環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第1回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(昆虫類)
セイヨウオオマルハナバチ小グループ会合 議事録


1. 日時 平成16年11月15日(月)14:00~16:00
2. 場所 経済産業省別館11階 1111会議室
3. 出席者  
   (座長) 土田 浩治
   (委員) 池田 二三高   小野 正人
五箇 公一    横山  潤
   (利用関係者) マルハナバチ利用普及会 光畑雅宏
   (環境省) 名執野生生物課長
上杉生物多様性企画官
堀上野生生物課課長補佐
   (農林水産省) 岡田野菜課課長補佐
5. 議事  
【環境省 堀上補佐】 それでは予定の時刻になりましたので、これから特定外来生物等分類群専門家グループ会合の昆虫類のマルハナバチ小グループの会合を開催したいと存じます。
 事務局の方から、まず委員の先生方をご紹介させていただきます。このグループの座長でありますけども、既に昆虫類のグループ会合で石井座長の指名を受けて、土田先生にお願いしております。岐阜大学応用生物化学部の土田教授でございます。

【土田座長】 土田です。よろしくお願いいたします。

【堀上補佐】 続きまして、元静岡県農業試験場病害虫部長でいらっしゃいました池田先生でございます。

【池田委員】 池田です。よろしくお願いします。

【堀上補佐】 それから、国立環境研究所の五箇委員でございます。

【五箇委員】 五箇です。よろしくお願いします。

【堀上補佐】 東北大学の横山委員でございます。

【横山委員】 横山です。よろしくお願いいたします。

【堀上補佐】 玉川大学の小野委員につきましてはちょっと遅れていらっしゃるというふうに承っております。
 それから、利用関係者としまして、マルハナバチ利用普及会から光畑さんにお越しいただきました。

【マルハナバチ普及会 光畑氏】 光畑です。よろしくお願いします。

【堀上補佐】 どうぞよろしくお願いします。
 それから、環境省と農林水産省の出席者でございますが、まずは環境省の方、名執野生生物課長でございます。
 上杉生物多様性企画官でございます。
 農林水産省の方から、生産局野菜課の岡田補佐でございます。
 それから、私、野生生物課の堀上と申します。どうぞよろしくお願いします。
 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 資料ですが、委員名簿の次が資料1からとなっておりまして、資料1-1が特定外来生物等の選定に係る学識経験者からの意見聴取要領。資料1-2が昆虫類グループ会合の運営方針。資料1-3が特定外来生物等選定フロー。1-4が選定の作業手順。1-5が外来生物(昆虫類)の特徴と選定に際しての留意点。
 それから、資料2としまして、セイヨウオオマルハナバチに係る情報及び評価の案。
 以下、参考資料が1から5までございまして、参考資料1が法律の概要。2が政省令等の体系。3が被害防止基本方針。4が基本方針に係るパブリックコメントにおいて提出された個別の種に関する主な意見の概要。参考資料5が、この前行われました第1回昆虫類グループ会合の議事概要というふうになっておりまして、さらに、本日お越しの委員の方からも資料が2つほどありまして、日本におけるマルハナバチ利用の現状というのと、セイヨウオオマルハナバチの野生化の現状と想定される生態リスク、この2つの資料がございます。漏れ等ございませんでしょうか。
 それでは開会に当たりまして、名執野生生物課長の方からごあいさつをさせていただきます。

【環境省 名執野生生物課長】 環境省の野生生物課長の名執でございます。本日はお忙しいところ、また足元のお悪い中、このマルハナバチ小グループ会合にご出席いただきましてありがとうございます。また、先生方には、日ごろから野生動物に関する保護管理の関係で、日ごろご助言、ご協力いただいていることをこの場をお借りして感謝したいと思います。
 この特定外来生物被害防止法、正式名称、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律といいますが、国内外で海外から持ち込まれる外来生物による生態系などの被害がいろいろ指摘されているというような背景を受けまして、先の通常国会に法案を提出して、6月2日に公布されたところでございます。この法律に基づきまして、基本方針を中央環境審議会で議論していただきまして、10月15日に閣議決定されたところでございます。今、作業といたしましては、どういう外来生物をこの法律の対象にするかという、法律上は特定外来生物といっておりますけれども、その選定作業に入っているところでございますけれども、第1回の全体の専門家会合を10月27日に開催したところでございまして、そこで今後の検討の進め方について議論していただいて確認していただいたところです。今後、外来生物の選定につきましては、分類群ごとの専門家グループ会合を開催して検討していくということになったわけですけれども、昆虫類につきましては、その専門家グループ会合の中で一番早く、11月2日に開催されまして、その中でこのセイヨウオオマルハナバチについては、文献などで生態系等への影響が懸念されているという指摘がある一方で、温室におけるトマト栽培などに広く利用されているというような実態もございますので、これについては小グループを設けて、利用の実態なども含めて集中的に検討していただいた方がいいんじゃないかということが、その昆虫の専門家グループ会合で合意されたところで、今日こうして第1回のマルハナバチの小グループ会合を開かせていただいたところでございます。この法律については、来年の春の施行を目指しておりまして、非常に限られた時間の中で難しい検討をしていただかなければいけないところでございますけれども、ご協力よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。

【堀上補佐】 それでは議事の進行につきましては、以降、座長の方からよろしくお願いいたします。

【土田座長】 それでは、これより本日の議事に入らせていただきますが、座ったままで行わせていただきます。
 議題1は「小グループの位置付け」となっておりますが、まず事務局からの説明をお願いします。

【環境省 上杉企画官】 それでは、まず資料の1-1を見ていただければと思います。
 外来生物法と略しておりますけれども、この法律の第2条3項に基づきまして、特定外来生物の指定に係る政令の制定、あるいは未判定外来生物の指定等については、生物の性質に関し専門の学識経験を有する者から意見を聞くということになっておりまして、その意見を聞くための要領を定めたものが資料の1-1でございます。
 ちょっと先に飛ばしますけれども、資料1-3を見ていただきたいと思います。冒頭、野生生物課長のあいさつの中でもございましたが、この学識経験者の意見を聴取するための手順、流れが今度は資料の1-3に記されてございます。全体的に見るということで、全体専門家会合というのがまずございまして、その下に各分類群ごとの専門家グループ会合というのを設けるという構造になっております。さらに、この専門家グループ会合のそれぞれの分類群の中で、必要に応じて小グループをつくるということにされておりまして、本セイヨウオオマルハナバチに関しましては昆虫類の専門家グループ会合の中で、さらに集中的に検討する体制ということで、この小グループ会合が設けられたという形になっております。
 第1回の全体専門家会合を10月27日に開催をいたしまして、昆虫類の専門家グループ会合は11月2日でございますが、順次、それぞれ数回程度の会合を開催いたしまして、来年の年明けに第2回の全体専門家会合を開催いたしまして、ここにその特定外来生物等の候補リストというものを挙げていって、そこで最終的な候補リストを作成するということにされております。この法律は今年の6月2日に公布されておりますけれども、公布から1年以内の施行をするということにされておりまして、そういう意味では来年の春までに施行のための準備を進めることにされております。特定外来生物等の候補については、パブリックコメントあるいはWTOへの通報といった手続をその後経まして、来年度明けくらいに、最終的には政省令としての決定をしていくというふうなことを考えているところでございます。
 この選定フローの中での小グループの位置づけでございますけれども、資料の1-1に戻っていただきまして、第3、意見聴取の手続についての3番目のところに、意見の聴取に際しては、関係する専門家から得た情報や知見を活用するとともに、必要に応じ、当該生物の利用者等の関係者から得た情報や知見を検討するということで、最終的には全体専門家会合にかけた上で決定をしていくことになるわけですけれども、最もこの分野についての情報や知見を有する方々に集まっていただいて、その知見を活用していくという形をとるためにこの小グループを設けたということにされております。
 続きまして、資料の1-2でございます。これが会合の運営方針ということで、全体専門家会合、あるいは昆虫類の専門家グループ会合、両方ともで同じような形で決定していただいたものでございますが、基本的にはこの小グループ会合も昆虫類グループと同様の形での運営をお願いしたいということでございます。まず、会合については原則として公開をして実施するということであります。ただ、特に不都合があるような場合については非公開とすることができるというふうにしております。それから、出席者でございますけれども、代理出席は原則として認めないと。ただ、必要に応じ関係者から意見を聴取することができるものとするということにしております。それから、議事録については委員の了解を得た上で公開をしていくということにしております。また、議事要旨については事務局の方で早急に作成をいたしまして公開をしていくということにいたしております。以上が資料の1-2でございます。
 続きまして、資料の1-4でございます。これは全体会合で定められました具体的な選定の作業手順ということでございます。セイヨウオオマルハナバチに関係する部分だけ、ちょっと簡単に紹介をいたしたいと思っております。まず、1つが1ページ目の2、被害の判定の考え方というところでございますけれども、この点線の括弧でくくった部分は既に閣議決定されました基本方針の記載を抜粋したものでございます。この被害につきましては生態系に係る被害、それから人の生命・身体、農林水産業被害とあるわけですけれども、特に本件については生態系被害があるかないかという点だと思いますので、それを中心に説明いたします。生態系に係る被害といたしまして、[1]捕食、[2]が競合による駆逐、[3]が生態系基盤の損壊、[4]が遺伝的撹乱ということで、大きく4つの観点から被害というのをとらえまして、在来生物の種の存続または我が国の生態系に関し、重大な被害を及ぼし、または及ぼすおそれがあるかどうか、こういう観点から判定をするということとされています。
 次のページに移っていただきまして、この考え方でございますけれども、i)からiv)までの4つの視点をさらに示してございます。1番目が在来生物の種の絶滅をもたらし、またはそのおそれがあること。2番目が地域的な個体群の絶滅、またはそのおそれ。3番目が在来生物の生息または生育環境を著しく変化させ、またはそのおそれがあること。4番目が群集構造や種間関係を著しく変化させ、またはそのおそれがあることということで、生態系への被害があるかないかという観点については、こういった視点から見ていだたくのはどうでしょうかというふうなことを整理してございます。
 それから、続きまして同じ2ページの下の方でございますけれども、(2)被害の判定に活用する知見の考え方ということでございまして、これは大きくアとイの2つ。アが国内の科学的知見の活用。それからイが国外での知見を活用するということにされております。このうちアの方のなお書きの部分でございますけれども、被害のおそれということもこの法律上の視野に入っておりますので、そういうことに関しては現に被害が確認されていない場合であっても、既存の知見により被害を及ぼす可能性が高いことが推測される場合、そういう場合にはそういう知見の活用もしようということを述べてございます。
 また、海外での知見については、そういう知見が日本の気候、地形等の自然環境の状況等から見て、我が国の国内で被害を生じるおそれがあるかどうか、そういうことを考えた上で適用を考えていこうということとされています。
 それから3ページ目に移りまして、3、選定の際の考慮事項でございます。この法律の目的ということからしますと、原則として生態系等に係る被害の防止を第一義に考えるということが必要であるということでございますが、ただ、現実的にはさまざまな観点の利用等もされているということから、社会的・経済的な影響も考慮した上で随時選定をしていくということとされております。
 以上が全体会合で決められました全分類群に共通の選定に当たっての作業、手順、考え方ということでございます。
 これを踏まえまして、さらに資料の1-5でございますけれども、昆虫類について一般的にどんなことが考えられるかという資料になってございます。1が外来昆虫の特徴ということにされておりますけれども、特にこのセイヨウオオマルハナバチに関連する部分だけ述べさせていただきますと、3の(1)のところで、セイヨウオオマルハナバチについては文献等で生態系への影響が懸念されていると。一方で、温室におけるトマト等の生産に広く利用されているという実態もあるということから、別途、保全生態学、応用昆虫学、輸入業者等で構成される小グループを設けて集中的に検討するということとされたところでございます。さらに、この小グループの結論については、昆虫類の専門家グループに報告をするということとされております。
 以上がこの小グループの設置に至る背景と、この小グループでの議論が期待されている部分の概要でございます。

