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環境省法令・告示・通達>国立公園内における自動車利用適正化について

法令・告示・通達

【 国立公園内における自動車利用適正化について 】

公布日:昭和49年03月25日
環自計125号

(警察庁交通局長あて環境庁自然保護局長通達)
 国立公園内における自然環境の保全と健全な利用環境の確保のため別紙(一)のとおり「国立公園内における自動車利用適正化要綱」を定めたのでその実施について協力方お願いする。
 なお、モデル地区については別紙(二)のように推進したいので貴局関係機関においてもご協力がえられるようご配意願いたい。
 別紙(一)
  国立公園内における自動車利用適正化要綱
環境庁自然保護局
T 趣旨(規則の必要性)
  近年一部の国立公園では、自然の保護及び健全な利用環境の確保という面から、過密利用の問題が生じているばかりでなく、これまで人や自動車の増加を無条件に受け入れ、施設の整備拡大という方向で対応しようとしていたことに対する反省の気運が高まり公園利用の質的向上がのぞまれている。これについては、すでに一部の地域において宿泊施設等の公園利用施設の規模拡大を凍結するなどの応急的な措置を講じているが、本来は個々の景観地における自然環境の特性を十分勘案しつつ適正収容力を定めることにより合理的な利用規制の方策を明らかにすることが根本的な諸施策を推進するための前提となる。
  しかしながら、現在すでに過密利用の障害が著しく、とくに休日などにおいて、道路、駐車場等の施設の容量を上廻る車が殺到し、或いは本来その自然環境の特性から、無制限には車の乗り入れを認めるべきでない地域への無統制な乗り入等によって、自然環境の破壊とその適正円滑な利用が現在おびやかされている地域がみられることから、このような地域については早急に自動車利用の適正化の措置を講ずることが必要となってきている。
  以上のような観点から、当面緊急な措置が必要となっている国立公園内の自動車利用の適正化についての方針とその方策を明らかにする。
  なお、これを契機として自然と人間のふれ合いの基本的な形態である歩くことの意義が見直され、自然公園本来の利用のあり方が再認識されることを期待するものである。
U 自動車交通による障害
 (一) 自然環境の保全の面からみた問題点
  (ア) 増大する自動車の受入れのためには、道路の拡幅、駐車場の拡張などが要求されており、これに対応するには自然公園本来の景観が維持されえなくなるおそれがある。
  (イ) 過度の交通から、駐車或いは自動車の交叉のため道路敷外への不法な乗り入れが行われることや、渋滞時の濃厚な排気ガス汚染などにより、植生の破壊・枯損を招くような事態を生じている。
  (ウ) 夜間の運行により夜行性の動物が殺傷されたり、光などで生息環境が乱される。
 (二) 利用環境の保全の面からみた問題点
  (ア) 自然公園の本質を理解しないドライバーなどの増加と、今日のような自動車の増加を予期しない時代に計画建設された道路を、そのまま利用していることが重なり、人と多数の車が混在することで静かな環境や安全な利用がそこなわれている。
  (イ) 自家用乗用車に代表される容易な到達性が昼夜をとわず国立公園に無差別的な俗化や喧噪をもちこんでいる。
  (ウ) 交通渋滞により、目的地へ到達するまでに予定以上の時間を費すため、計画的かつ十分な公園利用がなしえない。
V 対応の基本方針
  前項のような状況に対処するには、公園の特性に応じた適正収容力を基礎に施設の調整を図るという観点から、場合によっては公園利用施設の凍結、縮小・廃止を含めた多種多様な対応措置を講ずる必要があり、公園計画の見直しでもこの点を考慮に入れた再検討を行うこととしている。しかし、現況を放置しては自動車交通により生ずる環境への障害が除去されえない箇所について、とりあえず次のような方針のもとに関係機関の協力を得て自動車の乗り入れ制限を含めた自動車利用の適正化の措置を講ずるものとする。
 (一) 自動車による障害が現に見られる地域について、地域の特性に応じた自動車利用について、将来の方針を定め、そのうち次のシーズンからできる範囲で実行にうつすものとする。
 (二) 必要に応じて公共輸送体系の確立など公園利用者の輸送手段の転換のための総合的手段を検討するほか、当面の措置としては自動車の交通規制を行うよう要請するものとする。
 (三) 実施を円滑にするため地元関係者との連絡を密にするとともに、関係行政機関の協力を要請するものとする。
 (四) 国民の理解を得るための広報活動を行うほか、ドライバーへの周知のための交通情報活動を徹底させるよう努めるものとする。
W 当面の対象地区と実施の具体策
  中部山岳国立公園内の上高地、立山及び乗鞍の各地区、日光国立公園内の尾瀬地区、十和田八幡平国立公園内の奥入瀬地区並びに知床国立公園内の知床五湖地区をモデル地区とする。これらの地区に環境庁国立公園管理事務所及び関係道県自然保護部局並びに警察・建設・運輸その他の関係機関・関係市町村・団体等でもって構成する連絡協議会を設置する。連絡協議会は各地区における自動車利用の適正化の措置を円滑に実施するため連絡及び調整を行うものとする。なお、問題点の解決及び円滑な実施のために、中央においては環境庁及び関係各省庁の間で連絡調整を行うものとする。
  また、これ以外の地区については、このモデル地区に準じて今後必要に応じ、自動車利用の適正化をはかってゆくものとする。





