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生物多様性保全推進支援事業

平成20年度の採択事業

1 知床世界自然遺産地域における生物多様性保全事業

photo海棲哺乳類(トド)の調査

<協議会名>
知床・海と森の生物多様性保全協議会
<構成員>
(財)知床財団、岐阜大学、東京農業大学、オジロワシモニタリング調査グループ、知床クジラの会、NPO法人北の海の動物センター、斜里町、羅臼町
<事業の概要>
世界自然遺産地域の知床では、生物多様性の保全を進める上で課題となっている海棲哺乳類、猛禽類、ヒグマ、エゾジカ等の野生鳥獣の生息状況の知見が不足している。
このため、それらの野生鳥獣のモニタリングを実施し、今後の管理策及び保全策に反映させるとともに、生態に配慮した観察手法やルールの構築を目指す。

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2 ラムサール条約湿地「蕪栗沼・周辺水田」生物多様性保全事業

photo湿地の陸地化により繁茂した灌木の伐採

<協議会名>
マガンの里づくり研究会
<構成員>
宮城教育大学、日本雁を保護する会、NPO法人蕪栗ぬまっこくらぶ、NPO法人田んぼ、大崎商工会、(株)たじり穂波公社、田尻グリーン・ツーリズム委員会、伸萠ふゆみずたんぼ生産組合、土地改良区、栗原市、登米市、宮城県、大崎市
<事業の概要>
 ラムサール条約湿地である宮城県大崎市の蕪栗沼ではかつてヨシ刈りが行われていたが、現在ではヨシ需要が激減し、未利用のヨシの堆積により水面が減少したり、マガンなどの渡り鳥の増加による水質汚濁などが危惧されている。
 このため、湿地の陸地化防止と水質悪化の改善などを目的として、灌木の伐採や浚渫などを実施し、蕪栗沼の本来の湿地環境を復元する。

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3 ムサシトミヨ保護事業

photoムサシトミヨの生息環境保全のための草刈

<協議会名>
ムサシトミヨ保全推進協議会
<構成員>
埼玉県、熊谷市、熊谷市ムサシトミヨをまもる会、地元自治会、埼玉中央漁業協同組合、(財)埼玉県生態系保護協会
<事業の概要>
 ムサシトミヨが生息する埼玉県熊谷市の元荒川源流部では、ポンプで汲み上げた地下水を水源としている。ムサシトミヨの生息環境を保全するために協議会ではポンプの維持管理を行い元荒川の水量を確保し、元荒川の浚渫や草刈りを行うとともに、ムサシトミヨに関する学習会やイベントを実施し普及啓発を図っている。

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4 夷隅川流域における生物多様性保全再生事業

photo里山の整備

<協議会名>
夷隅川流域生物多様性保全協議会
<構成員>
畦道倶楽部、夷隅川自然教室、夷隅郡市自然を守る会、いすみ市、いすみ夢鯨の会、太東埼燈台クラブ、千葉県、ビーチクリーンアップ岬実行委員会
<事業の概要>
 房総半島の夷隅川流域では、耕作放棄地の拡大や里山の荒廃、流竹木が散乱する河口付近の砂浜など、流域それぞれの地点で生物多様性に関する課題がある。
 このため、流域全体を一つの単位とみなし、里山や谷津田の整備や海岸清掃などの取組の他、シンポジウムを開催し協議会の取組を地域に紹介するなどの普及啓発活動を行う。

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5 いしかわの里山の生物多様性保全再生事業

photo里山保全活動(モウソウチクの伐採)

