法令・告示・通達

廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律の施行について

  • 公布日:平成16年10月27日
  • 環廃対発041027004・環廃産発041027003

(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長から各都道府県知事・各政令市市長あて)

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成一六年法律第四〇号。以下「改正法」という。)は、本年四月二八日に公布されたところであり、罰則の強化に係る事項は既に公布の日から起算して二〇日を経過した日から施行されているところであるが、その他の改正規定は、本日(一部については、平成一七年四月一日)、施行されたところである。これに伴い、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令(平成一六年政令第二九六号。以下「改正令」という。)が本年九月二九日に、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則及び一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令の一部を改正する省令(平成一六年環境省令第二四号。以下「改正省令」という。)が本日、それぞれ公布され、本日(一部については、本年一二月一〇日及び平成一七年四月一日)、施行されたところである。
 ついては、左記の事項に留意の上、その運用に当たり遺漏なきを期するとともに、貴管下市町村等に対しては、貴職より周知願いたい。
 また、平成一七年四月一日から施行することとされた改正項目の施行に当たっては、別途通知する。
 なお、硫酸ピッチ不適正処理事案への対応強化については、別途、産業廃棄物課長から通知することとしているので留意願いたい。

第一 改正の趣旨

  近年、硫酸ピッチの不適正な保管といった悪質な廃棄物の不適正処理が依然として後を絶たず、また、廃棄物の処理施設における甚大な事故が発生するなど、廃棄物を巡る問題の解決は、なお喫緊の課題となっている。
  このような状況を踏まえ、今般の改正法においては、廃棄物の不法投棄等の不適正処理を防止するとともに、安全な受け皿としての廃棄物の処理施設の確保を図るため、産業廃棄物の不適正処理事案に係る環境大臣の都道府県知事(保健所を設置する市にあっては、市長。以下同じ。)に対する指示規定の創設、指定有害廃棄物の処理の禁止、特定の廃棄物の処理施設における事故時の措置の義務付け、廃棄物が地下にある土地の形質の変更の届出の義務付け、罰則の強化等の措置を講ずるとともに、これと併せて、改正令及び改正省令においては、廃棄物処理に関する諸基準の強化・合理化等を図ることとしたものである。

第二 改正の内容(改正法関連)

 1 一般廃棄物処理施設又は産業廃棄物処理施設(以下「処理施設」という。)の設置の許可申請に係る生活環境影響調査書の添付の特例

  1.   (1) 構造基準及び維持管理基準に適合しているにもかかわらず設置者が欠格要件に該当するなどにより設置許可が取り消された処理施設について、別の者が過去になされた許可と同一の維持管理計画等をもって新たに設置許可を取得して当該処理施設を稼働するような場合には、過去に周辺地域の生活環境に及ぼす影響について問題ないものとしてなされた許可と同一の条件であると考えることができるので、生活環境影響調査書の添付及び公衆の縦覧を要しないこととした。
        ただし、許可申請書に係る公衆の縦覧並びに関係市町村及び利害関係者からの意見聴取を省略することはできない。
  2.   (2) 廃棄物の最終処分場に関しては、ある程度稼働した後には埋立処分の用に供される場所の面積及び埋立容量は当然減少していることが予想されるため、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四五年法律第一三七号。以下「法」という。)第八条第二項又は第一五条第二項の各号に掲げる許可申請書に記載すべき事項のうち、第五号の処理能力に関しては同一であることを要しないこととした。
  3.   (3) 平成一〇年六月一六日以前に許可申請がなされた廃棄物処理施設については、生活環境影響調査書だけでなく、第六号(設置計画)及び第七号(維持管理計画)の記載についても義務付けられていないことから、本特例措置については、平成一〇年六月一七日以降に許可申請がされた施設のみが対象になる。

