1 日時 |
平成17年6月9日(木) 10:00~12:00 |
2 場所 |
霞山会館うめ・さくらの間 |
3 出席者 |
(委員)小野勇一、石井 実、岩槻邦男、岡 敏弘、角野康郎、小林正典、多紀保彦、武田正倫、村上興正、安川雄一郎 |
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(環境省)自然環境局長、野生生物課長、生物多様性企画官、自然ふれあい推進室長、野生生物課課長補佐、移入生物専門官 |
(農林水産省)林野庁森林保全課森林保護対策室長、水産庁漁場資源課生態系保全室長、生産局野菜課課長補佐、生産局農産振興課技術対策室専門官 |
4 議事概要 |
(事務局より資料を用いて説明し、質疑応答)
〔要注意外来生物リストの再整理・活用の方針について(案)(資料1-4)〕
- 「・・第二次の特定外来物の選定の対象としないものを要注意外来生物リストの対象生物とする」とあるが、「対象としなかったもの」としたほうがよい。また、在来生物等法律の対象外となるものは要注意外来生物の対象としないことも明記した方がよい。
- (事務局)修正する方向で書きぶりを検討したい。
〔外来生物の特徴と第二次選定に際しての留意点及び今後の検討の進め方について(資料1-5)〕
(各分類群専門家グループより、検討状況を報告)
(哺乳類・鳥類)
- サル、シカ、リスの交雑の危険性の判断は難しい。予防原則を基本にして継続して議論すべきとした。シカについては養鹿の現状把握を求めた。リス類は、指定した際の流通状況の変化等を予測すべきであり、飼養状況をしっかり把握するよう指示した。
- インドクジャクについては、生態系への影響のみならず、飼養状況などの情報の整理も事務局に依頼した。
- シリアカヒヨドリ(IUCN100)があがっているが、他にも多くの外来鳥類が国内で発見されている。指定すべきものと、指定しないものの線引きを明確にし、再整理する必要がある。
- マスクラットについて追加して検討することとした。
- 影響の大きさについては、基準を検討する必要性が指摘された。
(爬虫類・両生類)
- ペットや食用等として持ち込まれるもののほか、非意図的導入に係るものについても注意喚起を含めて積極的に対応する必要がある。
- カエル類4種(シロアゴガエル、コキーコヤスガエル、ウシガエル、キューバアマガエル)については、特定外来生物に指定する必要があるとして事務局案を了承した。このうちシロアゴガエルとウシガエルは既に定着しており、コキーコヤスガエルとキューバアマガエルは海外に被害の例がある。
- アカミミガメについては、自己再生産よりも大量遺棄により個体群が維持されている場合がある。現在年間100万匹程度輸入され、大量に流通しており、指定された際の遺棄の可能性から、議論の中では今回の指定は見送られた。
- ヒョウモントカゲモドキはクリプトスポリジウムに感染している個体が流通しているせいで、クリプトスポリジウムを広めている可能性が高い。この種自体が定着するおそれは低く、特定外来生物への指定は問題解決にならない。更なる注意の呼びかけが必要である。
- その他については事務局案を了承した。
(魚類)
- 検討対象種を3つのカテゴリーに分けており、選定の候補種としてはカダヤシのほか、スズキ目10種が入っている。これらは温帯域に生息し、釣りの対象となっており、国によっては輸入が制限されているところもある。
- スズキ目10種のうち、マーレーコッドとゴールデンパーチの2種は輸入が少なく、緊急性も低いほか、原産地のオーストラリアではレッドリストに入っている。事務局に整理をお願いすることとした。ブラウントラウトについては北海道に定着しており、指定すべきとの意見があった。利用の実態に関する情報収集を求めている。
- リストに入っていないが、カラドジョウについても検討すべきとの意見があった。情報を収集整理することにした。
(昆虫類等陸生節足動物)
- アリ類3種とテナガコガネ類を選定候補としている。アリ類はIUCNワースト100リストから選ばれたもので、会合の中で了承した。テナガコガネ類は、流通している外国のものが仮にやんばる地区に入るとたいへんなことになるので、今回指定しようということになった。
- チャイロネッタイスズバチ、ナンヨウチビアシナガバチについては実態が不明なので、事務局案のとおりとしている。
- クワガタムシ科は、早急に指定すると野外に大量に放されるおそれがあり、引きつづき注意喚起が必要であると同時にもう少し生態系への影響に関する情報が必要。クワガタムシ業者の側でも注意喚起の取り組みを行っている。
- チョウ2種については実態の把握が必要である。サカイシロテンハナムグリについては要注意外来生物リストに載せるかどうかの判断材料を集めるため、事務局に情報収集をお願いしている。
- セイヨウオオマルハナバチは、引きつづき小グループで検討を行う。
(無脊椎動物)
- 小野委員に、昆虫類等陸生節足動物グループに移っていただいた。
- 他のグループと違うのは、ほとんどが非意図的な導入であり、現実的に規制が難しいということ。
- ヨーロッパミドリガニとチチュウカイミドリガニは、分類がはっきりしない。指定するならどちらもということになる。
- ウチダザリガニとチュウゴクモクズガニは、委員から指定したほうが良いという意見があった。
- 要注意リストについて、植物防疫法との関係などを一般の人にも理解してもらえるような広報活動をするべきである。
(植物)