<協議会名>
石川の里山生物多様性保全再生事業推進協議会
<構成員>
石川県、金沢市、珠洲市、輪島市、金沢大学、国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティングユニット、金沢森林組合、環八会、いしかわ里山保全活動リーダー会、金沢市四十万校下赤十字奉仕団、金沢ふるさと愛山会、能登にトキとコウノトリを呼ぶ会、NPO法人能登半島おらっちゃの里山里海、輪島市ビオトープ研究会、石川県民退職者連合
<事業の概要>
 石川県内の金沢市近郊の丘陵地と珠洲市等のため池群は絶滅危惧種等が生育・生息する生物多様性が豊かな重要な里山だが、過疎化・高齢化により荒廃しつつある。
 このため、ギフチョウやキンランの生息・生育地となっている金沢市の丘陵地において森林や竹林の整備を行うとともに、希少水生昆虫などが生息する能都地区のため池群において、ビオトープの整備や外来種の防除などを実施する。

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6 かがイヌワシの森再生事業

photoイヌワシの生息状況調査

<協議会名>
かがイヌワシの森再生協議会
<構成員>
石川県、(財)石川県林業公社、日本イヌワシ研究会、山岳大型猛禽類研究会、(有)北陸鳥類調査研究所、小松市、加賀市
<事業の概要>
 石川・福井県境の南加賀地域では、過去にイヌワシの生息が確認されていたが、近年、確認ができなくなっている。
 このため、生息状況調査等を実施しながら、将来にイヌワシを含む大型猛禽類が定着および繁殖可能な環境となるよう、営巣地や狩り場適地 を選定し森林整備を実施する。また、その場所は環境教育の場としても利用できるよう、人と動物が共存できる多様な環境として整備する。

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7 中池見における湿生希少野生動植物の保全管理

photo水路補修作業

<協議会名>
中池見湿地生物多様性保全協議会
<構成員>
 NPO法人中池見ねっと、敦賀市
<事業の概要>
 福井県敦賀市の中池見湿地は、水田耕作と結びついたデンジソウやミズアオイなどの水生植物が生育しているが、外来植物の繁茂や手入れ不足などによる問題が生じている。
 このため、田起こし、江ざらいによる水田生態系の保全のほか、外来植物の除去や木道・水路の補修などを実施することにより湿原環境の保全を図るとともに、生物相のモニタリングや里地里山を活用した環境学習の支援などを実施する。

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8 千曲市生物多様性保全事業

photo千曲市内姨捨棚田の保全活動とデンジソウ

<協議会名>
千曲市生物多様性保全協議会
<構成員>
千曲市版レッドデータブック作成委員会・調査員、千曲市環境市民会議、名月会、姨捨区、名月の里観光推進協議会、倉科の自然を守る会、川西地区振興連絡協議会、千曲市里山トレッキング、みどりを守る会、千曲市
<事業の概要>
 長野県千曲市にはデンジソウ、ベニバナヤマシャクヤクなどが生育する棚田や里山があるが、外来植物の繁茂や手入れ不足などにより生育が脅かされている。
 このため、外来植物の除去や間伐、下草刈りなどを行う。また、市民が主体となって希少動植物を調査し、千曲市版レッドデータブックを作成し、今後の保全活動に活用する。

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9 富士見町アツモリソウの里環境保全事業

photo富士見町内に生育するアツモリソウ

<協議会名>
富士見町アツモリソウ再生会議
<構成員>
中山植物園、入笠ボランティア協会、長野県希少野生動植物監視員、長野県富士見高校、ニチレイグループ、富士見町
<事業の概要>
 長野県富士見町に生育するアツモリソウ及びホテイアツモリは、盗掘や大型哺乳類による食害、植生の遷移により野生個体が減少している。
 このため、監視活動の実施や食害防止柵の設置などにより生育環境の保全を図るとともに、無菌播種による増殖技術の開発を進め、かつて自生していた場所に培養苗を実験的に植栽するなど系統保存にも取組んでいる。

