法令・告示・通達
自然環境整備計画作成要領
環自整発第050401003号
[改定]
平成18年5月23日 環自総発第060523001号
目次
- 第1 自然環境整備計画の目的
- 第2 計画事項
- Ⅰ 整備計画の対象地域
- Ⅱ 整備計画の期間
- Ⅲ 整備計画の目標
- 1 目標の設定
- 2 目標設定の根拠
- (1)対象地域の現状
- (2)課題
- (3)将来像
- (4)上位計画等との整合
- 3 目標を定量化する指標
- 4 指標の設定に係る留意事項
- Ⅳ 対象地域における整備方針
- Ⅴ 目標を達成するために必要な交付対象事業
- Ⅵ 交付対象事業の総事業費
- Ⅶ 関連事業
- Ⅷ 整備計画の評価に関する事項
- 1 指標に係る調査等の方法
- 2 評価を行う時点
- 3 評価結果の公表
- Ⅸ その他必要な事項
- 第3 整備計画の作成手続き
- 1 整備計画に係る合意形成
- 2 整備計画の作成・提出
- 3 整備計画の公表
- 第4 整備計画の変更
第1 自然環境整備計画の目的
自然環境整備計画(以下、整備計画という。)は、自然とのふれあいの推進及び自然環境の保全・再生を図るための地域の目標を明らかにし、併せて自然環境整備交付金(以下、交付金という。)の活用による整備の方針等を示すことにより、目標を達成するための事業を重点的かつ計画的に実施することを目的として作成するものとする。
第2 計画事項
Ⅰ 整備計画の対象地域
整備計画の対象地域は、整備計画の目標に照らして一体的かつ重点的な事業の実施が必要とされる地域を設定するものとする。標準的には、国定公園の場合にあっては、風致等の保護上もしくは利用上一体的に取り扱うべき区域、国指定鳥獣保護区の場合にあっては、鳥獣の保護上一体的に取り扱うべき区域、長距離自然歩道にあっては、利用上一体的に取り扱うべき路線の区間について、これらの一もしくは複数の区域・区間を含む地域を、整備計画の対象地域として設定するものとする。また、対象地域は、整備計画の目標等に応じて、複数の地域を設定できるものとする。
Ⅱ 整備計画の期間
整備計画の期間(以下、計画期間という。)は、目標を達成するために必要な事業を集中的に実施するため、原則として3~5年程度とするものとする。
Ⅲ 整備計画の目標
1 目標の設定
計画期間内に達成すべき目標を設定するものとする。対象地域が複数設定されており、対象地域ごとに異なる目標を設定することが合理的な場合や、多面的な効果をもたらす事業を実施する場合等については、複数の目標を設定することができるものとする。また、複数の目標を設定したうえで、これらの目標を総括する大目標を設定することができるものとする。
2 目標設定の根拠
目標の設定に際しては、次に掲げる事項を明らかにすることにより、設定の根拠を明らかにするものとする。
(1)対象地域の現状
対象地域について、社会経済的な背景を踏まえつつ、自然環境の特徴や現状、観光等の現状、自然とのふれあいの推進や自然環境の保全
・再生に係るこれまでの取組等を概括する。
(2)課題
経緯及び現況を踏まえ、自然とのふれあいの推進と自然環境の保全
・再生を図る上で、解決すべき中心的な課題を示す。
(3)将来像
課題を踏まえ、対象地域において目指す将来像(ビジョン)を設定する。将来像を想定する時点は、計画期間との整合の観点から、原則として概ね3~5年先を基本とするが、課題の性質上、計画期間を超えた時点の将来像を示すことが適当な場合は、計画期間における目標と、当該将来像に向けた全体的な取組との関係を明らかにする。
(4)上位計画等との整合
事業を実施する国定公園、国指定鳥獣保護区及び長距離自然歩道について、設定する目標と、次のア~ウに掲げる上位計画等に示された基本的な方針との関係を、これらの上位計画等における記載内容を具体的に示しつつ明らかにする。このほか、地方自治体の総合計画などの関連する計画がある場合、目標と、これらの計画との関係について、同様に明らかにする。
- ア 国定公園 自然公園法に基づく当該国定公園の公園計画(自然再生施設の整備等、自然再生事業として行う場合は、併せて自然再生推進法に基づく自然再生基本方針)
- イ 国指定鳥獣保護区 自然再生推進法に基づく自然再生基本方針鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律に基づき定められた当該国指定鳥獣保護区の保護に関する指針、及び平成15年4月15日付け環自野発第030415011号環境省自然環境局野生生物課長通知に基づき策定された当該国指定鳥獣保護区保護管理マスタープラン
- ウ 長距離自然歩道 環境省自然環境局長の定めた長距離自然歩道整備計画(平成15年3月31日以前に環境大臣が定めたものを含む。)
3 目標を定量化する指標
事業終了後に目標の達成状況を明確にするため、目標に対応した指標を設定するものとする。指標は、原則として数値による明示が可能なものを採用し、当該指標の従前値と事業終了後の目標値(以下、数値目標という。)を整備計画に設定するものとする。目標を定量化するために適当な場合には、複数の指標を設定することができるものとする。
設定した指標については、目標との関連性を簡潔に説明し、指標としての妥当性を示すものとする。
4 指標の設定に係る留意事項
指標及び数値目標の設定は、次に掲げる事項に留意して行うものとする。
- ア 事業の実施によってもたらされる実現可能な効果を具体的に想定して、設定すること。