  モデル地区における混雑状況調

地区
年間利用者(台)数
利用期間及び混雑期
混雑時の状況
備考
上高地
約 65万人
4月下旬〜11月上旬
混雑時
 7月20日〜8月20日
 9、10月の土・日・祝日
48.8.12の状況
自動車入込 約2,500台 うち80%が自家用乗用車(推計)
上高地線交通対策協議会(豊科警察署)
夜間(18時より翌日6時までの12時間)通行は全日の通行の約25%
立山
室堂約 70万人(富山、黒部両方面)
通行台数 13,248台(バス及び許可車のみ)
3月下旬〜11月末
道路供用期間 5月下旬〜11月上旬
混雑時 7月・8月及び9月の土・日・祝日
48.7.29 美女平→室堂 バス 133台
48.7.20 桂台→美女平 バス 73台
富山→室堂 422,678人
 うちケーブル利用 300,918人
 道路利用 121,760人
乗鞍
約 60万人
通行台数 247,619台
7月上旬〜10月中旬
混雑時 7月・8月・9月の土・日・祝日
48.8.15(最大日通行台数)
 7,950台(上下但し岐阜側のみ)
 山上部分滞留車 約1,240台(推計)
乗鞍スカイライン有料道路交通対策打合せ会(県企業局)
 6,000台をこえた日 年 5日
 5,000台をこえた日 11日
尾瀬
約 50万人
群馬県側 45万人
福島県側 5万人
5月下旬〜10月下旬
混雑時
 6月の水芭蕉開花期
 7月・8月
48.6.2の状況
 約 14,000人 1,300台
群馬{/大清水 618台(193台)/富士見下 101台(40台)/鳩待峠 180台(マイクロ60台)/
  610の状況
福島{/沼山峠 322台(10台)/御池 94台/
  ( )はバス台数
 
奥入瀬
約 120万人
奥入瀬を歩く人 約40〜50万人
通年通行可
混雑時 7月、8月及び10月の紅葉期
48.10.21の状況
 12,180台(8.00〜18.30の間)
 焼山→子ノ口6,710台(乗用車は90.5%)
 子ノ口→焼山5,970台(〃 89.8%)
秋の行楽期における奥入瀬及び十和田周辺の交通緩和対策等の打合せ会(48年環境庁国立公園管理事務所で主催)


