ページの先頭です。
エコツーリズムのススメTOP >  推進法認定団体 >  下呂市エコツーリズム推進協議会 > 1.下呂市ではどのようにエコツーリズムに取り組んでいるのですか?

エコツーリズム推進法

ページの本文です。

1.下呂市ではどのようにエコツーリズムに取り組んでいるのですか?

地域の概況

下呂温泉街写真

下呂温泉街写真

岐阜県下呂市は県の中東部に位置し、北は高山市、南は加茂郡、西は郡上市、関市、東は中津川市と長野県に接しています。平成16年3月に当時の益田郡5町村(小坂町、萩原町、下呂町、馬瀬村、金山町)が合併して誕生しました。総面積は851.21k㎡で、そのうちの約9割が山林です。市内のほぼ中央を飛騨川が南へ、西には清流馬瀬川が流れ、御嶽山をはじめ河川の両側に山並みが迫り、飛騨木曽川国定公園や岐阜県立自然公園なども位置する生物多様性に富んだ自然豊かな地域です。市内の標高差は2,800mもあり、御嶽山などの火山からの溶岩が複雑な地形を形成し、そこに様々な美しい景観や暖温帯と冷温帯の境目(移行帯)の森など、植生の多様性を生み出しています。御嶽山のハイマツ帯に住むライチョウやカラマツ林で生活する日本固有種のヤマネ、「生きた化石」とも言われる馬瀬川のオオサンショウウオ、枝が下に向かって伸びる竹原のシダレグリ、種が左巻きになる玉龍寺のカヤの木など後世に残していかねばならない貴重な動植物などの自然資源が無数に存在しています。また、市内は古くから貴重な街道があり、その一つとしてある飛騨街道沿いにはいくつもの宿場町が形成され、今なお貴重な文化資源が点在しています。さらに、1000年以上の歴史を持つ「日本三名泉」の下呂温泉や国民保養温泉地に指定されている飛騨小坂温泉郷など、名だたる温泉地も有しております。年間を通じて約110万人の宿泊者がある日本でも有数の観光地となっています。


現状と課題

下呂市の年間宿泊者数の9割以上が下呂温泉に集中しています。団体旅行から、それぞれの興味が動機となる体験個人旅行へと観光スタイルが変化していくなかで、下呂温泉も団体旅行の受入のみならず、個人旅行の取り込みにも積極的に取り組んできました。昨今では、地元住民との触れ合いや自然・文化の体験が求められるようになり、それらへのニーズが高まっています。また、近年、外国人旅行者も増加していく中で、地域固有の自然・文化資源を活かしたツアープログラムに基づく着地型観光への対応が求められています。このような状況の中で、平成27年度に第2期下呂市観光計画を策定し、着地型観光の推進を目指し国内外の来訪者を対象とする自然・文化資源を積極的に活用した体験観光の推進にも力を入れています。たとえば、「小坂の滝めぐり」や「天領酒造の酒蔵見学」、「馬瀬里山ミュージアムガイドウォーキング」、「飛騨金山宿筋骨めぐり」など、地域の固有性に基づく様々なツアープログラムが生まれています。

しかしながら、これらのツアープログラムの実施における貴重な自然・文化資源、さらには里地・里山・路地裏などの生活資源の利用については、統一的なルールは今のところ確立されておらず、今後、フィールドへの立ち入りのため動植物やその生息域への影響が出たり、また、生活空間においては私有地への立ち入りなどにより観光事業者・観光客と地元住民との間で軋轢が生まれる可能性も考えられ、持続可能な資源の保全と利用に様々な問題の発生が危惧されています。このため、地域の活性化を図りつつも、同時に資源の持続的な保全と利用を目的としたガイドラインの設定や、環境への配慮を促す観光推進のシステムを構築し、持続可能性のある観光まちづくりを目指す必要があります。

たとえば、小坂町落合にあるがんだて公園は滝めぐりツアーの拠点であり、年間約5万人の観光客が訪れています。ここでは市内でもいち早くエコツーリズムの考え方を取り入れ、観光客に対し御嶽山の成り立ちとそれによって形成された滝の数々を説明し、滝めぐりをしながらゴミを捨てないことや動植物を採取しないことなどを丁寧に呼びかけています。また、河川の一部を禁漁区にすることで、滝めぐり遊歩道を歩きながらイワナの魚影を観察する仕掛けづくりを行い、活動の持続化のために、入り口で協力金を徴収し遊歩道やトイレなどの環境整備に充てています。

今後、下呂市が一丸となって上記のような活動を全市域に広げていくことが必要と言えます。現在、市内の小中学校及び高校においては、観光教育のカリキュラムの設定やフィールドを利用した環境教育も行われており、これらのプログラムを充実させていく必要があります。