- イ 地方自治体等において継続的に収集されている統計データが、事業の効果を反映することが合理的に説明できる場合には、これらの統計データを活用して差し支えないこと。
- ウ 交付金を活用して実施する事業(以下、交付対象事業という。)以外に、交付対象事業と連携して実施される関連事業がある場合には、これらによって得られる効果を勘案して差し支えないこと。
Ⅳ 対象地域における整備方針
目標を達成するための各種事業による取組方針を示すものとし、設定した目標に対応する整備内容の概略と主要な事業の名称を整理して示すものとする。ひとつの事業が複数の目標に対応する場合には、事業の名称を再掲するかたちの整理もできるものとする。
また、交付対象事業以外に、目標の達成のために連携して実施される関連事業がある場合には、これらを加えて一括して整理するものとする。
さらに、交付対象事業の実施に当たっての環境配慮の方針、整備する施設における高齢者、身体障害者等の円滑な利用に対する措置の概要、及び交付対象事業の実施に係る地域住民等関係者との合意形成の状況及び合意形成の方針について明らかにするものとする。
Ⅴ 目標を達成するために必要な交付対象事業
計画期間内に交付金を活用して実施する事業ごとに、事業の名称、事業箇所、事業主体、事業期間、交付対象事業費等を整理して示すものとする 。
Ⅵ 交付対象事業の総事業費
計画期間における交付対象事業の総事業費を示すものとする。なお、事業の効果が明確に発現されるためには、相当規模の交付対象事業が計画期間内に集中的に実施されることが必要であることから、計画期間における交付対象事業の総事業費等の規模は、原則として次のア及びイに掲げる額を超えるものとする。
ア 計画期間における総事業費 概ね60,000千円
(ただし、計画期間において、交付対象事業に係る施設の整備は行わず、整備を実施するために必要な調査、測量、設計等のみを行う場合は、概ね5,000千円。)
イ 計画期間における事業の種類ごとの事業費
- (ア)国定公園に係る事業(自然再生施設の整備等、自然再生事業として行う事業を除く。)を実施する場合(施設の整備を行うものであって、調査、測量、設計等に係る経費を含む。)
概ね20,000千円 - (イ)国指定鳥獣保護区及び国定公園における自然再生施設の整備等、自然再生事業を実施する場合(施設の整備を行うものであって、調査、測量、設計等に係る経費を含む。)
概ね20,000千円 - (ウ)長距離自然歩道に係る事業を実施する場合(施設の整備を行うものであって、調査、測量、設計等に係る経費を含む。)
概ね20,000千円 - (エ)上記(ア)~(ウ)に係る施設の整備を実施するために必要な調査、測量、設計等を行う場合(施設の整備を行わない場合に限る。)
上記(ア)~(ウ)の事業の種類ごとに概ね5,000千円
Ⅶ 関連事業
交付対象事業と連携して実施される他省庁補助事業、都道府県事業、市町村事業、住民活動等について、事業の名称、事業箇所、事業主体、事業期間、事業費等を整理して示すものとする。
Ⅷ 整備計画の評価に関する事項
計画期間終了後の目標の達成状況の評価に関し、設定した指標に係る調査等の方法、評価を行う時点、評価結果の公表の方法について明らかにするものとする。
1 指標に係る調査等の方法
自然環境に係るモニタリング調査、利用者に対するアンケート調査、統計データの活用など、設定した指標に係る数値目標を把握するための調査等の方法について、具体的に示すものとする。
2 評価を行う時点
評価を行う時点については、原則として、計画期間の最終年度の翌年度前半とするが、事業効果の発現が季節による影響を受け、一定期間の追跡調査を行うことが適当であるなど、特別の事情がある場合には、計画期間の最終年度の翌年度の範囲内で延期することができるものとする。
3 評価結果の公表
評価結果の公表は、都道府県の広報誌やホームページへの掲載など、市民が容易に情報を入手できる方法によるものとする。
また、公表に併せて、評価結果を、環境大臣に報告するものとする。
Ⅸ その他必要な事項
計画期間終了後に予定される整備施設の運営方法など、整備計画に関する特筆すべき事項について示すものとする。
第3 整備計画の作成手続き
1 整備計画に係る合意形成
整備計画の作成に当たっては、関係市町村、関係団体、地域住民等への適切な情報提供の下に合意形成に努めるものとし、必要に応じ、検討会・連絡協議会等を設置するなど、十分な調整を図るものとする。
2 整備計画の作成・提出
整備計画は別添様式により作成するものとし、原則として、計画期間の初年度の前年度の第3四半期末までに、自然環境整備交付金交付要綱第11の1に基づき、環境大臣あて提出するものとする。
3 整備計画の公表
整備計画は、都道府県の広報誌やホームページへの掲載など、市民が容易に情報を入手できる方法により公表するものとする。
第4 整備計画の変更
整備計画を変更する場合の手続きは上記第3に準ずるものとするが、次に掲げる事項の変更については、変更した整備計画を環境大臣に送付すれば足りるものとする。
- ア 計画期間における総事業費の変更を伴わない、交付対象事業ごとの事業費の変更(ただし、変更後において、事業の種類ごとの事業費が、Ⅵ.イに掲げる額を上回る場合に限る。)
- イ 災害復旧に伴う、次に掲げる事項の変更
- (ア)計画期間における総事業費の変更を伴わない、交付対象事業ごとの事業費の変更
- (イ)交付対象事業の追加・廃止
- (ウ)交付対象事業の事業主体の変更