法令・告示・通達

地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律等による自然公園法の改正等について

公布日:平成12年07月17日
環自国405号

(各自然保護事務所長あて自然保護局長通知)
 地方分権推進計画(平成一〇年五月閣議決定)に基づき、自然公園法に係る地方分権を実施するため、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成一一年法律第八七号。以下「地方分権一括法」という。)、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う環境庁関係政令の整備に関する政令(平成一一年政令第三八七号。以下「地方分権一括政令」という。)、自然公園法の一部を改正する政令(平成一二年政令第三一号。以下「一部改正政令」という。)、自然公園法施行規則の一部を改正する総理府令(平成一二年総理府令第二三号。以下「分権改正総理府令」という。)がそれぞれ公布され、平成一二年四月一日(以下「施行日」という。)より施行されているところである。
 また、自然公園法施行規則の一部を改正する総理府令(平成一二年総理府令第 号。以下「一部改正総理府令」という。)が平成一二年七月一七日に公布され、同日施行されている。
 これらの内容は、次のとおりであるので、了知の上、その適切な施行に努められたい。

第一 改正の趣旨
  今回の改正は、地方分権推進法(平成七年法律第九六号)第八条第一項の規定により作成された地方分権推進計画において、自然公園法(昭和三二年法律第一六一号。以下「法」という。)に規定する国立公園及び国定公園に係る事項について地方分権推進のための改正が必要な事項が規定されたことから、法、自然公園法施行令(昭和三二年政令第二九八号。以下「令」という。)及び自然公園法施行規則(昭和三二年厚生省令第四一号。以下「規則」という。)について次の観点から所要の改正を行うものである。
 一 機関委任事務の廃止に伴う事務の整理
   都道府県知事を国の機関として国の事務を処理させる仕組みである機関委任事務制度が廃止され、地方自治法(昭和二二年法律第六七号)において地方公共団体の処理する事務が自治事務と法定受託事務とに再構成されたことを踏まえ、法においても、都道府県知事の機関委任事務の見直しを次のように行った。
  (一) 都道府県知事が処理している国立公園の行為許可等の事務については、国の直接執行事務とする。ただし、経過措置として当分の間、都道府県知事からの申し出により国が指定した場合には、法定受託事務として都道府県が行為許可等の事務を行うことができることとする。
  (二) 国定公園の公園事業の認可、行為許可等の事務は、都道府県の自治事務とする。
 二 地方公共団体に対する国又は都道府県の関与の見直し
   地方自治法において、関与に係る基本原則、新たな事務区分ごとの関与の基本類型、関与の手続及び関与に係る係争処理手続が定められ、個別法における関与についても基本類型に沿った必要最小限のものにすることが求められたことを踏まえ、公園事業を執行する公共団体に対する国又は都道府県の関与の見直しを次のように行った。
  (一) 公共団体が、国立公園に関する公園事業を執行しようとするときの環境庁長官の承認を、環境庁長官の同意を要する協議に改め、公共団体に対する環境庁長官の改善命令の規定を廃止する。
  (二) 都道府県以外の公共団体が、国定公園の公園事業を執行しようとするときの都道府県知事の承認を、都道府県知事の同意を要する協議に改め、都道府県以外の公共団体に対する都道府県知事の改善命令の規定を廃止する。
 三 権限委譲
   国から都道府県への権限委譲の推進が求められていることを踏まえ、現在、国が行っている国定公園における特別地域、特別保護地区又は海中公園地区の指定等の事務を法定受託事務として、国定公園における集団施設地区の指定及び損失補償の事務を自治事務として都道府県に権限委譲する。
 四 その他関連改正
  (一) 国立公園の指定、公園計画の決定等に際し、関係都道府県の意見を聴取することを法定化する。
  (二) 国立公園及び国定公園の行為許可の審査基準を総理府令に規定する。
第二 地方分権一括法関係(平成一一年七月一六日公布)について
 一 国立公園の指定、指定の解除及び区域の変更(第一〇条第一項、第一一条第一項)
   環境庁長官は、国立公園の指定、指定の解除又は区域の変更をするに当たり、関係都道府県の意見を聴くことを法定化する。
   この改正に伴い、従来、国立公園の指定、指定の解除又は区域の変更に際して実施していた自然保護局長から都道府県知事への意見照会は廃止し、あわせて都道府県知事にその実施を求めていた国の出先機関への意見照会についても、施行日以降は、自然保護事務所長から直接実施することとする。
 二 国立公園に関する公園計画の決定、廃止及び変更(第一二条第一項、第一三条第一項)
   環境庁長官は、国立公園に関する公園計画の決定、廃止又は変更をするに当たり、関係都道府県の意見を聴くことを法定化する。
   この改正に伴い、従来、国立公園の指定、指定の解除又は区域の変更に際して実施していた自然保護局長から都道府県知事への意見照会は廃止し、あわせて都道府県知事にその実施を求めていた国の出先機関への意見照会についても、施行日以降は、自然保護事務所長から直接実施することとする。
 三 国定公園に関する公園計画の決定並びに決定、廃止及び変更の概要の公示(第一二条第三項、第五項、第一三条第四項)
   従来、国定公園に関する公園計画のうち、保護のための規制に関する計画並びに利用のための施設に関する計画で集団施設地区及び政令で定める施設に関するものは、環境庁長官が関係都道府県の申出により決定し、若しくは変更し、又は関係都道府県の意見を聴いて廃止し、その他の計画は、都道府県知事が決定し、廃止し、又は変更していたが、今回の法改正により、国定公園に係る公園計画の決定及び追加については関係都道府県の申出により、変更(追加を除く。)及び廃止については都道府県の意見を聴いて、環境庁長官が行うこととなる。また、すべての公園計画の決定、廃止又は変更の概要の公示も、国の直接執行事務となる。これに伴い、令第五条を削除する。
