組み合わせほどでないもののセイヨウオオマルハナバチの女王が少し誘引されてきていると。つまりオオマルハナバチの雄のにおいにセイヨウオオマルハナバチの女王がちょっと誘引されてきているというようなことが室内ではあるわけですね。 また今度はクロマルハナバチです。右に移ってクロマルハナバチの新女王バチなんですけれども、オオマルハナバチの雄のにおいに対しては、クロマルの新女王バチは全く引きつけられておりません。隣、クロマルの雄に対してクロマルの女王は非常に高い割合で引きつけられていく。セイヨウオオマルハナバチの雄のにおいに対して、クロマルの新女王バチが非常に低いとは言っても、少しやっぱり関心を持って引き寄せられていく。 最後に、セイヨウオオマルハナバチの女王はどうかということになるんですけど、オオマルハナバチの雄のにおいと、クロマルハナバチの雄のにおいに対して少し引きつけられていて、そしてもちろん同種、セイヨウオオマルハナバチの雄に対しては、セイヨウオオマルハナバチの女王が非常に強く引きつけられてくると、関心を持っているというようなことが見てとれるわけです。 このような実験室内での結果ではありますけれども、こういったものを雄のにおいに対しての新女王の反応という形で見てみますと、やはりもともと同じ場所に生息していた日本の在来種間では、交尾前の生殖隔離機構がかなり強く作用しているのに対して、全くいなかったところから連れてこられたものに対しては、成分に対しての共通性というのものもあったことが関係しているのでしょうか、交尾前の生殖隔離機構が、前のものに比べると弱いというようなことが一応示唆されるという形になったわけです。 先ほど話を一番最初にさせていただいたように、セイヨウオオマルハナバチの巣箱から、最後の方になると、雄バチがたくさん生産されるというようなことがあったりしますもんですから、そういったものが大量に野外に逃げるような、そういうような状況になってしまった場合には、もしかしたら、在来の種との間に間違った出会いというものが起きてしまうような可能性もあるのではないかということを示唆するのと同時に、今、日本在来種でクロマルハナバチが一応、生産数としてはそんなに多くないけれども、実用化されておりますけれども、そのクロマルハナバチ等であれば、オオマルハナバチとの間には交雑するリスクが一応、種間では少ないと。エゾオオマルハナバチと本州産のオオマルハナバチでは、同じエステルを性フェロモンとして雄がつくっているということになっているので、その両種の間では、こういう部分について見れば、セイヨウオオマルハナバチよりはリスクは高くないんじゃないかなというようなことも、もしかしたら言えるのではないかという、そういう感じです。 どうもありがとうございました。

