法令・告示・通達

温泉法の施行に関する件

公布日:昭和23年08月26日
衛発116号

(各都道府県知事あて厚生省公衆衛生局長通達)

 今般温泉法の施行に際し、八月二五日厚生省発衛第一四号を以つて次官より本法の運営方針に関し指示せられたが、本法の実施については更に下記事項に御留意願いたい。

1 温泉の保護

  1.  (1) 温泉掘さく〈、、〉の許可に際しては、前記次官通知にあるように地質調査等に基いて既存の温泉への影響の有無を十分検討すると共に必要に応じて市町村長の意見を聞く等その措置の慎重を期せられたいが、なお温泉の保護上必要があるときは、許可の際工事竣工後に温泉使用量について承認を受けさせる等の条件を附することも考慮されたい。
  2.  (2) 温泉法第一〇条の規定の趣旨に鑑み、隣接都府県の温泉と温泉源を共通にする温泉については、当該都府県相互間において、あらかじめ通報し置くと共に当省にも報告されたい。
  3.  (3) 温泉法第一一条の規定による命令は、温泉の保護と、当該工事の目的とを国家的見地から比較衡量して、温泉の保護を重しとするときは発動すべきものなることに留意されたい。

2 手数料

  温泉法第一二条第二項の規定による手数料については、地方公共団体手数料令(昭和二三年八月二〇日政令第二四四号により改正)中に規定されている。なお分析検査の手数料については、地方自治法第二二二条第一項に基く手数料として別途条例を以つて規定されたい。

3 分析検査

  1.  (1) 温泉法施行規則第五条第二項の規定は、温泉の利用を科学的基礎に立脚した適正なものとするための一方途であるから、その趣旨の達成のため、特に温泉利用施設の管理者に対する指導に遺憾なきを期せられたい。なお同項に「厚生大臣の定める者」とあるのは別途厚生省告示により、厚生省衛生試験所、都道府県衛生試験所、従来温泉の分析検査の経験を有する大学等を指定する予定である。
  2.  (2) 温泉法施行規則第一〇条及び第一一条の経過規定は検査能力の実状に鑑みやむを得ぬところであるが、速やかに本則にもどすことが望ましく、特に第一〇条第二項は出来るだけ速やかに廃止する必要があるので、都道府県の検査能力を拡大する等の措置を考慮されたい。なお施行規則第一〇条の規定により、「都道府県知事の定める者」としては、従来温泉の分析検査につき経験を有する学校、保健所、その他の試験施設等を指定することとされたい。
  3.  (3) 分析検査の方法については追つて通知するまで、日本薬学会協定鉱泉検査法に準じて、これを行われたい。

4 指定温泉地

  温泉法第一四条及び第一五条の規定は、重点的に温泉地を選んで一定の温泉地計画に基いて施設の整備、環境の改善を行い、理想的な温泉郷を建設せんとする趣旨であるから、必要に応じ、計画案を具し申し出られたい。

5 温泉台帳

  1.  (1) 温泉に関する行政の基礎として、又将来温泉権設定の場合に備え、温泉台帳を整備し、温泉の現況把握に努められたい。
  2.  (2) 温泉法施行規則第三条において工事が終了したときは、その旨を届け出させることにしているが、現地立会調査により、許可条件との相違の有無、ゆう出量等を調査し、これに基いて前号の台帳を整理し置かれたい。

6 立入検査

  温泉法第一七条の規定による立入検査については、苟しくも職権の濫用とならぬよう注意することは勿論、常に検査を受ける者の立場にも十分理解を持つて事に当たるよう当該吏員の指導に遺憾なきを期せられたい。

7 その他

  温泉法施行の際、現に温泉を公共の浴用又は飲用に供している者は、温泉法第一二条第一項の許可を受けなくてもよいことになつているが、下記の点に留意されたい。

  1.  (1) 許可を要しない期間は、温泉法施行後三か月以内であつて、この期間中に届け出をしないと、改めて許可を受けなければならないことになるから届出の励行について指導されたいこと。
  2.  (2) 前号の期間内でも公衆衛生上の指導監督は厳にこれを励行されたいこと。