   なお、施行日前に都道府県知事が決定した公園計画については、地方分権一括法附則第一六〇条第一項の規定により、環境庁長官が決定したものとみなされる。
 四 国立公園に関する公園事業に係る環境庁長官の同意(第一四条第二項)
   地方公共団体及び政令で定めるその他の公共団体(以下「公共団体」という。)が、国立公園に関する公園事業(以下「国立公園事業」という。)の一部を執行するには、環境庁長官の承認を受けることが必要であったが、今回の法改正により、環境庁長官の同意を要する協議を行うことが必要となる。
   この同意に当たっては、地方自治法第二五〇条の二第一項に基づき、同意の基準を「国立公園事業取扱要領」(平成一二年三月三〇日付け環自国第一七九―一号当職通知)において定め、公表することとした。また、地方自治法第二五〇条の三第一項に基づく公共団体の協議に係る標準処理期間は、自然保護局長専決のものについては二月、自然保護事務所長専決のものについては一月とする。
   なお、施行日前に環境庁長官が行った承認又は環境庁長官に提出されている承認の申請は、地方分権一括法附則第二一条第一項の規定により、それぞれ環境庁長官が行った同意又は環境庁長官に提出されている協議の申出とみなされる。
 五 国定公園に関する公園事業の執行に係る都道府県知事の同意(第一五条第二項)
   都道府県以外の公共団体が、国定公園に関する公園事業(以下「国定公園事業」という。)の一部を執行するには、都道府県知事の承認を受けることが必要であったが、今回の法改正により、都道府県知事の同意を要する協議を行うことが必要となる。
   都道府県においては、地方自治法第二五〇条の二第一項に基づき、同意の基準を定め、公表することが必要である。また、地方自治法第二五〇条の三第一項に基づき、都道府県以外の公共団体の協議に係る標準処理期間を定め、公表しておくことが望ましい。
   なお、施行日前に都道府県知事が行った承認又は都道府県知事に提出されている承認の申請は、地方分権一括法附則第二一条第一項の規定により、それぞれ都道府県知事が行った同意又は都道府県知事に提出されている協議の申出とみなされる。
 六 国定公園の特別地域、特別保護地区又は海中公園地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更、これらの公示並びに関係行政機関の長との協議(第一七条第一項及び第二項、第一八条第一項及び第二項、第一八条の二第一項及び第二項、第三九条第二項)
   国定公園の特別地域、特別保護地区及び海中公園地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更並びにこれらの公示は、公園計画に基づき環境庁長官が行っていたが、今回の法改正により、都道府県知事にその権限が委譲され、都道府県知事が法定受託事務として行うこととなる。これに合わせて、法第三九条第二項に規定する特別地域、特別保護地区及び海中公園地区の指定に当たっての関係行政機関の長との協議も、都道府県知事が法定受託事務として行うこととなる。
   これらの事務の実施については、地方自治法第二四五条の九第一項に規定する法定受託事務を処理するに当たりよるべき基準を「国定公園の指定、公園計画の決定等について」(別途発出予定)の中で定めるので、これに従い、適切に実施されたい。
   なお、施行日前に環境庁長官が行った国定公園の特別地域、特別保護地区及び海中公園地区の指定は、地方分権一括法附則第一六〇条第一項の規定により、都道府県知事が行ったものとみなされる。
 七 特別地域、特別保護地区又は海中公園地区内の行為の許可基準(第一七条第四項、第一八条第四項、第一八条の二第四項)
   環境庁長官又は都道府県知事が法第一七条第三項、第一八条第三項又は第一八条の二第三項の規定に基づき特別地域、特別保護地区又は海中公園地区内の行為の許可をするに当たりよるべき基準は、規則で定められることとなる。(改正後の規則第一一条参照)
   なお、当該基準については、経過措置が置かれていないことから、施行日前に申請がされた行為について施行日以降に行為の許可又は不許可の処分を行う場合にも当該基準が適用される。
 八 国定公園特別地域、特別保護地区若しくは海中公園地区内における行為の許可又は国の機関からの協議に係る環境庁長官との同意を要する協議(第一七条第五項、第一八条第五項、第一八条の二第五項、第四〇条第二項)
   機関委任事務の廃止に伴い、都道府県の自治事務への関与として、国定公園特別地域、特別保護地区又は海中公園地区内における行為の許可の一部(国定公園に大きな影響を及ぼしうる大規模な行為又は国際条約に基づき国がその保全に責務を負う国際的な登録地に係る行為)については、今回の法改正により、許可に当たって環境庁長官との同意を要する協議が必要となる。当該行為は、改正後の規則第一一条の二、第一二条の二及び第一三条の二において定められている。
   また、国の機関からの法第四〇条第一項に基づく協議のうち、上記に相当する行為に係るものについても同様に、環境庁長官との同意を要する協議を必要とすることとする。
   これらの同意については、地方自治法第二五〇条の二第一項に基づく同意の基準及び同法第二五〇条の三第一項に規定する協議に係る標準処理期間を「自然公園法第一七条第五項、第一八条第五項及び第一八条の二第五項に規定する国定公園の特別地域等内における許可に際しての環境庁長官への協議の同意の基準等について」において定め、公表する予定である。
   なお、これらの協議に関する規定については、経過措置が置かれていないことから、施行日前に行われた申請等のうち、施行日において処分が行われていないもの及び国の機関との協議を了していないものについては、これらの規定が適用される。
 九 国立公園特別地域、特別保護地区又は海中公園地区内の各種届出及び通知(第一七条第六項から第八項まで、第一八条第六項及び第七項、第一八条の二第六項及び第七項、第四〇条第三項)
   国立公園特別地域、特別保護地区又は海中公園地区内の既着手行為の届出及び非常災害のための応急措置の届出並びに特別地域内の家畜の放牧又は木竹の植栽の届出については、都道府県知事に届け出ることが必要であったが、今回の法改正により、環境庁長官に提出することが必要となる。
   また、国の機関が、上記の届出を要する行為をしたときの届出の例による通知も、今回の法改正により環境庁長官に提出することが必要となる。