【土田座長】 ただいまの説明につきまして、ご意見、ご質問がありましたらお願いしたいと思いますが、よろしいですか。
 まず、私から1点なんですけど、私の都合でこの12月以降、海外に行く予定にしておりますので、その期間の座長の代理として五箇委員を推薦したいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。

(異議なし)

【土田座長】 それでは座長代理として五箇委員にお願いします。
 そのほか、何かご意見、ご質問ありますでしょうか。

(なし)

【土田座長】 特にないようでしたら、次にセイヨウオオマルハナバチによる影響や利用の状況について確認をしたいと思います。まず、事務局から概要について説明をお願いします。

【堀上補佐】 資料2の方なんですが、セイヨウオオマルハナバチに係る情報及び評価という紙をご用意しております。この資料につきましては、これまで文献等で指摘されてきたことについて、一応まとめをしているということでございます。評価ランクのところは空けております。
 2の原産地ですが、ヨーロッパ。日本にはオランダ、ベルギー、ノルウェー等からコロニーの単位で輸入されている。コロニーといいますのは、女王バチを中心とする家族という箱で入ってきているということでございます。
 日本での定着実績でありますけれども、まず輸入につきましては1991年に静岡農試の方で試験導入されておりまして、その後、輸入が本格化しているということでございます。1996年の春に、静岡あるいは北海道で本種の女王による野外越冬が確認されておりまして、北海道では自然の巣も発見されているところでございます。現在までに25都道府県で本種が目撃されておりまして、その周囲にトマト温室等の施設がない場所でもこの種が目撃されているということでございます。北海道の道央においてモニタリングをしておりますが、そこでは確実に定着・増加している状況が報告されているというところでございます。
 評価の理由に掲げておりますのは、生態系への影響ということでございまして、在来マルハナバチとの餌や営巣場所をめぐる競合、それからその競合に伴いまして、野生の植物の健全な繁殖阻害があるだろうと。そういったことで生態系に被害を及ぼすおそれが指摘されているということでございます。それから雑種の形成による遺伝子汚染、あるいは寄生性のダニ類の在来種への伝播が懸念されているということでございます。年間約7万コロニー輸入されておりまして、野外での目撃例があるということは、逃げ出したりあるいは遺棄されたという可能性が指摘されているというところでございます。
 被害等の実態をもう少し詳しく見ますと、生物多様性への被害ということでありますけれども、北海道での調査研究では、在来のマルハナバチと競合しているということで、マルハナバチ類、マルハナバチ全般が巣の乗っ取りを行うといわれておりますけれども、セイヨウオオマルハナバチについても、実験室において在来の女王バチを刺し殺して乗っ取りを行った例が報告されていると。あるいは盗蜜行動といいまして、在来のマルハナバチでもその行動は行われるわけですが、セイヨウオオマルハナバチの場合には舌が短くて、長い花の中の蜜を吸うことができない。横からかみ破ってその蜜だけをとるということでありますけれども、それによりまして、野生の植物が繁殖を阻害されるんではないかということが指摘されております。それから、在来のマルハナバチ類がたくさんふえてきますと、先ほど言いましたように植物の繁殖行動を阻害するということで、それによりまして、その地域の生態系に影響を与えるんではないかということが指摘されているということでございます。北海道の道央の方ではエゾマルハナバチとセイヨウオオマルハナバチとが入れかわってしまうというようなことを示唆する事例が報告されているということでございます。海外の方でもそういった例が示されているということでございます。
 2ページ目ですけれども、実験室において交尾行動が確認されていると。確実にその遺伝子汚染ということではありませんが、在来のハチとの交尾行動が確認されているということでございます。それから、輸入されたセイヨウオオマルハナバチの約20%に内部寄生性のマルハナバチポリプダニが報告されているということで、在来のマルハナバチにそれが影響を与えるんではないかということが懸念されているということでございます。
 それらの被害をもたらしているということの生物学的要因としては、マルハナバチの中でも割とそのセイヨウオオマルハナバチは競争力が高い、あるいは増殖能力が高いんではないかと。もう一つは分散の能力も早いんではないかということ。それから盗蜜行動というのは在来のマルハナバチとちょっと仕方が違うということ。あとは細菌類とかウイルスを媒介することがあり得るんではないか。そういったことが生物学的要因として被害をもたらしているのではないかというふうにいわれております。
 それから社会的な状況なんですが、現状でトマトの施設栽培においては栽培面積の約3割でセイヨウオオマルハナバチが利用されておりまして、年間約7万コロニーが輸入されている状況にある。そのほかでナスとかイチゴについてもこの種が利用されているということでございます。
 それから、日本在来のマルハナバチ属が16種6亜種分布しておりまして、このうちセイヨウオオマルハナバチと外形的に類似しているというものについては、北海道東部に生息しておりますノサップマルハナバチというのがありまして、これらについては見分けることに注意が必要というふうにいわれております。
 そのほかの関連情報としまして、この種は1987年にベルギーにおいて飼育法が確立されておりまして、その後、各国で利用されておるわけですけれども、カナダとかアメリカ合衆国では輸入禁止の措置がとられているというところであります。それから、国内においては農家の方々の自己負担によりますネット、外に出ないようにネットを義務づける、あるいは使用済みの巣箱を処分する、それから、農協でその巣箱を回収すると。そういう仕組みが自主的に整えられていっている事例があるというふうに伺っております。
 3ページですけれども、もともとこの種の導入というのは花粉を媒介するということで、その施設栽培においての人の労力の軽減というのが主でありまして、もう一つはホルモン剤の代替ということで、大きな役割を果たしている。そういう側面がございます。一方、在来のマルハナバチ、例えばクロマルハナバチ等の増殖技術も確立しておりまして、もう現在では商品化も行われている。社会的にはそういう状況も一方であるということでございます。
 以上が文献等から得られるその情報及び評価内容でございます。

