環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第6回 特定外来生物等専門家会合議事録


1. 日時 平成17年12月19日(月)14:00~15:02
2. 場所 経済産業省別館825会議室
3. 出席者  
   (座長) 小野 勇一
   (委員) 石井  実
岡  敏弘
小林 正典
武田 正倫
村上 興正
岩槻 邦男
岡  三徳
多紀 保彦
長谷川雅美
               
   (環境省) 南川自然環境局長
黒田大臣官房審議官
名執野生生物課長
長田移入生物専門官
   (農林水産省) 岡田生産局野菜課課長補佐
飯田林野庁森林保護対策室課長補佐
佐々木水産庁沿岸沖合課課長補佐
4. 議事  
【移入生物専門官】 それでは、予定の時刻になりましたので、ただいまから第6回特定外来生物等専門家会合を開催したいと存じます。
 本日、委員のうち、角野委員と亀山委員については所用によりご欠席というふうに承っております。それから、長谷川委員はちょっと渋滞のため遅れているということですので、後ほど到着をされると思います。
 それでは、まず開会に当たりまして南川自然環境局長からごあいさつ申し上げます。

【自然環境局長】 自然環境局の南川でございます。本日は年末のお忙しい中、大変ありがとうございます。また、地域によりましては大変な大雪でいろいろ交通も乱れていると思いますけれども、ぜひ、また皆さんの熱心なご議論をお願いしたいと思います。
 今日でございますけれども、まず1つ報告ございまして、特定外来生物の第二次選定につきましては、12月14日、先週でございますけれども、政令が公布されました。そして、来年の2月1日から施行されるということになった次第でございます。報告させていただきます。
 今日の議題でございますが、最初がセイヨウオオマルハナバチの扱いの問題でございます。これまで1年間かけまして、環境省、農林水産省が協力しまして調査・検討を進めてきたところでございます。これにつきましては、その調査結果も踏まえまして小グループ会合あるいは昆虫会合で議論をいただいて一応の結論をいただいております。ポイントだけ申しますと、特定外来生物に指定した上で施行に当たっては円滑かつ効果的にそれが運ぶようにさまざまな施策を講ずべきだということでございます。本日、全体会合としての取りまとめをいただきたいと考えております。
 2つ目でございますけれども、二次指定候補でございましたアリの2種類につきまして、パブリックコメントで随分科学的な観点からご意見をいただいております。その扱いについてもきょうご報告をさせていただきますので、ご意見を賜れれば幸いでございます。
 最後に、最近の外来生物の遺棄の問題につきまして、私どもの取組みについてご報告をさせていただこうと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【移入生物専門官】 それでは、お手元にお配りしました資料の方の確認をさせていただきたいと思います。お手元の資料、順番に確認をさせていただきたいと思います。
 まず、資料上から1枚、議事次第がございます。その次に特定外来生物等専門家会合の委員の名簿がございまして、さらにまた一枚紙ですけれども、資料1-1、セイヨウオオマルハナバチの取扱いについて。資料1-2、セイヨウオオマルハナバチに係る情報。資料1-3が、横長の資料でございますが、セイヨウオオマルハナバチに係る未判定外来生物・種類名証明書添付生物対象リスト(案)。それから、資料2の関連ですが、資料2-1、アシナガキアリ、ツヤオオズアリの取扱いについて。資料2-2、アシナガキアリに関する情報。これの2枚目がツヤオオズアリに関する情報になっております。それから、資料3、外来生物の適正な飼育に係る普及啓発の状況について。以上が資料でございまして、続きまして参考資料の1、特定外来生物の第二次指定とパブリックコメントの結果概要。参考資料の2、第二次以降の特定外来生物等の選定の作業手順。それから参考資料の3、これも横長の資料ですが、マルハナバチに関する調査の結果概要という表になっております。それから、参考資料の4がアシナガキアリ、ツヤオオズアリに関して提出されたパブリックコメントの内容でございます。それから、参考資料の5として、12月8日に開催されました第6回の昆虫会合の議事概要をお配りしております。そのほかに委員の先生方には机の上に冊子の特定外来生物被害防止基本方針、それから、チラシとしまして2種類のカラーのチラシですね、ペットの捨てないで・逃がさないでというチラシと、それから、赤いクワガタ用のチラシですね、この2点をお配りさせていただいております。もし資料等に不足等ございましたら、事務局の方までお申しつけいただきたいと思います。
 それでは、議事進行につきましては小野座長、よろしくお願いいたします。

