法令・告示・通達

第七次鳥獣保護事業計画の基準について

  • 公布日:平成3年8月27日
  • 環自野303号

(各都道府県知事あて環境事務次官通知)
 鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律(大正七年法律第三二号)第一条ノ二第一項の規定に基づく基準が別冊のとおり定められたので、命により通達する。


別表
   第七次鳥獣保護事業計画の基準
第一 計画の期間
  計画の期間は、平成四年四月一日から平成九年三月三一日までの五年間とする。
第二 鳥獣保護区の設定及び特別保護地区の指定並びに休猟区の設定並びにこれらの整備に関する事項
 1 鳥獣保護区の設定
   鳥獣保護区は、次の区分に従って設定するものとする。
   なお、自然公園法、自然環境保全法等により保全されている地域で、鳥獣の保護繁殖上重要な地域については、鳥獣保護区の設定に努めるものとする。
  (1) 森林鳥獣生息地の保護区
    森林に生息する鳥獣の保護を図るため、大規模生息地の保護区を除き、林野面積がおおむね一万ha(北海道にあっては、二万ha)ごとに三〇〇ha以上の鳥獣保護区を一箇所設定する。
  (2) 大規模生息地の保護区
    樹種、林相、林齢を異にする各種の森林を包括し、かつ、質量ともに多彩な鳥獣が生息する場所のうち、必要な地区について、一万ha以上の鳥獣保護区を設定する。
    なお、国立公園、国定公園を中心とする代表的なものは、国が設定する。
  (3) 集団渡来地の保護区
    干潟、湖沼、湿地等であって、鳥獣の集団渡来地のうち必要な地区について、鳥獣保護区を設定する。
    なお、渡り鳥保護条約等の国際条約によって保護対象になっているシギ・チドリ類、ガン・カモ・ハクチョウ類等の主たる渡りの経路上にあり、地域的に重要な拠点となっているものは、国が設定する。
  (4) 集団繁殖地の保護区
    島しょ、草原等であって、鳥類の集団繁殖地のうち必要な地区について、鳥獣保護区を設定する。
    なお、繁殖する種類、生息数からみて代表的なものは、国が設定する。
  (5) 特定鳥獣生息地の保護区
    絶滅のおそれのある鳥獣、又はこれに準ずる鳥獣の生息地であって、その保護上必要な地区について、鳥獣保護区を設定する。
    なお、当該鳥獣の代表的な生息地を含むものは、国が設定する。
  (6) 誘致地区の保護区
    鳥獣の誘致地区(都市における生活環境の改善のため、鳥獣を誘致することが必要であると認められる地区)について、鳥獣保護区を設定する。
  (7) 愛護地区の保護区
    鳥獣の愛護地区(鳥獣保護の普及啓発のため、小中学校、その他法人等が設ける野鳥等の保護地区)について鳥獣保護区を設定する。
 2 特別保護地区の指定
   特別保護地区は、鳥獣の生息環境を保全する上で、きわめて重要な地区であるため、次により指定に努めるものとする。
  (1) 森林鳥獣生息地の保護区については、その箇所数の二分の一以上の地区につき、それぞれの面積の一〇分の一以上の特別保護地区を指定するよう努めるものとする。
  (2) 大規模生息地の保護区、集団渡来地の保護区及び集団繁殖地の保護区については、全箇所につき、鳥獣の保護繁殖のために必要と認められる中核的地区について、特別保護地区を指定するよう努めるものとする。
  (3) 特定鳥獣生息地の保護区については、全箇所について広範囲に特別保護地区を指定するように努めるものとする。
  (4) 誘致地区の保護区及び愛護地区の保護区については、必要と認められる地区について、特別保護地区を指定する。
  (5) 特別保護指定区域は、特定鳥獣生息地の保護区、集団繁殖地の保護区等について指定するものとする。
 3 休猟区の設定
   休猟区は、可猟地域に分布に偏りがないように配慮して設置する。
   休猟区一箇所当りの面積は一五〇〇ha以上となるよう努めるものとし、さらに、休猟区面積の合計は、可猟地域の面積全体のおおむね三分の一になるよう努めるものとする。
 4 鳥獣保護区の整備に関する事項
  (1) 鳥獣保護区内には、自然条件を勘案して、それぞれの鳥獣保護区の設定目的を達成するため、必要な給餌及び給水施設の設置、食餌植物の植栽、営巣材料の供与等の保護措置を講ずるものとする。
  (2) 鳥獣保護区の整備は、年度別計画をたてて実施するものとし、特に巡視等管理の充実、利用施設の整備に配慮するものとする。