 2 指定有害廃棄物及びその処理に関する基準の創設

   近年、軽油の密造に伴い排出される硫酸ピッチといった、人の健康又は生活環境に著しい被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物の不適正処理が深刻な社会問題となっている。こうした状況を踏まえ、何人も、人の健康又は生活環境に係る重大な被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物として政令で定めるもの(以下「指定有害廃棄物」という。)の保管、収集、運搬又は処分については、他の法令又はこれに基づく処分により行う処理を除き、政令に定める処理基準に従って処理を行うことを義務付け、これに違反した場合は、不法投棄及び不法焼却と同様、改善命令等の措置を経ることなく、直ちに罰則の対象となることとした。処理基準については、廃棄物担当部局が警察、税務等の関係機関の協力のもとに、指定有害廃棄物の不適正処分に対し、厳正かつ速やかに対応できるよう、容器、保管施設、処分方法等に関して、厳格かつ具体的な基準を定めたものである。

  (1) 指定有害廃棄物の指定

    指定有害廃棄物については、不適正な処理を行った場合、人の健康又は生活環境に係る重大な被害が生じうるものとして、改善命令等により担保されている現行の特別管理産業廃棄物等に係る処理基準の遵守に加えて、何人にも政令に定める基準に従った処理を直罰をもって義務付けるものである。このため、重大な健康被害等の原因となり、全国的に被害が生じているものとして、「硫酸ピッチ」(廃硫酸と廃炭化水素油との混合物で著しい腐食性(pH(水素イオン濃度指数)二・〇以下)を有するもの)を指定した。これは、廃硫酸と廃炭化水素油の混合物としての状態を定義しているものであることから、混合時に硫酸と炭化水素油が有価であったか否かにかかわらずその性状によって硫酸ピッチであるか否かが定まるものである。
    なお、炭化水素油とは、炭素と水素からなる各種化合物で構成される油であり、原油及びその加工製品である揮発油、灯油、軽油、重油等の一般に石油と呼ばれるものを指す。
    pH値の検定方法については、指定有害廃棄物に係る基準の検定方法(平成一六年環境省告示第六四号)により、廃酸と同様、日本工業規格K〇一〇二の一二・一(ガラス電極法)に定める方法によることとした。硫酸ピッチは、性状が一様ではなく、pH値にもばらつきが見られることから、複数箇所から試料を採取して測定を行う必要がある。また、固体に近い性状を有する硫酸ピッチについては、溶出操作又は固体用のガラス電極を用いて測定を行う。
    なお、油分がわずかに混じった廃硫酸又は硫酸がわずかに混じった廃油、例えば、工場において硫酸による機器の洗浄過程から排出されるようなものについては、社会通念上指定有害廃棄物とは解せず、通常の廃酸又は廃油として取り扱われるものである。

  (2) 指定有害廃棄物の保管、収集、運搬及び処分に関する基準の創設

    指定有害廃棄物に係る処理基準については、既存の特別管理産業廃棄物等の処理基準の内容を基本としつつ、①一般的・抽象的な基準については、指定有害廃棄物の特性を踏まえ、具体化・明確化し、適切な処理が確保される基準とする、②既存の処理基準のうち、基準に違反しても直ちに人の健康又は生活環境に被害を及ぼすことがないものについては、指定有害廃棄物の処理基準としては定めず、従来どおり特別管理産業廃棄物処理基準等として改善命令等を通じて担保する、との考え方の下に定めることとした。

   イ 指定有害廃棄物が運搬されるまでの間の保管に係る基準(改正令第一六条第一号)