【小野座長】 どうも。それでは、本日の議事に入らせていただきます。きょうまでグループを統括されました石井委員には、どうもご苦労さまでございました。
 それでは、議題1、セイヨウオオマルハナバチについてでございますが、本種についてはこれまで1年以上の時間をかけまして、ただいまお礼を申し上げました石井委員長のもとで小グループ会合のまとめをしていただきまして、セイヨウオオマルハナバチについて出てきたところでございます。小グループ会合での議論の結果について、これからまずは事務局の方から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【野生生物課長】 それではセイヨウオオマルハナバチにつきまして資料の1-1から1-3を使いましてご説明させていただきます。着席してやらせていただきます。
 このセイヨウオオマルハナバチでございますけれども、小グループ会合を設けまして集中的に審議をしていただいているところでございますけれども、本年1月の第一次の特定外来生物の指定種の選定の際には、これについては被害に係る科学的知見が十分でないなどの理由で野外調査を集中的に実施するなど科学的知見の集積に努めることとするということ、それから、さらに、農家に対する普及啓発の状況も見ながら年内を目途に指定についての検討作業を進めるというふうにされたところでございます。先般、12月7日でございますけれども、第7回目のセイヨウオオマルハナバチ小グループ会合におきまして、小グループ会合としての結論が取りまとめられまして、これが翌日、12月8日に開催されました第6回の昆虫類等陸生節足動物会合に報告が行われたところでございます。今回、この小グループ会合の結論をご紹介しまして、専門家会合としての意見の取りまとめをお願いするものでございます。
 それでは、まず資料1-1でございます。これが小グループ会合として取りまとめをしていただいたものでございます。まず1つ目の丸でございますけれども、セイヨウオオマルハナバチの生態系へ与える影響ですけれども、定着の可能性につきましては、継続的に自然巣が確認されていて、数年にわたって周年の活動が確認されているということです。それから、毎年、継続的に大量利用されていて、野外に大量に逸出する状況が続けば影響が大きいということ。2点目として、在来マルハナバチへの影響でございますけれども、特にエゾオオマルハナバチの明確な減少が確認されておりまして、その原因として営巣場所をめぐる競争が考えられたということ。それから、餌資源をめぐる競合については、影響の程度は不明であるということです。それから3点目、生殖攪乱でございますけれども、実験室で在来種との交尾による繁殖阻害が確認されているだけではなくて、野外における交尾も新たに確認されたということです。さらに、寄生生物についてはマルハナバチポリプダニの影響が懸念されているということ。それから、在来植物への影響につきましては、特にエゾエンゴサクが盗蜜行動によって結果率を明らかに低下させている事例が明らかになったということでございます。
 続きまして2つ目の丸ですけれども、現場での利用状況、それから逸出防止措置の実施状況とその効果ですが、まず、全国で年間約7万コロニーが流通されておりまして、省力化等の効果が発揮されているということ。それから、ネットの展張については、適切な方法で行えばセイヨウオオマルハナバチの逸出防止を効果的に行うことができることが示されております。それから、ネット展張の普及が進みつつあることが明らかになったということ。使用済み巣箱の簡便な処理方法ですけれども、ビニール袋を用いた方法、それから、熱湯を用いた処理方法が提案されております。
 続きまして裏側、3つ目の丸でございますけれども、毎年、継続的に大量のコロニーが利用されていることを考えると、そのまま野外への逸出が続けば在来のマルハナバチ類、それから植物群落への影響が増大して、我が国の生態系に対し、重大な被害を及ぼすおそれが高いといえる。また、逸出防止の高い効果が期待できるネット展張、それから、使用済み巣箱の適正な処理を確実に実施することが極めて重要であるということです。
 最後の丸でございますけれども、以上を鑑み、マルハナバチの小グループとしては、セイヨウオオマルハナバチの取扱いについて、以下のとおりとすることを提案するということで、1つはセイヨウオオマルハナバチを特定外来生物に指定するということ。それから、使用する場合には逸出防止措置としてネット展張、それから、使用済み巣箱の適正な処理がはかられることが不可欠であるということ。野外のセイヨウオオマルハナバチ等の状況に関する調査を継続し、必要な防除手法の検討を行う。これが小グループ会合の結論でございます。
 以上ご説明いたしましたように、セイヨウオオマルハナバチはトマトのハウス栽培における授粉などの目的に広く利用されておりますけれども、適切にネットを張れば逸出を防止できることからネットによる逸出防止と使用済み巣箱の適切な処理など必要な条件を満たした場合は許可を得てこれを使い続ける、飼育することが可能となります。
 これらの調査結果も踏まえまして、資料1-2にセイヨウオオマルハナバチに関する情報を整理しております。評価の理由にありますように、繰り返しになりますけれども、セイヨウオオマルハナバチを初めとした在来のマルハナバチ類と営巣場所等をめぐる競合により、在来のマルハナバチが大きな影響を受けていることが示唆されているとともに、野生植物の繁殖に対しても盗蜜により影響を与えているということ。それから、また7万コロニーが利用されていて逸出が多く、野外での繁殖例も確認されています。それから、さらに新たに野外でオオマルハナバチとの交尾が確認され、繁殖阻害の影響も懸念されているということ。詳細な説明は省略させていただきます。
 引き続きまして、資料の1-3をご説明させていただきます。小グループ会合では、セイヨウオオマルハナバチを特定外来生物に指定すべきとの結論を取りまとめていただきましたけれども、あわせて未判定外来生物、それから輸入の際に種類名の証明書を添付する生物についてもご議論いただきました。輸入をする際に事前の届け出が必要になり、届け出が出た場合には被害のおそれについて検討を行うという未判定外来生物にはセイヨウオオマルハナバチと在来のマルハナバチ類を除くすべてのマルハナバチ属を、それから、種類名証明書添付生物としてはマルハナバチ全種を指定するのが望ましいとの結論をいただいたところでございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。

【小野座長】 ありがとうございました。続きまして、昆虫会合の石井委員の方から補足等があれば、ご説明お願いします。

【石井委員】 今の事務局からのご説明のとおりなんですけれども、ちょうどマルハナバチの会合の12月7日の開催の少し前に、資料の1-2の2ページの上にありますけれども、在来種のオオマルハナバチ、エゾオオマルハナバチ、それからクロマルハナバチに対する交尾行動というのが観察され、さらにDNAの解析でオオマルハナバチとエゾオオマルハナバチの交尾が確認されたということもありまして、生態系への被害、それからもう一つこの小会合で検討してきたところなんですけれども、実際に農家がどのような扱いをしていくのかというところですけれども、このあたりについてもさっきのご説明のとおりクリアできそうということでありまして、昆虫類等陸生節足動物の会合の方ではこれを指定するということにさせていただきたいと思います。

【小野座長】 ありがとうございました。それでは、ご意見・ご質問等、この件につきましてありましたらお伺いしたいと思います。どこからでも結構でございますのでお手をお挙げください。はい、どうぞ。