【土田座長】 これは輸入でよろしいですか。コロニー数が7万コロニー輸入となっているんですが。

【堀上補佐】 失礼しました。流通利用ということでございます。

【土田座長】 ただいまの説明に関し、委員の方から補足の説明等をお願いします。
 まず、影響状況について横山委員からお願いします。

【横山委員】 この定着実績と、それから生態系の被害に遭いました道央というのは恐らくちょっと誤認がありまして、どちらかというと恐らく道南ということになると思います。そちらでは、後ほど詳しくご説明させていただきますけども、確実に定着状況があります。それから、昨年度と今年度の調査を比較をするとエゾオオマルハナバチと本種がひょっとしたら置換をしているのかもしれないという事例が、数値で掲げてきておりますけども、これについては少し検討を慎重に行う必要があるんではないかというふうに考えております。
 あと、静岡で1996年春に女王が確認されているとありますけど、ここは野外越冬したものであるかどうかはきちんと確認されたものではないと思います。ただ、北海道のものは、状況から野外越冬のものだろうというふうに考えていいのではないかというふうに思います。
 では、すみません、お手元の資料に沿ってご説明させていただきます。2枚目、表紙めくっていただいて2枚目をごらんいただきたいんですけども、まず日本における野生化の経緯なんですけども、先ほどご説明がありましたが、92年に本格的な導入が開始され、96年に初めて自然巣が発見されました。それから98年に2例目が島根県、それから2002年に北海道平取で3例目の自然巣が発見されました。これまで、25という、先ほどご説明ありました25というのは2003年までの状況で、2004年に2県増えまして、27都道府県で野外での目撃・捕獲例が報告されております。
 3枚目をめくっていただきますと、その捕獲例の分布が示してございます。大部分の県では10頭未満の少ない数での報告例で、恐らくハウスとかの逸出であろうというふうに考えられますが、一部の県では100頭程度あるいは100頭以上、それから北海道では1,000頭以上という、非常にたくさんのハチが報告されていまして、特に北海道では野外定着が確実に上がりつつあるというふうに考えられます。
 次御覧いただきたいんですけども、これは北海道での確認例の推移なんですけども、2000年、2001年は、これは北海道の日高地方、これは門別町では継続して観察されているんですけども、それ以外のところでは点々と見つかっている程度だったんですけど、2002年になりまして門別町及び平取町での確認数が急増しております。それから2003年はさらにお隣の鵡川町での増加も確認され、それから道央で旭川周辺での大量発生が観察されるようになりました。
 続きまして、これが2004年の状況なんですけども、2004年になりますと道南のその継続発生をしておりました門別、平取、鵡川町はもちろんなんですけども、道央の旭川周辺、それから石狩低地帯の札幌市周辺、それから恵庭とかそのあたりですね。そのあたりでも発生が確認されるようになりました。それから、自然巣が旭川、それから恵庭、それから大野町、それから鵡川町で得られるようになりまして、定着が確実に進行している状況が見ていただけるかと思います。
 次めくっていただきたいんですけども、2004年の創始女王の捕獲・目撃状況と自然巣の発見例なんですけど、先ほど申し上げましたとおり、自然巣は旭川、恵庭、大野で鵡川町以外では新たに発見をされています。それから、新女王の、今までの北海道の目撃例というのは、夏場に例えば働きバチが見つかるとか雄バチが見つかるとか、そういった例が多かったんですけども、2004年に入ってからは新女王が各地で報告されるようになりました。特に、門別、平取、鵡川町は数が非常に多いんですけども、小清水町で比較的まとまった新女王が発生していることは特筆に価するんだと思います。
 次に御覧いただきたいんですが、これは北海道門別町における定点調査での捕獲数の経年推移なんですけども、2002年に入ってから急増している状況がごらんいただけるかと思います。このように、96年に初めて自然巣が確認されて定着が確認されたわけなんですけども、それからしばらくは低頻度で推移していたんですが、2002年、2003年になって捕獲数が急増しております。
 次御覧いただきたいんですが、次は門別町における2002年、2003年の月別の捕獲数の推移なんですけども、赤が女王バチ、黄色が働きバチ、オレンジが雄バチなんですけども、一般のマルハナバチと全く同じように春先に女王バチが出て、その後働きバチが出、秋になると雄バチが出るというような、非常に普通のマルハナバチの生活といえると思うんですけども、そういった発生状況をしております。このことからも定着して野生化しているということが確実にいえるのではないかというふうに思います。
 これまでが野生化の状況だったんでございますけども、その野生化に伴ってどういった生態リスクが考えられるかということが次の紙に書かせていただいたことなんですけども、想定される生態リスクは主に4つあると思います。1つは在来マルハナバチ類との競合関係。それから、マルハナバチが花粉を媒介している植物にそのセイヨウオオマルハナバチが訪花することによって悪影響があるのではないかということ。それから、外来生物が一緒に入ってくることによって、在来マルハナバチ類に悪影響を及ぼすのではないか。それから、在来マルハナバチとの交雑や繁殖撹乱。このような問題点がどの程度現実のものになっているかということについて、今得られている資料、データから考えてみたいと思います。
 次をめくっていただきたいんですけども、これは日高地方におけるマルハナバチ類の野外での活動時期なんですが、セイヨウオオマルハナバチはほかのマルハナバチに比べて非常に長い活動期間を持っています。春先もエゾコマルハナバチと同等かあるいはそれより早く目覚め、なおかつニセハイイロマルハナバチ、エゾトラマルハナバチのように北海道で最も遅くまで活動するマルハナバチと同じ時期まで活動を続けます。このことから、春先から秋遅くまで活動し続けますので、その期間、同じところで活動している在来のマルハナバチに継続的に影響を与える可能性が考えられます。
 次の資料を御覧ください。次は在来マルハナバチとの営巣場所をめぐる競争があるのではないのかということの事例なんですけども、これは国内で3例目の自然巣、北海道で発見されたものですけども、このとき発見された自然巣が野外でネズミの古巣が利用されたものの初めての事例でした。この後2003年に8例見つかっておりまして、また2004年にもさらに追加で見つかっているものがあるんですけども、それらすべて基本的にネズミの古巣が利用されておりまして、在来マルハナバチが利用する巣場所を使っている。こういったことから、在来マルハナバチが今まで独占して利用していた巣場所という資源をめぐって競争する可能性があるんではないかというふうに考えられます。
 次の資料は先ほどの置きかわりということがあるんじゃないかということに関連するんですけども、鵡川町におけるそのマルハナバチ各種の目撃数の割合を示したものです。2003年、2004年ともにセイヨウオオマルハナバチが鵡川町では最も多く観察されるマルハナバチになっておりまして、全体の6割以上を占めています。しかし、その2003年は63.7%だったんですけども、2004年には若干増えて68.5%になっています。非常に奇妙なことにエゾオオマルハナバチが似た割合で減少しておりまして、何か、この1年だけの結果で何か言うわけではないですけども、その競合関係を示唆する可能性があるのではないかというふうに考えられなくはないデータであったと思います。これは今後、継続して調査する必要があります。
 次の資料を御覧いただきたいんですが、これは在来マルハナバチと花をめぐる競争が起こるのではないかということに関する資料なんですけども、セイヨウオオマルハナバチが訪花することが観察された在来植物のリストです。このうち、緑色の字で書いてある部分が野外集団、野生状態での集団にセイヨウオオマルハナバチが訪花したことが観察されたものです。非常に多くの在来植物を利用するばかりではなくて、野生集団においての訪花も近年、非常にたくさん観察されるようになってまいりました。
 次の資料を御覧ください。これは、今年度鵡川町でとったデータなんですけども、マルハナバチ各種が利用する植物種に占める在来植物種の割合を示したものです。ここで御覧いただきたいのは、エゾトラマルハナバチは非常にたくさんの在来植物を利用するんですけども、その次に在来植物を利用しているのは、実はセイヨウオオマルハナバチであるということになっています。ですので、セイヨウオオマルハナバチは外来植物を中心に、今まで利用しているというふうに考えておりまして、我々もそういったデータを実際にとってきたんですけども、最近はセイヨウオオマルハナバチの利用植物がかなり在来植物の方にシフトしつつあることを示しているというふうに考えられます。
 次の資料をごらんください。これは在来マルハナバチ類と花資源をめぐって、どの程度競争が起こりそうかということを予測するために、両者の利用植物種がどの程度類似しているかということを示したものです。全部御覧いただく必要はないんですけども、縦のA、セイヨウと書いてあるところから、下の赤く下地をつけた部分を御覧いただきたいんですけども、これはBに書いたエゾオオマルハナバチ、エゾコマルハナバチ、エゾトラマルハナバチ、ニセハイイロマルハナバチの4種類の在来マルハナバチが利用する植物のうち、セイヨウオオマルハナバチも利用する植物の割合を示したものです。在来マルハナバチが利用する植物種の、大ざっぱに40%から70%はセイヨウオオマルハナバチも利用するということで、花資源をめぐる競争が起こる可能性を示唆するものであるというふうに考えています。
 次の資料なんですけども、実際に、それではどの程度お互いの利用パターンが重なっているかということを鵡川町の調査で解析を行いました。これは平面図にどういったその植物を利用したマルハナバチがどこにいたのかということをプロットしまして、同じメッシュ内、同じ調査期間内で同じ訪花植物を持っているものを同じニッチェとして解析したものです。
 次の資料をお願いします。ごらんください。実際の重なり合いの程度は、数字の高いほど、1に近いほど重なり合いが大きいということで示されます。2003年、2004年ともに、セイヨウオオマルハナバチがエゾオオマルハナバチとニセハイイロマルハナバチと非常に高い値を示していることがごらんいただけるかと思います。2004年の調査は在来マルハナバチも比較的高い値を示しているんですけども、それらと同等あるいはそれより高い値を示していることから、セイヨウと特にエゾオオマルハナバチ、ニセハイイロマルハナバチの2種類が非常にその利用資源等、生育場所や利用資源とが重なり合っているということを示しているというふうに考えられます。
 次の資料は盗蜜の事例なんですけども、マルハナバチ媒花が繁殖の悪影響で、最もその直接的な影響が懸念されるのが盗蜜なんですが、実際に門別、平取町ではここに挙げました植物で盗蜜が観察されております。特にエゾエンゴサクとクサフジでは野生集団での盗蜜が確認されました。それからベニバナインゲン、インゲンマメなどは、野菜というか栽培植物ですので、こういった農業被害ということも考えられます。写真はベニバナインゲンに盗蜜を行っているセイヨウオオマルハナバチと、それからセイヨウオオマルハナバチが開けた盗蜜痕がついているクロミノウグイスカグラの花の写真です。
 このほか、これちょっと時間の関係でざっと流させていただきますけども、今まではその上の2つ、マルハナバチ類の競争と、それからマルハナバチ媒花の繁殖への悪影響について考えられるリスクについてデータをお示ししましたけども、そのほか外来生物の随伴導入としては、マルハナバチポリプダニとNosema bombiは実際輸入されたコロニーから検出されていますし、マルハナバチポリプダニに関しては、輸入されたヨーロッパのポリプダニが実際に野外のマルハナバチから検出されるということがありまして、実際にダニの交換が在来のマルハナバチとセイヨウオオマルハナバチの間で起こっているということを示しています。それから、在来マルハナバチ類との交雑、繁殖撹乱に関してですけども、雑種形成が1例報告されているのと、それから異種間交尾によって発育不能な受精卵が形成されることがわかっておりますので、こういったことから実験的には異種間交尾が起こりますので、異種間交尾を起こすことによって繁殖撹乱を起こすということが十分考えられます。
 今までの資料をまとめさせていただきますと、少なくとも北海道ではセイヨウオオマルハナバチの定着は確実に起こっているというふうに考えられますので、特に在来マルハナバチ類と営巣場所、それからえさ資源をめぐる競合が強く憂慮される状況にあります。
 また、多くの在来植物をえさ資源として利用しておりますので、盗蜜を通じて直接、あるいは在来マルハナバチ類の衰退を通じて、間接的に在来植物の繁殖に影響を与える可能性が懸念されます。
 また、飼育コロニーからの逸出による随伴寄生生物の伝搬、それから異種間交尾による在来マルハナバチ類の繁殖の撹乱も十分懸念されるという状況にあるというふうに考えられます。
 以上です。

【土田座長】 どうもありがとうございました。
 次に利用状況について、光畑さんからお願いします。

【光畑氏】 私も着座させていただいたまま失礼します。最初のページをめくっていただきまして、まず先ほどご説明がありました1987年にベルギーの方でマルハナバチの増殖技術が確立したというところは同じでございますが、マルハナバチの人間による利用の歴史から申し上げますと、それよりさかのぼること約100年前ですね。1800年の後半になりますが、チャールズダーウィンの種の起源で、牧草の受粉がマルハナバチによって非常に効果的に行われるということが書かれておりまして、それに基づいてニュージーランドにイギリスからマルハナバチが4種類ほど導入された。それによって牧草の繁殖がよくなり、現在のニュージーランドの牧畜国家といいましょうか、あれだけの産業が発達したという経緯が一番最初でございます。1987年に人為的に、これは温度、湿度を管理した人工的な部屋ですね。ミツバチの用法と違いまして、完全に閉鎖系の室内で増殖をするということに成功して、91年、日本に初めて入ってきた年には、もうオランダでは100%のトマト生産者が利用をしているという経緯がございます。91年に静岡県の方で試験導入された後、ここで有用であるということがわかった後、本格的に企業が参入をしていくという経緯がございます。先ほどのオランダ、ベルギー、ノルウェー等からという、輸入されるというお話がありましたが、私の記憶だとノルウェーというのはちょっと覚えていないんですが、これは後ほど池田先生の方でもしご記憶があるようであれば補足いただければと思います。それ以外にオランダ、ベルギー以外からですとイギリス、それからニュージーランド。からコロニーが輸入されております。ただ、現在はニュージーランドからの輸入は止まっておりますので、オランダ、ベルギー、それからイギリス、それ以外に国内でセイヨウオオマルハナバチを増殖されている企業さんがございます。一番初めに、1992年ですね。アピ株式会社さんが国内増殖を始められております。その後、ここで2ページ目に書かせていただいているものは私どもで構成しておるマルハナバチ普及会に属している、加盟している会社のものだけを書かせていただきましたが、これ以外にも途中で参入をして撤退されたりというような企業さんもございます。
 それから、あと、先ほど在来種のマルハナバチの開発等のお話もありましたので補足させていただきますと、1997年に農林水産省の先端技術開発補助事業ということで、アピさんと、それから東海物産さん、それから私どもでトーメン(アリスタの前身)の3社で在来種のマルハナバチを3年間にわたって開発に係る基礎研究ということを実施したことがございます。
 そのマルハナバチが導入される以前でございますけれども、次のページをめくっていただきまして、マルハナバチが導入される以前、現在利用されているトマトであるとかナスの受粉作業はどのようなことが行われていたかと申し上げますと、日本では写真のようなトマトトーンであるとかトマトランであるとか、植物調整剤を花に直接噴霧をいたしまして、これは全面散布という処理はできませんで、花を1つずつつまんで、写真のように散布をしていかなければ着花しないという、非常に労力のかかる作業をされておりました。
 この技術が開発されたヨーロッパではどのような作業がされていたかと申しますと、バイブレーターですね。振動受粉機と呼ばれるもので、やはり花、一花一花ではありませんが、花の花房ごとを振動受粉機、非常に小さな機械を近づけて振動させて受粉をさせていたと。これも非常に労力のかかる作業だったと。聞くところによりますと、1ヘクタール当たり、雇用等の費用も含めまして200万円程度のコストがかかっておる、その受粉作業だけでですね。欧米の方ですけれども受粉作業だけで200万円程度のコストがかかっておったということも聞いております。日本でも同じようなその労力のかかるホルモン処理と、一般的に私ども呼んでおりますが、ホルモン処理の代替剤、省力化技術としてマルハナバチが導入されました。省力の効果推定でございますが、左端、3ページ目の左端に書かせていただいておるとおり、ナス栽培、トマト栽培で合計しますと、全国規模で120億円を超える省力化が期待されるということが推定値で出ております。
 その次のページをめくっていただきますと、その省力化以外に、それ以外にもマルハナバチの利用効果というのが副次的に日本では出てまいりまして、まず減農薬ということが挙げられます。これまで施設の中では作物以外はそのほかの生命の息吹を感じないというほどというと極端かもしれませんが、殺虫剤、殺菌剤を散布して栽培をしておったのが、マルハナバチを人為的に導入することによって、マルハナバチを殺してしまうような強い殺虫剤は散布できないということになります。ですから、マルハナバチを殺さないような選択性の高い殺虫剤を散布する、もしくは散布回数を極端に減らすということで、減農薬を実現するというか、必然的な減農薬になるということが申し上げられます。マルハナバチを導入することによって減ってしまった農薬の肩がわりとして、最近では天敵昆虫であるとか微生物殺虫剤であるとか、殺菌剤と呼ばれるような生物農薬と一般的に呼ばれるものが導入されて、特別栽培であるとか有機農産物の生産などに役に立っておると。ですから、マルハナバチを導入することがこういった特別栽培の牽引役を担っているという効果もございます。また、一般消費者の中にはマルハナバチの存在も十分把握されている方が最近はふえてきまして、トマトの袋であるとかナスの袋、パックなんかに表示してあると、そのマークがついているものから、スーパーの山の中からとっていかれるというような光景も見られるということでございます。
 その次に高品質、これは後ほど詳しくご説明したいと思いますが、これまで植物調整剤を使うと、種が自然の工程の着花という工程を、受粉という工程を経ませんので、種ができません。トマトの種の栄養剤、保護剤であるゼリーの部分が、種ができませんので充実をしない。もちろん、その中に含まれている栄養素の部分も多少、栄養素の含有量が減るということがありましたが、マルハナバチを使いますと自然受粉という、一般的にそういう呼び方をしておりますが、自然受粉という形になりますので、雌しべの先端に花粉がついて結実という形になります。種ができることによってゼリーの部分が充実し、その中に含まれるビタミンCであるとか糖度が上昇することも報告されております。
 それから先ほど申し上げました省力化。省力化によって経営面積が広がるということで、例えば北海道なんかでは減反政策によって少し休ませていた田んぼ等にハウスを建てて、トマトの栽培面積をふやして経営面積をふやす。それから流通量がふえれば、当然トマトの流通単価が下がるというような効果も期待できるということでございます。
 その次のページが少し詳しくご説明をさせていただいたものですが、マルハナバチの受粉方法の違いによるトマトの空洞果の発生比率ということになりますが、ホルモン処理、これはちょっと極端な例かもしれませんが、マルハナバチで受粉しますと空洞果がほとんど発生が見られないということになりまして、充実した形のよいトマトができるということになります。それから、その下はナスでございますが、トマトの話が専らですので、ナスの方でもこういった省力化が期待できるということを1つ書かせていただいております。
 そのような効果がありまして、マルハナバチ、現在取り扱っている企業は合計で9社になっております。それだけ需要が伸びているということがいえると思います。その9社のうち、現在取り扱っている9社のうち上位6社でマルハナバチ普及会というものを構成しておりまして、その主な活動が下に書かせていただいているとおりでございます。主に最近ではこういった環境の問題から利用時のネット展張の推進、それから生産者の方が使い終わられた巣箱の適正処理の推進活動に力を入れておりまして、資料の配布、もしくは説明会等で啓蒙活動をさせていただいております。
 その次のページをめくっていただきますと、これがマルハナバチの現在の流通量の推移でございます。1992年に本格的な導入が始まりまして、2003年に、昨年では6万9,744ケース、群というような言い方ができましょうか。これだけの量が毎年、2002年までで6,000群余りの箱が毎年平均でふえているということになります。これはマルハナバチの額にしますと1億円以上の市場規模の拡大ということになりまして、昨今の農業資材の中では非常に特筆すべき資材になっております。
 その次のページでございますが、そのマルハナバチの流通数量を、年間ではなくてこれは月別に見たものです。月別に見ても1月から12月まで、マルハナバチが使われていない時期はございません。特に書かせていただいたのが夏秋トマト産地で、特に在来種のマルハナバチの生活環とオーバーラップする部分、ここが一番環境保全、環境影響という部分では、ここから暴露したマルハナバチが環境影響を与える可能性が非常に高いのではないかということが考えられましたので、ここだけ丸でくくらせていただいております。特に先ほどから、横山先生の方からお話があった北海道に関しては4,170群が日本の流通の全体の7%に当たるものが使われております。
 その次のページ、これはトマトの作付面積、今、日本でどれくらいのトマトがつくられているのかということと、それから季節分け。トマトの栽培は大きく分けますと春秋と、それから夏、秋ですね。それから冬、春先に分けられます。北から南まで、その地域の気候に合わせたトマト栽培が行われておりまして、ほぼ1年じゅうマルハナバチが施設の中で使われているということになります。
 特に、先ほど生活環がオーバーラップしている部分、夏秋の産地と呼ばれる部分に関しては、その次のページをめくっていただきますと、産地の中では独自の取り組みということで、生産者の部会員に全員ネットを張らせて、セイヨウオオマルハナバチの曝露を防ぐということを、独自の取り組みとしてされているところもありますし、私どももこういったところを視察して、こういった現状を他産地ですね。まだ取り組まれていない他産地に啓蒙活動をするというようなこと。それから、生産者の方と常にコンタクトをとってアイデアをとりながら、その下の図でございますが、ネットにはこういう張り方ができますよとか、こうやれば簡便ですよというようなことを、啓蒙活動をさせていただいております。
 その次のページ、最後でございますが、ただ、やはり、じゃあこれまでなぜネットを張らなかったのかということでございますが、デメリットとしては経営面積が少しずつ生産者の方も広がってきていますので、ネットを張るというコストが非常にかかるということがございます。それから、一番大きな問題としては、やはり何かを張るということは風通しが悪くなるということがございますので、風通しが悪くなって温度と湿度がやはりハウスの中は上昇します。特に湿度がこもりますと病気の発生が多くなりまして、例えば殺菌剤の散布回数を増やさなければいけないというようなことも報告されております。ですからこの辺、これからマルハナバチが指定されるに当たって非常に注意深く対応していかなければいけない部分ではないかというふうに考えておりまして、こちらの方はお願い方々、今後ご検討いただければというふうに思っています。
 以上でございます。

