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第4回自然公園のあり方懇談会(H15.5.19)議事要旨


 中央環境審議会自然環境部会自然公園のあり方検討小委員会「自然公園のあり方に関する中間答申(H14.1.29)」において継続審議事項とされた課題について意見交換等を行うために開催した、第4回「自然公園のあり方懇談会」の概要についてお知らせします。


懇談会の概要
 中央環境審議会自然環境部会自然公園のあり方検討小委員会「自然公園のあり方に関する中間答申」U(2)「自然公園の課題」において示された課題の中から、具体的検討課題をくくり出し、順次議論を深めるとともに、小委員会報告ないし答申を取りまとめる際の「柱」づくりを目指した検討を行うもの。
開催日時:平成15年5月19日(月)14:30〜17:00
開催場所:法曹会館2階 「高砂」
議題   :自然公園における自然再生と自然環境データの整備について

 

自然公園のあり方懇談会委員
氏名 所属 出欠
渡辺 修 (財)休暇村協会理事長 出席
安達 瞳子 花道家 欠席
磯部 力 東京都立大学法学部教授 出席
岩槻 邦男 放送大学教授 出席
大沢 雅彦 東京大学大学院新領域創成科学研究科教授 出席
岡島 成行 大妻女子大学教授 欠席
栢原 英郎 (社)日本港湾協会理事長 欠席
川名 英子 (財)生協総合研究所客員研究員 出席
熊谷 洋一 東京大学大学院新領域創成科学研究科教授 出席
瀬田 信哉 (財)国立公園協会理事長 出席
立花 直美 武蔵野美術大学造形学部建築学科教授 出席
服部 明世 大阪芸術大学環境計画課学科教授 欠席
速水 亨 (社)日本林業経営者協会副会長 欠席
森本 幸裕 京都大学大学院地球環境学堂教授 出席
和里田 義雄 (財)河川環境管理財団理事長 出席

 

