法令・告示・通達

鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律第五条の疑義について

  • 公布日:昭和54年9月10日
  • 環自鳥111号

(各都道府県担当部局長あて環境庁自然保護局鳥獣保護課長通知)
 標記の件について、大阪府農林部長から照会があり、別紙のとおり回答したので、参考までに送付する。


別表
 (照会事項)
一 昭和五二年三月九日に改正前の法律第八条第一項の規定により狩猟免許を取消された者については、改正前の法律第五条第二項の規定により、昭和五四年三月九日までは取消しに係る狩猟免許を受けることはできないが、昭和五四年三月一〇日以降については取消しに係る狩猟免許を受けることが可能な状態に置かれていたと解してよろしいか。
二 一の該当者については、昭和五四年三月一〇日以降すでに取消しに係る狩猟免許を受けることが可能な状態に置かれていたと解するならば、一の該当者に改正後の法律第五条第二項の規定を適用することは、法律に遡及適用の規定がない以上不可能と解してよろしいか。
三 一の該当者は改正前の法律第八条第一項の規定により狩猟免許を取消された者であつて、改正後の法律第五条第二項で規定する第八条第二項の規定により狩猟免許を取消された者ではないため、改正後の法律第五条第二項の規定を適用するには、経過措置として読み替え規定を必要とすると解してよろしいか。
四 昭和五一年一二月一七日に改正前の法律第八条第一項の規定により狩猟免許を取消された者で、狩猟免許取消し後「二年」を経過した昭和五三年一二月一八日に狩猟免許を取得した者であつても、改正後の法律第五条第二項の規定の適用があるとした場合には、昭和五四年一二月一七日までは狩猟免許が受けられなくなり、法律改正の前後で異なつた取り扱いとなり、法的安定性に欠けることとなる。
  このような場合、遡及適用の規定がない以上、改正後の法律第五条第二項の規定を適用することは不可能と解してよろしいか。
 (回答)
一 適正な狩猟秩序が確保されるためには、狩猟者において狩猟に関する規則、制限を遵守することが基本であり、いやしくもこれに違反して狩猟秩序をみだした者があれば、一定の冷却期間を設け、違反者の反省を促すとともに、その者を狩猟の場から除くことにより、狩猟秩序の回復を図ることは、当然の措置である。
  鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律(大正七年法律第三二号。以下「法」という。)第五条の欠格事由の定めは、このような観点によるものであり、先般の鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律(昭和五三年法律第七六号。以下「改正法」という。)による本条の改正は、最近における狩猟による危険の増大傾向等にもかんがみ、その徹底を図るべく、従来の二年を改め、三年の冷却期間の経過を求めることとしたものである。
  以上の趣旨にかんがみれば、法等に違反したことによる処罰処分が法の改正の前であると後であるとによつて別異の取扱いとする合理的理由は見出し難く、改正法の制定に当たつて特段の経過措置の定めがされなかつたのは、この故によるものである。
  したがつて、法等に違反して処罰処分を受けた者については、それが法の改正の前にされたものであつても、改正法の施行(昭和五四年四月一六日)後においては、改正後の法第五条所定の欠格の期間を経過しなければ、狩猟免許を受けることができないものとして取り扱うべきものである。
二 照会のあつた件について、基本的には一に述べるところに尽きるが、なお個別の点について示すと次のとおりである。
 (1) 例示の昭和五二年三月九日に違反行為により狩猟免許を取り消された者(以下「甲」という。)は、取消しの二年経過後から改正法の施行前までの間は、法第五条の適用関係については、取消しに係る狩猟免許を受けることができる者であつた。
 (2) 法第五条は、処罰処分の後一定期間を経過したかどうかの事実に着目し、期間経過の事実のない者については、狩猟免許を受けられるかどうかの現在の法律関係につきこれを欠格とするものであるから、遡及適用の問題とは異なり、改正後の同条を「甲」に適用するについては、特段の経過措置の定めを要しない。
 (3) 狩猟免許は、法等に違反した場合のみならず、精神病者等となつた場合も取り消されるものであるが、後者の場合は、その治癒等をまつて再び狩猟免許を受けられることとすべきであり、違反による場合のように一律の冷却期間によることはできない。このため、法第五条第二項においては、法等に違反したことによる取消しの場合である旨を「第八条第二項ノ規定ニ依リ…」と規定したもので、同項の趣旨は、改正前と何ら変わることはなく、これを改正前の法第八条第一項の規定による取消しは改正後の法第五条第二項に規定する取消しでないとする形式的な理解は、到底とり得るところではない。
   すなわち、法第五条第二項は、違反行為に係る取消しの場合について規定するところ、そこにいう違反行為に係る取消しの意義内容は、改正前の法によるものと同様であり、項の移動に伴い字句の技術的整理がされたに過ぎないから、改正後の法第五条第二項の適用は、「甲」のように改正前の法第八条第一項の規定により狩猟免許を取り消された者についても及ぶものである。
 (4) 「甲」は、(1)に述べたように改正法の施行前においては狩猟免許を受けることができ、改正法の施行後においては先の取消し処分から三年を経過するまでは狩猟免許を受けることができないこととなるが、このことは、先般の法の改正の趣旨から当然であり、法的安定性を害するものではない。
   「甲」が改正法の施行前に狩猟免許を受けることができる状態にあつたことをもつて法律上当然に保護されるべき既得の地位とみることはできず、また、仮に「甲」が狩猟免許を受けていたとしても、その受けた狩猟免許は、改正前の法によるものであり、かつ、元来昭和五四年四月一五日を限り効力を失うものであるから、改正法の施行後において別異の取扱いを期待すべき何らの根拠となるものではない。
   なお、欠格事由については、以上のように、「甲」が狩猟免許を受けていたとしても何ら変わるところはないが、「甲」のような者については、改正法附則第三項の適用があることを念のため付言する。すなわち、同項においては、狩猟経験に着目し、昭和五四年四月一五日に狩猟免許を受けていた者について狩猟免許試験に関する特例措置を定めており、仮に「甲」が狩猟免許を受けていたとすれば、改正後の法第五条所定の期間の経過をまつて、改正法附則第三項に基づき、狩猟免許試験に替えて都道府県知事の審査を受ける途が開かれているものである。

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