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10 東三河生物多様性保全事業

photo里山の保全活動

<協議会名>
東三河自然環境ネット
<構成員>
豊橋うみがめクラブ、東三河懇話会、NPO法人東三河自然観察会、NPO法人穂の国森づくりの会、愛知大学、愛知県、豊橋市
<事業の概要>
愛知県東三河地域の豊川上・中流部では、人口減少及び高齢化による人の働きかけが減少し、里山の荒廃がみられる。
このため、生物多様性の保全・再生を図るため、豊川上流部において里山保全のための森林整備等及び中下流部において河畔林の課題調査を実施するとともに、保全活動の担い手育成のため「穂の国エコカレッジ」を開催する。さらに、渥美半島表浜海岸において、アカウミガメの産卵環境を保全するためのふ化場を整備するなど、流域が一体となった取組を行う。

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11 名古屋ため池生き物いきいき計画事業

photo名古屋市昭和区隼人池での池干しの様子

<協議会名>
名古屋ため池生物多様性保全協議会
<構成員>
八事学区連絡協議会、隼人池を美しくする会、名古屋ため池調査実行委員会、なごやの森づくりパートナーシップ連絡会、なごや環境大学実行委員会、名古屋市
<事業の概要>
 名古屋市では東部丘陵地を中心に多くのため池が残っているが、外来種の流入や水質悪化により、ため池本来の生態系が失われつつある。
 このため、ため池の生物多様性の保全・再生を目的として、主要なため池において、専門家やなごやため池市民調査員による動植物の調査を実施するとともに、池干しによるブラックバスなどの外来種の防除などを実施し、ため池の生態系の回復を図る。

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12 東近江市ニホンジカ保護管理事業

photo調査のためGPSを装着したニホンジカ

<協議会名>
東近江市野生生物保護管理対策協議会
<構成員>
東近江市、滋賀県、滋賀県立大学、(株)野生動物保護管理事務所、農協、農業共済組合、森林組合、漁協、猟友会、自治会、鳥獣保護員、里山保全団体、自然環境保全団体
<事業の概要>
 滋賀県東近江市では、ニホンジカの生息数が著しく増加しており、農業や自然植生に与える影響が懸念されている。
 このため、GPSを用いたニホンジカの行動圏調査や自然植生・農林業への被害状況調査を実施するとともに、調査結果に基づき、ニホンジカの個体数調整を実施する。また、木竹の伐採等を実施し、緩衝地帯としての里山の整備や人と鳥獣のすみ分けを図るための柵の設置などを行う。

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13 たかしま生物多様性保全推進支援事業

photo捕獲したニホンジカの調査

<協議会名>
たかしま獣害対策協議会
<構成員>
滋賀県、高島市、たかしま有機農法研究会、環境を守るいまづの会、JA西びわこ、(株)野生動物保護管理事務所
<事業の概要>
 滋賀県高島市では中央部の箱館山を中心にニホンジカの個体数が増加傾向にあり、農林業や地域の生態系などに深刻な被害がみられる。
 このため、GPSを用いたニホンジカの季節移動調査、自然植生・農林業への被害状況調査を実施するとともに、それらの結果に基づき、個体数調整を実施する。

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14 ニッポンバラタナゴの保護と環境保全

photoニッポンバラタナゴの生息環境の保全活動

<協議会名>
環境アニメイティッドやお
<構成員>
NPO法人ニッポンバラタナゴ高安研究会、大阪経済法科大学、大阪森林インストラクター会 阪奈会、NPO法人グラウンドワーク八尾、八尾市内市民団体、八尾市内企業、八尾市
<事業の概要>
 大阪府八尾市高安地域には、400あまりのため池が点在しており、ニッポンバラタナゴをはじめ希少な生物が生息しているが、外来種の移入や里山放置による荒廃で各小河川の水量が不安定になるなど生息環境が悪化している。
 このため、ため池改修やの泥の浚渫、外来種の防除を実施するとともに、流域の高安山の森林整備や、環境フェスティバルの開催などの普及啓発を実施する。

