法令・告示・通達
自然環境保全地域等の指定書及び保全計画書作成要領等について
環自計170号
[改定]
平成2年11月30日 環自計第164号
(各都道府県知事宛 環境庁自然保護局長通知)
今般別添のとおり「自然環境保全地域等の指定書及び保全計画書作成要領」及び「都道府県自然環境保全地域の指定書及び保全計画書作成要領」を定め、昭和53年4月1日より施行することとしたので通知する。なお、昭和49年6月10日付け環自企第322号で通知した「自然環境保全地域等保全計画作成要領」及び「都道府県自然環境保全地域保全計画作成要領」は昭和53年4月1日をもって廃止する。
おって、昭和49年6月10日付け環自企第322号で通知した「自然環境保全地域等選定要領」及び「都道府県自然環境保全地域の指定基準」については従前どおりであるので、念のため申し添える。
〔別添1〕
自然環境保全地域等の指定書及び保全計画書作成要領
自然環境保全地域等の指定書及び保全計画書は本要領に従って作成するものとする。
第1 原生自然環境保全地域
1 指定書
(1)様式
○○原生自然環境保全地域
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別添図面として、縮尺5万分の1の地形図に区域を図示し、あわせて区域線を表示したものを添付する。
(2)留意事項
- ア 名称
原生自然環境保全地域の区域の位置等を名称とする。 - イ 指定理由
自然環境保全法(以下「法」という。)第14条及び自然環境保全地域等選定要領( )(以下「選定要領」という。)に規定された要件の適合性及び指定の必要性を明らかにする。 - ウ 自然環境の概要
植生、野生動物、地形、地質、自然現象その他の自然環境の特質について、その概要を記述する。 - エ 区域
区域の概要については、位置及び区域の概要を記述する。
区域線は原則として稜線界、河川界、海岸線(最低低潮時における汀線をいう。以下同じ。)界等地形による線、行政区界(都道府県界、市町村界、字界)並びに森林施業における事業区界、林班界及び小班界とするが、やむを得ない場合は、次に掲げるものとする。- (ア)土地所有界
- (イ)地番界
- (ウ)工作物界(道路、堤防、水路等)
- (エ)地類界
- (オ)見透線、距離表示線、方角表示線、等高線等特殊な線
- オ 別添図面
区域の表示は次のとおりとする。
区域線表示凡例
①―②
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稜線界
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②―③
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河川界
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③―④
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林班界(○林班と○林班)
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④―①
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市町村界(○○町と○○村)
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- (ア)区域線境界の種類が異なるごとに番号を付し凡例で区域線境界の種類を示す。
- (イ)番号は最北端のものより左回りに付す。なお、区域が数団地にわかれる場合は通し番号とする。
- (ウ)番号を記入する円は径8ミリメートルとし、表示線は原則として、長さ10ミリメートルとし、区域の外側に示す。
- (エ)指定原図には、区域線に沿って内側に幅2ミリメートルの橙色を帯状に彩色する。
2 保全計画書
(1)様式
○○原生自然環境保全地域に関する保全計画1 自然環境の保全に関する基本的な事項
2 地区の指定に関する事項 立入制限地区は次のとおりとする。
総括表
3 保全のための施設に関する事項 保全施設は、次のとおりとする。
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立入制限地区の別添図面は、本要領第1の1の(1)に準ずる。
保全施設の別添図面として、必要に応じて縮尺5万分の1の地形図に位置を図示したものを添付する。
