1 日時 |
平成17年1月7日10時~13時25分 |
2 場所 |
経済産業省別館9階944会議室 |
3 出席者 |
(委員)多紀 保彦(座長)、瀬能 宏、中井 克樹、細谷 和海、丸山 隆、水口 憲哉 |
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(利用関係者)全国内水面漁業協同組合連合会 専務理事 橋本 啓芳
(社)全日本釣り団体協議会 専務理事 來田 仁成
(財)日本釣振興会 副会長・外来魚対策検当委員会委員長 高宮 俊諦 |
(環境省)野生生物課長、生物多様性企画官、課長補佐 |
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(農林水産省)水産庁生態系保全室長、水産庁沿岸沖合課課長補佐 |
4 議事概要 |
<各委員が用意した資料の説明>
- 高宮氏:バスフィッシング人口300万人の根拠及び市場規模1000億円の根拠について、資料に基づき説明。
- 瀬能委員:オオクチバスの拡散要因について、資料に基づき説明。
- 來田氏:オオクチバスに係る暫定的な秩序の形成について、資料に基づき説明。
- 中井委員:琵琶湖を主としてその他水域の事例も含めたオオクチバスによる影響について、資料に基づき説明。
- 橋本氏:漁業センサスから推測したバス釣り人口について、資料に基づき説明。
<議論>
(事務局から資料3「オオクチバス小グループ会合におけるこれまでの主な論点について説明)
- バス釣り人口300万人というが、過大表示ではないのか。漁業センサスとの違いをどう捉えるか。
- (事務局)
漁業センサスでバス類の遊漁者として90万9千人が示されているのは、漁業権設定のある湖沼をカウントしている。このような湖沼での遊漁発行券数と聞き取り調査でのカウントであり、バス釣り人口全体を把握しているものではない。
- 何のためのセンサスか。意味のない数字を発表しているのか。
- 私共も水産庁に何度も確認したが、海でも磯釣りなどの正確な人口の実態は把握できていない。船による釣り人口だけということであった。我々が調べたのは全国にどの程度オオクチバスの釣り人がいるかということ。
- 遊漁証の発行枚数は、ワカサギとバスで分けているわけではないので、バス釣り人口を正確に表していない。次回までに、漁業権を設定していないところでもボート料金、トローリング等での経済行為による数字を出していただきたい。
- 素朴な質問なのだが、バス以外の魚種の釣りでは親子の絆は保てないのか。
- 子供を連れて行くことを考えると、身近な釣りがメインとなる。タナゴなどが生息する環境が減少し、20年ほど前からバス釣りはポピュラーな釣りとなった。また、バスは頭が良い魚なので、装備や工夫が必要であるのも、人気の理由であろう。
- バス釣りが面白いのは分かる。しかし、親子の絆のなかで在来生物への影響をどう考えているのか。
- バス釣りで親子の断絶が無くなりましたという手紙を何通ももらっている。害魚として認識していない。
- バス釣り以外にも方法があると思うが。來田さんの言う「抑圧感」とはどういうことか。
- バスが影響ある魚であることはよくわかっているが、まず秩序づくりが必要であり、バスがいても良い場所、ダメな場所の整理をしていく必要がある。10代から40代の人はルアー釣りを覚えたとき、キャッチ&リリースを伴うものだと認識している。悪い魚だから殺せと言われても納得できない。解消期間を設けなければ釣り人全員が罪を犯すこととなる。つり上げたバスをバスが生息しても良い場所へ移動することが制限されることは好ましくない。
- 今回の法令ではリリースを禁止しているわけでない。防除についても誤解が多いようなので、事務局に整理してもらいたい。
- (事務局)
資料にあるように、飼養、運搬などは禁止される。釣りという行為やキャッチ&リリースを禁じてはいない。
- 釣り人は本法がリリースを禁止するものでないことは認識している。安全な場所に移動させたくとも移動は禁止されている。釣り人が納得できる秩序の構築が必要である。
- (事務局)
基本方針にあるように、防除の目標と計画を立案し、地域からの完全排除なのか、コントロールを実施するのか、どの水面を、どのように取り扱っていくかは、防除の枠組みの中で検討することになっている。