  •     (イ) 指定有害廃棄物の保管は、①密閉できること、②容器の内面がポリエチレンその他の腐食され難い物質で被覆されていること又はこれと同等以上の耐腐食性を有すること、③日本工業規格Z一六〇一号(鋼製ドラム缶)第一種に適合するドラム缶又はこれと同等以上の強度を有すること、を満たす容器に収納して行わなければならないこととした。当該容器は、耐腐食性を有する地上設置型の貯蔵タンクやケミカルドラム缶を想定しており、通常の鋼製ドラム缶は、②の要件を満たしていない。また、法第一九条の七第一項の規定により市町村長が、又は法第一九条の八第一項の規定により都道府県知事が生活環境の保全上の支障の除去等の措置を講ずる場合(以下「代執行時」という。)については、生活環境の保全上やむを得ず緊急的に措置するものであることから、密閉性のみを保管容器の要件とすることとした。ただし、代執行時においても、保管が長期にわたる場合には、改正省令第一二条の三二第一項に定める構造を有する容器に詰め替える必要がある。
  •     (ロ) 指定有害廃棄物の保管の場所では、周囲に囲いが設けられ、見やすい箇所に指定有害廃棄物の保管の場所である旨等の必要な事項を表示した掲示板が設けられなければならないこととした。
  •     (ハ) 保管の場所から指定有害廃棄物が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに亜硫酸ガスが発散しないよう、公共用水域及び地下水の汚染防止設備として、①排水溝、②貯留槽、③耐酸性及び不浸透性の材料で築造され、又は被覆されている床又は地盤面を設けなければならないこととしており、具体的には、コンクリート等で築造された設備を想定している。また、亜硫酸ガス処理設備として、①ガス吸引装置を有する屋内保管設備、②排気中に含まれる亜硫酸ガスを除去する装置を有する排気処理設備を設けなければならないこととしており、これらの要件を満たすためには、亜硫酸ガスが大気中に発散しないよう指定有害廃棄物を屋内で保管するとともに、倉庫等の建屋の容積に比して十分な処理能力を有したガス吸引装置及び排気処理設備を設けることが求められる。ここで、地上設置型の貯蔵タンクであって、直接タンクから亜硫酸ガスを吸引し、処理する構造となっているものは、本規定に定める屋内保管設備に該当するものである。
          なお、これらの設備については亜硫酸ガス漏えい時等の措置として規定されているものであり、ガス吸引装置等が常時稼働している必要はない。また、代執行時においては、(イ)と同様の理由で、①耐酸性及び不浸透性の材料で覆われた底面、②耐酸性及び不浸透性の材料を使用した覆い又はこれに類する設備を設けることのみを要件とすることとした。これは、例えば、ビニールシートを敷き詰め、又はビニールシートにより覆う措置も含むものである。
  •     (ニ) 保管の場所には、指定有害廃棄物がその他の物と混合するおそれのないように、仕切りを設ける等必要な措置を講じなければならないこととした。
  •     (ホ) 保管する指定有害廃棄物の数量は、二〇キロリットル(二〇〇リットルのドラム缶換算で一〇〇本)を超えてはならないこととした。本規定は、多量の硫酸ピッチの保管がその不適正処分につながりやすいため、保管数量を制限するものである。また、代執行時には、指定有害廃棄物の不適正保管等の発見段階において、既に当該保管数量の制限を超えている可能性もあるが、このような数量を代執行時に保管することは、適正な措置を講ずるためにやむを得ないと認められる数量の保管と解して差し支えない。

   ロ 指定有害廃棄物の収集又は運搬に係る基準(改正令第一六条第二号)

  •     (イ) 指定有害廃棄物の収集又は運搬は、容器に収納して行い、指定有害廃棄物がその他の物と混合するおそれのないように、他の物と区分して収集し、又は運搬しなければならないこととした。容器の構造要件及び代執行時の基準については、イの(イ)を参照されたい。
  •     (ロ) 運搬車は、指定有害廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに亜硫酸ガスが漏れるおそれのないものとして、運搬中に容器が移動し、転倒し、又は転落するおそれのないよう容器を固定できる構造を有するものであることとした。運搬車は、タンクローリー(タンク部分が容器に該当)、コンテナ車、平トラック等を想定している。
  •     (ハ) 運搬用パイプラインは、指定有害廃棄物の収集又は運搬に用いてはならないこととした。
  •     (ニ) 積替えは、周囲に囲いが設けられ、かつ、見やすい箇所に指定有害廃棄物の積替えの場所であること等の表示がされている場所で行わなければならないこととした。
  •     (ホ) 指定有害廃棄物の保管は、指定有害廃棄物の積替えを行う場合を除き、行ってはならないこととした。ただし、指定有害廃棄物の積替えは、①あらかじめ、積替えを行った後の運搬先が定められており、②搬入された指定有害廃棄物の量が、積替場所において適切に保管できる量を超えるものではない場合に限ることとした。なお、代執行時においては、緊急に硫酸ピッチを不適正処理の現場から運び出し、別の場所に保管する必要がある場合が想定されることから、①の要件を適用しないこととした。
  •     (ヘ) 指定有害廃棄物の保管を行う場合には、改正令第一六条第一号ロからホまでの規定の例によることとした。内容については、イの(ロ)から(ニ)を参照されたい。保管数量の制限については、当該保管の場所における一日当たりの平均的な搬出量に七を乗じて得られる数量又は二〇キロリットルのいずれか少ない数量とすることとした。また、代執行時における適正な措置を講ずるためにやむを得ないとして認められる数量については、イの(ホ)を参照するほか、効率的に適正な措置を講ずるために複数の場所から指定有害廃棄物を収集又は運搬するに当たって一時的に保管数量の制限を超える場合がこれに当たると解して差し支えない。