取組

下呂市エコツーリズム推進協議会では、3つの基本方針を設定し、推進していきます。

基本方針1

下呂市の生物多様性に富んだ豊かな自然や文化資源を保全・活用し継承することで、持続性のある観光まちづくりを目指します

基本方針2

多種多様なエコツアー・体験プログラムを開発し、宿泊滞在型エコツーリズムの確立を目指します

基本方針3

環境・観光教育に市民が一丸となって取り組み、ガイド人材の育成やホスピタリティの醸成を目指します

この使命の達成に向け、地域の活性化を図りつつも、同時に資源の持続的な保全や利用にかかるガイドラインの設定等、環境への配慮を促す観光推進のシステムを構築し、持続可能性のある観光まちづくりを目指します。


主なツアープログラム

御嶽山麓の滝を活用したツアー

溶岩台地の森でのんびりハイキングツアー
溶岩台地の森でのんびりハイキングツアー

御嶽山から流れ出た溶岩流からなる溶岩台地。その上に広がる森には小坂の自然や歴史の”物語”がぎっしりつまっています。きもちのいい森の中でお抹茶を頂く。何とも言えない贅沢な時間を味わう。森はもちろんここ小坂には滝がいっぱい!季節ごとに、時間ごとに変化する水の色や滝の表情は何度訪れても違った味わいがあります。

冬の滝めぐり
冬の滝めぐり

気温は昼でもマイナスのまさに氷と雪の世界。 シーンと静まり返った森の中を進むと突如として現れる巨大な氷柱群。 思わず息をのむ神秘の絶景。頑張った自分へのご褒美のような光景。 冬が深まるにつれ氷は厚みを増し青さが増す。季節ごとに訪れ変化も楽しめる。 道中のふかふかの深雪、クリスマスツリーのような森、空の碧さなど冬の森は神秘的。


里地里山を活用したツアー(いやしの里竹原めぐり、馬瀬里山ミュージアムガイドツアー)

馬瀬里山ミュージアムガイドツアー
馬瀬里山ミュージアムガイドツアー

農村景観や日常の暮らしの文化をまるごと野外博物館に見立てて、ガイド付きの地域散策を行います。水辺の館、道の駅など観光施設を回ったり、炭焼き小屋見学、地元の方との交流を楽しんだり地域の暮らしを体感して頂きます。農村景観を眺めながら、のんびりゆったりとした時間を楽しんでください。

いやしの里竹原ふるさと散歩
いやしの里竹原ふるさと散歩

下呂温泉街から10分程の竹原の里に咲く、ハナモモ、ツツジ・スイセン・シバザクラなど春の花を楽しめ、農地や道路斜面をうまく活用した地域。平成27年度には「美の里づくりコンクール」農林水産大臣賞受賞(全国1位)、「豊かなむらづくり」全国表彰事業農林水産大臣賞受賞(東海1位)。先進的な取り組みをしている農家や先人たちの築いた竹原の歴史、農村文化の数々を巡ります。清らかな水と美しい自然を求めて散策ができます。


飛騨街道を活用したツアー(萩原宿歴史探訪ツアー、筋骨めぐり)

「萩原宿」天領朝市と歴史探訪ツアー
「萩原宿」天領朝市と歴史探訪ツアー

飛騨街道「萩原宿」は、幕府郡代陣屋の天領地で江戸幕府の直轄領でした。今からおよそ150年前の慶応4年(1868年)9月明治維新から歴史が動きました。古い体制から衣替えし、新しい日本に生まれ変わったとき、若き県知事の考えと行動で萩原の街は騒動が起きた「萩原戦争」を実際に歩いて頂き、歴史物語を経験して頂きます。飛騨街道の街並みでは、「なっと喰豚」・「天領酒蔵見学」・「地元スイーツ店」・「味噌屋」を訪ねて頂き萩原の食の匠の味に親しんで頂きます。

ノルディックウォーキングツアー
ノルディックウォーキングツアー

誰でも気軽に参加し楽しめる体験型ウォーキングです。萩原町は、面積98%が山林で南北に清流飛騨川が流れ、川と山との自然豊かな風景が見ものです。里山をバックにノルディックウォーキングを楽しめる他、薬草園等を見学して温泉入浴で体もリフレッシュできます。

飛騨街道 金山宿 筋骨めぐり
飛騨街道 金山宿 筋骨めぐり

「筋骨」とは、路地裏通りのこと。昔から生活に密着した共同通路でそこに住む人々の生活空間として今でも活用されています。飛騨金山は江戸時代、飛騨川と馬瀬川の合流点が天領・尾張藩・苗木藩・郡上藩の境にあたり、宿場町として栄えました。その名残は「筋骨めぐり」散策で楽しむことができます。


>>2.下呂市のエコツーリズム推進全体構想はどのようなものですか?