- 委員会指導や県等地方自治体の条例でリリースが禁止されている所がある。今回の法律が施行されると、釣り上げたバスは持ち帰ることができず、リリースもできず、結局は殺せということ子供たちに指導せざるを得なくなるのではないか。
- (事務局)
リリースを禁じている都道府県は確かに9県あるが、今回の法律と、地方での条例は矛盾していない。もちろんリリース禁止の場所の取り扱いは議論の余地がある。
環境省はリリースが禁止されている所へ出向いて、リリース禁止を止めるよう働きかけるのか。
- (事務局)
そうではない。防除の計画をどうするかを議論し、防除の枠組みで考えるべき事項である。
- 子供が、許可を申請してバスを運搬するのは非現実的。
- 八郎潟ではリリースが禁止されたことによって、釣り自体は禁止されていないにもかかわらず、5月の連休に釣り人が19.7%減少した。特定外来種に指定されたら、現実的には釣りの禁止と同じ意味になる。フナを釣りたくても場所がないのだから。
- ここで提案させていただきたい。資料3の1,2についてはこの場で議論すべき内容だと思うが、3,4についてはこの場にふさわしくない。既に今日5つの新しい資料が説明されているが、釣り業界へのヒアリングではないので、資料の中身を議論すべき。密放流について利用者側は、どう考えているのか。
- バスは肉食魚であることを忘れてはいけない。資源量に限界もあるのだから、総合的に300万人という利用者数は本当に適切なのか。子供達に釣り方を教えると、ハゼ、チチブ、テナガエビ等、何でも喜ぶ。大人達がバス釣り以外の楽しみ方を教えていないだけ。
- バスと在来種が一見、長期間共存しているように捉えられる湖沼はパターンを分けると4タイプになる。[1]高所の山岳湖、例えば芦ノ湖などでバスが利用できる季節と空間が限られており、産卵期に水位が減るなどもあり、バスが増えない。[2]灌漑用の溜池。バスの繁殖時期と水を大量に必要とする時期が重なるため水位が下がってバスの繁殖が抑えられる。[3]極端に富栄養化した湖沼、で例えば手賀沼、牛久沼などは、ヨシが多く在来種が逃げ込める。底質もバスの産卵に向かず、低酸素でもある。[4]汽水湖として、例えば中海や霞ヶ浦もかつてそうであったが、水門の閉め切りがあったのでバスが増えてしまった。以前はスズキの稚魚がバスより早く孵化するので、バスの数は増えなかった。これらの、特殊な環境だけで、バスは一見したところ共存しているように感じるだけである。
- 影響があるのは委員共通の認識ではないのか。バス釣り人口が多いのは当然で、だからこそ、この小グループがある。
- プロセスはそのとおりだが、進めるためにはコンセンサスが必要。高宮さんらは、密放流はないと言っているが、これら科学的な知見を、どう考えているのか。秩序とは何か。密放流はあるかないか。再度伺いたい。
- 資料3を見て欲しい。「生態系」に影響があることは共通認識ではない。小さな水域においては影響があることを私も同意するが、瀬能委員の資料は魚類学会の見解か。
- 前回提示した資料、今回の中井さんの資料で十分だと思っている。何か疑問があればその部分を示して言っていただきたい。
- 法律上の生態系とは何か。
- (事務局)
法律上の「生態系」の用語については1回目の会合で水口委員より指摘があった。法律上の考え方は、資料1-4に示している。
- 座長裁量でいったん引き取りたい。
- 経験的なことではなく、今回出された資料に対しての意見を伺いたい。
- 現在、組織的な密放流はないと思っている。不法な移植には断固として反対している。ルール違反者が恒常的にいるのであれば、我々も口を挟む資格はない。密放流の根拠は示されたことがない。あるいは人権の観点で氏名が公開されないなどで、特定の氏名などが明らかにされない。ここ最近でバスが増えた水域があれば教示してほしい。ある時期に増えたからといって密放流と結びつけるのは問題でないか。
- 琵琶湖では最近になって60cmのバスが釣れ始めた。60cmに育つまで、どれ位かかるのか。
- 60cmのフロリダバスは、、うろこの解析から6年生と確認された。また、いろいろなサイズのバスからフロリダバスの遺伝子が確認された。調査地は少ないが、以前には全く生息していなかったものである。6年より前に琵琶湖で漁業調整規則は既にあったのだから、これは密放流以外にありえない。
- 今回の資料は憶測であると認識しているのか。
- 今までいなかった所にいるようになったから、これを即、密放流とするのは憶測であると考える。
