法令・告示・通達

自然公園法施行令及び自然環境保全法施行令の一部を改正する政令並びに自然公園法施行規則の一部を改正する総理府令の施行について

公布日:昭和48年12月18日
環自企684号

環境庁自然保護局長から各都道府県知事あて
 自然公園法施行令及び自然環境保全法施行令の一部を改正する政令(昭和48年政令第278号。以下「改正令」という。)並びに自然公園法施行規則の一部を改正する総理府令(昭和48年総理府令第48号)が、昭和48年9月29日に公布され、10月1日から施行されたが、その内容等は次のとおりであるので、その施行について遺憾のないようにされたく通達する。

第1 改正の趣旨
  自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律(昭和48年法律第73号)の施行に伴い、自然公園法施行令(昭和32年政令第298号。以下「令」という。)の一部を改正して、国立公園の特別地域におけるゴルフコースの用に供するために行う土地の形状の変更に係る許可については、環境庁長官が処理することとし、国立公園の普通地域において新たに届出を要するとした行為に関する環境庁長官の権限の一部を都道府県知事に委任し、併せて、公園事業となる施設からゴルフ場を削り、また、自然公園法施行規則(昭和32年厚生省令第41号。以下「規制」という。)の一部を改正して、国立公園又は国定公園の普通地域(以下単に「普通地域」という。)において届出を要する工作物の基準として新たに鋼索鉄道等に関するものを追加するとともに、普通地域において届出を要しない行為を定めたほか、公園事業執行認可申請書、許可申請書及び届出書について所要の規定を設けたものである。
第2 国立公園の特別地域における土地の形状の変更に関する環境庁長官の権限の整理
  ゴルフコースの造成については、土地の形状の変更、木竹の伐採又は工作物の新築等の行為が複合的に行なわれるものであるが、自然公園法(昭和32年法律第161号。以下「法」という。)上の取扱いとしては、環境庁長官の権限に係る木竹の伐採又は工作物の新築等を通常伴うので、従来、環境庁長官が処理していたところである。今般、ゴルフコースの造成については土地の形状の変更として包括的に把握することとしたが、国立公園の特別地域の土地の形状の変更については、令第25条第1号の規定に基づき都道府県知事に権限委任されていることにかんがみ、新たに同号にホとして「ゴルフコースの用に供するために行なう土地の形状の変更(面積が千平方メートル以下の土地に係るものを除く。)」を追加し、従前の取扱いと同様環境庁長官が処理することとした。
  なお、ゴルフコースの用に供するために行う土地の形状の変更であつても、当該変更に係る面積が千平方メートル以下のものについては、都道府県知事に委任することとなつている。
  また、「ゴルフコースの用に供するために行なう土地の形状の変更」とは、ゴルフ場内におけるフエアウエイ、ラフ、グリーンテイーグラウンド、バンカー、池及びコース間の連絡通路等の設置のために行う土地の形状の変更を包括して含むものであるが、クラブハウス、駐車場、公共の用に供する道路からクラブハウスへの取付け道路等の新築等は工作物の新築等として把握することとする。
第3 国立公園の普通地域に係る環境庁長官の権限の委任
  改正後の令第25条第3号により、今般新たに国立公園の普通地域において届出を要することとした行為のうち、鉱物の掘採及び土石の採取(海中公園地区の周辺1キロメートルの当該海中公園地区に接続する海面内においてする行為を除く。)並びに、土地の形状の変更に関する法第20条第2項及び第4項に規定する環境庁長官の権限並びに今般の改正により新たに創設された着手制限期間の短縮に関する環境庁長官の権限は、都道府県知事に委任することとなつたので、その処理に遺憾のないようにされたい。
第4 公園事業となる施設からのゴルフ場の削除
 1 改正前の令第4条第5号からゴルフ場を削除したことにより、今後、新規のゴルフ場は公園事業として設置できないこととなつた。これは、最近、国立公園等の自然性の高い風景地にあつても、ゴルフ場の設置が多数計画されているが、ゴルフ場の設置は広い面積にわたる木竹の伐採、土地の形状変更等の行為を伴い、自然の現況を大幅に改変すること、さらに当該地域が少数者に排他的に利用されることなどからみて、国立公園等の利用者が増大している今日においては、公園施設として現在以上にゴルフ場を設置することは適当でないと認められるからである。
 2 改正令の施行の際現に法第14条第2項若しくは第15条第2項の規定による承認又は法第14条第3項若しくは第15条第3項の規定による認可を受けているゴルフ場に関する公園事業については、改正令附則第2項において、なお、従前の例によるとしており、引き続き公園事業として執行することができるとともに、施設の変更、公園事業者たる地位の承継等の手続きについても、他の公園事業と同様令及び規制の規定による手続きを要するので留意されたい。
第5 国の機関とみなす関係準用令の改正
  改正令附則第3項から第6項までにより、日本電信電話公社、日本住宅公団、工業用配置・産炭地域振興公団及び下水道事業センターが国の機関とみなされることとなつたので、法第40条及び第46条第2項の規定の運用について遺憾のないようにされたい。
第6 届出を要する工作物の追加