   なお、施行日前に、都道府県知事に対して行った届出は、地方分権一括法附則第一六〇条第一項の規定により、環境庁長官に対して届出をしたものとみなされる。
 一〇 国立公園普通地域内の行為の届出又は通知の受理(第二〇条第一項、第四〇条第三項)
   国立公園普通地域内における行為については、あらかじめ、都道府県知事に届け出ることが必要であったが、今回の法改正により、環境庁長官に届け出ることが必要となる。
   また、国の機関が、上記の届出を要する行為をしたときの届出の例による通知も、今回の法改正により環境庁長官に提出することが必要となる。
   なお、施行日前に、都道府県知事に対して行った届出は、地方分権一括法附則第一六〇条第一項の規定により、環境庁長官に対して届出をしたものとみなされる。
 一一 報告の徴収及び立入検査(第二二条第一項、第二項)
   環境庁長官又は都道府県知事は、国立公園又は国定公園のいずれにおいても、許可等に係る行為の実施状況等について報告を求め、又は許可等に係る行為の実施状況等について当該職員に検査させ、若しくは当該行為の風景の及ぼす影響を調査させること等ができたが、今回の法改正により、環境庁長官は国立公園について、都道府県知事は国定公園について当該事務を実施することとなる。
   なお、施行日前に、国立公園に関し都道府県知事が、国定公園に関し環境庁長官が報告を求めた場合であって、当該報告がなされていない場合は、地方分権一括法附則第二一条第二項の規定により、施行日以降は、それぞれ国立公園に関し環境庁長官が、国定公園に関し都道府県知事が報告を求めたものとみなされる。
 一二 国定公園の集団施設地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更並びにこれらの公示(第二三条第一項、第二項)
   国定公園の集団施設地区の指定に係る事務は、環境庁長官が行っていたが、今回の法改正により、都道府県知事が自治事務として行うことになる。
   なお、施行日前に環境庁長官が行った国定公園の集団施設地区の指定は、地方分権一括法附則第一六〇条第一項の規定により、都道府県知事が指定したものとみなされる。
 一三 実地調査(第三二条第一項)
   環境庁長官又は都道府県知事は、国立公園又は国定公園の指定等に関する実地調査のため、当該職員をして、他人の土地への立入り、障害物の除去等をさせることができることとされていたが、今回の法改正により、環境庁長官は国立公園及び国定公園の指定、公園計画の決定等について、都道府県知事は国定公園の指定等に係る申出、公園事業の執行等について、当該事務を実施することとなる。
 一四 国定公園に係る損失の補償(第三五条第一項から第五項まで)
   国定公園における行為の許可、国定公園の指定に係る申出等に関する都道府県職員の実地調査等の事務が機関委任事務であったため、これらの事務に起因する損失の補償は国が行っていたが、今回の法改正により、これらの事務が自治事務となることにより、国定公園に係る不許可処分等及び国定公園の指定に係る申出等に関する都道府県職員の実地調査による損失の補償は、都道府県が実施する。
   なお、施行日前に行われた不許可処分等及び実地調査に起因する損失の補償は、地方分権一括法附則第二一条第三項の規定により、法改正前の規定が適用される。
 一五 権限の委任規定の廃止(第三八条)
   本法に定める環境庁長官の権限は、政令で定めるところにより、その一部を都道府県知事に委任することができることとされていたが、今回の法改正により、従前の国立公園に係る機関委任事務を国の直接執行事務とすることに伴い、本委任規定を廃止する。これに伴い、令第二五条も削除する。
   なお、改正前の法第三八条及び令第二五条の規定により委任を受けた都道府県知事が行った許可等の処分その他の行為又は都道府県知事に対して行った許可等の申請その他の行為は、地方分権一括法附則第一六〇条第一項の規定により、環境庁長官が行った許可等の処分その他の行為又は環境庁長官に対して行った許可等の申請その他の行為とみなされる。
 一六 事務の区分(第四〇条の二)
   機関委任事務の廃止に伴い、都道府県に権限委譲された国定公園の特別地域、特別保護地区又は海中公園地区の指定等の事務を、都道府県の法定受託事務とする旨規定する。
 一七 都道府県の処理する事務(附則第九項及び第一〇項)
   改正後の法に規定する環境庁長官の権限に属する事務の一部は、当分の間、都道府県の知事の申出により国が政令で指定した場合は、当該都道府県の知事が行うこととする。(自然公園法施行令附則第三項から第六項まで参照。これらの事務は法定受託事務となる。)
   また、環境庁長官の権限に属する事務の一部を行う都道府県の指定の解除について都道府県知事が申出を行ったときは、環境庁長官は、当該都道府県の指定を解除する政令の改正を行う必要がある。従って、十分な時間的余裕をもって都道府県知事は申出を行うことが必要である。
   なお、既に行われた申出において国立公園に係る法定受託事務を行う期間を限定している場合にあっても、法附則第一〇項の規定に準じて指定の解除についての申出が必要である。
第三 地方分権一括政令関係(平成一一年一二月三日公布)について
 一 国立公園事業又は国定公園事業を執行する公共団体の事務手続き等に係る準用規定の改正(第一六条、第一七条)
   今回の法改正によって、公共団体が国立公園事業の一部を執行する際には、環境庁長官の同意を要する協議を行うものとされたことに伴い、国立公園事業を執行する公共団体の事務手続等に係る準用規定を改正する。令改正後の第一六条後段に規定する読み替え規定の概要は以下のとおりである。
  (一) 第六条の施設の変更等については、環境庁長官の承認に代えて環境庁長官の同意を要する協議が必要となる。
  (二) 第九条の認可又は承認に当たっての条件の付与及び第一三条の改善命令の規定への準用が廃止される。これは、地方公共団体に対する国の関与の見直しにおいて、これらの関与は、地方自治法に規定する関与の一般ルールによることとされたことによるものである。このため、令改正前の条件の付加において担保することが必須であった事項については、協議に当たって、国が地方公共団体に対して当該事項の実施を求める必要がある。また、公共団体に対して国立公園事業の適正な執行を求める必要がある場合は、地方自治法第二四五条の五に規定する是正の要求によることとなる。この場合、国立公園事業を執行する市町村に対する是正の要求は、地方自治法第二四五条の五第二項の規定により、関係都道府県知事に対して是正の要求の実施を指示することとなる(ただし、地方自治法第二四五条の五第四項の規定により、緊急を要するときその他特に必要があると認めるときは、直接市町村に対し是正の要求を行うことができる。)。