(2)留意事項
ア 自然環境の保全に関する基本的な事項
- (ア)立入制限地区の指定及び保全のための規制に関する方針については、当該原生自然環境保全地域の特性に応じた立入制限地区の指定及び当該立入制限地区における自然環境の保全のための立入に関する規制の方針を記述する。
- (イ)保全施設に関する方針については、当該地域の特性に応じた自然環境保全法施行令(以下「令」という。)第2条に規定する施設に関する方針を記述する。
イ 地区の指定に関する事項
立入制限地区は、原生自然環境保全地域の中で最も厳正に生態系の保存を図るべき地区で、次に掲げるものにつき選定する。
- (ア)高山植物群落、湿原植生及び野生動物の繁殖地等人の立入によって影響を著しく受けやすいもの
- (イ)特定の地形、地質、自然現象を有する土地で、人の立入によって影響を著しく受けやすいもの
- (ウ)研究調査のための用地、生物種の保存地等として、特に学術研究上保存すべき地区であって、人の立入によって影響を著しく受けやすいもの
ウ 保全のための施設に関する事項
令第2条に規定する施設に関して、その名称、種類及び位置を定め、規模、構造、工種等を明らかにする。
各施設の概要は次のとおりである。
- (ア)巡視歩道
管理者の見まわり、監視等の巡視のための歩道 - (イ)管理舎
管理者の滞在用、避難用等に供する建築物 - (ウ)標識
原生自然環境保全地域であること、原生自然環境保全地域における行為の規制等を明示した標識、原生自然環境保全地域の自然環境の概要等を解説した標識 - (エ)「その他これに類する施設」(令第2条)
制札、柵、境界杭その他管理上必要な施設
エ 別添図面
- (ア)立入制限地区の区域の表示方法は本要領第1の1の(2)のオに準ずるが、指定原図の彩色には、赤色を用いる。
- (イ)保全施設の位置の表示方法は次のとおりとする。なお、施設の種類及び工種の表示は、凡例のとおりとする。
第2 自然環境保全地域
1 指定書
(1)様式
○○自然環境保全地域
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別添図面として、面積が1000ヘクタール以上の場合には、縮尺5万分の1の地形図に、面積が100ヘクタール以上1000ヘクタール未満の場合には、縮尺5万分の1又は2万5000分の1の地形図に、面積が100ヘクタール未満の場合には、面積に応じた適当な縮尺の地形図に、区域を図示し、あわせて区域線を表示したものを添付する。
(2)留意事項
- ア 名称
自然環境保全地域の区域の位置等を名称とする。 - イ 指定理由
法第22条及び選定要領に規定された要件の適合性及び指定の必要性を明らかにする。 - ウ 自然環境の概要
植生、野生動物、地形、地質、自然現象その他の自然環境の特質について、その概要を記述する。 - エ 区域
区域の概要については、位置及び区域の概要を記述する。
区域線は、陸域については、第1の1の(2)のエに準ずるものとし、海域については、海岸線、距離表示線又は次に掲げるものにより定められた点を結んだ線とする。- (ア)顕著な地形、地物(岬、岩礁等)
- (イ)顕著な工作物(灯台、突堤等)
- (ウ)方位又は角度と距離の組合せによる点
- (エ)見透線と距離の組合せによる点
- オ 別添図面
区域の表示方法は、本要領第1の1の(2)のオに準ずるが、指定原図の彩色には水色を用いる。
2 保全計画書
(1)様式
○○自然環境保全地域に関する保全計画1 自然環境の保全に関する基本的な事項
2 地区の指定に関する事項(1)特別地区は次のとおりとする。
(2)海中特別地区は次のとおりとする。
(海中特別地区の指定がない場合は削除する。)
総括表
(海中特別地区の指定がない場合はその欄を削除する。普通地区に海域が含まれる場合には、普通地区の国有地及び合計の国有地の欄に「うち海域○○」と再掲する。)
3 保全のための規制に関する事項(1)野生動植物保護地区は次のとおりとする。
(2)法第25条第3項に規定する同条第4項の許可を受けないで行うことができる木竹の伐採の方法及びその限度は次のとおりとする。
特別地区内不要許可木竹伐採総括表
(3)法第25条第4項第3号に規定する汚廃水の排出の規制に係る湖沼又は湿原は次のとおりとする。
(4)法第25条第4項第4号に規定する乗入れ規制地区は次のとおりとする。
(5)法第27条第3項第5号に規定する捕獲若しくは殺傷又は採取若しくは損傷の規制に係る動植物は次のとおりとする。
