1 日時 |
平成17年1月31日(月) 10:00~11:30 |
2 場所 |
経済産業省別館8階825会議室 |
3 出席者 |
(委員)小野勇一(座長)、石井実、太田英利、岡敏弘、岡三徳、亀山章、小林正典、多紀保彦、武田正倫、村上興正 |
|
(環境省)自然環境局長、大臣官房審議官、野生生物課長、生物多様性企画官、野生生物課課長補佐 |
(農林水産省)水産庁生態系保全室長、林野庁森林保全課課長補佐、野菜課課長補佐 |
4 議事概要 |
<セイヨウオオマルハナバチ・オオクチバス以外の特定外来生物等の取扱いについて>
- 第2次・3次指定とあるが、指定の厳しさのランクは下がるのか。
- (事務局)時期が異なるだけであり、内容は変わらない。
- 生態系被害の防止が第一義である中で、科学的知見があっても選定されていないものがあり、指定された後をどうするか、今後も継続して行うことが重要。植物については陸上のものも入れるべきであり、不満が残る。科学的知見の充実と利用者との話し合いの機会を増やすべきである。
- 科学的知見は今後に期待したい。また、今回指定されたものについてもアフターケアが大事。
- 今回の指定は非常に短期間で行われており、あえて指定するべきもののみ指定した感もあるが、今後、知見を集めていくことによって、指定する必要があるものも出てくるだろう。出来るだけ早急に次の指定の機会を設けて欲しい。
- (事務局)第1次に続いて、第2次・3次も指定を行っていく。要注意生物については今後も情報収集を進めていきたい。
- 意欲的に推進するということを言ってもらって力強い。
- 要注意生物リストについて、植物については意図/非意図、園芸/緑化などの分類が行われているが、例えば緑化に含まれる生物について牧草に利用されているという実態もあり、整理が必要。
- 無脊椎については提示された要注意生物リスト自体が良くないということもあり、代替案を提示したが、今回のリストには反映されていない。植物だけに意図/非意図、園芸/緑化という分類があるのはおかしいと思う。それに加え、良い分類が出来ているので、改めて話をする機会があると思う。
- (事務局)要注意生物リストについては、いろいろな整理があることもあり、未だ十分な検討が出来ていない。引き続き検討を進め、知見を深めていきたい。
- 両生類・爬虫類はその指定に係るメリット・デメリットで議論を行った。例えばマイクロチップの埋込や受入の体制等に様々な懸念がなされた。特にペットとしての飼養が多いものとして、哺乳類・鳥類や魚類については、どのような議論を行ったか。
- 哺乳類・鳥類について、議論のファクターとしてアライグマ等につき遺棄の話はしたが、それのみをを取り上げての議論はしていない。
- 魚類については、観賞魚として飼われることが多い。沖縄の熱帯魚など注意深く観察してくべきとの議論があった。
- 飼養動物の管理のあり方という中で、マイクロチップの話などをすべきだと考えている。
- 例え個体が小さい場合でも埋込の方法はあると思う。そのような検討を今後ともしていくことが必要。
- セイヨウオオマルハナバチ・オオクチバスを除いた特定外来生物等の指定については案のとおりで異議なしと認める。
<セイヨウオオマルハナバチの取扱いについて>
- 事務局の説明のとおり。データが不足している。指定するかどうかも含めて1年間かけてやっていきたい。1年間で確実に指定する、というわけではない。
- 小グループの結論は指定を前提としているのか。
- 否。指定するかどうかについての検討をする。
- NHKの報道にもあったとおり、本件については社会的関心が高まっている。一方、逆に難しい問題でもある。
- 1年程度を目途に、というのは1年後くらいに結論を出すということか。
- 1年間延長戦をやる、ということである。
- 指定するかどうかの決め手は何か。
- 影響データや法規制の実効性。後者については具体的には、ネット展張や巣箱回収のコストがどうなるか次第。
- 実効性について、不確実な情報は何か。
- 農家の間に本問題の認識が普及しているか、コストについての覚悟ができているかなど。
