1 日時 |
平成17年8月5日(金) 16:00~18:00 |
2 場所 |
環境省第1会議室 |
3 出席者 |
(委員)小野勇一、石井 実、岩槻邦男、岡 敏弘、岡 三徳、勝山輝男、亀山 章、多紀保彦、武田正倫、村上興正、安川雄一郎(敬称略、50音順) |
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(環境省)自然環境局長、大臣官房審議官、野生生物課長、生物多様性企画官、自然ふれあい推進室長、移入生物専門官 |
(農林水産省)水産庁漁場資源課生態系保全室長、林野庁森林保全課森林保護対策室課長補佐、生産局農産振興課技術対策室課長補佐 |
4 議事概要 |
〔特定外来生物の選定候補種について〕
(事務局より資料を用いて説明)
<6分類群のグループ会合からコメント>
(哺乳類・鳥類)
- シカ亜科には全てにニホンジカとの交雑可能性がある。マスクラットは一旦拡大すると大きな被害を出すおそれがあり、分布が限られているうちに根絶すべきである。
- 今までは選定を急いでいたが、今後は選定の基準を明確にした方がよい。
- 特定外来生物の飼養等許可申請についてマニュアルを作ればよいという提案があった。
- クマネズミなど、海外から非意図的に導入されるものも今後の検討課題である。
(爬虫類・鳥類)
- シロアゴガエルを念頭に、選定に際し着目する特性として「特定の在来生物の主要な餌となるなど、食物連鎖を大きく変化させること」を追加した。
- ミシシッピアカミミガメは大量に輸入・飼育されているので、在来のカメと生息域が重なり雑食性であるという特性はあるが、指定に伴う大量遺棄のおそれを考慮して特定外来生物の候補に入れていない。
- ヒョウモントカゲモドキはクリプトスポリジウムの寄生が問題となっているが、爬虫類は広くクリプトスポリジウムに感染し、他の在来種に媒介する。この問題を広く普及啓発していく必要がある。
(魚類)
- 前回の会合で9種を指定候補として挙げたが最終的にこれらが候補とされた。
- カダヤシはまだ都市化による分布拡大の可能性があり、メダカに影響を与えていることから、指定候補に挙げた。
- ブラウントラウトは要注意外来生物リストに入れるという整理をしている。北海道において定着し被害が報告されているので、早急に指定すべきとの意見もあったが、漁業権等の問題もあり、見送りとなった。
(昆虫類等陸上節足動物)
- 特定外来生物については資料のとおり。種類名証明書添付生物のコガネムシ上科は数が多いが、幼虫などの識別が困難であるため。
(無脊椎動物)
- 以前の中間とりまとめの段階でのリストに追加がある。
- モクズガニは養殖もあり、逸出の可能性がある。
- ザリガニは農業被害がはっきりとは出にくいため植物防疫法による規制は難しいということなので外来生物法で規制をかける方向で調整した。種類名証明書添付生物が多く、専門家でも同定が困難な点が心配である。
- 貝類は、陸生の肉食性のものを規制するが、非意図的に導入されるものへの対策は難しい。
(植物)
- アゾラ・クリスタータはアイガモ農法に使われているアゾラ属の一種だが、今後も不稔性の雑種を使う道は残されている。外来生物の安易な利用に注意を促す意味でもクリスタータを指定する。
- 蔓延性植物は、防除が見込めるなど指定効果のあるものを特定外来生物の候補に選んでいる。
- 緑化植物については、3省の検討会や総合的取組みの状況を見つつ引き続き検討を行う。
- WRA(雑草リスク評価)の仕組みづくりも、第三次指定の際にはもう少し様々な情報を集めて取組みたい。
<6分類群からのコメントをふまえた議論>
- インドクジャクは定着による影響が偏在していることと学校での飼育が多いことを考慮し、指定は難しいと判断したが、今後、学校教育における外来生物問題全体として把えた検討も必要。
- 海産無脊椎動物が一種類も候補に入っていない。指定したいものもあるが、リスク評価が難しい。バラスト水条約などでの検討もあるが、非意図的に入ってくるものに対する考え方は、委員間に温度差がある。現実的にも実害が表に出てきていないので、現時点での指定は難しい。
- ムラサキイガイなどは生態系基盤の構造を変えてしまうので生態系被害はあると考えるが、定着の可能性、被害、指定の効果など、考慮する点はグループによって違いがあるだろう。無性繁殖などは大いに考慮する点だと思う。