【武田委員】 すみません、ちょっと不勉強なんですけど、これはどこから輸入しているんですか。外国から。日本で増やすということはないんですね。

【石井委員】 ヨーロッパが中心だと思いますけれども。

【武田委員】 それと、これは、後のこの適切な処理というのは焼却するとかそういうことなんですか。

【石井委員】 先ほど説明の資料の1-1にあったと思いますけれども、ネット展張の話と、それから使用済みの巣箱の処理ということですね。下の方の2つ目の白丸に当たると思いますけれども、ビニール袋を用いた方法、それから熱湯を用いた方法と、割と簡便な方法でできそうだということになりまして、これだったらいけるのではないかと判断しております。

【武田委員】 捕まえて殺す。殺すんじゃなくて再利用。

【石井委員】 要するに野外に逃げたものに関してではなくて、一般的に施設の中で箱に入ったコロニーを使うわけですね。ふたをあけるとそこから成虫が出て行って、働きバチですけれども出て行って授粉していくということですね。その使用が終わった巣箱に関して割と措置がいいかげんだった部分があるわけですけど、これの完全な処理というのですかね。それを徹底するという部分を今言ったわけですけれども、それ以外には逃げないためのネット展張ですね。これについての普及というのが図れそうだということであります。

【小野座長】 よろしいですか。村上委員。

【村上委員】 今の体制のチェックはだれがするんですか。要するにそういうことがちゃんとされているということを、条件なんですね、これ。この条件はだれがチェックするんでしょう。どういうシステムなの。

【小野座長】 事務局、お答えください。

【野生生物課長】 先ほどご説明したとおり、これを使い続ける場合には、1つはネット展張をするということ、それから使用済みの巣箱は適切に処理するという条件のもとで許可をする、出すことができる。ですから、許可申請の書類を出していただいて必要がある場合にはその確認も、現場の確認もした上で許可をするということになります。

【村上委員】 その後を聞いてるんです。

【小野座長】 だれがチェックするのか。

【野生生物課長】 10月から地方環境事務所という環境省の地方の出先機関ができておりますので、その地方環境事務所の野生生物課の職員がチェックするということになります。

【小野座長】 ほかにございますか。

【村上委員】 ちょっともう一個。大変なチェック作業になると思うんですね。それで、それが守られていない場合には、例えばどういう指導措置ですか、その場合、あるいは許可を取り消すんですか。

【野生生物課長】 こういった許可した場合については、まずその許可条件に反している場合には改善命令を出します。それで、その改善命令に対して従わない場合には許可の取り消しという順番になるかと思います。

【小野座長】 恐らく現在入っているものを、ある条件のもとに使用しながら外に出さないというのは大変難しい技術がそこに介在しているということで、村上委員のご心配もそこだろうと思うんですが。

【村上委員】 いいですか。

【小野座長】 はい、どうぞ。

【村上委員】 外来生物法など、やはりそういった飼養の禁止とか、原則禁止とかいろんなことが、売買とか譲り渡しの禁止とか輸入の禁止とか、原則的に全部禁止されていますね。それに特例を設けるとすればかなりの条件をつけないとだめだと思うんです。その辺のことが気になりまして、これと同じ例で我も我もという、そういう形で出てくるおそれがないのかどうか。だから、よほど厳しい条件をつけないとだめなんじゃないか。ということは、このチェックというものがおろそかにされると第2、第3のセイヨウオオマルハナバチが出てくるという可能性が非常に高くなる。その辺について意見がちゃんと聞きたいです。

【小野座長】 コントロールをきっちりやってくださいということでありますので、その点は事務局の方がもう一度すみませんが念押しの意味でお答えください。

【移入生物専門官】 基本的には、許可の基準の中ではその施設についてその生物が逸出できないということを厳密にチェックをしていくことになっておりますし、それとあわせて管理の方法についてもその許可する際の条件になっておりますので、先ほどの例ですと、その使用済みの巣箱を適切に処理することというのも法律上きっちりと義務づけていくことになります。
 基本的には、どんな目的であっても例外的に飼えるということではございませんで、やはり学術研究ですとか、それからマルハナバチの場合には生業の維持ですね、既に使っているようなものについて今までと同じような使い方をするということで、生業を維持していくために必要な行為として認められているケースになりますし、そのほかに例えば愛玩飼育ですと新たな飼育は認められずに既に指定された際に飼っているもののみについて許可が出されるというように、目的については限定的にしておりまして、無秩序に例外的な飼育が拡大するということはないようになっております。

【小野座長】 ありがとうございます。例外的であるということで、1年間、今日まで小グループの方で細かい議論をしていただいたわけでありますので、その議論の過程を踏まえて今の条件をひとつお心におとどめおきくださればよろしいんじゃないかと思います。
 それで、これひとつ質問ですけれども、新しく輸入ということがあるんですか。

【野生生物課長】 このセイヨウオオマルハナバチ、トマトで使う場合には年に2、3回入れかえなくてはいけないんですけども。ですから、例えば農家がセイヨウオオマルハナバチをトマトのハウス栽培に使いたいという許可申請を出していただいたところに対して許可をすれば輸入を行うことは可能です。

【小野座長】 そのときには、その条件がすべてついていくわけですよね。国外だったら。

【野生生物課長】 はい。

【小野座長】 アメリカとかほかの国では、頭から入れないというところも結構ありますけれども、日本は今のような状況である程度、補給をするという条件のもとでやっているので、例外中の例外かもしれませんけれども、そういうことで動いているわけです。実際は国内に入ったものは出さない、外からは入れないというのが一番いいんでしょうけれども、それがうまく、なかなかそういう産業に使われるということで難しい条件があるようです。それで、先ほどのような長い時間をかけて議論したわけであります。
 ほかにございましょうか、ご意見。岡委員。