(海中特別地区の指定がない場合は、削除する。)
4 保全のための施設に関する事項 保全施設は次のとおりとする。
(記述方法は本要領第1の2の(1)に準ずる。)
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特別地区、海中特別地区、野生動植物保護地区、法第25条第3項の規定により、木竹の伐採の方法及びその限度を定める区域、法第25条第4項第3号に規定する汚廃水の規制に係る湖沼又は湿原の区域並びに法第25条第4項第4号に規定する乗入れ規制地区を示す別添図面は、本要領第2の1の(1)に準ずる。
保全施設の別添図面として、必要に応じて、本要領第2の1の(1)に準じた縮尺の地形図に位置を図示したものを添付する。
(2)留意事項
ア 自然環境の保全に関する基本的な事項
- (ア)保全すべき自然環境の特質については、高山性・亜高山性植生、すぐれたf天然林、特異な地形、地質又は自然現象等、当該地域の主たる保全対象に焦点をあてて記述する。
- (イ)権利制限関係等の概要については、保安林、天然記念物等の指定状況、鉱業権の設定状況、産業利用等の概要を記述する。
- (ウ)特別地区及び海中特別地区の指定並びに保全のための規制に関する方針については、当該自然環境保全地域の特性に応じた特別地区及び海中特別地区の指定並びに当該自然環境保全地域における自然環境を保全するための規制の方針を記述する。
- (エ)保全施設に関する方針については、当該地域の特性に応じた令第6条に規定する施設に関する方針を記述する。
イ 地区の指定に関する事項
- (ア)特別地区は、自然環境保全地域の中で、当該地域の自然環境の特性に応じて特に保全を図るべき地区で、次に掲げるもののうち、保全対象を保全するために必要不可欠な核となるものについて、その必要な限度において選定する。
- a 当該地域の生態系構成上重要なもの
- b 特定の自然環境を維持するため特に必要なもの
- c 生態系の育成が必要であり、かつ復元の見込のあるもの
- (イ)海中特別地区は、海中の自然環境がすぐれた状態を維持している海域を対象として設定される自然環境保全地域の中で、自然環境の特性に応じて特に保全を図るべき海域で、次に掲げるもののうち、保全対象を保全するために必要不可欠な核となるものについて、その必要な限度において選定する。
- a 熱帯魚、さんご、海草その他これに類する海中動植物の種類が豊富であるもの又は稀有な種類を含むもので当該海域の生態系構成上重要なもの
- b 特異の海底地形、地質、自然現象を有するもの
(注)自然環境保全地域のうち特別地区及び海中特別地区に含まれない区域が普通地区であり、緩衝地帯としての役割を果すこととなる。
- ウ 保全のための規制に関する事項
- (ア)野生動植物保護地区は、特別地区内の野生動植物で稀有なもの、固有なもの又は地域的にみて貴重なものを保護する必要がある地区について指定を行うこととし、「保護すべき野生動植物の種類」の欄は、動物、植物の種名を列記する。
- (イ)法第25条第4項の許可を受けないで行うことができる木竹の伐採の方法及びその限度は、保全対象の特性に応じて定める。
- (ウ)法第25条第4項第3号に規定する汚廃水の排出の規制に係る湖沼又は湿原は特別地区内の湖沼又は湿原のうち当該規制を行う必要があると認められるものを選定する。
- (エ)法第25条第4項第4号に規定する乗入れ規制地区は、特別地区のうち車馬を使用すること等による動植物の生息・生育環境の悪化を防止する必要がある地域で、次のいずれかに該当すると認められる地域を選定する。
- ① 現在車馬を使用すること等が相当程度行われている地域で、そのために植生、野生動植物の生息・生育環境の破壊等自然環境への影響が生じているか、そのおそれが大きくなっている地域
- ② 現在車馬を使用すること等は行われていないが、それによる被害が将来生じることが十分に予想され、かつ、当該地域の植生、野生動植物の生息・生育環境等が特に脆弱又は貴重であり、厳正な保護を図る必要がある地域
なお、以上の地域のうち道路、広場、田、畑、牧場及び宅地等は除くこととする。
- (オ)法第27条第3項第5号に規定する捕獲若しくは殺傷又は採取若しくは損傷の規制に係る動植物は、海中特別地区内の野生の動植物で稀有なもの、固有なもの又は地域的に見て貴重なものを選定する。
エ 保全のための施設に関する事項
令第6条に規定する施設について、その名称、種類及び位置を定め、必要に応じて規模、構造、工種等を明らかにする。
