受賞団体の取り組み

平成29年度

各賞のレポート紹介

環境大臣賞
広川町立津木中学校総合学習ゲンジボタル研究班

(和歌山県、中学1~3年生 14人)

「ホタルを支える生態系の解明」

広川町立津木中学校総合学習ゲンジボタル研究班「ホタルを支える生態系の解明」 本校では、平成元年から、全校生徒がゲンジボタルの保護を中心とする広川の水環境保全活動を継続的に行っています。主な内容は次の通りです。( 1 )ゲンジボタルの定点生息数調査と成虫・幼虫の生態研究( 2 )ホタルの幼虫の飼育と放流、ホタル保護看板の設置( 3 )水生生物やCOD値、pHメーター等による水質調査・カワニナ数の調査等による「ホタルの生息に適した水辺の環境」の解明( 4 )ホタル保護や研究に関する活動事例の発表・発信 このようにホタルの保護活動と水環境やホタルの生態についての調査研究活動とを両立させながら環境保全につなげています。また、学校と地域住民が一体となった取り組みとなるよう、「ホタル幼虫放流会」を行ったり、ホームページに前日のホタル飛翔数を掲載したり、情報発信をしています。

水環境保全賞
今川こども自然クラブ

(静岡県、小学4年生9人・小学5年生10人・小学6年生8人
・中学生2人)

「今川のホタルや水辺の生き物を守ろう」

今川こども自然クラブ「今川のホタルや水辺の生き物を守ろう」 湖西市北部を流れる「今川」では、かつてゲンジボタルが乱舞していた。しかし、近年は、その数を減らし、地区民からも忘れ去られた存在となっていた。数の減った原因は、今川の水質悪化によるところが大きい。そのため、今川のホタルを呼び戻そうと、子どもたちが中心となって保護活動を行う「今川こども自然クラブ」を平成20年4月に発足させた。月に1回の活動では、森遊び、水生生物調査、水質浄化、自然観察会などを実施している。
今川の生物調査をするとともに、水質浄化をしていくために、水質調査を実施し、その状況を調べている。さらに、ごみ拾いも実施し、水質が悪化しないように活動している。こうした活動によって、6月から7月までの長い期間にわたって、ゲンジボタルやヘイケボタルの飛ぶ姿が、今川の下流から上流にかけて見られる。今川には、ゲンジボタルの幼虫やカワニナだけではなく、絶滅危惧種のナガレホトケドジョウ、要注目種のカワムツ、カワヨシノボリなどの希少種も数多く生息している。ホタルだけを保護するだけでなく、今川の生態系の保護という視点で活動していくことの大切さに気付き、「森の恵み」にも関心を持って活動を進めている。

審査員特別賞
松山町内にホタルを復活させる会

(秋田県、就学前8人、小学1年生1人、2年生1人、3年生2人、
4年生3人、5年生3人、中学1年生2人、3年生2人)

「ホタルを育て復活させよう!第11号」

松山町内にホタルを復活させる会「ホタルを育て復活させよう!第11号」 これまでの活動を通して「ホタルを復活させるには餌であるカワニナが必要である!」ということを学んだので、今年度は家で育てたカワニナ約200匹と、沢山育っている場所から譲ってもらったカワニナを約1000匹、水路に放流しました。
また幼虫が大雨に流されないように水路に砂利と大きな石を追加しました。水の流れにくい区間は泥上げをしてカワニナも幼虫も育ちやすいように整備しました。水路の脇に植樹した木々が大きく育って程良い日差しを注いでいます。6月中旬から7月上旬までゲンジボタルが沢山飛びました。7月上旬から下旬までは田んぼにヘイケボタルが群舞しました。水質をよくするために森林整備を定期的に実施しています。3年間整備した成果としてカタクリとキクザキイチゲ等が春に山を彩ってくれて「自然」は必ず答えてくれることを実感しました。今年も森林整備4回と環境調査、ホタル観察会等を親子で実施して「ホタル」と触れ合って楽しみ、水路ではきれいな水に棲んでいるトウホクサンショウウオ等を観察し、喜び合いました。森林を整備しているので、またカタクリの絨毯になるのが楽しみです。

審査員特別賞
ホタルネットワークmito

(茨城県、小学生40人、中学生20人、高校生5人)

「水戸黄門様のホタル「復活!」プロジェクト」

ホタルネットワークmito「水戸黄門様のホタル「復活!」プロジェクト」 日本三大公園偕楽園周辺には半世紀前までホタルが生息していました。その後休耕田となり、2005年7匹になってしまったホタルを逆川こどもエコクラブが結成され10年間守りってきました。数が増えたホタルを公園全体に広めようと2014年ホタルネットワークmitoが結成され、公園東の逆川から公園南部の水戸英宏小中学校の泉に移植することに。しかし、そこは、人も入れないほどの荒廃地。杉の木の間伐、枝や丸太の運び出し、下草の除草をすると、出てきたのはゴミの山。冷蔵庫、洗濯機、タイヤ、自転車など約10tのゴミを回収するのに1か月以上かかりました。その後は、環境整備へと活動内容は移り、ホタルを再生させるための池や河川の環境整備を中心に取り組みました。河川は、流れの調整やホタルのエサの確保のために石を投入し、産卵場所となる畦作り、セキショウの植栽などを行いました。池も同様、掘り込みの作業、畦作りを行うとともに、光量・水量にも気を配りました。
これらの活動は、英宏小中学校の科学同好会のメンバーを中心に、3年間で7,000人もの市民や行政、大学を巻き込んだ壮大なプロジェクトへ発展しました。ついに2016年、英宏の泉にホタルが見事に復活を遂げ、翌年2017年には、ゲンジボタルの数が大幅に増えると同時に、自然サイクルでゲンジボタルが繁殖を行っていることが証明されました。

奨励賞
角文株式会社

(愛知県、小学3・4年生 約320人)

「持続可能な『刈谷のホタル』の再生を目指して」

角文株式会社「持続可能な『刈谷のホタル』の再生を目指して」 かつてホタルが飛び交っていた刈谷市の様子をこどもたちに見せてあげたいとの思いから、2005年以降「逢妻の郷」にて地域児童とホタルの幼虫の放流会を開始しました。会社の施設にホタル飼育室を設けてホタルを飼育し、生態の研究をしながら春夏を通して放流会と鑑賞会を行います。活動がメディアや口コミで広がり、現在では市内外の学校、地域団体からの依頼で幼虫の提供及び飼育指導を行っています。
ホタルに関わる中で、こどもたちに刈谷市からホタルがいなくなった現実を伝え、さらに近隣の川や「逢妻の郷」で水質や水生生物の調査など体験型学習をすることで現状を体感してもらい、『なぜ私たちの町からホタルが消えたのか』『ホタルや絶滅危惧種が自生できる環境を取り戻せるのか』などを疑問に持ってもらったうえで、どのようにしていくべきか一緒に考えていきます。教材は自社で制作したものを使用し、感性を鍛えながら楽しく学べる学習を心掛けています。
また、今年はホタルを脅かす外来種について学んでもらうため新たな催しを行いました。これからもこどもたちに様々な体験を通して環境意識を高めてもらう取り組みをしていきます。