【土田座長】 ありがとうございました。 続いて、寄生生物について五箇委員、よろしくお願いいたします。

【五箇委員】 寄生生物の方なんですけれども、二つ資料を用意していまして、表と文書で書かれたものと、図をまとめたものとあります。図は文書の方の補足説明になりますので、適宜見ていただければと思います。 それで、まず表1でマルハナバチで観察される寄生生物一覧、これはPaul Schmid Hempelという方がまとめられた文献から抜粋しておりますけれども、非常に社会性昆虫で巣をつくるということで、その巣に寄生するという生き物は非常にたくさんありまして、ウィルスから菌、原虫、センチュウ、昆虫、ダニに至るまであらゆる節足動物、あるいは微生物というものが発見されています。それぞれの影響については、まだわからないところも多いものがあるんですが、その中で特に重要害虫、重要病害とされるのが原虫の中ではNosema bombi、それから膜翅目昆虫の中でのMelittbiaと言われるものですね。それから双翅目昆虫の中の一部、Brachioma、Brachioma属に属するものです。こういったものに関しては、いわゆる工場の中で発生すると、そのコロニーの生産性が著しく落ちるということもあって、特に問題になっているんですが、野外においてどういう影響があるかというのは、わからないものがほとんどです。 次にめくっていただいて、こういったたくさん数ある寄生生物の中で、特に日本で既にその輸入セイヨウオオマルハナバチから見つかっている、すなわち日本で持込みが確認されている寄生生物は二つありまして、一つがNosema bombiと思われる微胞子虫、もう一つが体内寄生性のダニのマルハナバチポリプダニ、この2種になります。 とりあえずこの二つについてどういった影響が考えられるのかということで、まずNosema bombiですが、どういった生き物かといいますと、これは原生動物の微胞子虫類の一種でして、マルハナバチ体内のマルピーギ管及び中腸の表皮細胞に寄生して、大量に発生することでそのエネルギーを吸い取ると。 生活史については、図1に示しておりますように、微胞子虫独特の栄養繁殖期間と胞子形成期間からなると。このサイクルを繰り返すということで、マルハナバチの細胞からエネルギーをとっていくということです。 それから、現在のところ、ヨーロッパや北米のマルハナバチ類で感染が確認されています。ちなみに同属の微胞子虫で、セイヨウミツバチの方に寄生するNosema apisについては、重要病害として家畜伝染病予防法届出伝染病に指定されているということです。この微胞子虫については、先ほど申しましたように輸入セイヨウマルハナバチコロニーから検出がされたと。その胞子サイズ及び形態的特徴からNosema bombiではないかと推定されていると。その胞子懸濁液を在来種のオオマルハナバチに経口投与した結果、オオマルハナバチ体内でこの生活環が完結したということで、この微胞子虫セイヨウオオマルハナバチから在来種のオオマルハナバチに水平感染する可能性はあるというふうに推定される。 なお、日本国内の在来種個体群において、この微胞子虫の感染率というものはまだ確かめられていないという状況です。 この微胞子虫そのものがマルハナバチにどういう影響を及ぼすかということですが、いろいろ諸説がありまして、かかってしまうと飛翔力が消失したり、攻撃性が高くなったり、女王バチの卵巣が縮小するなどの影響が出ると。また、交配が阻害されるという影響も出るという意見もあれば、コロニーの成長や女王の産卵数に大きな影響は見られないという観察例もあって、要するに発現にばらつきがあるようであると。ただ、近年、アメリカ合衆国西海岸で利用されておりましたアメリカ在来種のB.occidentalisという、マルハナバチの商品コロニーの生産工場内で、この微胞子虫が大発生して工場が閉鎖されたという記録があると。これだけ被害があるのかないのかわからない理由の一つとして、室内交雑実験において感染率にコロニー間・種間で差があるというデータがある。 これは図2をちょっと見ていただきたいのですけれども、どういうことかといいますと、この図はB.terrestrisから単離した微胞子虫をB.terrestris及びB.lapidarius、それからB.hypnorumというそれぞれの種類に経口感染させた結果、どのような感染率及び死亡率が出るかと。黒いバーがこれ死亡率なんですけれども、セイヨウオオマルハナバチから単離したものをセイヨウオオマルハナバチに接種してもそれほど高い死亡率はないんですが、これはほかの種類に接種すると死亡率が非常に高くなるというデータがあります。このことから、どうやらこの微胞子虫については、ホスト-パラサイト間で、遺伝子型-遺伝子型間の相互作用、いわゆるジェノタイプ・ジェノタイプインターラクションgenotype-genotype interaction が存在すると考えられるということも推定される。すなわちセイヨウオオマルハナバチにとっては無害かもしれないけど、その微胞子虫がほかの種に感染すると有害になる可能性がある。これは当たり前のことで、ホスト-パラサイトの共進化の歴史というものがないと、新しい病害が入ってくれば当然発病するおそれがあるということが考えられる。したがって、日本のマルハナバチについても、セイヨウオオマルハナバチがもしこのNosema bombiを持ち込んだ場合、何らかの影響が出るかもしれないということが推測されるということです。 それから、ダニの方なんですが、これはマルハナバチポリダニという体内寄生性のダニが見つかっております。このダニの特徴ですが、さまざまな種類のマルハナバチ類の気管に寄生する内部寄生者で、マルハナバチの血液を接食しています。その生活環も完全にマルハナバチの生活環に同調していると、これは図4に示してあります。 それから、このダニも輸入品から見つかっているということで、輸入セイヨウオオマルハナバチの働きバチ体内より検出され、調べた結果、輸入商品コロニーの約20%が感染した状態で輸入されていた。それから、感染しているコロニー内における感染個体率は70%以上で、感染してしまうともうほぼコロニー内に蔓延するものと考えられる。 それで、国内の野外の在来種個体群における感染率を調べますと、北海道、北方のマルハナバチでのみ感染が認められ、大体9%以下の感染率であるということが図5で示してあります。クロマルハナバチや本州のオオマルハナバチでほとんど感染が認められなかったと。また、この輸入されたハチから見つかったダニと、日本の野外から見つかったダニの遺伝子組成が違うということもわかったと。 あと在来種のクロマルハナバチが商品化されていますが、これはオランダの工場で大量生産されているということで、こちらもチェックしました結果、どうも逆輸入されているクロマルハナバチ商品コロニーも、外国のダニに寄生されて帰ってきているということがわかったと。この調査は97年から始めていたんですが、2000年以降、日本の野外において西洋型の、つまり海外のダニが検出され、逆に輸入されてくる商品コロニーからは日本型のダニの混入が確認されたということで、どうやらハチの国際取引をしている間に、ダニの方も国際移動して水平感染しているらしいということがわかったと。ただし、2001年以降、オランダの方の工場内では本種の駆除が行われ、現在は輸入コロニー内からは、このダニはもう見つからなくなりました。 このダニのマルハナバチに対する影響例ですが、海外の文献においては、重度に感染した個体は飛翔力が低下して下痢を起こすとされています。しかし、室内飼育レベルでは顕著な被害例というのは観察されていないというのは、もともと20%も感染した状態でわからずに輸入されていったことからも、商品としての価値が落ちるほどの影響はこのダニは出さないと。ただし、そういったダニであるんですが、野外における感染率は非常に低い、日本では9%以下、あとスイスでも6%以下とされていると。これだけ野外で感染率が高くならない理由としては、やはりそのダニが感染することで野外における適応度に何らかの影響が及ぶためではないかということも推測される。ただ、どちらにしてもこれもそういった適応度パラメーターみたいなものを調査しないと結論は出させないという状況です。 寄生生物の方は大体以上です。