   ハ 指定有害廃棄物の処分又は再生に係る基準(改正令第一六条第三号から第五号まで)

  •     (イ) 指定有害廃棄物の処分又は再生は、指定有害廃棄物の処分又は再生の方法として環境大臣が定める方法(平成一六年環境省告示第六三号)により、焼却設備を用いて焼却する方法又は中和設備を用いて中和する方法によることとした。なお、現状では、硫酸ピッチを中和してから焼却する処理工程が一般的であるところ、中和後pH二・〇を超えるものとなった場合、当該物質は指定有害廃棄物ではない。
  •     (ロ) 処分又は再生の場所から指定有害廃棄物が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに亜硫酸ガスが発散しないよう、改正令第一六条第一号ハの規定の例によることとした。内容については、イの(ハ)を参照されたい。
  •     (ハ) 指定有害廃棄物の保管を行う場合には、(ロ)によるほか、改正令第一六条第一号イ、ロ、ニ及びホの規定の例によることとした。内容については、イの(イ)、(ロ)及び(ニ)を参照されたい。保管数量の制限については、①焼却する場合にあっては、当該指定有害廃棄物に係る処理施設の一日当たりの処理能力に一四を乗じて得られる数量、②中和する場合にあっては、当該指定有害廃棄物に係る処理施設の一日当たりの処理能力に一四を乗じて得られる数量又は二〇キロリットルのいずれか少ない数量とすることとした。また、代執行時における適正な措置を講ずるためにやむを得ないとして認められる数量については、ロの(ヘ)を参照されたい。
  •     (ニ) また、指定有害廃棄物の保管を行う場合には、二一日を超えて保管を行ってはならないこととした。また、代執行時においては、大量の指定有害廃棄物の処分又は再生を行う場合が想定されるため、その処分又は再生のために必要となる保管期間を適正な措置を講ずるためにやむを得ないとして認められる期間とする。

  (3) 代執行時の留意事項

    代執行時に当該硫酸ピッチの処理等を他人に委託するときは、いやしくも地方公共団体から処理等を委託された者が不適切な対応によって人の健康等に著しい被害を生じさせるような事態は絶対にあってはならないことであり、地方公共団体が自ら確認を行うなど、法令の定める基準に従った処理等が行われるよう必要な措置をとられたい。

 3 処理施設の事故時の応急措置及び都道府県知事への届出の義務化

   処理施設で政令で定めるもの(以下「特定処理施設」という。)において事故が発生し、廃棄物や汚水等の飛散及び流出等により周辺の生活環境の保全上の支障が生じた場合などにおいて、当該特定処理施設の設置者に対し、応急措置の実施及び都道府県知事への届出を義務付けるとともに、都道府県知事による必要な措置の命令を可能にすることにより、特定処理施設の事故時における適切な対応の実施を確保するものである。

  (1) 特定処理施設について

   イ 改正令第二四条第一号で定める処理施設

     法に基づく施設設置許可の対象とされている処理施設について、本規定の対象とした。

   ロ 改正令第二四条第二号で定める処理施設

     法に基づく施設設置許可の対象とされていない処理施設についても、事故が発生した場合、処理に係る廃棄物等が施設外に飛散、流出することにより生活環境の保全上の支障を生じうるものがあるため、左記のとおり特定の設備が設けられている処理施設については本規定の対象とした。