事務局からの自然再生事業全般の説明、、釧路湿原における自然再生事業の事例紹介、国立公園における自然再生の取組及び自然公園における自然環境データの整備の説明を受けての議論の概要は以下のとおりです。
 議事要旨(資料一覧へ)
自然再生事業について
自然再生事業のモデルとして「釧路方式」と言うが、他に○○方式があるということなのか、あるいは、他地域もならうべきという意味で事業実施上の8つのポイントはどこの地域でもフルセットで必要ということなのか。 
(事務局)釧路での取組を先駆的なものとして発信していきたいという趣旨であるが、他の地域ではそれぞれの地域の状況に応じた変更はありえる。
釧路では土地を取得して事業を実施している事例もあるが、全国的な事業展開を目指すのであれば、必ずしも用地取得を前提とせず、民有地のまま協定や契約の締結等の仕組みも活用するなどにより、弾力的に運用することが必要である。
自然再生事業は、十分な科学的根拠に基づいた目標設定や事業の実施を図る必要がある。
(事務局)釧路湿原における広里地域のパイロット事業においては、1960年代後半の農地造成以前の湿原の姿に戻すことを目標にして、自然環境調査を実施し、堆積している土壌を試験的にはぎ取ったほか、人為的影響により増大したと考えられるハンノキ林を一部試験的に伐採したところ。達古武地域のパイロット事業においては、集水域における広葉樹林の再生を目指して、再生の場所や方法について検討するため自然環境調査等を実施中。今後とも試験施工の効果や影響をモニタリングしながら、事業内容等を柔軟に見直していく予定。
釧路湿原の再生については、比較的目標が定めやすい事例と思われるが、二次的自然の扱い、自然の遷移や自然災害への対応など、評価の軸を明確にする必要がある。
自然再生推進法に基づき誰もが自らの発意により実施者となりうる自然再生事業について、責任の所在が曖昧となって事業の適正な執行に支障をきたすことを懸念する。
(事務局)事業実施にあたっては、実施者が地域住民、専門家、関係自治体、関係行政機関等からなる協議会を組織する。協議会においては、全体構想を作成、実施計画案を協議し、実施に係る連絡調整を行うことになっており、その意味で、協議会が全体として責任を負う。
自然再生と言っても、全く元どおりの自然に戻すことはあり得ず、元あった自然に近い自然を創出するわけであるから、科学的なモニタリングに基づく順応的管理が大変重要であり、適正なモニタリングの実施を担保する必要がある。
(事務局)モニタリングも含めた自然再生事業の実施については、実施者だけでなく協議会が全体として責任を負う。また、主務大臣として、事業の進捗状況報告を求めることができるので、その中で確認したい。
国立公園内では環境省がしっかりやるので大丈夫だと思うが、その他の地域で様々なNPO等による自然再生事業が計画された場合、専門家でも再生の目標やその手段について意見が分かれ、まとまらないおそれもある。
(事務局)意見が異なるのは専門家だけでないと思われる。従来の公共事業と違って、構想・計画段階で様々な関係者が関わって議論することが自然再生の大きな特徴であり、意義あることと考える。なお、法律上、関係行政機関と地方自治体は協議会への参加が必須であり、国立公園区域外の事業であっても、環境省としては、関係行政機関として、必ず協議会に参加していく考え。
中央に設けられる専門家会議が、個々の事業計画に対して主務大臣を通じて意見を述べる仕組みがあったとしても、地域の状況が分からない専門家に十分な意見を期待できない。 
(事務局)地域の協議会における専門家の役割が特に重要であり、例えば協議会として小委員会や分科会などを設けて、専門的な議論を行うことが考えられる。この点は、基本方針に明記したところ。
自然公園における自然再生について
自然公園法施行令に保護施設として「自然再生施設」が追加されているが、法律的な定義はどうあれ、具体的なイメージが湧きにくい。
(事務局)自然再生施設とは、自然再生を行うために設けられる個々の施設群と自然再生の対象となる土地を含む施設概念。例えば、従来の保護施設としての「植生復元施設」も、過剰利用に伴い裸地化した植生に対して、洗掘防止のために施工する「土 留め工」などの施設や、「播種」し、種子の活着を促す「むしろ」を敷いた土地も含めた概念であった。従来のどちらかと言え ば対症療法的な保護施設のイメージに対し、自然再生施設は、より広域的、総合的に各種の事業を実施するためのものとして、損なわれた自然環境について、当該自然環境への負荷を低減するための施設及び良好な自然環境を創出するための 施設が一体的に整備されるものと法制局には説明。
利用のあり方検討小委員会(平成元年)において、量から質の向上に転換するため公園施設の「再生」を図るべきとの指摘がなされたが、国立公園において自然再生を実施するということは、自然保護の観点から機能不全に陥った国立公園を再生しようとするものなのか。公園内で自然再生を何故実施するのか整理が必要。 
(事務局)新・生物多様性国家戦略において「国立・国定公園を自然再生事業を優先的に実施する場所と位置づけ、積極的に自然再生を推進する」と明記されている。自然風景は、それを支える生態系が健全にあってこそ、その維持が可能であり、自然再生事業を、自然公園の資質をアップする有効な手段と位置づけ、積極的に進めていくこととしている。
環境省がトップダウン型の保全手法ばかりでなく、地域の発意によるボトムアップ型によって保全・再生を目指そうとしていることは理解したが、責任の所在が曖昧となることを懸念する。自然再生の今後の動きについては懇談会としても注視していく必要がある。
自然公園における自然環境データの整備について
環境省は自然公園に限らず、我が国の自然環境全般について保全管理する責任があり、その中での自然公園の役割を踏まえてデータ整備についても論じる必要があり、その際、地球温暖化の影響などグローバルな視点にも留意する必要がある。 
(事務局)自然環境保全基礎調査、モニタリングサイト1000を全国的なデータとして整備しているが、生物多様性保全のホットスポットとしての国立公園において、実際の保全管理に役立てるためには調査密度が不十分であり、これらと連携しつつ国立公園独自の自然環境データの整備も必要と考えている。
予算や人員など調査体制が決定的に不十分であり、裏付けをしっかりすべき。
自然環境データを国内で活用するだけでなく、翻訳してグローバルなデータとして活用してもらいたい。
(事務局)生物多様性センターのホームページでは日英二ヶ国語で情報発信している。
科学的データの収集は大切だが、緻密にデータを集めれば政策・計画が自ずと出来上がるというものではなく、本来、戦略をもってデータ収集を行う必要がある。
  なお、次回の第5回自然公園のあり方懇談会は、平成15年6月30日(月)を予定しております。

 

問い合わせ先
環境省自然環境局国立公園課(大代表03−3581−3351)
課長 笹岡 達男 (内線6440)
課長補佐 牛場 雅己 (内線6442)
専門官 中島 尚子 (内線6438)

(以上、委員発言の順不同、文責:事務局)