【岡(敏)委員】 特定外来生物の指定は、原則として被害があるかどうかということに基づいて指定の是非を決めるということになっていますが、社会経済影響についても考慮するという原則になっているわけですね。それで、このセイヨウオオマルハナバチのケースは考慮すべき社会経済影響というのがある初めてのケースじゃないかと思いますので、その社会経済影響がどの程度なのかということを一応議論した上で指定する必要があると思います。そこで、厳密にいうと、定量的な規制影響分析をやるべきですが、なかなか十分な分析ができていないんですが、私がこれまで見聞きした中でどれぐらいの影響があるかなということを考えてみた結果をお話ししたいと思うんですが。
 この場合の規制の影響というのは、一番大きいのはネット展張が義務づけられるというところにあります。そこで、ネット展張というのは技術的には可能なことですので、それにかかる費用というのが規制影響ということになります。それでどれぐらい費用がかかるかということですが、幾つかの少数の例を見せていただいた限りでは、2種類のビニールハウスで分けて考えないといけない。
 1つはかまぼこ型の割と小さなハウスでありまして、北海道などで使われているやつですね。それの場合は、ハウスの側面に新たにネットを張るということになりまして、農家の手作業でも張れるということで材料代ぐらいを見ておけばいいんじゃないかということで、大体1反当たり5万円ぐらいの費用でできそうだなという感じがします。もしネットが5年持つのであれば年当たり1万円の費用。反当たりですね。この反当たり1万円というのはどれぐらいのダメージかというと、夏秋トマトの反当たりの総収益ですね。出荷額が150万円ぐらいありますので、それに比べて0.7%ぐらいのダメージであると。それから、マルハナバチを利用するというのは省力化等々さまざまな便益があって利用するんですが、その純便益、省力化の面での純便益が大体反当たり1万数千円じゃないかということで、その範囲におさまる費用の増分じゃないかと思います。
 それから、大型の屋根型ハウス、その場合は天窓にネットを張らなければなりませんので、それは業者を頼んで張るといった大がかりな作業になり費用がかかることが多いと言われています。私が見せていただいた例で言うと、反当たり40万円から50万円の費用。これも5年持つとすると、間の45万円を取ると1年当たり9万円です。1年当たり9万円というのは、大規模なハウスですから出荷額も多いということで、冬春トマトの1年当たりの総出荷額を見ますと、大体反当たり311万円。それの3%以内ぐらいですね、の費用の増分になります。これは、マルハナバチを導入することで得られた省力化の便益を若干上回るかもしれないという程度の費用です。ただ、その大型のハウスが全国にどれぐらいあるかということを考慮に入れて、ざっと全国でどれぐらい費用がかかるかということを計算してみますと年5億円ぐらいの費用の増分じゃないかと思います。年5億円の費用の増分というのは、マルハナバチを利用してつくられているトマトの出荷額の大体0.6%ぐらい。また、トマト総出荷額に対するパーセンテージで言いますと0.3%ぐらいの費用です。しかも、今まで申し上げました費用というのは、ネットを張ることの便益というのを考えてないんですね。ネットを張ることによって黄化葉巻病の予防ができるとか、鳥の害を防ぐことができるといった副次的な便益もあり、また、マルハナバチが外に逃げないことによってそれだけよく授粉してくれるという便益もありますので、それらの便益を差し引きますと、大体出荷額の1%以下におさまるような費用の増分というのは、それを理由に被害があるということがわかっている外来生物の規制をやめるという根拠にはならない程度の社会経済影響ではなかろうかというのが私が考えているところです。
 以上です。

【小野座長】 大変はっきりした論拠に基づいた批評というかご意見だったと思います。ありがとうございました。その辺の農業経済方面でのきっちりした計算というのも、これはバックグラウンドとしてはぜひ必要な理由になりますので、大変ありがたいと思います。
 ほかにございましょうか。岡三徳委員。

【岡(三)委員】 マルハナバチについては指定されるということが決まり、さらに岡(敏)委員からその利用に関する経済分析的なご指摘をいただきました。一方で、先ほどハウスからマルハナバチの逸出について検査という点からご意見がありましたけど、生産者にとって罰則がともなうことですから、ネットの張り方など技術的な指導体制をどうとっていくのか対策がありましたら伺いたいと思います。

【野生生物課長】 農家への指導ということでございますけれども、既に今年の1月の段階でネット展張について農家への普及啓発という話がございまして、その時点から農林水産省と協力しながらやってきているところでございますので、そういったことを今後とも継続していきたいというふうに考えております。

【小野座長】 その点は専門家会合でも随分議論されたようでございますけど、何かつけ加えること、ございますか。

【石井委員】 いや、特にありません。

【小野座長】 ありがとうございました。ほかにございますか。
 よろしければ、小グループ会合の取りまとめを受けて、当専門家会合としてはセイヨウオオマルハナバチを特定外来生物に指定するということを結論したいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

(異議なし)