【土田座長】 ただいまの説明につきまして、ご意見、ご質問がありましたらご発言をお願いします。
 私の方からそれでは事実確認だけをまず最初にさせていただきたいんですけど、これ静岡での野外越冬ですが、これは横山先生の話によると、さっきちらっと出ましたよね。

【横山委員】 女王がとれていることは事実です。越冬女王かどうかというのはちょっと判別がつかないんですけれども、静岡、低頻度ですけども、毎年得られていますので、門別で低頻度で得られていた状態を今我々は見ているのかもしれませんし、それは経年調査が必要だと思います。

【土田座長】 それと簡単なところだけの確認ですが、これノルウェーからの輸入ですね。池田先生、何か。

【池田委員】 ちょっとこれはないです、あまり。

【土田座長】 そのほか何かございますか。どうぞご自由に。

【池田委員】 ちょっと、会議の進行の流れがちょっと読めないんですが、今、ご説明をいただいた資料がありますね。この資料、それから横山先生。それからマルハナバチ普及会の方からね。これの内容について細々と質問して確認をする時間がありますか。いいですか。

【土田座長】 多分大丈夫だと思います。

【池田委員】 わかりました。余りその枝葉末節的なところではなくて、皆さんそれぞれのデータは出してあるから数値にとらわれることはないんだけど、ちょっとやっぱりこういう会議のときには用語の適切な表現というのが重要じゃないかと思うんですよね。ですから、ひとつその辺のところをお互いに気をつけて話してみたいと思います。
 まず、その用語のことについて、先ほどからちょっと気になってきているのが、横山先生が野生化と定着のお話をしていますが、ちょっと何か混乱して話されてたところが一部ございますね。ですから、野生化と定着というのは、これは違っておりますので、その辺の解釈をちゃんとしっかりしてお話をしていただいたり、あるいはお聞きしたらいいかなと思います。
 それであと、ここの数字がずっと出てきまして、数字というのは出たものの数字ですので、反対意見等のところの数字というのが出ていないから、それでこの資料の中に多分入っていないと思うんですよね。ですから、それはそれでしようがないと思うんですが、その辺のバックの、もうちょっとこれの反論する、本当かいなと、簡単に言えば。そういう事実もあるということもお含みおきいただきたいと思います。
 私ちょっと気になったのが、今、土田先生のお話の中で1996年に静岡で、資料2のところにありますが、女王による野外越冬が初めて確認されたと。「確認」という言葉がちょっと非常に気になるんですが、何か不安定要素があるとこれは「採集」という言葉とした方がいいんじゃないかと思うんですがね。越冬女王というのをどういうふうにして確認するのかということがありますよね。しかもこれ、静岡、地理的なところで本当に正確にくまなく現地調査されているかわかりませんが、かなり、何ていうんですかね、余りにも狭くて本当はメーカーさんの方でははっきりは売っていないと思うんですが、友達からもらったとか借りてきたとかといって、自分の本当に小さなハウスで使っている人もいるんですよ。そんなのはだめじゃないのと言ったら、いやこれどうせだめになったやつだから、古いもんでもらってきて試しにやってみたとか言って、家庭菜園の10平米とか20平米というようなところでもらってきてやっているのがありますから、流通されているのが必ず農家というわけにいかなくて、その古巣がまた、一般の家庭菜園ですからと、そういうふうな事例もあります。ですから、ここの地域の、静岡で発見されたところは私も現場を見ていませんが、本当にその近所にハウスはなかったのかあったのかということの、もっと確認とですね。これらのこともされていないような感じがするので、言葉は引っかかりますが、こういうときには採集されたと言った方がお互いに無難じゃないかというふうに思います。
 北海道の事例は、それはしっかりした調査がされて継続して発見されたようですから、確認という言葉もいいんじゃないかなという気がいたします。とりあえず。

【土田座長】 そのほか何か、池田先生、何か反対の数字等はございましたら、どの点が気になるのか、ぜひご指摘ください。

【池田委員】 いや、反対の数字はないですよね。こういう問題というのは何でもそうなんですが、外来種についてどうなったかというのはほとんどないと思うんですよ。こういう問題があって初めて調査をされたはずですから、私が専門の方が農業の方の侵入害虫対策をやっているんですが、それの見地的な、数年間の補助金を出したり、あるいは防除対策を徹底するという指導のときに発生面積がどれぐらいかということになりますが、そのほかのことについてはもう途中で終わっちゃっていますから、現時点では、うちは農業害虫の中でその外来生物、侵入に関してはいっぱいいますが、実態がどうなっているかはちょっとわからない。そういうデータがないんですよね。ですから、ほとんどこういう、何かうまい、この反論的な数字というのをどこでも持ち合わせがないと思うんですよね。ましてやこのように全国的な規模でやられるというのは、相当の予算とかチームをつくらない限りできないわけですから、私はそういうデータを持っていませんし、そのことでディスカッションしようとも思っていません。

【土田座長】 そのほか何かご質問、ご意見ございますか。

【池田委員】 すみません。何もないようですので、私の方からちょっと質問させていただきます。横山先生の、北海道で、ちょっと私も興味がちょっとあって、私には興味があった。私が興味があったのは先生の16ページのところ、セイヨウオオマルハナバチと在来種マルハナバチ類の空間分布と資源利用パターンの重なり合いの解析ということがあるんですが、簡単なことを言うと、これは現場の方かもわかりませんが、花のあるところにはこの4種が集中して来ていると思うんですよね。ないところというのは、これは要するに植物の花が全くないというふうに解釈していいですか。例えば農地の水田になっているとか畑になっているということで。

【横山委員】 そうですね。利用可能な植物はないというふうに解釈していただいていいと思います。

【池田委員】 ないということでいいですか。
 私1人ばかりしゃべっているんですが、私、こういうデータを出されるときには、私が欲しいのは単位面積当たりに花の量がどれぐらいあるか。推定でもいいから、例えば花粉量が平米当たり何グラムあるとか、最大ね。最大時期に。あるいは盗蜜量としてどれぐらいあるか。そういうデータの中で、こういう訪花昆虫がどのように生息をしているのかというのが非常に大事なんだと思うんですね。難しいんだけど、それをやっぱりやっておかないと、基盤はえさですよね。私も農業害虫ずっとやってきましたが、農業害虫というのは作物なんですね。だから作物が1ヘクタールの中に加害対象となるえさが何キロあると、何トンあると。そういう考えでやっていますので、やっぱりこの場合は、そういう一番大事なことはそこに一番基盤になるところの資源というのがどういうふうになっているのかなと、それが非常に興味があるんですが、その辺のご研究とか調査はされておりますか。

【横山委員】 ありがとうございます。今年度、実は推定にちょっと失敗してしまいまして、余りいいデータが出なかったんですけども、資源量のその正確な把握というのは私たちも非常に大事だと思っていますので、これは現在経年調査をしておりますので、ぜひ来年度以降、きちんとしたデータをお示しできるように、この会議では遅いんですけども、それは我々も非常に重要な問題というふうに考えております。