  (三) 国定公園事業については、市町村に対してその適正な執行を求める必要がある場合は、地方自治法第二四五条の六の改善の勧告によることとなる。
    なお、施行日前に、環境庁長官若しくは都道府県知事が行った施設の変更等の承認又は環境庁長官若しくは都道府県知事に提出されている施設の変更等の承認の申請は、地方分権一括政令附則第二条第一項の規定により、環境庁長官若しくは都道府県知事が行った同意又は環境庁長官若しくは都道府県知事に提出されている協議の申出とみなされる。
 二 法定受託事務として都道府県知事が処理する国立公園に係る事務の範囲(附則第三項から第六項まで)
   今回の法改正によって、法に規定する環境庁長官の権限に属する事務の一部は、都道府県の知事の申出により政令で定めた場合には、当分の間、都道府県の知事が行う(法附則第九項及び第一〇項)ものとされたことに伴い、次の事項について規定する。
  (一) 都道府県知事が処理する事務の範囲(附則第三項)
    地方分権一括法による改正前の法及び地方分権一括政令による改正前の令第二五条の規定に基づき都道府県知事が行っていた事務のうち次のものを、政令で定める都道府県が引き続き行うこととする。
   ① 特別地域(特別保護地区を除く。)における以下に掲げる行為以外の行為(二以上の都道府県の区域にまたがるものを除く。)に係る許可及び条件の付加
    ・その高さが一三メートル又はその水平投影面積が一、〇〇〇平方メートルを超える工作物(住宅及び仮工作物を除く。)の新築、改築又は増築(改築又は増築後において、その高さが一三メートル又はその水平投影面積が一、〇〇〇平方メートルを超える工作物(住宅及び仮工作物を除く。)となる場合における改築又は増築を含む。)
    ・砂防法第一条に規定する砂防設備、漁港法第三条に規定する漁港施設、港湾法第二条第五項に規定する港湾施設、海岸法第二条第一項に規定する海岸保全施設又は地すべり等防止法第二条第三項に規定する地すべり防止施設の新築
    ・ダム、水門又はパラボラアンテナの新築、改築又は増築
    ・木竹の伐採(森林法(昭和二六年法律第二四九号)第五条第一項の地域森林計画に定める伐採に関する要件に適合するものを除く。)、鉱物の掘採又は土石の採取、河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせる行為及び水面の埋立て又は干拓
    ・ゴルフコースの用に供するために行う土地の形状の変更(面積が一、〇〇〇平方メートル以下の土地に係るものを除く。)
    ※ 上記の事務は、地方分権一括政令による改正前の令第二五条第一号の規定により都道府県知事に委任される権限に係る事務と同じである。
   ② 海中公園地区における以下に掲げる行為(二以上の都道府県の区域にまたがるものを除く。)に係る許可及び条件の付加
    ・広告物等の掲出若しくは設置又は表示
    ・熱帯魚、さんご、海そうその他の動植物で環境庁長官が指定するものの捕獲若しくは殺傷又は採取若しくは損傷
    ・物の係留
    ※ 上記の事務は、地方分権一括政令による改正前の令第二五条第二号の規定により都道府県知事に委任される権限に係る事務と同じである。
   ③ 普通地域における以下に掲げる行為(二以上の都道府県の区域にまたがるものを除く。)に係る届出の受理、行為の禁止制限等措置命令、禁止制限等措置命令を課すことのできる期間の延長及び行為の着手制限期間の短縮
    ・工作物の新築、改築又は増築
    ・鉱物の掘採又は土石の採取(海面内においては、海中公園地区の周辺一キロメートルの当該海中公園地区に接続する海面内においてするものを除く。)
    ・広告物等の掲出若しくは設置又は表示
    ・土地の形状変更
    ※ 上記の事務は、地方分権一括政令による改正前の令第二五条第三号の規定により都道府県知事に委任される権限に係る事務並びに同号イ及びロに掲げる行為に係る届出の受理の事務である。
   ④ ①~③の行為に関する法第二一条の規定による原状回復命令等
    ※ 上記の事務は、地方分権一括政令による改正前の令第二五条第四号に規定する事務と同じである。
   ⑤ ①~④に係る法第二二条第一項の規定による報告徴収並びに法第二二条第二項の規定による立入り、検査及び調査
    ※ 地方分権一括法による改正前の法第二二条の規定により国立公園において都道府県知事が行っていた事務のうち、①~⑤の法定受託事務に係るものは、都道府県知事が行うこととする。
  (二) 附則第三項に規定する事務を行った旨及びその内容の環境庁長官への報告(附則第四項)
    都道府県知事は、附則第三項に規定する事務を行ったときは、総理府令で定めるところにより、その旨及びその内容を環境庁長官に報告しなければならないこととする。
  (三) 改正後の附則第三項の規定により環境庁長官が指定した区域に係る国立公園事業又は行為についての環境庁長官の権限に係る許可の申請等に必要な書類の提出は、都道府県知事を経由して行うものとする。(附則第五項)
    国立公園において環境庁長官に提出する申請書、届出書等の書類については都道府県を経由して行わなければならない旨が、規則第一九条において規定されていたが、施行日以降も、申請書等の書類の提出に当たっての申請者等の利便を図るとともに、国立公園の適切な管理に資する観点から、都道府県知事が、自らが許可の事務等の一部を行う地域に係る行為であって自らの権限が及ばないものについても情報を早期に把握できるようにするため、国立公園に係る法定受託事務を行う場合に限り、書類の経由を行うこととしたものである。ただし、損失補償請求書並びに国立公園事業の供用開始期日の延期承認申請書及び協議書については、都道府県の経由を要しない。
  (四) 事務の区分(附則第六項)