【小野座長】 ありがとうございました。ご了承いただいたものと思います。判断いたします。
 それでは、引き続きまして議題2に行きたいと思います。議題2は、第二次の特定外来生物指定候補の取扱いについてということでありまして、先ほど予告がありましたように、アシナガキアリ、それからツヤオオズアリについてを取り扱います。これについても事務局の方から専門家会合の検討結果も含めて説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【野生生物課長】 それでは、引き続きまして、資料2-1と2-2を使いまして第二次の特定外来生物の指定候補の取扱いについてご説明させていただきます。
 8月5日に開催いたしましたこの専門家会合でご議論いただきましたけれども、第二次の指定の候補となります特定外来生物42種類のうち、今回ご検討いただくアシナガキアリ、それからツヤオオズアリの2種を除く外来生物の指定につきましては、先ほど局長からもご報告しましたとおり、先週の14日に公布されたところでございます。その第二次指定につきましては参考資料の1につけてございますけれども、43種類というふうになっておりますのは、8月の時点ではシカ亜科というふうにまとめていたものにつきまして、指定対象の生物をより明確にするということで、便宜的に亜科の単位の指定を属の単位の指定に変更したため、1つのシカ亜科というものが4つの属、シフゾウは1属1種ですので、になったという技術的なものでございます。これらの生物に対しますパブリックコメントの結果につきましては既に委員の先生方にはお送りしておりますけれども、参考資料1-2の2枚目以降になります。
 それでは、資料2-1にお戻りいただきたいと思います。今回のアリ2種について専門家会合でご検討いただくこととした経緯をご説明したいと思います。まず、検討の背景でございますけれども、第5回の特定外来生物等専門家会合の後実施しましたパブリックコメントの中で、アシナガキアリとツヤオオズアリの2種につきましては科学的な情報とともに今回の指定を見送るべきとの意見が複数の専門家から提出されました。このため、全体会合の委員の皆様には昆虫会合においてこの2種の取り扱いについて再度検討を行うこと、それから、その他の候補については指定に向けた作業を進めることの2点につきまして文書でご相談させていただきまして、ご了解をいただいたところです。その後、12月8日に開催されました第6回の昆虫会合におきまして、意見提出者に対するヒアリングを行ったところです。意見の内容と、意見提出された先生方、専門家は2のところにございますけれども、指定はひとまず見送って、現在実施されている外来アリ類の生態とか分布拡大に関する研究・調査結果を待ってから判断するのがよいというものでした。
 これを受けまして昆虫会合としてのアシナガキアリとツヤオオズアリの取扱いについてですけれども、昆虫会合の結論としては、両種の指定を見送ることを今回の結論として、科学的知見の蓄積を待って、再度昆虫会合で検討を行うこととしたいということになりました。具体的な指摘に対する結論といたしましては、まず指摘のあった1番目の、両種は、比較的長い間南西諸島に定着しているけれども、これらは自然分布である、すなわち、意図的または非意図的に海外から持ち込まれた生物ではない可能性があるということ。それで、昆虫会合の結論としましては、両種とも外来種である証拠は現在のところないけれども、自然分布である可能性は低いと思われる(別途研究者によるDNA分析が予定されている)ということ。
 それから、指摘の2点目ですけれども、両種は、南西諸島の分布域においては、自然林の内部には分布していないことから、我が国では生態系に著しい被害を与えない可能性があるという点でございますけれども、昆虫会合の結論としては、海外での被害知見は尊重するけれども、南西諸島では古くから定着していて、自然林内部に侵入できていないという現在の国内の科学的知見を尊重するとともに、今後の研究成果を待って再度検討を行うということ。また、侵入した場合の影響が懸念される小笠原においては、総合的な外来生物対策として必要な対応を検討するというものです。
 指摘の3点目でございますけれども、本種の移動や飼養の規制については、地域の経済活動や本種の研究に大きな支障を及ぼす可能性があるということにつきましては、結論としては、非意図的な移動については、本法律の規制の対象とはならないけれども、非意図的な導入への対応策の検討は必要であるということでした。
 以上でございます。

【小野座長】 ありがとうございました。これについてのご意見、石井さん、どうぞ。

【石井委員】 一度上げた2種だったんですけれども、今ご説明のようにパブリックコメントにおいて、特に日本を代表するアリ学研究者からありまして、これについてはここでおわびしなきゃいけないのかなと思うんですけれども、昆虫類等専門家会合の中では、IUCNのワースト100ということでありまして、その被害の大きさということを考えて決めたものなんですけれども、ただ、疑義があると言われると、それについてはやはり対応しなきゃならないだろうということです。それで、直接パブリックコメントをいただいた専門家の方に3名来ていただいて、直接委員との間でやりとりを行いました。
 結論から言うと、慎重論を取ったということになるかなと思うんですけれども、1つは自然分布の可能性があると言われますと、外来種でないとこれを決めたら極端な言い方をすれば法律違反になるだろうということもあるかもしれませんし、ここは少し考えなきゃならない。それから、既に国内に分布しているということになりますと、これは被害の程度がどのくらいかというのをやはり見積もらなきゃならないだろうというご指摘も多分そうかと思うんですね。それで、お呼びした辻先生の簡単な調査によると、今のところ大きな被害はないのではないかというふうな指摘があったということで、この2つについて検討しまして、ここは少し慎重にいこうと。ただし、ちょっとこういう席で言ったら言い過ぎかもわからないですけど、かなり、相当黒に近い灰色という感じはありまして、永遠に取り下げたという気持ちは持っていませんで、現在、DNA等を使った系統解析等をやろうというものもありますし、被害解析についても研究者の中でやっていこうということもありますので、それらの結論を待ってもう一度昆虫類の方の会合を持たせていただいて、それで判断をしたいというふうに考えております。大体めどとしては1年程度お時間いただければなというふうな感じでおります。

【小野座長】 最初取り上げた種類でありますが、大変慎重に今議論をされております。これはこの基本方針の5というところに、ページ数でいきますと15ページのところにその他という項目がありまして、非意図的に導入される特定外来生物への対応の考え方ということが書いてあります。今、石井委員のご説明にありましたように、このアリは自然分布なのか、それとも意図的・非意図的導入なのかというところが分からんところもありますし、非意図的導入にしても、特に害というかそういう面がまだ明確でないということで、その2つのことから、これは現在のところ特定外来生物として指定するにはちょっと早いんじゃないかというご意見のようであります。
 はい、どうぞ。