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15 ため池生物多様性保全計画

photo引き網による魚の囲い込み

<協議会名>
いなみ野ため池ミュージアム運営協議会
<構成員>
東播磨地域のため池保全団体、神戸新聞社、ラジオ関西、農協、兵庫県土地改良事業団体連合会、兵庫水辺ネットワーク、播磨ウェットランドリサーチ、兵庫地理学協会、NPO地域再生研究センター、21世紀研究所、いなみ野パールプロジェクト推進実行委員会、水辺に学ぶプロジェクト、土地改良区、兵庫大学、兵庫県、明石市、加古川市、高砂市、稲美町、播磨町ほか78団体
<事業の概要>
 兵庫県東播磨地域のため池群は、ブラックバスなど外来生物の侵入により、本来のため池生態系が失われつつある。
 このため、53箇所のため池について、池干しにより外来種の防除を行い健全なため池生態系の回復を図るとともに、ため池の生物調査や普及啓発を実施する。

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16 豊岡コウノトリ生息地保全対策事業

photo耕作放棄された水田をコウノトリ採餌湿地として整備

<協議会名>
コウノトリ生息地保全協議会
<協議会構成員>
NPO法人コウノトリ市民研究所、コウノトリ環境経済コンソーシアム、コウノトリ湿地ネット、但馬野鳥の会、豊岡市
<事業の概要>
 兵庫県豊岡市において放鳥したコウノトリの野生復帰を進めるためには、地域の生物多様性を保全するとともにコウノトリの採餌環境の整備が必要である。
 このため、耕作放棄された水田を整備するなど、採餌に適した湿地環境の再生活動や検討を行うほか、ラムサール条約湿地への登録に向けた住民勉強会など、普及啓発事業を実施する。

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17 アルゼンチンアリ防除モデル事業

photoアルゼンチンアリ

<協議会名>
アルゼンチンアリ対策広域行政協議会
<協議会構成員>
広島県、山口県、廿日市市、大竹市、岩国市、柳井市
<事業の概要>
 特定外来生物であるアルゼンチンアリは、広島県廿日市市・大竹市、山口県岩国市・柳井市、宇部市等において生息が確認されており、これらの地域では在来アリが駆逐されるとともに住民の日常生活にも被害を与えている。
 このため、環境への負荷がより少ない手法でアルゼンチンアリの根絶又は分布域の縮小を目的とし、効果的な防除手法の検討のための防除試験を実施するとともに、住民参加による防除や普及啓発活動を実施する。

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18 屋久島生物多様性保全再生事業

photoヤクタネゴヨウの自生地調査

<協議会名>
屋久島生物多様性保全協議会
<協議会構成員>
屋久島まるごと保全協会[YOCA]、屋久島・ヤクタネゴヨウ調査隊、屋久島町、(財)屋久島環境文化財団
<事業の概要>
 世界自然遺産地域の屋久島において絶滅危惧植物(ヤクタネゴヨウ、ヤクシマリンドウ等)の全個体分布調査や保全活動を行うとともに、ヤクシカ被害対策や天然林の再生、さらに森から海へと連なる屋久島全体の生物多様性をいかに持続させ保全するかを、専門家や行政機関(環境省・林野庁・鹿児島県・屋久島町)を交えて検討する「屋久島生物多様性保全会議」を開催し、民・官・学協働で取り組む体制を構築している。

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19 南大東島生物多様性保全再生事業

photoダイトウオオコウモリ

<協議会名>
南大東島生物多様性保全協議会
<協議会構成員>
南大東村、NPO法人南大東Dongosabows、南大東島島内有志、南大東村立小中学校
<事業の概要>
 沖縄県の南大東島は、大陸から地理的に隔離されているために、ダイトウオオコウモリをはじめとする固有かつ希少な動植物が多数生息しているが、大規模な農地開発などにより生息地が縮小・分断化されている。
 このため、『オオコウモリの森』と題して、南大東島の在来植物を活かした植林を行うとともに、島民を対象にした自然観察会や、島民参加による希少生物のモニタリングなどを行い、地域の人たちによる自然環境の保全・再生を目指す。

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