環境省自然環境・自然公園エコツーリズム推進に関する基本方針検討会

第2回「エコツーリズム推進に関する基本方針検討会」(議事要旨)


1. 日時・場所

平成20年1月29日(火)13:00~15:30
主婦会館プラザエフ 7階 カトレア

2. 出席者

<委員>
上野委員、上原委員、江崎委員、海津委員、楠部委員(代理出席)、桜井委員、清水委員、下村委員(座長)、鈴木委員、武川委員、中尾委員、真板委員、松田委員、横山委員
<関係省庁>
文部科学省生涯学習政策局社会教育課平林課長、農林水産省農村振興局農村政策課安東都市農業・地域交流室長、国土交通省総合政策局観光資源課水嶋課長、環境省自然環境局総務課奥主課長、環境省自然環境局総務課自然ふれあい推進室岡本室長

3. 議題

(1) 関係者からの意見聴取
(2) エコツーリズムに関連する国土交通省の取組み紹介
(3) 基本方針に対する提言(骨子案)について
(4) その他

4. 概要

 議題(1)についてはWWFサンゴ礁保護研究センター、センター長上村真仁氏より、発表をいただき、その後、質疑応答を行った。
 議事(2)については国土交通省総合政策局観光資源課水嶋課長より紹介があり、その後、質疑応答を行った。
 議事(3)については、事務局より説明を行い、その後、ご意見をいただいた。
 概要については以下の通りである。

(1)関係者からの意見聴取

 上村氏の発表

(2)エコツーリズムに関連する国土交通省の取組み紹介

 水嶋課長の発表

(2) 基本方針に対する提言(骨子案)について

<第1章 エコツーリズムの推進に関する基本的方向>

○ 「過度な利用により自然環境の悪化」との記述は、表現を検討すべきではないか。常時過度な状態であり、その地域には行くべきでないとの誤解を受けることが懸念される。

○ 資源の保全と持続的な利用を両立させることが必要である。その考え方に立つと、「・・・・活力ある地域づくり・・・」から「・・・・活力ある持続的な地域づくりに効果がある」などと記載してはどうか。

○ 「エコツーリズムを推進する意義」の記述内容からは、エコツーリズムとはこれまでの観光産業とは全く別のものという印象を受ける。いわゆるニューツーリズムだけでなく、既存の観光産業をどのようにとらえ、連携していくかという視点も加えてほしい。

○ 「基本的な考え方」において、「他産業との連携により新たな産業を起こす」という内容を加えてはどうか。

○ 「日本型エコツーリズム」のイメージや意義を明確にすべきである。

○ 今回の取組が「日本型エコツーリズム」となりうる要因としては、“生活文化”を対象としていることが挙げられる。その点についてもう少し言及するべきではないか。

○ 「日本型エコツーリズム」には、次の2点があるのではないか。
[1]単に見る、眺めるという観光ではなく、観光旅行者が環境管理の主体としても活動するという点。
[2]地域によっては一般住民が観光と密接に関わっており、多様な生業(なりわい)の中でエコツーリズムが実施されている点。

○ 一般市民のエコツーリズムに対する認知度はまだまだ極めて低いため、広くエコツーリズムの考え方を浸透させる必要性を第1章でも記述してほしい。

○ 地域によってエコツーリズムの捉え方が違い、観光客の増加を目的とする地域、観光の質の向上を目的とする地域があるだろう。2つの側面を盛り込んだ記述としてほしい。その上で、エコツーリズムの推進に当たっては、「エコツーリストをどう育てられるかがポイントとなる」ということが分かるように、記述して欲しい。

<第2章 エコツーリズム推進協議会に関する基本的事項>

【質疑応答】

○ 協議会における行政の役割とは何か。

⇒(環境省)
市町村は協議会を組織し、認定申請の主体となる。都道府県には、広域的な立場から必要に応じて助言をするなどの役割が期待される。
【委員からの意見】

○ 何か問題が起きたときに協議会のような場で議論すると解決が円滑に図れる場合がある。協議会にルールが守られているかどうかをチェックする機能があれば良い。

○ 協議会にはPDCAのマネジメントサイクルに基づいた運営を行うという役割もあるため、その点を意識した記述とするべきである。

○ 地域外の事業者が参入してプログラムを実施しているケースで、地域に直接的な経済的効果などメリットがない場合など、関係者による協議そのものが難しい場合もある。関係者間の調整を図るための機能の考え方を整理すべきである。