各施設の概要は次のとおりである。
- (ア)巡視歩道、管理舎、標識その他これらに類する施設
本要領第1の2の(2)のウの(ア)から(エ)までのとおりである。 - (イ)排水施設
集落又は農耕地等から排出される汚水又は廃水を適切に処理し、地域内の水域の透明度の低下、富栄養化等による生態系の変化等を防止する施設(排水管、暗渠、開渠、雨水桝、汚水桝、沈澱施設等) - (ウ)廃棄物処理施設
自然環境保全地域が人々に利用された結果発生するゴミ等の廃棄物を現地処理する施設(塵芥焼却施設、廃棄物集積施設等) - (エ)植生復元施設
自然環境保全地域の自然植生を復元させるための施設(植栽、苗圃、防護柵等) - (オ)病害虫除去施設
自然環境保全地域の植生又は野生動物を病害虫等から保護し、病害虫の駆除を行う施設(薬剤散布、被害木の除去等を含む。) - (カ)砂防施設
自然環境保全地域の植生、地形等特定の保全対象を山崩れ、地すべり等の災害から保護するための施設(堰堤、護岸、床固、山腹工等) - (キ)防火施設
自然環境保全地域の森林等の出火を防止し、又は出火に対処するための施設(防火線、防火林等) - (ク)給餌施設
自然環境保全地域内に生息する野生動物の保護のため給餌を行うための施設(食餌植物植栽、水場等) - (ケ)養殖施設
自然環境保全地域内に生息する野生動物で減少傾向にあるものの増殖を図るための施設(営巣施設等)
オ 別添図面
- (ア)特別地区、海中特別地区、野生動植物保護地区、法第25条第3項の規定により木竹の伐採の方法及びその限度を定める区域、法第25条第4項第3号に規定する汚廃水の排出の規制に係る湖沼又は湿原の区域並びに法第25条第4項第4号に規定する乗入れ規制地区の表示方法は本要領第1の1の(2)のオに準ずるが、指定原図は、特別地区については桃色、海中特別地区については紺色、野生動植物保護地区については紫色を用いて彩色し、乗入れ規制地区については、次のとおりその内側に半円を付した実線で表示する。
なお、区域が同一である場合には、同一であることを明確にした上で、図面を省略することができる。
- (イ)保全施設の位置の表示方法は本要領第1の2の(2)のエに準ずるが、巡視歩道、管理舎、標識以外の施設の種類及び工種の表示は次のとおりとする。
(参考資料)
指定書及び保全計画書の作成にあたっては、次に掲げるもののうち、必要と認められるものを参考資料として整備するものとする。
- 1 植生図
- 2 現況写真
- 3 自然環境に関する調査書
- (1)植物
- (2)動物
- (3)地形、地質、自然現象
- (4)海岸、河川、湖沼、湿原
- (5)海中
- 4 権利制限関係等に関する調査書
- (1)権利制限関係(土地所有、砂防指定地、保安林、鉱業権、漁業権、天然記念物、鳥獣保護区等)
- (2)産業関係(森林施業計画、水産漁業操業状況、鉱山、採石地、発電施設等)
- 5 その他参考となる資料
〔別添2〕
都道府県自然環境保全地域の指定書及び保全計画書作成要領
都道府県自然環境保全地域の指定書及び保全計画書は、本要領に従って作成するものとする。
1 指定書
(1)様式
○○(名称)都道府県自然環境保全地域
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別添図面として、面積が1000ヘクタール以上の場合には、縮尺5万分の1の地形図に、面積が100ヘクタール以上1000ヘクタール未満の場合には、縮尺5万分の1又は2万5000分の1の地形図に、面積が100ヘクタール未満の場合には面積に応じた適当な縮尺の地形図に、区域を図示し、あわせて区域線を表示したものを添付する。
(2)留意事項
- ア 名称
都道府県自然環境保全地域の区域の位置等を名称とする。 - イ 指定理由
自然環境保全法第45条及び都道府県自然環境保全地域指定基準(昭和49年6月10日付け環自企第322号)に規定された要件の適合性を判定し、指定理由、指定の必要性を明らかにする。 - ウ 自然環境の概要
植生、野生動物、地形、地質、自然現象、その他の自然環境の特質についてその概要を記述する。 - エ 区域
区域の概要については、位置及び区域の概要を記述する。
区域線は原則として稜線界、河川界、海岸線(最低低潮時における汀線をいう。)界等地形による線、行政区界(都道府県界、市町村界、字界)並びに森林施業における事業区界、林班界及び小班界とするが、やむを得ない場合は次に掲げるものとする。- (ア)土地所有界
- (イ)地番界