- 影響のすべてについて、野外では証明されていないということ。この程度に知見があるのなら予防原則に基づいて指定すべきと私は思っている。今指定に必要と言われている程度に知見を求めるのでは時間がかかりすぎる。
- 私の理解は、ネットの展張が技術的に望ましいことは明らかであるが、その普及に1年かかる、というもの。それでよいか。
- ネット展張をするとハウス内の温度が上がる。こういった技術的な検討も必要。
- 方向性としては「怪しいぞ」ということでよいか。1年以内に指定を目指すということか。
- 議論の俎上に上がっている段階で「怪しいぞ」ということ。昆虫会合の座長として慎重な発言をしている。
- 哺乳類についてはそこまで議論を詰められるものはない。
- 哺乳類と昆虫類は分類レベルが違う。昆虫会合の座長の発言を活かすのがよいのではないか。
- 特定外来生物の指定の検討について議事録を読んだが、影響で決定的なものが見つかるかどうかがポイントだろう。見つかれば、1年以内に指定をやってもよい。
- 資料案のとおりの整理でよいか。(委員了承)
<オオクチバスの取扱いについて>
- 小グループを設置して4回開催してきた。19日(第4回)の会合でペーパーをまとめた(資料3-4)。この結論は要するに、オオクチバスは人為的に分布が広まっている。一方で、釣人は多い。ただし、本法は釣りやキャッチアンドリリースを禁ずるものではない、ということ。しかし、釣りやキャッチアンドリリースを禁止するものではないという点については十分広まっていない。そのため、合同調査委員会を作って実際の防除の検討や一般人へのPRを行い、半年以内の期間で検討を進める、というもの。(委員へ配布された)参考資料(過去の議事録)の69ページの一番下の「その他」の部分に、「半年を目途に・・・」という記述があるが、ある委員が補足したように今回の結論はただの先送りではない。積極的に議論するもの。1月21日の魚類会合では、一部の委員から「半年」という整理は理解できる、という発言があった。一方、多くの委員の間ではただちに指定すべき、という意見が占めた。生態系の専門家からは、科学的知見は既に十分であるという発言があり、小グループでは「防除を念頭に入れて半年」という苦渋の選択がなされた。今日は、小グループと魚類グループの見解の両方を材料にして議論を進めてほしい。
- 新聞報道によれば、大臣の発言で方針が変わったということだがどういうことか。
- (事務局)まず指定すべきとの考えを明らかにされたが、同時に専門家としての議論、結論を見守りたいとの趣旨の話であった。
- 指定を決めた、と書いてあるがどうなのか。
- (事務局)専門家会合の結論を踏まえて決めていくということに変わりはない。
- ここで結論を出せば、そのとおりにするということか。
- (事務局)専門家会合で議論していただき、結論を出していただきたい。その結論が尊重されるのは、通常の審議会のプロセスにおけるのと同様である。
- 責任ある者がパッと言ってしまったが、私は大臣に対し、慎重さを要望しておきたい。この会合と大臣の発言は関係ない。
- 半年という期間は短いと思っている。半年置く、というのは周知のためか。
- まずは指定すべき、という議論もある。一方、指定を視野に入れつつ防除を検討し、スムーズに施行すべき、という意見もある。半年という期間は生態研究ではない、既にかなり生態データはある。
- 釣り業界との調整に半年かかる、ということではないということか。
- 大臣の発言は正しいと思う。ただし、もっと調整できたらよいと思った。オオクチバスについては被害が顕在化している。狭い水域はともかく、広いと証明しにくい。科学的知見があれば「顕在化」とすればよい。密放流防止には指定は有効である。早急に指定すべき。防除はマングースでもいろいろな問題がある。防除に問題あり、とすると指定までに5-10年かかってしまう。それを横並びにすると他の生物も指定できなくなる。