【土田座長】 ありがとうございました。 光畑さん、これどういたしましょうか、いいですか。 それでは、ただいまの説明につきまして、ご意見とかご質問がありましたら、お願いいたしたいと思いますが。

【五箇委員】 アリスタライフサイエンスの方でネット展張のデータを出してもらっていますが、ナスの方では、半強制的に展張を条件つきで販売促進をした結果、かなり高い割合でネット展張が確保できているという説明、特にナスの方ですね、高い展張率を確保できている。先ほどの質問ともリンクするんですが、結局やろうと思えばできるということですか。コストは見合っているかどうかということですね。これをやることで、農家さんは採算性が合っているかどうかということをちょっとお伺いしたいんですけれども。

【光畑委員】 ちょっとそこまで情報はとってないんですが、マルハナバチを使いたければというところがありまして、もともとそのナスの産地でマルハナバチを導入、積極的にされた産地さんというのが、一応産地としての生き残りといいましょうか、ほかの他産地との生産物、ナスの区分けといいましょうか、うちの産地ではこういうことを積極的に推進してほかの産地さんのナスとは違うんだというようなことで、特色を出していく、生産体系をつくっていくという中で、マルハナバチの導入ということを決められたので、その段階でネットの展張は必須であるということで張られたということがあります。 一方で、先ほどの豊橋農協さんの方からもご説明がありましたが、例えばマルハナバチそのものを天敵から守るであるとか、それから大型の鱗翅目害虫、実際にナスを食い荒らしてしまうような害虫の防除にもつながっているということですので、それ以外の副次的な効果もあるということで積極的に張られたという経過があると思います。ですから、そういうことをすべてコスト試算すれば全く合わないということではないと思います。

【土田座長】 鱗翅目害虫の観点からいくと、どれくらい例えば具体的に農薬散布が減っているとか、そういう具体的なデータはございますか。

【光畑委員】 これはどちらかというと、農林水産省さんであるとか、農薬工業会さんが取りまとめている、いわゆる鱗翅目害虫用、特にナスですとかトマトですとか、そういったものを食べるオオタバコガであるとかハスモンヨトウに対する化学薬剤、それに登録のある化学薬剤の年間の販売数量というか主要トン数の推移を見れば、ある程度、それが全くではないと思うんですが、害虫の場合、どうしても毎年発生推移がありますので、多い年、少ない年によって使用料が変わってきますから、全くそれが反映されているということではないと思いますけれども、先ほどのネットの展張だとか、黄色蛍光灯の取組によって減っているというような傾向はつかめるんじゃないかなと。その辺のデータから探すことはできると思います。

【土田座長】 ほかに何かご意見、ご質問ございますか。

【五箇委員】 続いて、横山委員の方から出していただいた資料で、特に平取町、2002年、2003年での捕獲数を検討した結果、ネットの効果が非常に出ているらしいと。2003年の方では捕獲数が非常に減っているというデータがあるということで、このデータからこのレベルの現象であれば効果ありと。1匹も逃げないというのは難しいというのもあるし、既に野外で定着している可能性のもあるということもあるので、この赤色のバーが示す意味が逃げている数かどうかというのもわからないと思うんですけれども、実際には捕獲数が極端に減っていると。これはやはり効果があるといっていいのでしょうか。

【横山委員】 既に定着してしまっている分についてはどうしようもないと思うんですが、特にその前の図を見ていただくとわかるんですけれども、その2003年に捕獲されている状況は、先ほどもちょっとご説明差し上げましたとおり、非常にその野外で普通にマルハナたちが発生している状況に近い成虫構成、季節変化を示していますので、これはかなりその野外で定着している個体分の状況を示しているんじゃないかと思うのですが、それ以外のむしろ新規加入個体や、それからハウスで、例えば産出行動するような個体を排除するという意味では、ネット展張は極めて効果があったというふうに私は考えております。

【土田座長】 その後の図なんですけど、鵡川の例ですけれども、これを見ると、そのセイヨウが主に圧迫しているのはエゾオオの分布というか、巣のようなふうにも読みとれるんですが、そういう印象はありますか。

【横山委員】 やはり利用環境ないし、形態的な特性、生態的な特性は非常によく似ていますので、やはりこれはもちろん計画的なデータをとる必要があると思うんですが、やはりエゾオオに対してのインパクトというのは、対しての圧迫というか、生育環境を競合によって奪ってしまうというのは影響が強いような印象は個人的には持っております。