  •     (イ) 焼却設備が設けられている処理施設であって、当該焼却設備の一時間当たりの処理能力が五〇キログラム以上又は火床面積が〇・五平方メートル以上のもの
  •     (ロ) 熱分解設備、乾燥設備、廃プラスチック類の溶融設備、廃プラスチック類の固形燃料化設備又はメタン回収設備が設けられている処理施設であって、一日当たりの処理能力が一トン以上のもの
  •     (ハ) 廃油の蒸留設備又は特別管理産業廃棄物である廃酸若しくは廃アルカリの中和設備が設けられている処理施設であって、一日当たりの処理能力が一立方メートル以上のもの
         なお、例えば、焼却設備が設けられている処理施設において、焼却設備以外の設備に起因して事故が発生し、周辺の生活環境の保全上の支障が生じ、又は生ずるおそれがある場合についても、本規定の対象となるものである。

  (2) 特定処理施設の設置者の義務について

    特定処理施設の設置者においては、当該処理施設において破損その他の事故が発生し、廃棄物、汚水等が飛散、流出することにより生活環境の保全上の支障が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、直ちに応急措置を講ずるとともに、速やかにその事故の状況及び講じた措置の概要を都道府県知事に届け出なければならないものとした。
    生活環境の保全上の支障が生じ、又は生ずるおそれがある場合としては、例えば、中間処理施設の汚水処理設備の破損等により未処理の汚水が敷地境界外に流出する場合、最終処分場のえん堤の破損により埋め立てられた廃棄物が流出する場合などが考えられる。
    また、都道府県知事においては、特定処理施設の設置者が応急措置を講じていないと認めるときは、その者に対し、当該応急措置を講ずべきことを命ずることができるものとした。

 4 産業廃棄物の不適正処理事案に係る環境大臣による指示規定の創設

   廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成一五年法律第九三号。以下「平成一五年改正法」という。)により、広域的な見地からの調整など国の責務の強化が図られたところであるが、とりわけ産業廃棄物の分野は、違法を覚悟で不当利益を目的とする悪質な者が参入しやすい分野であり、悪質な不適正処理を行う者が依然として後を絶たない状況となっていることから、国の責務の強化の具体的な措置として、環境大臣は、産業廃棄物の不適正な処理により生活環境の保全上の支障が生ずることを防止するため緊急の必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、法第一九条の五第一項又は第一九条の六第一項の規定による命令に関する事務及び法第一九条の八第一項の規定による支障の除去等の措置に関する事務に関し必要な指示をすることができることとした。

 5 罰則の強化

  (1) 不法投棄又は不法焼却の罪を犯す目的での廃棄物の収集運搬罪の新設

    平成一五年改正法において、廃棄物の不法投棄及び不法焼却の未遂罪を新設したことにより、不法投棄又は不法焼却の実行に着手した者について、その行為が既遂に達する前の段階で取り締まることが可能となったところであるが、警察等の監視に対する警戒が強化されている状況等を踏まえ、不法投棄又は不法焼却の実行に着手する前の準備段階における取締りを可能とするため、不法投棄又は不法焼却の罪を犯す目的で廃棄物の収集又は運搬をする行為を罰する旨の規定を新設し、三年以下の懲役若しくは三〇〇万円以下の罰金又はこの併科に処することとした。
    処罰されることとなる具体的な行為類型としては、不法投棄が行われている現場付近まで不法投棄目的で廃棄物を積載した車両を乗り入れ、投棄の順番待ちをしている行為、繰り返し不法焼却が行われている現場に焼却の用に供するための着火剤とともに廃棄物を搬入する行為等が考えられる。

  (2) 受託禁止違反及び不法焼却の罪の量刑の引き上げ

    産業廃棄物の受託禁止違反及び廃棄物の不法焼却に対する罰則を五年以下の懲役若しくは一〇〇〇万円以下の罰金又はこの併科に引き上げるとともに、法人の代表者、従業員等が、その法人の業務に関し不法焼却を行った場合の当該法人に対する罰金刑の上限を、不法投棄同様一億円に引き上げることとした。