  モデル地区における施設状況調

 
道路概況
関連駐車場施設
観光施設
上高地
主要地方道上高地公園線 中ノ湯〜上高地 L=6.2k W=4.0〜5.0m
※国道158号松本福井線
 沢渡〜中ノ湯 L=10.5k W=4.0〜6.5m
 中ノ湯〜平湯 L=15.7k W=4.0〜5.5m
上高地駐車場 約6,000m2
 バス 30台
 小型 280台
旅館専用駐車場及び臨時駐車場 約 300台
旅館 13軒 約2,000人
キヤンプ 2ケ所 約1,500人
その他 山岳地域
 山小屋 16軒 約3,000人
立山
県道富山立山公園線
 有料区間
  桂台〜美女平 L=5.5k
  追分〜室堂 L=9.3k W=5.5m
 一般県道 美女平〜追分 L=13.8k
室堂駐車場 9,300m2
国見下〃 5,000m2
その他〃 6,000m2
路傍展望駐車場 8ケ所
ホテル旅館 3軒 約 900人
山小屋 9軒 約2,000人
その他周辺山岳地域 9軒 約1,400人
乗鞍
県道乗鞍公園線(全線有料道路)
  夫婦松〜鶴ケ池 L=14.4k W=5.5m
鶴ケ池・畳平駐車場 4,600m2
山上宿泊施設 6軒 約 600人
コロナ観測所
尾瀬
主要地方道 尾瀬・沼田・田島線(三平峠)
 大清水〜一の瀬 L=3.6k W=5.5m
県道 尾瀬ケ原・土出線(鳩待峠)
 戸倉〜鳩待峠 L=7k W=4.5m
併用村道(津奈木沢)、戸倉、富士見線(富士見峠)
 戸倉〜富士見峠 L=11k W=3.6m
主要地方道 尾瀬・沼田・田島線(沼山峠)
 桧枝岐・御池〜沼山峠 L=7k W=4.0m〜5.5m
一の瀬駐車場約2,000m2(予定)
大清水 収容力 500台
鳩待峠に約1,000m2の広場があり、又峠下(200m下方)にヘリポート(約1,000m2)があつて駐車スペースとして使用されている。
沼山峠下駐車場 約 800m2
宿泊施設(山小屋) 19軒 約3,700人
奥入瀬
国道102号 弘前・十和田線
 焼山〜子ノ口 L=14k W=5.5m
沿線 駐車場なし
石ケ戸に駐車帯(バス停、バス5台程度)
奥入瀬沿いには宿泊施設なし
子ノ口、宇樽部、休屋などの宿泊地区での旅館ホテル等 39軒 約4,700人
民宿 42軒 約1,000人
合計 5,700人
知床
道々知床公園・斜里線
 ホロベツ〜五湖 L=10k
知床五湖 2,940m2
知床五湖には宿泊施設なし。




別表

モデル地区
経緯及び現況
上高地
(経緯) 昭和44年安曇ダムに係る付け替道(国道158号)が供用開始されて以来上高地へのマイカーの入込が急増した。このため7、8月の最盛時期に長野県警が沢渡・安房峠で上高地に入る車を時間帯別に交互一方通行にするなどの交通規制を実施した。しかし上高地内での駐車容量が小さいため期待されたほどの効果はなかつた。46、47年は応急の措置として梓川の河原を臨時駐車場として使用させた。
(規制) 48年度は河原への車の乗入れを禁止し、加えて林内、路傍への入込駐車を防止するため石を配置したが夜間のマイカー入込みにより動かされたものもある。交通規制としては7月14日〜10月10日の土日及び8月1日〜19日の全日で渋滞時に一時通行を制限するなどの措置をとつたが、全般的にはPRが効果をあげて予想されたほどの混乱を生じなかつた。
立山
(経緯) 昭和46月6月桂台・美女平間が開通して、立山ルートは室堂まで通行が可能となつたが供用開始時から一般県道部分の改良工事等のためにマイカー通行を禁止している。この間地元立山町・富山市の議会からもマイカー乗入れ禁止の要望が出されている。
(規制) 道路工事中のため県公安委員会及び道路管理者がマイカーなどの通行を禁止している。
乗鞍
(経緯) 第二次大戦中軍事目的をもつて開設され、戦後は登山道路としてバスの乗入れも行われていたが、有料道路としておよそ5ケ年をかけて改良整備され、48年7月開通した。
(規制) 駐車場が満車の折、夫婦松ゲートで一時的に通行を禁止した。
尾瀬
(経緯) 主要地方道沼田・田島線の新設工事が昭和44年から群馬・福島両県で開始され、福島県側は七入より撫平御池を経由して沼山峠下までの約9.5kmを完成し、一方群馬県側は大清水から一の瀬を経由して岩清水まで工事を進めていたが47年8月環境庁の要請で工事を中止し、同路線は連絡されないままになつている。現在のところ大清水以奥に駐車場がないので、大清水までで一般車両は通行を規制されている。一方、沼山峠下へはマイカー、バス等が入り込んでいる。
  鳩待峠口は峠付近に小面積駐車スペースがあり、従来からマイカー、マイクロバスが乗入れている。
  富士見峠口は富士見下までバスが運行しているが、峠までの間は悪路でありマイカーの通行は事実上不可能である。
(規制) 沼山峠下、鳩待峠ではマイカーの路上駐車が目立つ日があるが交通規制は行つていない。三平峠口は大清水で通行を規制しているが、タクシーの乗入れがあるとのうわさもある。
奥入瀬
(経緯) 古くから道路があつたが、特別名勝・特別天然記念物にも指定されている地区で現況を大きく改変するような道路改良がなされないまま今日に至つている。
(規制) 奥入瀬渓谷沿(焼山子ノ口間14km)が紅葉期に渋滞する。これは沿線上の興味地点で一時停車することに起因するので、交通の流れを円滑にするための交通整理を実施した。しかし子ノ口の三叉路で交通混雑を起こすと奥入瀬全体にも渋滞を拡大させることもあり、有効な手段が見出せない。
知床
(経緯) 知床五湖は昭和40年の初めごろに園地整備に着手し、45年に駐車場を整備したが、知床ブームによりマイカーが殺到して混雑をきたしている。
(規制) 特になし