【五箇委員】 同じく今のデータで、この松浦先生のデータというのは、いつの年代の種構成を出しているんですかね。このミツバチ科学の方のデータというのは。

【横山委員】 論文に正確なことが書かれていないので、はっきりしたことが言えないんですけど、恐らくそのデータを見る限り、90年代のデータをとっているように文章からはお見受けします。環境の問題もあるんですけれども、これは都市部でのマルハナバチの生息数を見ているので、環境としてもかなり人為的な環境でデータをとられているんじゃないかと思うんで、実際にはその論文では細かいことほとんど書かれていませんので、正確なところはよくわかりません。

【五箇委員】 要はこのデータで見ると、要は一番いいのは鵡川町の方の過去データがあると一番比較がしやすいんですけど。ちょっと今おっしゃったように、この札幌、小樽、函館、どっちも都市部になってしまうということで、鵡川町とは全然環境が違うと。あと鵡川町そのものの元来、本来の種構成がわかればもっと比較は本来できるのではないかなというところがあるかなと思います。 ちょっと気になるのは、要するに最近読んだ論文の一つで、イギリスでも同じようにマルハナバチの多様性が減っているという現象について幾つか議論があって、それに対して、やっぱり植生の変化という意見と同時に土地、ハビタットそのものの総合的な環境変化というものに対して、マルハナバチというものの分布が大きく変動しているという意見もあると。そういったものを加味して考えて、要するにセイヨウそのものがセイダカアワダチソウのように空きニッチ niche に入ってきているのかどうか、あるいは本当に圧迫しているかどうかという、いわゆる科学的評価がどこかでなされれば一番いいのではないかと。一番いいのはやっぱりこの鵡川町というところでの本来の主構成というものを何らかの形でたどることはできないかと、あるいはそれに近いところでもいいんですけれども、そういったデータがあれば、少し検討をする必要があるのではないかと考えます。

【光畑委員】 最後に、横山先生の写真で出していただいているエゾオオマルハナバチの巣に出入りする、そのセイヨウマルハナバチの働きバチなんですけれども、この巣からは、その後そのエゾオオマルハナバチの新女王バチが出入りしているということを確認されていますけれども、その後、セイヨウオオマルハナバチの生殖活動、いわゆる新女王バチだとか、雄の出入りというようなものは確認されたんでしょうか。

【横山委員】 セイヨウオオマルハナバチは働きバチだけの出入りで、繁殖個体の活性は確認しておりません。

【光畑委員】 ちょっと見ようによっては、エゾオオマルハナバチの生殖活動の生産に、セイヨウオオマルハナバチが一役買ってしまったような受けとめ方をしそうな写真だなとふと思ったものですから、すみせまん。

【土田座長】 ほかにございますか。どうぞ。

【池田委員】 ちょっとネット展張のことについて戻りますが、さっき野菜課の方から、今、環境省の方からもそうなんだけど、このネット展張を改良するというんですか、設置するという、そういった補助というのは全然考えてないと、そういうふうな回答だったんですが。やっぱりこういう新しい法律ができたときには、これはほかにも例えばこれが天敵、どういう天敵があるかなんですが、同じようなことが考えられると思うのですが、それらが外へ、施設外へ飛び出すということの防止は、マルハナに限らず必要だと思うんですね。そういう前提条件で、今までこの天敵防除をやるとか生物利用もするということで、指導してきたわけですね。現場の方ではね。ですから、今回、法律が後でもってできているわけですから、やっぱりそういう面でも今までは個人のいろいろな、そういった施設なんかには補助はないよと言っているんだけれども、今回の場合は違うんじゃないかと思うんですよね。ですから、この法律にやっぱり沿った目的でのそういった補助金の制度というのも、やっぱりお考えいただけないかなというふうに思います。 この先になるんだけれども、じゃ、その天敵だとか、あるいは侵入害虫もそうなんだけど、野外に出ていってしまったものについては、やはり防除指導というよりは防除作戦、対策をやっぱりやっていかないと片手落ちになるんじゃないかと思うんですが、その辺のところというのは全然漠としちゃって見当がつかないんですが、その辺のところをちょっとお考えをいただきたい。あるいはご意見をお聞かせいただきたいというふうに思っております。 それから、やっぱりこのネットを展張するというのは、農家の方では、私の経験では余程切迫した事情がないと張りません。これはウィルス対策を私ずっとやってきて気がついていることなんですが、もうどうしようもないということになると、皆さん取り組みますが、一般的な指導では非常に普及が低くなっています。これは何も今さらネットを張れ、張れと、そういっている話じゃなくて、もう過去20年も30年も前から施設にはネットを張ってくださいよということで指導してきたという意味でね。これは一般害虫の防除の観点。ですが、その普及がほとんどされてないということがありますから、この法律等なんかについても、100%近く皆さん認識していると思うんですよね。認識していると思うんだけれども、実行となることについては、相当の指導があるとかあるいは補助がないと私はできないんじゃないかというふうには思います。

