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講演会等

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平成20年度エコツーリズムフォーラム

JATA世界旅行博2008エコツーリズムフォーラム開催記録

○テーマ:「地域のエコツアー商品をいかに流通させるか」〜実践から流通へ エコツーリズム推進のための新たな一歩〜

○開催日時:平成20年9月20日(土)10:00-16:50

○会  場:東京ビッグサイト会議棟1階
レセプションホールA

○主  催:環境省、社団法人日本旅行業協会

○協  力:NPO法人日本エコツーリズム協会

○参加者数:約330名

○プログラム:

司会:小林 寛子 氏
NPO法人日本エコツーリズム協会 理事)

平成20年度エコツーリズムフォーラム

【第一部】

『環境省によるエコツーリズム推進方策について』

環境省自然環境局総務課自然ふれあい推進室長 岡本 光之

基調講演「『いいことばかりではない、でも悪いことばかりでもない』〜エコツアー事業の経営者としての365日〜」

(株)知床ネイチャーオフィス 代表取締役 松田 光輝 氏

【第二部】

基調講演「『エコツアーの地域の窓口』〜コーディネーターがいるとこんなに変わる〜」

(株)南信州観光公社 代表取締役 高橋 充 氏

パネルディスカッション「地域のエコツアー商品はどうすれば流通するか」

環境省によるエコツーリズム推進方策について

岡本 光之 氏(環境省自然環境局総務課自然ふれあい推進室長)

◆岡本氏からは、エコツーリズム推進法の概略や、環境省の取組みをご説明いただきました。

この法律で国の役割は基本方針を作ったり、技術的な助言をすることです。主体はエコツーリズムをやりたいと思う市町村であり、理念に基づいて環境や文化を守りながら推進することを、支援するための法律なのです。環境省としては、地域を3タイプに分けたモデル事業や、地域の協議会がまとめたエコツーリズム推進全体構想を認定し、積極的なPRを行っています。

岡本光之氏

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基調講演 ただいま奮闘中 〜エコツアーの現場から Part1〜『いいことばかりではない、でも悪いことばかりでもない』〜エコツアー事業の経営者としての365日〜

松田 光輝 氏((株)知床ネイチャーオフィス 代表取締役)

◆松田氏からは、地域の自然資源を守りながら、あえて株式会社として経営を継続していくご苦労や工夫などを、実際の経験を交えて語っていただきました。

エコツーリズムを始めたきっかけは、知床を守っていく上で、単に人を制限するのではなく、地域にきちんとしたルールやマナーが必要だと思ったからです。

また、地域の資源を活かした経済活動を進めることによって、地域の経済も潤い、かつ自然も守ることが可能だと考えています。

オフ期にも知床で生活が成り立つよう、会社の経営にも様々な試みを取り入れています。

エコツーリズムはサービス産業であると同時に情報産業であると捉え、マスメディアと提携して情報提供による収益も上げています。また、地域の情報発信を担っていることも意識し、年間契約でホテルにツアーデスクを置いています。

子どもへの環境教育も重要と考え、地元の子どもへの教育や、未来のエコツーリスト育成のために修学旅行なども対象に活動しています。 エコツーリズムの推進には、地域固有の素材も大切ですが、まずは人と人とのつながりが不可欠です。そしてあきらめることなく継続する努力が実を結ぶと考えています。

松田光輝氏

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基調講演 ただいま奮闘中 〜エコツアーの現場から Part2〜『エコツアーの地域の窓口』〜コーディネーターがいるとこんなに変わる〜

高橋 充 氏((株)南信州観光公社 取締役支配人)

◆高橋氏からは、出身地ではない飯田市でコーディネーターとなった経緯やその役割、また南信州観光公社の設立から維持・発展への軌跡を語っていただきました。

南信州でやっている体験プログラムのコンセプトは、実際に生活・生産している方がインストラクターになることで、本物の体験をしていただき、そこに学びや発見、感動が生まれる、ということです。

また、継続性を伴ったコーディネート組織が窓口となることで、客側・受け入れ側双方の意識を高め、不安を解消するよう対応します。そして地域に広く呼びかけて、全体を一つにまとめたり、自立した運営をできる様に考えています。結果的に関わっている人たちが主体的に考え動いて下さる中で、8年経過して何とか緩やかな形でつながった形が出来てきました。