- 法律の規制の適用には透明性が重要。観点は、[1]被害の有無と[2]社会・経済影響のはずで、セイヨウオオマルハナバチについては[1]がはっきりしていない、さらに[2]については1年で緩和できる見込みがある。そのため1次指定をしない点は理解できる。一方、オオクチバスについては[2]がはっきりしない。あるとすれば釣人の心情ということだろうが半年で解消できる問題とは思えない。また、レクリエーション業界への影響ということについても、本法では釣りやキャッチアンドリリースを禁止しないから直害はない。将来的にオオクチバスが減ればバス釣りが減るから影響が出るかもしれないが、その点は半年待っても状況は変わらない。「半年」について法的にさしたる根拠が見当たらないのではないか。
- (事務局)小グループの報告の要旨は、防除の準備をするために半年必要、ということ。
- 影響が半年間で緩和できる、というならともかく、防除計画を定めるために半年必要、という理屈は分からない。
- 合同調査委員会の意義は何か。
- (事務局)関係者が一致団結して協力して防除をやっていくために、合同調査委員会を設けて検討しようというもの。
- 合同調査委員会を作る、ということか。
- (事務局)今日の結論次第だが、いずれにしても防除を検討していくことは必要と考えている。
- 合同調査委員会を作るという前提で考えたい。小グループ・魚類グループともねらいは全然違うようで実は違わない。被害については、地域的な絶滅をもたらし得る状況にあり、在来生物の生息などにも影響を及ぼし得る。データがかなりそろっている点については委員間で共通認識があると思う。防除の考え方をどう整理するかはなかなか難しい。対象の絶滅を目指すとなかなかうまくいかない。被害をどこまで抑えるかがポイントだ。その点、法的規制をかけておくのが大事ではないか。一方、社会的影響については、4湖に漁業権が設定されておりただちに取扱いをやめるわけにはいかない。次のようにまとめたい。「オオクチバスについては、その生態系等に係る被害を防止することは喫緊の課題であり、特定外来生物に該当するものと考えます。よって、第一次の指定対象に含めることが適切であると考えます。なお、既にオオクチバスが広範に分布している実態に鑑み、防除をどうのように進めていくかについての早急な検討が重要であると考えます。」こういう整理でオオクチバスを特定外来生物のリストに含めたいと考えるがどうか。(委員了承)資料の「○」の部分を数字として確定したい。1科4属32種(37種類)ということでよろしいか。
- 一般の方に「種」と「種類」の違いは分かるのか。
- ここは「種」と「種類」で混在している。ここはまとめた方がよいのでは。
- キョクトウサソリは600種以上ある点を心配している。
- この点は最初からどうしてよいかよく分からなかった。確信犯的にちゃんと混在して書いてある。
- (事務局)600種と書くとかえって誤解を生むので、サソリは1つの種類として認識をしている。
- これで案をまとめてよろしいか。オオクチバスについては、「広範に分布している実態に鑑み、防除をどうのように進めていくかについての早急な検討が重要である」という文言を加えたい。
- 抜粋ではなく。さきほどまとめとして発言された全文を入れるべきでないか。
- そういうことで資料3-1の添付資料についてもよろしいか。
- オオクチバスの情報が入っていないので座長の方で整理をしてほしい。
- 了承。
<特定外来生物等専門家会合の今後の進め方について>
- 今後は各グループが指定の決定をするのか。私は今回のやり方と同じように、あくまで各グループ会合から案の報告を受け、それを全体会合で決定すべきものと考える。
- (事務局)基本的にはそのとおりである。ただし、未判定外来生物の判定については6か月という短い期間ということもあり、毎回全体会合を開催し委員の方々に招集していただくことが難しいことも考えられるため、その場合は、文書やメールを回付することにより御意見を賜れればと考えている。
- 未判定外来生物の判定については、委員の中だけでなく、それ以外の専門家にも聞ける体制として欲しい。
- 魚類も個別の飼養しているなど、委員だけでなく専門家というかヒアリング制度にしていただけたら、ありがたい。
- (事務局)いただいた御意見を踏まえ、修正したい。
(文責:環境省自然環境局野生生物課 速報のため事後修正の可能性あり)