【五箇委員】 池田先生の方からも幾つかご指摘があったと思うんですが、実際に、要するに数値データですね。そういった細かいところも含めて検討が必要だとは思うんですが、何分短い会議の中での話ということで、横山さんの方にもこのような形でレビューという形でまとめていただいているというふうには理解しております。この前の昆虫の方の分科会の方でも意見出したんですが、要は何をもって科学データとするかというところですね。どこまでをオーソライズされているという線引きにするかというところで、こういう問題というのはすごくやっぱり、議論が集中してしまうところだと思うんですけれども、要はこういった調査データですね。こういったものがどの程度、要するに科学的に信頼し得るかどうかというのは、結局のところは科学論文として評価されなきゃならないところもあって、現実はやっぱりそれがちょっと追いついていないというのが実際のところです。1つ理由としては野生化というか、急激に野外での捕獲数がふえているのもここ数年の話であるということと、調査がスタートし始めたばかりであるということ。それから、調査人員が非常に限られているということもあって、現時点ではやっぱり、その限られたデータの中でどう評価するかということになってくるというふうに考えています。そういった意味では、現時点で数がふえているということは間違いないであろうということ。そんな中で海外の事例も含めてこのハチが今後日本の野外、生態系及び在来のマルハナバチそのものにどういう影響を及ぼし得るかというのを、この検討会で少し議論を重ねていただかなくてはならないだろうというふうに思いますので、ちょっとその辺のあたりで少しご意見を、各方面から出していただければと思います。

【土田座長】 ではちょっと、問題を区切りながらやっていきましょうかね。まず定着の問題。定着というか、まず横山先生のレジュメに従って確認作業を一つ一つしながら進めていった方がわかりやすくていいんではないかと思いますので、まずこの目撃・採集頭数と、まあそのあたりから確認作業を進めていきたいと思いますが、これ3枚目のスライドと申しましょうか、レジュメなんですけど、これは女王バチと考えてよろしいんですか。それともそういうのを全部ひっくるめた。

【横山委員】 これは全部ひっくるめてですので、女王バチでないものもたくさんあります。

【土田座長】 これと、その施設の、特に。

【横山委員】 限定せずに、これは保全生態学研究会に寄せられた情報をもとに作成しておりまして、とにかくどんな形態であれ、野外で見つかったものに関して集計したものです。

【土田座長】 つまり、ボランティア的なものも入っていると。

【横山委員】 そうですね。

【土田座長】 次のページに行きますと、これ2000年に何か、どこですか。右上のところに青い点が1個だけあるんですけれど、これは知床の方ですか。

【横山委員】 そうですね。

【土田座長】 これは何かアクシデンタルなものは、何なんでしょう。こんな細かい点気にする必要ないのかもしれないですけど。

【横山委員】 多分、ちょっと私も報告データしか見ていないので正確なことはよくわからないんですけども、多分アクシデンタルな種があったんじゃないかな。その後、記録がありませんので、もちろんその調査と、先ほど五箇先生おっしゃられたように、調査が追いついていないので、その後の確認ということを結局個々のデータについては行えていないのが現状ですので、現在どうなっているかということははっきりわからないところもあるんですけども、ここに関してはアクシデンタルだったのかなというふうに個人的には考えております。

【土田座長】 それと、2003年、これ旭川周辺に、この鵡川とか平取の方は、多分これはトマトハウスの影響がかなり多く出ていると思うんですが、これ旭川のあたりですか。

【横山委員】 そうですね。旭川周辺もトマト産地としては比較的大きな産地であるというふうに私たちは……。

【土田座長】 その辺、メーカーさんの方で、もしその導入実態とそういう、いわゆる目撃数が比例しているようなことはあるんでしょうかね。

【光畑委員】 そうですね、道内でトマトを栽培している大きな産地、1番は先ほどから出ている道南地域なんですが、それ以外に函館、渡島大野の管内と、それから旭川、特にこれは美瑛のあたりになります。旭川より少し南に下ったところになりますが、美瑛というところが非常に大きな産地。それから、4番目が静内ですね。さらにその道南もさらに下に下ったところが大きな産地になりますので、それ以外、ぽつぽつと小さな産地があるんですが、特にこの4つがマルハナバチを導入する量でいいますと、100の単位をある程度超えてくる産地ではないかというふうに思います。ですから、そういう意味では旭川で見つかったということは、この美瑛という産地の影響があるんではないかなというふうに。道南のものが移動していってということはちょっと考えにくいんじゃないかなとちょっと思いますけども。

【土田座長】 そうすると、函館近辺には全くこれ、まだ確認されていないのはあるんですか。

【横山委員】 2004年の図を見ていただきたいんですけども、大野町で巣が1つ今年発見されました。ちょっと色を変えてあるんで申しわけないんですけども、ピンク色で色をつけてあるところは個体の目撃情報ではなくて、巣の発見情報が寄せられたもので、大野町では今年1つ巣が見つかっております。

【土田座長】 これは今までそれほど目撃がなくても自然巣がぷっと出たということは、やっぱりそれは調査的に追いついていなくてということが。

【横山委員】 そうですね、できるだけことしは山地を回るようにして、現状把握に努めているつもりではあったんですけども、やはりいろいろと時間的な事情もあって、渡島の方までなかなか手が回らなかったものですから、多分出ているだろうなというふうに個人的には感触として思っていたんですけども、実際大野で巣が見つかりましたので、恐らく行けば確実にとれるものではないかなというふうに思っております。

【五箇委員】 このセイヨウオオマルハナバチの分布に関して、地図を幾つか並べていただいていますけども、これは質問というよりも意見として、実際のところ、これセイヨウオオマルハナバチの分布だけが記されているということですから、在来種そのものがここの地図に載せたときどういう分布になっているかということですよね。いわゆる在来種のデータベース、分布データそのものも重ね合わせてやっぱり検討しないと、今後分布の重なりとか影響拡大という部分に関しての評価は難しいだろうということから、今後の調査評価項目としてその外来種の分布のみならず、やっぱり在来種も含めて分布地図というものはモニタリングしていく必要があるんじゃないかなというふうに考えられます。

【土田座長】 在来種についてはほとんど何も知見がないといってもいいんですが、何かございますか、小野先生。

【池田委員】 ないんだよね。

【横山委員】 今回、2004年の調査を行うときには、できるだけ留意して、マルハナの調査を行うところに関してはそのセイヨウのモニタリングをするんだけども、在来のそのカウントも行うというふうにしております。ですので、その辺のこともあわせながら、今後解析が進められるかなというふうに思っています。

【土田座長】 それから、野外の巣の発見例ですね。どういった状況か、個別にちょっと紹介していただけませんか。例えばネズミの巣穴、全部そういう状況だったのか、それとも全く違う状況だったのか、その説明をお願いいたします。

【横山委員】 恵庭と大野に関しては民家の下の、一番最初に門別で見つかったのと同じように民家の下から、縁の下のところから出てきたものです。旭川のものは河畔林の中に、ちょうど木の下に、やっぱりネズミの古巣があってそこにつくられていたもので、ちょっと環境としては今まで見つかっていた巣とは異なる。今まで見つかった巣というのはどちらかというと水田の端ですとか、水道沿いのネズミの古巣を利用した、割にオープンなところを使っていたものが多かったんですけども、旭川のものに関しては河畔林の中に巣をかけていたという事例で、ちょっと環境的には異なったところにつけていたものというふうに考えています。

【土田座長】 もう一例どこでしたっけ。ちょっと離れたところで、どこでしたっけ。島根の状況はわかりますでしょうか。

【横山委員】 島根はビニールハウスの中につくったものだというふうに、私は伺っておりますけども。

【五箇委員】 たしか島根での営巣例というのは、ハウスの中でちっこい巣ができかかっていたと。何か積み上げの、いわゆるわらごみの間の方にできていたと。それですぐ、見つかってすぐ処分されちゃったということで、つくりかけの巣が1個だけハウス内にできていたという事例だけですよね、それは。

【土田座長】 そのほか何か定着というか野生化というか、定着、採集に関して何かご質問等がありましたらお受けしますが。

【小野委員】 (これまでセイヨウオオマルハナバチの)自然巣が(日本で)幾つか見つかっています。私も1996年の、一番最初の野生化したコロニーを採集をするときに立ち会う機会がありました。まず、野生化し、そして、もしかしたら定着というような形を考えていくときに、その野生の巣から新女王バチとか雄バチといった生殖能力を持つハチが非常にタイミングよく生産されるということも必要になってくると思います。私の観察したものですと雄と新女王が幾つか育てられているのが確認されました。横山先生の方はどうですか。

【横山委員】 2003年に採集したものに関しては、かなり、既に巣箱越しにログになっていますけども、大体、新女王が平均すると100頭程度、各巣から放出される、あるいは放出される準備が整っている。繭の中にほぼでき上がっていて、あとは羽化を待つだけの女王があるような状態になっていて、非常によく発達して、なおかつかなり大量の繁殖母体を十分生産している状態にあったというふうに判断しておりますので、経年的に恐らく生活史をきちんと全うできるような状態に今あるんじゃないかなというふうに考えております。

【土田座長】 この点は池田先生、よろしいですか。

【池田委員】 今現在、セイヨウオオマルハナバチが生息しているところというと、地図で書くと行政区でもって、1匹でも全市、全部こういうのが挙げられることになっちゃっていますが、それはそれで結構なんですが、やっぱり調査している場所であるとか、あるいは現在いるのがどういう環境で発生しているのか。その辺のところ、やっぱり区明示を明記しておいた方がいいんじゃないかと思うんですね。一般の方ですと、恐らく雑木林を含めて全部というふうな解釈になって、在来種のマルハナがいれば当然そこに必ずセイヨウもいるというふうに曲解する人もおられますから、やはりこのデータを出されるときに、すみませんがそういうところをちょっと補足的に説明をしておいていただきたい。これは思います。

【横山委員】 ありがとうございます。確実に野生化ないしは定着をしているというふうに考えられる部分というのは北海道なんですけども、その北海道に関しては最もたくさんの個体が発見される門別、平取、鵡川町、それから旭川ともに水田やその耕作地を中心とした開けた環境ないしは川があって、その河原にやっぱり多くの環境が非常に広がっていると、そういったところが定着というか、野生化というか定着をしている環境になると思います。ですので、自然な環境というよりは、どちらかというとかなり人手の加わった環境であるということはいえると思います。

【五箇委員】 今の池田さんのご意見の多分趣旨というか、要はこの調査マップそのものは全道調査して得られたデータではないであろうということですよね。調査した範囲の中でここが見つかったということだけだろうと思いますので、わかりやすく見せるのであれば調査したのはこことこことここで、そのうち見つかったのはここであるというような、地図の上でのパーセンタル表示も必要になるだろうということです。反面、だから先ほども言ったように在来種の調査も含めてですと、かなり北海道に限定したとしても、かなり広い範囲でモニタリング調査は今後やっぱりやらないと、正確な評価というのはなかなか難しいだろうなという気はします。
 ちょっといろいろ議論が細かなところ分散しておりますけども、先ほど言いましたようにここ1、2年の中で非常に数が増えているという状況もありますから、調査もこれからどんどんしなきゃいけないし、追いついていないという状況もある中で、先ほども言いましたように、今後どのようなことが考えられるかということに議論は持っていった方がいいだろうということで、要はこの場合、マルハナバチに関してはかつてセイヨウミツバチでも若干議論がありましたが、セイヨウミツバチも非常に長らく利用されているハチですけれども、現実には野生化しているわけではないと。すなわち日本の自然生態の中には彼らは入り込めない。それは天敵が、ミツバチヘキイタダニとかオオスズメバチという天敵がいるがゆえに日本の天然林には入れないということで、一般の生態学者にもそれは広く受け入れられているわけですが、要はこのセイヨウオオマルハナバチについても今見つかっている範囲が果たして野生化とみなせるかどうかということ。それから、今後野生化し得るかどうかという点に関して、今ある生態パラメータなり野外調査データから類推するということが必要であろうと。その辺に関して少し、実際に農業場面の方からの意見と、生態学調査の場面からのご意見等、あわせてもらった方がよろしいかなという気がします。

【土田座長】 これは各委員に聞いた方がよろしいですかね。野生化し得るかどうか。

【五箇委員】 できれば海外の事例も含めて、少し。

【土田座長】 海外の事例と、野生化している地点というのは日本には、現状、今この会議でそれを判定しようと半分しているわけですから、海外の事例を少し紹介していただきたいんですが、どなたに。横山先生、大丈夫ですか。イスラエルともう一個どこでしたっけ。