    令附則第三項から第五項までに掲げる事務は、地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。なお、これらの事務の実施については、地方自治法第二四五条の九第一項に規定する法定受託事務を処理するに当たりよるべき基準を「国立公園に係る法定受託事務の実施について」(平成一二年六月一日付け環自国第三三〇号、環境庁自然保護局長通知)において定めるので、当該基準に基づき適切に事務を実施されたい。
第四 一部改正政令関係(平成一二年二月一四日公布)について
 一 国立公園に係る法定受託事務を処理する都道府県の指定(令附則第三項、別表)
   法附則第九項の規定に基づき、令附則第三項から第五項までに規定する事務(国立公園の特別地域内における行為の許可等に関する事務。法定受託事務)を処理する都道府県として、法附則第一〇項の規定により内閣総理大臣に申出を行った次に掲げる都道府県を定める。
   岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、栃木県、群馬県、埼玉県、東京都、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、山口県、香川県、愛媛県、福岡県、長崎県、大分県、宮崎県、鹿児島県
 二 令附則第三項の規定に基づく指定地域の指定
   令附則第三項において、国立公園に係る法定受託事務を行う都道府県として指定された都道府県が当該事務を行う区域は、当該都道府県の申出により環境庁長官が定めることとされている。このため、令附則第三項の規定に基づく都道府県知事の申出を踏まえ、自然公園法施行令附則第三項に規定する指定地域(平成一二年二月一四日環境庁告示第四号)により指定した。
   国立公園に係る法定受託事務の実施の対象区域から一部の区域を除外する必要がある場合は、令附則第三項に基づき、その旨を環境庁長官に申し出ることが必要となる。
第五 分権改正総理府令関係(平成一二年三月二四日公布)及び一部改正総理府令(平成一二年七月一七日公布)について
 一 自然公園法施行規則の二回の改正について
   今回の地方分権に関連するものとして、自然公園法施行規則は二回の改正が行われている。
   一回目の改正は、地方分権一括法の施行に備えるために行われた自然公園法施行規則の一部を改正する総理府令(平成一二年総理府令第二三号、分権改正総理府令)によるものであり、平成一二年三月二四日付けで公布され、同年四月一日より施行されている。
   二回目の改正は、分権改正総理府令により改正された事項の一部に遺漏等があったため、これを改正するためのものであり、自然公園法施行規則の一部を改正する総理府令(一部改正総理府令)により、平成一二年七月一七日付けで公布、同日施行されている。
   以降の説明は、一回目の分権改正総理府令による改正内容について記したものであるが、一部改正総理府令による改正がなされている場合は、その改正後の内容を反映して記載したものである。
 二 申請書等の添付書類の追加(第一条、第七条)
   公園事業の申請又は届出に当たり、必要となる添付書類を追加する。なお、これらは、従来、「国立公園及び国定公園事業取扱要領」(平成六年六月三〇日環自計第一七四号、環自国第五四一号環境庁自然保護局長通知。平成一二年三月三一日付けをもって廃止)において添付することを求めていたものと同様である。
  (一) 第一条において、執行認可申請書等の添付書類として以下のものを追加する。これらは、土地、家屋その他の物件の使用が確実にできること及び事業執行を行うのに必要な資金を有することを審査する上で必要不可欠なものである。なお、運輸施設に係る公園事業の場合は、令第三条第一項ただし書において申請書に同項第六号の事項を記載することを要しないとされていることから、第一一号に掲げる書類については添付を要しないこととした。
   ① 国立公園事業の執行に必要な土地、家屋その他の物件を当該事業の執行のために使用することができることを証する書類(第一〇号)
   ② 当該事業の執行に当たって必要な資金を調達することができることを証する書類(第一一号)
   ※ 分権改正総理府令では、「当該事業の執行に当たって自己の資金以外の資金を必要とする場合にあっては、その資金を調達することができることを証する書類」と規定していたが、自己資金の有無自体についても事業執行能力の審査を行う上で重要なことから、事業執行に必要な資金を調達することができることを証する書類に改めた。
   ③ 当該事業の執行に関し土地収用法の規定により土地又は権利を収用し又は使用する必要がある場合にあっては、その収用又は使用を必要とする理由書(第一二号)
  (二) 第三条において、施設の変更等の承認申請書の添付すべきものとして書類を追加する。
  ※ 分権改正総理府令において、執行認可申請書の添付書類等として第一条第一項から第一二項までの書類を追加したが、これらの追加に伴い、第三条に規定する施設の変更等の承認申請書に添付すべきものとして「書類」を追加することを遺漏していたため、これを一部改正総理府令において追加した。
  (三) 第七条において、公園事業者が令第一一条の規定により届け出る場合の届出書の添付書類として、以下の書類を追加する。これらの届出は、承継者の事業執行者としての地位を確認する上で、必要不可欠なものである。
   ① 相続による地位の承継の届出の場合
     当該相続に係る国立公園事業の執行に必要な物件の登記簿の謄本その他の当該事業の執行に必要な物件が承継されたことを証する書類
   ② 合併による地位の承継の届出の場合
     合併後の法人の登記簿の謄本
   ③ 法人の設立の届出
     設立した法人の登記簿の謄本
 三 国立公園事業を執行する公共団体に係る準用規定の改正(第八条)
   法及び令において、国立公園事業を執行する公共団体への国の関与に関する規定が改正されることに伴い、公共団体に関する準用規定を改正する。
   なお、従来、公共団体間の譲渡承継については、運用上、第六条の規定の例による届出の提出を求めていたため、今回の規則の改正により、第六条の規定についても公共団体が執行する国立公園事業について準用することとした。
 四 大規模な開発行為等の許可申請書の添付書類として、事前の環境調査に係る書類を追加(第一〇条)