第三 鳥獣の人工増殖及び放鳥獣に関する事項
 1 鳥獣の人工増殖
   絶滅のおそれのある鳥獣、又はこれに準ずる鳥獣のうち、特に個体数が少なく保護繁殖を図る必要のあるものについて、人工増殖に努めるものとする。
   また、狩猟鳥獣のうち必要のあるものについて、人工増殖を行うよう指導するものとする。
   なお、鳥類の人工増殖に当たっては、亜種間の交雑を行わないよう特に配慮するものとする。
 2 放鳥獣
  (1) 鳥類
    鳥獣保護区のうち狩猟鳥類の生息適地であって、その増加を図るため必要と認められる箇所については、繁殖に必要な種鳥を放鳥し、休猟区のうち狩猟鳥類の増加を図る必要が認められる箇所については、必要な羽数を放鳥する。
    なお、亜種間の交雑を防ぐため、放鳥する場所に生息する鳥類と同亜種のものについてのみ放鳥するものとする。
  (2) 獣類
    獣類については、造林木等の激甚な被害を防ぐために必要があり、かつ生態系に大きな影響を及ぼすおそれがない場合を除き、原則として放獣を行わないよう指導するものとする。
  (3) 外来種
    外来種の放鳥獣については、原則として、これを行わないよう指導するものとする。
第四 有害鳥獣の駆除に関する事項
 1 鳥獣による被害発生予察表の作成
   過去五年間の鳥獣による被害の発生状況及び鳥獣の生息状況を検討し、鳥獣の種類別、四半期別及び地域別による被害発生予察表を作成するものとする。
 2 鳥獣による被害の防除方法の検討等
   農林作物等に被害を及ぼし若しくは生活環境を悪化させ又はそのおそれのある鳥獣について、農林水産業又は生活環境とこれらの鳥獣の保護との両立を図るため、総合的、効果的な防除方法を検討し、所要の対策を実施するよう指導するものとする。
 3 有害鳥獣の駆除についての許可基準の設定
   鳥獣による被害の発生予察、駆除の実績及び農林作物等の状況を勘案して、鳥獣の種類別に捕獲許可の基準を設定するものとする。
 4 駆除体制の整備
   イノシシ、ノウサギその他の鳥獣による農林作物の被害が激甚な地域については、その地域ごとにあらかじめ、駆除隊を編成するよう指導するものとする。
   なお、農林作物等に著しく被害を及ぼす鳥獣の駆除を広範囲にわたって実施する必要のある場合にそなえ、効果的な駆除実施体制の整備を図るよう指導するものとする。
第五 鳥獣の生息状況の調査に関する事項
  科学的知見に基づいた鳥獣の保護管理を行うために、調査研究体制の整備を図り、必要に応じ次のような調査を実施し、情報の集積に努めるものとする。
 1 鳥獣保護対策調査
   都道府県内に生息する鳥獣の種類、分布状況、生息数の推移等を把握するための調査
  (1) 鳥獣生息分布等調査
    都道府県に生息する鳥獣の種類、分布、出現の時期、生態等を明らかにする調査
  (2) 特定鳥獣等保護調査
    絶滅のおそれのある鳥獣、又はこれに準ずる鳥獣、都道府県民の鳥獣(鳥獣保護思想の普及の一環として、都道府県民の象徴として定められた鳥獣)等の生息状況及び保護対策を明らかにする調査
  (3) ガン・カモ・ハクチョウ類一斉調査
    ガン・カモ・ハクチョウ類の越冬状況を明らかにするための生息数を中心とした生態調査
  (4) 鳥獣保護区等の設定効果測定調査
    鳥獣保護区、休猟区及び捕獲禁止区域の設定効果を測定するための調査
 2 狩猟対策基礎調査
   狩猟の適正化を推進するための調査
  (1) 狩猟鳥獣生息調査
    主要な狩猟鳥獣の生息分布、生息概況、生息環境の変化を明らかにする調査
  (2) 放鳥獣効果測定調査
    放鳥獣する狩猟鳥獣に標識を付して、放鳥獣による効果を測定し、当該地域での定着状況を明らかにする調査
  (3) 狩猟実態調査
    狩猟者の一狩猟期間における出猟の日数、狩猟鳥獣の増減傾向に関する狩猟者の意識、可猟地域への狩猟者の立入り頻度等についての調査
 3 有害鳥獣対策調査
   農林作物等に被害を及ぼす鳥獣の防除方法の確立に資するため、主要な有害鳥獣の生態、生息概数等と被害発生との関連を明らかにする調査
第六 鳥獣保護事業の啓発に関する事項
 1 鳥獣保護思想の普及
   鳥獣保護の成果を挙げるためには、広く都道府県民の認識を深めることが重要である。
   このため、鳥獣保護思想の普及啓発を図ることを目的とした年間計画をたて、鳥獣保護団体の育成指導、探鳥会等の普及活動、スライド、映画フィルム、展示品の巡回貸付け等を行うほか、鳥獣保護実績発表大会を開催する等地域の特性に応じた効果的な事業を実施するものとする。