【横山委員】 イスラエルのタメル山というところでは定着の事例は、イスラエルにいるそのセイヨウオオマルハナバチが、ただ、イスラエルの場合、日本と状況が恐らく違っていると思いますけども、恐らく天然分布域から既に分布を広げてきたものだろうというふうに考えられますので、今回のような輸入で入ってきたものとちょっと違うと思うんですけども、1970年代にそのタメル山というところに定着するようになって、そこから数がふえていって、セイヨウミツバチを含む、それまでタメル山にいたハナバチ、セイヨウミツバチ以外は全部単独性のハナバチなんですけども、それらの個体数がセイヨウマルハナバチの個体数の増加と呼応するような形で減少しているというような報告があります。それから、特定植物に関してはセイヨウオオマルハナバチの方が早く、密集活動の中で早く活動し始めるので、先に餌資源を占めてしまって、在来のハナバチがうまく餌がとれなかったんじゃないかというような推測がなされています。そういうふうに言われているのか、実際確認は必要かもしれませんけども。あとタスマニアではかなり定着が進行していて、実際に保護地のかなり自然環境の、よく保全された地域にもハチが飛来して訪花している、在来植物にも訪花しているということが事例として報告されています。それが具体的にどれくらい在来のハナバチ層に影響を与えるケースか、あるいは植物の繁殖に影響を与えているかということに関してはもう少し調査が必要だと思いますけども。

【五箇委員】 今のお話にちょっと補足しておきます。一応、手元にアモッツ・ダフニというイスラエルの研究者がまとめたレビューもありまして、そこに、先ほど出ましたイスラエルのマウントキャメルの分布拡大については、実際には1990年代に入ってからイスラエルの方も商業利用をしております。その商品コロニーからの逸出によって増えているんじゃないかという考えで調査されておりまして、ただ背景に山火事があって、そこで裸地になったところに入り込んでいるということも指摘されております。あと、そのほか実際にその商業利用して、その中で分布、定着というか野外で見え始めているといわれている国がニュージーランド、それからタスマニア、そして日本とイスラエルとなっております。それ以外に実際に導入している国はほかにもたくさんありまして、チュニジアやチリ、韓国、南アフリカ、ウルグアイ、アルゼンチン、メキシコ、中国、トルコ、オーストラリア、ヨルダン、それからモロッコ、台湾、イスラエル、ポーランドといった多くの国で今、既に導入がされる、あるいはされた経緯があると。その中で一応、もう既に野外で確実に定着しているのはニュージーランドとタスマニアとされております。イスラエルに関しては、難しいのは今横山さんからおっしゃられたような、実はここ自然分布もしておりまして、商業利用で増えたものなのか、それとも自然分布拡大によって増えたものなのかの区別がなかなかつかないというところもあるということです。ただ、今も説明ありましたようにイスラエルのそのダフニらのグループがまとめた調査によれば、セイヨウミツバチすらも凌駕するぐらいの採餌能力があるというふうな結論を、彼らはイスラエルで出しているということです。

【土田座長】 何かニュージーランドとタスマニアに関して、何かもっと詳しい知見はないでしょうか。

【五箇委員】 ニュージーランドに関しては先ほど光畑さんの方からもちらっとありましたけど、入れたのはもう相当古い時代ですね。1800年代にダーウィンの提唱のもとに導入して、細かい記録をいえば10回ぐらい導入して定着させようということでやった結果、定着に成功しまして、セイヨウオオマルハナバチは今、野外で普通に生息していると。実際、導入されたのはほか4種類ほどありまして、それらがすべて一応定着している。その中でも特に優先種になっているのがセイヨウオオマルハナバチということになっています。タスマニアの方はそこから意図的と思われる導入があったらしく、それが野生化して非常に速い速度で分布拡大して、今、かなり広い範囲で野外で見られるようになっているということです。それによる生態影響に関してもいろいろ議論はされているんですが、実際日本とちょっと状況が違うのは、導入された経緯からいっても、要するにその現地に在来のマルハナバチがいないということで、その生物間相互作用という部分での評価というのは非常に、日本の場合とはまた状況が異なるということです。ただ、オーストラリアの方でも、実はオーストラリア本土でも導入を検討しているという背景もありまして、そういったタスマニア、ニュージーランドにおける生態影響というものは細かくレポートもされているんですが、結論から言えばすべてunknownですね。評価できないという、まだ状況にあるということです。したがって、実際問題、日本における評価が、多分世界で一番早い評価になってしまうであろうと考えられるところですね。

【土田座長】 そうすると、野生化し得る形の問題に関して、ちょっと今のところでは簡単には答えられないということは現状かと思われますが。

【池田委員】 野生化というんですか。野生化という言葉を。先ほど、これ野生化と定着ということについては、私、使い分けて話した方がいいというふうに提案しましたが、外来種のハンドブックが出ましたね。あの中では生態学会の方で定義しているのは、野生化の次に定着ですよ。だけど、その中にもう一つ議論があって、それが表に出ていないんですが、同じ外来種ハンドブックの中に桐谷先生が書かれています。桐谷さん、前回のこの委員会のメンバーに入っていますが、先生は導入をして、そして野生化ですね。野生化をして、そして定着をして分布拡大で土着という言葉を使っている。土着。ですから定着は一時的であって、それがさらに長い期間かかって、ずっと安定して世代を繰り返したと。それが土着と。要するに土着化が問題であるというようなことで入っています。ですが、生態学会の方ではそこのところ触れていないから、定義として書いてあるのはやっぱり野生化、定着ですから、外へ出て、一般の人が、今度のデータですが、採集されていればこれ野生化でいいと思うんですよ。ハウスの隣でとったのでなければね。だから、それは野生化でいいと思うんですが、それからさらに継続して何年間も安定して、その個体群が維持できる年が、維持していると。そのときを定着というわけですから、今いうなれば定着のおそれということですね。現時点ではすべて定着のおそれ、おそれという言葉になってくると思うんですよね。定着としては私は断言はできないんじゃないかと思うんですね。ですから、ミツバチの方も話に出ましたが、野生化をしているわけですね。だけど定着はしていないというふうな、そういう見解。ちょっとこれはいろいろと議論の余地がありますが。ですから、このところでそういうふうなことでお話を進めさせてもらった方がいいんじゃないか。どうですかね。

【土田座長】 つまり土着化ということ。

【池田委員】 だから、定着と野生化が先ほどからちょっと言葉として混乱しているんだけど、野生化というのは一時的にそこで見つかっているとか生息していると。定着というのはなお多くの時間が、継続した時間が必要だというふうな話で、それは生態学会でちゃんと提起して、ハンドブックの一番初めに出ていますから。

【五箇委員】 言葉の定義そのものは生態学会で言っているからオーソライズされているというものでもないと思うんですよね。

【池田委員】 だからどっかで決めないと。

【五箇委員】 言葉の定義そのものは決めなきゃいけないと思いますし、むしろこの法律で特に問題になるのは、たとえ定着して土着になるにしろ、いるだけで何もなければそれは侵略的ではないわけですよ。だから問題となるのはまさに国際条約にも出てくる言葉であるインベイシブルかどうかを議論しなきゃならないということですよね。インベイシブル・エイリアンであるのか、ただのエイリアンなのかという問題だと思うんですよ。ここで、やっぱり議論すべきは、今は実際どんどん目撃例がふえている。これを分布拡大とみなすかどうか。さらにその分布拡大によってそこにいる生き物及び生態系に対してインベイシブルであるかどうかというところ、そこが多分評価判定のラインになる。いるだけでいいんだったらその辺のワラジムシと変わらないだろうみたいな話になるわけで、そこのところがこのセイヨウオオマルハナバチ、果たしてインベイシブルかどうかというところだと思うんですね。だから、定義云々というよりは問題はそれがもたらす生態影響、インパクト、インベイシブルなインパクトがあるかどうか。そこのところを少し議論を詰めた方がいいんじゃないかなという気がします。

【土田座長】 すみません、ふらふらしていまして。ちょっと非常に難しいんで、進め方が難しくて。

【池田委員】 言葉を統一していかないと、だって。

【土田座長】 そうなんですか。

【池田委員】 あと話がなかなか進んでいかない。それを言っただけです。一番初めに。

【土田座長】 要は在来種に影響があるかどうかということに絞って、多分その辺の気持ちは皆さんそれほど大差がないと思われますので、その辺に絞って、定着して在来種に影響があるかどうかという問題に絞って。

【五箇委員】 だから逆に言えば定着しなくても商品として毎年流通していて、そこがハウスから逃げ出しているワーカーが影響をもたらしていれば、定着も野生化も関係なく、それは生態影響があるということになるわけですよ。だから問題はそこの方だと思うんですよね。

【土田座長】 では国外の事例もそれほど確かなものは、とにかく日本と比較検討するような事例がちょっと少ないようなんですが、競争という観点から考えると、考えられるのはこの在来種等のこの植物との受粉作用としての影響が考えられ得るという感じにしかまだ見えないような気がするんですが、その辺はどうでしょうか。

【横山委員】 確かにそこは非常に重要だと思うんですけども、私たちはむしろその営巣場所の競争というのは非常に重要なんじゃないかなというふうに考えています。そのセイヨウオオマルハナバチは、先ほど生活史のところでちょっとお話ししましたけども、一番最初に出てくるコマルハナバチとほぼ同等の時期に出てきて、同じような営巣環境を利用するエゾオオマルハナバチやエゾトラマルハナバチよりも早く営巣場所を占めてしまう。特に言葉の問題はあるかもしれませんけども、我々は定着しているというふうに考えていますけども、その定着域に、あるところでは非常に大量の女王バチが出てきて、まずその営巣環境を抑えてしまう。そういったことが起こることがその在来種の減少に拍車をかけるんじゃないかというふうに考え、もちろんその餌資源をめぐる競争も非常に重要だと思いますし、それも大きな影響があると私たちは考えていますけども、その点も非常に大きな影響があるんじゃないかなというふうに思います。

【五箇委員】 今おっしゃられた営巣場所の問題ですが、これに関しても結局在来種データがやっぱり足りないというのが弱点になってしまうと思うんですよね。見えないわけですね。結局、マルハナバチの巣自体がこれまでも長らく野外の、いわゆる普通に自然のマルハナバチの巣の観察事例そのものが非常に少ないという状況にあって、そこがやっぱりウィークポイントになるだろうということで、そういった意味ではその部分も含めて、在来マルハナバチの営巣場所も含めて生態データとして強化する必要は今後あるであろうというふうに考えられます。
 あと一つ、例えば餌資源の競争という部分に関しては、むしろ販売実態の方から見ても網をかけないと外にどんどん逃げていくという状況ありますよね。そういった中で、結局外へ逃げても彼らは巣は維持できるということを考えると、外でやっぱり相当採餌行動していると考えられると思うんですが、それをネットをかけるということでどれだけ、いわゆるハウス内での受粉効率が上がるかとか、そういった部分から逆説的に外での採餌行動というものも少し類推できるんじゃないかなという気がするんですけど、その辺メーカーの方から何かありますか。ネットを張るという効果がどういうふうな形で出るかということ。