【村上委員】 指摘の3の、本種の移動や飼養の規制は、地域の経済活動や本種の研究に大きな支障を及ぼす可能性があるという指摘の3がよくわからない。まず、地域の経済活動に、これ指定した場合にどういう影響が出るのかという話と、それから、研究で困るというのは、何か研究成果みたいな感じですけれども、この件もあわせて記載されていますが、その点についてどうでしょうか。

【石井委員】 事務局から。

【小野座長】 どうぞ。

【移入生物専門官】 まず、1点目の研究における支障というものでございますけれども、パブリックコメントの中で一部指摘があったんですけれども、一応制度について適切にご理解をいただいた後は大きな支障ではなくて、1つはアリに標識をして放すというような行為をやる場合には外来生物法の規制にかかってくるだろうと。ただ、具体的にそういう研究が計画されているということではなくて、可能性としての指摘ではありましたけれども、それ以外については適切に手続をとっていただくことで具体的な支障にはならないということについてはご説明もしてご理解もいただいたと思っています。
 それから、経済活動に対する支障ということの指摘は、基本的に例えば土砂を運搬することに伴って沖縄本島等ではかなり普通種というようなレベルで分布している種でございますので、入っている可能性が高い場合、建設作業そのものができなくなったりということがあるのではないかというご指摘だったんですが、基本方針の中で先ほど座長からご説明ありましたように、整理をしておりますように、非意図的な移動については本法の直接的な規制の対象とはならないということで、一定の配慮を指定をされることによって行政側として求めていくというようなことは当然あるわけですけれども、規制そのものとしては経済活動に支障をもたらす規制にはならないということで、ここについてもそういうご説明をいたしました。

【村上委員】 私も標識再捕が何か大きな、こつこつそれはできないというふうに書いてあったものですから、移動させないでその場で標識再捕することは、この法律の適用の中に入ってくると思うんです。それをどっかに移動させて何かして放すというのはだめです。その場でやることに対してはいいという私、判断してますけども、その辺のことがまず誤解してるなというお話と、この地域の経済活動に関してもかなり誤解していると思っています。それで、この指摘の3は僕は問題にならないと思います。したがって、指摘の1と2に関して科学的知見を詰めた上でするということ対しては賛成です。

【小野座長】 土木工事云々のところは、希少種を扱うという扱い方のときはそうかもしれませんけど、これは、いなくなった方がいいやつでございますから、そういうところ、ちょっと社会的疎外と言われるとちょっと理解しにくい部分が出てくるんですよね。だから、それは余り強調しない方がいいんじゃないかと思いますが。いずれにしても先ほどの石井委員のご説明で、とりあえず、これは当面ペンディングにして置いておいてもよろしいんではないかと私は思ったわけでありますが、ほかの方はいかがでしょうか。

【村上委員】 ちょっと1つだけ。3番のあたりなんですが、要するに、単にペンディングするんではなしに研究の蓄積を行ってという話ですから、この研究をやった結果が出たときに再度検討するということですね。それが1年後であるというふうに理解していいんですね。1年ないし2年とはいいませんけど。

【石井委員】 ちょっきり1年とは言いませんけど。めどに。

【村上委員】 かなり近い段階で出てくると。

【小野座長】 ありがとうございます。

【村上委員】 それを受けて。

【小野座長】 それは、まとめのときにちゃんと私も入れます。
 ほかにございますか。そろそろまとめ……。どうぞ。

【長谷川委員】 パブリックコメントの方の1-2のところに、本種が熱帯・亜熱帯性であることから、小笠原等へ侵入した場合の影響は確かに懸念されるとありますけれども、実際に本州への侵入の可能性とか、本州に侵入した場合の影響の度合いとかについてはどの程度検討されておるんでしょうか。

【小野座長】 本土の問題ですか。

【長谷川委員】 はい。

【移入生物専門官】 この2種については世界的にもう分布が亜熱帯地域以南に限定をされているということでございますので、本州において侵入して定着して被害をもたらすというおそれは余り高くないというふうに考えております。一部温室の中で本州で定着が確認されているという事例がありますが、そういう事例があることからも、逆にいえば本州で通常は定着はしにくいというふうに考えております。

【小野座長】 よろしいですか。

【長谷川委員】 はい。

【小野座長】 そろそろまとめてよろしゅうございますか。
 それでは、アシナガキアリ、ツヤオオズアリの2種については、パブリックコメントを受けた昆虫会合の検討結果を踏まえ、今回の指定は見送ることにいたします。ただし、研究成果の蓄積を待って再度昆虫会合でご検討いただくということはあるということでよろしゅうございますね。

(異議なし)

【小野座長】 では、それをまとめにいたしまして、この議題は終わります。ありがとうございました。
 では、時間もございますので、次の議題3に進みたいと思います。
 議題3は、外来生物に係る普及啓発の取組みについてとなっております。事務局から前回の専門家会合、8月5日でございましたが、以降の外来生物に関する普及啓発について取組みの状況を説明していただきます。よろしくお願いします。