○ 関係者の同意によって地域の総意として方向性が示されたとしても、場合によってはその方向性が客観的に見て望ましくないものである場合もある。その際に指導する仕組みの必要性や、その考え方についても記述すべきである。

○ あまり幅広い主体を加えると議論が進まないということも事実だが、一般の住民からも説明会の開催などを通して、定期的に意見を聞くことも必要である。

<第3章 エコツーリズム推進全体構想の作成に関する基本的事項>

○ 目的や方向性の明確化に当たっては、技術的な内容に留まらず、中長期的な地域のビジョンを基本とした内容となるよう記述するべきである。

○ 自然環境に係る観光資源については、何が対象となりうるかを明確に示すと共に、自然科学的なアプローチの必要性についても言及されるべきである。

○ 利用者の満足が得られるような適正な利用者数の規模の考え方を示してほしい。

○ 安全管理については重要な事項であるので、「(4)その他」もしくは「6その他エコツーリズムの推進に必要な事項」で項目を立てて記述するよう検討して欲しい。

○ ガイドの活動が自然観光資源の保護に大きな役割を果たすことが期待されるが、そういったエコツーリズムの現場を支えるガイドについての記述が少ない。また、職業的なガイドだけでなく、農家や地域住民など様々な主体がガイドとなりうるということも記述するべきである。

○ 地域ではガイドを確保するのに苦労している。都道府県や国の支援に当たっての役割を明確に記述して欲しい。

○ 人材育成に関してはガイドだけでなく、様々な観光関係者を対象とすることも必要である。

<第4章 エコツーリズム推進全体構想の認定に関する基本的事項>

  • 意見なし

<第5章 生物多様性の確保等のエコツーリズムの実施に当たって配慮すべき事項その他エコツーリズムの推進に関する重要事項>

○ 生物多様性の確保に当たっては、影響をどこまで許容するか(キャパシティ)、何に対してどのように測っていくのかという許容度の捉え方こそ大切である。

○ エコツーリズム推進法に基づいた全体構想を推進していくことが、地域にどのようなメリットがあるのかを示す必要がある。メリットとしては、地域の活動や資源が全国に知られるという点が一番大きいと考えられるため、普及啓発の必要性に関連する記述を強調するべきである。

○ エコツーリズムの推進に当たっては、事業として成立するかどうかが重要である。そのためにも成功事例を積極的に公表するなどにより、後に続く地域を創出していく必要があるのではないか。また、推進役となるガイドをいかに育てていくのか、またガイドが職業として成り立つようなシステムについても盛り込んで欲しい。

○ 普及啓発ということでは、今後学校教育の活動に組み込んでいくことなども考えられる。その際には、学校と受入れ地域のマッチングが必要になるだろう。

○ 各省で様々な事業が進められている中で、地域では同じような構成主体により複数の協議会が設立される場合が想定される。そういった会議が続くと本業に影響がある構成主体もあるので、例えば会議を合同開催とするなど、運用面での対応を考えても良いと思う。

<その他>

○ 次年度から総務省、文部科学省、農林水産省による連携事業である「子ども農山漁村交流プロジェクト」が実施される。実施に当たっては、受入れ地域においてガイドの果たす役割が大きくなるため、エコツーリズムに関する取組に期待している。

○ 何を基本方針のレベルとして記述し、何を施策のレベルとして考えるのかということに関わるが、この基本方針の「売り」や「メッセージ」を基本方針の中身として考える必要がある。また、それをどのようにアピールしていくのか広報活動の考え方も記述する必要があるのではないか。また、どのような施策を実施していくのか「施策のイメージ」を持ちつつ記載していくことが必要である。

(3) その他

事務局より本検討会の今後のスケジュールについて連絡