【光畑委員】 今の池田委員のお話なんですけれども、補足的に、ネットの展張で、これは公表されているかどうかわからないのですが、先日、独立行政法人の野菜・茶業試験場の方で出されていたデータをちょっと見たんですが、軒高が3メーター程度を超す、いわゆる豊橋管内でも非常に多いと思うんですが、かまぼこ型ハウスのネットを展張した後の温度の上昇が平均すると3.4度というデータが出ておりました。それから、それに比べて例えば軒高、先ほどちょっとネットを張るのが難しいと言われていたあの4点、4メーターから5メーターぐらいの軒高の屋根型のハウスですと、同じ地点で、大体地上高1メーターぐらいのところで比較すると1.9度ぐらいだという差があると。ただ、基本的にそこまで3.4だとか1.9とかという温度の上昇がありますので、これが温度がここまで上昇したりすると、日照量が低いときには、どうしても植物体がこうひょろひょろと伸び上がってしまうですとか、それから当然湿度もこもりますので、病気の発生が頻度としては上がるということが言われていますので、やはり先ほどその池田委員が言われたような、余程のことがないと張らないというのは、やっぱりこういうところにも起因しているんだろうと思うんですね。 ですから、そのネットを展張する際に、その助成をいただきたいということも同時にあるんですけれども、技術的な協力、これは農林水産省さん関連の独立行政法人さんになるかと思いますけれども、例えばその物理的な風通しがなるべくよくなるようなネットであるとか、そういったものの技術開発もやはり同時にしていただきたいというのが、一つあるかなというふうに思いました。

【五箇委員】 同じ意見です。ネット展張というのは、これ法律でもしこの種を何らかの形で管理するのであれば、もう必然的に、附帯的にもつけないといけないというか、本来もセイヨウオオマルハナバチを開発したオランダ自体の農業環境を考えた場合、完全にガラスハウスの閉鎖形でマルハナバチと天敵とセットで利用するという環境で成功をおさめているという、そういった中でマテリアルだけ真似して導入しているから、こういう結果になっているということもありますから、根本的には農業環境を整備するというのが先であって、外来種問題というのはもうその次だと考えるべきじゃないかと思いますので、そういった意味でもネット展張は、是が非でも本来ならば、行政の方で取り締まる以上はネット展張も込みで考えていただきたいということ。 それと同時に、やはり商品として導入する以上、ミツバチではもう既に検疫体制があるのであれば、マルハナバチも同じく今後も輸入が続くとなれば、やっぱり検疫体制はいずれ整備しておかないと、アメリカ合衆国と同じような状況は起こってしまう可能性もあるわけですね。そういった意味で、これは多分セイヨウオオマルハナバチに限らずということになると思いますけれども、そういった部分での検疫体制の見直しというのも今後検討していただきたいというか、検討していかなくてはならないであろうと考えます。

【光畑委員】 今の検疫体制に関して、少し五箇先生にご質問があるんですが、先ほどマルハナバチポリプダニに関しては2001年以降、輸入コロニーから発見されてないというお話をいただいたのですが、Nosema bombiについても継続的に調べられていると思うんですが、Nosema bombiの方に関してはいかがでしょうか。

【五箇委員】 Nosema bombiについては、今のところ検出されていません。商品からも、あと国内在来種においても今のところまだ感染事例はないということです。実際ヨーロッパの方でも、野外個体における感染率は極めて低く、発見するのは非常に難しい。スイスにおいてもほぼ0%に近いということで、やっぱりそれだけ逆に言えば影響のあるパラサイトなので、野外における影響云々より恐らく工場の中での感染拡大の方が非常に重大な問題になってくる可能性があるということです。

【土田座長】 私の方から、ポリネーターですよね。これ何かヒッチハイキング的に農作物の病害を持ち込むようなことはあり得ませんか。

【五箇委員】 Nosema bombi、あるいはそういう細菌とかセンチュウのたぐいは、汚染した花で感染拡大すると言われていますので、そういった意味で、パラサイトそのものの感染において、そのポリネーションという行動が水平感染を拡大させるというのはあります。植物病害をもたらすという事例については、今のところは確認はされていません。ただし、別の観点で、GMOの花粉を運んでしまうというようなことに関するリスク評価がアメリカなんかでは行われています。

【土田座長】 ちょっと今、防除の取組について具体的にやられている平取町の例、横山先生にちょっとご紹介していただけるとよろしいかなと思うんです。どういう防除をされているか、具体的に。

【横山委員】 平取町の方では、今、ネット展張を進めていだたくと同時に、定期的に捕獲活動を行っていただいています。これはほかの1カ所は場所を決めて、そこを農家さんたちが歩いて、その花に来ているセイヨウオオマルハナバチを捕獲する。あとは別に例えばたくさんトマトをつくっている場所もありますので、一時に全部回るわけにもいきませんので、毎月場所を決めて回る場所をつくってそこで捕獲する、その二本立てで捕獲活動をやられている。我々も鵡川町で捕獲活動を行っておりますけれども、基本的に女王バチの時期に捕獲するのは最も効率がいいと思うんですね。働きバチになってしまいますと、1コロニーから100も200も出てきますので、なかなか簡単にたたくことはできなくなりますけれども、女王バチの段階ですと、個体数を減らすのにかなり貢献できますので、春先の捕獲というのが特に気になってくるんじゃないかというふうに考えています。