【野生生物課長】 外来生物の普及啓発の取組みでございますけれども、資料3と、それから関連しまして2枚のカラーのチラシをお配りしているところです。ご案内のとおり、本年9月以降ですけれども、各地で蛇とかサソリなんかが野外で確認されてきたのが相次ぎまして騒ぎになっております。これら、ほとんどが外来生物法に基づく特定外来生物ではございませんけれども、外来生物の飼養・飼育の仕方について、捨てない・逃がさないという基本的なマナーを強く訴える必要があることから、環境大臣が談話を発表するとともに環境省でも各、いろいろ積極的に普及啓発の取組みを行ったところです。
 それで、資料2枚目でございますけれども、別紙1といたしまして、本年、秋以降に発見報道があった外来生物の事例をまとめているところです。それから、遺棄防止を呼びかける、この「捨てないで・逃がさないで」というチラシの裏をごらんいただければ9月30日に環境大臣談話を出しました、それが掲載されているところでございます。それから、外来のカブトムシ、クワガタムシでございますけれども、大量に輸入・飼育が行われておりまして、野外に遺棄されると在来の昆虫類に対して影響を与えるおそれが指摘されているところでございます。そのため、環境省では8月から9月にかけまして外国産のカブトムシやクワガタムシを野外に捨てないように普及啓発のためのキャンペーンを行いました。お手元の「そのカブトムシ、クワガタちょっと待って」というチラシでございますけれども、これを外国産のカブトムシなどを販売している専門店、ホームセンター、スーパー、百貨店に配ったところです。それから、先ほどもちょっと触れましたけれども、本年の10月から発足いたしました地方環境事務所が主体となりまして、今後積極的に普及啓発も進めていくことにしているところでございます。そのほか、資料3の3にはホームページによる普及啓発、それから、4に今申し上げた地方環境事務所における販売店への協力要請、5のところに各種の飼育の関係団体などに対する講演の実施を行っているという例を掲げているところでございます。
 以上で説明を終わります。

【小野座長】 ありがとうございました。これに関するご意見・ご質問等ございますか。
 どうぞ、村上委員。

【村上委員】 ここに書いてあることに賛成なんですが、ただ、ペットを捨てる人は大部分がもう持て余しているんですね。だから、アカミミガメに至っては20年生きますから、もう、私の知っている人も12年ぐらい飼いましたけれども、やはり持て余していたし。寿命が長いですからね。そうすると、こういうキャンペーンだけでは済まない。場合によっては飼育者より長生きする。そうしましたら、どこかに、私はどこかへ処理する場所をつくるべきだと思うんですよね。本人は絶対に殺さないんです。これは、僕はこのときは「僕のところ持っといで。僕が処理する」と言ったんですよね。これはやっぱりどこかにこういう処理することを考える、殺処分含めてですね、そういうことをどっかに持っていけばできるよというような形のことを、やっぱりそういうものをつくるべきだと思うんです。それはできないのか、こういうことです。

【小野座長】 これは質問と受け取ってよろしいと思うんですが、事務局、どういうふうにお考えでしょうか。

【野生生物課長】 1つはこのキャンペーンの中である生物を飼い始めるときに、それがどのくらい生き続けるものかということもしっかり知識として得た上で飼い始めてくださいということを言っています。それから、ほとんどの場合、殺さないというふうに、先生、ご指摘がありましたけれども、今、愛玩飼養については1代限りについて許可できるというふうな取り扱いで許可申請がたくさん出てきておりますけれども、それに飼えなくなったときどうするかという部分があって、ほとんどの場合自分の手で殺処分しますというふうに申請書には書いてありますので、基本的には飼育者の責任でやっていただけるのではないかというふうに考えているところでございます。

【村上委員】 そうしたらそのことも含めて書くべきだと思う。万一飼えなくなった場合には、放すのではなしに殺処分してくださいと。海外では明快にそういっています。だから、それはよく書くべきです。

【小野座長】 涙を流した絵はあるんですけど、殺された絵はないですよね。長いのは、それは両生・爬虫類長いやつがおりますから。

【村上委員】 カミツキガメは50年ですから。

【小野座長】 ええ。カミツキガメは長い。ガラパゴスゾウガメを飼っている馬鹿はおりませんけど、あんなもん飼ったら3世代か4世代生きてますから。
 はい、どうぞ。

【多紀委員】 今の話の関連ですけど、ちょっと変な例を出しますけど、例えばお酒の瓶とかビールの缶は、基本的には買ったところへ持っていって処分してもらうということですね。ペットはそこまではいきませんけども、でも、こういう場合にかなりペットショップというものの影響力というのは大きいんじゃないかと思うんです。それから、もう一つはペットショップの業界というのは、そうがちがちの組織力のある業界とは私は観察しておりませんので、そういう意味で環境省等が適当にうまくガイドされて、ペットショップの力というのを、組織的な力を引き出すような方策もぜひ必要なんじゃないかと。自分のところの、周りの子供なんか見ていると、結構ペットショップのおじさんというのは頼りになる人たちなんです。その辺のこともお考えになったらいかがかと思います。

【小野座長】 これは、質問というよりも意見として受け取っておきますが、自動車だってライフサイクルでちゃんと見られておりますから、やっぱりそういうことは要望としてはあり得ると私も思いますし、その点はひとつご検討ください。
 ほかにございましょうか。はい、どうぞ。

【石井委員】 クワガタもペットもそうなんですけど、これ、資料の3を見ると、例えば2番目の項目のところのパンフレットに関しては、専門店、ホームセンター、スーパーとか書いてありますけど、これ、学校現場というのはどんなふうになっているんでしょうか。一番気にしているのは昆虫なんかの場合はネット販売というのが結構多くて、専門店を通ってないというケースもあると思うんですね。その辺、もしもやってないようだったら学校現場での教育もお願いしたいと思っております。

【移入生物専門官】 学校現場につきましては、このチラシの、実際これの4倍ぐらいの大きさのポスターも1万部刷ったわけですけれども、そのポスターを都道府県を経由して協力いただけるところについては、小学校とか中学校、市町村役場等に配付をしております。ただ、1万部ですので実際行き渡らないというところがございまして、特にキャンペーンをやったのが8月末、ちょうど夏休みの終わりに合わせて子供がたくさん捨ててしまうというようなことをやるんじゃないかということで、その時期に一気に配付をしましたが、すべての小学校に行き渡っているという状況ではございません。