第三 改正の内容(改正法非関連)

 1 焼却に係る廃棄物処理基準の見直し

   法に基づく設置許可を要しない小規模な廃棄物焼却炉(以下「小型廃棄物焼却炉」という。)に係るダイオキシン類対策として、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成一三年環境省令第八号。以下「平成一三年改正省令」という。)により、一般廃棄物処理基準及び産業廃棄物処理基準における廃棄物を焼却する焼却設備の構造に係る基準(以下「焼却設備基準」という。)が強化されている。
   この規制強化後の小型廃棄物焼却炉の状況をみると、ダイオキシン類対策特別措置法(平成一一年法律第一〇五号。以下「ダイオキシン法」という。)に基づく排出基準を十分満足してはいるものの、焼却設備基準に適合していないため廃止又は休止状態のものが木材産業を中心に相当数ある状況にある。
   こうした状況を踏まえ、平成一三年改正省令の本来の趣旨である、ダイオキシン法に基づく排出基準の遵守とダイオキシン類の排出抑制対策に支障を生じない範囲で、焼却設備基準について所要の改正を行うこととした。

  (1) 外気と遮断された状態で廃棄物を投入できる構造

    燃焼温度の低下及び燃焼ガス等の外気への漏洩を防止する観点から、燃焼中に廃棄物を投入する場合については、外気と遮断された状態で投入できる構造であることを規定したものであり、外気と遮断された状態で廃棄物を一回の投入で燃やし切る方式の炉を排除していないことを明確化したものである。

  (2) 燃焼ガスの温度を測定する装置の設置

    燃焼ガスの温度を測定する装置については、常時設置が基本であるが、協同組合等で温度計を共有し、当該温度計で組合員の設置する炉の燃焼ガス温度を測定する極めて特異な使用形態も考えられるところである。このような場合において、燃焼ガス温度の測定結果により、概ね八〇〇℃以上の安定した燃焼状態を保つことが可能と判断される乾燥した製材木くずのような廃棄物のみを焼却する場合であって、温度計が装着可能な測定口が設置され、温度計を定期的に燃焼室に装着し、燃焼ガス温度を測定・記録する場合については、当該小型廃棄物焼却炉は使用可能である。

  (3) 助燃装置の設置

    燃焼ガス温度の測定結果により、概ね八〇〇℃以上の安定した燃焼状態を保つことが可能と判断される乾燥した製材木くずのような廃棄物のみを焼却する場合に限って、助燃装置が設置されなくとも使用可能とした。なお、汚泥、動植物性残さ、廃酸、廃アルカリのように水分を多く含むなど安定した燃焼状態を保つことが困難と考えられる廃棄物、及びこうしたものが混入するおそれのある廃棄物を焼却する場合は、従前どおり助燃装置を設置する必要がある。
    また、一つのバーナーで、着火装置及び助燃装置の役割を果たす場合については、必ずしも、新たな助燃バーナーの設置を必要とするものではない。

  (4) その他留意事項

  •    イ 改正省令は、ダイオキシン法に基づく排出基準の遵守を基本として、温度計及び助燃装置の設置に係る改正の対象となる廃棄物を極めて限定したものであることに十分留意されたい。また、今般の改正内容について、法主管部(局)及びダイオキシン法主管部(局)が十分連携を図るとともに、関係機関・団体等も通じて、休止している小型廃棄物焼却炉の設置者に対し周知されたい。
  •    ロ 改正省令により、使用を再開する可能性のある休止中の小型廃棄物焼却炉の実態把握に努めるとともに、当該焼却炉の使用を再開する場合には、設置者が都道府県等に連絡を行って、排ガス中のダイオキシン類濃度の測定を行い、ダイオキシン法に基づく排出基準に適合していること及び焼却設備基準に適合していることについて法主管部(局)及びダイオキシン法主管部(局)の確認を受けるよう、当該焼却炉の設置者に対し周知、指導されたい。
         なお、ダイオキシン類の測定については、現在、簡易測定法の導入が検討されているところであるが、簡易測定法が導入された場合には、当該測定法も積極的に活用し、ダイオキシン法第二八条に基づく設置者による測定が徹底されるよう指導されたい。
  •    ハ 焼却設備基準とともに、別に規定されている黒煙が排出されないように焼却すること等の環境大臣の定める焼却の方法(平成九年厚生省告示第一七八号)の厳格な運用により、適正な燃焼管理を徹底するよう、小型廃棄物焼却炉の設置者に対し周知、指導されたい。
         特に、燃焼ガス温度の管理や焼却対象となる廃棄物については、必要に応じ、法に基づく立入検査、報告徴収等により適正に行われていることを確認されたい。