   特に愛鳥週間を活用し、探鳥会、講演会、食餌植物の植栽、印刷物の配布、スライド、映画フィルムの貸付け等の行事を積極的に実施するものとする。
   また、鳥獣保護思想の普及啓発等に資するため、傷病鳥獣の保護のための効果的な事業の実施に努めるものとする。
 2 鳥獣保護センター等の設置
  (1) 鳥獣保護センターの設置
    鳥獣保護思想の普及啓発、各種調査の効果的実施等をはかるため、都道府県に鳥獣保護センターを設置するものとする。
  (2) 野鳥の森等の設置
    都道府県民が親しく鳥獣に接する喜びを体得することができるよう、鳥獣保護区の区域内の野鳥等の観察に適する場所に野鳥の森等を設置するものとする。
 3 小鳥がさえずる森づくり運動の推進
   地域住民が身近に小鳥に親しむことのできる場としての「小鳥がさえずる森」づくり運動を、地域住民の積極的な参加を得ながら推進するものとする。
 4 愛鳥モデル校の指定
   鳥獣保護思想の普及の一環として、愛鳥モデル校を期間を定めて指定するものとする。
   愛鳥モデル校は、小・中学校を対象に地域的な配置を考慮して指定するものとするほか、必要に応じ、高等学校その他の学校についても指定することができるものとする。
   なお、愛鳥モデル校においては、学校周辺に野鳥愛護地区を設定するよう努めるものとする。
 5 法令の普及徹底
   鳥獣に関する法令のうち、鳥獣捕獲の規制の制度(かすみ網の使用、捕獲目的の所持及び販売等の規制、とりもち等の使用規制を含む。)及び鳥獣飼養許可制度等、特に都道府県民に関係ある事項については、都道府県広報誌、ポスター、パンフレット等により、その周知徹底を図るものとする。
第七 鳥獣保護事業の実施体制の整備に関する事項
 1 鳥獣行政担当職員
   鳥獣行政担当職員の配置は、鳥獣保護事業計画の内容、鳥獣の生息状況、狩猟者登録を受けた者の数等を勘案して行い、鳥獣保護事業の実施に支障のないようにする。
   なお、行政効果を高めるため、計画的に鳥獣行政担当職員を担当として研修(司法警察員としての研修を含む。)を行い、専門的知識の向上を図るものとする。
 2 鳥獣保護員
   鳥獣保護員の総数は、地域の実情に応じて市町村数に見合う数を目標とし、その配置については、鳥獣保護区の数、狩猟者登録を受けた者の数、取締りの実施状況、鳥獣保護思想の普及の現況等を勘案して行うものとする。
   なお、行政効果を高めるため、計画的に鳥獣保護員を対象として研修を行い、全員に所要の知識を習得させるものとする。
 3 取締り
  (1) 狩猟の取締りは過去五年間の違反状況の分析の結果に基づき月別重点事項を定めて行うものとする。
  (2) ワシタカ科、フクロウ科の鳥類の違法捕獲、かすみ網の違法な使用、所持及び販売等並びにとりもち等による違法捕獲の取締りを重点的に行うよう配慮するものとする。
  (3) 鳥獣の輸出入業者、飼養関係者、加工業者、食品関係者等を対象とし、鳥獣及びその加工品を定めて、流通段階における違法行為の取締りを計画的に実施するものとする。
  (4) 鳥獣の違法な飼養については、取締りを重点的に行うよう配慮する。
  (5) 取締りに必要な機動力を整備するほか、緊急取締りに対応して鳥獣行政担当職員及び鳥獣保護員の動員体制を整備するものとする。
  (6) 狩猟事故及び狩猟違反の未然防止のため、狩猟者の資質の向上に努めるものとする。
第八 その他鳥獣保護事業の実施のため必要な事項
 1 銃猟禁止区域の設定
   近年における野外レクリェーションの活発化に鑑み、多数の住民が散策等に利用している区域については、危険予防のため、銃猟禁止区域の設定に努めるものとする。
 2 銃猟制限区域の設定
   休猟区解除直後の区域については、狩猟者の集中的入猟が予想されるので、人身に対する危険防止の観点から、必要に応じ、当該区域を銃猟制限区域とするように努めることとする。
 3 猟区の設定
   猟区の整備拡大を図るため、森林組合、狩猟団体等による設定が促進されるよう配慮するものとする。
 4 鳥類の飼養の適正化
   鳥類の違法な飼養が依然として見受けられることに鑑み、適正な管理が行われるよう努めるものとする。

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