事業性を考えた時、受け入れ先のキャパシティやプロモーションも非常に重要です。地域の事情もきちんと理解していただき、譲れない一線は守った上で継続していくことで、地域の信頼や連携が維持発展されていると思っています。関わる人こそが最高の財産であることを実感しています。

高橋充氏

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パネルディスカッション 「地域のエコツアー商品はどうすれば流通するか」
〜地域の事業者、観光協会、旅行会社に求められるもの〜

■コーディネーター 長崎県観光マイスター/(社)平戸観光協会会長 籠手田 惠夫氏

■パネリスト (株)知床ネイチャーオフィス代表取締役 松田 光輝氏

(株)南信州観光公社 代表取締役支配人 高橋 充氏

(株)ジェイティービー旅行事業本部地域交流ビジネス推進部長 加藤 誠氏

稲取温泉観光協会 事務局長 渡邊 法子氏

WWFサンゴ礁保護研究センターセンター長 上村 真仁氏

環境省自然環境局総務課自然ふれあい推進室長 岡本 光之

◆エコツアーが営業的に成り立ち持続していくことと、自然環境の保全にまで配慮したルールやガイディングのあり方を、どう両立させ、循環させていくか。地域資源の特質により事情は様々で、問題は多岐に渡ります。

自然環境への配慮、観光振興への寄与、地域振興への寄与、環境教育への活用という理念の基で、エコツーリズムをどうやってビジネスとして成立させるか、現場で実践されているそれぞれの信条や体験を語っていただきました。

パネルディスカッション

◆加藤氏から、近年旅行会社は、地域との関係を密にして着地型商品を展開する方向へ変わってきている。地域経済を活性化することによって、自然資源の保全へと資金が循環していく仕組みを進めており、ITの利活用による地域情報発信のシステム化にも取り組んでいる。地域のエコツーリズム従事者にも積極的に旅行会社の門をたたいて欲しい、とお話いただきました。

◆地域から事業を推進する立場として、渡邊氏からは、観光素材を見つけ出し、ブラッシュアップして商品化し、集客して事業として成立させるまでの全てを、地域住民が担うことこそが継続するための根幹なのではないか。地域を良くしていきたいという住民の思いを実行に移すには、きっかけを作るための場や枠組みがあれば良いのではないか、とご自身で推進された事業の実例とともに語っていただきました。

◆自然保護団体とエコツーリズムの関わりという観点からは、上村氏から、伝統的な自然との関わりの中で生態系が維持されてきたことも踏まえ、ビジョンを作るだけでなく、それを実際に動かし継承していく人づくり、組織づくり、産業づくりが重要と捉えている。また、地域の自然・文化特性を十分に把握し、地域住民が納得する形で保全と利用のゾーニングをしながらエコツーリズムに取り組むことは、環境保全上も有効だという意見をいただきました。

◆次に、エコツーリズムを事業展開するために必要な組織づくりや地元の方との関わりについて議論を進めていきました。松田氏からは、どこで生まれ育ったかではなく、その地域で責任を持って生活をすることが必要との意見が出されました。高橋氏からも、信頼され協力し合える様になるには、熱意を持って継続していくことが大切だという経験が述べられました。

◆ルールづくりの遅れや情報提供システムの欠如が指摘される地域が多く、地元からの情報を伝達する仕組みを作ることが重要との問題も提起されました。 一方で、受け入れ側も個人への対応や付加価値の検証など、新たなビジネスチャンスを拡げる努力をしなくてはならないとの意見も出されました。

◆環境省自然環境局総務課自然ふれあい推進室長岡本氏より環境省の取り組みについて紹介がありました。エコツーリズム基本方針前文にある「エコツーリズムは今、薄れてしまっている人と自然のつながりを取り戻すものであるということと、人と人とのつながりを取り戻すものでもある」ということを再認識しました。地域全体で関わってうまく繋がることこそが、地域の再生・発展に寄与するきっかけとなり得るのだと思っています。

◆最後にコーディネーターの籠手田氏より、エコツーリズム推進法の制定や観光庁の設置を踏まえ、今後ますます各地域が独自の伝統文化や人的資源を、日本のみならず世界中に発信し、観光立国として取り組んでいけるよう展望を語っていただきました。

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