【土田座長】 それでもう一つご質問なんですけど、その場合、農家の負担感というんですか、何かちょっとやり切れないなとか、そういうのは、その辺の率直な感じはどうなんでしょう、難しいですね、ちょっと。

【横山委員】 平取町の方はかなりよく理解してくださっているので、確かに一緒に捕獲で歩いていると、そういった声も聞かれないことはないわけではないんですけれども、ただ、かなり割り切って捕獲をしてくださっているというふうに私は理解しております。

【池田委員】 何かその平取町の今の捕獲の作業というとおかしいんですが、やっているのは撲滅を図るためにやっているんですか、それともデータをとるためにやっているのか、その辺のところがよくわからないんです。本当に撲滅しようと思ったらできるんですよ。私はできます。今までいろんな侵入害虫をやってきて、その気になればできます。私はそういう事例を2例持っています。侵入害虫防除をゼロ作戦にしたというのは、静岡の2例しかありませんが、これはやればできる。やる方法があるんですよ。ですから、端からちょっと見てみますと、大変申しわけないんですが、害虫防除学的に考えるとすれば、今の方法を幾らやっても根絶はできません。ある程度の量は減るかもしれませんが。本当にやるというんだったら、それはだけど、横山先生の方でやれというわけじゃないんですが、やっぱり本当にやるとすれば、これも一つのモデルケースになるから、私はやった方がいいと思います。絶対できます。そのノウハウは私が持っていますが、提供はしません。無料ではしません。絶対できるはずです。ですから、それをちょっとお考えになっていただきたいと思います。

【五箇委員】 要はマルハナバチを特定外来生物イコール害虫みたいなものだと見れば、多分駆除というか防除というものに対するものを事業として扱えば、多分今おっしゃったみたいに可能性はあるだろう。要は結局ネット展張と同じで、その部分に関してもどれだけその行政として、いわゆる事業予算としてどれだけ確保できるかとか、そういう話になってくると思うんですよ。今の段階では、ほとんどボランティアとして駆除事業にしろ、ネット展張にしろ、もうほとんど個人活動のような形でやってもらっていますから、そこのところをやっぱりいざ、これを法律の枠の中で何らかの形で管理するなり規制するなりということになれば、どっちみちやっぱりこの駆除事業も込みで事業予算というものをどう確保するかというのは多分求められることになると思うんですけれども、その辺は環境省の方も少し考えていただいて、予算確保に努力していただければと思います。

【土田座長】 そのほかありませんか。どうぞ。

【光畑委員】 先ほどの平取町の駆除作業についての、ちょっと補足的なお話をさせていだきたいんですが、前回もお話をさせていただいたんですけれども、マルハナバチを導入することで、結局必要以上の化学農薬の散布を軽減できるであるとか、それからマルハナバチを使うことによって品質のいいトマトができる、これは生産者の方自身のためではなくて、やはりトマトを食べる、ナスを食べる、生産物を食べる、一般の消費者の方のためにやっているという、生産者の方の自負があるわけですよね。ですから、自分たちは環境保全型農業に寄与しているんだと。そういう自負を持ってマルハナバチを利用していたのに、結局、そのセイヨウオオマルハナバチが環境に悪影響を及ぼしているんだというような事例が出たり、報道が出たりということで、生産者の方は、いや、我々としては徹底的にその胸を張って環境保全型農業に徹しているんだという思いから、そのネットの展張を自主的に進めたり、巣箱の回収を自主的に進めたり、ひいては駆除作業をされているんだというふうに私どもとしては聞いておりますし、話をさせていただいておりますが。

【土田座長】 どうもありがとうございました。 ほかに何かございますか。どうでしょう、小野先生の方から出されたデータに関して何か質問等ございましたら。

【池田委員】 大変このフェロモンのご研究なんですが、新しい研究でもって、私も初めてこういった事実を知りましたが、このフェロモンは花で残存していってというのですか、残っている時間というのはどれぐらいあるのでしょうか。例えば2日3日続くとか、それからもう一つは、この種類によってLGldというんですか、このLabial glandから出ている成分というのは、これは種類によってどれが一番多いんでしょうか。いろいろな種類をやっていらっしゃいますが、ほとんど同じような量なものですから、全体的に。