 2 既存の製造設備を活用した廃棄物焼却施設に係る構造基準及び維持管理基準の見直し

   金属製錬を目的とした既存の製造設備については、従来の焼却施設と構造及び維持管理条件が大きく異なるものの、当該設備が金属製錬を適正に行うことができる構造及び維持管理条件を満たしていれば、原材料に加えて一部廃棄物を投入しても、生活環境保全上特段の問題を生じていないことが明らかになっている。
   このような状況を踏まえ、現在、廃棄物処理が想定されている一定規模以上の製鋼の用に供する電気炉、銅の第一次製錬の用に供する転炉若しくは溶解炉又は亜鉛の第一次製錬の用に供する焙焼炉を用いて焼却を行う施設(以下「製鋼の用に供する電気炉等」という。)について、従来の焼却施設と同様に生活環境保全上の支障が生じないよう適正な処理を確保することを前提に、その構造基準及び維持管理基準について、当該製造設備の特徴に応じた合理的な技術上の配慮を行うこととした。

  (1) 適正な燃焼ガスの温度の保持及びその測定・記録

    製鋼の用に供する電気炉等は、鉄スクラップや鉱石などの原材料から不純物を分離し、溶鋼、溶体又は焼鉱(以下「溶鋼等」という。)を得るため、施設によって異なるものの、炉内温度は概ね一〇〇〇℃から一五〇〇℃以上に保つ必要があることから、こうした高温状態を適正に保つことができるものであることとした。
    また、製鋼の用に供する電気炉等の炉内が、溶鋼等を得るために必要な高温状態に保たれていることを確認するため、炉内又は炉の出口において溶鋼等の温度を測定するための温度計が設置されているか、又は設置できる構造であり、かつ、溶鋼等の温度を連続的に測定し記録するか、又は定期的(一日一回以上)に測定し記録することとした。

  (2) 集じん器に流入する燃焼ガスの冷却に代わる措置

    銅の第一次製錬の用に供する転炉若しくは溶解炉又は亜鉛の第一次製錬の用に供する焙焼炉については、当該施設の維持管理上、集じん器に流入する燃焼ガスの温度を二〇〇℃以下に冷却することが適当でないことから、これに代わる措置として排ガス中のダイオキシン類濃度を三月に一回以上測定することとした。

  (3) 排ガス中の一酸化炭素濃度の連続測定・記録に代わる措置

    製鋼の用に供する電気炉等は、燃焼管理の指標として一酸化炭素濃度を用いることが適当でないことから、排ガス中の一酸化炭素濃度の連続測定・記録に代わる措置として排ガス中のダイオキシン類濃度を三月に一回以上測定することとした。

  (4) ダイオキシン類の濃度基準

    製鋼の用に供する電気炉を用いた焼却施設に係る排ガス中のダイオキシン類濃度基準については、ダイオキシン法に定める排出基準も勘案して定めた。

第四 施行期日

  改正法、改正政令及び改正省令は以下のとおり施行するものとした。

  1.  (1) 第二の5に掲げる事項
    平成一六年五月一八日から施行
  2.  (2) 第二の1から4までに掲げる事項
    平成一六年一〇月二七日から施行
  3.  (3) 第三に掲げる事項
    平成一六年一二月一〇日から施行
  4.  (4) その他の事項
    平成一七年四月一日から施行

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