特定外来生物の解説
- 和名
- カダヤシ
- 科名
- カダヤシ(Poeciliidae)
- 学名
- Gambusia affinis
- 英語名
- Western mosquito fish
- 原産地
- 北アメリカ(ミシシッピ川流域からメキシコ北部まで)
- 特徴
- 全長は雄で3 cm、雌で5 cmほど。メダカに似るが、体がもっと青っぽく尾鰭が丸い。また、グッピーの雌よりもカダヤシの雌の方が尻鰭に対して背鰭が後方に位置する。
水田と用水路のほか、平地の池沼・湖、河川下流で流れが緩やかな場所に生息する。比較的汚濁に強く、また、海に連絡し海水の混ざっているような水路にもみられる。昼行性で、雑食性である。水面に落下した小さな昆虫、動物プランクトン、植物プランクトン、糸状藻類を食う。また、自種も含め、仔稚魚も食う。
卵胎生で、交尾により体内受精し直接仔魚を産むため、特別な産卵場所を必要としない。 1腹の仔魚数は最大で300程度であるが雌の大きさや個体群によっても異なり、東京では体長4 cmの雌で100程度である。 産仔期間は長く、東京で5~10月。成熟は早く、5月に生まれた個体がその年のうちに産仔する。 - 定着実績
- 日本へは1916年にはじめて台湾島経由で導入された。分布域は1970年頃まで比較的限られていたが、蚊の幼虫退治のため東京から徳島へ移植され、徳島県で増えたものがさらに東日本、西日本の各地へ放流されて広がった。現在は、福島県から沖縄県にかけての各地に分布する。
- 平成21年度までに個体が確認された地点図
- 被害状況
-
■生態系に関わる被害
- 北アメリカ原産で冬の低水温にも耐えることが可能で、汚濁にも比較的強く、また特別な産卵場所を必要としないので、都市近郊の水田や用水路、池沼などに定着し、近年の都市化に伴ってさらに分布を拡大するおそれがある。
- 沖縄県の河川や水路などでは、カダヤシがメダカに置き換わるなどの事例が報告されており、攻撃性の強いカダヤシがメダカを駆逐しているおそれもある。
- 水槽内実験によると、カダヤシがメダカの尾鰭を食いちぎったり、メダカの仔魚を捕食したりするなどして、メダカと競合し、駆逐することが示されている。
- 取扱い上の注意
- -
- 備考
- ボウフラ退治を主目的として、ハワイやカリフォルニアなどアメリカ国内ばかりでなく、カナダ、東南アジア、ニュージーランドなど世界各地に導入され、現在では熱帯から温帯に広く分布している。
世界各地では、卵生、胎生を問わず、土着のメダカ類、カダヤシ類等を駆逐しつつあり、IUCNの「世界の侵略的外来種ワースト100」及び日本生態学会の「日本の侵略的外来種ワースト100」に選定されている。
※ 通称につきましては、必ずしも正確なものではない可能性もありますので、ご注意ください。
※ 被害状況につきましては、代表的な事例を挙げています。