- (ウ)工作物界(道路、堤防、水路等)
- (エ)地類界
- (オ)見透線、距離表示線、方角表示線、等高線等特殊な線
- オ 別添図面
区域の表示は次のとおりとする。
区域線表示凡例
①―②
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稜線界
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---|---|
②―③
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河川界
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③―④
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林班界(○林班と○林班)
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④―①
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市町村界(○○町と○○村)
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- (ア)区域線境界の種類が異なるごとに番号を付し凡例で区域線境界の種類を示す。
- (イ)番号は最北端のものより左回りに付す。なお区域が数団地にわかれる場合は通し番号とする。
- (ウ)番号を記入する円は径8ミリメートルとし、表示線は原則として、長さ10ミリメートルとし、区域の外側に示す。
- (エ)指定原図には、区域線に沿って内側に幅2ミリメートルの水色を帯状に彩色する。
2 保全計画書
(1)様式
○○(名称)都道府県自然環境保全地域に関する保全計画1 自然環境の保全に関する基本的な事項
2 地区の指定に関する事項(1)特別地区は次のとおりとする。
総括表
3 保全のための規制に関する事項(1)野生動植物保護地区は次のとおりとする。
(2)条例第○条第○項に規定する同条第○項の許可を受けないで行うことができる木竹の伐採の方法及びその限度は次のとおりとする。
特別地区内不要許可木竹伐採総括表
(3)条例第○条第○項に規定する汚廃水の排出の規制に係る湖沼又は湿原は次のとおりとする。
(4)条例第○条第○項に規定する乗入れ規制地区は次のとおりとする。
4 保全のための施設に関する事項保全施設は次のとおりとする。
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特別地区、野生動植物保護地区、条例の許可を受けないで行うことができる木竹の伐採の方法及びその限度を定める区域、条例に規定する汚廃水の排出の規制に係る湖沼又は湿原の区域並びに条例に規定する乗入れ規制地区を示す別添図面は本要領1の(1)に準ずる。
保全施設の別添図面として必要に応じて、本要領1の(1)に準じた縮尺の地形図に位置を図示したものを添付する。
(2)留意事項
ア 自然環境の保全に関する基本的な事項
- (ア)保全すべき自然環境の特質については、高山性・亜高山性植生、すぐれた天然林、特異な地形、地質又は自然現象等、当該地域の主たる保全対象に焦点をあてて記述する。
- (イ)権利制限関係等の概要については、保安林、天然記念物等の指定状況、鉱業権の設定状況、産業利用等の概要を記述する。
- (ウ)特別地区の指定及び保全のための規制に関する方針については、当該自然環境保全地域の特性に応じた特別地区の指定及び当該自然環境保全地域における自然環境を保全するために必要な規制の方針を記述する。
- (エ)保全施設に関する方針については、当該地域の特性に応じた条例等に規定する施設に関する方針を記述する。
イ 地区の指定に関する事項
特別地区は、自然環境保全地域の中で、当該地域の自然環境の特性に応じて特に保全を図るべき地区で、次に掲げるもののうち、保全対象を保全するために必要不可欠な核となるものについて、その必要な限度において選定する。
- (ア)当該地域の生態系構成上重要なもの
- (イ)特定の自然環境を維持するため特に必要なもの
- (ウ)生態系の育成が必要であり、かつ復元の見込のあるもの
(注)自然環境保全地域のうち特別地区に含まれない区域が普通地区であり緩衝地帯としての役割を果すこととなる。
ウ 保全のための規制に関する事項