- どういう場面をどういう形で押さえたら現行犯になるのか。水の入った袋を持って水辺に近づいた時なのか。その袋を空けた時なのか。袋の中身をバスと確認しなくても良いのか。怪しい袋を持って水辺にいたらそれだけで現行犯と認めるのか。言葉遊びである。
- 誰が放したから判らないから密放流なのである。
- 密放流が、ある・なしのゼロワンゲームとなっても、不毛な議論となる。密放流は、あるに決まっている。その先の議論が必要である。
- 密放流が断じてないと言うほど、バスが摩訶不思議な魚になってしまう。きっちりと水系全体、漁業権魚種以外の種、魚介類への影響も考えてほしい。
- 科学的な手順を踏んでいるのだから、それをもって憶測だといわれても議論にならない。
- 密放流がないと断言できない状況では、事態として対応しないといけない。
- 「密放流はない」と断言したことは未だ嘗て無い。願望である。釣り人は本来自浄能力を働かせてそのようなことがないようにすべきである。フロリダバスは6年前の過去のこと。
- 現在と過去はどう区切られて、どう違うのか。
- 今日の資料では密放流を特定できない。日釣振としては、引き続き、密放流を防ぐように心掛けたい。末端までは把握できないのであって、あくまでも通常、一般の釣り人は密放流などしないということである。
- 子供達がついつい密放流してしまうような風潮は改めないといけない。私自身でも、密放流者の氏名を把握しているが、公開しない理由は、放流者が子供だからであり、また、他にも当方を信頼して告白してくれた人もいる。彼らには配慮が必要である。
- 防除について議論したい。
- 子供の教育と絡めるのは適当でないと考える。直接殺すのではなく、在来種を使っての繁殖阻害等の議論が必要でないか
- 外来生物対策のプロセスとして防除は必要だが、特定種に指定する・しない、というゴールが正反対なのに、プロセスを議論しても仕方ないのではないか。
- バスについての嘆願書、要望書の理由に、『私共の湖ではバスが入ってから20年になるが漁業権魚種への食害が見られず』というのがいくつかある。
- 指定されたからといって、一律に釣り人を排除することはないはず。防除の対策も段階的にされると思う。
- (事務局)
防除については、国、地方自治体がそれぞれ優先的に行うべき場所から実施する。実施に当たっては、関係者から成る協議会を設けて計画作りをすることとしており、地域の状況に応じて行うこととなる。
- 中身はだいぶ見えてきたが、ゴールはまだ見えないというところか。
- 選定のための情報交換という当初の目的は達成されたと思う。今後この会合を続ける意味は何か。この時点で上の会議にあげて良いのではないか。
- 話し合いは何も始まっていない。防除の方法を先生方から提示していただき、私共ができることを歩み寄る。
- 延べ90万人についての回答をしなければいけないと思う。議論は出尽くしている感じなので、次回開催は短時間でよいのではないか。
- 300万人という数字と極端に違うということはないと思う。1回目にお出しした影響の紙に対して、深められていない。問題解決のための提案も取り組んでいない。
- 漁業権が設定されている4湖についても、どう考えるか、この会合で議論すべき。
- 研究者の立場からは結論を急ぐべきであると考える。
- 被害拡散について、出せるものは出した。自然科学という土俵の上で反論がない限り、これ以上議論を進めようがない。日釣振等からは経済的影響について何ら示されていない。指定されることを前提に防除等の話を進めるならよいが、そうでないならこれ以上議論を進めることはできない。
- タイワンドジョウ等については、発言の場は与えられず、オオクチバスだけについて関わることとなった。バスは悪だからバス釣りをする人も悪ということでは反発することとなり、これでは会合を開いた意味がない。釣り人・利用者の意見を聴取する場がない中、この会合は中断せず、新しい秩序を構築する場として、議論を進めてほしい。
- この小グループの位置づけについて、この会合で出た結論は重く扱う、尊重するということであった。しかし、まだ議論は深まっていない。
- (事務局)
第1回会合でお配りした資料5-1の中で、この会合の位置づけを説明した。次回も開催して、本小グループとしての報告をとりまとめ、それを魚類の専門家会合に出す必要がある。
次回開催は1月19日。
(文責:環境省自然環境局野生生物課 速報のため事後修正の可能性あり)