【小野座長】 いいですか。

【石井委員】 ぜひともこれから進めていただきたいというふうに思います。

【小野座長】 今のお答えでよろしいようですが。ほかの点でございましょうか。
 それでは、事務局、では委員の皆様のただいまのようなご指摘・ご意見を踏まえて、今後さらなる取組みを充実していただくことをお願いをいたしたいと思います。よろしくお願い申します。
 大体、本日はちょっと早く終わりましたんですが、参考資料1に、この2月1日から政令の施行が始まります、これは43種類になっておりますから数え方でありますけれども、前回の8月のときには42種類になっていたんですが、増やしたやつがありますもんですから43種類になっておりますけれども、これをごらんいただきまして、もう一度ひとつそれぞれの各専門家でこういうことになっているということをご確認をお願いいたしたいと思います。私なんかはひどいもんで、こんなにたくさんの種類のマルハナバチがおるのかと思ってびっくりしてリストを見ておったぐらいで、やっぱり専門が違うと違うなと思っております。
 どうぞ。

【村上委員】 参考資料の1のところに丸を書いて「特定外来生物等専門家会合において、第二次指定の対象とすることが適切であるとされた外来生物43種類について、12月14日に特定外来生物の指定を行った」と書いてありますね。ということは、この委員会の意見より先に決めているんですね。これは、どういうことなんですか。

【野生生物課長】 先ほど、ちょっと説明が十分でなかったかもしれませんけれども、8月5日の全体会合でアリ、今回のアリ2種も含めた42種類について指定することが適当だという結論をいただいたところでございます。その後、アリ2種についてはパブリックコメントが出てきて再検討の必要があるというふうに事務局としては考えたものですから、委員の先生方にアリ2種を除いたものについて指定をするということについて、文書で確認させていただいたところです。それに基づいて12月14日に政令の公布を行ったということでございます。

【小野座長】 その点は私も確認しております。だから、12月14日は別に早とちりではありません。ちゃんと確認とった上です。
 よろしいでしょうか。そのほか、委員の方から何かこの際ご発言いただくことがありましたらどうぞ。

【村上委員】 ちょっと待って。パブリックコメントを受けて変更するかどうかという判断はどこで行ったんですか。だから、僕が聞いているのは、この委員会できょう初めてそういうことについて出てきて、全体会合は、決定はたしか全体会合の決定で決めるでしょう。したがって、その会合の結論を受けて決めるべきなんです。そこがおかしい。

【野生生物課長】 文書で確認させていただいた中身というのは、アリ2種について昆虫会合で再度検討するということについてのご了解いただくということと、もう一つ、アリの検討を待っていると指定が遅くなるので、アリ2種を除いた、結果的に43種類になりましたけれども、それについては指定作業を進めると、その2点について確認させていただいておりますので、決してこの専門家会合の結論を得ずに進めているということではございません。

【小野座長】 いいんじゃないの。何か問題あるんですか。

【村上委員】 ちょっとだけいいですか。パブリックコメントを受けたときに、そのパブリックコメントが妥当であるかないかという判断をどこでしたかというところは、それじゃ、それは昆虫専門家会議が決めることでしょうか。必ず各種の専門家会合で決めることと、そのことを持ち寄ってここで決めるという判断ですよね。その辺のことを……。

【小野座長】 村上委員、ちょっと発言中申しわけありません。資料2-1の頭のところにそのことが書いてございました。

【村上委員】 わかりました。ただ、最終結論はここで出さないんですかという話なんです。だから、私の言っているのは、ここの昆虫会合でやったのは結構です。当然のことです。それで、それを受けて、それできょう初めてここの委員会に出て、2種類についてはペンディングしましょうという結論がきょう出た。

【小野座長】 今の事務局の説明は、文書で意見照会をして了承を得たと。

【村上委員】 それは専門家会合でしょう。昆虫でしょう。

【小野座長】 いや、専門家会合全部ですよ。

【村上委員】 すみません、僕、それ見落としてますね。

【石井委員】 3段落目に書いてある。

【小野座長】 3段落目を見てください。多分、思い間違いではないかと思うんですが。

【石井委員】 私の会合が暴走したわけじゃありませんので。

【移入生物専門官】 事務局からちょっとご報告したいと思うんですけれども、もともと専門家会合と全体会合ですべての決定をするということは村上先生ご指摘のとおりかと思います。もともと二次指定のフローの中で事務局からご提案してご説明をしていたのは、パブリックコメントを受けた結果について変更する必要等があれば必要に応じて全体会合を開催して最終的に決定しますということ。それから、もう一点は専門家会合の意見徴収は会合の形式によらずに行うこともできるというその2点については8月5日より前の段階で決まっていたと思うんですけれども、その2点のうち、つまりアリについては変更する可能性があるので切り離してまず昆虫会合で議論していただいてこの全体会合で最終的に結論を出していただくということと、残りの種についてはパブリックコメントの結果を踏まえて変更の必要性がないというふうに事務局で考えるのですが、念のため、その件についても、そのアリについてのお伺いをする際にパブリックコメントの結果をお送りをして委員の先生方にご確認いただいたというような、事務的な整理ですけれども、そういうふうになっておりました。

【小野座長】 この専門家会合の初期の段階で今のような手続については随分議論したのを覚えております。だから、今のところ、これは事務局はそのときに決められた手続はきちんと踏んでやっていただいているように私は理解しておりますので、今のこの、今度のパブリックコメントの取り扱いについても同じような形でおやりになっているのではないかと判断されます。
 それでは、ほかにございますか。何か、今日特にご発言したいということがございましたら。
 特にございませんようでしたら、以上をもちまして特定外来生物等専門家会合の今回の部分を閉会いたします。ちょっと早いですが、これで終わらせていただきます。