【光畑氏】 先ほど環境保全の観点からということでネットのお話をしましたけれども、生産者の方々に私どもからお話しするときには、もちろん利用上のメリットというところも押し出してご説明をしています。五箇先生からのご質問があったのはその部分じゃないかと思うんですが、一般的に生産者の方にご説明するのは、まず、やはりトマトであるとかナスの花というのはマルハナバチにとってはそれほど効率のいい、採餌効率のいい花ではありません。ですから、外に、例えば春、桜であるとかタンポポであるとか、蜜も花粉も大量に採取できるような花があれば、働きバチはそちらの方に浮気をしてとりに行きます。それが結果的に、例えば北海道なんかですと一斉に野外の花が開花しますので、夏の期間が短いものですから、大量に働きバチが出て行って花粉をとってきます。ですから、一般的に完全にネットで閉鎖してトマトのハウスで使い終わったマルハナバチの巣よりも、ネットを張っていない状況下で、季節のいいときにというか、野外のマルハナバチと生活環がオーバーラップする季節に使ったマルハナバチの巣を見ますと、非常にたくさんの働きバチを生産したというか、働きバチだけではなくてハチを生産したなと。簡単に申し上げますと、巣箱がいっぱいいっぱいになるほど大きな巣になっていると。ですから、確実に外から花粉を採餌してきた方がハチにとってはいいであろうと。ただ、それだけ外に行って浮気をするということは、トマトであったりナスであったり、目的とする栽培作物への受粉効率は確実に落ちているだろうということがいえると思うんですね。特に生産者の方はナス科の花、トマト、ナスですとハチが行った後はバイトマークという形で、ハチが花にとまって採餌行動をするときに、振動受粉という、ちょっと変わった花粉のとり方をするので、そのときにあごを使って葯を噛むんですね。その噛んだ跡が茶色く褐変して残るんですね。それを見て生産者の方はマルハナバチが働いているかどうかというのを判断されているんですが、やはりそのネットを張られていないハウスですと、非常に薄いというか見にくいというか、本当にきちっとトマトの花に行ってくれているのかどうかわかりにくいところがあります。それが、やはり働きバチが、すべてのハチがというか、巣箱の中のハチが、すべて外勤バチではないので、巣箱の中にいる大体10%程度のハチが外に、実際に働いているのは10匹程度。1巣箱100匹弱入っているんですが、10匹程度なんですね。その10匹程度がトマトの花に全部行ってくれれば大体バイトマークはきちっと濃くつく。要するに農家さんが作業して、片手間でぱっとチェックしても判断できるぐらいになりますが、どうしてもネットを張っていないとそれが見にくくなって、注意深く見ないととか、不安であったりとかというところはあります。それからあと、野外に働きバチが出ていけることによって、モズであるとかセキレイであるという、マルハナバチを捕食する鳥がおりますので、そういったものに働きバチがとられて、働きバチの数が減少して、やはり受粉効率が落ちたりということがありますので、そういったことも含めてお話をさせていただいています。

【土田座長】 そういうことで、じゃあネットの効果はそういう生産効率の上昇ということにつながっているということですね。具体的にはデータはまだとられているわけじゃないですね。

【光畑氏】 そうですね。これはこれからメーカーとして普及をするときに、確実にとっていかなければいけない、用意しなければいけないデータではないかなというふうに考えております。

【土田座長】 でも比較的ほかのデータに比較しますととりやすいですかね。

【光畑氏】 と考えております。

【土田座長】 そのほか何かありますか。

【五箇委員】 これまでのお話の中で、要するにセイヨウオオマルハナバチが実際に逃げ出して野外で住めるかどうかという話に今集中していて、その中で幾つか要素があって、営巣場所はあるであろうと。要するに巣穴を使ったりとかすることで、動物の巣穴を使ったりすることで巣は実際につくっていると。それから、食べ物ですね。資源、リゾースは一応既に大量にあって利用しているというのもわかっていると。もう一つ、多分天敵の問題ですよね。これが日本にいるのかどうかということなんですが、この辺はどうですかね、小野先生。マルハナバチの天敵というのは、国内外でどういったものが考えられるんでしょうか。

【小野委員】 そこのあたりの研究もこれからきちっとやらなければいけないと思うんですけれども、1つはスファイルラリアという線虫がいます。あと、それからハエの仲間で体に寄生するものがいると思います。さらに、これはこれから本当に日本にいるかどうかきちっと確認しなければいけないと思うんですけども、海外ではマルハナバチに寄生するメリトビアという小っちゃな寄生バチがいたりとか、数種類のダニ、あるいはノゼマ・ボンビーといういわゆる微胞子虫により引き起こされる病気ですか、そういったようなものも知られております。ただ、いずれも日本に、先ほどちょっと後者についてはいるかどうかという点についてはきちっと調べていかなければいけないと思います。先ほど五箇さんの方からミツバチ、セイヨウミツバチの場合には分封などによって一時的に自然界に野性化するということはあっても、ミツバチヘキイタダニあるいはオオスズメバチといった抵抗性を持たない、セイヨウミツバチが抵抗性を持たない天敵によって駆逐されて、そこで定着するという例は小笠原とかそういうオオスズメバチあるいはダニがいないところを除いては今のところ起きていないということなんですけども、ミツバチの場合にはアジアの地域が分布の中心になっていて、9種類くらいアジアの方にいるわけですけども、ヨーロッパなどにはセイヨウミツバチ1種類しかいないです。ところが、マルハナバチの方はヨーロッパの方に行くと30種類、あるいは欧米なんかでもそれぐらいいると思うんですが、日本では10数種類しか知られていなくて、マルハナバチ相はどちらかというと日本は少ないんですね。そういった意味でよりヨーロッパの方にマルハナバチの天敵相が豊かだったりした場合、そういうところから日本に持ってくるというのは、ミツバチの場合と逆の関係になるかもしれません。ミツバチの場合はこちらのアジアの方が(種類数が)豊かで、そういった(中にミツバチ相の少ない)ヨーロッパの種が持ちこまれた。(ところがマルハナバチの方は種数が多く天敵相も豊かな欧州産の種を、マルハナバチの種数の少ない日本に輸入したわけです。)何とも言えませんけれども、マルハナバチの天敵についてはこれからきちっと調べていく必要があるということが1つじゃないかなとは思っています。

【五箇委員】 今のお話ですと、天敵と称されるものはほとんどパラサイトという部類になるわけですね。プレデターの天敵というのは今のところは。

【池田委員】 野生のムシヒキアブだとか。ムシヒキアブは結構捕食するね。例外的にはカマキリとかね。

【小野委員】 今、池田先生がおっしゃられたようなムシヒキアブの仲間とか、あるいはカマキリの仲間とか、個体レベルでその生命に影響を及ぼす天敵は知られています。僕が今、先ほどからお話ししたのはコロニーレベルで、その生存に影響を及ぼすような天敵ということだったんですけれども、個体レベルということであれば、例えば鳥の場合はモズの仲間とか、そういったようなものとかも影響を及ぼし得るかもしれません。

【光畑氏】 今、お話の出たムシヒキアブは、私ども利用現場では特に夏秋、先ほど申し上げたような夏秋産地で特に問題になっていまして、やはりハウスの周りであるとか巣箱の周りをうろうろしていると、極端に働きバチの活動が悪くなるということがしばしば現場でトラブルになりますので、そういったものもやはりネットを張ることに、ムシヒキアブは非常に大型のアブですので、マルハナバチが通らない程度の4ミリ目合いのネットを張れば、ムシヒキアブの侵入は防げるというふうに考えておりますので、その辺もご説明をさせていただいています。

【土田座長】 どうぞ。

【小野委員】 ちょっと天敵から外れてしまいますが、私も先ほど池田先生が問題を起こして、それで五箇先生が答えられた点なんですけど、このセイヨウオオマルハナバチの場合には(もちろん)どの程度生態系に対して侵略的なのかということが問題と言えますが、それからたとえ定着とか、あるいはそれからの土着ですか、そういったものが可能性が低いにしろ、常に輸入されているおり、(毎年)6,000箱ぐらいの規模で(流通)数がふえ使用数がふえているということが注目できると思います。一方、それと同時に、ネットで、マルハナバチが出ないようなネットでハウスを覆うということも急速に進んでいるということなんですけれども、そのネットの普及と、それから横山先生のデータだと年々発見される産地がふえているといわれているわけですけども、そこの関係というのはもし仮にネットで覆うということが非常に急速に進んでいて、毎年毎年外に逃げていく女王バチとかの数が減少しているということであれば、そしてセイヨウマルハナバチが生態系でどんどん日本の環境に適応していくという性質が低いのであれば、発見数はむしろこれから減っていくということが期待されると思うんですけども、この辺のところはいかがですか。

【横山委員】 平取町以外というのはそのネットの展張率というのは私はデータとして持っておりませんので、正確にお答えできない部分はあるかと思うんですが、平取町では2002年にネット展張がかなり進んで、2003年にはほぼ完全にネット展張が行われるようになったかと思うんですけども、そのときの平取町での発見頭数というのは、はっきり激減しました。ただ、門別町、それから鵡川町といったその平取町から恐らく派生しただろうというふうに考えられるそのセイヨウオオマルハナバチの、私たちは定着だと思っていますけども、定着域に関しては個体数は減少しておりません。むしろ増加しているというような状態にあります。ですので、その供給はあそこは大産地ですので、あの地域に関してはもう既に供給はほぼ止まったというふうに考えていいんじゃないかとも思うんですけども、少なくともこれまでのような供給のされ方はしていないと思うんですけども、もうかなり個体群が大きく、野外の個体群が大きくなってしまうと思いますので、全く減る様子は見られず、むしろ逆に増加しているというような状況にあるというふうに思います。他の産地についてよろしいですか。

【光畑氏】 道内の他の産地につきましては、私どもマルハナバチ普及会として平取産地さんが独自にネットを張って、農協さんで巣箱の回収処分をしてという独自の動きをしていただいたことをモデルケースにして他産地にもご説明をさせていただいていますし、道内でいうと平取という地域は道内のトマト産地の、やっぱりステータスシンボルというようなところがありまして、技術を一番やはり最初に普及して、自分たちに導入していくというところがありますので、他産地さんが平取さんのまねをされてネットを張っていく。先ほど申し上げたような美瑛であるとか、渡島大野であるとか、ああいった大型産地は特に右に倣えというと言葉があれですけども、ネットを張るということを部会で決定されて、ことしの夏はほぼ実行されているというふうに聞いておりますし、私どもも現場を回ってお話をさせていただいております。

【五箇委員】 ネットの効果が野外逃亡防止と同時に、ハウスの中での受粉効率、それから天敵防止にもつながるということで、ネットを張ること自体はかなりポジティブに考えて非常にメリットがあることであろうというようなことは言えるんであろうと思いますが、要するに、この先いっそネットを全部に張ってしまって野外逃亡防止を防げれば、今、外で見つかっているものも含めて、要するにセイヨウオオマルハナバチの数は減るかどうかということは類推可能でしょうか。

【横山委員】 少なくとも門別町、それから鵡川町の事例を見る限りは、放っておいて減少するような兆候は見られないと思います。ネット展張が完全に実施されてから、まだ時間が経過しておりませんので、今の段階で判断するのは非常に難しいかもしれませんけども、少なくともネット展張が行われて、減少に転じるというような状況ではありません。平取町では減少に転じましたけども、少なくともほかの定着域では減少に転じていないので、現状ではネットを張って逃亡の数が減ったからといってそのまま放置しておいたのではしばらくは個体群は、少なくともしばらくは増加し続けるんじゃないかというふうに考えられます。

【五箇委員】 北海道に限ってみると、かなり広い範囲で実際にマルハナバチを使用されているということもありますから、例えば平取町だけでネットを張っても、ほかからの移入というのも考えなくてはならないということもありますので、今質問というか、これもやっぱり提案になるとは思うんですけども、ネット展張後のやっぱりダイナミクスみたいなものをモニタリングしていって、要は継続的に個体群は供給されるがゆえに野外での捕獲数がふえてしまっているのか、その供給さえ、要するに野外の逃亡さえ防止してしまえば、あとは衰退し得るかどうかというのが多分、また1つの評価ポイントになってくるだろうと思うんですよね。要はマングースとかアライグマの場合と違って、これはあくまでも商品として常に毎年コンスタントに流通して供給されているというところがインビッシブルプレッシャーですね、侵入圧を非常に高くしているというのもありますから、まずそこを除去してからの話かなという気はします。

