法令・告示・通達

自然公園における事故の防止について

公布日:昭和55年04月25日
環自企194号

(都道府県知事あて環境庁自然保護局長通知)
 自然公園内の安全快適な利用の促進については、かねてより、種々格別の御配慮をわずらわしているところであるが、近年、国民の良好な自然に親しもうとする気運の高まりにより自然公園利用者が増える一方で、しばしば自然公園内において人身事故の発生がみられるのは憂慮に堪えないところである。
 ついては、本年も本格的な利用シーズンを迎えるに当たり、自然公園における事故を未然に防止し、安全快適な利用を促進するため、更に左記の事項について、格別の配慮をお願いする。
 その際、貴職の執行に係る公園事業について、配慮されることはもちろんであるが、特に貴管下の市町村及び公園事業執行者に対してよろしく指導願いたい。
 なお、左記の措置又は指導監督を行つた後における状況を随時確認把握されたい。

1 公園事業に係る利用施設における事故防止について

  公園事業に係る利用施設の設置に当たつては、設計、施工の段階で、利用者の安全を期するために十分な配慮がなされることは当然であるが、更に、供用後においても定期的に安全確認のために点検を行うものとし、特に利用シーズン前、豪雨、台風等の後及び積雪地域における融雪後においては、より一層慎重な点検を行うこと。
  また、必要があれば利用者の目に触れやすいところに、定員、重量制限等の利用上の注意事項を標示する等により、施設の安全な利用方法の周知徹底を図ること。

2 道路(歩道)事業に係る事故防止について

  道路(歩道)事業に係る事故防止については、1に示したところによるほか、吊橋等の橋梁及び桟道等の構造物について、重点的に点検を行い、その結果、更に詳細、綿密に調査する必要がある場合には、必要に応じ、利用の禁止、制限等のための応急的措置を講じた上、別途、専門的技術、知見を有する者に調査を委託する等安全の確認に万全を期すること。
  また、道路(歩道)に附帯する指導標、案内板、注意標識等の点検にも留意し、必要によつては臨時の指導標、案内板、注意標識等の整備を行うこと。

3 公園事業に係る宿泊施設等における事故防止について

  宿舎、休憩所等、食品を提供し、宿泊休憩の用に供する施設及び野営場においては、1の事項に加え、食中毒、伝染病、火災その他の事故についても、衛生、建築、消防等に関する行政機関と緊密な連絡をとり、その発生を未然に防止するよう努めること。

4 火山地帯及び温泉地帯における事故防止について

  火山の爆発による災害の生ずるおそれのある地域、硫化水素ガス等有毒なガスが発生するおそれのある地域、高温の熱水又は蒸気がゆう出又は噴出するおそれのある地域等については、既に立入禁止区域を設ける等の措置が講じられているところもあるが、今後とも気象関係者、火山研究機関、保健所等と連絡を密にして不断に状況を把握するとともに、必要がある場合には、事前の立入規制、立入禁止柵等の設置、パトロールのための人員の配置等の事故防止措置をとるよう防災関係機関、警察、土地所有者等に要請すること。

5 山岳地帯における事故防止について

  山岳地帯は、気象の変化が激しく、地形等も急峻であるので、バス、ロープウエイ等の運輸業者、宿舎事業者等に対して、利用者が登山用具の装備の点検、悪天候時の計画中止又は変更等安全登山に十分配慮するようその周知方等につき協力を求めること。
  また、春山スキーについては、雪崩による事故の、夏山スキーについては滑落事故の危険性が強いので、利用者がかかる危険性のある場所においてスキーを行なわないことについても同様とすること。

6 海浜等水辺地域における事故防止について

  舟遊、水泳等の利用の行われる海浜、河川、湖沼等において、気象条件の変化等による水難事故の発生が懸念されるので、警察等の関係機関と緊密な連絡をとるとともに、利用者が事故の未然防止に十分配慮するよう当該地における公園事業執行者等にその周知方につき協力を求めること。