- 第二次選定のために2回グループ会合を開き、そのうち半分の時間を緑化植物と雑草リスク評価のヒアリングに費やした。
- 緑化植物については、環境省、国土交通省、農林水産省にて研究会を立ち上げた。個々の種を取り上げるのではなく、総合的に少し時間をかけて検討する必要がある。
- 選定の根拠となる客観的な基準作りのため、海外で行われている雑草リスク評価をどのように日本に適用できるか、事務局で検討の仕組みづくりを行う。また、それと並行して緊急性の高いものは特定外来生物への指定を検討する。
- 事務局案では今回10種あまりが選定対象種として挙げられている。
- スパルティナ・アングリカは世界的に問題となっており、中国でも広がっていることから日本に定着するおそれがある。指定して水際で防ごうという結論になった。
- アレチウリ、オオブタクサは仮に指定しても有効な手立てを講じるのは難しい。在来希少種への影響、既に行われている防除の事例等を集め、引きつづき検討を行う。
- オオキンケイギクとオオハンゴンソウについては、ワイルドフラワー緑化でどれだけ流通して広まっているのか、若しくは勝手に広まっているのか、情報を収集して引き続き検討する。
- 最終的には10種近くが指定候補となる可能性がある。
(各グループに対する質問、意見交換)
- 緑化植物の検討は、緑化植物としての枠組みで進める以外にも、既に侵入して問題となっているシナダレスズメガヤなど、急速に増えているものを種で指定する必要があると思う。
- 緑化植物の種での選定も選択肢の一つであるが、それだけでは問題は解決しない。関係省庁の研究会でも早く結論を出してもらいたい。
- 侵入初期で、まだ拡大していないものを止めることも必要。輸入量や分布などによりランク付けして、必要なものは現在行われている防除を支援する意味で指定して欲しい。
- 賛成である。個別の議論をおろそかにはできない。一罰百戒ということ。ハリエンジュやシナダレスズメガヤの名前を出しておくことも大切かと考える。
- (事務局)研究会では緑化植物について代替方法なども検討しつつ、経過を委員にも報告していくが、利用実態の把握や用途を整理していきたい。個々の種についても被害実態を把握していく必要があると思う。
- 研究会の結論を早く出して欲しいが、並行して、代替のあるものは指定できるはず。有効な手立てを考えて欲しい。
- 無脊椎動物は、意図的に導入され、しかもまだあまり侵入していないものに重点を置くべきである。流通経路別に仕分けを行うことを提案する。
- 非意図的に侵入するものを防除するのは難しいが、チュウゴクモクズガニ、ウチダザリガニは意図的に入っている。しかし、チュウゴクモクズガニの食用を否定した場合の社会的影響はどうなるのか。
- (事務局)指定されれば、生きたままの運搬等は禁止になるが、生業の維持ということであれば、許可を取った上で可能になる。一律全て禁止というわけではない。
- ウチダザリガニには漁業権があるほか、ペット業界でもザリガニを入れている。ヤビーなど、一種だけを指定しても他のザリガニが沢山いるのでしょうがない。意図的に導入されるものへの対策を早くしなければと思っている。
- 逃がさないようにとの条件の下、との話があったが、信用できない。スクミリンゴガイも、逃がさないようにとの条件があったが結局広まってしまった。
- カダヤシも、人為的に放されることがあり、指定する意味はあると思う。
- カダヤシは、素人にはメダカと見分けがつきにくいという問題がある。
- アメリカザリガニは既に日本の生態系に組み込まれているという可能性もある。
- アメリカザリガニは、もともと日本にいなかった種であり、必ず在来の生態系に影響があるのだから、取り除いていけばいい。
- ミヤコグサを食べているシルビアシジミが、今では外来生物のシロツメクサに依存している例があり、外来種を一律に排除するには悩ましい部分もある。
- その場合は、まずミヤコグサを復活させたほうが良い。すでに定着しているものを取り除くと影響があるというが、明確な例がない。
- 問題は、既に蔓延していて、いまさら指定してもしょうがないもの。根絶はまず不可能だが、不可能だからといって指定してはいけないのかどうかの態度をはっきりさせる必要がある。私は悪いものは悪いとして指定するほうがいいと思う。
- 外来生物法では、飼養等の禁止をしているのであって、既に入ったものをどうすればいいのかは分からない。マネージメントをどうするかという問題である。
- (事務局)制度上、既に蔓延しているから指定しないということはない。対策が具体化していなくても指定するということはありうる。指定することによる短期的な影響、長期的な影響、防除の効果、それが全部考慮に入って議論がぐるぐると回っている。事務局として、クリアに整理したいという気持ちはあるが、実際にはそんなにクリアには行かず、原則と例外の問題が常に出てくる。原則を詰める必要がある一方で、専門家がその場で何が良いと判断するかを行政も受け止めていく。ひとつひとつを積み上げていくことで、基準がみえてくるということもあるのではないか。
- 科学的な基準と、社会的な基準があり、総合的に判断しなくてはいけない。
- 外来生物問題を、ビッグサイエンスにする必要がある。
(その他)
- 資料の表記について、1属3種などの表現は、1属のうちに3種いるのか、との誤解を生むので改めたほうが良い。
〔外来生物法の施行状況について(資料2)〕
(事務局より、資料2に基づき説明)
(文責:環境省自然環境局野生生物課 速報のため事後修正の可能性あり)