【池田委員】 ちょっと捕獲数の経年推移ということになるんですが、やっぱりこれは何か大変失礼なんだけど、調査方法がどういうふうになっているかわかりませんが、だんだんだんだんとり方がうまくなるということを感じますかね。それから人も多くなるとかね。そういうこともあって、必ずしもこれが正しいかというと、これは私も疑問なんです。私はやっぱりそういうことは、さんざん、また侵入害虫をやっていましていじめられましたからね。だからそれのことを1つは今後考えてほしい。やっぱり、こういう調査法というのが本当に難しいんですよね。本当に難しくて、一般的には仕方なくてこうやるときには、マノイワ町であればすくいとげだとか実取りだとか摘み取りとかって、ある程度の決まった方法があるんですね。これ、一般のところでは今野鳥なんかでやっているラインセンサスというような方法がそれが普遍的になるんじゃないかと思うわけですが、その野生の花がコンスタントにそこで開花したり何かしてくれればいいんですが、そういうわけにもいかないということになると、ちょっと難しいかもしれませんが、私は少なくともあぜ道ならあぜ道であるとか道路だとか、そういうところを2キロぐらい歩けば、距離を長くすればラインセンサスはできると思うんですよ。そういうデータを欲しいですね。そうすると、かなり信憑性が高くなって、先ほど私変なことを言ったんですが、とり方もないとかね。で、人が多いんじゃないかというのを避けられると思うんですね。やっぱりデータというのはそういう何か一定のところをお決めになって、それを出していただきたいというふうに思います。それをやっぱりやっていけば、かなり信憑性のあるデータでありますね。
 それから、平取の方は供給源が非常に減ってきたと。それに比例してかどうかわかりませんが、ちょっと野外の個体もちょっと減ってきているというようなことがあると、非常にそれは気になることでして、供給を断てばあとなくなってくるのかと。いや、そうではないよと、増えているよと。じゃあ、増えているところはどういう植生になっているのかと、その辺のところのデータをもうちょっときちんと出していただきたいと思います。平取でもし、数年でなくなったらこれ定着ではないわけですから、完全に野生化で終わっちゃっているわけなんですね。少なくともその定着であれば、もっと長い長時間コンスタントに生息していないと、ちょっとその表現はちょっと疑問だなという気がいたします。これは意見です。

【横山委員】 最初のお話なんですけども、この門別のデータ、ちょっと時間がなくてご説明が十分でなくて申しわけないんですけども、これはボランタリーでお手伝いいただいているあるお宅のお庭だけのデータで、毎日その方が定期的にお庭を歩かれて見つけたものを採取するというデータになっておりますので、かなり定量性という点では、もちろんいろいろと問題もあるかとは思いますけども、たくさん人が行ったりとか、もちろんうまくなっているということはひょっとしたらあるかもしれませんけども、定量性ということに関してはかなりはっきりと、門別町でのその個体群の増加を反映しているんじゃないかなというふうに我々は考えております。
 それから、平取に関しては植生の問題は私たちも非常に重要視しておりまして、今後、平取のそのネット展張後の個体群がどう推移するかということは私たちも注視して見ていこうと思います。ただ、門別に関してはもうこのような状態でかなり、門別と鵡川町に関してはネット展張後も個体数の減少というのは平取ほどというか、平取と同じようには見られませんので、そこの地域に関しては私たちは確実に定着しているものだというふうに考えております。

【小野委員】 ちょっとよろしいですか。

【土田座長】 どうぞ。

【小野委員】 もしそういう形で定着をして、逃げ出したものだけで十分に増えていくだけの力をその1個体群が持っているとすると、今度、具体的にどのような在来種に対して影響を及ぼすかということになってくると思うんですけれども、例えば(欧州では)よく考えられていることに、セイヨウオオマルハナバチが近縁種の(ボンブス・)ルコラムの巣に入って侵入していくような、巣の乗っ取りを行うとかというようなことがあると思います。今まで発見された巣の例はすごく少ないわけですけれども、その中に例えばもとは違うマルハナバチの巣だったような証拠みたいなものは見出されていますか。

【横山委員】 観察例だけですので、余り強くは言えないんですけれども、2003年に発見した巣で初期状態でセイヨウの女王と、それからエゾオオマルハナバチの女王が両方出入りしていた巣がありました。それに関しては最終的にはセイヨウの巣になってしまっています。ただ、その巣はちょっと営巣された場所がたまたま、余りよくなくて、掘るとちょっと水田を壊してしまう場所だったので、ちょっとその証拠がとれなかったので、それについてはそれ以上議論しなかったんですけども、今後、観察例がふえてくると、そういった事例も見つかるようになるんじゃないかなというふうには考えておりますけども、今のところ、それとセイヨウがエゾオオマルハナバチの巣にセイヨウの働きバチが入り込んで、しばらく出入りをしていたという事例は観察しておりますけども、今のところ野外の個体でそういう直接的な在来種と、それからセイヨウオオマルハナバチとのコンタクトがあったというような事例は私たちは確認している限りではその2例です。

【小野委員】 予防という立場に立つか、あるいはきちっと野外で確認してという立場に立つか、いろいろあると思うんですけれども、そういう調査というのはなかなか野外でやるのは難しいので、我々なんかも実験室の中の非常に限られたところで、まず検証的実験を行うのが一般的です。セイヨウオオマルハナバチの女王が自分の巣に入って、実質ないですけれども乗っ取りを行った、あるいは逆の例とかももちろん確認できています。
 もう一つ、異種間で交尾を起こしてしまうということも考えられると思うんですけれども、例えば五箇先生は(野外の)エゾオオマルハナバチの女王バチを捕まえて、(DNAを抽出して)遺伝マーカーを使って(セイヨウオオマルハナバチとの)雑種がいるかいないかというような調査を学会等で発表されておられますけれども、その中ではセイヨウオオマルハナバチの遺伝マーカーを(捕獲したエゾオオマルハナバチから)検出できなかったというような話になっていたと思います。(野外で異種間交尾が起きているかを証明する意味で、)春に越冬後のエゾオオマルハナバチ、あるいはその他の日本在来のマルハナバチの女王を捕獲して、その受精嚢の中にある精子を調査した例というのはありますか。

【五箇委員】 室内で交雑させて、その受精嚢の中に、いわゆる在来の女王バチの受精嚢の中にセイヨウオオマルハナバチの精子が入っている。それからさらにそれが受精して、いわゆる卵を生み出されているというのは確認しているんですが、野外における受精嚢の調査というのがまだちょっと未実施なんですね。サンプルだけ今ちょっと保管していまして、まだ手が回っていないという状況で、要は室内レベルだと、実際にいろんな昆虫類でもそういった異種間交尾というのはやはり、閉鎖空間ですとそういった生殖前隔離が働かなくなってしまう事例というのは幾つかありますので、実際にそれが野外で起こり得るかどうかというのはこれからの検証課題になってくると。だから、先ほどからの生態データと同じく、そういった交雑の問題やパラサイトの問題に含めても、今後、野外でそれがどの程度影響しているかというのは調査評価項目として挙げていかなくてはならないというふうには考えています。特にここ数年、これだけの数のセイヨウオオマルハナバチが野外で見つかっているということであれば、その周辺のエゾオオマルハナバチやそのほかのマルハナバチについて、そういった生殖撹乱が起こっているかどうかというのは、今現時点で調査する重要課題であろうとは考えられます。

【小野委員】 私もマルハナバチの配偶行動というものが野外でどのように行われているかということに関心があって、特に同所性、同じところに生息している類縁、非常に近縁種ですね。近縁種間でどのようなプレミーティングのリプラダクティブアーソレーション(交尾前の生殖隔離機構)があるかどうかというのに関心があって調査してきているわけですが、例えば日本の在来種のクロマルハナバチとオオマルハナバチが同じ場所に生息していながら、狭いケージの中に入れると異種間で交尾をしてしまうのに、野外では生殖隔離がなされているのはなぜかというと、オスが縄張りを持っていて、そしてその縄張りの中でオスが出すにおい、香水のようなものをつけて飛んでいるわけですけども、それがクロマルハナバチとオオマルハナバチで全然成分が違います。その成分にそれぞれの新女王が引き寄せられて、そこで交尾をするという形になっています。そして、例えばクロマルハナバチのオスのにおいに対して、オオマルハナバチの女王は忌避作用を示すということが確認されているので、たとえ狭いところに入れた場合に交雑が起きてしまっても、野外では起きにくいという形になっています。それに対して、問題となっているセイヨウオオマルハナバチの雄バチがどのようなにおいを出しているのかというと、それがオオマルハナバチとクロマルハナバチの雄バチが出している成分の両方を出しているということがわかっています。それに対して、じゃあ、セイヨウオオマルハナバチの雄バチのにおいに対して、日本産のオオマルハナバチとクロマルハナバチが誘引されるか、女王が誘引されるかというのを調べてみると、室内ですけれども、非常に誘引される個体数は少ないですが、そこに引きつけられるというデータが出ています。そういった意味で、実際に野外で雑種はできないとしても、間違った交尾、交雑が起きているかどうかという点を受精嚢の中の精子を調べるという手法で、至急に調べてみるということが大切じゃないかなと思っています。

【五箇委員】 今おっしゃられたように、実際にこういったリスクに関しては、ほかの昆虫類でも室内であれば交尾はするけども、野外だと交尾はしない。だから、そういった意味で室内の観察事例のみからリスク評価はできないという意見は聞くんですが、ここで先生おっしゃられたみたいに、実は同所的種分化をしていれば交尾前隔離というのはその過程で発達するわけですが、全くそういう今まで出会ったこともない異所的種分化していたものが持ち込まれた場合、全くそういうコントロールが働かなくなってしまって、そういう交尾行動が撹乱されてしまうという事例は、やっぱり十分に考えなくてはならない。実際にクワガタムシの世界ではそれが起きているわけですよね。国内では同所的にいる連中の間ではきちんと生殖隔離があるにもかかわらず、インドネシアのものを持ってくれば簡単に交尾をして雑種をつくる。しかもそれが野外でもそういった雑種というものが既に見つかっているという事例もありますから、この場合もやっぱりセイヨウオオマルハナバチに関してもやっぱり遠いヨーロッパから来ているという観点から、そういった部分に関しても野外における実態調査というのは早急にやる必要があるだろうと考えられます。

【土田座長】 どうもありがとうございました。まだいろいろ意見あると思いますが、かなり最後の方に話が煮詰まってきたと思います。非常に焦点が絞られてきたと思います。まず、野生化し得るかどうかということは営巣場所、えさ資源、天敵等から評価してもらいますと、個々の評価は非常にまだしづらいところはあるんですけど、営巣場所に関しては多分オーバーラップするだろう。えさ資源に関してはまだまだちょっと不十分な点はありますが、現状としてはオーバーラップしている点がある。今後の煮詰める点としては、早急に煮詰めなきゃいけない点としてはネットの効果と、野外でのその交尾の実態であると。本当に野外で、さっき言われましたフェロモンの指摘は非常に重要な点だと思いますが、この2点に関しては今後早急に実施できるテーマだと思いますし、早急にやらなければいけないと思います。
 あと、残りの点についてはもうちょっと事務局の方で整理して、次回に報告していただきたく思います。
 次回は現場で農業に活用されている方からの声を聞きたいと思います。ヒアリングの対象者については、事務局と私座長で相談して決めたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【土田座長】 それでは次回は農業の現場の方からのヒアリングをすることといたします。
 あとの議題でその他とありますが、この際何かご発言されることはございますでしょうか。事務局の方から何か。

【堀上補佐】 次回の会議のことなんですが、あらかじめ各委員の方から日程の調整をさせていただいておりまして、大体日にちを見ますと、今月の29日、2週間後になりますけども、29日の午後でどうかということで、一応予定をしたいと思っております。よろしいでしょうか。

【土田座長】 よろしいでしょうか。

(異議なし)

【土田座長】 では以上をもちまして、セイヨウオオマルハナバチ小グループの会合を閉会いたします。どうもありがとうございました。