望ましい自動車利用適正化の措置
将来の方向
今シーズンの措置
上高地
 上高地(中ノ湯以奥)へのマイカー乗入れを禁止する。
 {中ノ湯に駐車場を建設するとともに、公園入口の沢渡に駐車場を整備して沢渡〜中ノ湯、上高地間の公共輸送体系を確立する。}
 (岐阜県側平湯についても駐車場を整備して平湯〜中ノ湯〜上高地間の公共輸送体系を確立する。)
(1) 最盛期に日時を定めて(夏季の土日及び連休など)マイカーの乗入れを禁止する。
(2) 深夜の自動車の通行を禁止する。
(3) 上高地内の園路への自動車の乗入れを限定する(タクシー・マイカーの旅館等への乗りつけ禁止)。
(4) 駐車禁止区間での駐車違反取締りを強化する。
(5) 車止めの施設を補強する(施設整備)。
(6) 駐車スペースを公共駐車場のみとする。
立山 従来どおりマイカーの乗入れを禁止する。(千寿ケ原・桂台付近に駐車場を整備する)
 前年どおりの交通規制を実施する。
乗鞍 従来どおり台数規制を行う。但し山上駐車場が満車の場合には定期バスの通行を優先させる。
(1) 前年どおりの台数規制を実施する。
(2) 駐車スペースを畳平・鶴ケ池の2駐車場に限定して園路への乗入れを車止めで規制する。
尾瀬
 (1) 尾瀬に至る入山口についてはそれぞれ次の地点以奥へのマイカー乗入れを禁止する。
  三平峠口 大清水
  鳩待峠口 津奈木沢出合
  富士見峠口 富士見下
  沼山峠口 御池
 (2) 一の瀬駐車場の使用は定期バスを優先させることとし、駐車場が満車の場合、貸切バスは大清水まで回送する。(津奈木沢出合・富士見下・御池に駐車場を整備する)
(1) 大清水以奥への一般車両の乗入れを禁止する。
(2) 最盛期には鳩待峠・沼山峠へのマイカー乗入れを禁止又は規制する。
奥入瀬
 (1) 焼山から奥入瀬渓谷を通過しないバイパスを建設して一般交通を振替える。
 (2) バイパス建設後の旧道は区間専用バスを通行し、それ以外の自動車の通行を禁止する。
(1) 石ケ戸における乗降りのための一時停車を除いて路上の駐停車を禁止する。
(2) 最盛期には子ノ口における道路及び公共駐車場のマイカー駐車を禁止する。
知床 開発道路との分岐点であるホロベツ原野以奥の知床岬・知床五湖方面へのマイカー乗入れを禁止する。
 (ホロベツ原野に知床探勝の基地を計画し、専用の観光バスで知床を探勝するようにする)
 基地建設について現地調査する。



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