   国立公園又は国定公園の特別地域、特別保護地区又は海中公園地区内において行われる大規模な開発行為又は風致若しくは景観に著しい支障を及ぼすおそれの有無を確認する必要がある行為については、事前の環境調査等を十分に行わしめ、これを基に審査することが必要である。
   このため、次の(一)に掲げる行為に該当する場合は、申請書に次の(二)に掲げる事項を記載した書類を添付しなければならないこととする。この改正は、「国立公園内(普通地域を除く。)における各種行為に関する審査指針について」(昭和四九年一一月三〇日付け環自企第五七〇号環境庁自然保護局長通知。以下「審査指針」という。)の別紙前文なお書きに基づき実施を求めていた事前の環境調査と同様の調査を、施行日以降法令上に位置づける必要があるため行うものである。なお、風致又は景観に著しい支障を及ぼすおそれの有無を確認する必要がある行為についての規定を第四項として第三項とは別に規定した趣旨は、事前の環境調査等を常に義務づけることは申請者にとって過剰な負担となるので、申請に係る場所及び行為の態様を勘案して、許可権者が風致又は景観に著しい支障を及ぼすおそれの有無を確認する必要がある場合に限り事前の環境調査等を申請者に行わせることとするためである。
  (一) 事前の環境調査を実施し、添付書類を提出することが必要な場合
   ① 申請に係る行為(道路の新築及び農林漁業のために反復継続して行われるものを除く。)の場所の面積が一ヘクタール以上である場合(第三項)
   ② 申請に係る行為がその延長が二キロメートル以上又はその幅員が一〇メートル以上となる計画になっている道路の新築(法の規定による許可を現に受け又は受けることが確実である行為が行われる場所に到達するためのものを除く。)である場合(第三項)
   ③ 環境庁長官又は都道府県知事が、申請書の提出があった場合において、申請に係る行為が当該行為の場所又はその周辺の風致又は景観に著しい影響を及ぼすおそれの有無を確認する必要があると認め、申請者に第三項各号に掲げる事項を記載した書類の提出を求めたとき(第四項)
  (二) 事前の環境調査に係る添付書類に記載すべき事項
   ① 当該行為の場所及びその周辺の植生及び動物相その他の風致又は景観の状況並びにその特質(第三項第一号)
   ② 当該行為により得られる自然的、社会経済的な効用(第三項第二号)
   ③ 当該行為が風致又は景観に及ぼす影響の予測及び当該影響を軽減するための措置(第三項第三号)
   ④ 当該行為の施行方法に代替する施行方法により当該行為の目的を達成し得る場合にあっては、当該行為の施行方法及び当該方法に代替する施行方法を風致又は景観の保護の観点から比較した結果(第三項第四号)
   なお、これらの添付書類については、申請に当たって未提出の場合、法令で定めた形式上の要件に適合せず、申請を拒否する処分を行わざるを得なくなる。このため、当該行為並びに行為の場所及びその周辺の状況を勘案して、提出を求めるのは審査をする上で必要な事項に係る書類に限定し、それ以外のものは第一五条の三第三項の規定に基づき添付を省略させることにより、申請者に過度の負担を与えないよう留意する必要がある。
 五 行為許可の基準の規定(第一一条、令附則第三項、附則第四項)
   第二の七にあるとおり、第一一条において、環境庁長官又は都道府県知事が特別地域、特別保護地区又は海中公園地区内の行為の許可をするに当たりよるべき基準を定めることとする。
  (一) 基準の概要(第一項から第二九項まで及び第三一項)
    今回定める基準の内容は、審査指針において規定する基準及「国立公園内(普通地域を除く。)における各種行為に関する審査指針の細部の解釈及び運用の方法について」(昭和五〇年三月一九日環自企第一四八号環境庁自然保護局長通知)等において規定していた審査指針の細部解釈又は運用の方法を内容を違えずに第一項から第二九項までに規定したものであり、今回の総理府令化では実質的に規制の強化又は緩和は行っていない。(ただし、分権改正総理府令により、第一一項、第一二項及び第一五項に掲げる基準の一部に従前の審査指針と比して規制強化となっていた点があったため、一部改正総理府令において従前と同様の基準内容となるようこれを改正した。)
    また、第三一項は、唯一無二の存在である自然の風致又は景観の保護のための規制内容は、地域によって様々であり、第一項から第二九項までに定める基準だけでは風致又は景観の保護を十分に図ることができないおそれがあること等から、包括的な規定を設けたものである。
  (二) 基準の特例(第三〇項)
    唯一無二の存在である自然の風致又は景観の保護のための規制内容は、地域によって様々であり、第一項から第二九項までに掲げる基準の一律に適用することは、その自然的、社会経済的条件から判断して適当でない場合がある。
    このような場合の特例として、国立公園にあっては環境庁長官が、国定公園にあっては都道府県知事が、第一項から第二九項までに掲げる基準を適用することが適当でないと認めて指定した区域内において行われる各種行為について、それぞれ基準の特例を定めることができることとした。これらの指定区域及び基準の特例は、国立公園に係るものについては告示により公表するものとしていることから、国定公園に係るものについても都道府県の公示により公表されたい。
    なお、これは、従前の「審査指針によらないことができる特定地域における特定行為の認定について」(昭和五〇年三月七日付け環自企第一二五号環境庁自然保護局企画調整課長通知)に基づくいわゆる「特認制度」と同趣旨のものである。
  (三) 細部解釈及び運用方法
    規則第一一条に規定する基準の細部解釈及び運用方法については「自然公園法の行為の許可基準の細部解釈及び運用方法」(別途発出予定)において定める予定である。
  (四) 地種区分未定の特別地域における行為の許可基準
    第九条の二に基づく地種区分が未定の特別地域における行為については、森林の施業に係る行為については森林法第五条第一項の地域森林計画に定める伐採の要件を基準とし(附則第四項)、それ以外の行為については当該行為が第二種特別地域において行われるものとみなして第一一条第一項から第二三項まで及び第三〇項の基準を適用する旨の経過措置を規定する。(附則第三項関係)
 六 国定公園特別地域、特別保護地区若しくは海中公園地区内における行為の許可又は国の機関からの協議に係る環境庁長官との同意を要する協議が必要な行為を規定(第一一条の二、第一二条の二、第一三条の二、第一九条)