- (ア)野生動植物保護地区は、特別地区内の野生動植物で稀有なもの、固有なもの又は地域的にみて貴重なものを保護する必要がある地区について指定を行うこととし「保護すべき野生動植物の種類」欄は、動物、植物の種名を列記する。
- (イ)条例の規定するところによる許可を受けないで行うことができる木竹の伐採の方法及びその限度は、保全対象の特性に応じて定める。
- (ウ)条例の規定するところによる汚廃水の排出の規制に係る湖沼又は湿原は、特別地区内の湖沼又は湿原のうち当該規制を行う必要があると認められるものを選定する。
- (エ)条例の規定するところによる乗入れ規制地区は、特別地区のうち車馬を使用すること等による動植物の生息・生育環境の悪化を防止する必要がある地域で、次のいずれかに該当すると認められる地域を選定する。
- ① 現在車馬を使用すること等が相当程度行われている地域で、そのために植生、野生動植物の生息・生育環境の破壊等自然環境への影響が生じているか、そのおそれが大きくなっている地域
- ② 現在車馬を使用すること等は行われていないが、それによる被害が将来生じることが十分に予想され、かつ、当該地域の植生、野生動植物の生息・生育環境等が特に脆弱又は貴重であり、厳正な保護を図る必要がある地域
なお、以上の地域のうち道路、広場、田、畑、牧場及び宅地等は除くこととする。
エ 保全のための施設に関する事項
条例等に規定する施設について、その名称、種類及び位置を定め、必要に応じて規模、構造、工種等を明らかにする。
各施設の概要は次のとおりである。
- (ア)巡視歩道
管理者の見まわり、監視等の巡視のための歩道 - (イ)管理舎
管理者の滞在用、避難用等に供する建築物 - (ウ)標識
自然環境保全地域であること、自然環境保全地域における行為の規制等を明示した標識、自然環境保全地域の自然環境の概要等を解説した標識 - (エ)「その他これらに類する施設」
制札、柵、境界杭、その他管理上必要な施設 - (オ)排水施設
集落又は農耕地等から排出される汚水又は廃水を適切に処理し、地域内の水域の透明度の低下、富栄養化等による生態系の変化等を防止する施設(排水管、暗渠、開渠、雨水桝、汚水桝、沈澱施設等) - (カ)廃棄物処理施設
自然環境保全地域が人々に利用された結果発生するゴミ等の廃棄物を現地処理する施設(塵芥焼却施設、廃棄物集積施設等) - (キ)植生復元施設
自然環境保全地域の自然植生を復元させるための施設(植栽、苗圃、防護柵等) - (ク)病害虫除去施設
自然環境保全地域の植生又は野生動物を病害虫等から保護し、病害虫の駆除を行う施設(薬剤散布、被害木の除去等を含む。) - (ケ)砂防施設
自然環境保全地域の植生、地形等特定の保全対象を山崩れ、地すべり等の災害から保護するための施設(堰堤、護岸、床固、山腹工等) - (コ)防火施設
自然環境保全地域の森林等の出火を防止し、又は出火に対処するための施設(防火線、防火林等) - (サ)給餌施設
自然環境保全地域内に生息する野生動物の保護のため給餌を行うための施設(食餌植物植栽、水場等) - (シ)養殖施設
自然環境保全地域内に生息する野生動物で減少傾向にあるものの増殖を図るための施設(営巣施設等)
オ 別添図面
- (ア)特別地区、野生動植物保護地区、条例の規定するところによる許可を受けないで行うことができる木竹の伐採の方法及びその限度を定める区域、条例に規定する汚廃水の排出の規制に係る湖沼又は湿原の区域並びに条例に規定する乗入れ規制地区の表示方法は本要領1の(2)のオに準ずるが、指定原図は、特別地区については桃色、野生動植物保護地区については紫色を用いて彩色し、乗入れ規制地区については、次のとおりその内側に半円を付した実線で表示する。
なお、区域が同一である場合には同一であることを明確にした上で図面を省略することができる。
- (イ)保全施設の位置の表示方法は次のとおりとする。
なお、施設の種類及び工種の表示は凡例のとおりとする。
(参考資料)
指定書及び保全計画書の作成にあたっては、次に掲げるもののうち、必要と認められるものを参考資料として整備するものとする。
- 1 植生図
- 2 現況写真
- 3 自然環境に関する調査書
- (1)植物
- (2)動物
- (3)地形、地質、自然現象
- (4)海岸、河川、湖沼、湿原
- 4 権利制限関係等に関する調査書
- (1)権利制限関係(土地所有、砂防指定地、保安林、鉱業権、漁業権、天然記念物、鳥獣保護区等)
- (2)産業関係(森林施業計画、水産漁業操業状況、鉱山、採石地、発電施設等)
- 5 その他参考となる資料