- テナガコガネやクワガタはインターネット上でどのぐらい流通しているのか。
- (事務局)インターネット上で複数の業者が取り扱っている。外来クワガタはカブトムシと合わせ年に100万頭以上輸入されており、今年度はTVアニメの影響もありさらに増える可能性もある。
- テナガコガネ属の指定に伴い種類名証明書添付生物の数が増えるのは非常にいいことだが、環境省の今の体制では事務量が増えるのは大変だと思う。
- (事務局)種類名証明書添付生物は、輸入の際に証明書をつければすぐに通関できるもの。事実上、今でも植物防疫所でチェックしているので、今後も連携して取組みたい。
- 昆虫はこれまでアリしか選んでいなかったが、植物防疫の枠組みでは入ってしまったものへの対応ができず、現在の昆虫の輸入状況に対応できない可能性があり、今後外来生物法で扱うものを圧倒的に拡大しなければいけないかもしれない。
- オオキンケイギクとオオハンゴンソウは、花卉由来のものが蔓延したのか、ワイルドフラワー緑化から蔓延したのか。
- (事務局)オオキンケイギクはワイルドフラワー緑化が由来と考えられる。オオハンゴンソウはワイルドフラワー緑化以前から日光などで見られ、花卉栽培から逸出した可能性がある。
- 緑化植物に対しての各省庁の取組みは、いつ結論が出るのか。
- (事務局)具体的な調査は始まっていないが、各省の役割を調整している。利用実態把握、現地調査などを行い、結果を専門家会合にも報告しながら検討していきたい。
- 第三次指定の前に、選定基準づくりが重要だが、各分類群に共通の基準は見えてきたか。
- 共通の基準作りは難しい。現在各グループで議論されている考え方を詰めるのが先だと考える。
- 哺乳類については哺乳類学会が背景にあるが、鳥類には学会の検討体制が背景にあまり無い。体制を作るのが課題だと思う。
- 学会からのインプットはいいことだと思うので、すすめて欲しい。
- 事務局案の42種類を当会合で認めてよいか (よい)
〔未判定・種類名証明書添付生物について〕
- 挙げていけばきりが無いが、柔軟性を持って、必要があれば修正していけば良いと思う。事務局案を支持する。
- 各分類群会合で検討されてきたものであり、事務局案で良い。
〔要注意外来生物について〕
(事務局より資料を用いて説明)
- 第三次指定の検討の対象を、「被害に係る一定の知見はあり、引き続き指定の適否について検討する外来生物」16種に限るのはおかしい。それ以外のカテゴリーに入っているものも検討に含めるということにしてほしい。哺乳類・鳥類グループの第三次検討対象がインドクジャクだけではないということを確認したい。
- (事務局)資料4に、誤解を招く表現があるかもしれない。「被害に係る一定の知見はあり、引き続き指定の適否について検討する外来生物」は重点的に検討するが、それだけを第三次で検討するわけではない。
- 一定の知見があるものと無いものの線引きは端的に言うと何か。外来クワガタとアカミミガメの例で説明して欲しい。
- (事務局)外来クワガタは野外で交雑個体が見つかっているが、野外で交雑したものかどうか不明であり、懸念はされるが、明確な被害があるか分からない。アカミミガメは既に大量に飼育され、野外にも大量にいるので、これらによる影響は明らかという議論となり「一定の知見がある」とされた。
資料4は表現ぶりについてご意見があるようなので、それを踏まえて座長と協議し、委員に再度示したい。また、要注意外来生物リストについてはこのまま公表したい。
〔その他〕
- 学校教育における外来生物問題は、各グループで議論するものではなく、全体で議論するものと思う。文部科学省との交渉になると思う。
- 各グループで、学校教育に使われている生物を挙げて欲しい。
- 昨日の国際哺乳類学会でのシンポジウムで紹介されたフランスでの取組みは、欧米では市民の意識がかなり進んでいることを示している。文部科学省に話せばよいというものではない。
- (事務局)ここで御了承いただいた42種類について、直ちにパブリックコメントにかけたい。WTO通報も行う。外来生物法の施行から二ヶ月経ち、大きな問題はおきていないが普及啓発等課題は山積している。第三次の検討も時間はあるようであまりないので、引き続きご協力をお願いしたい。
(文責:環境省自然環境局野生生物課 速報のため事後修正の可能性あり)