法令・告示・通達

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部改正等について

公布日:平成9年09月30日
衛環250号

厚生省生活衛生局水道環境部長から各都道府県知事・政令市市長あて

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令(平成9年政令第269号。以下「改正政令」という。)及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成9年厚生省令第65号。以下「改正省令」という。)は、平成9年8月29日に公布され、平成9年12月1日から施行されることとなった。ついては、下記の事項に留意の上、その運用に遺漏のないようにされたい。

第1 改正の趣旨

  1.  1 物の燃焼等に伴って非意図的に発生する有機性塩素化合物であるダイオキシン類(ポリ塩化ジベンゾフラン及びポリ塩化ジベンゾ―パラ―ジオキシンの混合物)については、我が国の総排出量の約8割から9割が廃棄物焼却施設から排出されているとの推計もあり、その削減対策を進めてきたところであるが、更なる対策の強化を求められていたところである。
       こうした状況を踏まえ、今般、廃棄物の焼却に係る規制の強化を図ることとし、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号)を改正したところであるが、その概要は次のとおりである。
    1.   (1) 廃棄物焼却施設に係る構造基準及び維持管理基準をダイオキシン類の発生抑制の観点から見直したこと。
    2.   (2) 小規模施設に対する規制を強化するため、大気汚染防止法の規制対象との整合性も考慮し、設置許可又は届出が必要な廃棄物焼却施設の範囲を見直したこと。
    3.   (3) 廃棄物を焼却する際には焼却設備を使用することが義務づけられているが、粗悪な設備を用いた野焼き同然の廃棄物の焼却による生活環境保全上の支障が生じている例も見受けられることから、焼却設備の構造及び焼却の方法を明確化したこと。
  2.  2 また、最終処分場のうち、許可又は届出の対象とならない小規模な施設(いわゆるミニ処分場)において、汚水や悪臭の発生等により生活環境保全上の支障が生じている例も見受けられることから、最終処分場の面積要件を廃止し、すべての最終処分場を許可又は届出の対象とすること。

第2 改正の内容

  1.  1 廃棄物の焼却施設に係る技術上の基準の見直し
       廃棄物焼却施設から排出されるダイオキシン類を削減するため、廃棄物の完全燃焼の確保、排ガス処理の適正化、排ガス濃度等の管理を図るために必要な基準を廃棄物焼却施設の構造基準及び維持管理基準として規定したものであること。なお、改正省令の施行の際現に廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「法」という。)第8条第1項又は第15条第1項の許可を受けている施設及び許可申請がなされている施設並びに法第9条の3第1項の規定による届出をしている施設並びに現存する現行の許可対象範囲外の施設であって今後許可対象施設となるもの(改正政令附則第2条第1項若しくは第2項又は第4項の規定により許可みなし又は届出みなしを受けたものをいう。以下「特定廃棄物焼却施設」という。)については、施設の改造等が必要となるため、一定期間、その一部について適用を猶予する旨の経過措置を設けることとしたこと。更に、構造基準・維持管理基準に違反した場合、施設の改善命令や使用停止命令を発動する対象となり、当該命令に違反した場合には罰則が設けられているので、周知の上、違反者に対しては厳格に対処されたいこと。
  2.  2 設置許可が必要な廃棄物の焼却施設の範囲の見直し
    1.   (1) 法第8条第1項の規定に基づき設置許可が必要なごみ処理施設及び法第9条の3第1項の規定に基づき届出が必要なごみ処理施設は、従来一日当たりの処理能力が5トン以上のものとされていたところであるが、今回の改正により、焼却施設については1時間当たりの処理能力が200kg以上又は火格子面積2m2以上のいずれかに該当するものを対象としたこと。
    2.   (2) 法第15条第1項の規定に基づき設置許可が必要な産業廃棄物の焼却施設は、今回の改正により、汚泥の焼却施設にあっては1日当たりの処理能力が5m3を超えるもの又は1時間当たりの処理能力が200kg以上若しくは火格子面積2m2以上のもの、廃油の焼却施設にあっては1日当たりの処理能力が1m3を超えるもの又は1時間当たりの処理能力が200kg以上若しくは火格子面積が2m2以上のもの、廃プラスチック類の焼却施設にあっては1日当たりの処理能力が100kgを超えるもの又は火格子面積が2m2以上のもの、その他の産業廃棄物の焼却施設にあっては1時間当たりの処理能力が200kg以上又は火格子面積が2m2以上のものを対象としたこと。
    3.   (3) 特定廃棄物焼却施設については、今回の改正により、法第8条第1項若しくは第15条第1項の許可を受けたもの又は法第9条の3第1項の届出をしたものとみなし、構造基準及び維持管理基準を適用すること。なお、改正政令第2条第3項又は第4項の規定により、当該施設の設置者は施行の日(平成9年12月1日)から3か月以内に都道府県知事(保健所設置市にあっては市長)に届け出る必要があることとなっているので、所要の手続を周知・指導されたいこと。
    4.   (4) また、法第21条第1項の規定に基づく技術管理者の設置については、特定廃棄物焼却施設については、平成10年11月30日までは猶予されているので、その間に技術管理者を設置するよう指導されたいこと。
  3.  3 焼却に係る廃棄物処理基準の明確化
    1.   (1) 廃棄物を焼却する際に用いる焼却設備の構造としては、空気取入口及び煙突の先端以外に焼却設備内と外気とが接することなく焼却できるものであること並びに燃焼に必要な量の空気の通風が行われるものであることを定めたこと。
    2.   (2) 廃棄物の焼却の方法としては、煙突の先端以外から燃焼ガスが出ないように焼却すること、煙突の先端から火炎又は黒煙を出さないように焼却すること及び煙突から焼却灰及び未燃物が飛散しないように焼却することを定めたこと。
    3.   (3) このような廃棄物処理基準の強化・明確化の趣旨を踏まえ、違反者に対しては、改善命令や措置命令の発動を積極的に行う等厳しい態度で対処されたいこと。
  4.  4 設置許可が必要な廃棄物の最終処分場の範囲の見直し
    1.   (1) 今後新たに設置される最終処分場については、埋立面積にかかわらずすべて許可又は届出の対象となり、構造基準及び維持管理基準が適用されることとなるので、これらの基準を遵守するよう指導するほか、基準に違反する場合には施設に対する改善命令や使用停止命令等により、厳格に対処されたいこと。
    2.   (2) 許可又は届出の対象とならない既存のミニ処分場については、新たに届出を行う必要はないが、法の適用関係を明確にするため、その所在の確認に努められたいこと。
    3.   (3) また、当然のことながら、許可又は届出の対象となっているか否かにかかわらず、埋立地からの浸出液によって公共の水域等を汚染するおそれがないように必要な措置を講ずること等の埋立処分の基準が引き続き適用されることから、これに違反する場合には改善命令や措置命令により、生活環境保全上の支障が生じ、又は拡大したりすることのないよう厳格に対処されたいこと。