【小野委員】 まず、その残存量なんですけれども、これはもともと非常にエステルにしろアルコールにしろ揮発性の高いものなんですね。ですから、これは純粋なもの、合成したものをガラス板などにつけておけば、それこそあっという間になくなってしまいます。しかし、マルハナバチは、それらの物質を徐々に徐々に空中に発散させるような、いわばちょっと吸着剤みたいなようなものと一緒に出していると考えられていて、多分1日2日ぐらいはもつのではないかなと思います。ちょうど芳香剤、ご家庭で使われている、あるいは洗面所なんかに置かれているものなんかも、これはもともと揮発性のあるものだから、鼻に感じるわけですけれども、置いたら、1日、2日でなくなっちゃえば商品として流通しないわけですが、二、三カ月もつようにするためにゆっくり出すと、コントロールド・リリース技術といいますけれども、そういうようなものと一緒になって、香り成分を効果的に長い時間放出するという(技術開発を含めて)工業的にやるわけですけど、それにかわるような素材、フェロモン成分ではないけれども、フェロモン成分をゆっくり出すと、空中に発散するというようなものとあわせてうまく利用していると考えていいと思います。 そして、一匹当たりのハチが生産するフェロモン成分の化合物の量ですけれども、これはべらぼうに多いですね、普通のフェロモン成分に比べると。試算ですけれども、大体1匹300ミリグラムぐらいの大きさの雄バチの頭の中に単一の化合物が2ミリグラムとか3ミリグラムの量で入っているのではないかというような試算をしています。 以上です。

【池田委員】 種間の差異はあったの。

【小野委員】 種間差異ですね。オオマルハナバチ亜属とコマルハナバチ亜属では非常に多いと思います。しかし、トラマルハナバチ亜属ではそんなに多くないと思います。個々の種についてどれぐらい含まれているかというような計算はまだしていないんですけれども、そんなに差はないのではないかなと思いますね。縄張りをかなり広い範囲で持っていて、その中でデポジットをしていくと。そのにおいづけを葉っぱとか枝とかにしていくとなると、相当のにおいの量が必要になるという形になると思います。雄の場合には、もうそのまま越冬しないで、秋が繁殖の時期ですね。夏の終わりから、そのまま越冬しないでとにかく雌と出会うということだけに集中的に投資すると。自分のエネルギーを使うことができます。新女王の方は交尾した後越冬しなきゃいけませんから、できるだけ体の中に蓄えた脂肪体、越冬用のエネルギーを使いたくないという部分があるんでしょうけど、その辺のところの投資の仕方みたいなものも雄は多分その香り成分に集中的に投資して、雌と出会ったら、そのまま死んでしまって、雌の方は交尾して、この後、次の年にまた一仕事待っているわけですから、できるだけ体力を使わないようにというような形でうまく使い分けているんだと思うんですけど、雄は精いっぱい頭の中で単一化合物をつくっているというところも、その辺のところと関係してくるのかもしれないと思います。 以上です。

【五箇委員】 これはこの実験では誘引実験だけですよね。においに対する、実際に要するに、例えば雄バチに対して女王バチが寄っていくというような、いわゆる生き物そのものの反応というのは、生物間としての反応というのはこの研究ではなされているんでしょうか。

【小野委員】 野外での実験は全くやっておりません。ただ、実験室内については、狭いところですけれども、雄のにおいに対して同じ種類の新女王が、まだ交尾をしていない新女王を誘引してくるということ。あるいはオオマルのにおいに対してはクロマルの新女王がそれを忌避すると、逆に。そういうようなことは確認、実験室の中でなされています。

【土田座長】 何か質問とかご意見ございますか。よろしいですか。 きょうの話題はほとんどネット展張のことについてかなり効果があるという話。それとあともう一つ大事なデータとしては、このフェロモンに関するデータですね。これは未発表なので、ちょっと取り扱いに非常に注意してもらいたいんですが、非常に遺伝的攪乱の原因になり得るフェロモン成分があるということで、そういう意味では非常に今日は実りのある会議だったと思います。 ただし、もう少し具体的にしたいなと思うのは、このコストの面のいわゆる農薬散布も含めて、具体的なコスト計算等はどうなっていくのであろうかとか、あと政策的な話みたいなものが、またちょっと不透明な部分がかなり残っていると思います。 それと、あとはこのセイヨウオオマルハナバチにかわる代替技術というのがあるのかどうかという点も、まだこのたび詰めていった方がいいんではないかという印象を持ちました。 そのほか、何かご意見がありましたら、お聞きしたいと思います。

【五箇委員】 大体今日の話で、要は室内レベルあるいは地域レベルでの調査研究で、一応この種類は危なそうだという疑惑がかかっている部類というのがリストアップされたと思うんですね。ただ、要は、今あるこの状況証拠というか、これだけの物証あるいは状況証拠を持って、予防原則でその法律に引っかけてしまうのか、それとも実際に前回の議論にもあったように invasive であるという現行犯を待つかというところまで来ているんだろうと思うんですね。要はもうこれだけのデータで判断するのか、それとももう少し考えるかというところです。それを多分次の段階でもう少し議論しないといけないんじゃないかなと。それと同時に、やっぱりその場合、ネットを張るということが非常に重要な要素になってくる。その上でやっぱりお金の問題ですよね。その部分をどう補うか、それを農家レベルあるいは地方自治体レベルで努力するのか、それとも国の方のレベルで考えるかというところですよね。その辺は恐らくこの委員会の枠からはみ出ているというか、違う次元になっちゃうのかもしれないんですけど、ある程度その辺のところも意見として提言するということを準備しておく必要があるんじゃないかなとは考えます。