 1 普通地域において届出を要する工作物の基準については、法第20条第1項第1号において総理府令で定めることとされ、規則第14条に定められているが、鋼索鉄道、索道、別荘地の用に供する道路、及び遊戯施設について新たに基準を設け、この基準をこえるものについては届出を要することとした。
   これは、最近の普通地域における各種開発行為の実情等にかんがみ、これらの工作物の新築等は公園の風景の保護上比較的大きな影響を及ぼすおそれが多いと認められるからである。
 2 鋼索鉄道及び索道については、その構造、機能等において公園の風景の保護上大きな影響を及ぼすおそれが多いと認められるので、届出を要する行為としたものである。
   別荘地の用に供する道路については、別荘地が造成、分譲される場合には、山林等を現状のまま別荘地として区画し、これがための道路の新築等のみが開発行為の具体的内容として行われ、土地の形状の変更としては把握できないものもあるので、かかる別荘地開発を把握し、公園の風景の保護を図るため、別荘地への自動車の走行が可能な幅員2メートル以上の道路の新築等(改築又は増築後において、幅員が2メートルをこえるものとなる場合の改築又は増築を含む。)を届出を要する行為としたものである。
   遊戯施設について、ウオーターシユート、コースター、メリーゴーラウンド、観覧車、オクトパス、飛行塔等の各種遊戯施設が含まれ、これらが複合的に設置されるいわゆるレジヤーランド等の建設については、これらの行為が大規模であり、公園の風景の保護上問題となる場合も多いので、届出を要する行為としたものである。
第7 届出事項に関する事務執行の迅速化について
  今般の改正において着手制限制度を創設したことにより、着手制限期間の起算日となる届出時期が事務取扱い上の問題となるが、都道府県によつては、直接都道府県に届け出させずに、市町村又は国立公園管理事務所等に事実上届け出させているところもある。かかる場合には特段の留保がない限り、市町村又は国立公園管理事務所等に届け出た日をもつて、都道府県知事に届出をした日と解される。したがつて、届出書が都道府県の主管部局に到達するまでの期間を運用上の支障のない範囲で出来る限り迅速化する等、30日間の着手制限制度の有効な運用がなされるよう適切に配慮することが必要である。
第8 普通地域において届出を要しない行為
  現に普通地域に指定されている地域には、かなりの集落地、農用地等が含まれ、農林漁業等の生業をはじめ諸々の人間活動が営まれていること等にかんがみ、今回の改正により新たに届出を要することとされた行為のうち、公園の風景の保護に支障を及ぼすおそれのないものまで届出の義務を課すことは適当でないので、規則第15条を改正し、新たに届出を要しない行為を定めたが、その主なものは次のとおりである。
 1 鋼索鉄道及び索道については、農業、林業又は鉱業の用に供する索道のように地域の生業等の用に供する索道、また、その構造、機能上公園の風景の保護に特段の影響のない丙種特殊索道については、届出を要しない行為とした。
 2 土地改良法第2条第2項に規定する土地改良事業及び土地改良事業として行う事業ではないが、同条同項各号に掲げる事業に相当する事業として当該区域に介在する池沼等を埋め立てることは届出を要しないこととした。ただし、同条同項第4号に掲げる埋立て又は干拓については、この限りでないこととした。
 3 露天掘りでない方法による鉱物の掘採又は土石の採取は届出を要しないこととしたが、露天掘りであつても、面積が200平方メートルをこえず、かつ、高さが5メートルをこえる法〈のり〉を生ずる切土又は盛土を伴わないものは、届出を要しないこととした。
 4 工事用の搬入道路等単にブルトーザー等で土地の形状を変更した程度で工作物とまでは至らない道又は単にしゆんせつした程度で工作物とまでは至らない公共の用に供する水路等の設置又は管理のために土地の形状を変更することは、届出を要しないこととした。
 5 土地の開墾その他農業又は林業を営むために土地の形状を変更することは、届出を要しないこととした。
 6 浸食をうけた海水浴場等の復旧のために海岸等を砂により養浜することは届出を要しないこととしたが、海岸等にテトラポツト等を設置する行為は、工作物の設置として把握することとする。
 7 届出を要する基準以下の工作物又は届出を要する基準が設定されていない工作物の新築等を行うために、当該新築等を行う土地の区域内において、必然的に行われる土地の形状の変更は、届出を要しないこととした。
第9 許認可申請書等の添附図面等の整備
  国立公園事業の執行認可申請書の添附図面として、施設の位置を明らかにした縮尺5万分の1以上の地形図、施設の附近の状況を明らかにした縮尺5千分の1以上の概況図及び天然色写真を追加し、図面の縮尺を千分の1以上にするとともに、給排水計画図を添附させることとした。
  また、許可申請書及び届出書についても同様の改正をするとともに、新たに規則第15条の2を設け既着手行為等の届出書の記載事項及び添附図面を定めた。
第10 許可申請書又は届出書の添附図面の省略等
  第9に記したとおり許可申請書又は届出書の添附図面を整備したところであるが、許可を受けた行為若しくは届出を了した行為の変更に係る許可の申請若しくは届出を行う場合又は許可の申請若しくは届出に係る行為が軽易なものであること等の場合にあつては、添附図面の全部を添える必要は必ずしもないので、新たに規則第15条の3を設けて、かかる場合には当該図面の一部を省略することができるとした。