   第二の八にあるとおり、機関委任事務の廃止に伴い、都道府県の自治事務への関与として、国定公園の特別地域、特別保護地区又は海中公園地区内における行為の許可の一部(国定公園の風致又は景観に重大な影響を及ぼし得る大規模な行為又は国際条約に基づき国が保全する責務を負う国際的な登録地に係る行為)については、許可に当たって環境庁長官との同意を要する協議が必要とされたため、事前の同意を要する協議が必要な行為として次の(一)及び(二)の行為を定める。
  (一) 大規模な行為
   ① 特別地域又は特別保護地区内において行われるその高さが五〇メートル又はその地上部分の容積が三万立方メートルを超える工作物の新築、改築又は増築(改築又は増築後において、その高さが五〇メートル又はその地上部分の容積が三万立方メートルを超える工作物となる場合における改築又は増築を含む。)(第一一条の二第一号、第一二条の二第一号)
   ② 特別地域又は特別保護地区内において行われる面積が二〇ヘクタールを超える土地の開墾その他土地の形状の変更又は水面の埋立て若しくは干拓(第一一条の二第二号、第一二条の二第一号)
   ③ 海中公園地区において行われるその容積が三万立方メートルを超える工作物の新築、改築又は増築(改築又は増築後において、その容積が三万立方メートルを超える工作物となる場合における改築又は増築を含む。)(第一三条の二第一号)
   ④ 海中公園地区において行われる面積が二〇ヘクタールを超える海面の埋立て若しくは干拓又は海底の形状の変更(第一三条の二第二号)
  (二) 国際的な登録地に係る行為
   ① 特別地域内の区域のうち、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約第二条一に規定する登録簿に掲げられている湿地の区域であって環境庁長官が指定するもの(以下「指定湿地」という。)又は世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約第一一条二に規定する一覧表に記載されている同条約第一条に規定する文化遺産が所在する場所及びその周辺の区域若しくは同条約第二条に規定する自然遺産の区域であって環境庁長官が指定するもの(以下「指定世界遺産区域」という。)内において行われる次に掲げる行為(第一一条の二第三号)
    イ その高さが一三メートル又はその水平投影面積が一、〇〇〇平方メートルを超える工作物(住宅及び仮工作物を除く。)の新築、改築又は増築(改築又は増築後において、その高さが一三メートル又はその水平投影面積が一、〇〇〇平方メートルを超える工作物(住宅及び仮工作物を除く。)となる場合における改築又は増築を含む。)
    ロ 砂防法第一条に規定する砂防設備、漁港法第三条に規定する漁港施設、港湾法第二条第五項に規定する港湾施設、海岸法第二条第一項に規定する海岸保全施設又は地すべり等防止法第二条第三項に規定する地すべり防止施設の新築
    ハ ダム、水門又はパラボラアンテナの新築、改築又は増築
    ニ 木竹の伐採(森林法第五条第一項の地域森林計画に定める伐採に関する要件に適合するものを除く。)、鉱物の掘採又は土石の採取、河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせる行為及び水面の埋立て又は干拓
    ホ ゴルフコースの用に供するために行う土地の形状の変更(面積が一、〇〇〇平方メートル以下の土地に係るものを除く。)
   ② 特別地域又は特別保護地区において行われる指定湿地又は指定世界遺産区域内の河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせる行為(第一一条の二第四号、第一二条の二第一号)
   ③ 指定湿地又は指定世界遺産区域内に法第一七条第三項第四号の二の規定により環境庁長官が指定した湖沼又は湿原の全部又は一部が含まれる場合にあっては、特別地域において行われる当該湖沼又は湿原に係る汚水又は廃水の排出(第一一条の二第五号)
   ④ 特別保護地区内の指定湿地又は指定世界遺産区域内において行われる法第一八条第三項各号に掲げる行為(第一二条の二第一号及び第三号に掲げる行為を除く。)(第一二条の二第二号)
   ⑤ 指定湿地又は指定世界遺産区域内に法第一八条第三項第一号の規定により環境庁長官が指定した湖沼又は湿原の全部又は一部が含まれる場合にあっては、特別保護地区において行われる当該湖沼又は湿原に係る汚水又は廃水の排出(第一二条の二第三号)
   ⑥ 海中公園地区内の指定湿地又は指定世界遺産区域内において行われる法第一八条の二第三項各号(第六号を除く。)に掲げる行為(第一三条の二第三号)
   ⑦ 海中公園地区の区域内に指定湿地又は指定世界遺産区域内の全部又は一部が含まれる場合にあっては、当該海中公園地区内において行われる汚水又は廃水の排出(第一三条の二第四号)
  (三) 同意を要する協議が必要な国の機関からの協議に係る行為(第一九条)
    国の機関から法第四〇条第一項に基づく協議のうち、上記(一)及び(二)に相当する行為に係るものについても同様に、環境庁長官との同意を要する協議を必要とすることとする。
  (四) 指定湿地及び指定世界遺産区域の指定
    国際的な登録地として、(二)の規定が適用されるのは、環境庁長官が指定した指定湿地及び指定世界遺産区域の地域に限られる。これらの地域は、「自然公園法施行規則第一一条の二第三号、第一二条の二第二号及び第一三条の二第三号に規定する国定公園の指定湿地」(平成一二年三月二一日環境庁告示第一三号)及び「自然公園法施行規則第一一条の二第三号、第一二条の二第二号及び第一三条の二第三号に規定する国定公園の指定世界遺産区域」(平成一二年三月二一日環境庁告示第一四号)において指定された。
 七 地方分権一括法の施行に伴う特別保護地区内において許可を要しない行為の見直し(第一三条)
   地方分権一括法により鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律(大正七年法律第三二号。以下「鳥獣保護法」という。)第一二条第一項の規定による許可に関する事務が国の直接執行事務及び自治事務となったことに伴い、現在、鳥獣保護法第一二条第一項の規定による許可を受けている場合は一律に法第一八条第三項の許可を要しないとする取扱いを改め、鳥獣保護法と自然公園法の許可権者が異なる場合は、それぞれ個別に許可を受けることが必要であることとした。