【光畑委員】 ネット展張について、先ほどコストの面も話がありましたけれども、これはやはりきちっと試算をしなければいけないと思うんですけど、先ほど配られたこのJAさんの、全農さんの考え方についてというようなことがあるんですけど、ここにもネット展張の試算みたいなものが、工事費込みで10アール当たり10万円以上というようなことが書かれていますけど、結局生産者の方にとっては先行投資になるわけですよね。生産者の方が年に1回収入が得られるのは、トマトを生産して実りがあってからということになりますので、いずれにしてもネットを展張するということに関しては先行投資になるわけですね。そこの部分でのやはり補助があるとないとではかなり大きな違い、ネットを張るということに関する活動に関して大きな違いが出てくると思います。 それから、あともう一つお願いをしたいのは、ネットを張るタイミングですよね。例えば法の施行の問題が出てくると思いますけれども、要するに栽培が始まってからではネットは張れないんですよね。もう既に中で植物体が育っている状態でネットを張るというのは非常に難しいので、やはりそのトマトを植えつける前、ナスを植えつける前に、その準備段階できちっとネットを張っておかないと、途中で張りなさいと言われても、それはとても到底できることではないので、そのタイミングというのは、日本全国トマトをつくるタイミングというのは少しずつ違いますし、作型も違いますので、なかなかタイミングを見計らってというのは違うと思うんですけど、それだけ地域によって違うということは、それぞれの地域に合わせて、もしくは作型に合わせて、ある程度猶予を見ていただかなければいけないんじゃないかなと、これはお願いをしたいということですね。

【土田座長】 ほかに何かご意見ありますか。どうぞ。

【五箇委員】 ちょっと今日の議論とは少し違うかもしれない。会議が始まる前に一つ確かめておきたかったんですけれども、日本農業新聞の方で、土曜日の記事ですね、これ。セイヨウオオマルハナバチの利用は、当面は規制対象から除外される方向だという記事が出ているんですけど、これは出所は環境省なんでしょうか。要するにもう規制しないと決まっていて、こういう委員会をしているんだったら、ちょっともうあほらしいなという話もあって、その辺をちょっと確認だけしておきたいと思います。

【環境省 上杉企画官】 現時点で何も方向として決まっているものではないと思います。この小会合の議論を聞きながら、最終的には農水省さんとも相談をしながら決めていく話だと思っております。 それから、政策的に予算確保も含めていろいろ考えるべきだという点についても、あわせて政府の中でそこは相談させてほしいというふうに思っています。 それから1点、最後に光畑さんの方からも話がありましたけれども、もう少し利用の実態、今日JAさんの方から話があったんですけれども、全体的な7万コロニーの例えば流通がどういうふうにされているのかだとか、具体的な使用についての実態的な話については、もう少し我々としてもデータを集めたいというふうに思っております。

【土田座長】 まだまだいろいろ意見あると思いますが、今日である程度ネットの展張の効果と、あと遺伝的攪乱については具体的なデータが出てきたと思いますので、共通の認識になったと思います。先ほど申しましたように、このコスト面、いわゆる規制するかしないにかかわらず、そのコスト面のいわゆる政策的なことも含めてのそのあたりがまだこの先に残った問題であると思いますので、次回にその部分は回したいと思います。 あと議題ではその他とありますが、この際、何かご発言されたいというのがありますでしょうか。事務局の方から何かいいですか、どうぞ。

【五箇委員】 最後に、何か代替技術についても少し検討する必要があるという意見がありましたけど、現時点で代替技術、可能性があるのは在来種利用なんですよね。もう既に商品化もされています。クロマルハナバチですよね。これに置きかえるというのも法律上はもう何ら問題なくなるけど、これはこの法律での議論じゃないんですけど、次にかかるリスクとしては、クロマルハナバチが今度北海道にも持ち込まれてもオーケーということになるということも考えなくてはならないということを、最後に一つだけつけ加えておきます。

【土田座長】 このものに対してどなたか資料等提出は可能でしょうか。クロマルの利用実態という……。

【光畑委員】 現在クロマルハナバチを販売させていただいているのは私どもだけので、私どもだけのデータということになりますけど、それで構わなければ。利用実態というのは、実際に流通する量という形でよろしいんでしょうか。

【土田座長】 そのとおり。流通量程度で結構ですので、出していただければ幸いかと思います。 では、以上をもちまして、セイヨウオオマルハナバチ小グループの会合を閉会したいと思います。ありがとうございました。

【堀上補佐】 すみません。次回なんですけれども、次回皆さんのご日程を伺っておりまして、次回は12月15日の午後に行いたいと考えておりますので、また資料等の準備方、どうぞよろしくお願いいたします。