   また、傷病その他の理由により緊急に保護を要する動物の捕獲又はそれらの卵の採取は、景観の維持に資することから、許可を要しないものとする。
   なお、一部改正総理府令附則第二項の規定により、平成一二年三月三一日までに鳥獣保護法第一二条第一項の規定による許可を受けている場合については、施行日後当該許可の有効な間は、法第一八条第三項の許可を要しない。
 八 書類の経由に係る規定を削除(旧第一九条)
   機関委任事務制度の廃止に伴い、法、令又は規則の規定により環境庁長官に提出する書類は都道府県知事を経由する旨を定めた規定を削除する。
 九 令附則第四項の規定に基づく報告の内容等(附則第五項)
   令附則第四項の規定に基づき、都道府県知事が国立公園に係る法定受託事務を処理したときに環境庁長官に対して行う事務の報告の内容等を定める。
 一〇 令附則第三項第五号の規定に基づき立入り等を行う都道府県の職員が使用する身分証の様式(附則第六項、様式第六関係)
   令附則第三項第五号の規定に基づき立入り等を行う都道府県の職員が使用する身分証の様式を定める。
第六 その他
 一 国の機関からの法第四〇条に基づく協議の取扱いについて
   法第四〇条第一項に基づく国の機関からの協議については、同意をするに当たりよるべき基準を定めてはいないが、規則第一一条各項に定める行為の許可基準を準用して取扱うこととする。ただし、環境庁と国の機関との間で国の機関の行為の取扱いが定められている場合はこれによるものとし、例えば、国有林に係る森林の施業については「自然公園区域内における森林の施業について」(昭和三四年一一月九日付け国発第六四三号、厚生省国立公園部長通知)別紙(昭和三四年八月一二日付け国発第四六八号国立公園部長照会、昭和三四年一一月二日付け34林野指第六四一七号林野庁長官回答)の取扱いによるものとする。
   したがって、国定公園内の国有林野における森林施業に係る法第四〇条第一項の協議についても、次により取り扱われることが望ましい。
  ① 国定公園の特別地域(地種区分未定の特別地域を除く。)の国有林野に係る法第四〇条第一項の規定に基づく協議については、「自然公園区域内における森林の施業について」別紙の第一の一の二の(一)、(二)及び(三)の内容に基づき取り扱うこと。
  ② 国定公園の地種区分未定の特別地域又は特別保護地区内の国有林野における森林の施業に関する制限については「自然公園区域内における森林の施業について」別紙の第一の一の二前文ただし書き又は第一の一の三に基づく協議が林野庁と環境庁との間で行われた場合には、その結果を当庁より通知するので、当該区域内の国有林野に係る自然公園法第四〇条第一項の規定に基づく協議は、これに基づき取り扱うこと。
 二 鉱業法(昭和二五年法律第二八九号)第二四条の規定に基づく鉱業権設定に係る協議について
   標記協議が、地方通商産業局長から都道府県知事に対して行われた場合、「国立公園及び国定公園の許可、届出等取扱要領」(以下「旧要領」という。)第三八に基づき、都道府県知事から自然保護局長に対して事前の協議が行われていたが、旧要領の廃止に伴い、都道府県に対する国の関与の見直しの一環として、当該協議は廃止される。都道府県においては、鉱業法第二四条の規定に基づく鉱業権の設定協議が行われた場合には、国立公園の保護と利用の観点からも適切に対処願いたい。
   なお、従来の自然保護局長への協議の廃止は、鉱業法第二四条の規定に基づく都道府県知事への鉱業権の設定協議が行われた場合であって、協議に係る地域と国立公園の保護及び利用との関係について確認する必要がある場合に、必要に応じて都道府県の任意により、環境庁に対して意見照会を行うことを妨げるものではない。
   また、国立公園の保護のために鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律(昭和二五年法律第二九二号)第二二条の規定する鉱区禁止地域の指定を行う必要があると認めるときは、その旨、自然保護事務所長まで御連絡願いたい。
 三 国立公園の地種区分未定の特別地域における民有林の施業に関する手続について
   旧要領第四〇に基づき、国立公園の特別地域のうち、地種区分未定の地域における民有林の施業に関し、都道府県知事が森林法第五条第一項の規定による地域森林計画を編成するに当たっては、あらかじめ、森林計画区ごとにその施業要件を定め、当該計画を編成する年度の九月末日までに都道府県知事の意見を付して環境庁長官に提出し、承認を受けることとしていたが、旧要領の廃止に伴い、都道府県に対する国の関与の見直しの一環として、当該協議は廃止される。
   なお、国立公園の特別地域のうち地種区分未定の特別地域における地域森林計画の樹立に当たっては、平成一二年度樹立のものから、森林法第六条第五項の規定に基づき、地域森林計画の樹立に当たって都道府県知事から農林水産大臣に協議が行われた際に、その回答に先立ち、林野庁長官から自然保護局長に対し協議が行われることとなっている。
 四 既存の通知の取扱い
   既存の各種通知については、それぞれ以下のとおり取扱う。
  (一) 以下に掲げる通知は、平成一二年三月三一日をもって廃止される。
   ・「国立公園内(普通地域を除く。)における各種行為に関する審査指針について」(昭和四九年一一月二〇日付け環自企第五七〇号当職通知)
   ・「国立公園内(普通地域を除く。)における各種行為に関する審査指針の細部解釈及び運用方法について」(昭和五〇年三月一九日付け環自企第一四八号当職通知)
   ・「審査指針によらないことができる特定地域における特定行為の認定について」(昭和五〇年三月七日付け環自企第一二五号環境庁自然保護局企画調整課長通知)
  (二) (一)に掲げる通知以外の通知であって、都道府県に対して発出していたものについては、施行日において機関委任事務に係る通知としては廃止されることとなるが、施行日以降は、地方自治法第二四五条の四第一項に規定する技術的な助言若しくは勧告又は資料の提出の要求として取り扱うこととする。ただし、別途個別の通知により改正若しくは廃止を行った場合は、この限りではない。